説明

データ収集システム

【課題】所定時間例えば10ナノ秒以下の精度で同時刻の各検出器の測定データを収集することができるデータ収集システムを提供する。
【解決手段】電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化を数ナノ秒〜10ナノ秒程度の高速周期で測定し一定時間データを保持する検出器群を有し、それら検出器で収集したデータを無線により収集するデータ収集システムにおいて、測定信号が設定された閾値を越えた、あるいは波形が何らかのパターンに合致したことを検知した検出器が他の検出器に対して検知したことを光ファイバを経由して光信号にてトリガ出力し、検知したデータ収集装置に送信し、そのトリガの光信号を受信した他の検出器がその受信時刻からトリガ信号伝達に要する時間を差し引いた過去の時刻のデータをデータ収集装置に送信するようにしたデータ収集システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器(電子制御装置)や電動機ドライブ装置のごとき、制御装置本体を収納する筐体内の所望の位置に電圧や電流、電磁波などの物理量の変化を検出するための複数の検出器を備え、検出器の検出結果を筐体とは離れた場所にあるデータ収集装置に無線通信で送信可能にしたデータ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の検出器が互いに離れた場所に配置され測定データを収集し、測定データの変化の時刻とそのデータにより対象物を監視する例として、特許文献1に記載された「高電圧機器の内部部分放電監視装置」の発明があり、これは複数の検出器が互いに離れた場所に配置され測定データを収集し、測定データの変化の時刻とそのデータにより対象物を監視するシステムである。
【0003】
以下特許文献1について、図13を参照して説明する。図13は高電圧機器内に生ずる部分放電を監視するシステムで部分放電により生ずる超音波を複数の超音波マイク122で、電流パルスを電流検出器123でそれぞれ検出し、それら信号をアナログ−デジタル信号変換部(以降A/D部)124Aを経由してデータ収集部125Aに送る。データ収集部125Aでは通信LSI223を経由し時系列データをバッファメモリ224に一定時間記憶する。データ収集部125AのMPU(マイクロプロセッサ)225では複数の超音波マイクのデータや電流パルスデータが閾値を越えたかを判定し、いずれかのデータが閾値を越えた場合、その同時刻のデータ列を放電波形データとして外部記憶装置例えばノートパソコン126に記憶する。また放電現象を検知した場合パルス電流が発生した時刻、それぞれの超音波を検知した時刻の差にて放電を発生した場所を特定する。この装置は放電現象を超音波と接地ラインの電流パルスで捉え、デジタル変換を行いバッファメモリに逐次蓄積するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−131366「高電圧機器の内部部分放電監視装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1では、図には説明がないが、その発生の「時刻」は各々のマイク部分で超音波を検知した時刻や電流パルスを検知した時刻ではなく、データ収集部125Aにおけるバッファメモリ224に格納時刻か、あるいは閾値超えを検知した時刻をもってその時刻としている。そのため、高電圧機器が大きくなり、超音波の伝送遅延が大きかったりする場合、その時刻の精度が悪くなる。特に放電という現象が数マイクロ秒程度であれば音の伝わる時間、伝送の時間が圧倒的に大きくなる。
【0006】
このように特許文献1の例では「互いに離れた場所に設置した検出器のデータをある検出器が閾値を超えた数マイクロ秒といた短時間の物理現象を10ナノ秒程度の時刻誤差で他の検出器のデータも採取する」ということができなかった。
【0007】
一方、近年電子機器は新規導入以降長期間運用されるためその設置周囲の環境が設置当時からさまざま変化していることが多く故障や異常の原因になることがある。
【0008】
1)電源線が信号線付近に敷設されると信号線へのノイズとなる。
【0009】
2)動力線が近辺を通過することで電子機器の電源へのノイズとなる。
【0010】
3)インバータ機器が近くに設置されると電子機器の電源および信号線へのノイズとなる。
【0011】
4)ドライブ装置などそれ自身が出すノイズで自身のもつ電子制御機能を阻害する。
【0012】
5)湿度低にて静電気による放電が発生しやすくなり電子機器を直接破壊する。
【0013】
こういった環境の変化により電子装置が故障や停止を発生した場合は、その故障が装置を構成する部品の偶発故障に起因するものか、設置している環境を原因として部品故障や誤動作を生じているかを判断することが難しい。例えば電子機器の内部で用いる直流電源の電圧変動で電子制御装置がダウンする場合、温度高で電源装置の平滑コンデンサの電解液蒸発が加速されたことによるリップルの増大なのか、電源出力に誘導ノイズが重畳したものか、電源の交流入力(AC入力)にノイズが混入しかつ電源装置のアース処理が不十分なために直流出力側にリップルが乗ったのか、電源装置アースが不良で蓄電された電荷が湿度低下時に放電したものなのか、それに付随して発生した電磁波によるものなのかなど複数の原因が考えられる。またノイズでもモータ動作による誘導電流、インバータによるスイッチングノイズ、リレーやスイッチの入切りで発生する誘導ノイズなどが考えられ、そのどれであっても対策が異なる。
【0014】
もしこれが常に観測できるような異常現象をある一つの物理量だけで観測するのであれば通常のオシロスコープなどの測定器に適切なプローブを取付けてそれを測定することが可能であるが、電子機器動作中、外部のリレーやスイッチなどの接点の動作などによる瞬間ノイズが影響するような場合、その現象は数マイクロ秒以下のもので、頻度が1年に一度以下というケースがある。また電子機器の環境からの異常を調査する場合、1箇所の測定で十分であることは稀で、複数個所の空間的に離れた測定箇所で、その設置箇所の自由度や測定箇所の数、その数の増減での自由度、そして機器の狭隘な隙間で用いられるよう小型であることも必要である。またこういったトラブルを的確に観測するためには長期間の監視、更に原因となりそうな複数箇所での複数要因の同時測定が必要である。 そしてある検出器のある測定値が閾値を越えた場合、あるいは波形があるパターンと合致した場合、その時刻に同時に測定されている他の物理量との間でそれら物理量が何か関連性があるのかを波形や周波数などで判定し、関連の可能性があればその影響の度合いを調査する必要がある。
【0015】
例えば直流電源に許容以上のノイズが重畳したとき、AC入力にノイズは乗っていたのか、交流入力のノイズ成分がラインフィルタにてどの程度アースから接地に流せたのか、もし接地が不十分であればノイズの高周波高調波に対するアース線のインピーダンスが適切かというような関連性を調査したり、逆にアースラインに強い電流変化が生じたとき、その時刻の電子機器の直流電源電圧にそれがどう影響しているのか、誤動作はしていないが許容できる範囲だったのか、誤動作の一歩手前なのかというような関連性の調査や判断が必要となる。
【0016】
上記複数・任意の場所が可能・小型・任意の個数を設置可能、個数の増減が随時可能、電磁波的環境にて動作に影響を受けないという検出器を考えると内部でのデータの一時記憶機能を持ち、データのやり取りを(ノイズの影響を受けやすい電線ではなく)無線で行う形態が望ましい。
【0017】
こういった場合上記、数マイクロ秒の現象の採取時刻を合わせようとすると、同期のためのトリガ信号の伝達遅れ時間が課題となるし、もし検出器が内部に精密な時計を持った場合でもそれを一致させる方法が課題となる。
【0018】
本発明は、互いに離れた場所に設置した複数の検出器で、電子装置の電圧や電流などの物理量のデータを測定し、これを無線方式でデータ収集装置に伝送するデータ収集システムにおいて、所定時間例えば10ナノ秒以下の精度で同時刻の各検出器の測定データを収集することができるデータ収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、複数の検出器で、電子装置の電圧、電流などの物理量の変化を各々測定し、この各々測定した物理量データを、無線通信方式で、データ収集装置に伝送し、このデータ収集装置においてデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、各々判定検出部と、電気光変換部と、光電気変換部と、データ編集部とを備え、
前記判定検出部は前記測定した物理量が閾値を超えるか、或いは基準波形パターンと合致するかを判定検出するものであって、その判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力するものであり、
前記電気光変換部は前記判定検出部からの内部トリガ信号を取り込み光トリガ信号に変換するものであり、
前記光電気変換部は自分以外の他の検出器からの外部トリガ信号を取り込み、この外部トリガ信号を電気トリガ信号に変換するものであり、
前記データ編集部は前記判定検出部からの内部トリガ信号及び前記光電気変換部からの前記外部トリガ信号を取り込み、前記トリガ信号を取り込んだとき、前記測定した物理量データを前記データ収集装置に伝送する指令を出力するものであり、
