説明

データ処理装置及び商品販売データ処理装置

【課題】カード端末のクリーニングを、該端末の劣化をも考慮して適切な時期に行えるようにする。
【解決手段】カード端末がカードの記録部に可視データを記録した回数を計数し、この記録回数が予め設定された記録累積回数を超えたか否かを判断する。そして、記録回数が記録累積回数を超えたと判断されると、カード端末のクリーニング実施を報知する。また、カード端末のクリーニング実行回数を計数する。そして、このクリーニング実行回数の増加に対して記録累積回数を減らす方向に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの記録部にデータを記録する機能を有したカード端末を制御するデータ処理装置、特に、商品販売データの処理データを前記カードに記録する商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カードの一方の面を感熱記録層が施された印字面とし、この印字面に文字,数字,記号等を書換自在に印字可能なカード、いわゆるリライトカードが開発され、様々な業界で既に利用されている。例えば流通小売業界では、ポイントサービス会員となった顧客に対して店側から提供されるポイントカードとして上記リライトカードが利用されている。
【0003】
このような店では一般に、POS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置にリライトカード用のカード端末を接続して対応している。すなわち商品販売データ処理装置は、カード端末に装着されたポイントカードの磁気ストライプ部から前回までの累計ポイントを読み取る。また、客が買い上げる商品の販売データを処理して今回取引のサービスポイントを算出する。そして、前回までの累計ポイントに今回のサービスポイントを加算して最新の累計ポイントを算出する。その後、カード端末を制御して、ポイントカードの磁気ストライプ部に最新の累計ポイントを書き込むとともに印字面に最新の累計ポイント等を印字するものとなっている。
【0004】
ところで、カードは人の手で扱われるので油汚れや埃等が付着しやすい。このため、カード端末のクリーニングを定期的に行うことが、カード端末の性能を維持する上で必要である。しかし、クリーニングの時期をいつにするかはユーザの判断に任されているのが実情なので、クリーニングの時期が遅れて印字品質が劣化する等の問題が生じる場合があった。
【0005】
このような問題を回避するための手段として、従来、カード端末のカード搬送時間を計測し、規定値を上回っている場合にエラーとして、クリーニングを行わせるものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−332141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カード搬送時間を利用した従来技術は、カードを搬送するローラが汚れて搬送に時間がかかるようになった場合に有効だが、ローラが汚れていなくても印字ヘッドが汚れて印字品質が低下する場合もあり、このような場合にクリーニングの時期が遅れてしまうという問題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、カード端末のクリーニングを、該端末の劣化をも考慮して適切な時期に行えるようにユーザに告知できるデータ処理装置及び商品販売データ処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カードの記録部にデータを記録する機能を有したカード端末を制御するデータ処理装置において、カード端末のクリーニングが必要となる記録累積回数を記憶する記録累積回数記憶手段と、カード端末がカードの記録部に可視データを記録した回数を計数する記録回数計数手段と、この記録回数計数手段により計数される記録回数が記録累積回数記憶手段により記憶されている記録累積回数を超えたか否かを判断するクリーニング判断手段と、このクリーニング判断手段により記録回数が記録累積回数を超えたと判断されると、カード端末のクリーニング実施を報知するクリーニング報知手段と、カード端末のクリーニング実行回数を計数するクリーニング回数計数手段と、このクリーニング回数計数手段により計数されるクリーニング実行回数の増加に対して記録累積回数を減らす方向に変更する記録累積回数更新手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
かかる手段を講じた本発明によれば、カード端末のクリーニングを、該端末の劣化をも考慮して適切な時期に行えるようにユーザに告知できるデータ処理装置及び商品販売データ処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、リライトカードをポイントカードとして用いる店舗において、商品販売データ処理装置として使用されるPOS端末に本発明を適用した場合である。
