説明

データ分析装置及びその方法、プログラム

【課題】 精度の高い制御パラメータの設定を効率的にかつ汎用的に実現することができるデータ分析装置及びその方法、プログラムを提供する。
【解決手段】 装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報を生成する。生成した基準情報と、装置の環境変化に応じて基準データを調整した調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定し、その推定した第2ルールを用いて、前記調整対象の制御パラメータの設定値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を導出するデータ分析装置及びその方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、製造装置の基本機能や製造プロセスについては、予め装置の設計開発段階で、装置を制御するための制御方式や制御パラメータの設計が完了しており、また、装置の出荷前試験や製造プロセス試験設備による実証などにより、具体的な調整のガイドも作成されている。
【0003】
しかし、装置の出荷前試験などで、所望の性能を発揮するレベルへ調整を行った装置であっても、実際の生産ラインへ設置した立上げ段階で、その性能を発揮するために制御パラメータ等の再調整が必要となる場合がある。
【0004】
これは、製造装置の生産段階と装置を実際に稼動させる生産ラインとでは、設置の環境が異なったり、搬送を伴うことに起因する種々のストレスによる変化などがあるためである。
【0005】
例えば、半導体のプロセス装置などの微細なプロセスを対象とする場合、一般的に同じ設計の装置であっても機体差が存在したり、同一機体であっても、上述のような設置環境の違いや材料(材質)の違いなどにより、製造品質に微妙な差異が生じている。
【0006】
これらの微妙な差異の補正は、制御パラメータの調整などで行なわれるが、調整対象となる制御パラメータの数は非常に多く、調整対象の各制御パラメータを個別に振らして挙動を観察しながら調整していくといった試行錯誤的な方法では効率が悪く、調整作業が長期化する原因にもなっている。
【0007】
調整作業の効率化のために、対象装置に固有の知識をもとにした経験則によるパラメータ調整等が行なわれていたりするが、知識が属人的である場合が多く、経験則を持っている対象装置やプロセスに精通した専門家が行なう必要があるなど、実施上の制約があった。
【0008】
また、温度や圧力といったPID制御によるフィードバック制御や、シーケンス制御など、複数の制御対象、制御方式など制御系が混在している場合には、個々の制御毎に調整方法を定めていたのでは効率が悪い。
【0009】
例えば、特許文献1では、ある程度汎用化が施された調整ルールが存在する(与えられる)ことを前提として、制御パラメータの推定過程より判断しながら、推定結果を補正していく技術が開示されている。
【0010】
また、例えば、特許文献2では、既に稼動している装置に対して、制御実績データをもとに決定木分析を用いて自動分類を行い、各分類毎に制御パラメータ値を再計算することで、制御の精度を向上させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開平4−123102号公報
【特許文献2】特開2003−216203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1で開示されている技術では、新規の装置やプロセスなどでは、汎用化された調整ルール自体を得るのに、多くの経験(試行)を要するなどの問題があったり、制御パラメータ数が増加するに従い、複数の制御パラメータ間の交互作用などの可能性もあり、調整ルール自体を人が設定するのが困難な場合がある。
【0012】
また、推定結果の補正の効率が、定性的な所与のルールに依存するため、修正の方向性(パラメータの値をより大きくする等)がわかったとしても、定量的に補正量を与えることができない。よって、適切な補正結果を得るまでに複数回の試行が必要となり、効率的でない。
【0013】
一方、特許文献2で開示されている技術では、精度向上を行う上で重要となる制御実績データを、モデル作成に使用するデータと、その誤差を評価するための同定用データとに分離する必要がある。このため、対象とする制御モデルパラメータの数が多い場合には、相応のデータ件数が必要となり、稼動を開始してからある一定期間を要する。つまり、制御パラメータ値の精度改善効果を発揮するためには、データ蓄積期間が必要であり、装置立上げ期間を短縮するための制御パラメータ調整としては、効率が悪い。
【0014】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、精度の高い制御パラメータの導出を効率的にかつ汎用的に実現することができるデータ分析装置及びその方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明によるデータ分析装置は以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析装置であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報を生成する基準情報生成手段と、
前記基準情報生成手段で生成した基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定し、その推定した第2ルールを用いて、前記調整対象の制御パラメータの設定値を算出する算出手段と
を備えることを特徴とするデータ分析装置。
【0016】
また、好ましくは、前記基準情報生成手段は、
前記基準データに基づいて、前記ルールを導出するルール導出手段と、
前記ルール導出手段で導出されたルールを満足する、前記基準データに含まれる前記制御パラメータの代表値を、前記基準情報として算出する代表値算出手段と
を備える。
【0017】
また、好ましくは、前記算出手段は、
前記基準情報と前記調整過程データとに基づいて、前記第1ルールに類似する前記第2ルールを推定する類似状態推定手段と、
前記第1ルールと前記第2ルールの差異に基づいて、前記調整対象の制御パラメータの補正量を、前記調整対象の制御パラメータの設定値として算出するパラメータ補正量算出手段と
を備える。
【0018】
上記の目的を達成するための本発明によるデータ分析装置は以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するための基準情報を生成するデータ分析装置であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを導出するルール導出手段と、
前記ルール導出手段で導出されたルールを満足する、前記基準データに含まれる前記制御パラメータの代表値を前記基準情報として算出する代表値算出手段と
を備える。
【0019】
上記の目的を達成するための本発明によるデータ分析装置は以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析装置であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて生成される、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定する類似状態推定手段と、
前記第1ルールと前記第2ルールの差異に基づいて、前記調整対象の制御パラメータの補正量を、前記調整対象の制御パラメータの設定値として算出するパラメータ補正量算出手段と
を備える。
【0020】
また、好ましくは、前記基準データは、前記制御パラメータ、前記観測情報及び前記判定情報を少なくとも含み、
前記ルール導出手段は、前記基準データに含まれる制御パラメータ以外の情報を用いて、前記ルールを導出する。
【0021】
また、好ましくは、前記ルール導出手段は、前記ルールを、ノードとリーフで構成された決定木を用いて導出し、その導出結果をルールテーブルとして管理する。