前記各検出器に有する電気光変換部からの光トリガ信号を第1光伝送路を経由して光結合器に導き、この光結合器に導かれた光トリガ信号を第2光伝送路を経由して前記各検出器に有する前記光電気変換部に導いて前記外部トリガ信号を得るように構成したものであって、前記各検出器のデータ編集部に取り込まれる前記トリガ信号のうち自検出器に有する前記判定検出部からの内部トリガ信号の発生タイミングに比べて、前記各検出器のうち自分以外の他検出器に有する判定検出部からの外部トリガ信号の発生タイミングは、前記電気光変換部、前記第1光伝送路、前記光結合器、前記第2光伝送路、前記光電気変換部を経由して前記データ編集部に伝送することで伝送遅れが生ずるがこの遅れ分を考慮して、前記データ収集装置では前記各検出器で採取した同一時刻におけるデータを得るようにしたデータ収集システムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、互いに離れた場所に設置した複数の検出器で、電子装置の電圧や電流などの物理量のデータを測定し、これを無線方式でデータ収集装置に伝送するデータ収集システムにおいて、所定時間例えば10ナノ秒以下の精度で同時刻の各検出器の測定データを収集することができるデータ収集システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のデータ収集システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】図1の判定検出部の機能を説明するための波形図。
【図3】図1のデータ収集システムの作用効果を説明するための波形図。
【図4】図1のデータ収集システムの作用効果を説明するための波形図。
【図5】本発明の実施例1における動作を説明するためのものであって、図1のデータ編集部における処理フローを表した図。
【図6】本発明の実施例2における動作を説明するためのものであって、図1のデータ編集部における処理フローを表した図。
【図7】本発明の実施例3における動作を説明するためのものであって、図1のデータ編集部における処理フローを表した図。
【図8】本発明の実施例4〜実施例6を説明するためのものであって図1とは異なる点を説明するためのブロック図。
【図9】本発明の実施例4〜実施例6における動作を説明するためのものであって、図8のデータ編集部における処理フローを表した図。
【図10】本発明の実施例5における動作を説明するためのものであって、図8のデータ編集部における処理フローを表した図。
【図11】本発明の実施例6における動作を説明するためのものであって、図8のデータ編集部における処理フローを表した図。
【図12】本発明の実施例7を説明するためのものであって図1とは異なる点を説明するためのブロック図。
【図13】特許文献1の発明の問題点を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のデータ収集システムの実施形態について図面を参照して説明する。本発明のデータ収集システムは、複数の検出器で、電子装置の電圧、電流などの物理量の変化を各々測定し、この各々測定した物理量データを、無線通信方式で、データ収集装置6に伝送し、このデータ収集装置においてデータ処理を行うデータ収集システムであって、各検出器はいずれも以下に述べる構成を備えたものである。
【0023】
ここでは物理量を検出する検出器としては、直流電圧検出器(DCセンサ)2、アース電流検出器3、交流電圧検出器(ACセンサ)4の場合の例について説明するが、これらに限らず何でもよいことは言うまでもない。
【0024】
[実施例1]
図1〜図5を用いて実施例1を説明する。直流電圧検出器(DCセンサ)2は、電源装置1の直流電圧を例えば10ナノ秒のタイミングで取り込みデジタル値に変換するアナログデジタルコンバータ(以下A/D)部21と、A/D部21からのデジタルデータが設定値(閾値)を超えたことを判定(検出)、あるいはそのデジタルデータの波形が基準波形パターンと合致したことを判定(検出)し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する波形パターン合致検出部(以下判定検出部と称する)22と、A/D部21からの物理量データ(デジタル値)を一定時間取り込みこれを一時的に記憶する一時記憶部23と、判定検出部22からの内部トリガ信号及び後述する光電気変換部からの外部トリガ信号を取り込み、トリガ信号を取り込んだとき、一時記憶部23で記憶された物理量データをデータ収集装置6に伝送する指令を出力するデータ編集部24と、データ編集部24からのデータを共通のデータ収集装置6に通信を行う無線通信回路部25と、判定検出部22からの内部トリガ信号を取り込み光トリガ信号に変換する例えばフォトダイオードからなる電気光変換部26と、後述する検出器のうち自分以外の他の検出器からの外部トリガ信号を取り込み、この外部トリガ信号を電気トリガ信号に変換する例えばフォトトランジスタからなる光電気変換部27とを備えている。
【0025】
以上述べた構成は、直流電圧検出器2であり、これと同様にアース電流検出器3及び交流電圧検出器4も同様な構成を備えている。
【0026】
すなわち、アース電流検出器3は、電源装置1のアース電流を例えば10ナノ秒のタイミングで取り込みデジタル値に変換するアナログデジタルコンバータ(以下A/D)部31と、A/D部31からのデジタルデータが設定値(閾値)を超えたことを判定(検出)、あるいはそのデジタルデータの波形が基準波形パターンと合致したことを判定(検出)し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する波形パターン合致検出部(以下判定検出部と称する)32と、A/D部31からの物理量データ(デジタル値)を一定時間取り込みこれを一時的に記憶する一時記憶部33と、判定検出部32からの内部トリガ信号及び後述する光電気変換部からの外部トリガ信号を取り込み、トリガ信号を取り込んだとき、一時記憶部33で記憶された物理量データをデータ収集装置6に伝送する指令を出力するデータ編集部34と、データ編集部34からのデータを共通のデータ収集装置6に通信を行う無線通信回路部35と、判定検出部32からの内部トリガ信号を取り込み光トリガ信号に変換する例えばフォトダイオードからなる電気光変換部例えばフォトダイオード36と、後述する検出器のうち自分以外の他の検出器からの外部トリガ信号を取り込み、この外部トリガ信号を電気トリガ信号に変換する例えばフォトトランジスタからなる光電気変換部例えばフォトトランジスタ37とを備えている。
【0027】
また、交流電圧検出器4は、電源装置1の電源装置1の交流電圧を例えば10ナノ秒のタイミングで取り込みデジタル値に変換するアナログデジタルコンバータ(以下A/D)部41と、A/D部41からのデジタルデータが設定値(閾値)を超えたことを判定(検出)、あるいはそのデジタルデータの波形が基準波形パターンと合致したことを判定(検出)し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する波形パターン合致検出部(以下判定検出部と称する)42と、A/D部41からの物理量データ(デジタル値)を一定時間取り込みこれを一時的に記憶する一時記憶部43と、判定検出部22からの内部トリガ信号及び後述する光電気変換部からの外部トリガ信号を取り込み、トリガ信号を取り込んだとき、一時記憶部43で記憶された物理量データをデータ収集装置6に伝送する指令を出力するデータ編集部44と、データ編集部44からのデータを共通のデータ収集装置6に通信を行う無線通信回路部45と、判定検出部42からの内部トリガ信号を取り込み光トリガ信号に変換する例えばフォトダイオードからなる電気光変換部46と、後述する検出器のうち自分以外の他の検出器からの外部トリガ信号を取り込み、この外部トリガ信号を電気トリガ信号に変換する例えばフォトトランジスタからなる光電気変換部47とを備えている。
【0028】
そして、各検出器2、3、4に有する電気光変換部26、36、46からの光トリガ信号を例えば光ファイバからなる第1光伝送路28、38、48を経由して例えばスターカプラからなる光結合器5に導き、この光結合器5に導かれた光トリガ信号を第2光伝送路例えば光ファイバ28A、38A、48Aを経由して各検出器2、3、4に有する光電気変換部フォトトランジスタ27、37、47に導いて外部トリガ信号を得るように構成したものであって、各検出器2、3、4のうち自検出器に有する判定検出部22、32、42からの内部トリガ信号の発生タイミングに比べて、各検出器2、3、4のうち自分以外の他検出器に有する判定検出部22、32、42からの外部トリガ信号の発生タイミングは、電気光変換部26、36、46、光伝送路28、38、48、光結合器5、光伝送路28A、38A、48A、光電気変換部27、37、47を経由してデータ編集部24、34、44に伝送することで生ずる伝送遅れを考慮して、データ収集装置6では各検出器2、3、4で採取した同一時刻におけるデータを得るようにしたデータ収集システムである。
【0029】
なお、アース電流検出器3は電源装置1の端子FGからアース電流を検出し、また交流電圧検出器4は電源装置1の交流端子ACにラインフィルタ7を介して交流電圧を測定するようになっている。
【0030】
図2は、判定検出部22、32、42の機能のうち、入力値の波形があるパターンと合致したことを検出する波形パターン合致検出部を説明するための図で、図2(a)は、
静電気の場合の波形パターンであり、図2(b)は例えば電磁波の場合の波形パターンであり、波形パターン合致検出部はこれらの波形パターンが基準波形パターンと合致するかどうかを検出する機能である。
【0031】