【0011】
図1はPOS端末1の要部構成を示すブロック図である。POS端末1は、制御部本体を構成するCPU(Central Processing Unit)11、記憶部を構成するROM(Read Only Memory)12及びRAM(Random Access Memory)13、日時を計時する時計部14、上位コンピュータとのネットワークが接続される通信インターフェイス15、バーコード等を読取るためのスキャナが接続されるスキャナインターフェイス16の他、I/Oポート17,キーボードコントローラ18,第1の表示コントローラ19,第2の表示コントローラ20,プリンタコントローラ21,端末インターフェイス22等を備えている。CPU11と、ROM12,RAM13,時計部14,通信インターフェイス15,スキャナインターフェイス16,I/Oポート17,キーボードコントローラ18,第1の表示コントローラ19,第2の表示コントローラ20,プリンタコントローラ21及び端末インターフェイス22とは、それぞれアドレスバス,データバス等のバスライン23で接続されている。
【0012】
I/Oポート17には、登録,点検,精算,設定等のPOS端末特有の各種業務を選択的に切替えるモードスイッチ24と、現金等を収容するためのドロワ25とが接続されている。キーボードコントローラ18には、置数キー,部門キー,小計キー,預/現計キー等の商品販売データ処理に必要な種々のキーが配設されたキーボード26が接続されている。第1の表示コントローラ19には、オペレータに対する情報を表示可能なオペレータ用ディスプレイ27が接続されている。第2の表示コントローラ20には、買物客に対する情報を表示可能な客用ディスプレイ28が接続されている。プリンタコントローラ21には、レシート印字等を行うためのプリンタ29が接続されている。端末インターフェイス22には、ポイントカードとして用いられるリライトカードの磁気ストライプ部に記録されているデータを読取ったり同ストライプ部にデータを書き込んだりする読書き機能と、当該リライトカードの一方の面に感熱記録層が施されて形成された印字面にデータを印字する印字機能とを備えたカードリーダライタ2が接続されている。
【0013】
かかる構成のPOS端末1は、モードスイッチ24により登録業務が選択されている状態にあっては、キーボード26またはスキャナを介して客が買い上げる商品の販売データが入力されると、この商品販売データをRAM13の所定メモリエリアに売上処理する。預/現計キー等の締めキー操作により当該客との商取引の締めが宣言されると、この商取引を決済処理する。また、今回商取引のポイントデータを算出する。そして、カードリーダライタ2に装着されているリライトカードから前回までの累積ポイントデータを読取り、この累積ポイントデータに今回商取引のポイントデータを加算して、新たな累積ポイントデータを算出する。しかる後、カードリーダライタ2に装着されているリライトカードの記録部に新たな累積ポイントデータを上書き記録するとともに、印字面の内容を新たな累積ポイントデータに書き替えるべくカードリーダライタ2を制御するものとなっている。
【0014】
このようにPOS端末1にあっては、リライトカードからなるポイントカードを所有しているポイントサービス会員との商取引が発生する毎に、カードリーダライタ2にリライトカードが装着され、その記録部に対するデータの読書きや印字が行われる。このため、印字等の品質を維持するためにカードリーダライタ2のクリーニングを定期的に行う必要がある。
【0015】
そこで本実施の形態では、カードリーダライタ2のクリーニングを適切な時期に、しかも管理者の負担になることなく実施できるようにするために、図2に示すデータ構造の第1〜第5のデータテーブル31〜35をRAM13に形成している。
【0016】
第1のデータテーブル31は、カードリーダライタ2のクリーニングが必要となる印字累積回数として、クリーニングの初期警告メッセージを出したいときの警告回数Wと、最終警告メッセージを出したいときの超過回数Lとを記憶するとともに、警告メッセージの出力タイミングを指定する警告タイプの識別データを記憶するテーブルである。因みに、警告回数W及び超過回数Lは、カードリーダライタ2の印字機能による印字動作回数累積値と比較する値であって、警告回数Wよりも超過回数Lの方が大きい値が設定されるのは言うまでもない。また、警告タイプは、本実施の形態では、電源オン時(1)と取引終了時(2)の2タイプとする。ここに、第1のデータテーブル31は、記録累積回数記憶手段を構成する。
【0017】
第2のデータテーブル32は、カードリーダライタ2のクリーニングに用いられるクリーニングカードのクリーニング可能回数CLと、クリーニングに伴うカードリーダライタ2の劣化度を表す端末劣化係数CK(0<CK<100)の各データを記憶するテーブルである。ここに、第2のデータテーブル32は、可能回数記憶手段を構成する。
