説明

データ担体ドライブ装置内のデータ担体速度を設定する方法

ホストシステム(2)とデータ転送通信状態(7)にあるディスクドライブ装置(3)内の、ディスク速度を設定する方法を開示する。本発明によれば、少なくとも1つの動作モードパラメータが考慮に入れられる。ホストシステム(2)がストリーミングモードで動作している場合には、ディスク/ドライブ転送レート(DDTR)をドライブ/ホスト転送レート(DHTR)に適合させるように、ディスク速度が設定される。一方、ホストシステム(2)がストリーミングモードで動作していない場合には、ディスク速度は、可能な限り高い値に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、光記憶ディスク等の記憶装置の分野に関するものである。より詳細には、本発明は、全体として、光記憶ディスクへの情報の書込みおよび/または光記憶ディスクからの情報の読出しを行う、ディスクドライブ装置に関するものである。以下、そのようなディスクドライブ装置を、「光ディスクドライブ」とも呼ぶものとする。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、光記憶ディスクは、情報をデータパターンの形式で記憶することができる記憶スペースの、少なくとも1つのトラックを備えており、このトラックは、一続きの螺旋の形態または多数の同心円の形態を有する。光ディスクは、製造時において情報が記録され、ユーザーによってはその情報の読出しのみが可能であるような、読出専用型であってもよい。光記憶ディスクはまた、ユーザーによる情報の記憶が可能な、書込可能型であってもよい。光記憶ディスクの記憶スペースから情報を読み出すためおよび/またはかかる記憶スペースに情報を書き込むため、光ディスクドライブは、一方では、光ディスクを受けて回転させるための回転手段を含み、他方では、典型的にはレーザービームである光ビームを発生させ、そのレーザービームで記憶トラックを走査するための光学手段を含む。光ディスクの技術は一般的なものであり、情報を光ディスクに記憶する方法や、光ディスクから光データを読み出す方法はよく知られているので、ここでこの技術をごく詳細に説明する必要はない。
【0003】
光ディスクおよびディスクドライブは、たとえばCD規格やDVD規格等といったような、種々の規格またはフォーマットに従って開発されてきた。これらの規格では、幾つかの重要なパラメータが定義されている。かかる重要なパラメータの1つは公称線速度であり、レーザービームはこの公称線速度でトラックを走査することを想定されている。以下、この公称線速度を、VlXと示すこととする。たとえば、CDの場合にはVlX,CDは約1.3m/秒であり、DVDの場合にはVlX,DVDは約3.5m/秒である。
【0004】
ディスクドライブの1つの進歩は、公称線速度よりも速い速度でディスクを再生(すなわち読出しまたは書込み)する能力である。この点に関し、ディスクドライブは、線速度一定(CLV)モードで動作してもよく、その場合、速度はNXと表すことができる(たとえば、4X、8X、10X等)。ここで、Nは現在のトラック線速度と公称線速度との間の比を表す。一方、ディスクドライブは、角速度一定(CAV)モードで動作してもよく、その場合、ディスの回転速度fDISCが一定に保たれる。ディスクコントローラにとっては、CLVモードよりもCAVモードの方が制御が容易である。明らかなことであるが、CAVモードでは、内側のトラックから外側のトラックへと進むにつれて、トラック線速度が約2.5倍変化し得る。
【0005】
速度(回転速度または線速度)の増加は、データレート(すなわち、ディスクへのデータビットの書込みまたはディスクからのデータビットの読出しのレート)の増加をもたらす。通常、かかる増加は有利だと考えられ、可能な最大のデータレートでの動作は最高の性能を与えるので、通常は、ユーザーは常にそのような可能な最大のデータレートでの動作に関心を有するものと考えられる。したがって、ディスクドライブは、典型的には、起動段階後において可能な限り速やかに可能な最大の回転速度まで加速する動作を含む、動作特性を有する。
【0006】
しかしながら、高速のディスク速度は、いくつかの欠点も伴う。たとえば、高速のディスク速度は、より多くの損耗およびより高いノイズレベルを伴う。また、より高速のディスク速度での動作は、より高い電力消費と、それに付随するより高い電力損失とを伴い、さらにおそらくはそれに付随する温度上昇も伴う。
【0007】
そのため、本発明の1つの全体的な目的は、ディスクを最適な速度で駆動することである。この最適な速度は、必ずしもそのディスクドライブが達成することのできる最大の速度ではない。本発明では、最適な速度は、必要なデータレートを提供し続ける最低のすなわち最小の速度として規定される。
【0008】
このような状況では、ディスクとディスクドライブとの間のデータ転送レートが、考慮すべき唯一の要素ではない。典型的には、ディスクドライブは、ホスト装置(たとえば、コンピュータプログラムまたはアプリケーションを実行することのできるホストコンピュータ)を含むデータ処理システムの、一部である。そのため、考慮すべき2つ目の重要な要素は、ディスクドライブとホストとの間のデータ転送レートである。ここで、ホストにより要求されるデータレート(読出動作の場合)またはホストにより提供されるデータレート(書込動作の場合)よりも、高いデータレートを与える速度でディスクを回転させることは、必ずしも必要ではない。一方、ホストにより要求されるデータレート(読出動作の場合)またはホストにより提供されるデータレート(書込動作の場合)が、ディスクドライブにより適切に処理されないほど、ディスク速度が低くなってはならない。
【0009】