図1の検出器2、3、4のデータ編集部24、34、44は、いずれも同一動作であるので、ここでは代表して24の動作、具体的には電子機器の環境が変動した場合の検出器2のうちデータ編集部24の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。電磁ノイズなどで測定箇所の電圧が変化した場合、その変化はA/D部21でデジタルデータとして測定され一時記憶部23に格納するとともに、その値が設定された閾値を越えたあるいは測定された一連の波形が予め設定されたパターンと合致しているかを、判定検出部22にて判定し、それに相当する場合にデータ編集部24にトリガ信号(内部トリガ信号)を送信すると共に、そのトリガ信号を他の検出器にも電気光変換部26、光伝送路28、38A、48Aを経由して送信する。他の検出器3、4からの閾値超えや波形パターン合致のトリガ信号が光伝送路38、48、28Aを経由して届いた場合、その光信号を光電気変換部27を経由してデータ編集部24は受ける。
【0032】
データ編集部24、34、44は自検出器で作られたトリガ検出かどうかを判定し(S1)、自検出器にてトリガ信号検出の場合、その検出時刻のデータを、無線通信回路部25、35、45に出力して、図1のデータ収集装置6に送信する(S2)。もし、S1において自検出器で作られたトリガ信号でなく他検出器から光信号で届いたトリガ信号の場合、その届いた時刻から予め予想される光伝送系の遅延時間を差引いた時刻のデータを、無線通信回路部25、35、45にてデータ収集装置6に送信する(S3)。
【0033】
(効果)
図3は、図1のデータ収集システムの作用効果を説明するための図で、図3(a)は直流電圧検出器2で検出した直流電圧波形であり、図3(b)は交流電圧検出器4で検出した交流電圧波形であり、図3(c)はアース電流検出器3で検出した接地電流波形である。図3において、直流電圧波形が閾値を超えると、判定検出部22から内部トリガ信号が出力され、内部トリガ信号が電気光変換部26、光伝送路28、光結合器5、光伝送路48A、光電気変換部47を経由して交流電圧検出器4のデータ編集部44に入力され、また内部トリガ信号が電気光変換部26、光伝送路28、光結合器5、光伝送路38A、48A、光電気変換部37、47を経由してアース電流検出器3、交流電圧器4のデータ編集部34、44に入力される。ところが、この場合接地電流波形及び交流電圧波形の変化はないので、交流電圧検出器4及びアース電流検出器3のノイズによる影響がないと推定できる。
【0034】
図4は、図1のデータ収集システムの作用効果を説明するための図で、図4(a)は直流電圧検出器2で検出した直流電圧波形であり、図4(b)はアース電流検出器3で検出した接地電流波形である。図4において、直流電圧波形が閾値を超えると、判定検出部22から内部トリガ信号が出力され、内部トリガ信号が電気光変換部26で光トリガ信号に変換され、この変換された光トリガ信号は、光伝送路28、光結合器5、光伝送路38Aからなる光伝送系を経由して光電気変換部37に導き、この光電気変換部37において電気トリガ信号に変換してアース電流検出器3のデータ編集部34に入力される。この場合、接地電流波形によるトリガ信号が発生しないが、前記トリガ信号がアース電流検出器3のデータ編集部34に入力される前に、アース電流検出器3の接地電流波形が変化していることから、接地電流波形の変化が、直流電圧検出器2が測定した直流電圧波形に影響を与えたと推定できる。
【0035】
このように、各検出器間例えば直流電圧検出器2と、アース電流検出器3の間で、各判定検出部22、32から発生する電気トリガ信号を、光トリガ信号に変換し、この光トリガ信号を光伝送系を経由して自分から自分以外の他人に与えて検出器間において実質的に同期を高速例えばナノ秒オーダで取ることで、因果関係が分かり原因推定が可能になる。
【0036】
ここで、光トリガ信号を受けた検出器は、トリガ信号を光トリガ信号に変換するに要する電気光変換時間、光伝送路での伝送時間、自検出器内での光トリガ信号をトリガ信号に変換する光電気信号変換時間を合計した時間分過去のデータをもってその検知時刻と同時刻と判断する。
【0037】
例えば、トリガ信号を電気光変換部26、36、46において光トリガ信号に変換に要する遅れ時間をa秒と、変換された光トリガ信号を光伝送路28、38、48を経由して光結合器5に導くまでの伝送路遅れ時間をb1秒と、光結合器5に導かれた光トリガ信号を光伝送路28A、38A、48Aを経由して光電気変換部27、37、47に導かれるまでの伝送路遅れ時間をb2秒と、光電気変換部27、37、47において電気トリガ信号に変換に要する遅れ時間をc秒とすると、自分の検出器の判定検出器からのトリガ信号が他の検出器のデータ編集部に伝わるまでのトリガ信号伝送時間は、a+b1+b2+c(秒)で計算することができ、その仕様に合うよう検出器の回路を構成する半導体素子や光伝送系を作ることが可能である。例えば、aやcはナノ秒より小さくできる。光伝送系の遅延は光伝送路を光速で伝わる時間であり、これも数mを仮定すると数十ナノ秒程度の遅れとできる。この時間は更に、予め測定しておくこともできる。
【0038】
またこのとき波形データと言う意味のある一群の時系列データを採取するためには閾値を超えた時刻を含む一定の時間の間のデータであることが必要である。例えばインバータノイズであればインバータ素子を流れる電流がオンからオフにスイッチする瞬時から1〜2、3サイクル目のピーク電圧が波形中で一番高く、あとは低くなる性質があり閾値超え時刻から採取するデータを波形データとして採用しても問題ないが、電源線にリレーの入り切り時のノイズが重畳する場合、全体数マイクロ秒の波形の中間あたりにピーク電圧を持つ。そのため閾値超え時刻が波形を示すデータ列の中心付近に来るようにする必要がある。この場合、閾値超えを検知した検出器もトリガを受けた検出器も記憶している一時記憶部でその検知時刻から一定の時間前からのデータ列をデータ収集装置に送信する。
【0039】
この場合の光伝送系は、電気光変換部26、36、46、光伝送路28、38、48、光結合器5、光伝送路28A、38A、48A、光電気変換部27、37、47である。通常トリガ信号の遅れは、これら光伝送系を経由する各々の時間の合計であるが、電気光変換部26、36、46、光電気変換部27、37、47はおよそナノ秒程度であるのに対し、光伝送路28、38、48は電子機器(電子盤)など1〜2m四方の空間を想定する場合数十ナノ秒が予測される。この実施例および以下の実施例2〜6では光経路を構成する各部品の経年劣化が無視できることを前提とし、かつ光結合器5〜各検出器2、3、4までの光伝送路28、38、48と、光伝送路28A、38A、48Aの長さが均一であることを前提とし、それゆえ光伝送路28、38、48と光結合器5、光結合器5と光伝送路28A、38A、48Aを経由する時間はどの検出器2、3、4間をとってもその伝送時間を数ナノ秒程度以下の誤差に抑えることができる。
【0040】
以上述べたことから、実施例1では内部トリガ信号の受付時刻から、光伝送系の遅れ時間を差引いた時刻のデータを選ぶことで、各検出器2、3、4から送信されるデータの時刻を10ナノ秒以下で一致させることができる効果がある。
【0041】
実施例1において、電気信号を有線で伝送せず、光伝送路28、38、48、28A、38A、48Aを用いているので、電磁波などのノイズ発生の場合、電磁波がその有線経由で検出器2、3、4の誤動作あるいは誤信号を発生させる可能性を除去することができる。
【0042】
実施例1によれば、電線を持たない互いに疎な、直流電圧検出器2、アース電流検出器3、交流電圧検出器4間で、おのおのが数ナノ秒〜10ナノ秒の高速周期でデータ処理を行うことが可能で、各検出器2、3、4間で10ナノ秒程度の精度でのデータ同時性を確保することが容易である。これに対して従来のデータ収集システムでは、電子機器がその設置環境からノイズの影響をうける場合、インバータノイズ、静電気放電によるノイズ、スイッチ入切りによる誘導ノイズなど様々なノイズ要因があり、またその伝達経路も電源ライン、アースライン、空中(電磁波)などのケースがある。こういうノイズの影響を受けた場合、その現象を捉え、発生させた要因やその伝達経路を明確にすることでノイズ対策が行えるが、その検出器は動作時にノイズの影響を受けない(電線を持たない)ことが前提となる。前述のノイズの影響の伝達を分析するためには、ノイズ波形を電源やアースラインなどで比較することが必要だが、電線を持たない互いに疎な、例えば直流電圧検出器、アース電流検出器、交流電圧検出器間で、おのおのが数ナノ秒〜10ナノ秒の高速周期でデータ処理を行う検出器間で、10ナノ秒程度の精度でのデータ同時性を確保することが困難であった。
【0043】
[実施例2]
図1、図6を用いて実施例2を説明する。
【0044】
実施例2の構成は、図1の実施例1と同じであるので、その説明を省略する。図6は、図1のデータ編集部24、34、44の動作を説明するためのフローチャートである。電子機器の環境が変動した場合の検出器の動作について説明する。
【0045】
電磁ノイズなどで測定箇所の物理量が変化した場合、その変化はA/D部21、31、41でデジタルデータとして測定され一時記憶部23、33、43に格納するとともに、一時記憶部23、33、43に格納された物理量データが設定された閾値を超えたあるいは測定された物理量データの一連の波形が基準波形パターンと合致しているかを、判定検出部22、32、42にて判定し、その判定条件を満たす場合にデータ編集部24、34、44に内部トリガ信号を送信すると共にその内部トリガ信号を他の検出器にも電気光変換部26、36、46、光伝送路28、38、48、光結合器5、光伝送路28A、38A、48A、光電気変換器27、37、47を順次経由して送信する。他の検出器からの判定検出部22、32、42から判定基準を満たしたことで、得られる外部トリガ信号が光伝送路28A、38A、48Aを経由で届いた場合、その光信号を光電気変換器27、37、47を経由してデータ編集部24、34、44に受ける。
【0046】
