説明

データ授受システム

【課題】サーバ装置のプログラムを改変せずに、複数のパケットから成るデータを通信媒体からサーバ装置に受け渡すまでに要する通信時間を短縮することができるデータ授受システムを提供する。
【解決手段】本発明に係るデータ授受システムは、コマンドを送信したことを条件としてデータの受信許容状態となるサーバ装置30と、サーバ装置との間で予め定義されたコマンドが与えられた場合、常に、そのコマンドを受信し、かつそのコマンドに対応する処理を行うICカード20とを備え、これらサーバ装置とICカードとの間においてデータの授受を行うものである。サーバ装置は、ICカードとの間で未定義となるダミーコマンドを送信する機能を有し、かつ複数のパケットから成るデータをICカードから受信する場合、パケットの受信タイミングに応じてダミーコマンドを送受信手段から送信させるリーダライタ制御手段43を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマンドを送信したことを条件としてデータの受信許容状態となるサーバ装置と、サーバ装置との間で予め定義されたコマンドが与えられた場合、常に、そのコマンドを受信し、かつそのコマンドに対応する処理を行う通信媒体とを備え、これらサーバ装置と通信媒体との間においてデータの授受を行うデータ授受システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
データ授受システムの中には、コマンドを送信したことを条件としてデータの受信許容状態となるサーバ装置と、サーバ装置との間で予め定義されたコマンドが与えられた場合、常にそのコマンドを受信し、かつそのコマンドに対応する処理を行うカード(通信媒体)とを備え、これらサーバ装置と通信媒体との間においてデータの授受を行うもの(以下、このデータ授受システムを「コマンドレスポンス式のデータ授受システム」という)がある。
【0003】
例えば、サーバ装置は、図3に示すリーダライタを備えている。リーダライタは、リーダライタ制御手段120と、不図示の非接触式インターフェースとを備えている。リーダライタ制御手段120は、カードとの間で予め定義されたコマンドを生成し、かつリーダライタを統括的に制御するものである。このリーダライタ制御手段120は、コマンドを送信し、かつコマンドを送信したことを条件としてデータの受信許容状態となる送受信手段122を備えている。非接触式インターフェースは、送受信手段122から与えられたコマンドを送信し、かつデータが与えられた場合には、そのデータを送受信手段122に送信するものである。
【0004】
カードは、カードメモリを有し、与えられたコマンドの処理を行い、かつそのコマンドに対するレスポンスを行うICチップ132と、常時、リーダライタから送信されるコマンドの受信を許容し、与えられたコマンドをICチップ132に送信し、かつICチップ132から与えられたレスポンンスを送信する非接触式インターフェース130とを備えている。
【0005】
次に、このデータ授受システムの作用を説明する。通常、送受信手段122は、レスポンス等のデータが与えられても、そのデータの受信を拒否する状態(以下、この送受信手段122の状態を「データの受信非許容状態」という)となっている。
【0006】
サーバ装置に不図示の入力手段を通じてデータ送信指令が与えられた場合、サーバ装置は、その旨の指令をリーダライタ制御手段120に送信する。その旨の指令が与えられたリーダライタ制御手段120は、所定のデータを送信させる旨のコマンドを作成し、そのコマンドを送受信手段122から非接触式インターフェースを通じて送信する(SQ200)。上記コマンドを送信した送受信手段122は、データの受信非許容状態から、レスポンス等のデータの受信を許容する状態(以下、この送受信手段122の状態を「データの受信許容状態」という)に移行する。
【0007】
カードの非接触式インターフェース130を通じて上記コマンドがICチップ132に与えられた場合(SQ200)、ICチップ132は、そのコマンドによりカードメモリに格納してあるデータを読み出す処理を行う。その後、ICチップ132は、カードメモリから読み出したデータをレスポンスとし、非接触式インターフェース130を通じてレスポンスを送信する(SQ201)。
【0008】