【0018】
第3のデータテーブル33は、固有のメッセージコードに対応してメッセージデータを記憶するテーブルである。本実施の形態では、メッセージコードM1に対応して初期警告メッセージ「カードリーダライタのクリーニング時期となりました」が設定され、メッセージコードM2に対応して最終警告メッセージ「カードリーダライタを必ずクリーニングしてください」が設定され、メッセージコードM3に対応してクリーニングカードの交換を促すメッセージ「クリーニングカードを交換してください」が設定されている。
【0019】
第4のデータテーブル34は、カードリーダライタ2の印字回数PCとクリーニング回数CCの各計数値を記憶するテーブルである。ここに、第4のデータテーブル34は、記録回数計数手段を構成する。
【0020】
第5のデータテーブル35は、クリーニングの初期警告段階になると“1”にセットされる警告フラグWFと、最終警告段階になると“1”にセットされる超過フラグLFの各データを記憶するテーブルである。
【0021】
図3はCPU11が実行するクリーニング判断処理の要部処理手順を示す流れ図である。CPU11は、カードリーダライタ2に対してリライトカードの印字面に対する印字コマンドを出力する毎に、このクリーニング判断処理を開始する。
【0022】
先ず、CPU11は、ST1として第4のデータテーブル34で記憶している印字回数PCを“1”だけ増加する。次いで、ST2として上記印字回数PCが第1のデータテーブル31で記憶している超過回数Lを超えたか否かを判断する(クリーニング判断手段)。印字回数PCが超過回数Lを越えていない場合には、ST3として同第1のデータテーブル31で記憶している警告回数Wを超えたか否かを判断する(クリーニング判断手段)。印字回数PCが警告回数Wも超えていない場合には、このクリーニング判断処理を終了する。
【0023】
一方、ST2にて印字回数PCが超過回数Lを越えていた場合には、CPU11は、ST4として第5のデータテーブル35で記憶している超過フラグLFを調べ、“1”にセットされていない場合には“1”にセットする。また、ST3にて印字回数PCが警告回数Wを越えていた場合には、CPU11は、ST5として同第5のデータテーブル35で記憶している警告フラグWFを調べ、“1”にセットされていない場合には“1”にセットする。しかる後、このクリーニング判断処理を終了するものとなっている。
【0024】
図4はCPU11が実行するクリーニングメッセージ出力処理の要部処理手順を示す流れ図である。すなわちCPU11は、POS端末1の電源オンにより立ち上がると、ST11として初期化処理を実行する。この初期化処理により、前回の電源オフ時に図示しないバックアップ用メモリに記憶保持されていた第1〜第5のデータテーブル31〜35の各データが、RAM13の第1〜第5のデータテーブル31〜35に設定される。
【0025】
次いで、CPU11は、ST12として第1のデータテーブル31で記憶している警告タイプが“1”(電源オンタイプ)であるか否かを判断する。ここで、警告タイプが“1”でない場合には、通常のPOS業務処理に入る。
【0026】
警告タイプが“1”であった場合には、クリーニング警告メッセージの出力タイミングとして電源オン時が指定されているので、CPU11は、ST21として第5のデータテーブル35で記憶している超過フラグLFが“1”にセットされているか否かを判断する。超過フラグLFが“1”にセットされていない場合には、同第5のデータテーブル35で記憶している警告フラグWFが“1”にセットされているか否かを判断する。警告フラグWFが“1”にセットされていない場合には、通常のPOS業務処理に入る。
【0027】
ST21にて超過フラグLFが“1”にセットされていた場合には、CPU11は、ST23として第3のデータテーブル33で記憶している各メッセージデータのうち、メッセージコードM2に対応して設定されているメッセージデータをオペレータ用ディスプレイ27に表示させる(クリーニング報知手段)。同様に、ST22にて警告フラグWFが“1”にセットされていた場合には、CPU11は、ST24としてメッセージコードM1に対応して設定されているメッセージデータをオペレータ用ディスプレイ27に表示させる(クリーニング報知手段)。
【0028】
いずれかのメッセージを表示させた後、CPU11は、ST25としてメッセージ確認キーが入力されるのを待機する。例えばキーボード26のクリアキーが操作されると、CPU11は、メッセージ確認キーが入力されたと判断する。そして、ST26としてオペレータ用ディスプレイ27に表示したメッセージを消去する。しかる後、通常のPOS業務処理に入る。
【0029】