データ編集部24、34、44は自検出器で作られたトリガかどうかを判定し(S1)、自検出器でのトリガ信号の場合、その検出時刻から一定時間分のデータを無線通信回路部25、35、45にてデータ収集装置6に送信する(S4)。もし自検出器で作られたトリガ信号でなく他検出器から届いた外部トリガ信号の場合、その届いた時刻から予め予想される光伝送系の遅延時間を差引いた時刻のデータから一定時間分のデータを無線通信回路部25、35、45にてデータ収集装置6に送信する(S5)。
【0047】
(効果)
以上述べた実施例2によれば、一定時間分のデータをデータ収集装置6に送信することにより実施例1に比較し「波形」としてのデータをデータ収集装置6にて表示したり、比較したりすることが可能になるという効果がある。
【0048】
[実施例3]
図1および図7を用いて実施例3を説明する。
【0049】
実施例3の構成は、図1の実施例1と同じであるので、ここではその説明を省略する。図7は、図1のデータ編集部24、34、44の動作を説明するためのフローチャートである。電子機器の環境が変動した場合の検出器の動作について説明する。
【0050】
電磁ノイズなどで測定箇所の物理量が変化した場合、その変化はA/D部21、31、41でデジタルデータとして測定され一時記憶部23、33、43に格納するとともに、その値が判定検出部22、32、42にて判定条件を満たしているかを判定し、判定条件を満たしている場合にデータ編集部24、34、44に内部トリガ信号を送信するとともにその内部トリガ信号を他の検出器にも、電気光変換部26、36、46を経由して送信する。
【0051】
他の検出器の判定検出部22、32、42から外部トリガ信号が光伝送路28、38、48、光結合器5、光伝送路28A、38A、48Aを経由して届いた場合、その外部トリガ信号(光信号)は光電気変換器27、37、47を経由してデータ編集部24、34、44に受ける。
【0052】
[実施例4]
図8及び図9を用いて実施例4を説明する。
【0053】
図8は、図1の交流電圧検出器4の代わりに、以下に述べる機能を持たせた交流電圧検出器4Aを設けたものである。交流電圧検出器4Aは、図1の交流電圧検出器4に新たに後述する機能を有するカウンタ回路部49を追加し、かつ以下に述べる機能を有するデータ編集部44Aを設けたものである。交流電圧検出器4A以外の直流電圧検出器2、アース電流検出器3もそれぞれ図8のカウンタ回路部49と同様にカウンタ回路部を備えているが、図8ではこれらは省略されている。なお、図8において、図1と同一符号部分は図1と同一機能であり、ここではその説明を省略する。
【0054】
図8に示すようにデータ編集部44Aにカウンタ回路部49を接続し、データ編集部44との間で、データをやり取りするものである。ここで使用するカウンタ回路部49は、一定周期内のクロックパルスを計数するもので、例えばインクリメントカウンタであり、そのカウンタ値がフルカウントになったとき次は0からのスタートとなる。このようなカウンタ回路部は、他の検出器例えば図1の直流電圧検出器2、アース電流検出器3にも設けられている。検出器4Aに設けられるカウンタ回路部49と、他のカウンタ回路部は、いずれも同一周波数で動作するように構成したものであるが各々の検出器のカウンタ回路部は非同期であり、各カウンタ回路部のうち特定の検出器例えば交流電圧検出器4Aに有するカウンタ回路部49はカウント値が0になったとき時刻同期信号を出力するものである。
【0055】
以上述べた構成以外は、図1と同じで、次のような構成を備えている。すなわち、測定対象のアナログの物理量を取り込み、これをデジタルデータに変換するアナログデジタル変換部41と、前記測定した物理量のデータが設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部42と、測定した物理量のデータを一定時間一時記憶する一時記憶部43と、判定検出部からのトリガ信号を取り込んだとき前記一時記憶部43で記憶されたデータをデータ収集装置6に送信し、かつカウンタ回路部49のカウント値を自分以外の他の検出器に出力するデータ編集部44Aと、特定の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を光信号に変換する電気光変換部(EO)46Aと、特定の検出器以外の他の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を電気信号に変換する光電気変換部(OE)47Aと、を備えている。そして、特定の検出器に有する判定検出部の内部トリガ信号及び前記特定の検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記他検出器の光電気変換部に、或いは前記他検出器に有する判定検出部の外部トリガ信号及び前記他検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記特定の検出器の光電気変換部に、それぞれ分配する光結合器5を具備している。
【0056】
このように構成されたものにおいて、特定の検出器に有するデータ編集部は、特定の検出器に有する判定検出部から生じた内部トリガ信号を検知したとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に伝送すると共に、特定の検出器のカウンタ回路部から出力された時刻同期信号を、特定の検出器に有する電気光変換部、光伝送路、光結合器、光伝送路、光電気変換部からなる光伝送系を経由して特定以外の他の検出器のデータ編集部が受け取ると、光伝送系を経由することで信号伝送遅れによる遅延時間分に相当する特定以外の他の検出器に有するカウンタ回路部のカウント値を、特定以外の他検出器のカウンタ回路部の初期値として再スタートさせることで各検出器で得られる同時刻のデータをデータ収集装置に収集できるようにしたデータ収集システムである。
【0057】
次に、このように構成された実施例4の動作について、図9のデータ編集部の処理フローを参照して説明する。まず交流電圧検出器4に有するカウンタ回路部49と、他の検出器に有するカウンタ回路部との同期をとる際の説明を行う。なお、カウンタ回路部49と、これ以外の検出器2、3にそれぞれ有するカウンタ回路部はすべてインクリメントカウンタであり、カウンタがフルカウントになったとき次は0からのスタートとなることを前提で動作を説明する。
【0058】
図9の(S20)では自検出器側の信号検出かどうかを判定しているが、自検出器で信号検出の場合、自分自身(自検出器)が時計マスタで、かつカウンタ回路部49からの時刻同期信号(0時刻信号)であるかどうかを判定する(S8)。S8においてもし、YESであれば、他検出器に対し「0時刻信号」を電気光変換部46Aを経由して出力する。
【0059】
上記のS8において、自分が時計マスタでなかったり、あるいはカウンタ回路部49から0時刻信号でない場合は、次のS10の処理に移り、ここで判定検出部からの閾値超え検出か?を判断する。また、S20において信号検出が自検出器でない場合(S20の判定でNOの場合)、他検出器からの0時刻信号か、又は他検出器からの閾値超え(あるいは波形パターン合致検出か)を判定する(S13)。S13において、0時刻信号であれば自検出器のカウンタ回路部を初期値に設定し再スタートする(S14)。この場合の初期値とは、時計マスタからの0時刻信号が光伝送系の経由で伝送される伝送遅延時間に相当するカウンタ値である。
【0060】
なお、実施例4の例ではカウンタ回路部49の同期は時計マスタである検出器で0検出毎に行うが精度の範囲で何回かに1回の同期でよい。
【0061】
次に測定された物理量データは、検出器の判定検出部で判定条件を満たした場合の動作について説明する。
【0062】
図9の(S10)にて自検出器の判定検出部で判定条件を満たした場合、その判定条件を満たした検出時刻のデータを無線通信回路部45から図1のデータ収集装置6に送信すると共に(S11)、その判定条件を満たした検出時刻を示すカウンタ回路部49のカウンタの値を電気光変換部46Aを経由して他検出器に送信する。
【0063】
また、他検出器の判定検出部において判定条件を満足するかを判定し、その判定条件を満たしたときの時刻を示すカウンタ回路部49のカウンタ値が光電気変換部46Aを経由で受信した場合(S13の閾値超え側へのフロー)、カウンタ回路部49のカウンタ値で示される時刻データを無線通信回路部45からデータ収集装置6に送信する(S15)。
【0064】
上記の説明はカウンタ回路部49のカウンタ値を光信号で他検出器に送ることを仮定して説明しているが、無線通信方式の伝送容量が許す場合は無線通信回路部45を経由で送信してもよい。前述した実施例1〜3では電気光変換部、光電気変換部ではトリガ信号のみを変換しているので、単純な構成がよいが、実施例4の電気光変換部46A、光電気変換部47Aはトリガ信号及びカウンタ回路部49のカウンタ値を変換するので、前述した実施例1〜3に比べて複雑となる。
【0065】
(効果)
以上述べた実施例4によれば、ある瞬間において各検出器に有するすべてのカウンタ回路部のカウンタ値を同じ値にすることができる。
【0066】
前述の実施例1〜3の説明ではトリガ検出時刻に対し、他の検出器のデータはそのトリガ時刻に対して、相対時刻で扱う事を前提にしているが、実施例4では各検出器の内部にそれぞれ時計機能を有するカウンタ回路部を設け、このうち特定のマスタ検出器のカウント値の時刻で、マスタ以外の検出器のカウンタ回路部のカウント値を各検出器間で精度よく同期させることができ、これにより各検出器は同時刻データを扱うことができる。
【0067】
その場合、各検出器内に有するカウンタ回路部は、共通の周波数で動作する高速のカウンタ回路部(時計)を持ち、時計マスタからカウンタリセットの時刻同期信号を出し、マスタ以外の他の検出器が時刻同期信号を受け、その信号の光伝送系の遅れをカウンタリセット時の初期値としてセットする方法である。この方式をもつデータ収集システムでは各検出器に有する判定検出部が閾値超えを検知した検出器はその時刻としてカウンタの値を他の検出器に知らせ、知らされた他の検出器はそのカウンタ値に相当する自検出器内のデータを同時刻のデータとして採用する。波形データとして意味のあるデータ列を扱う場合もそのカウンタ値から一定時間前の時刻からのデータ列を採用することで可能となる。
【0068】
[実施例5]
図8、図10を用いて実施例5を説明する。
【0069】
実施例5の構成は図8の説明は同じであるので、ここではその説明を省略する。実施例4と異なる点は、前記検出器のうち前記判定検出部から生じた内部トリガ信号を検知したときにおける前記内部トリガ信号を検知した検出器のカウンタ回路部のカウント値を、前記内部トリガ信号を検知した検出器の前記電気光変換部で光信号に変換し、前記光伝送路、前記光結合器、前記光伝送路を経由して、前記内部トリガ信号を検知した検出器以外の検出器に有する前記光電気変換部で電気信号に変換し、前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値に相当する時刻から一定個数の前記一時記憶部に一時記憶されているデータを読出し、この読み出したデータ及び前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値を、前記データ収集装置に収集できるようにしたデータ収集システムである。
【0070】
また図10における(S20)(S8)(S9)(S10)(S16)(S13)(S14)は図9の同一番号箇所と同じでありそれらが示すカウンタ回路部49の同期を行う方法の説明を省略する。次に物理量データ(入力信号)が、判定検出部の判定条件を満たしている場合の動作について説明する。
【0071】
図10の(S10)にて自検出器の判定検出部が判定条件を満たしていれば、その検出時刻から一定時間分の一時記憶部43で記憶されているデータを無線通信回路部45からデータ収集装置6に送信するとともに(S16)、その検出時刻を示すカウンタ回路部49のカウンタの値を電気光変換器(46A)を経由して他検出器に送信する(S12)。
【0072】
また、他検出器の判定検出部が判定条件を満たしていると判定したとき、その時刻を示すカウンタ回路部49のカウンタ値を、光電気変換器47Aを経由して受信した場合(S13の閾値超え側へのフロー)、そのカウンタの値でしめされるデータから一定時間分無線通信回路部45からデータ収集装置6に送信する(S17)。
【0073】
以上述べた実施例5の場合は、カウンタ回路部49のカウンタ値を光信号で他検出器に送ることを仮定して説明しているが、無線通信方式の伝送容量が許す場合は無線通信回路部45を経由で送信してもよい。前述した実施例1〜3では電気光変換部、光電気変換部ではトリガ信号のみを変換しているので、単純な構成がよいが、実施例5の電気光変換部46A、光電気変換部47Aはトリガ信号及びカウンタ回路部49のカウンタ値を変換するので、前述した実施例1〜3に比べて複雑となる。
【0074】
以上述べた実施例5は、次のようにしても同様に実施できる。実施例4と異なる点は、
前記検出器のうち前記判定検出部から生じた内部トリガ信号を検知したときその時刻における前記内部トリガ信号を検知した検出器のカウンタ回路部のカウント値を、前記内部トリガ信号を検知した検出器の前記電気光変換部で光信号に変換し、前記光伝送路、前記光結合器、前記光伝送路を経由して、前記内部トリガ信号を検知した検出器以外の検出器に有する前記光電気変換部で電気信号に変換し、前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値に相当する時刻から一定個数の前記一時記憶部に一時記憶されているデータを読出し、この読み出したデータ及び前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値を、前記データ収集装置に収集できるようにしたデータ収集システムである。
(効果)以上述べた実施例5によれば、一定時間分のデータをデータ収集装置6に送信することにより実施例4に比較し「波形」としてのデータをデータ収集装置6にて表示したり比較したりすることが可能になるという効果がある。なおこれは実施例2の実施例1に対する効果と同じである。
【0075】
[実施例6]
図8、図11を用いて実施例6の説明を行う。
【0076】
実施例6の構成は、図8の実施例4と同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0077】
実施例4と異なる点は、前記検出器のうち前記判定検出部から生じた内部トリガ信号を検知したときその時刻における前記内部トリガ信号を検知した検出器のカウンタ回路部のカウント値を、前記内部トリガ信号を検知した検出器の前記電気光変換部で光信号に変換し、前記光伝送路、前記光結合器、前記光伝送路を経由して、前記内部トリガ信号を検知した検出器以外の検出器に有する前記光電気変換部で電気信号に変換し、前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値に相当する時刻を含む過去の一定時間から一定個数の前記一時記憶部に一時記憶されているデータを読出し、この読み出したデータ及び前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値を、前記データ収集装置に収集できるようにしたデータ収集システムである。
【0078】
また図11における(S20)(S8)(S9)(S10)(S12)(S13)(S14)は、図9の同一符号箇所と同じでありそれらが示すカウンタ回路部49の同期を行う方法の説明を省略する。
【0079】
次に物理量データ(入力信号)が、判定検出部の判定条件を満たしている場合の動作について説明する。図11の(S10)にて自検出器の判定検出部がその判定条件を満たしている場合には、その検出時刻からその時刻を含む過去の一定時間から一定個数の一時記憶部で記憶されているデータを、無線通信回路部45からデータ収集装置6に送信するとともに(S18)、その検出時刻を示すカウンタ回路部49のカウンタの値を電気光変換器46Aを経由して他検出器に送信する(S12)。
【0080】
また、他検出器の判定検出部がその判定条件を満たしている場合には、その時刻を示すカウンタ値を光電気変換器経由で受信した場合(S13)の閾値超え側へのフロー)、そのカウンタ回路部49のカウンタの値でしめされる時刻を含む過去の一定時間から一定個数の一時記憶部で記憶されているデータを、無線通信回路部45からデータ収集装置6に送信する(S19)。
【0081】
以上述べた実施例6の場合は、カウンタ回路部49のカウンタ値を光信号で他検出器に送ることを仮定して説明しているが、無線通信方式の伝送容量が許す場合は無線通信回路部45を経由で送信してもよい。前述した実施例1〜3では電気光変換部、光電気変換部ではトリガ信号のみを変換しているので、単純な構成がよいが、実施例5の電気光変換部46A、光電気変換部47Aはトリガ信号及びカウンタ回路部49のカウンタ値を変換するので、前述した実施例1〜3に比べて複雑となる。
【0082】
(効果)実施例6によれば、検出器の判定検出部がその判定条件を満たしている場合には、その検出時刻より以前からある物理量データの波形の特徴を持つ場合が多く、その時刻を含む一定時間過去から一連のデータ列を扱うことで実施例5にくらべデータ収集装置6にてその波形や影響の把握が容易になるという効果がある。なおこれは実施例3の実施例2に対する効果と同じである。
【0083】
[実施例7]
図12を用いて実施例7を説明する。
【0084】
図12は図1の構成に新たにロジックアナライザ50を追加したものであり、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。前述した実施例1〜7では、「光伝送系を構成する各部品の経年劣化が無視できること」および「光結合器5〜各検出器2、3、4までの光伝送路48の長さが均一であることを前提としているが、前者は光電気変換部、電気光変換部が通常は経年変化部品であること、また光伝送路48を伝わるデータ伝送時間が光伝送路48内での信号の反射の回数(回線の曲がり具合)に依存することが知られており、それを定性的に、また定期的に補正する仕組みの例である。
【0085】
図12において自検出器の判定検出部がその判定条件を満たしている場合には、自検出器の判定検出部から出力される内部トリガ信号(電気トリガ信号)を受取る他検出器の光電気変換部の出力電気信号までの時間をロジックアナライザ50にて定性的あるいは定期的に測定し、その値にて「光経路を伝わる時間」の補正を行うものである。
【0086】
(効果)
実施例7によれば、光伝送路の配線や光伝送系の経年劣化による誤差を小さくできる効果がある。
【0087】
なお、図12の構成は自検出器の内部トリガ信号を自検出器で受取る場合について示しているが、自検出器〜他の各検出器での測定でも同様の原理で測定が可能である。また、図12には示していないが検出器の内部構成として図8のようなカウンタ回路部49を持つ場合、ロジックアナライザ50などの外部測定機器ではなく検出器内のカウンタを用いて測定する方法でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、同一筐体内にある電子機器の物理量を検出する複数の検出器のデータを収集するデータ収集システム或いは異なる筐体内にある電子機器の物理量を検出する複数の検出器のデータを収集するデータ収集システムのいずれでも適用できる。
【0089】