【0022】
また、好ましくは、前記代表値算出手段は、前記ルール導出手段で導出されたルール毎に、そのルールを満足する、前記基準データに含まれる制御パラメータの属性のみを用いて、前記制御パラメータの代表値を、前記基準情報として算出する。
【0023】
また、好ましくは、前記代表値算出手段は、前記制御パラメータをクラスタリング手法により、類似するクラスターに分割し、各クラスターの代表値を、前記制御パラメータの代表値として算出する。
【0024】
また、好ましくは、前記パラメータ補正量算出手段は、前記制御パラメータをN次元のベクトル空間の座標として表現した場合に、調整過程の制御パラメータの設定値を示すベクトルをVnow、類似状態推定手段で推定されたルールを満足する制御パラメータの代表値を示すベクトルをVとすると、次回の試行に使用する制御パラメータの設定値を示すベクトルVnextを
Vnext=2×Vnow−V
で算出する。
【0025】
また、好ましくは、前記基準データ及び前記調整過程データを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記基準データ及び前記調整過程データと、前記基準情報を記憶する記憶手段と
を更に備える。
【0026】
上記の目的を達成するための本発明によるデータ分析方法は以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析方法であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報を生成する基準情報生成工程と、
前記基準情報生成工程で生成した基準情報と、前記装置の環境変化に応前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定し、その推定した第2ルールを用いて、前記調整対象の制御パラメータの設定値を算出する算出工程と
を備える。
【0027】
上記の目的を達成するための本発明によるデータ分析方法は以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するための基準情報を生成するデータ分析方法であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを導出するルール導出工程と、
前記ルール導出工程で導出されたルールを満足する、前記基準データに含まれる前記制御パラメータの代表値を前記基準情報として算出する代表値算出工程と
を備える。
【0028】
上記の目的を達成するための本発明によるデータ分析方法は以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析方法であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて生成される、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定する類似状態推定工程と、
前記第1ルールと前記第2ルールの差異に基づいて、前記調整対象の制御パラメータの補正量を、前記調整対象の制御パラメータの設定値として算出するパラメータ補正量算出工程と
を備える。
【0029】
上記の目的を達成するための本発明によるプログラムは以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析を実現するプログラムであって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報を生成する基準情報生成工程のプログラムコードと、
前記基準情報生成工程で生成した基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定し、その推定した第2ルールを用いて、前記調整対象の制御パラメータの設定値を算出するパラメータ値算出工程のプログラムコードと
を備える。
【0030】
上記の目的を達成するための本発明によるプログラムは以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するための基準情報を生成するデータ分析を実現するプログラムであって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを導出するルール導出工程のプログラムコードと、
前記ルール導出工程で導出されたルールを満足する、前記基準データに含まれる前記制御パラメータの代表値を前記基準情報として算出する代表値算出工程のプログラムコードと
を備える。
【0031】
上記の目的を達成するための本発明によるプログラムは以下の構成を備える。即ち、
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析を実現するプログラムであって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて生成される、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定する類似状態推定工程のプログラムコードと、
前記第1ルールと前記第2ルールの差異に基づいて、前記調整対象の制御パラメータの補正量を、前記調整対象の制御パラメータの設定値として算出するパラメータ補正量算出工程のプログラムコードと
を備える。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、精度の高い制御パラメータの導出を効率的にかつ汎用的に実現することができるデータ分析装置及びその方法、プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
図1Aは本発明の実施形態のデータ分析システムの構成例を示す図である。
【0035】
データ分析装置として機能するパラメータ調整装置(分析用コンピュータ)200は、制御パラメータ調整対象装置である装置101や102、上位コンピュータ(例えば、サーバ)100とネットワーク300を介して相互に接続されている。
【0036】
尚、ここで、装置とは、例えば、半導体のプロセス装置等が挙げられるが、本発明は、予め調整が行なわれた装置や製造プロセスに対して、生産ラインへの設置や、実証設備から量産設備への展開等の環境変化が起こり得る装置全般に適用可能である。
【0037】
パラメータ調整装置200において、データ管理部202は、装置101や102から収集したデータ、制御部203により生成されたデータ等の各種データを管理する。
【0038】
装置101や102からのデータ収集は、例えば、ネットワーク300経由でデータI/F(インタフェース)部201により直接受信する方法がある。あるいは、装置101や102からのデータ収集自体は、上位コンピュータ100で行い、パラメータ調整装置200は、上位コンピュータ100から該当する装置101や102のデータを受信する方法でも良い。また、あるいは、装置101や102とパラメータ調整装置200を直接接続(装置101や102へパラメータ調整装置200を組み込んだ形態)して、該当する装置101や102のデータを受信する方法でも良い。
【0039】
制御部203は、ユーザーI/F部204より、操作指示を受信し、その指示内容に基づいて、基準情報生成部205、パラメータ設定部206及びデータ管理部202に対して制御を行なう。
【0040】
データ管理部202は、基準データ202a、基準情報202b、調整過程データ202c、基準情報生成部205の基準情報生成の過程で使用するデータを一時的に記憶するデータ記憶部202dを有している。
【0041】
ここで、基準データ202aは、装置開発や装置製造時の性能試験等での試行過程で用いられた装置を制御するための制御パラメータや、試行過程で得られた装置における観測情報や、装置の品質や状態等の評価結果を示す判定情報である。
【0042】
また、調整過程データ202cは、装置を生産ラインへ設置する等の環境変化後に、再度調整作業(制御パラメータの再調整)を行う場合に得られる、制御パラメータ、観測情報や判定情報である。