またCPU11は、通常のPOS業務処理の中の登録業務処理において、預/現計キー等の締めキー操作により商取引の締めが宣言され、該商取引の決済処理が行われる毎に、取引終了と判断する(ST13のYES)。そして、CPU11は、ST14として第1のデータテーブル31で記憶している警告タイプが“2”(取引終了タイプ)であるか否かを判断する。ここで、警告タイプが“2”でない場合には、POS業務処理を継続する。
【0030】
警告タイプが“2”であった場合には、クリーニング警告メッセージの出力タイミングとして取引終了時が指定されているので、CPU11は、前記ST21以降の処理に進む。すなわち、超過フラグLFが“1”にセットされていた場合には、メッセージコードM2に対応して設定されているメッセージデータをオペレータ用ディスプレイ27に表示させる。また、警告フラグWFが“1”にセットされていた場合には、メッセージコードM1に対応して設定されているメッセージデータをオペレータ用ディスプレイ27に表示させる。超過フラグLF及び警告フラグWFの双方とも”1”にセットされていない場合には、POS業務処理を継続する。
【0031】
メッセージ表示後は、メッセージ確認キーが入力されるのを待機し、入力されたならば、メッセージをクリアした後、POS業務処理を継続する。
【0032】
図5はCPU11が実行するカード装着処理の要部処理手順を示す流れ図である。CPU11は、カードリーダライタ2からカード装着有りのコマンドが送られてくる毎に、このカード装着処理を開始する。
【0033】
先ず、CPU11は、ST31としてカードリーダライタ2に装着されたカードの種類を判別する。ここで、ポイントカードとして利用されるリライトカードが装着された場合には、このリライトカードに対するポイント更新処理等を実行する。
【0034】
一方、装着されたカードがクリーニングカードであった場合には、CPU11は、ST32としてこのクリーニングカードによるクリーニング処理を実行させる。例えば、クリーニングカードを所定回数往復搬送させる。そして、ST33として所定回数の往復搬送が行われ、カードリーダライタ2のクリーニング終了を判断すると、CPU11は、ST34としてクリーニングカードの排出コマンドをカードリーダライタ2に与える。
【0035】
しかる後、CPU11は、ST35として第4のデータテーブル34で記憶している印字回数PCを“0”に初期化する。また、ST36として第5のデータテーブル35で記憶している警告フラグWF及び超過フラグLFを“0”にリセットする。
【0036】
その後、CPU11は、ST37として第4のデータテーブル34で記憶しているクリーニング回数CCと第2のデータテーブル32で記憶しているクリーニング可能回数CLとを比較する(カード寿命判断手段)。その結果、クリーニング回数CCがクリーニング可能回数CL以下の場合には、CPU11は、ST42の処理に進み、クリーニング回数CCを“1”だけ増加する。
【0037】
これに対し、クリーニング回数CCがクリーニング可能回数CLを越えた場合には、CPU11は、ST39として第3のデータテーブル33で記憶している各メッセージデータのうち、メッセージコードM3に対応して設定されているメッセージデータをオペレータ用ディスプレイ27に表示させる(カード交換報知手段)。その後、CPU11は、ST39としてカード交換キーが入力されるのを待機する。例えばキーボード26の両替キーが操作されると、CPU11は、カード交換キーが入力されたと判断する。そして、ST40としてオペレータ用ディスプレイ27に表示したメッセージを消去する。しかる後、CPU11は、ST41としてクリーニング回数CCを一旦“0”に初期化する。次いで、ST42の処理に進み、クリーニング回数CCを“1”だけ増加する。
【0038】
その後、CPU11は、ST43として第2のデータテーブル32で記憶している端末劣化係数CK(0<CK<100)を読出し、この端末劣化係数CKを用いて下記(1)式により第1のデータテーブル31で記憶している警告回数Wを減らす方向に変更する(記録累積回数更新手段)。
【0039】
W=W(100−CK)/100 …(1)
また、ST44として同じく端末劣化係数CKを用いて下記(2)式により第1のデータテーブル31で記憶している超過回数Lを減らす方向に変更する(記録累積回数更新手段)。以上で、カードリーダライタ2にクリーニングカードが装着されたときのカード装着処理を終了する。
【0040】