本発明は、複数の検出器で、電子装置の電圧、電流などの物理量の変化を各々測定し、この各々測定した物理量データを、無線通信方式で、データ収集装置に伝送し、このデータ収集装置においてデータ処理を行うあらゆるデータ収集システムにも適用できる。
【0090】
本発明は前述した実施例に限定されず、物理量の測定データをA/D部21、31、41でデジタル値に変換した例を挙げて説明したが、A/D部21、31、41がなく物理量の測定データをアナログ値のままであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…電源装置、2…直流電圧検出器、3…アース電流検出器、4…交流電圧検出器、5…光結合器、6…データ収集装置、7…ラインフィルタ、21、31、41…アナログデジタルコンバータ部(A/D部)、22、32、42…判定検出部、23、33、43…一時記憶部、24、34、44…データ編集部、25、35、45…無線通信回路部、26、36、46、46A…電気光変換部、27、37、47…光電気変換部、28、38、48、28A、38A、48A…光伝送路、49…カウンタ回路部、50…ロジックアナライザ、122…超音波マイク、123…電流検出器、124A…デジタル信号変換部、125A…データ収集部、126…ノートパソコン、223…通信LSI、224…バッファメモリ、225…MPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検出器で、電子装置の電圧、電流などの物理量の変化を各々測定し、この各々測定した物理量データを、無線通信方式で、データ収集装置に伝送し、このデータ収集装置においてデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、各々判定検出部と、電気光変換部と、光電気変換部と、データ編集部とを備え、
前記判定検出部は前記測定した物理量が閾値を超えるか、或いは基準波形パターンと合致するかを判定検出するものであって、その判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力するものであり、
前記電気光変換部は前記判定検出部からの内部トリガ信号を取り込み光トリガ信号に変換するものであり、
前記光電気変換部は自分以外の他の検出器からの外部トリガ信号を取り込み、この外部トリガ信号を電気トリガ信号に変換するものであり、
前記データ編集部は前記判定検出部からの内部トリガ信号及び前記光電気変換部からの前記外部トリガ信号を取り込み、前記トリガ信号を取り込んだとき、前記測定した物理量データを前記データ収集装置に伝送する指令を出力するものであり、
前記各検出器に有する電気光変換部からの光トリガ信号を第1光伝送路を経由して光結合器に導き、この光結合器に導かれた光トリガ信号を第2光伝送路を経由して前記各検出器に有する前記光電気変換部に導いて前記外部トリガ信号を得るように構成したものであって、前記各検出器のデータ編集部に取り込まれる前記トリガ信号のうち自検出器に有する前記判定検出部からの内部トリガ信号の発生タイミングに比べて、前記各検出器のうち自分以外の他検出器に有する判定検出部からの外部トリガ信号の発生タイミングは、前記電気光変換部、前記第1光伝送路、前記光結合器、前記第2光伝送路、前記光電気変換部を経由して前記データ編集部に伝送することで伝送遅れが生ずるがこの遅れ分を考慮して、前記データ収集装置では前記各検出器で採取した同一時刻におけるデータを得るようにしたことを特徴するデータ収集システム。
【請求項2】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量のデータを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で測定したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、前記測定した物理量のデータが設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記測定したデータを一定時間一時記憶する一時記憶部と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号を光信号に変換し、この光光信号を伝送路と光結合器からなる光伝送系を経由して前記自分以外の他の検出器に送る際に電気信号に変換した外部トリガ信号を伝送するトリガ信号伝送系と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号が取り込まれたとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、前記トリガ信号伝送系からの外部トリガ信号が取り込まれた時刻から予め予想される前記光伝送系の送信時間を差し引いた過去の時刻における、前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信するデータ編集部と、備え
前記データ収集装置に、前記データ編集部が外部トリガ信号を受信した場合その受信時刻から前記光伝送路でのトリガ信号の遅延時間分の過去のデータを送信するようにし、10ナノ秒以下の精度での前記各検出器の同時刻データを収集することしたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項3】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定し一定時間データを保持する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で測定したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、前記測定したアナログの物理量を取り込み、この物理量が変化した場合デジタルデータに変換するアナログデジタル変換部と、
前記アナログデジタル変換部からのデジタルデータが各々設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記アナログデジタル変換部からのデジタルデータを一定時間一時記憶する一時記憶部と、
前記判定検出部から出力される内部トリガ信号を取り込み、この内部トリガ信号の取り込み時刻における、前記一時記憶部で記憶されたデータを、前記データ収集装置に送信し、また前記トリガ信号が他検出器で作られた外部トリガ信号と判定した場合、この外部トリガ信号が届いた検出時刻から予め予想される光伝送路の送信時間を差し引いた時刻における、前記一時記憶部で記憶されたデータを、前記データ収集装置に送信するデータ編集部と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号が出力されたタイミングで光信号に変換する電気光変換部と、
前記自検出器以外の他検出器からの判定検出部からの外部トリガ信号が入力されたタイミングで電気信号に変換する光電気変換部と、を備え、
前記電気光変換部からの内部トリガ信号は光伝送路を経由して収集し、それらの信号を光伝送路及び前記光電気変換部を経由して前記再び前記各検出器に分配したり、あるいは自分以外の他の検出器の前記電気光変換部からの外部トリガ信号は光伝送路を経由して収集し、それらのトリガ信号を光伝送路及び前記光電気変換部を経由して再び前記各他の検出器に分配する光結合器を具備し、
前記データ収集装置に、前記データ編集部が外部トリガ信号を受信した場合前記光伝送路でのトリガ信号の遅延時間分の過去データを送信するようにし、10ナノ秒以下の精度での前記各検出器の同時刻データを収集することしたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項4】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量のデータを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で測定したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、前記測定した物理量のデータが設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記測定したデータを一定時間一時記憶する一時記憶部と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号を光信号に変換し、この光光信号を伝送路と光結合器からなる光伝送系を経由して前記自分以外の他の検出器に送る際に電気信号に変換した外部トリガ信号を伝送するトリガ信号伝送系と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号が取り込まれたとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、前記トリガ信号伝送系からの外部トリガ信号が取り込まれた時刻から前記トリガ信号伝送系を通過に要する時間を差し引いた過去の時刻から一定時間分のデータを前記データ収集装置に送信するデータ編集部と、備え
前記データ収集装置に、前記データ編集部が外部トリガ信号を受信した場合前記トリガ信号伝送系でのトリガ信号の伝達に要する時間を差し引いた過去の時刻から一定時間分のデータを送信するようにし、10ナノ秒以下の精度での前記各検出器の同時刻データを収集することを特徴とするデータ収集システム。
【請求項5】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量データを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で検出したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、前記測定したアナログの物理量を取り込み、この物理量が変化した場合デジタルデータ列に変換するアナログデジタル変換部と、