【0043】
基準情報202aと調整過程データ202cとは、制御パラメータの再調整過程において、パラメータ設定値を補正するための補正量を算出するための情報として用いられる。
【0044】
基準情報生成部205は、ルール導出部205a及び代表値算出部205bから構成される。
【0045】
基準情報生成部205において、ルール導出部205aは、基準データ202aに基づいて、制御対象の装置におけるデータ間の関係(ルール)を自動生成(導出)し、これを基準情報(ルール導出結果)202bとしてデータ管理部202に保存する。代表値算出部205bは、基準データ202a及び基準情報202bに基づいて、導出したルールの代表値を算出し、これを基準情報202bとして追記保存する。
【0046】
パラメータ設定部206は、類似状態推定部206a及びパラメータ補正量算出部206bから構成される。
【0047】
パラメータ設定部206において、類似状態推定部206aは、制御パラメータの内、調整対象の制御パラメータと基準情報202bとを比較し、現在の状態と類似の制御パラメータ情報を推定する。パラメータ補正量算出部206bは、類似状態推定部206aの処理結果より、制御パラメータの補正量を算出する。
【0048】
尚、図1Aのデータ分析システムの構成は、一例であり、用途や目的に応じて、種々の構成を採用することができる。例えば、パラメータ調整装置200内の基準情報生成部205及びパラメータ設定部206をそれぞれ別の端末(基準情報生成装置及びパラメータ設定装置)として機能させることも可能である。
【0049】
以下、この場合の構成例について、図1Bを用いて説明する。
【0050】
図1Bは本発明の実施形態のデータ分析システムの別の構成例を示す図である。
【0051】
図1Bにおいて、基準情報生成装置400は、データI/F部401、データ管理部402、制御部403、ユーザI/F部404、基準情報生成部405(ルール導出部405a及び代表値算出部405b)を有し、図1Aの基準情報生成部205の機能を実現する。
【0052】
基準情報生成装置400において、データ管理部402は、データI/F部401から取得した基準データ402a、基準情報生成部405で作成される基準情報402b、及び、基準情報生成の過程で使用するデータの一次記憶用のデータ記憶部402cを管理している。
【0053】
また、パラメータ設定装置500は、データI/F部501、データ管理部502、制御部503、ユーザI/F部504、パラメータ設定部505(類似状態推定部505a及びパラメータ補正量算出部505b)を有し、図1Aのパラメータ設定部206の機能を実現する。
【0054】
パラメータ設定装置500において、データ管理部502は、データI/F部501を介して取得した調整過程データ502a、基準情報生成装置400の基準情報生成部405により作成された基準情報502bを管理している。
【0055】
次に、図1Cを参照して、図1Aのパラメータ調整装置200、図1Bの基準情報生成装置400及びパラメータ設定装置500等の各種端末のハードウェア構成について説明する。
【0056】
図1Cは本発明の実施形態の各端末のハードウェア構成を示す図である。
【0057】
尚、図1Cでは、図1Aのパラメータ調整装置200のハードウェア構成として説明するが、図1Bの基準情報生成装置400及びパラメータ設定装置500についても、同様のハードウェア構成を有しているものとする。
【0058】
1201はCPUであり、RAM1202やROM1203に格納されているプログラムやデータを用いて、端末(コンピュータ)全体の制御を行うとともに、本コンピュータを適用するパラメータ調整装置200が行う後述する各処理を実行する。
【0059】
1202はRAMであり、HDD(ハードディスクドライブ)1204からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶するためのエリアを有するとともに、CPU1201が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0060】
1203はROMであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等の各種プログラムを記憶している。1204はHDD(ハードディスクドライブ)であり、OS(オペレーティングシステム)や、本コンピュータを適用するパラメータ調整装置200が行う後述の処理をCPU1201に実行させるためのプログラムやデータ等の各種データを保存しており、これらは必要に応じてCPU1201の制御によりRAM1202に読み出され実行されることになる。
【0061】
1205はネットワークI/F(インタフェース)であり、コンピュータをネットワーク300に接続するためのものである。コンピュータは、このネットワークI/F1205を介して外部機器とデータ通信を行うことが可能である。
【0062】
1206は記憶媒体ドライブであり、CD−ROM、CD−R/RW、DVD―ROM、DVD−R/RW、DVD−RAM等から構成される。
【0063】
1207はポインティングデバイス、1208はキーボードであり、各種の指示をCPU1201に入力することができる。これらは、入力部(ユーザI/F部)として機能する。
【0064】
1209はビデオI/F(インタフェース)であり、ここにディスプレイ装置1210を接続する。ディスプレイ装置1210はCRTや液晶画面等で構成されており、ビデオI/F1209を介して送られた信号に基づいて、文字や画像等の情報を表示画面上に表示する機能を有する。
【0065】
1211は外部機器I/F(インタフェース)であり、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートである。この外部機器I/F1211を介してコンピュータは、周辺機器とのデータの送受信を行うことが可能であるSCSI、USB、IEEE1394等の各種インタフェースで構成することが可能でおり、通常複数の外部機器I/Fを有する。また、周辺機器との接続形態は有線/無線を問わない。
【0066】
1212はシステムバスであり、上述の各種構成要素を相互に接続するバスとして機能する。
【0067】
次に、図2を参照して、パラメータ調整装置200の処理対象となる調整対象装置の概念について説明する。
【0068】
尚、以下の説明では、パラメータ調整装置200で処理を実行する場合を例に挙げて説明する。
【0069】
図2は本発明の実施形態のパラメータ調整装置の制御パラメータ調整対象装置の概念を説明するための図である。
【0070】
図2(a)は、制御パラメータ調整対象装置(例えば、装置101)が1台の場合の、調整対象装置に対する入出力情報を模式的に示している。
【0071】
図2(a)において、制御パラメータとは、装置への制御指示を与える(入力する)情報であり、この制御パラメータに基づいて、所定の制御方式により処理を行なう。但し、この時、誤差(環境や外乱等の影響)の入力があるため、品質のばらつきが生じる。また、処理中の状態や各種制御量、装置内外部の環境状態等の観測情報については、センサーにより収集され、出力される。更に、処理結果として得られる品質計測・判定情報が出力される。
【0072】
尚、品質計測・判定情報については、制御パラメータ対象装置より出力される場合のほか、後続の工程に設置された不図示の検査装置から出力される情報を用いてもよい。
【0073】
一方、図2(b)は、制御パラメータ調整対象装置が複数台(例えば、装置101及び102)の場合の、個々の制御パラメータ調整対象装置に対する入出力情報を模式的に示している。
【0074】
図2(b)では、図2(a)の場合と同様に、制御パラメータ、誤差、観測情報の入出力がある。また、品質計測・判定情報は、各制御パラメータ調整対象装置毎ではなく、全ての制御パラメータ調整対象装置の処理結果として出力される。
【0075】