このように構成された本実施の形態においては、カードリーダライタ2によりリライトカードの印字面に対するデータの印字処理が行われる毎に、その印字回数PCがPOS端末のRAM13上で計数記憶される。そして、この印字回数PCが、予め設定された警告回数Wを上回ると、警告フラグWFが“1”にセットされる。そうすると、警告タイプが“1”に設定されていた場合、つまり電源オン時に警告を発するように設定されていた場合には、以後、POS端末1の電源オン時に、メッセージコードM1に対応して設定されているメッセージ「カードリーダライタのクリーニング時期となりました」がオペレータ用ディスプレイ27に表示される。また、警告タイプが“2”に設定されていた場合、つまり取引終了時に警告を発するように設定されていた場合には、以後、POS端末1において1客との商取引が終了する毎に、同様のメッセージ「カードリーダライタのクリーニング時期となりました」がオペレータ用ディスプレイ27に表示される。したがって、POS端末1のオペレータは、表示内容からカードリーダライタ2のクリーニング時期であることを確実に知り得る。
【0041】
また、その後、カードリーダライタ2のクリーニングを行うことなく印字回数PCが増加し、予め設定された超過回数Lを上回ると、超過フラグLFが“1”にセットされる。そうすると、警告タイプが“1”に設定されていた場合には、以後、POS端末1の電源オン時に、メッセージコードM2に対応して設定されているメッセージ「カードリーダライタを必ずクリーニングしてください」がオペレータ用ディスプレイ27に表示される。また、警告タイプが“2”に設定されていた場合には、以後、POS端末1において1客との商取引が終了する毎に、同様のメッセージ「カードリーダライタを必ずクリーニングしてください」がオペレータ用ディスプレイ27に表示される。したがって、POS端末1のオペレータは、表示内容からカードリーダライタ2のクリーニングをしなければならない時期であることを確実に知り得る。
【0042】
そこで、これらのメッセージに従いカードリーダライタ2のクリーニングを行う場合には、カードリーダライタ2の所定のクリーニングカードを装着する。そうすると、カードリーダライタ2のクリーニングが行われる。そして、クリーニングが行われたことにより、印字回数PCは“0”に初期化される。また、警告フラグWF及び超過フラグLFが“0”にリセットされる。したがって、以後、再び印字回数が超過回数Wを超えるまで、クリーニングの警告メッセージは表示されない。
【0043】
ところで本実施の形態では、カードリーダライタ2のクリーニングが行われる毎に、予め設定されている端末劣化係数CKを基に警告回数W及び超過回数Lが減る方向に変更される。例えば今、端末劣化係数CKとして“5”が設定されていたとする。この値は、クリーニングを1回行う毎に、カードリーダライタ2が5%劣化することを示している。
【0044】
ここで、クリーニング実施時点の警告回数Wが8000回であり、超過回数Lが1万回であるとすると、クリーニング実施後、警告回数Wは、前記(1)式により7600回に減少する。また、超過回数Lは、前記(2)式により、9500回に減少する。これにより、その後は、印字回数PCが7600回に達すると、警告メッセージ「カードリーダライタのクリーニング時期となりました」が表示され、9500回に達すると、超過メッセージ「カードリーダライタを必ずクリーニングしてください」が表示される。
【0045】
このように本実施の形態によれば、カードリーダライタ2のクリーニングを実施する毎に、クリーニングによるカードリーダライタ2の劣化を考慮して、印字回数累積値PCと照合される警告回数W及び超過回数Lをいずれも減らす方向に更新するようにしたので、カードリーダライタ2の劣化をも考慮して当該カードリーダライタ2のクリーニングを適切な時期に行えるようにユーザに告知できる効果を奏する。
【0046】
また、本実施の形態では、カードリーダライタ2のクリーニングが行われる毎に、そのクリーニング回数CCも計数するようにしている。そして、このクリーニング回数CCが、予め設定されたクリーニング可能回数CLを超えると、メッセージ「クリーニングカードを交換してください」をオペレータ用ディスプレイ27に表示させるようにしている。したがって、クリーニング可能回数CLとしてクリーニングカードの寿命となるクリーニング回数以下の値を予め設定しておくことにより、クリーニングカードが寿命となる前にユーザにクリーニングカードの交換を促すことができる。
【0047】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0048】
例えば前記実施の形態では、カード端末としてリライトカード用のカードリーダライタ2を例示したが、リライトカード以外のカード端末、例えばICカードを用いたプリペイドカードの裏面にカード利用履歴のデータを印字する機能を有したカード端末を制御するデータ処理装置にも、本発明を同様に適用できるものである。
【0049】
また、前記実施の形態では、カード端末のクリーニングが必要となる記録累積回数を警告回数Wと超過回数Lの2段階としたが、いずれか一方のみであってもよい。また、3段階以上に細分化してもよい。
【0050】