リーダライタの非接触式インターフェースを通じて上記レスポンスが送受信手段122に与えられた場合、送受信手段122は、そのレスポンスの受信を許容する(SQ201)。その後、再び、送受信手段122は、データの受信許容状態からデータの受信非許容状態に移行することとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、昨今、例えば上記カードを携帯電話に内蔵させることで、携帯電話をサーバ装置に対するクライアント装置として適用し、例えば携帯電話の携帯メモリに格納してあるデータをサーバ装置に送信する要望がある。
【0010】
しかしながら、単に、上記カードを携帯電話に内蔵させ、携帯電話をクライアント装置として使用した場合、以下に記載するような問題が生じることとなり、具現化されていないのが実情である。
【0011】
すなわち、複数のパケットから成るデータを携帯電話からカードを通じてリーダライタに受信させる場合において、コマンドレスポンス方式のデータ授受システムでは、リーダライタの送受信手段122がデータの受信を許容するのは、コマンドを送信した直後に送信されたもの(レスポンスとして送信する一番目のパケットデータ)のみである。よって、携帯電話から送信した二番目以降のパケットデータの受信は、リーダライタの送受信手段122によって拒否されることとなる。
【0012】
携帯電話から送信した二番目以降のパケットデータの受信を送受信手段122に許容させるには、各パケットデータを送信するのに先立って、リーダライタの送受信手段122からカードにコマンドをそれぞれ送信しなければならない。
【0013】
ここで、リーダライタから送信されたコマンドをカードが受信した場合、そのカードは、そのコマンドの内容を理解し、コマンドに対応するデータを例えば携帯メモリから読み出し、携帯メモリから読み出したデータを非接触式インターフェース130から送信しなければならない。よって、複数のパケットに分割したデータを、携帯電話から送信し、カードを通じてリーダライタが受信するまでには時間を必要とする問題があった。
【0014】
特に、昨今では、携帯メモリの容量が増大しており、携帯電話とリーダライタとの間で大容量のデータの受け渡しを行うことが望まれる。この場合、リーダライタから携帯電話に送信するコマンドの数が増加することに起因して、上記問題が顕著になり、データの受け渡しに長い時間を必要とする。なお、この問題は、カードを通じて携帯電話から送信されたデータを、常時、リーダライタが受信するようサーバ装置のプログラムを改変することで解決することが可能である。しかしながら、既設のサーバ装置が有するリーダライタのプログラムをすべて改変するには膨大な手間がかかることになる。
【0015】
そこで、本発明は上記実情に鑑み、サーバ装置が有するリーダライタのプログラムを改変せずに、複数のパケットから成るデータを通信媒体からサーバ装置に受け渡すまでに要する通信時間を短縮することができるデータ授受システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、コマンドを送信したことを条件としてデータの受信許容状態となるサーバ装置と、前記サーバ装置との間で予め定義されたコマンドが与えられた場合、常に、そのコマンドを受信し、かつそのコマンドに対応する処理を行う通信媒体とを備え、これらサーバ装置と通信媒体との間においてデータの授受を行うデータ授受システムにおいて、前記サーバ装置は、前記通信媒体との間で未定義となるダミーコマンドを送信する機能を有し、かつ複数のパケットから成るデータを前記通信媒体から受信する場合、パケットの受信タイミングに応じて前記ダミーコマンドを送信手段から送信させる制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るデータ授受システムによれば、複数のパケットから成るデータを通信媒体から受信する場合、パケットの受信タイミングに応じてダミーコマンドを送信手段から送信させる制御手段を備えるため、複数のパケットデータを受信する場合、そのパケットデータの送信のタイミングに応じて送信手段からダミーコマンドを送信するため、ダミーコマンドを送信すれば、サーバ装置を受信許容状態にすることができる。よって、二番目以降の各パケットデータを通信媒体からサーバ装置に送信する場合には、パケットデータの送信に先立ってダミーコマンドを送信手段から通信媒体に送信すれば、通信媒体がダミーコマンドにより何ら処理を行わないため、複数のパケットから成るデータを通信媒体からサーバ装置に受け渡すまでに要する通信時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、添付図面を適宜参照しながら、本発明に係るデータ授受システムの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るデータ授受システムの構成を示す説明図である。データ授受システムは、例えばクライアント装置である携帯電話10と、サーバ装置30とを備えている。