尚、この場合においても、品質計測・判定情報については、制御パラメータ対象装置より出力される場合のほか、後続の工程に設置された不図示の検査装置から出力される情報を用いてもよい。
【0076】
次に、図3を参照して、データ管理部202で管理する基準データ202a及び調整過程データ202cの構成例について説明する。
【0077】
図3は本発明の実施形態の基準データ及び調整過程データの構成例を示す図である。
【0078】
図3(a)及び図3(b)はそれぞれ、図2(a)及び図2(b)で得られる入出力情報の構成例を示している。図3(a)及び図3(b)に示す各レコードは、一回の試行(テストラン)を意味しており、属性として、レコードを識別するIDと、必須の属性である制御パラメータ、観測情報、判定情報と、補足情報を記録する操業条件より構成される。
【0079】
ここで、操業条件とは、制御パラメータ調整対象装置を識別する装置IDや、製法(プロセス)区分、材料区分等の製造物の種別に関する属性である。
【0080】
また、観測情報は、装置内外に設置されたセンサー等の検知部により収集される情報で、制御量や、品質に影響を与えると考えられる要因について、直接、間接的に計測を行なったもので、プロセスの実態を現したものである。
【0081】
更に、判定情報は、制御パラメータ調整対象装置、プロセスの挙動や制御量の判定や、処理した製品の品質等を評価した結果である。ここでは、判定情報として、「NG」及び「OK」の状態値を示しているが、数値または複数のカテゴリ値からなるカテゴリ型、あるいはそれらの組み合わせあっても良い。
【0082】
次に、図4を用いて、基準データ及び調整過程データの概念について説明する。
【0083】
図4は本発明の実施形態の基準データ及び調整過程データの概念を説明するための図である。
【0084】
基準データは、装置開発や装置製造時の性能試験などでの試行過程を蓄積したデータである。
【0085】
これに対し、調整過程データは、装置を生産ラインへ設置する等の環境変化後に、再度調整作業(制御パラメータの再調整)を行う際に得られたデータである。
【0086】
これらの2つのデータは、図3で示したように、ほぼ同じ構成でデータを収集する。また、必須属性の制御パラメータ、観測情報、判定情報は、2つのデータで共通とする。
【0087】
ここで、環境変化による影響のために、基準データと調整過程データとで、制御パラメータ値が全く同じであっても、観測情報、判定情報が異なる場合が想定される。これは、制御パラメータによる装置の挙動に微妙な差異が発生しているからである。
【0088】
そこで、本発明では、環境変化後の制御パラメータの再調整局面に於いて、汎用的な調整作業支援装置として、より少ない回数の試行での制御パラメータの再調整作業を提供することを実現する。以下、その詳細について説明する。
【0089】
次に、図5を参照して、パラメータ調整装置200が実行する基準情報生成処理について説明する。
【0090】
図5は本発明の実施形態のパラメータ調整装置が実行する基準情報生成処理を示すフローチャートである。
【0091】
尚、基準情報生成処理は、基準情報生成部200のルール導出部205a及び代表値算出部205bを実現するプログラムの制御の下、パラメータ調整装置200のCPU1201によって実行される。
【0092】
図4で説明したように、パラメータ調整装置200は、まず、ステップS101で、装置開発や装置製造時の性能試験の制御パラメータの調整過程データ(図4に示す制御パラメータ調整<初回>)を基準データとしてデータ管理部202に蓄積する。次に、ステップS102で、ルール導出部205aは、この基準データに基づいて、観測情報と判定情報の間にある関係(ルール)の自動導出を実行する。そして、ステップS103で、代表値算出部205bは、導出された各ルールに対応する代表値の算出を実行する。
【0093】
<ルールの導出方法>
次に、ステップS102のルールの導出方法の詳細について説明する。
【0094】
基準データに含まれる観測情報と判定情報に着目し、両者の関係(ルール)を推測することを考える。観測情報と判定情報を用いるのは、これらは、環境変化があった場合であっても、客観的な共通尺度を持つと見なすことができるからである。また、当然であるが、観測情報や判定情報は、元来客観的な評価が可能となるように設計・実装されるべきものである。
【0095】
尚、ルール導出にあたり、制御パラメータは用いない。これは、制御パラメータには客観的な評価尺度がないためである。
【0096】
本実施形態のルール導出は、一般的に、決定木分析、回帰木分析等と呼ばれているデータマイニング手法の一つを用いて行う。これらの手法では、従属変数の値の違いについて、多数の説明変数群の中より自動的に学習(機械学習)を行い、最終的にツリー状に分類を行うことができる。また、分類結果は、IF THENルールとして表すことができる。
【0097】
尚、決定木分析、回帰木分析の違いは、一般的に従属変数がカテゴリの場合には決定木分析、従属変数が連続値の場合は、回帰木分析と呼ばれている。以下、これらを総称して決定木と呼ぶこととする。
【0098】
また、決定木・回帰木に関する参考文献としては、以下のものがある。
【0099】
L.Breiman, J.H.Friedman, R.A.Olshen and C.J.Stone (1984)
「Classification and Regression Tree」 Wadsworth
J.R.Quinlan (1993)
「C4.5: Programs for Machine Learning」 Morgan Kaufmann
【0100】
本発明においては、判定情報より従属変数を、観測情報より説明変数を割り当て、判定情報の状態の違いを、観測情報の条件として表したIF THENルールとして説明(分類)する。また、決定木分析・回帰木分析については、多くの手法が提唱されているが、本発明においては、手法を特定するものではなく、IF THENルールの形式で、基準データと調整過程データの2つの間の関係を導出するものであれば、どのようなものでも良い。
【0101】
ここで、ルール導出に用いる説明変数である観測情報について補足説明を行う。
【0102】
観測情報は、個々の制御対象の制御量や、装置内外の環境のモニター等、対象プロセスや装置動作に関連すると考えられるものを用いるとよい。センサーによるセンサー情報は、時系列データとして記録されている場合が多いが、この場合には、決定木分析が可能な形態へ変換すれば良い。例えば、本出願人による特願2003−108186に記載の技術を用いて、決定木分析可能な形態に変換する等が考えられる。
【0103】
本発明においては、導出したルールの精度が重要であるが、上述のセンサー情報の活用などにより、より多くの情報を用いることで、ルールの精度を高めることができる。また、結果として説明変数の数が増大することになるが、所謂データマイニング手法を適用し、対処することは可能である。
【0104】
次に、図6を用いて、決定木分析の一例について説明する。
【0105】
図6は本発明の実施形態の決定木分析の一例を示す図である。
【0106】
図6は、決定木分析結果の一例を示している。決定木は木構造を持っており、分岐条件を有するノードと、決定木の末端の一つとなるリーフとが、両者を結んだ線で構成される。決定木の1番上のノードは、全体のデータ集合を示すルートノードであり、そのルートノードに対して、複数のノード(子ノード)あるいはリーフが存在することになる。
【0107】
そして、決定木分析においては、ルートノードから、以下、各子ノードにおける分岐条件に基づいて分岐し、以下、条件を満足する子ノードに分岐しながら、最終的に決定木中の端点であるリーフに到達する。
【0108】
全体のデータ集合(ルートノード)よりリーフに含まれているデータ集合を抽出する条件は、リーフからルートノードへ至る過程にあるノードの分岐条件を全てANDで結合したIF THEN型のルールとして表すことができる。
【0109】
次に、図7を参照して、ルール導出結果を格納するルールテーブルについて説明する。
【0110】