米国特許第5659799号には、システム性能パラメータと関連させて、CD−ROMの速度を設定する方法が記載されている。この文献のCD−ROMディスクドライブは、ディスクから読み出されたデータを一時的に記憶するデータバッファを有する。ホストへと転送されるデータは、このバッファから取り出される。したがって、ディスクからホストへの直接のデータ転送は存在せず、代わりに、ディスクからバッファへのデータ転送およびバッファからホストへのデータ転送が存在する。バッファからホストへのデータ転送レートが、ディスクからバッファへのデータ転送レートよりも低い場合、バッファ内のデータ量が増大し、そのバッファ内のデータ量が第1の閾値を超えると、ディスクの回転速度が減らされる。一方、バッファからホストへのデータ転送レートが、ディスクからバッファへのデータ転送レートよりも高い場合、バッファ内のデータ量が減少し、そのバッファ内のデータ量が第2の閾値を下回ると、ディスクの回転速度が増やされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この既知の方法における1つの問題点は、あらゆる状況下において満足には機能しない点(すなわちロバストでない点)である。バッファ内のコンテンツレベルは、瞬間的な情報でしかなく、次の瞬間には変わってしまうかもしれない。かかる変化にシステムが直接反応するとすれば、システムの挙動は極めて落ち着かない挙動となり、ユーザーを苛立たせるものとなる。さらに、ディスク速度を頻繁に変えることは、追加の電力消費を伴う。したがって、上記の特許文献のシステムは、第2の閾値は第1の閾値よりも実質的に低くなくてはならないという事実により実装される、ヒステリシスを有する必要がある。
【0011】
さらに、上記の特許文献のシステムは、実装された減衰係数を有しており、これにより、ディスク速度の増大が比較的遅れて行われる一方、ディスク速度の低減が比較的早く行われるという結果が事実上達成される。したがって、このシステムは、高い速度に比べて低い速度に傾倒するという特性を有する。このことは、振動挙動を結果としてもたらすかもしれず、特に、ストリーミング読出しの場合において、バッファからホストへの転送レートが、ディスクからバッファへの転送レートの2つの標準値の間の値を有する際には、振動挙動を結果としてもたらすかもしれない。
【0012】
さらに、上記の特許文献において提案されている減衰係数は、多数のホスト要求(すなわち読出コマンド)に基づいている。したがって、実際の遅延は、アプリケーションとホストとの組合せに依存する。たとえば、多数の読出コマンドが出され、各コマンドが数ブロックのみを転送するものである場合には、数個の読出しコマンドが出され、各コマンドが多くのブロックを転送するものである場合と比べて、異なる遅延が結果としてもたらされる。
【0013】
本発明の1つの全体的な目的は、改善された加速および減速の挙動を有するディスクドライブを提供することである。
【0014】
特に、本発明は、一方ではディスクが実質的に最適な速度で回転し、他方では速度変更の回数が可能な限り減らされるように、ディスク速度を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの重要な側面によれば、ディスク速度は、少なくとも1つの動作モードパラメータに基づいて設定される。
【0016】
本発明のさらなる1つの重要な側面によれば、ディスク速度は、少なくとも1つのシステム性能パラメータに基づいて設定される。このシステム性能パラメータは、好ましくは、ディスク速度により左右されるパラメータである。性能が低い場合、関連のシステム性能パラメータの減少へと繋がる速度は、禁制される。
【0017】
本発明のさらなる1つの重要な側面によれば、ディスク速度は、前回の速度変更からの経過時間に基づいて設定される。好ましくは、逆方向への2回の速度変更間の最小の遅延時間は、同一方向への2回の連続する速度変更間の最小の遅延時間よりも大きい。同一方向への2回の連続する速度変更間の最小の遅延時間が比較的短い(たとえば1秒のオーダー)ことにより、ディスク速度は、ある必要な速度に比較的早く到達させられる。また、逆方向への2回の速度変更間の最小の遅延時間が比較的長い(たとえば30秒のオーダー)ことにより、速度変更工程の全体の回数が減らされ、望ましくない振動挙動が効果的に防止される。
【0018】
本発明のさらなる1つの重要な側面によれば、ディスク速度を変更する決定は、ホスト/ドライブ平均転送レートの現在値と、ディスク/ドライブ転送レートとの間の比較に基づいたものとされる。速度を増やそうとする場合、ディスク/ドライブ転送レートの現在の状況が加速を保証するものであるか否かを知るため、ホスト/ドライブ平均転送レートの現在値が、ディスク/ドライブ転送レートの現在値と比較され、加速を保証するものである場合には、加速工程が実行される。一方、現在の速度からより低い速度値への下降を行おうとする場合、ホスト/ドライブ平均転送レートの現在値が、上記のより低い速度における予測ディスク/ドライブ転送レートと比較される。すなわち、事実上、次の状況が加速を保証する状況であるか否かが予測され、そのような状況であると予測される場合には、現在の速度からより低い速度への減速は適当でないとみなされ、減速工程は実行されない。したがって、速度変更工程の全体の回数が減らされ、望ましくない振動挙動が効果的に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の上記およびその他の側面、特徴、および利点を、図面を参照しながらの本発明に係る方法の好ましい実施形態の説明によって、さらに説明する。図面中において、同一の参照番号は、同一または類似の部分を示している。
【0020】
図1は、ホストシステム2とディスクドライブ装置3とを含む、データ転送システム1を模式的に示した図である。ホストシステム2は、あるアプリケーションが走っている、プログラミング可能なコンピュータであってもよい。ディスクドライブ3は、ディスク4からデータを読み出すことができる。このディスク4は、たとえば光ディスクであり、光ディスクの例としては、たとえばCD−ROM、DVD−ROM等の読出専用型ディスク、またはたとえば書き込まれたデータを有する書込可能型のディスク(記録可能型(R)、書換可能型(RW))が挙げられる。ディスク4から受け取られたデータは、バッファ5内に記憶される。ディスク4からドライブ3へのデータ転送は、ディスク通信リンク6として示されている。このディスク通信リンク6を介したデータ転送レートを、ディスク/ドライブ転送レートDDTRと呼ぶこととする。ディスクドライブ3はさらに、ホスト通信リンク7を介して、自己のバッファ5からホストシステム2へとデータを転送することができる。このホスト通信リンク7を介したデータ転送レートを、ドライブ/ホスト転送レートDHTRと呼ぶこととする。
【0021】
