説明

データ収集システムおよび無線タグ

【課題】無線タグにおける消費電力を低減しつつ、複数の無線タグとデータ収集装置との間の通信の相互の衝突を防止することができるデータ収集システムおよび無線タグを提供すること。
【解決手段】データ収集システムは、複数の無線タグ1と、複数の無線タグ1との間で時分割多重無線通信を行うデータ収集装置2とを備え、データ収集装置2は、ゲートまたはその近傍に設けられ、無線タグ1に対し、LF帯の信号を送信する収集装置側送信手段と、無線タグ1から送信され、LF帯よりも高い周波数帯の信号を受信する収集装置側受信手段と、時刻情報生成手段と、タイムスロット番号情報生成手段とを備え、無線タグ1は、データ収集装置2に対し、LF帯よりも高い周波数帯の信号を送信するタグ側送信手段と、データ収集装置2から送信されたLF帯の信号を受信するタグ側受信手段と、計時手段と、記憶手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集システムおよび無線タグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のクライアント側無線送信機と1台のホスト側無線通信機との間で無線通信を行う場合は、各クライアント側無線送信機とホスト側無線通信機との間の通信の相互の衝突(混信)を防止する必要がある。
この通信の衝突を防止するシステムとして、特許文献1には、各クライアント側無線通信機において、それぞれ、ランダムに送信のタイミングを決定することで、各クライアント側無線通信機とホスト側無線通信機との間の通信の相互の衝突を回避するデータ収集システムが開示されている。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたデータ収集システムでは、通信の衝突を抑制することはできるが、各無線通信機においてランダムに決定された送信のタイミングが一致する場合もあるので、通信の衝突を完全に回避することはできない。
なお、通信方式として時分割多重通信を採用すれば、各クライアント側無線送信機とホスト側無線通信機との間の通信の相互の衝突を防止することができるが、消費電力が高いという欠点がある。特に、クライアント側無線送信機として、電池が内蔵された無線タグを用いる場合は、その無線タグでの消費電力が高いと、電池の消耗が激しく、長持ちしないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4284513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、無線タグにおける消費電力を低減しつつ、複数の無線タグとデータ収集装置との間の通信の相互の衝突を防止することができるデータ収集システムおよび無線タグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明のデータ収集システムは、複数の無線タグと、前記複数の無線タグとの間で時分割多重無線通信を行うデータ収集装置とを備え、
前記データ収集装置は、ゲートまたは前記ゲートの近傍に設けられ、前記無線タグに対し、LF帯の信号を送信する収集装置側送信手段と、
前記無線タグから送信されたLF帯よりも高い周波数帯の信号を受信する収集装置側受信手段と、
時刻を示す時刻情報を生成する時刻情報生成手段と、
前記無線タグから前記データ収集装置に対して送信が可能な時間帯を表すタイムスロット番号を示すタイムスロット番号情報を生成するタイムスロット番号情報生成手段とを備え、
前記無線タグは、前記データ収集装置に対し、LF帯よりも高い周波数帯の信号を送信するタグ側送信手段と、
前記データ収集装置から送信されたLF帯の信号を受信するタグ側受信手段と、
計時を行う計時手段と、
情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記データ収集装置は、前記収集装置側送信手段により、前記無線タグが前記ゲートを通過する際、該無線タグに対し、前記タイムスロット番号情報と、現在の時刻を示す時刻情報とを送信し、
前記無線タグは、前記タグ側受信手段により、前記タイムスロット番号情報と、前記時刻情報とを受信し、前記記憶手段に前記タイムスロット番号情報を記憶し、前記時刻情報に基づいて前記計時手段の計時情報を補正して該計時手段により計時を行い、前記タイムスロット番号に対応する時間帯に、前記タグ側送信手段により、前記データ収集装置に対して送信を行うよう構成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、複数の無線タグとデータ収集装置との間で時分割多重無線通信(時分割多重通信)を行うので、各無線タグとデータ収集装置との間の通信の相互の衝突を防止することができる。
また、LF帯での通信では、受信の際の消費電力は低く、無線タグでは、受信側にLF帯での通信(LF通信)を用い、送信側にLF帯よりも高い周波数帯での通信を用いるので、無線タグの消費電力を低減することができ、内蔵(搭載)される電池等の電源部を長持ちさせることができる。
【0008】
[適用例2]
本発明のデータ収集システムでは、前記記憶手段には、前記無線タグのID情報が記憶されており、
前記無線タグは、前記タイムスロット番号に対応する時間帯に、前記タグ側送信手段により、前記データ収集装置に対して、前記ID情報を送信するよう構成されていることが好ましい。
これにより、オフィス管理等の管理を行うことができる。
【0009】
[適用例3]
本発明のデータ収集システムでは、前記無線タグは、物理量を検出するセンサーを有しており、
前記無線タグは、前記タイムスロット番号に対応する時間帯に、前記タグ側送信手段により、前記データ収集装置に対して、前記ID情報とともに、前記センサーの検出結果を送信するよう構成されていることが好ましい。
これにより、データ収集システムの応用の幅が広がる。
【0010】
[適用例4]
本発明のデータ収集システムでは、前記データ収集装置が管理し、前記ゲートを介して出入りし得る管理領域が設定されており、
前記データ収集装置は、前記無線タグが前記管理領域内に位置するか否かを判別する判別手段を有することが好ましい。
これにより、オフィス管理等の管理をより確実に行うことができる。
【0011】
[適用例5]
本発明のデータ収集システムでは、前記データ収集装置が管理し、前記ゲートを介して出入りし得る管理領域が設定されており、
前記ゲートは、前記管理領域側に位置する内側ゲート部と、前記内側ゲート部の前記管理領域と反対側に位置する外側ゲート部とを有し、
前記収集装置側送信手段は、前記内側ゲート部または前記内側ゲート部の近傍に設けられた第1の送信部と、前記外側ゲート部または前記外側ゲート部の近傍に設けられた第2の送信部とを有し、
前記収集装置側受信手段は、前記内側ゲート部または前記内側ゲート部の近傍に設けられた第1の受信部と、前記外側ゲート部または前記外側ゲート部の近傍に設けられた第2の受信部とを有し、
前記データ収集装置は、前記無線タグが前記ゲートを通過する際、前記収集装置側受信手段により受信した情報に基づいて、前記タグの移動方向を判別する移動方向判別手段を有することが好ましい。
これにより、オフィス管理等の管理をより確実に行うことができる。
【0012】
[適用例6]
本発明のデータ収集システムでは、前記データ収集装置が管理し、前記LF帯よりも高い周波数帯の信号が互いに干渉しない程度に離間した第1の管理領域と、第2の管理領域とが設定されており、
前記第1の管理領域内に位置する前記無線タグと、第2の管理領域内に位置する前記無線タグとで、前記タイムスロット番号を重複して設定するよう構成されていることが好ましい。
これにより、タイムスロット番号を有効に活用することできる。
【0013】
[適用例7]
本発明の無線タグは、データ収集装置との間で時分割多重無線通信を行うものであり、
前記データ収集装置に対し、LF帯よりも高い周波数帯の信号を送信するタグ側送信手段と、
前記データ収集装置から送信されたLF帯の信号を受信するタグ側受信手段と、
計時を行う計時手段と、
情報を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
これにより、複数の無線タグとデータ収集装置との間で時分割多重無線通信(時分割多重通信)を行うことにより、各無線タグとデータ収集装置との間の通信の相互の衝突を防止することができる。
また、受信側にLF帯での通信(LF通信)を用い、送信側にLF帯よりも高い周波数帯での通信を用いるので、無線タグの消費電力を低減することができ、内蔵(搭載)される電池等の電源部を長持ちさせることができる。
【0015】
[適用例8]
本発明の無線タグでは、前記無線タグは、物理量を検出するセンサーを有することが好ましい。
これにより、データ収集システムに用いた場合、応用の幅が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のデータ収集システムをオフィス管理システムに適用した場合の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すオフィス管理システムを摸式的に示す図である。
【図3】図1に示すオフィス管理システムにおけるタイムスロットを示す図である。
【図4】図1に示すオフィス管理システムの動作を説明するための図である。
【図5】図1に示すオフィス管理システムの動作を説明するための図である。
【図6】図1に示すオフィス管理システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明のデータ収集システムをオフィス管理システムに適用した場合の第2実施形態を摸式的に示す図である。
【図8】図7に示すオフィス管理システムにおけるタイムスロットを示す図である。
【図9】本発明のデータ収集システムをオフィス管理システムに適用した場合の第3実施形態を摸式的に示す図である。
【図10】図9に示すオフィス管理システムにおけるタイムスロットを示す図である。
【図11】本発明のデータ収集システムをオフィス管理システムに適用した場合の第3実施形態におけるゲート付近を摸式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のデータ収集システムおよび無線タグを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の実施形態では、代表的に、本発明のデータ収集システムおよび無線タグをオフィス管理システムに適用した場合について説明する。また、LF帯よりも高い周波数帯として、代表的に、UHF帯を使用する場合について説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、本発明のデータ収集システムをオフィス管理システムに適用した場合の第1実施形態を示すブロック図、図2は、図1に示すオフィス管理システムを摸式的に示す図、図3は、図1に示すオフィス管理システムにおけるタイムスロットを示す図、図4および図5は、それぞれ、図1に示すオフィス管理システムの動作を説明するための図、図6は、図1に示すオフィス管理システムの他の構成例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すオフィス管理システム100は、複数の無線タグ1と、データ収集装置2とを備え、各無線タグ1とデータ収集装置2との間で時分割多重無線通信(時分割多重通信)を行うものである。各無線タグ1は、それぞれ、各社員に配布され、その社員が保持する。無線タグ1の数は、特に限定されず、社員数等の諸事情に応じて、適宜、増減(設定)することができる。なお、無線タグ1を保持する社員が移動することでその無線タグ1が移動することになるが、以下では、単に、「無線タグ1が移動」等とも表記する。
【0020】
データ収集装置2は、ゲート(出入り口)31を介して社員が出入りし得るオフィス等の管理領域41を管理するものである(図2参照)。このデータ収集装置2は、LF(Low Frequency)帯アンテナ21とLF帯送信回路22とを有し、無線タグ1に対し、LF帯の信号を送信するLF帯送信部(収集装置側送信手段)28と、UHF(Ultra High Frequency)帯アンテナ23とUHF帯受信回路24とを有し、無線タグ1から送信されたUHF帯(LF帯よりも高い周波数帯)の信号を受信するUHF帯受信部(収集装置側受信手段)29と、制御部(制御手段)25と、情報を記憶する記憶部(記憶手段)26と、時刻(時間)を示す時刻情報を生成する時刻情報生成部(時刻情報生成手段)27とを備えている。
【0021】
時刻情報生成部27としては、例えば、原子時計等の高精度時計、インターネット等を利用して時刻情報を取得する装置等が挙げられる。
また、制御部25は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピューター等で構成され、データ収集装置2における各種の演算処理、判断や、データ収集装置2全体の制御等を行う。なお、制御部25により、判別手段の主機能が達成される。
【0022】
データ収集装置2を構成する前記LF帯送信部28、UHF帯受信部29、制御部25、記憶部26および時刻情報生成部27は、1箇所に配置されていてもよく、また、互いに複数箇所に分かれて配置されていてもよい。
但し、LF帯送信部28は、ゲート31またはゲート31の近傍に設置されている。なお、本実施形態では、LF帯送信部28は、ゲート31設置されている。
また、UHF帯受信部29は、ゲート31またはゲート31の近傍に設置されていることが好ましく、本実施形態では、ゲート31に設置されている。
【0023】
無線タグ1は、UHF帯アンテナ11とUHF帯送信回路12とを有し、データ収集装置2に対し、UHF帯の信号を送信するUHF帯送信部(タグ側送信手段)18と、LF帯アンテナ13とLF帯受信回路14とを有し、データ収集装置2から送信されたLF帯の信号を受信するLF帯受信部(タグ側受信手段)19と、制御部(制御手段)15と、情報を記憶する記憶部(記憶手段)16と、計時を行う計時部(計時手段)17と、図示しない電池等の電源部とを備えている。
【0024】
計時部17としては、計時し得るものであれば特に限定されず、その精度は、比較的高い方が好ましいが、比較的低くてもよい。
また、制御部15は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピューター等で構成され、無線タグ1における各種の演算処理、判断や、無線タグ1全体の制御等を行う。
また、各無線タグ1の記憶部16には、それぞれ、対応する無線タグ1のID(個体識別)情報が記憶されており、そのID情報により、各無線タグ1を特定し得るようになっている。
【0025】
LF帯は、30〜300kHzの周波数帯であり、また、UHF帯は、0.3〜3GHzの周波数帯である。なお、LF帯での通信を「LF通信」とも言い、また、UHF帯での通信を「UHF通信」とも言う。
ここで、LF通信の特徴は、通信が可能な距離(通信可能距離)が短く、また、送信の際の消費電力は高いが、受信の際の消費電力は低い。これは、LF帯の電波は波長が長いためアンテナを小型化すると電波の放射効率が悪くなることに起因している。すなわち、電波の放射効率の悪い点を補うために、送信機の送信電力を大きく設定する必要があり、送信機の消費電力が増えてしまうのである。また、これとは逆にLF帯の受信機は受信周波数が低いため、受信回路を集積化しても消費電力を低く抑えることができる。なお、LF通信での通信可能距離は、1〜5m程度の範囲内で適宜設定することができる。
【0026】
一方、UHF通信の特徴は、通信可能距離がLF通信に比べて長く、また、送信の際の消費電力はLF通信に比べて低いが、受信の際の消費電力はLF通信に比べて高い。これは、UHF帯の電波はLF帯よりも波長が短いため、電波の放射効率を維持したままアンテナを小型化するのが容易であることに起因している。すなわち、送信機の送信電力を低く設定できるので送信機の消費電力を抑えることができるのである。また、これとは逆にUHF帯の受信機はLF帯の受信機よりも受信周波数が高いので、受信回路を集積化すると周波数にほぼ比例して消費電力が増えてしまうのである。なお、UHF通信での通信可能距離は、5〜50m程度の範囲内で適宜設定することができる。
【0027】
このため、前記のように、無線タグ1では、受信側にLF通信を用い、送信側にUHF通信を用いる。これにより、消費電力を低減することができ、内蔵(搭載)されている電池等の電源部を長持ちさせることができる。
また、データ収集装置2では、受信側にUHF通信を用い、送信側にLF通信を用いる。データ収集装置2への電力の供給は、容易であるので、データ収集装置2の消費電電力は高くても問題がない。
【0028】
なお、本実施形態では、LF帯よりも高い周波数帯として、UHF帯を用いるが、LF帯よりも高い周波数帯であれば、特に限定されず、UHF帯の他、例えば、VHF帯、SHF帯等が挙げられる。
また、各無線タグ1とデータ収集装置2との間では、UHF帯で時分割多重通信を行う。これにより、各無線タグ1とデータ収集装置2との間の通信の相互の衝突(混信)を防止することができる。
【0029】
時分割多重通信では、時間軸を一定の周期で多重化の数のタイムスロット(小分割された時間)に分割する。データ収集装置2の記憶部26には、予め、データ収集装置2に対して送信が可能な時間帯を表す複数のタイムスロット番号が記憶されている。なお、タイムスロット番号の数は、管理領域41内に入ると予想される無線タグ1を保持する社員の最大数程度に設定されることが好ましい。
【0030】
また、データ収集装置2から無線タグ1には、データ収集装置2に対して送信が可能な時間帯を表すタイムスロット番号が付与される。この無線タグ1へのスロット番号の付与は、無線タグ1がゲートを通過する際に行われる。無線タグ1では、付与されたスロット番号を示すスロット番号情報は、記憶部16に記憶される。
そして、無線タグ1の制御部15では、計時部17で計時して得られた時刻情報と、タイムスロット番号とに基づいて、送信のタイミングを決定し、UHF帯送信部18により、データ収集装置2への送信を行う。
【0031】
図3に示すように、例えば、3つの無線タグ1a、1b、1cと、データ収集装置2との間で時分割多重通信を行う場合は、無線タグ1a、1b、1cには、それぞれ、タイムスロット番号として、タイムスロットNo.1、No.2、No.3が付与される。
各タイムスロットNo.1、No.2、No.3のタイムスロットには、送信(通信)を行う送信期間と、送信を行わないガードインターバルとが設けられている。ガードインターバルを設けることにより、計時部17の誤差による混信を防止することができる。なお、ガードインターバルは、計時部17の精度に応じて適宜設定することができる。
【0032】
ここで、UHF通信により、無線タグ1からデータ収集装置2に送信する情報としては、例えば、無線タグ1のID情報等が挙げられる。
この場合、無線タグ1の制御部15では、タイムスロット番号に対応した時間帯に、UHF帯送信部18により、データ収集装置2に対し、ID情報を送信する。
一方、データ収集装置2は、UHF帯受信部29の他に、制御部25に接続され、管理領域41内の各所に設置された複数のUHF帯受信部(図示せず)を有している。各UHF帯受信部としては、UHF帯受信部29と同様のものを用いることができる
無線タグ1から送信されたID情報は、前記各UHF帯受信部のうちのいずれかのUHF帯受信部により、受信される。これにより、データ収集装置2の制御部25は、その無線タグ1を保持する社員が管理領域41内にいるものと判断する。
一方、各UHF帯受信部のうちのいずれのUHF帯受信部においてもID情報が受信されない場合は、制御部25は、そのID情報に対応する無線タグ1を保持する社員が管理領域41外にいるものと判断する。
【0033】
また、図6に示すように、無線タグ1は、物理量を検出するセンサーとして、温度を検出する温度センサー51を有していることが好ましい。この場合は、無線タグ1は、温度センサー51により無線タグ1の周囲の温度を検出し、UHF通信により、データ収集装置2に対して、ID情報とともに、温度センサー51により検出された温度の情報(温度センサー51の検出結果)等を送信する。なお、物理量を検出するセンサーとしては、温度センサーの他、例えば、照度を検出する照度センサー、湿度を検出する湿度センサー等が挙げられる。
【0034】
次に、無線タグ1がゲート31を通過する際のオフィス管理システム100の作用を説明する。
図2に示すように、無線タグ1が管理領域41内に移動する際において、ゲート31を通過する際は、図4に示すように、まず、データ収集装置2は、無線タグ1に対し、ID情報を問い合わせる。この際は、データ収集装置2は、LF帯送信部28により、LF通信で送信を行う。
【0035】
無線タグ1は、オフィス管理システム100におけるLF通信での通信可能範囲に入ると、LF帯受信部19により、前記ID情報の問い合わせを受信する。そして、無線タグ1は、そのID情報の問い合わせに対し、ID情報をデータ収集装置2に返信する。この際は、無線タグ1は、UHF帯送信部18により、UHF通信で送信を行う。
なお、データ収集装置2は、例えば、定期的に前記ID情報の問い合わせを行うことにより、ゲート31を通過する無線タグ1に対し、そのID情報の問い合わせを行うことができる。
データ収集装置2は、UHF帯受信部29により、ID情報を受信する。これにより、制御部25は、無線タグ1がゲート31を通過し、管理領域41に移動することを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1が管理領域41内に位置するものと判断する。
【0036】
次に、データ収集装置2は、無線タグ1に対し、時刻情報生成部27により生成された時刻情報と、タイムスロット番号情報と、無線タグ1から受信したID情報とを、LF帯送信部28により送信する。
無線タグ1は、LF帯受信部19により、前記時刻情報、タイムスロット番号情報およびID情報を受信する。そして、無線タグ1は、制御部15において、データ収集装置2から受信したID情報が、自己のID情報と一致するか否かを判断し、一致する場合は、前記時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理する。そして、無線タグ1は、データ収集装置2に対し、UHF帯送信部18により、正常受信完了通知を返信する。なお、無線タグ1は、前記データ収集装置2から受信したID情報と自己のID情報とが一致しない場合は、前記時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理せず、データ収集装置2に対し、正常受信完了通知は返信しない。
【0037】
データ収集装置2は、UHF帯受信部29により、無線タグ1から送信された正常受信完了通知を受信する。これにより、制御部25は、無線タグ1が時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理したことを把握することができる。また、制御部25は、無線タグ1がゲート31を通過し、管理領域41に移動することを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1が管理領域41内に位置するものと判断する。
【0038】
また、無線タグ1は、タイムスロット番号情報を記憶部16に記憶し、また、時刻情報に基づいて計時部17の計時情報を補正し、計時部17により計時を行う。なお、計時部17は、常に作動して計時を行っていてもよく、また、無線タグ1が管理領域41内に位置しているときのみ、計時を行うようにしてもよい。後者の場合、消費電力を低減することができる。
【0039】
そして、無線タグ1の制御部15では、前述したように、計時部17で計時して得られた時刻情報と、タイムスロット番号とに基づいて、送信のタイミングを決定し、UHF帯送信部18により、データ収集装置2への送信を行う。
なお、無線タグ1が管理領域41内から外部に移動する際において、ゲート31を通過する際の動作は、データ収集装置2から無線タグ1に対し、時刻情報およびタイムスロット番号情報を送信しない他は、前記と略同様である。
ここで、データ収集装置2の制御部は、ID情報の問い合わせに対してID情報を受信しない場合や、正常受信完了通知を受信しない場合は、無線タグ1がゲート31を通過し、管理領域41内から外部に移動したことを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1が管理領域41の外側(外部)に位置するものと判断する。
【0040】
次に、複数の無線タグ1が同時にゲート31を通過する際のオフィス管理システム100の作用として、1例として、3つの無線タグ1a、1b、1cが同時にゲート31を通過する場合について説明する。
図5に示すように、まず、データ収集装置2は、無線タグ1a、1b、1cに対し、ID情報を問い合わせる。この際は、データ収集装置2は、LF帯送信部28により、LF通信で送信を行う。
【0041】
無線タグ1a、1b、1cは、LF通信での通信可能範囲に入ると、LF帯受信部19により、前記ID情報の問い合わせを受信する。そして、無線タグ1a、1b、1cは、そのID情報の問い合わせに対し、ID情報をデータ収集装置2に返信する。この際は、無線タグ1は、UHF帯送信部18により、UHF通信で送信を行う。
なお、データ収集装置2は、例えば、定期的に前記ID情報の問い合わせを行うことにより、ゲート31を通過する無線タグ1に対し、そのID情報の問い合わせを行うことができる。
【0042】
ここで、前記無線タグ1a、1b、1cからデータ収集装置2へのID情報の返信は、通信の衝突が生じないように、互いに時間をずらして行う。この方法としては、例えば、返信(送信)のタイミングをランダムに決定する(返信の待ち時間をランダムに決定する)方法や、ID情報に応じて返信のタイミングを設定する等の方法を用いることができる。なお、返信のタイミングをランダムに決定する場合、通信の衝突が生じたとしても、無線タグ1a、1b、1cがゲート31を通過するには、所定の時間を要するので、次のデータ収集装置2からのID情報の問い合わせで対応することができ、問題はない。
データ収集装置2は、UHF帯受信部29により、無線タグ1a、1b、1cから送信されたID情報を受信する。これにより、制御部25は、無線タグ1a、1b、1cがゲート31を通過し、管理領域41に移動することを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1a、1b、1cが管理領域41内に位置するものと判断する。
【0043】
次に、データ収集装置2は、無線タグ1a、1b、1cに対し、時刻情報生成部27により生成された時刻情報と、タイムスロット番号情報と、無線タグ1から受信したID情報とを、LF帯送信部28により、順番(時間をずらして)に送信する。この順番は、特に限定されないが、ID情報を受信した順番とすることが好ましい。図示の構成では、まず、データ収集装置2は、無線タグ1aに対し、時刻情報と、タイムスロット番号情報と、ID情報とを送信する。
【0044】
無線タグ1aは、LF帯受信部19により、前記時刻情報、タイムスロット番号情報およびID情報を受信する。そして、無線タグ1aは、制御部15において、データ収集装置2から受信したID情報が、自己のID情報と一致するか否かを判断する。この場合、前記データ収集装置2から受信したID情報と自己のID情報とが一致するので、無線タグ1aは、前記時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理する。そして、無線タグ1aは、データ収集装置2に対し、UHF帯送信部18により、正常受信完了通知を返信する。
【0045】
また、無線タグ1b、1cは、LF帯受信部19により、前記時刻情報、タイムスロット番号情報およびID情報を受信する。そして、無線タグ1b、1cは、制御部15において、データ収集装置2から受信したID情報が、自己のID情報と一致するか否かを判断する。この場合、前記データ収集装置2から受信したID情報と自己のID情報とが一致しないので、無線タグ1b、1cは、前記時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理せず、データ収集装置2に対し、正常受信完了通知を返信しない。
【0046】
データ収集装置2は、UHF帯受信部29により、無線タグ1aから送信された正常受信完了通知を受信する。これにより、制御部25は、無線タグ1aが時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理したことを把握することができる。また、制御部25は、無線タグ1aがゲート31を通過し、管理領域41に移動することを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1aが管理領域41内に位置するものと判断する。
【0047】
次に、データ収集装置2は、無線タグ1bに対し、時刻情報と、タイムスロット番号情報と、ID情報とを送信する。
無線タグ1bは、LF帯受信部19により、前記時刻情報、タイムスロット番号情報およびID情報を受信する。そして、無線タグ1bは、制御部15において、データ収集装置2から受信したID情報が、自己のID情報と一致するか否かを判断する。この場合、前記データ収集装置2から受信したID情報と自己のID情報とが一致するので、無線タグ1bは、前記時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理する。そして、無線タグ1bは、データ収集装置2に対し、UHF帯送信部18により、正常受信完了通知を返信する。
【0048】
また、無線タグ1a、1cは、LF帯受信部19により、前記時刻情報、タイムスロット番号情報およびID情報を受信する。そして、無線タグ1a、1cは、制御部15において、データ収集装置2から受信したID情報が、自己のID情報と一致するか否かを判断する。この場合、前記データ収集装置2から受信したID情報と自己のID情報とが一致しないので、無線タグ1a、1cは、前記時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理せず、データ収集装置2に対し、正常受信完了通知を返信しない。
【0049】
データ収集装置2は、UHF帯受信部29により、無線タグ1bから送信された正常受信完了通知を受信する。これにより、制御部25は、無線タグ1bが時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理したことを把握することができる。また、制御部25bは、無線タグ1bがゲート31を通過し、管理領域41に移動することを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1bが管理領域41内に位置するものと判断する。
【0050】
次に、データ収集装置2は、無線タグ1cに対し、時刻情報と、タイムスロット番号情報と、ID情報とを送信する。
無線タグ1cは、LF帯受信部19により、前記時刻情報、タイムスロット番号情報およびID情報を受信する。そして、無線タグ1cは、制御部15において、データ収集装置2から受信したID情報が、自己のID情報と一致するか否かを判断する。この場合、前記データ収集装置2から受信したID情報と自己のID情報とが一致するので、無線タグ1cは、前記時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理する。そして、無線タグ1cは、データ収集装置2に対し、UHF帯送信部18により、正常受信完了通知を返信する。
【0051】
また、無線タグ1a、1bは、LF帯受信部19により、前記時刻情報、タイムスロット番号情報およびID情報を受信する。そして、無線タグ1a、1bは、制御部15において、データ収集装置2から受信したID情報が、自己のID情報と一致するか否かを判断する。この場合、前記データ収集装置2から受信したID情報と自己のID情報とが一致しないので、無線タグ1a、1bは、前記時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理せず、データ収集装置2に対し、正常受信完了通知を返信しない。
【0052】
データ収集装置2は、UHF帯受信部29により、無線タグ1cから送信された正常受信完了通知を受信する。これにより、制御部25は、無線タグ1cが時刻情報およびタイムスロット番号情報を受理したことを把握することができる。また、制御部25は、無線タグ1cがゲート31を通過し、管理領域41に移動することを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1cが管理領域41内に位置するものと判断する。
【0053】
また、無線タグ1a、1b、1cは、タイムスロット番号情報を記憶部16に記憶し、また、時刻情報に基づいて計時部17の計時情報を補正し、計時部17により計時を行う。
そして、無線タグ1a、1b、1cの制御部15では、前述したように、計時部17で計時して得られた時刻情報と、タイムスロット番号とに基づいて、送信のタイミングを決定し、UHF帯送信部18により、データ収集装置2への送信を行う。
なお、無線タグ1a、1b、1cが管理領域41内から外部に移動する際において、ゲート31を通過する際の動作は、データ収集装置2から無線タグ1a、1b、1cに対し、時刻情報およびタイムスロット番号情報を送信しない他は、前記と略同様である。
【0054】
ここで、データ収集装置2の制御部は、ID情報の問い合わせに対してID情報を受信しない場合や、正常受信完了通知を受信しない場合は、無線タグ1a、1b、1cがゲート31を通過し、管理領域41内から外部に移動したことを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1a、1b、1cが管理領域41の外側(外部)に位置するものと判断する。
【0055】
次に、オフィス管理システム100の行う管理の1例について説明する。
(構成例1)
構成例1は、図1に示すオフィス管理システム100が、管理領域内の各社員のパソコンのセキュリティーの管理を行う場合について説明する。
まず、管理システム100のデータ収集装置2は、UHF帯受信部29の他に、制御部25に接続され、管理領域41内の各社員が使用するパソコンの近傍に設置された複数のUHF帯受信部を有している。この場合、パソコンの数とUHF帯受信部の数とが一致していてもよく、また、一致していなくてもよい。また、各UHF帯受信部としては、UHF帯受信部29と同様ものを用いることができる。また、データ収集装置2と各パソコンとが接続されており、データ収集装置2の制御部25により、各パソコンの状態を、それぞれ、そのパソコンが操作部(キーボードやマウス等)からの操作を受け付ける状態(アクティブ)と、操作を受け付けない状態(スリープ)とに切り替えることができるようになっている。
【0056】
前述したように、各無線タグ1の制御部15では、それぞれ、タイムスロット番号に対応した時間帯に、データ収集装置2に対し、ID情報を送信する。以下、代表的に、所定の無線タグ1を保持する社員が使用するパソコンのセキュリティーの管理について説明する。
まず、無線タグ1を保持する社員が、その社員が使用するパソコンの近傍に位置している場合、すなわち、オフィス管理システム100におけるUHF通信での通信可能距離以内に位置している場合は、そのパソコンの近傍に設置されたUHF帯受信部により、無線タグ1から送信したID情報が受信される。これにより、データ収集装置2の制御部25は、無線タグ1がパソコンの近傍に位置に位置していること、すなわち、無線タグ1を保持する社員が、その社員が使用するパソコンの近傍に位置していることを把握することができる。この場合は、パソコンが立ち上がっている場合は、制御部25は、そのパソコンが操作部からの操作を受け付ける状態を保持する。
【0057】
一方、無線タグ1を保持する社員が、その社員が使用するパソコンから、オフィス管理システム100におけるUHF通信での通信可能距離よりも離間すると、そのパソコンの近傍に設置されたUHF帯受信部において、無線タグ1から送信したID情報が受信されなくなる。これにより、データ収集装置2の制御部25は、無線タグ1がパソコンの近傍に位置に位置していないこと、すなわち、無線タグ1を保持する社員が、その社員が使用するパソコンの近傍に位置していないことを把握することができる。この場合は、パソコンが立ち上がっている場合は、制御部25は、そのパソコンが操作部からの操作を受け付けない状態に切り替える。そして、次に、パソコンの近傍に設置されたUHF帯受信部により、無線タグ1から送信したID情報が受信されると、制御部25は、そのパソコンが操作部からの操作を受け付ける状態に切り替える。このようにして、各パソコンのセキュリティーを管理することができる。
【0058】
(構成例2)
構成例2は、図6に示すオフィス管理システム100が、管理領域内の各社員の近傍の温度調整を行う実施例であり、以下構成例2について説明する。
まず、管理システム100のデータ収集装置2は、UHF帯受信部29の他に、制御部25に接続され、管理領域41内の各所に設置された複数のUHF帯受信部を有している。各UHF帯受信部としては、UHF帯受信部29と同様ものを用いることができる。また、データ収集装置2と管理領域41内を加温・冷却するエアコンとが接続されており、データ収集装置2の制御部25により、エアコンを操作できるようになっている。
【0059】
前述したように、各無線タグ1では、それぞれ、温度センサー51により無線タグ1の周囲の温度が検出され、タイムスロット番号に対応した時間帯に、データ収集装置2に対し、ID情報および温度センサー51により検出された温度の情報(温度情報)を送信する。以下、代表的に、所定の無線タグ1を保持する社員の近傍の温度調整について説明する。
まず、無線タグ1を保持する社員の近傍に設置されたUHF帯受信部により、無線タグ1から送信したID情報および温度情報が受信される。これにより、データ収集装置2の制御部25は、前記社員の近傍の温度を把握することができる。
【0060】
次に、制御部25は、前記温度情報に基づいて、前記社員の近傍の温度が目標温度になるように、エアコンを調整する。このようにして、管理領域内の各社員の近傍の温度を調整することができる。
以上説明したように、このオフィス管理システム100によれば、各無線タグ1とデータ収集装置2との間で時分割多重通信を行うので、各無線タグ1とデータ収集装置2との間の通信の相互の衝突を防止することができる。
また、無線タグ1の受信側には、LF帯通信を用いるので、無線タグ1の消費電力を低減することができ、内蔵されている電池等の電源部を長持ちさせることができる。
【0061】
<第2実施形態>
図7は、本発明のデータ収集システムをオフィス管理システムに適用した場合の第2実施形態を摸式的に示す図、図8は、図7に示すオフィス管理システムにおけるタイムスロットを示す図、図9は、本発明のデータ収集システムをオフィス管理システムに適用した場合の第3実施形態を摸式的に示す図、図10は、図9に示すオフィス管理システムにおけるタイムスロットを示す図である。
【0062】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7に示すように、第2実施形態のオフィス管理システム100では、データ収集装置2が管理する管理領域(第1の管理領域)411と、管理領域(第2の管理領域)412とが設定されている。管理領域411と管理領域412とは、管理領域411内の各地点と、管理領域412内の各地点との間で、いずれも、オフィス管理システム100におけるUHF通信が不可能なように離間している。すなわち、管理領域411と管理領域412とは、オフィス管理システム100において使用するUHF帯の信号が互いに干渉しない程度に離間している。
【0063】
また、各管理領域411、412の出入り口として、それぞれ、ゲート311、312が設置されている。各ゲート311、312には、それぞれ、LF帯送信部281およびUHF帯受信部291、LF帯送信部282およびUHF帯受信部292が設置されている。LF帯送信部281、282としては、LF帯送信部28と同様のものを用いることができる。また、UHF帯受信部291、292としては、UHF帯受信部29と同様のものを用いることができる。
【0064】
このオフィス管理システム100では、図8に示すように、管理領域411内に位置する無線タグ1a、1b、1cと、管理領域412内に位置する無線タグ1d、1e、1fとで、タイムスロット番号を重複して設定する。すなわち、無線タグ1a、1dに、同一のタイムスロットNo.1を設定し、無線タグ1b、1eに、同一のタイムスロットNo.2を設定し、無線タグ1c、1fに、同一のタイムスロットNo.3を設定する。これにより、タイムスロット番号を有効に活用することできる。一方、管理領域411内の各地点と、管理領域412内の各地点との間では、UHF通信を行うことができないので、タイムスロット番号を重複して設定しても混信が生じることがなく、問題はない。
なお、時分割多重通信を行いつつ、さらに、搬送波が混信しないように、複数の搬送波周波数で通信し得るように構成してもよい。この場合は、同一の管理領域411内においても、タイムスロット番号を重複して設定することができる。
【0065】
また、図9に示すように、管理領域412内に位置していた無線タグ1dが、管理領域411内に移動する場合は、図10に示すように、その無線タグ1dには、新たに、タイムスロットNo.4を付与する。そして、図9に示すように、管理領域412内に、新たに、無線タグ1gが移動する場合は、図10に示すように、前記無線タグ1dが使用していたタイムスロットNo.1を、その無線タグ1gに付与する。これにより、タイムスロット番号を有効に活用することできる。
このオフィス管理システム100によれば、前述した第1実施形態と同様の効果も得られる。
なお、管理領域の数は、2つに限らず、3つ以上でもよい。
【0066】
<第3実施形態>
図11は、本発明のデータ収集システムをオフィス管理システムに適用した場合の第3実施形態におけるゲート付近を摸式的に示す図である。
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0067】
図11に示すように、第3実施形態のオフィス管理システム100では、ゲート32は、管理領域41側に位置する内側ゲート部321と、内側ゲート部321の管理領域41と反対側に位置する外側ゲート部322を有している。
内側ゲート部321および外側ゲート部322には、それぞれ、LF帯送信部(第1の送信部)283およびUHF帯受信部(第1の受信部)293、LF帯送信部(第2の送信部)284およびUHF帯受信部(第2の受信部)294が設置されている。LF帯送信部283、284としては、LF帯送信部28と同様のものを用いることができる。また、UHF帯受信部293、294としては、UHF帯受信部29と同様のものを用いることができる。
また、内側ゲート部321と外側ゲート部322とは、LF帯送信部283から送信する信号と、LF帯送信部284から送信する信号とが互いに干渉しない程度に離間している。
【0068】
無線タグ1が外部から管理領域41内に移動する場合は、無線タグ1は、外側ゲート部322のLF帯送信部284およびUHF帯受信部294と、内側ゲート部321のLF帯送信部283およびUHF帯受信部293とで、先に、外側ゲート部322のLF帯送信部284およびUHF帯受信部294と送信を行う。
すなわち、データ収集装置2の制御部は、ID情報の問い合わせに対して、外側ゲート部322のUHF帯受信部294が先にID情報を受信する。
これにより、制御部25は、無線タグ1がゲート32を通過し、外部から管理領域41に移動することを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1が管理領域41内に位置するものと判断する。
【0069】
また、無線タグ1が管理領域41内から外部に移動する場合は、無線タグ1は、外側ゲート部322のLF帯送信部284およびUHF帯受信部294と、内側ゲート部321のLF帯送信部283およびUHF帯受信部293とで、先に、内側ゲート部321のLF帯送信部283およびUHF帯受信部293と送信を行う。
すなわち、データ収集装置2の制御部は、ID情報の問い合わせに対して、内側ゲート部321のUHF帯受信部293が先にID情報を受信する。
これにより、制御部25は、無線タグ1がゲート32を通過し、管理領域41内から外部に移動することを把握することができる。すなわち、制御部25は、無線タグ1が管理領域41の外側(外部)に位置するものと判断する。なお、制御部25により、移動方向判別手段の主機能が達成される。
【0070】
また、無線タグ1からUHF帯受信部293への送信に使用するコードと、UHF帯受信部294への送信に使用するコードとを互いに別のものとすれば、制御部25は、より確実に、無線タグ1の管理領域41への入場と退場とを判別することができる。
このオフィス管理システム100によれば、前述した第1実施形態と同様の効果も得られる。
【0071】
以上、本発明のデータ収集システムおよび無線タグを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1〜1g…無線タグ 11…UHF帯アンテナ 12…UHF帯送信回路 13…LF帯アンテナ 14…LF帯受信回路 15…制御部 16…記憶部 17…計時部 18…UHF帯送信部 19…LF帯受信部 2…データ収集装置 21…LF帯アンテナ 22…LF帯送信回路 23…UHF帯アンテナ 24…UHF帯受信回路 25…制御部 26…記憶部 27…時刻情報生成部 28、281〜284…LF帯送信部 29、291〜294…UHF帯受信部 31、311、312、32…ゲート 321…内側ゲート部 322…外側ゲート部 41、411、412…管理領域 51…温度センサー 100…オフィス管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線タグと、前記複数の無線タグとの間で時分割多重無線通信を行うデータ収集装置とを備え、
前記データ収集装置は、ゲートまたは前記ゲートの近傍に設けられ、前記無線タグに対し、LF帯の信号を送信する収集装置側送信手段と、
前記無線タグから送信されたLF帯よりも高い周波数帯の信号を受信する収集装置側受信手段と、
時刻を示す時刻情報を生成する時刻情報生成手段と、
前記無線タグから前記データ収集装置に対して送信が可能な時間帯を表すタイムスロット番号を示すタイムスロット番号情報を生成するタイムスロット番号情報生成手段とを備え、
前記無線タグは、前記データ収集装置に対し、LF帯よりも高い周波数帯の信号を送信するタグ側送信手段と、
前記データ収集装置から送信されたLF帯の信号を受信するタグ側受信手段と、
計時を行う計時手段と、
情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記データ収集装置は、前記収集装置側送信手段により、前記無線タグが前記ゲートを通過する際、該無線タグに対し、前記タイムスロット番号情報と、現在の時刻を示す時刻情報とを送信し、
前記無線タグは、前記タグ側受信手段により、前記タイムスロット番号情報と、前記時刻情報とを受信し、前記記憶手段に前記タイムスロット番号情報を記憶し、前記時刻情報に基づいて前記計時手段の計時情報を補正して該計時手段により計時を行い、前記タイムスロット番号に対応する時間帯に、前記タグ側送信手段により、前記データ収集装置に対して送信を行うよう構成されていることを特徴とするデータ収集システム。
【請求項2】
前記記憶手段には、前記無線タグのID情報が記憶されており、
前記無線タグは、前記タイムスロット番号に対応する時間帯に、前記タグ側送信手段により、前記データ収集装置に対して、前記ID情報を送信するよう構成されている請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項3】
前記無線タグは、物理量を検出するセンサーを有しており、
前記無線タグは、前記タイムスロット番号に対応する時間帯に、前記タグ側送信手段により、前記データ収集装置に対して、前記ID情報とともに、前記センサーの検出結果を送信するよう構成されている請求項2に記載のデータ収集システム。
【請求項4】
前記データ収集装置が管理し、前記ゲートを介して出入りし得る管理領域が設定されており、
前記データ収集装置は、前記無線タグが前記管理領域内に位置するか否かを判別する判別手段を有する請求項1ないし3のいずれかに記載のデータ収集システム。
【請求項5】
前記データ収集装置が管理し、前記ゲートを介して出入りし得る管理領域が設定されており、
前記ゲートは、前記管理領域側に位置する内側ゲート部と、前記内側ゲート部の前記管理領域と反対側に位置する外側ゲート部とを有し、
前記収集装置側送信手段は、前記内側ゲート部または前記内側ゲート部の近傍に設けられた第1の送信部と、前記外側ゲート部または前記外側ゲート部の近傍に設けられた第2の送信部とを有し、
前記収集装置側受信手段は、前記内側ゲート部または前記内側ゲート部の近傍に設けられた第1の受信部と、前記外側ゲート部または前記外側ゲート部の近傍に設けられた第2の受信部とを有し、
前記データ収集装置は、前記無線タグが前記ゲートを通過する際、前記収集装置側受信手段により受信した情報に基づいて、前記タグの移動方向を判別する移動方向判別手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載のデータ収集システム。
【請求項6】
前記データ収集装置が管理し、前記LF帯よりも高い周波数帯の信号が互いに干渉しない程度に離間した第1の管理領域と、第2の管理領域とが設定されており、
前記第1の管理領域内に位置する前記無線タグと、第2の管理領域内に位置する前記無線タグとで、前記タイムスロット番号を重複して設定するよう構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載のデータ収集システム。
【請求項7】
データ収集装置との間で時分割多重無線通信を行うものであり、
前記データ収集装置に対し、LF帯よりも高い周波数帯の信号を送信するタグ側送信手段と、
前記データ収集装置から送信されたLF帯の信号を受信するタグ側受信手段と、
計時を行う計時手段と、
情報を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項8】
前記無線タグは、物理量を検出するセンサーを有する請求項7に記載の無線タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−205579(P2011−205579A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73418(P2010−73418)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】