図7は本発明の実施形態のルールテーブルの一例を示す図である。
【0111】
ルールテーブルは、ルール導出結果を管理するものであり、決定木におけるノード(ルートノードあるいは子ノード)を識別するID、自身の上位のノード(親ノード)を識別するID、分岐の条件、そのノードを識別するためのルール(ノード識別ルール)、及び、判定情報(OK/NG)、リーフであるかを示す識別情報(リーフフラグ:Y(有)/N(無))等で構成される。ここで、リーフフラグが「N」の場合は、リーフでない、つまり、ノードであることを示す。
【0112】
判定情報は、従属変数の判別結果と、必要に応じて補足情報として、判別結果の確信度や、そのノードに含まれているデータ件数などのルールの判別状態を表す情報を構成しても良い。これらの補足的な情報については、ルール選択時の評価指標として活用することができる。
【0113】
<ルールの代表値算出方法>
次に、ステップS103の各ルールの代表値算出の詳細について説明する。
【0114】
各ルールの代表値算出を行う目的は、各ルールに対応する制御パラメータの基準となる設定値を定めることである。導出されたルールは、観測情報と判定情報との関係を表しているので、このルールに対応する制御パラメータの基準となる設定値を定めることとは、ある観測状態と判定結果を得る時の装置への制御指示値を算出することを意味する。このときの制御指示値のことを、ルールの代表値と呼ぶことにする。
【0115】
まず、基準データより、ルールに含まれるレコード(ルールテーブルのノード識別ルールを満たすレコード)を抽出する。抽出したM件のレコードに含まれている制御パラメータを以下、対象とする。
【0116】
説明を簡単にするために、制御パラメータは全て連続型の変数とした場合、N個の制御パラメータは、N次元のベクトル空間(制御パラメータ空間)上の座標として表現することができる。
【0117】
制御パラメータベクトルS=(s1,s2,・・・,sN)
尚、制御パラメータがカテゴリ型の場合には、統計解析分野で一般的に行なわれている、ダミー変数を導入する等により、容易に連続型の変数に変換することができる。
【0118】
次に、対象とするM件のレコードに含まれている制御パラメータの集合より、代表値とする制御パラメータ値セットを算出する。代表値を算出する理由は、種々の誤差(特に、偶然誤差)によるばらつきのために、再現性が低いと考えられる制御パラメータ値セットの影響を極力排除することにある。
【0119】
ここで、代表値の算出方法としては、以下の3つの方法が考えられる。
【0120】
<方法1:組合せ列挙>
<方法2:平均値化>
<方法3:クラスタリング>
方法1は、対象データに含まれている制御パラメータ値の全ての組合せを列挙し、ある発生頻度以上のものを代表値(代表として選出した制御パラメータ値セットの集合)とする方法である。
【0121】
方法2は、対象データに含まれている各制御パラメータ値毎に平均値、または、中央値、最頻値を代表値とする方法である。
【0122】
方法3は、対象データに含まれている制御パラメータ値について、クラスタリングを行い、k個の類似したグループに分割したあとで、k個の各クラスターに対して、各制御パラメータ値ごとに平均値、または、中央値、最頻値を代表として集約し、k個の代表値を選出する方法である。
【0123】
これら3つの方法の使い分けについて説明する。
【0124】
本発明の一つの特徴は、制御パラメータの数が数十、数百のように多い場合にも好適な技術を提供することにある。この観点より、方法1は、パラメータ数が多数の場合、非常に多くの代表値を選出する可能性が高く、後述する「類似状態推定処理」での推定処理結果が不安定となりやすいので、少数の制御パラメータの場合にのみ使用するのが良い。
【0125】
方法2は、各制御パラメータ毎に代表値を決めてしまうために、例えば、複数のパラメータの組合せにより同様な関係(観測状態と判定結果)を得ることができるような場合には、考慮することができないといった問題が起こる。
【0126】
ここで、図8を参照して、この問題についての具体例を説明する。
【0127】
図8は本発明の実施形態の代表値の算出方法として、平均値化を用いた場合の具体例を説明する図である。
【0128】
図8では、制御パラメータ(S1及びS2)が2つの場合の例を示している。同様な観測状態と判定結果を与える2つの制御パラメータ値がP1、P2のように大きく異なっている場合、それらを平均化した場合の制御パラメータ値を代表値とした場合、同様の結果を示さない可能性が高い。
【0129】
この問題は、制御パラメータの数が増加するほど発生する可能性が高くなる。
【0130】
方法3は、上述の制御パラメータの平均化による悪影響をより小さくするために、制御パラメータ値の組合せが類似したものに分割を行なうものである。制御パラメータのN次元空間において、距離が遠く離れているものは異なるクラスターに分割される。従って、方法2に比べ、制御パラメータ値の組合せ要因についても考慮されることとなる。パラメータ数が増加した場合へも容易に対応することが可能である。
【0131】
尚、クラスタリングについては、統計学、パターン認識、データマイニング等の分野で用いられており、本発明で対象としている、N次元空間上のデータをk個に分割する課題については、例えば、k−means法などの一般的に良く知られたクラスタリング手法で構成することが可能である。
【0132】
クラスタリングを行なう上で、類似度合いを評価する尺度である距離については、一般的なユークリッド距離を用いることとする。
【0133】
N次元空間上の2点A(a1,a2,・・・,aN),B(b1,b2,・・・,bN)のユークリッド距離D
【0134】
【数1】

【0135】
各制御パラメータの単位が異なり、値域が各パラメータで大きな差異がある場合には、絶対値が大きく変動しているものの影響が強く現れ、重要な制御パラメータの変化を見逃してしまう可能性が考えられる。
【0136】
このような場合には、各制御パラメータの値を、夫々の分散が1になるように調整を行なう標準化ユークリッド距離を用いても良い。
【0137】
また、各クラスターを表す代表情報としては、クラスターの重心(セントロイド)や、メジアンなどを用いて行なう。
【0138】
そこで、本実施形態では、代表値の算出方法として、多数の制御パラメータを想定したクラスタリングを用いる方法3を用いる。
【0139】
本実施形態では、図9Aに示すように、ノードに属するデータを対象に、制御パラメータ空間内の代表値を決定する。そして、各ノード毎に決定された代表値と制御パラメータは、代表値テーブル(図9B)に登録されることになる。
【0140】
次に、図10を用いて、パラメータ調整装置200が実行する、環境変化後の制御パラメータの調整処理の概要について説明する。
【0141】
図10は本発明の実施形態のパラメータ調整装置が実行する制御パラメータの調整処理を示すフローチャートである。
【0142】
尚、調整処理は、パラメータ設定部206の類似状態推定部206a及びパラメータ補正量算出部206bを実現するプログラムの制御の下、パラメータ調整装置200のCPU1201によって実行される。
【0143】
最初に、ステップS201で、現在調整過程の調整過程データを抽出する。ここで、抽出対象の調整過程データは、通常、最新の試行(テストラン)では1件であるが、再現性の確認のための誤差評価のために同一条件で複数回実施した場合には、複数件を抽出対象としても良い。但し、設定条件が異なるケースの混在は行なわない。つまり、全ての制御パラメータ値は同一で、他の操業条件についても同一である。抽出されたレコードを、以下、調整対象レコードと呼ぶこととする。
【0144】
次に、ステップS202で、類似状態推定部206aは、類似状態推定処理を実行する。
【0145】
類似状態推定処理は、調整対象レコードの観測情報と判定情報と、基準データより作成したルールテーブルの中より類似したノード(即ち、ルール)を推定することで行なう。ここで、類似状態とは、観測情報と判定情報の関係が類似したものを意味している。
【0146】