前記アナログデジタル変換部からのデジタルデータ列が各々設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号が取り込まれたとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、前記トリガ信号伝送系からの外部トリガ信号が取り込まれた時刻から前記トリガ信号伝送系を通過に要する時間を差し引いた過去の時刻から一定時間分のデータを前記データ収集装置に送信するデータ編集部と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号が出力されたタイミングで光信号に変換する電気光変換部と、
前記自検出器以外の他検出器からの判定検出部からの外部トリガ信号が入力されたタイミングで電気信号に変換する光電気変換部と、を備え、
前記電気光変換部からの内部トリガ信号は光伝送路を経由して収集し、それらの信号を光伝送路及び前記光電気変換部を経由して前記再び前記各検出器に分配したり、あるいは自分以外の他の検出器の前記電気光変換部からの外部トリガ信号は光伝送路を経由して収集し、それらのトリガ信号を光伝送路及び前記光電気変換部を経由して再び前記各他の検出器に分配する光結合器を具備し、
前記データ送信装置に、前記データ編集部が外部トリガ信号を受信した場合前記トリガ信号伝送系でのトリガ信号の伝達に要する時間を差し引いた過去の時刻から一定時間分のデータ列を送信するようにし、10ナノ秒以下の精度での前記各検出器の同時刻データを収集することを特徴とするデータ収集システム。
【請求項6】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量のデータを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で測定したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、前記測定した物理量のデータが設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記測定したデータを一定時間一時記憶する一時記憶部と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号を光信号に変換し、この光光信号を伝送路と光結合器からなる光伝送系を経由して前記自分以外の他の検出器に送る際に電気信号に変換した外部トリガ信号を伝送するトリガ信号伝送系と、
前記判定検出部からの内部トリガ信号が取り込まれたとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、前記トリガ信号伝送系からの外部トリガ信号が取り込まれた時刻から前記トリガ信号伝送系の伝送に要する時間を差し引いた過去の時刻における、更にある時間から一定時間分の前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信するデータ編集部と、備え
前記データ収集装置に、前記データ編集部が外部トリガ信号を受信した場合前記光伝送路でのトリガ信号の遅延時間分の過去のデータを送信するようにし、10ナノ秒以下の精度での前記各検出器の同時刻データを収集することしたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項7】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量のデータを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で検出したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に取り込み、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、測定対象のアナログの物理量を取り込み、これをデジタルデータに変換するアナログデジタル変換部と、
前記アナログデジタル変換部からのデジタルデータが各々設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき信号を出力する判定検出部と、
前記アナログデジタル変換部からのデジタル値を一定時間一時記憶する一時記憶部と、
前記判定検出部から出力される内部トリガ信を取り込み、この内部トリガ信号の取り込み時刻における、前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、また前記トリガ信号が他検出器で作られた外部トリガ信号が取り込まれた時刻から光伝送路の伝達に要する時間を差し引いた過去における、更にある時間前から一定時間分の、前記一時記憶部で記憶されたデータを、前記データ収集装置に送信するデータ編集部と、
するデータ編集部と、
前記判定検出部からの信号を入力されたタイミングで光信号に変換した内部トリガ信号を出力する電気光変換部と、
前記自検出器以外の他検出器からの判定検出部からの信号を入力されたタイミングで光信号に変換した外部トリガ信号を出力する光電気変換部と、を備え、
前記電気光変換部からの光トリガ信号を光伝送路を経由して収集し、それらの信号を光伝送路及び前記光電気変換部を経由して前記再び前記各検出器に分配したり、あるいは自分以外の他の検出器の前記電気光変換部からの光トリガ信号を光伝送路を経由して収集し、それらの信号を光伝送路及び前記光電気変換部を経由して再び前記各他の検出器に分配する光結合器を具備し、
前記データ送信装置に、前記データ編集部が外部トリガ信号を受信した場合その受信時刻を含む一定時間前からある一定個数分のデータを送信するようにし、10ナノ秒以下の精度での前記各検出器の同時刻データを収集することしたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項8】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量のデータを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で測定したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、測定対象のアナログの物理量を取り込み、これをデジタルデータに変換するアナログデジタル変換部と、
前記測定した物理量のデータが設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記測定した物理量のデータを一定時間一時記憶する一時記憶部と、
一定周期内のクロックパルスを計数するカウンタ回路部と、
前記判定検出部からのトリガ信号を取り込んだとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、かつ前記カウンタ回路部のカウント値を自分以外の他の検出器に出力するデータ編集部と、
特定の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を光信号に変換する電気光変換部と、
前記特定の検出器以外の他の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を電気信号に変換する光電気変換部と、を備え、
前記各カウンタ回路部はいずれも同一周波数で動作するように構成したものであるが各々の検出器のカウンタ回路部は非同期であり、前記各カウンタ回路部のうち前記特定の検出器に有するカウンタ回路部はカウント値が0になったとき時刻同期信号を出力するものであり、
前記特定の検出器に有する判定検出部の内部トリガ信号及び前記特定の検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記他検出器の光電気変換部に、或いは前記他検出器に有する判定検出部の外部トリガ信号及び前記他検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記特定の検出器の光電気変換部に、それぞれ分配する光結合器を具備し、
前記特定の検出器に有するデータ編集部は、前記特定の検出器に有する判定検出部から生じた内部トリガ信号を検知したとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に伝送すると共に、前記特定の検出器のカウンタ回路部から出力された時刻同期信号を、前記特定の検出器に有する前記電気光変換部、前記光伝送路、前記光結合器、前記光伝送路、前記光電気変換部からなる光伝送系を経由して前記特定以外の他の検出器のデータ編集部が受け取ると、前記光伝送系を経由することで信号伝送遅れによる遅延時間分に相当する前記特定以外の他の検出器に有するカウンタ回路部のカウント値を、前記特定以外の他検出器のカウンタ回路部の初期値として再スタートさせることで前記各検出器で得られる同時刻のデータを前記データ収集装置に収集できるようにしたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項9】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量のデータを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で測定したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、測定対象のアナログの物理量を取り込み、これをデジタルデータに変換するアナログデジタル変換部と、