【0020】
携帯電話10は、携帯メモリ11と、入力手段12と、表示手段13と、接触式インターフェース14と、携帯電話制御手段17とを備えている。
【0021】
携帯メモリ11には、携帯電話を機能させるためのプログラムやデータを格納してある。また、この携帯メモリ11には、画像データ等のデータも格納してある。この携帯メモリ11は、携帯電話制御手段17の指令に応じてデータが書き込まれ、かつデータが読み出されるものである。
【0022】
入力手段12は、例えばテンキーと機能キーとで構成してあり、携帯電話操作者がそれらキーが押圧操作された場合、操作されたキーに基づいた内容が携帯電話制御手段17に与えるものである。
【0023】
表示手段13は、例えば液晶ディスプレイで構成してあり、携帯電話制御手段17からの指令に基づいた表示内容を、液晶ディスプレイに表示するものである。
【0024】
接触式インターフェース14は、後述するICカードとの間を配線等の有線で接続したものであり、携帯電話制御手段17の指令に応じて、後述するICカードとの間で、コマンドおよびレスポンス等のデータの授受を行うものである。
【0025】
携帯電話制御手段17は、携帯メモリ11、入力手段12、表示手段13、および接触式インターフェース14を統括的に制御するもの、すなわち携帯電話を統括的に制御するものである。この携帯電話制御手段17は、携帯電話で電話をするのに必要な機能を有し、かつ携帯電話でメールを行うのに必要な機能を有するものである。また、この携帯電話制御手段17は、後述するICカードを通じてサーバ装置30から、携帯メモリ11に格納してある所定のデータを送信する旨のコマンドが与えられた場合、そのコマンドに対応するデータを携帯メモリ11から読み出し、携帯メモリ11から読み出したデータをICカードを通じてサーバ装置30に送信するものである。
【0026】
また、この携帯電話10は、例えば通信媒体であるICカード20を内蔵している。このICカード20は、携帯電話10とサーバ装置30との間でデータの授受を行うもので、接触式インターフェース21と、非接触式インターフェース22と、ICカードメモリ23と、ICカード制御手段24とを備えている。
【0027】
接触式インターフェース21は、上記携帯電話制御手段17との間を配線等の有線で接続したものであり、ICカード制御手段24からの指令に応じて、携帯電話制御手段17との間で、コマンドおよびレスポンス等のデータの授受を行うものである。
【0028】
非接触式インターフェース22は、ICカード制御手段24からの指令に応じ、サーバ装置30が備える後述するリーダライタに対して非接触の状態で、コマンドおよびレスポンス等のデータの授受を行うものである。なお、本実施の形態で示すICカード20は、接触式インターフェース21と、非接触式インターフェース22とを有するデュアルインターフェースのものを適用してある。
【0029】
ICカードメモリ23は、ICカード20を機能させるためのプログラムやデータを格納してある。このICカードメモリ23は、ICカード制御手段24の指令に応じてデータが書き込まれ、かつデータが読み出されるものである。
【0030】
ICカード制御手段24は、例えば不図示のICチップを内蔵しており、接触式インターフェース21、非接触式インターフェース22、およびICカードメモリ23を統括的に制御するものである。
【0031】
また、このICカード制御手段24は、非接触式インターフェース22を通じてサーバ装置30から、ICカードメモリ23に格納してある所定のデータを送信する旨のコマンドが与えられた場合、そのコマンドに対応するデータをICカードメモリ23から読み出し、ICカードメモリ23から読み出したデータを非接触式インターフェース22を通じてサーバ装置30に送信するものである。
【0032】
サーバ装置30は、例えばICカード20を通じて携帯電話10との間でデータの授受を行うものであり、主制御手段31を備えている。主制御手段31は、サーバ装置30の統括的な制御を行うものである。
【0033】
また、このサーバ装置30は、リーダライタ40を内蔵している。リーダライタ40は、所定の保持領域にICカード20が配置された場合、ICカード制御手段24に対して与えるコマンドにより、ICカードメモリ23にデータの書き込みを行うとともに、ICカードメモリ23に格納してあるデータの読み出しを行うものであり、かつ携帯電話制御手段17に対して与えるコマンドにより、携帯メモリ11にデータの書き込みを行うとともに、携帯メモリ11に格納してあるデータの読み出しを行うものである。本実施の形態では、ICカード20に対して非接触の状態でデータの読み書きを行うことのできるリーダライタ40を適用している。このリーダライタ40は、リーダライタメモリ41と、非接触式インターフェース42と、リーダライタ制御手段43とを備えている。
【0034】
リーダライタメモリ41には、リーダライタ40を機能させるためのプログラムやデータを格納してある。
【0035】
非接触式インターフェース42は、リーダライタ制御手段43からの指令に応じ、非接触式インターフェース22を通じてICカード制御手段24に対して、コマンドおよびレスポンス等のデータの授受を行うものである。
【0036】
リーダライタ制御手段43は、リーダライタメモリ41および非接触式インターフェース42の統括的な制御を行うもの、すなわちリーダライタ40の統括的な制御を行うもので、例えば主制御手段31からデータ送信命令が与えられた場合に、ICカード制御手段24または携帯電話制御手段17に所定のコマンドを送信し、そのコマンドによって送信されたデータをリーダライタメモリ41に書き込むものである。このリーダライタ制御手段43は、コマンド生成手段44と、ダミーコマンド生成手段45と、送受信手段46とを備えている。
【0037】
コマンド生成手段44は、ICカード制御手段24との間で予め定義されたコマンドを生成するものである。また、このコマンド生成手段44は、携帯電話制御手段17との間で予め定義されたコマンドを生成するものである。
【0038】
ダミーコマンド生成手段45は、ICカード制御手段24との間で未定義となるダミーコマンドを生成するものである。よって、ダミーコマンドがICカード制御手段24に与えられても、ICカード制御手段24は、ダミーコマンドを識別することができず、ダミーコマンドを破棄する。
【0039】
送受信手段46は、ダミーコマンドおよびコマンドを送信するものである。また、この送受信手段46は、ダミーコマンドを送信したこと、またはコマンドを送信したことを条件として、コマンドおよびレスポンス等のデータの受信を許容するものである。
【0040】
図2は、上述したデータ授受システムのデータ授受処理の内容を説明するためのシーケンス図である。以下、この図2を参照しながら、本実施の形態に係るデータ授受システムの動作について説明する。通常、送受信手段46は、レスポンス等のデータが与えられても、そのデータの受信を拒否する状態(以下、この送受信手段46の状態を「データの受信非許容状態」という)となっている。また、ここでは、携帯メモリ11に格納してあるデータを、サーバ装置30に受け渡す例を説明する。
【0041】
例えば、サーバ装置30に設けた不図示の入力手段12を通じて、携帯メモリ11に格納してあるデータを送信させる旨のデータ送信指令がサーバ装置30に与えられた場合、主制御手段31は、そのデータ送信指令をリーダライタ制御手段43に送信する(SQ100)。そのデータ送信指令が与えられたリーダライタ制御手段43は、送受信手段46にICカード捕獲指令を送信する(SQ101)。ICカード捕獲指令が与えられた送受信手段46は、ICカード捕獲待機状態となる(SQ102)。
【0042】
ICカード捕獲待機状態において、携帯電話をリーダライタ40の保持領域に配置した場合、ICカード制御手段24から、予め設定された信号等のデータが非接触式インターフェース22,42を通じて送受信手段46に送信され、ICカード20がリーダライタ40に保持されることとなる(SQ103)。そして、送受信手段46からリーダライタ制御手段43にICカード捕獲応答が送信され(SQ104)、リーダライタ制御手段43において、ICカード20が保持されたことを検知することができる。
【0043】
ICカード20が保持されたことを検知したリーダライタ制御手段43は、コマンド生成手段44で、例えばデータ送信時間間隔、および送信させるデータのパケットの総数等を送信させる通信条件送信指令を生成する。この通信条件送信指令はコマンドである。
【0044】
リーダライタ制御手段43は、生成したその通信条件送信指令を、非接触式インターフェース22,42、ICカード制御手段24、接触式インターフェース14,21を通して携帯電話制御手段17に送信する(SQ105)。送受信手段46は、通信条件送信指令を送信すると、データの受信非許容状態からレスポンス等のデータの受信を許容する状態(以下、この送受信手段46の状態を「データの受信許容状態」という)になる。
【0045】
通信条件送信指令が与えられた携帯電話制御手段17は、例えば携帯メモリ11に格納してあるデータ送信時間間隔を読み出し、かつ携帯メモリ11に格納してあり、サーバ装置30に送信するデータのパケットの総数を算出する。
【0046】
その後、携帯電話制御手段17は、算出したパケットの総数と、読み出したデータ送信時間間隔から成る通信条件送信応答を、接触式インターフェース14,21、ICカード制御手段24、非接触式インターフェース22,42を通して送受信手段46に送信する。(SQ106)。この通信条件送信応答は、上記通信条件送信指令に対するレスポンスであり、送受信手段46はその通信条件送信応答の受信を許容し、リーダライタ制御手段43にその通信条件送信応答を送信する(SQ106)。また送受信手段46は、通信条件送信応答の受信を許容した後、データ許容状態からデータ非許容状態に移行する。
【0047】
次いで、リーダライタ制御手段43は、所定のデータをリーダライタメモリ41から読み出す。次に、リーダライタ制御手段43は、読み出したデータを複数のパケットに分割し、分割したデータを、上記データ送信時間間隔に則り、非接触式インターフェース22,42、ICカード制御手段24、接触式インターフェース14,21を通して携帯電話制御手段17にそれぞれ送信する(SQ107)。
【0048】
すべてのデータを送信したリーダライタ制御手段43は、コマンド生成手段44で、データを送信する側を切り換える送信切換指令を生成する。この送信切換指令はコマンドである。リーダライタ制御手段43は、生成したその送信切換指令を、非接触式インターフェース22,42、ICカード制御手段24、接触式インターフェース14,21を通して携帯電話制御手段17に送信する(SQ108)。送受信手段46は、送信切換指令を送信すると、データ非許容状態からデータ許容状態に移行する。
【0049】
送信切換指令が与えられた携帯電話制御手段17は、サーバ装置30に送信するデータを携帯メモリ11から読み出し、読み出したデータを複数のパケットに分割する。そして、携帯電話制御手段17は、一番目のパケットデータをレスポンスとし、接触式インターフェース14,21、ICカード制御手段24、非接触式インターフェース22,42を通して送受信手段46に送信する(SQ109)。送受信手段46は、一番目のパケットデータの受信を許容した後、受信した一番目のパケットデータをリーダライタ制御手段43に送信し(SQ109)、その後、データ許容状態からデータ非許容状態に移行する。
【0050】
リーダライタ制御手段43は、一番目のパケットデータを受信した後、上記データ送信時間間隔に則ったタイミングで、送受信手段46を通じてICカード20にダミーコマンドを送信する(SQ110)。送受信手段46は、ダミーコマンドを送信すると、データ非許容状態からデータ許容状態に移行する。
【0051】
ICカード制御手段24は、ダミーコマンドを受信すると、それが識別できないものであるため、ダミーコマンドを破棄する。
【0052】
一方、携帯電話制御手段17は、一番目のパケットデータを送信した後、リーダライタ制御手段43が送信するダミーコマンドの送信を考慮した上、さらに上記データ送信時間間隔に則ったタイミングで、二番目のパケットデータを、接触式インターフェース14,21、ICカード制御手段24、非接触式インターフェース22,42を通して送受信手段46に送信する(SQ111)。
【0053】
送受信手段46は、二番目のパケットデータの受信を許容した後、その二番目のパケットデータをリーダライタ制御手段43に送信し(SQ111)、その後、データ許容状態からデータ非許容状態に移行する。
【0054】
以下、上述したのと同様に、データ送信時間間隔に則って、リーダライタ制御手段43からICカード20にダミーコマンドを送信することと、および携帯電話制御手段17からリーダライタ制御手段43にパケットデータを送信することとを交互に繰り返す。
【0055】