つまり、制御パラメータの設定値にかかわらず、観測情報と判定情報の関係が、基準データと調整対象レコードで最も類似したノードのノード代表値を選出する。
【0147】
そして、この選出したノードと、そのノード代表値と、その時の類似度(パラメータ空間距離)を類似状態推定テーブル(図11)に登録する。
【0148】
このノード代表値と調整対象レコードは、装置の処理としては、ほぼ同等の性能を発揮する状態にあると見なすことができる。そのため、ステップS203で、パラメータ補正量算出部206bは、両者の制御パラメータ値の差異を、環境変化要因によるずれと見なし、制御パラメータ補正量算出を実行する。
【0149】
次に、図12を参照して、図10の制御パラメータの調整処理の詳細について説明する。
【0150】
図12は本発明の実施形態のパラメータ調整装置が実行する制御パラメータの調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【0151】
尚、図12において、図10の処理と共通の処理は、同一のステップ番号を付加している。また、図12では、特に、図10のステップS202の類似状態推定処理の詳細を示すものであり、特に、ステップS302〜ステップS308の処理が、図10のステップS202に対応する。
【0152】
まず、ステップS201で、調整過程データより、上述のように調整対象レコードを抽出する。
【0153】
次に、ステップS302で、抽出した各調整対象レコードについて、基準情報のルールテーブルを用いて、各調整対象レコードが属するリーフ番号を取得する。リーフ番号の取得は、リーフフラグが「Y」のものの中で、ノード識別ルールを満たすもので特定することができる。
【0154】
次に、ステップS303で、リーフ番号の有無に基づいて、調整対象レコードが属するリーフの有無を判定する。リーフがない場合(ステップS303でNO)、処理を終了する。この場合は、基準データ、即ち、事前の調整段階で想定していない異常状態にあると考えられるため、装置の異常状態の原因究明を行なうことになる。
【0155】
一方、リーフがある場合(ステップS303でYES)、ステップS304で、調整対象レコードが属するリーフノードから、その上位の全てのノード(決定木の木構造上でリーフよりルートノードへ遡る)に対して、各ノードにおける調整対象レコードが含まれている件数を表す集計値、及び、代表値テーブルより、該当するノードの全ての代表値との制御パラメータ距離についての情報として、標準偏差、または、最小値と最大値、分位点等の制御パラメータ距離の分布に関する情報を算出し、その算出結果をノード候補リスト(図13A)へ格納する。
【0156】
ここで、集計値は、件数を用いず、件数を調整対象レコード数で割った出現比率(0〜1)で表しても良い。以下、レコードの件数を集計値として説明する。
【0157】
次に、ステップS305で、ノード候補リストより、ノード(代表値)を一つ選択する。ノードは、以下説明するように自動選択が可能であるが、対話的にユーザーに選択させても良い。
【0158】
ここで、図13Aを参照して、ノード候補リストの一例について説明する。
【0159】
図13Aは本発明の実施形態のノード候補リストの一例を示す図である。
【0160】
ノード候補リストでは、ノードID、リーフフラグの値(Y/N)、集計値、代表値群との距離情報(距離の標準偏差)、調整対象レコードの試行した実際の判定結果である試行判定(NG/OK)、ルールテーブルより抽出したルール判定情報(NG/OK)、確信度等を格納している。また、図13Bは、図13Aのノード候補リストに対する具体的な試行例(4回の試行)を示すものである。また、ノードを自動選択する場合には、以下の処理を実行する。
【0161】
<ノードの自動選択方法>
以下の優先順位で探索を行い、条件を満たすものがあれば、その時点で決定する。
【0162】
ステップ1
リーフ属性=Y
集計値の最大値が1の場合:ステップ2へ
集計値最大のものを選択
複数ある場合:代表値群との距離情報が最小のものを選択
【0163】
ステップ2
リーフ属性=N AND 集計値>1
集計値閾値K=2
For K=2 to 集計値の最大値
複数ある場合:代表値群との距離情報が最小のものを選択
反復終了
【0164】
ステップ3
リーフ属性=N AND 集計値の最大値=1
複数ある場合:代表値群との距離情報が最小のものを選択
以上の処理によって、ノード候補リストからノードが1つ選択される。
【0165】
そして、以上の処理によって選択されたノードに対し、ステップS307で、代表値テーブルを参照して、対応するノード代表値群からノード代表値を1つ選択する。
【0166】
次に、ステップS308で、選択したノード代表値に対応する制御パラメータが妥当であるか否かを判定する。この妥当性の判定は、例えば、制御パラメータ値に対する閾値処理を実行することで行う。例えば、制御パラメータ値が閾値以上である場合は妥当と判定し、そうでない場合は妥当でないと判定する。
【0167】
制御パラメータが妥当でない場合(ステップS308でNO)、ステップS307に戻る。一方、制御パラメータが妥当である場合(ステップS308でYES)、ステップS203に進み、選択された妥当な制御パラメータに対して、制御パラメータ補正量算出を実行する。ここで、制御パラメータ補正量算出を実行するに当たり、N個の制御パラメータによるN次元ベクトル空間上で以下を定義する。
【0168】
V1 :選択された妥当な制御パラメータの座標ベクトル
ΔV :補正ベクトル
Vnow :調整対象レコードの制御パラメータ値
Vnext :次回制御パラメータの推奨値
ΔV=Vnow−V1
Vnext=Vnow+ΔV=2×Vnow−V1
【0169】
制御パラメータの補正ベクトルΔV(制御パラメータ補正量)は、当初の意図する判定結果となるVnowでテストランを実施したが、環境変化による差異のために、異なる判定結果となった場合の、当初の意図からの制御パラメータのずれ量を意味している。このため、ΔVだけ補正を施した制御パラメータ値Vnextにより、次回のテストランを行い、当初の意図する判定結果を得ることができるかを判定する。そして、上記処理(テストラン)を当初の意図する結果を得ることができるまで繰り返すこととなる。
【0170】
ここで、図14を参照して、制御パラメータの補正ベクトルΔVの算出の具体例について説明する。
【0171】
図14は本発明の実施形態の制御パラメータの補正ベクトルの算出の具体例を説明するための図である。
【0172】
図14では、2次元の場合の制御パラメータ補正ベクトルの算出の例を示している。
【0173】
図14において、Vnowは調整対象レコードの制御パラメータ値であり、基準データが属する制御パラメータ空間上の領域C3内のOKとなるべく、制御指示を与えたが、テストランの結果、狙いに反してNGとなった場合を示している。領域C2は、説明上図示した仮想の領域で、Vnowは判定結果がNGとなるような領域C2に属していると考えられる。
【0174】
一方、V1は、選択された妥当な制御パラメータ値であり、判定情報がNGとなるノードに属するクラスタC1の代表値である。VnowとV1は、制御パラメータ値は異なっているが、類似した観測情報と判定情報をもつものであり、装置、または、プロセスが同様の状態にあると判断したものを意味している。
【0175】
そして、VnowとV1両者の差異を表すベクトルが補正ベクトルΔVである。つまり、ΔVは、本来OKとなる領域C3を狙ったが、環境変化の影響により、ΔVだけずれが生じ、V1になったと考えられる。
【0176】
そこで、ΔVだけ補正を施し、OKとなる調整過程データが属する制御パラメータ空間上の仮想の領域C4内となるよう、Vnextを次回のテストランの制御パラメータとする。
【0177】
以上、理解を容易にするために、2次元の場合で説明を行なったが、実際には、N個の制御パラメータで構成されるN次元空間において比較を行なう。
【0178】