図1に示したデータ転送システム1中では、種々のデータ転送レートを伴う多くの典型的な状況において、ディスクからホストへのデータ転送が起こり得る。1つの典型的な状況は、ユーザーがオーディオディスクを再生している状況である。かかる状況では、ドライブ/ホスト転送レートDHTRは1Xのディスク速度に対応し、ドライブ3がより高いデータ転送レートを維持しようとすることは無駄である。別の1つの典型的な例は、コンピュータプログラムがデータファイルを読み出す状況である。かかる状況では、ドライブ/ホスト転送レートDHTRは、1Xよりも高いかもしれない。別の1つの典型的な例は、ホストがCD−ROM型のゲームを実行しており、ユーザーとのインタラクションに応じて、ディスクから情報が読み出されなくてはならない状況である。ユーザーのアクションを予め知ることはできないので、どのアドレスにおいて読出動作が生じるかは前もって分からず、したがって、アクセス時間をなるべく短く保つため、最高のドライブ/ホスト転送レートDHTRが望まれる。ある特別なケースでは、ホストシステム2から受け取られる読出コマンドは、ディスク上の連続して連なるアドレスに関するものとされる。そのようなケースは、「ストリーミング読出し」と呼ばれる。
【0022】
同様に、ディスクドライブ3は、ホストシステム2からデータを受け取ることができ、ディスク4が書込可能型のディスク(記録可能型(R)、書換可能型(RW))であれば、ディスク4にデータを書き込むことができる。ホスト2からホスト通信リンク7を介してドライブ/ホスト転送レートDHTRで受け取られたデータは、バッファ5内に記憶され、そのバッファ5から、ディスク通信リンク6を介してディスク4へと、ディスク/ドライブ転送レートDDTRでデータが転送される。
【0023】
書込みの場合にも、多くの典型的な状況が生じ得る。たとえば、ディスクの複製を作成する際には、ホストシステム2から受け取られる書込コマンドは、ディスク上の連続して連なるアドレスに関するものである。このようなケースは、「ストリーミング書込み」と呼ばれる。
【0024】
図2は、ディスクドライブ3の1つの好ましい読出手順を示したフローチャートである。ステップ100において第1の読出コマンドを受け取った後、ディスクドライブ3の制御回路10は、ステップ101において、現在のディスク速度(たとえば、1Xまたは40HzCAVといった比較的低い速度)でのディスク読出動作で、その動作を開始する。ステップ102では、前回の速度変更からの経過時間を測定するため、速度変更タイマがセットされる。
【0025】
制御回路10は、ディスク/ドライブ転送レートDDTRを測定し(ステップ110)、ドライブ/ホスト転送レートDHTRを測定し(ステップ111)、良好なブロックの個数NGB、すなわちエラーを伴わずにディスクから読み出されたブロックの個数を計数する(ステップ112)。ここで、測定されるドライブ/ホスト転送レートDHTRは、過去の予め決められた期間に亘る平均レートである点に留意されたい。
【0026】
ステップ120において、制御回路10は、減速強制条件があるか否かをチェックする。すなわち、制御回路10は、ディスク速度の即時の低減を必要とする何らかの条件が存在するか否かをチェックする。かかる条件が見出された場合には、制御回路10は、ステップ156において、減速動作(すなわち、ディスクが既に最小速度で回転している場合を除き、ディスク速度を減らす動作)を実行する。
【0027】
当てはまる減速強制条件がない場合には、制御回路10は、ホスト2がストリーミング読出モードで動作しているか否か、すなわち連続する読出要求が連続するアドレスに関するものであるか否かをチェックする(ステップ130)。ホスト2がストリーミング読出モードで動作している場合には、制御回路10は常に、DHTRに対処することのできる可能な最も低い速度値に、ディスク速度を設定することを試みる(ステップ150−156)。そうでない場合には、制御回路10は常に、可能な最も高い速度値にディスク速度を設定することを試みる(ステップ140−142)。
【0028】
ステップ140では、制御回路10は、すべての加速許可条件が満たされるか否かをチェックする。満たされない加速許可条件がある場合には、制御回路10は、現在のディスク速度を維持し(ステップ160)、その後ステップ110から動作が続行する。すべての加速許可条件が満たされる場合には、制御回路10は、加速動作を実行する(ステップ142)。すなわち、制御回路10は、ディスク速度を次の速度値へと増分させ、その後ステップ102から動作が続行する。好ましくは、ディスク速度を増やすにあたり、制御回路10は、予め決められたディスク速度の集合から、1つの速度値を選択する。そのような予め決められたディスク速度の集合の例としては、たとえば、1X、2X、4X、8X等の公称速度で表されたCLV系列、および/または、10Hz、20Hz、40Hz、80Hz、120Hz等のディスク回転数で表されたCAV系列が挙げられる。
【0029】
ステップ150では、制御回路10は、バッファ5の充足レベルをチェックする。バッファ充足レベルBFLが、予め決められた第1の低い側の閾値(たとえば最大バッファ容量の30%)未満である場合には、ディスク速度を増やすことが企図される。ここでの考察において、DHTRとDDTRとの間の関係が、ステップ151で考慮に入れられる。DHTRがDDTRに比べて比較的低い場合には、制御回路10は、現在のディスク速度で妥当であると判断して、現在のディスク速度を維持し(ステップ160)、その後ステップ110から動作が続行する。一方、DHTRがDDTRに比べて比較的高い場合には、制御回路10は、ステップ140での加速許可条件のチェックへと進む。
【0030】
DHTRがDDTRに比べて比較的低いときにはディスク速度を増やすことを拒否することにより、制御回路10は、事実上、バッファ充足レベルの低い値は単なる一時的なものであり、現在のディスク速度を維持しても将来(おそらくは近い将来)上昇するものであると予測する。そのときに加速が実行されると、バッファ充足レベルがおそらくは非常に急速に上昇し、すぐに減速が必要になると予期され得る。そのため、加速動作および後続の減速動作が防止される。この点から、制御回路10は、DHTRがDDTRよりも低い場合、またはより安全を期すためにはDHTRがα・DDTRよりも低い場合には、ディスク速度を維持するという決定をしてもよい(ステップ160)。ここで、αは、測定誤差を考慮に入れた、0と1との間の係数(たとえば0.95または0.9)である。
【0031】
ステップ150において、バッファ充足レベルBFLが、上記の第1の閾値よりも高い、予め決められた第2の高い側の閾値(たとえば最大バッファ容量の70%)を超えるようである場合には、ディスク速度を減らすことが企図される。ここでの考察において、DHTRとDDTRexとの間の関係が、ステップ152で考慮に入れられる。ここで、DDTRexとは、減速後の予測DDTR、すなわち減速動作が完了した後に結果として得られるであろうDDTRを示す。DHTRがDDTRexに比べて比較的高い場合には、制御回路10は、現在のディスク速度で妥当であると判断して、現在のディスク速度を維持し(ステップ160)、その後ステップ110から動作が続行する。一方、DHTRが比較的低い場合には、制御回路10は、ステップ154での減速許可条件のチェックへと進む。
【0032】
DHTRがDDTRexに比べて比較的高いときにはディスク速度を減らすことを拒否することにより、制御回路10は、事実上、減速後においてバッファレベルがおそらくは非常に急速に下降し、すぐに加速が必要になると予期され得ると予測する。そのため、減速動作および後続の加速動作が防止される。この点から、制御回路10は、DHTRがDDTRexよりも高い場合、またはより安全を期すためにはDHTRがβ・DDTRexよりも高い場合には、ディスク速度を維持するという決定をしてもよい(ステップ160)。βは、0と1との間の係数(たとえば0.95または0.9)である。ここで、βはαと等しくてもよいが、それは必須条件ではない。
【0033】
ステップ154では、制御回路10は、すべての減速許可条件が満たされるか否かをチェックする。満たされない減速許可条件がある場合には、制御回路10は、現在のディスク速度を維持し(ステップ160)、その後ステップ110から動作が続行する。すべての減速許可条件が満たされる場合には、制御回路10は、減速動作を実行する(ステップ156)。すなわち、制御回路10は、ディスク速度を次の速度値へと減少させ、その後ステップ102から動作が続行する。好ましくは、ディスク速度を減らすにあたり、制御回路10は、ディスク速度を増やす処理に関連して上記で説明したような予め決められたディスク速度の集合から、1つの速度値を選択する。
【0034】
ステップ150において、バッファ充足レベルBFLが、予め決められた上記の第1の閾値と第2の閾値との間のレベルのようである場合には、制御回路10は、現在のディスク速度で妥当であると判断して、現在のディスク速度を維持し(ステップ160)、その後ステップ110から動作が続行する。
【0035】
減速強制条件とは、その条件が存在する場合、制御回路10に、即座にディスクモータ4を減速させる条件である。たとえば、温度がある特定のレベルを超える場合、または機械的な振動がある特定のレベルを超える場合には、それらは減速強制条件とみなされ得る。また、ブロック読出エラーが生じた場合は、それも減速強制条件とみなされ得る。そのような条件はいずれも、何かが間違っているかもしれないことを示唆するものであり、したがってそのような条件の存在が1つでも見つかった場合には、ディスクモータの速度が減らされるべきであることは明らかである。減速は段階的に行われてもよいし、可能な最も低い値(たとえば1Xまたは40Hz)まで速度が減らされてもよい。また、回転しているディスクの冷却効果から利益を得るために、可能な最も低い値よりは高いある値まで、速度が減らされてもよい。
【0036】
減速許可条件は、減速が許可されるために全条件が満たされなくてはならない条件である。ある好ましい実施形態では、少なくとも以下の減速許可条件が考慮される。
a)現在の速度が、最小ディスク速度よりも速い。
b)前回の減速動作からの経過時間が、ある最小時間(たとえば1秒)よりも長くなくてはならない。
c)前回の加速動作からの経過時間が、ある最小時間(たとえば30秒)よりも長くなくてはならない。
【0037】
加速許可条件は、加速が許可されるために全条件が満たされなくてはならない条件である。ある好ましい実施形態では、少なくとも以下の加速許可条件が考慮される。
a)現在の速度が、最大ディスク速度よりも遅い。
b)エラーを伴わずに以前に読み出されたブロックの個数NGBが、ある最小計数よりも多くなくてはならない(たとえばNGB>1000)。
c)前回の加速動作からの経過時間が、ある最小時間(たとえば1秒)よりも長くなくてはならない。
d)前回の減速動作からの経過時間が、ある最小時間(たとえば30秒)よりも長くなくてはならない。
【0038】
上記では、読出動作に関連して本発明を説明してきた。しかしながら、本発明は、読出しに限定されるものではなく、図3を参照しながら以下において説明するように、書込みにも適用可能なものである。
【0039】
図3は、ディスクドライブ3の1つの好ましい書込手順を示したフローチャートである。ステップ200において第1の書込コマンドを受け取った後、ディスクドライブ3の制御回路10は、ステップ201において、初期速度でのディスク書込動作で、その動作を開始する。ステップ202では、前回の速度変更からの経過時間を測定するため、速度変更タイマがセットされる。
【0040】
制御回路10は、ディスク/ドライブ転送レートDDTRを測定し(ステップ210)、ドライブ/ホスト転送レートDHTRを測定する(ステップ211)。ここで、測定されるドライブ/ホスト転送レートDHTRは、過去の予め決められた期間に亘る平均レートである点に留意されたい。
【0041】
ステップ220において、制御回路10は、減速強制条件があるか否かをチェックする。すなわち、制御回路10は、ディスク速度の即時の低減を必要とする何らかの条件が存在するか否かをチェックする。かかる条件が見出された場合には、制御回路10は、ステップ256において、減速動作(すなわち、ディスクが既に最小速度で回転している場合を除き、ディスク速度を減らす動作)を実行する。
【0042】