前記測定した物理量のデータが設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記測定した物理量のデータを一定時間一時記憶する一時記憶部と、
一定周期内のクロックパルスを計数するカウンタ回路部と、
前記判定検出部からのトリガ信号を取り込んだとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、かつ前記カウンタ回路部のカウント値を自分以外の他の検出器に出力するデータ編集部と、
特定の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を光信号に変換する電気光変換部と、
前記特定の検出器以外の他の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を電気信号に変換する光電気変換部と、を備え、
前記各カウンタ回路部はいずれも同一周波数で動作するように構成したものであるが各々の検出器のカウンタ回路部は非同期であり、前記各カウンタ回路部のうち前記特定の検出器に有するカウンタ回路部はカウント値が0になったとき時刻同期信号を出力するものであり、
前記特定の検出器に有する判定検出部の内部トリガ信号及び前記特定の検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記他検出器の光電気変換部に、或いは前記他検出器に有する判定検出部の外部トリガ信号及び前記他検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記自検出器の光電気変換部に、それぞれ分配する光結合器を具備し、
前記検出器のうち前記判定検出部から生じた内部トリガ信号を検知したときその時刻における前記内部トリガ信号を検知した検出器のカウンタ回路部のカウント値を、前記内部トリガ信号を検知した検出器の前記電気光変換部で光信号に変換し、前記光伝送路、前記光結合器、前記光伝送路を経由して、前記内部トリガ信号を検知した検出器以外の検出器に有する前記光電気変換部で電気信号に変換し、前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値に相当する時刻のときの前記一時記憶部に一時記憶されているデータを読出し、この読み出したデータ及び前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値を、前記データ収集装置に収集できるようにしたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項10】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量のデータを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で測定したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、測定対象のアナログの物理量を取り込み、これをデジタルデータに変換するアナログデジタル変換部と、
前記測定した物理量のデータが設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記測定した物理量のデータを一定時間一時記憶する一時記憶部と、
一定周期内のクロックパルスを計数するカウンタ回路部と、
前記判定検出部からのトリガ信号を取り込んだとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、かつ前記カウンタ回路部のカウント値を自分以外の他の検出器に出力するデータ編集部と、
特定の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を光信号に変換する電気光変換部と、
前記特定の検出器以外の他の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を電気信号に変換する光電気変換部と、を備え、
前記各カウンタ回路部はいずれも同一周波数で動作するように構成したものであるが各々の検出器のカウンタ回路部は非同期であり、前記各カウンタ回路部のうち前記特定の検出器に有するカウンタ回路部はカウント値が0になったとき時刻同期信号を出力するものであり、
前記特定の検出器に有する判定検出部の内部トリガ信号及び前記特定の検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記他検出器の光電気変換部に、或いは前記他検出器に有する判定検出部の外部トリガ信号及び前記他検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記自検出器の光電気変換部に、それぞれ分配する光結合器を具備し、
前記検出器のうち前記判定検出部から生じた内部トリガ信号を検知したときの時刻における前記内部トリガ信号を検知した検出器のカウンタ回路部のカウント値を、前記内部トリガ信号を検知した検出器の前記電気光変換部で光信号に変換し、前記光伝送路、前記光結合器、前記光伝送路を経由して、前記内部トリガ信号を検知した検出器以外の検出器に有する前記光電気変換部で電気信号に変換し、前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値に相当する時刻から一定個数の前記一時記憶部に一時記憶されているデータを読出し、この読み出したデータ及び前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値を、前記データ収集装置に収集できるようにしたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項11】
電子機器およびその周辺の複数の測定箇所のそれぞれ近傍に配置され、その箇所の電圧や電流、電磁波など物理量の変化をナノ秒オーダの周期で測定した物理量のデータを出力する種類の異なる複数の検出器群を有し、それら各検出器で測定したデータを無線通信手段によりデータ収集装置に収集し、ここでデータ処理を行うデータ収集システムにおいて、
前記各検出器は、測定対象のアナログの物理量を取り込み、これをデジタルデータに変換するアナログデジタル変換部と、
前記測定した物理量のデータが設定値を超えたか、或いは各々波形が基準パターンに合致したかどうかを判定し、この判定条件を満たしたとき内部トリガ信号を出力する判定検出部と、
前記測定した物理量のデータを一定時間一時記憶する一時記憶部と、
一定周期内のクロックパルスを計数するカウンタ回路部と、
前記判定検出部からのトリガ信号を取り込んだとき前記一時記憶部で記憶されたデータを前記データ収集装置に送信し、かつ前記カウンタ回路部のカウント値を自分以外の他の検出器に出力するデータ編集部と、
特定の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を光信号に変換する電気光変換部と、
前記特定の検出器以外の他の検出器のカウンタ回路部からのカウント値を電気信号に変換する光電気変換部と、を備え、
前記各カウンタ回路部はいずれも同一周波数で動作するように構成したものであるが各々の検出器のカウンタ回路部は非同期であり、前記各カウンタ回路部のうち前記特定の検出器に有するカウンタ回路部はカウント値が0になったとき時刻同期信号を出力するものであり、
前記特定の検出器に有する判定検出部の内部トリガ信号及び前記特定の検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記他検出器の光電気変換部に、或いは前記他検出器に有する判定検出部の外部トリガ信号及び前記他検出器に有するカウンタ回路部からのカウント値を電気光変換部で光信号に変換し、この変換した光信号を光伝送路を経由して収集し、この収集した光信号を前記自検出器の光電気変換部に、それぞれ分配する光結合器を具備し、
前記検出器のうち前記判定検出部から生じた内部トリガ信号を検知したときの時刻における前記内部トリガ信号を検知した検出器のカウンタ回路部のカウント値を、前記内部トリガ信号を検知した検出器の前記電気光変換部で光信号に変換し、前記光伝送路、前記光結合器、前記光伝送路を経由して、前記内部トリガ信号を検知した検出器以外の検出器に有する前記光電気変換部で電気信号に変換し、前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値に相当する時刻に相当する時刻を含む過去の一定時間から一定個数の前記一時記憶部に一時記憶されているデータを読出し、この読み出したデータ及び前記内部トリガ信号を発生していない検出器に有するカウンタ回路部のカウント値を、前記データ収集装置に収集できるようにしたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項12】
請求項1〜請求項12のいずれか1項記載のデータ収集システムにおいて、前記光電気変換部を含む経年的動作遅れや光伝送路の曲がりによる時間遅れの差を定性的あるいは定期的に測定し、その値で光信号の伝送時間を校正する校正手段を更に備え、複数検出器間でデータの同時性精度を保つようにしたことを特徴とするデータ収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−218056(P2010−218056A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62024(P2009−62024)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】