尚、上述のステップS305で、ノードを選択する際に、代表値群との距離情報が最小のノードを選択する理由は、本発明の対象とする課題が、一度調整がなされた装置やプロセスであるので、大きく制御パラメータを修正しないといけない状況は、装置の異常、または、制御モデルの設計上の問題(環境変化要因のコントロール機能不足)が濃厚であるからである。そのため、装置が正常であれば、環境変化による微妙な制御パラメータの差異を求めるのであり、類似状態推定の目的からも、制御パラメータ距離が近いものを選択するのが自然であるからである。
【0179】
以上説明したように、本実施形態によれば、装置や製造プロセスの制御パラメータの調整時に、正常な結果を得るための制御パラメータの補正量を算出し、これを次回の試行時の設定値として決定することで、判定結果が正常となる制御パラメータの設定値を得るまでの試行回数の削減、調整時間の短縮を行なうことができる。
【0180】
調整対象とする装置、製造プロセスについて、制御方式、制御モデルに依存しない汎用的な調整方法・装置を提供することで、個別に調整方法を開発するより、効率的に調整作業を行なうことができる。
【0181】
また、予め実施しておいた調整過程データをもとに自動学習により獲得したルールを活用することで、環境変化後の調整過程において、2回目の試行時より活用することが可能である。このため、従来の一般的な統計解析やデータマイニングのように、相当量のデータ蓄積を前提にする手法に比べて、早い段階より効果を発揮することができる。
【0182】
また、本発明の適用局面を検討すると、以下のものが挙げられる。
【0183】
(第一の適用局面)
装置の製造段階における調整過程を基準データとし、製造ラインへの装置設置後の調整作業に適用することで、調整作業の効率化を図り、立上げ期間の短縮へ貢献することができる。
【0184】
(第ニの適用局面)
環境変化の一つである装置の経時変化要因による制御パラメータ調整について、装置の製造段階における調整過程を基準データとし、操業段階のデータを調整過程データとすることで、調整作業の効率化を図ることができる。
【0185】
また、操業段階のデータ量が十分にある場合には、操業が安定した期間の調整過程データを基準データとすることで、より精度の高い、経時変化要因への対応が可能となる。
(第三の適用局面)
【0186】
実験用装置、または、プロセス開発用ラインにおける調整過程データを基準データとして、量産ライン用の装置製造、または、量産プロセスライン立上げ時の調整作業に適用することで、調整作業の効率化を図ることができる。
【0187】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0188】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0189】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0190】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0191】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0192】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0193】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0194】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0195】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1A】本発明の実施形態のデータ分析システムの構成例を示す図である。
【図1B】本発明の実施形態のデータ分析システムの別の構成例を示す図である。
【図1C】本発明の実施形態の端末のハードウェア構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態のパラメータ調整装置の調整対象装置の概念を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態の基準データ及び調整過程データの構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態の基準データ及び調整過程データの概念を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態のパラメータ調整装置が実行する基準情報生成処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態の決定木分析の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態のルールテーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態の代表値の算出方法として、平均値化を用いた場合の具体例を説明する図である。
【図9A】本発明の実施形態の制御パラメータの代表値の決定を設定するための図である。
【図9B】本発明の実施形態の代表値テーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態のパラメータ調整装置が実行する制御パラメータの調整処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態の類似状態推定テーブルの一例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態のパラメータ調整装置が実行する制御パラメータの調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13A】本発明の実施形態のノード候補リストの一例を示す図である。
【図13B】本発明の実施形態のノード候補リストの生成を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態の制御パラメータの補正ベクトルの算出の具体例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0197】
100 上位コンピュータ
101、102 装置
200 パラメータ調整装置
201 データI/F部
202 データ管理部
202a 基準データ
202b 基準情報
202c 調整過程データ
202d データ記憶部
203 制御部
204 ユーザI/F部
205 基準情報生成部
205a ルール導出部
205b 代表値算出部
206 パラメータ設定部
206a 類似状態推定部
206b パラメータ補正量算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析装置であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報を生成する基準情報生成手段と、
前記基準情報生成手段で生成した基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定し、その推定した第2ルールを用いて、前記調整対象の制御パラメータの設定値を算出する算出手段と
を備えることを特徴とするデータ分析装置。
【請求項2】
前記基準情報生成手段は、
前記基準データに基づいて、前記ルールを導出するルール導出手段と、
前記ルール導出手段で導出されたルールを満足する、前記基準データに含まれる前記制御パラメータの代表値を、前記基準情報として算出する代表値算出手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ分析装置。
【請求項3】
前記算出手段は、
前記基準情報と前記調整過程データとに基づいて、前記第1ルールに類似する前記第2ルールを推定する類似状態推定手段と、
前記第1ルールと前記第2ルールの差異に基づいて、前記調整対象の制御パラメータの補正量を、前記調整対象の制御パラメータの設定値として算出するパラメータ補正量算出手段と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のデータ分析装置。
【請求項4】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するための基準情報を生成するデータ分析装置であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを導出するルール導出手段と、
前記ルール導出手段で導出されたルールを満足する、前記基準データに含まれる前記制御パラメータの代表値を前記基準情報として算出する代表値算出手段と
を備えることを特徴とするデータ分析装置。
【請求項5】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析装置であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて生成される、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定する類似状態推定手段と、
前記第1ルールと前記第2ルールの差異に基づいて、前記調整対象の制御パラメータの補正量を、前記調整対象の制御パラメータの設定値として算出するパラメータ補正量算出手段と
を備えることを特徴とするデータ分析装置。
【請求項6】
前記基準データは、前記制御パラメータ、前記観測情報及び前記判定情報を少なくとも含み、
前記ルール導出手段は、前記基準データに含まれる制御パラメータ以外の情報を用いて、前記ルールを導出する
ことを特徴とする請求項2または4に記載のデータ分析装置。
【請求項7】
前記ルール導出手段は、前記ルールを、ノードとリーフで構成された決定木を用いて導出し、その導出結果をルールテーブルとして管理する
ことを特徴とする請求項2、4または6のいずれか1項に記載のデータ分析装置。
【請求項8】
前記代表値算出手段は、前記ルール導出手段で導出されたルール毎に、そのルールを満足する、前記基準データに含まれる制御パラメータの属性のみを用いて、前記制御パラメータの代表値を、前記基準情報として算出する
ことを特徴とする請求項2、4、6または7のいずれか1項に記載のデータ分析装置。
【請求項9】
前記代表値算出手段は、前記制御パラメータをクラスタリング手法により、類似するクラスターに分割し、各クラスターの代表値を、前記制御パラメータの代表値として算出する
ことを特徴とする請求項2、4、6乃至8のいずれか1項に記載のデータ分析装置。
【請求項10】
前記パラメータ補正量算出手段は、前記制御パラメータをN次元のベクトル空間の座標として表現した場合に、調整過程の制御パラメータの設定値を示すベクトルをVnow、類似状態推定手段で推定されたルールを満足する制御パラメータの代表値を示すベクトルをVとすると、次回の試行に使用する制御パラメータの設定値を示すベクトルVnextを
Vnext=2×Vnow−V
で算出する
ことを特徴とする請求項3または5に記載のデータ分析装置。
【請求項11】
前記基準データ及び前記調整過程データを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記基準データ及び前記調整過程データと、前記基準情報を記憶する記憶手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ分析装置。
【請求項12】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析方法であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報を生成する基準情報生成工程と、
前記基準情報生成工程で生成した基準情報と、前記装置の環境変化に応前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定し、その推定した第2ルールを用いて、前記調整対象の制御パラメータの設定値を算出する算出工程と
を備えることを特徴とするデータ分析方法。
【請求項13】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するための基準情報を生成するデータ分析方法であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを導出するルール導出工程と、
前記ルール導出工程で導出されたルールを満足する、前記基準データに含まれる前記制御パラメータの代表値を前記基準情報として算出する代表値算出工程と
を備えることを特徴とするデータ分析方法。
【請求項14】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析方法であって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて生成される、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定する類似状態推定工程と、
前記第1ルールと前記第2ルールの差異に基づいて、前記調整対象の制御パラメータの補正量を、前記調整対象の制御パラメータの設定値として算出するパラメータ補正量算出工程と
を備えることを特徴とするデータ分析方法。
【請求項15】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析を実現するプログラムであって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報を生成する基準情報生成工程のプログラムコードと、
前記基準情報生成工程で生成した基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定し、その推定した第2ルールを用いて、前記調整対象の制御パラメータの設定値を算出するパラメータ値算出工程のプログラムコードと
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するための基準情報を生成するデータ分析を実現するプログラムであって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを導出するルール導出工程のプログラムコードと、
前記ルール導出工程で導出されたルールを満足する、前記基準データに含まれる前記制御パラメータの代表値を前記基準情報として算出する代表値算出工程のプログラムコードと
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
装置を制御するための制御パラメータの設定値を調整して、より適切な設定値を設定するためのデータ分析を実現するプログラムであって、
前記装置の制御パラメータを調整するための基準となる基準データに基づいて生成される、該装置に関する観測情報及び判定情報間の関係を示すルールを満足する、前記設定値を設定するための基準情報と、前記装置の環境変化に応じて前記装置の制御パラメータを調整した履歴である調整過程データとに基づいて、調整対象の制御パラメータに対応する第1ルールに類似する第2ルールを推定する類似状態推定工程のプログラムコードと、
前記第1ルールと前記第2ルールの差異に基づいて、前記調整対象の制御パラメータの補正量を、前記調整対象の制御パラメータの設定値として算出するパラメータ補正量算出工程のプログラムコードと
を備えることを特徴とするプログラム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−91937(P2006−91937A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270048(P2004−270048)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(592135203)キヤノンシステムソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】