当てはまる減速強制条件がない場合には、制御回路10は、ホスト2がストリーミング書込モードで動作しているか否か、すなわち連続する書込要求が連続するアドレスに関するものであるか否かをチェックする(ステップ230)。ホスト2がストリーミング書込モードで動作している場合には、制御回路10は常に、DHTRに対処することのできる可能な最も低い速度値に、ディスク速度を設定することを試みる(ステップ250−256)。そうでない場合には、制御回路10は常に、可能な最も高い速度値にディスク速度を設定することを試みる(ステップ240−242)。
【0043】
ステップ240では、制御回路10は、すべての加速許可条件が満たされるか否かをチェックする。満たされない加速許可条件がある場合には、制御回路10は、現在のディスク速度を維持し(ステップ260)、その後ステップ210から動作が続行する。すべての加速許可条件が満たされる場合には、制御回路10は、加速動作を実行する(ステップ242)。すなわち、制御回路10は、ディスク速度を次の速度値へと増分させ、その後ステップ202から動作が続行する。好ましくは、ディスク速度を増やすにあたり、制御回路10は、予め決められたディスク速度の集合から、1つの速度値を選択する。そのような予め決められたディスク速度の集合の例としては、たとえば、1X、2X、4X、8X等の公称速度で表されたCLV系列、および/または、10Hz、20Hz、40Hz、80Hz、120Hz等のディスク回転数で表されたCAV系列が挙げられる。
【0044】
ステップ250では、制御回路10は、バッファ5の充足レベルをチェックする。バッファ充足レベルBFLが、予め決められた第1の低い側の閾値(たとえば最大バッファ容量の30%)未満である場合には、ディスク速度を減らすことが企図される。ここでの考察において、DHTRとDDTRexとの間の関係が、ステップ252で考慮に入れられる。DHTRがDDTRexに比べて比較的高い場合には、制御回路10は、現在のディスク速度で妥当であると判断して、現在のディスク速度を維持し(ステップ260)、その後ステップ210から動作が続行する。一方、DHTRが比較的低い場合には、制御回路10は、ステップ254での減速許可条件のチェックへと進む。
【0045】
DHTRがDDTRexに比べて比較的高いときにはディスク速度を減らすことを拒否することにより、制御回路10は、事実上、減速後においてバッファレベルがおそらくは非常に急速に上昇し、すぐに加速が必要になると予期され得ると予測する。そのため、減速動作および後続の加速動作が防止される。この点から、制御回路10は、DHTRがDDTRexよりも高い場合、またはより安全を期すためにはDHTRがδ・DDTRexよりも高い場合には、ディスク速度を維持するという決定をしてもよい(ステップ260)。δは、0と1との間の係数(たとえば0.95または0.9)である。
【0046】
ステップ250において、バッファ充足レベルBFLが、上記の第1の閾値よりも高い、予め決められた第2の高い側の閾値(たとえば最大バッファ容量の70%)を超えるようである場合には、ディスク速度を増やすことが企図される。ここでの考察において、DHTRとDDTRとの間の関係が、ステップ251で考慮に入れられる。DHTRが比較的低い場合には、制御回路10は、現在のディスク速度で妥当であると判断して、現在のディスク速度を維持し(ステップ260)、その後ステップ210から動作が続行する。一方、DHTRが比較的高い場合には、制御回路10は、ステップ240での加速許可条件のチェックへと進む。
【0047】
DHTRがDDTRに比べて比較的低いときにはディスク速度を増やすことを拒否することにより、制御回路10は、事実上、バッファ充足レベルの高い値は単なる一時的なものであり、現在のディスク速度を維持しても将来(おそらくは近い将来)下降するものであると予測する。そのときに加速が実行されると、バッファ充足レベルがおそらくは非常に急速に下降し、すぐに減速が必要になると予期され得る。そのため、加速動作および後続の減速動作が防止される。この点から、制御回路10は、DHTRがDDTRよりも低い場合、またはより安全を期すためにはDHTRが

よりも低い場合には、ディスク速度を維持するという決定をしてもよい(ステップ260)。ここで、

は、0と1との間の係数(たとえば0.95または0.9)であり、δと等しくてもよいが、それは必須条件ではない。
【0048】
ステップ240では、制御回路10は、すべての加速許可条件が満たされるか否かをチェックする。満たされない加速許可条件がある場合には、制御回路10は、現在のディスク速度を維持し(ステップ260)、その後ステップ210から動作が続行する。すべての加速許可条件が満たされる場合には、制御回路10は、加速動作を実行する(ステップ242)。すなわち、制御回路10は、ディスク速度を次の速度値へと増分させ、その後ステップ202から動作が続行する。好ましくは、ディスク速度を増やすにあたり、制御回路10は、上記で説明したような予め決められたディスク速度の集合から、1つの速度値を選択する。
【0049】
ステップ250において、バッファ充足レベルBFLが、上記の予め決められた第1の閾値と第2の閾値との間のレベルのようである場合には、制御回路10は、現在のディスク速度で妥当であると判断して、現在のディスク速度を維持し(ステップ260)、その後ステップ210から動作が続行する。
【0050】
以上の説明より、ディスク速度をある特定の値に設定することを決定する際に重要な1つの要素は、ホストシステム2がストリーミングモードで動作しているか否かという問い(ステップ130および230)であることが分かる。ストリーミングモードで動作していない場合には、制御回路10は常に、なるべく早くディスク速度を可能な最も高い速度値に設定しようと試みる。この「ストリーミングモード」は、動作モードパラメータの一例、すなわちドライブ−ホストシステムの動作のモードを示す1つのパラメータである。かかるパラメータの本質のため、このようなパラメータの値は頻繁な変更が見込まれるものではない。1回の変更が行われた場合、その変更は長く続く効力を有するものと予期される。そのため、ディスク速度の設定に際しこのような動作モードパラメータを考慮に入れることは、データ転送システム1の性能に有利な効果を及ぼす。
【0051】
また、ディスク速度をある特定の値に設定することを決定する際に重要な別の1つの要素は、データブロックがエラーを伴わずに読み出されたか否かという問いであることも分かる。この「エラーのない動作」は、システム性能パラメータの一例、すなわち近い過去においてシステムがどのように動作したかを示す1つのパラメータである。エラーのない動作は、ディスク速度により左右される。すなわち、ディスク速度が速いほど、エラーの発生確率は高くなる。また、ドライブ/ホスト転送レートおよびドライブ/ディスク転送レートも、システム性能パラメータの例である。ディスク速度の設定に際しこれらのパラメータを考慮に入れることは、データ転送システム1の性能に有利な効果を及ぼす。
【0052】
さらに、ディスク速度をある特定の値に設定することを決定する際に重要な別の1つの要素は、前回の速度変更からの経過時間量であることも分かる。連続する変更間においてある最小時間を採ることにより、システムの落ち着かない動作が防止される。連続する加速工程間の待機時間は比較的短く(たとえば数秒のオーダー)、連続する減速工程間の待機時間についても同じことがいえる。一方、連続する逆方向への速度変更間の待機時間は比較的長く、たとえば30秒のオーダー、あるいはさらに長い時間とされる。このことも、データ転送システム1の性能に有利な効果を及ぼす。
【0053】
図4Aおよび4Bは、本発明の上記の特徴をより詳細に図解したタイミング図である。横軸は時間を表し、縦軸はディスク速度を表す。図4Aは、ディスク4が、当初ある第1の速度V1で回転させられており、V1より速い第2の速度V2にディスク速度が増分される第1の時刻t1まで、この第1の速度V1での回転が続く場合を図解している。さらなる速度の増加が必要とされるまたは必要となるべき場合、前回の速度変更が生じた上記の第1の時刻t1から、予め決められた第1の最小待機時間TW1が経過するまで、そのような速度の増加が禁止される。線41は、上記の第2の速度V2から、V2より速い第3の速度V3への、時刻t2における第2の加速工程がなされる場合を示している。ここで、t2−t1>TW1である。
【0054】
一方、時刻t1における加速工程の後、速度の減少が必要とされるまたは必要となるべき場合、前回の速度変更が生じた上記の第1の時刻t1から、予め決められた第2の最小待機時間TW2が経過するまで、そのような速度の減少が禁止される。線42は、上記の第2の速度V2から、V2より遅い第3の速度V3’への、時刻t2’における減速工程がなされる場合を示している。ここで、t2’−t1>TW2である。
【0055】
ここで、上記の予め決められた第1の最小待機時間TW1が経過する前に速度のさらなる増加が必要となった場合には、時刻t1+TW1まで、加速工程が何ら実行されない点に留意されたい。上記の予め決められた第1の最小待機時間TW1中に既に速度のさらなる増加が必要とされていることを理由に、t2=t1+TW1となるように、時刻t1+TW1において加速工程が即座に実行されてもよい。しかしながら、そのような事実が「記憶」されずに、単に、時刻t1+TW1後において、加速許可条件をチェックするステップ(たとえばステップ140)を実行する制御が行われ、すべての加速許可条件(上記の予め決められた第1の最小待機時間TW1の経過を含む)が満たされることが分かった最初のときに、加速工程が実行されてもよい。その場合、図に示されているように、t2がt1+TW1よりも大きくてもよい。必要な変更を加えた同一の原則が、減速工程にも当てはまる。
【0056】
図4Bは、ディスク4が、当初ある第1の速度V1で回転させられており、V1より遅い第2の速度V2にディスク速度が減らされる第1の時刻t1まで、この第1の速度V1での回転が続く場合を図解している。さらなる速度の減少が必要とされるまたは必要となるべき場合、前回の速度変更が生じた上記の第1の時刻t1から、予め決められた第1の最小待機時間TW3が経過するまで、そのような速度の減少が禁止される。線43は、上記の第2の速度V2から、V2より遅い第3の速度V3への、時刻t2における第2の減速工程がなされる場合を示している。ここで、t2−t1>TW3である。
【0057】
一方、時刻t1における減速工程の後、速度の増加が必要とされるまたは必要となるべき場合、前回の速度変更が生じた上記の第1の時刻t1から、予め決められた第2の最小待機時間TW4が経過するまで、そのような速度の増加が禁止される。線44は、上記の第2の速度V2から、V2より速い第3の速度V3’への、時刻t2’における加速工程がなされる場合を示している。ここで、t2’−t1>TW4である。
【0058】
ここで、TW1はTW3に等しくてもよいが、そのことは必須条件ではない。同様に、TW2はTW4に等しくてもよいが、そのことも必須条件ではない。
【0059】
本発明は上記で説明した例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で規定された本発明の保護範囲内において、様々なバリエーションや変更が可能であることは、当業者には明らかである。
【0060】
たとえば、上記では光記憶ディスクに関連して本発明を説明してきた。しかしながら、本発明の要旨は、光記憶ディスクに限定されるものではなく、動作可能なデータ担体を含み、担体速度が可変であり、かつドライブから担体へのデータ転送レートおよび/または担体からドライブへのデータ転送レートが担体速度に依存する記憶装置に、広く適用可能である。
【0061】
また、タイマをセットする工程(ステップ102;202)は、加速手順(ステップ142;242)または減速手順(ステップ156;256)の一部として実行されてもよい。
【0062】
上記では、ディスクドライブ3の制御回路10によって実行される方法の各工程を述べることにより、本発明を説明してきた。このことは、ディスクドライブの適切な適合化、たとえばディスクドライブ3の制御回路10を適切にプログラミングすることによって、本発明が実施されることを意味している。したがって、ディスクドライブは、本発明の1つの実施形態である。しかしながら、上記の方法の各工程を、ホスト2によって実行することも可能である。その場合、典型的には、ディスクドライブは、ディスク速度設定命令を含む命令の組を受け取るものとされ、ホストは、ディスク速度設定命令を含むコマンドをディスクドライブに送ることができるものとされる。したがって、ホストもまた、本発明の1つの実施形態である。
【0063】
また上記では、加速工程を行おうとする際に、ドライブ/ホスト平均転送レートDHTRが現在のディスク/ドライブ転送レートDDTRと比較され(ステップ151;251)、一方、減速工程を行おうとする際に、ドライブ/ホスト平均転送レートDHTRが予測ディスク/ドライブ転送レートDDTRexと比較される(ステップ152;252)ような、好ましい実施形態のケースに関連して、本発明を説明してきた。しかしながら、本発明の範囲内において、加速工程を行おうとする際に、ドライブ/ホスト平均転送レートDHTRが、予測ディスク/ドライブ転送レートDDTRexと比較される形態も可能である。かかる比較の結果は、ある速度変更が、近い将来において逆方向への速度変更により打ち消されることが予期されるか否かを示す。同様に、減速工程を行おうとする際に、ドライブ/ホスト平均転送レートDHTRが、現在のディスク/ドライブ転送レートDDTRと比較される形態も可能である。かかる比較の結果は、バッファレベルが、近い将来において、上記の低い側の閾値より上かつ上記の高い側の閾値より下の、中間レベルに近づく傾向があることが予期されるか否かを示す。
【0064】
さらに上記では、本発明に従う装置の機能ブロックを示したブロック図を参照して、本発明を説明してきた。ここで、これらの機能ブロックの1つまたは複数がハードウェア内に実装され、かかる機能ブロックの機能が、個々のハードウェア構成要素によって実行されてもよいし、これらの機能ブロックの1つまたは複数がソフトウェア内に実装され、かかる機能ブロックの機能が、コンピュータプログラムまたはプログラミング可能な装置(たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等)の1つまたは複数のプログラムラインによって実行されてもよい点を理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】データ転送システムを模式的に示した図
【図2】本発明の1つの好ましい実施形態に係る読出手順を概略的に示したフローチャート
【図3】本発明の1つの好ましい実施形態に係る書込手順を概略的に示したフローチャート
【図4A】本発明の1つの好ましい実施形態に係る速度変更を図解したタイミング図
【図4B】本発明の1つの好ましい実施形態に係る速度変更を図解したタイミング図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストシステムとデータ転送通信状態にあるデータ担体ドライブ装置内の、データ担体速度を設定する方法であって、少なくとも1つの動作モードパラメータが考慮に入れられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの動作モードパラメータが、「ストリーミング読出し」および「ストリーミング書込み」を包含することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ホストシステムがストリーミングモードで動作しているときは、担体/ドライブ転送レートをドライブ/ホスト転送レートに適合させるように前記データ担体速度が設定され、前記ホストシステムがストリーミングモードで動作していないときは、前記データ担体速度が可能な最も高い値に設定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ホストシステムがストリーミングモードで動作しておらず、かつすべての加速許可条件が満たされるとき、前記データ担体速度が増やされることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記データ担体速度を増やすことの決定が、少なくとも1つのシステム性能パラメータに基づいていることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ホストシステムがストリーミング読出しでない読出モードで動作しており、かつ
a)現在の速度が、最大担体速度よりも遅い、
b)エラーを伴わずに以前に読み出されたブロックの個数が、特定の最小量よりも多くなくてはならない、
c)前回の加速工程からの経過時間が、特定の第1の最小待機時間よりも長くなくてはならない、
d)前回の減速工程からの経過時間が、特定の第2の最小待機時間よりも長くなくてはならない、
という加速許可条件が満たされるとき、前記データ担体速度が増やされることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記第2の最小待機時間が、前記第1の最小待機時間の持続時間よりも長い持続時間を有することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ホストシステムがストリーミング書込みでない書込モードで動作しており、かつ
a)現在の速度が、最大担体速度よりも遅い、
b)前回の加速工程からの経過時間が、特定の第1の最小待機時間よりも長くなくてはならない、
c)前回の減速工程からの経過時間が、特定の第2の最小待機時間よりも長くなくてはならない、
という加速許可条件が満たされるとき、前記データ担体速度が増やされることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記第2の最小待機時間が、前記第1の最小待機時間の持続時間よりも長い持続時間を有することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
担体から読み出されたデータがバッファ内に一時的に記憶され、前記ホストシステムに転送されるデータが該バッファから取り出され、
前記担体から前記バッファへのデータ転送が、担体/ドライブ転送レートDDTRで生じ、前記バッファから前記ホストシステムへのデータ転送が、ドライブ/ホスト転送レートDHTRで生じ、
前記データ担体速度を設定する際に、前記担体/ドライブ転送レートDDTRおよび前記ドライブ/ホスト転送レートDHTRが考慮に入れられることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項11】
前記ホストシステムがストリーミング読出モードで動作しており、かつ、
バッファ充足レベルが、比較的低い第1の閾値未満であり、
かつ、αを0と1との間の係数、好ましくは0.8と0.95との間の係数として、DHTR>α・DDTRであり、
かつ、現在の速度が、最大担体速度よりも遅く、
かつ、エラーを伴わずに以前に読み出されたブロックの個数が、特定の最小量よりも多く、
かつ、前回の加速工程からの経過時間が、特定の第1の最小待機時間よりも長く、
かつ、前回の減速工程からの経過時間が、特定の第2の最小待機時間よりも長いとき、
前記データ担体速度が増やされることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第2の最小待機時間が、前記第1の最小待機時間の持続時間よりも長い持続時間を有することを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ホストシステムがストリーミング読出モードで動作しており、かつ、
バッファ充足レベルが、比較的高い第2の閾値を超えており、
かつ、βを0と1との間の係数、好ましくは0.8と0.95との間の係数とし、DDTRexを減速工程により実現されるデータ担体速度における予測担体/ドライブ転送レートとして、DHTR<β・DDTRexであり、
かつ、現在の速度が、最小担体速度よりも速く、
かつ、前回の減速工程からの経過時間が、特定の第1の最小待機時間よりも長く、
かつ、前回の加速工程からの経過時間が、特定の第2の最小待機時間よりも長いとき、
前記データ担体速度が減らされることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記第2の最小待機時間が、前記第1の最小待機時間の持続時間よりも長い持続時間を有することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ホストシステムから受け取られたデータがバッファ内に一時的に記憶され、担体に書き込まれるデータが該バッファから取り出され、
前記ホストシステムから前記バッファへのデータ転送が、ドライブ/ホスト転送レートDHTRで生じ、前記バッファから前記担体へのデータ転送が、担体/ドライブ転送レートDDTRで生じ、
前記データ担体速度を設定する際に、前記担体/ドライブ転送レートDDTRおよび前記ドライブ/ホスト転送レートDHTRが考慮に入れられることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項16】
前記ホストシステムがストリーミング書込モードで動作しており、かつ、
バッファ充足レベルが、比較的高い第1の閾値を超えており、
かつ、

を0と1との間の係数、好ましくは0.8と0.95との間の係数として、

であり、
かつ、現在の速度が、最大担体速度よりも遅く、
かつ、前回の加速工程からの経過時間が、特定の第1の最小待機時間よりも長く、
かつ、前回の減速工程からの経過時間が、特定の第2の最小待機時間よりも長いとき、
前記データ担体速度が増やされることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記第2の最小待機時間が、前記第1の最小待機時間の持続時間よりも長い持続時間を有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ホストシステムがストリーミング書込モードで動作しており、かつ、
バッファ充足レベルが、比較的低い第2の閾値未満であり、
かつ、δを0と1との間の係数、好ましくは0.8と0.95との間の係数とし、DDTRexを減速工程により実現されるデータ担体速度における予測担体/ドライブ転送レートとして、DHTR<δ・DDTRexであり、
かつ、現在の速度が、最小担体速度よりも速く、
かつ、前回の減速工程からの経過時間が、特定の第1の最小待機時間よりも長く、
かつ、前回の加速工程からの経過時間が、特定の第2の最小待機時間よりも長いとき、
前記データ担体速度が減らされることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記第2の最小待機時間が、前記第1の最小待機時間の持続時間よりも長い持続時間を有することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記担体がディスクであり、たとえば光ディスクまたはハードディスクであることを特徴とする請求項1から19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
データ担体への情報の書込みおよび/またはデータ担体からの情報の読出しを行う担体ドライブ装置であって、請求項1から20いずれか1項記載の方法を実行するように適合化されていることを特徴とする担体ドライブ装置。
【請求項22】
ホストシステムと、請求項21記載の担体ドライブ装置とを含み、該ホストシステムと該担体ドライブ装置とが、互いにデータ転送通信状態にあることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項23】
データ担体への情報の書込みおよび/またはデータ担体からの情報の読出しを行う担体ドライブ装置であって、担体速度を増やすまたは減らすための速度設定命令に応答できるタイプの担体ドライブ装置と、通信する機能を有するホストシステムであって、
前記担体ドライブ装置に速度設定命令を送る機能を有し、
請求項1から20いずれか1項記載の方法を実行するように適合化されていることを特徴とすることを特徴とするホストシステム。
【請求項24】
請求項23記載のホストシステムと、
データ担体への情報の書込みおよび/またはデータ担体からの情報の読出しを行う担体ドライブ装置であって、担体速度を増やすまたは減らすための速度設定命令に応答できるタイプの担体ドライブ装置とを含み、
前記ホストシステムと前記担体ドライブ装置とが、互いにデータ転送通信状態にあることを特徴とするデータ転送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2007−503078(P2007−503078A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530816(P2006−530816)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050655
【国際公開番号】WO2004/102559
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】