すべてのパケットデータが送信された場合、リーダライタ制御手段43は、コマンド生成手段44で、データの授受を終了する通信終了指令を生成する。この通信終了指令はコマンドである。リーダライタ制御手段43は、生成したその通信終了指令を、非接触式インターフェース22,42、ICカード制御手段24、接触式インターフェース14,21を通して携帯電話制御手段17に送信する(SQ112)。送受信手段46は、通信終了指令を送信すると、データ非許容状態からデータ許容状態に移行する。
【0056】
通信終了指令が与えられた携帯電話制御手段17は、その通信終了指令に対するレスポンスである通信終了応答を、接触式インターフェース14,21、ICカード制御手段24、非接触式インターフェース22,42を通して送受信手段46に送信する(SQ113)。送受信手段46は、通信終了応答の受信を許容した後、その通信終了応答をリーダライタ制御手段43に送信し(SQ113)、その後、データ許容状態からデータ非許容状態に移行する。そして、サーバ装置30と携帯電話10との間で行ったデータの授受を終了する。
【0057】
この発明によれば、複数のパケットから成るデータをICカード20から受信する場合、パケットの受信タイミングに応じてダミーコマンドを送受信手段46から送信させるリーダライタ制御手段43を備えるため、複数のパケットから成るデータを受信する場合、そのデータの送信のタイミングに先立ち、送受信手段46からダミーコマンドを送信し、そのダミーコマンドの送信により、送受信手段46をデータの受信許容状態に変位させる。よって、二番目以降の各パケットデータをICカード20からサーバ装置30に送信する場合には、パケットデータの送信に先立ってダミーコマンドを送信手段からICカード20に送信すれば、ICカード20がダミーコマンドにより何ら処理を行わないため、複数のパケットから成るデータをICカード20からサーバ装置30に受け渡すまでに要する通信時間を短縮することができる。
【0058】
なお、上述した実施の形態には、携帯メモリ11に格納してあり、複数のパケットから成るデータを、サーバ装置30に受け渡すもので説明した。しかしながら、本発明はそれに限られず、ICカードメモリ23に格納してあり、複数のパケットから成るデータを、サーバ装置30に受け渡す際にも、同様の作用・効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るデータ授受システムの構成を示す説明図である。
【図2】図1に示したデータ授受システムが行うデータ授受処理の内容を説明するためのシーケンス図である。
【図3】従来のデータ授受システムが行うデータ授受処理の内容を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0060】
10 携帯電話(クライアント装置)
11 携帯メモリ
12 入力手段
13 表示手段
14 接触式インターフェース
17 携帯電話制御手段
20 ICカード(通信媒体)
21 接触式インターフェース
22 非接触式インターフェース
23 カードメモリ
24 カード制御手段
30 サーバ装置
31 主制御手段
40 リーダライタ
41 リーダライタメモリ
42 非接触式インターフェース
43 リーダライタ制御手段(制御手段)
44 コマンド生成手段
45 ダミーコマンド生成手段
46 送受信手段(送信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマンドを送信したことを条件としてデータの受信許容状態となるサーバ装置と、
前記サーバ装置との間で予め定義されたコマンドが与えられた場合、常に、そのコマンドを受信し、かつそのコマンドに対応する処理を行う通信媒体と
を備え、これら前記サーバ装置と前記通信媒体との間においてデータの授受を行うデータ授受システムにおいて、
前記サーバ装置は、
前記通信媒体との間で未定義となるダミーコマンドを送信する機能を有し、かつ複数のパケットから成るデータを前記通信媒体から受信する場合、パケットの受信タイミングに応じて前記ダミーコマンドを送信手段から送信させる制御手段を備える
ことを特徴とするデータ授受システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−181309(P2008−181309A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13923(P2007−13923)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】