また、前記実施の形態では、図5に示すカード装着処理のST39において、カード交換キーが入力されたことを検知すると、ST41にてクリーニング回数CCを“0”に初期化するように構成したが、カード装着処理とは別の独立した処理として、所定キーの操作によりクリーニング回数CCを“0”に初期化するクリーニング回数初期化処理を追加することによって、ST41の処理を省略することができる。
【0051】
また、この発明は、POS端末等の商品販売データ処理装置に限定されるものではなく、カード端末を備えたデータ処理装置全般に適用できるものである。
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態であるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同POS端末のRAMに形成される主要なメモリエリアを示す模式図。
【図3】同POS端末のCPUが実行するクリーニング判断処理の要部手順を示す流れ図。
【図4】同POS端末のCPUが実行するクリーニングメッセージ出力処理の要部手順を示す流れ図。
【図5】同POS端末のCPUが実行するカード装着処理の要部手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0053】
1…POS端末、2…カードリーダライタ、11…CPU、12…ROM、13…RAM、22…端末インターフェイス、26…キーボード、27…オペレータ用ディスプレイ、28…客用ディスプレイ、29…プリンタ、31〜35…第1〜第5のデータテーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの記録部にデータを記録する機能を有したカード端末を制御するデータ処理装置において、
前記カード端末のクリーニングが必要となる記録累積回数を記憶する記録累積回数記憶手段と、
前記カード端末が前記カードの記録部にデータを記録した回数を計数する記録回数計数手段と、
この記録回数計数手段により計数される記録回数が前記記録累積回数記憶手段により記憶されている記録累積回数を超えたか否かを判断するクリーニング判断手段と、
このクリーニング判断手段により前記記録回数が前記記録累積回数を超えたと判断されると、前記カード端末のクリーニング実施を報知するクリーニング報知手段と、
前記カード端末のクリーニング実行回数を計数するクリーニング回数計数手段と、
このクリーニング回数計数手段により計数されるクリーニング実行回数の増加に対して前記記録累積回数を減らす方向に変更する記録累積回数更新手段と、
を具備したことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記カード端末のクリーニングに用いるクリーニングカードのクリーニング可能回数を記憶する可能回数記憶手段と、
前記クリーニング回数計数手段により計数されるクリーニング実行回数が前記可能回数記憶手段により記憶されているクリーニング可能回数を超えたか否かを判断するカード寿命判断手段と、
このカード寿命判断手段により前記クリーニング実行回数が前記クリーニング可能回数を超えたと判断されると、前記クリーニングカードの交換実施を報知するカード交換報知手段と、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記記録累積回数記憶手段は、複数段階の記録累積回数を記憶しており、
前記記録累積回数更新手段は、前記クリーニング実行回数の増加に対して各段階の記録累積回数をそれぞれ減らす方向に変更することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項4】
カードの記録部にデータを記録する機能を有したカード端末を制御し、商品販売データの処理データを前記カードの記録部に記録させる商品販売データ処理装置において、
前記カード端末のクリーニングが必要となる記録累積回数を記憶する記録累積回数記憶手段と、
前記カード端末が前記カードの記録部に可視データを記録した回数を計数する記録回数計数手段と、
この記録回数計数手段により計数される記録回数が前記記録累積回数記憶手段により記憶されている記録累積回数を超えたか否かを判断するクリーニング判断手段と、
このクリーニング判断手段により前記記録回数が前記記録累積回数を超えたと判断されると、前記カード端末のクリーニング実施を報知するクリーニング報知手段と、
前記カード端末のクリーニング実行回数を計数するクリーニング回数計数手段と、
このクリーニング回数計数手段により計数されるクリーニング実行回数の増加に対して前記記録累積回数を減らす方向に変更する記録累積回数更新手段とを具備し、
前記クリーニング報知手段は、電源オン時または商取引の締め処理終了時に前記カード端末のクリーニング実施を報知するメッセージをオペレータ用の表示部に表示させることを特徴とする商品販売データ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate