説明

データ表示装置およびデータ表示方法

【課題】省エネルギー化に対する使用者の意識を一層高める。
【解決手段】太陽電池の発電電力を系統電源に供給するパワーコンディショナ1に接続され太陽電池の発電電力量を表示するデータ表示装置100において、発電電力量の値をパワーコンディショナ1の環境貢献度を示す環境貢献値に換算する換算係数を取り込む換算係数入力部13と、パワーコンディショナ1から出力された発電電力量を取り込むデータ受信部11と、発電電力量を蓄積するデータ蓄積部12と、複数の換算係数を保存する換算係数記憶部14と、発電電力量と換算係数とに基づいて表示部17に表示される環境貢献値を生成する演算処理部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池で発電された直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System)に接続され、発電状態を表示するデータ表示装置およびデータ表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワーコンディショナは、太陽電池で発電された直流電力を交流電力に変換し、商用電源と系統連系することにより発電電力を住宅内の負荷に供給し、または商用電源側に売電するシステムである。このパワーコンディショナには、発電電力量の値をパワーコンディショナの環境貢献度を示す環境貢献値、例えば発電電力量に対応する二酸化炭素(CO)の排出削減量などを使用者に判り易く伝え、地球温暖化防止への意識を高めることができるデータ表示装置を有しているものも少なくない。
【0003】
従来、例えば下記特許文献1に示されるデータ表示装置は、7セグメントLEDから成る表示部、CO排出削減量を表示させるモニターボタンを備え、単位発電電力量当たりのCO排出削減量を換算係数として設定した上で当該モニターボタン押下すると、換算されたCO排出削減量を表示できるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000‐003224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示されるデータ表示装置は、データ表示装置に予め記録されている換算係数を用いて換算処理を行うため、例えば各種団体が発表する最新の換算係数を用いることができないという課題があった。また、換算係数はデータ表示装置に固定されており任意に設定することができないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、省エネルギー化に対する使用者の意識を一層高めることができるデータ表示装置およびデータ表示方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるデータ表示装置は、太陽電池の発電電力を系統電源に供給するパワーコンディショナに接続され前記太陽電池の発電電力量を含む表示情報を表示する表示部を備えたデータ表示装置において、前記発電電力量の値を前記パワーコンディショナの環境貢献度を示す環境貢献値に換算する換算係数を取り込む換算係数入力部と、前記パワーコンディショナから出力された前記発電電力量を蓄積するデータ蓄積部と、前記換算係数入力部に取り込まれた一または複数の前記換算係数を保存するする換算係数記憶部と、前記データ蓄積部の前記発電電力量と前記換算係数記憶部の前記換算係数とに基づいて算出され前記表示部に表示される前記環境貢献値を生成する演算処理部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるデータ表示装置によれば、任意に設定された一または複数の換算係数を取り込むことができる換算係数入力部と換算係数記憶部とを備え、パワーコンディショナから出力された発電電力量と換算係数とに基づいて環境貢献値を生成するようにしたので、省エネルギー化に対する使用者の意識を一層高めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明にかかるデータ表示装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるデータ表示装置の構成を示す図である。図1に示すデータ表示装置100は、主たる構成部として、データ受信部11、データ蓄積部12、換算係数入力部13、換算係数記憶部14、演算処理部15、表示情報変換部16、および表示部17を有して構成されている。
【0011】
外部接続されたパワーコンディショナ1は、日射量に応じて出力される太陽電池の直流電力を系統連系インバータによって交流電力に変換し、変換された交流電力を電力会社が保有する商用配電線網から供給される系統、または家庭で使用される家電機器などの負荷に供給することが可能である。
【0012】
パワーコンディショナ1は、夜間や雨天時などにおいて発電電力が少ない場合、または負荷の消費電力が大きい場合、発電電力のみでは電力を賄うことができないため、系統電源から不足分の電力の供給を受け負荷に充当する。逆に、晴天で発電電力が多い場合、または負荷の消費電力が小さい場合、発電電力が余るため余剰電力を商用電源側に逆潮流する。
【0013】
データ表示装置100において、データ受信部11は、パワーコンディショナ1から有線または無線方式で出力される発電電力量、PCSの動作状況を含む電力データを取得する。データ蓄積部12は、データ受信部11から出力された電力データを蓄積する。
【0014】
換算係数入力部13は外部から換算係数を取り込む。換算係数記憶部14は、換算係数入力部13に取り込まれた複数の換算係数を保存する。
【0015】
演算処理部15は、発電電力量および換算係数に基づいて、上述した環境貢献値を生成する。当該環境貢献値には、例えば、太陽電池の発電によって抑制された石油の消費削減量や、石油消費削減量に対応して排出が抑制されたCO排出削減量、およびCO排出削減量に相当する植樹効果を表わす植樹本数などを用いている。
【0016】
なお、環境貢献値は、太陽電池の発電電力量の大きさを表わしているため性能指標値と称してもよい。また、換算係数記憶部14には複数の換算係数を記録することができるため、データ表示装置100は、換算係数入力部13を介して使用者の所定の操作により、換算係数記憶部14の換算係数を任意に選択できる構成であってもよい。演算処理部15は、換算係数履歴管理部18で選択された一または複数の換算係数に基づいて環境貢献値を生成する構成であってもよい。
【0017】
演算処理部15で生成された環境貢献値は、表示情報変換部16に出力される。表示情報変換部16は、演算処理部15から出力された環境貢献値を表示部17の規格にあった電気信号を変換する。表示情報変換部16は、電気信号の変換を目的とするものであるため、データ表示装置100に含まれない場合でも、本発明に影響を与えるものではない。
【0018】
表示部17は、データ表示装置100に内蔵される表示部だけでなく、図示されていないS端子やコンポジット端子(Composite Connector)を介して外部モニタ、例えばパソコンのディスプレイ、プロジェクタ、TVモニタなどの汎用表示器でもよい。
【0019】
表示部17の表示内容は環境貢献値のみに限定されるものではなく、例えば、発電電圧、発電電流、発電電力、および住宅内の消費電力などを含めてもよい。
【0020】
図3は、換算係数の一例を示す図である。換算係数は、単位発電電力量当たりのCO排出削減量に換算する第1の換算係数(kg‐CO/kwh)と、単位発電電力量当たりの石油消費削減量に換算する第2の換算係数(L/kwh)と、単位発電電力量当たりのクスノキの植樹効果に換算する第3の換算係数(本・年/kwh)を含む。
【0021】
なお、一例として3つの換算係数を示したがこれに限定されるものではなく、より多くの換算係数を設定してもよい。また、図3に示される換算係数の値は、「9.9999」と記載しているが、使用者が任意に設定可能である。
【0022】
図4は、表示部の表示状態の一例を示す図である。表示部17には、発電電力量(kwh)ならびに換算係数で換算された環境貢献値であるCO排出削減量(kg‐CO)、石油消費削減量(L/kwh)、およびクスノキ植樹本数(本・年)が表示される。
【0023】
このように、データ表示装置100は、発電電力量と各環境貢献値を対応させて表示することで、使用者に対し、太陽電池の発電電力量が地球環境にどの程度貢献しているのかを認識させることができる。なお、一例として発電電力量と3つの環境貢献値を示したが、これらに限定されるものではない。
【0024】
また、表示部17は、発電電力量の大きさに応じて表示部の点灯状態を変化させるなど、使用者が発電電力量等の状態を直感的に把握できるように構成してもよい。また、図4では、表示部17に表示される各パラメータを数字情報で示しているが、例えば棒グラフなどの図形を用いてもよい。さらに、データ表示装置100は、電力会社への売電量と換算係数とに基づいて各環境貢献値を求めるように構成してもよい。
【0025】
以下、実施の形態1にかかるデータ表示装置100の動作を説明する。パワーコンディショナ1は、太陽電池から出力された直流電力を交流電力に変換し、電力データをデータ表示装置100に出力する。
【0026】
データ受信部11は、パワーコンディショナ1から出力された電力データを取り込み、データ蓄積部12に当該データを蓄積する。換算係数入力部13は、任意に設定された換算係数を取り込む。取り込まれた複数の換算係数は、換算係数記憶部14に保存される。なお、データ表示装置100は、例えばデータ表示装置100にインターネット等を接続するなどして、最新の換算係数を自動更新できるように構成してもよい。
【0027】
演算処理部15は、データ蓄積部12に蓄積された発電電力量と換算係数記憶部14に保存された複数の換算係数とに基づいて、各環境貢献値を生成する。生成された各環境貢献値は、表示情報変換部16で表示部17に表示可能な情報に変換され、表示部17に出力される。
【0028】
以上説明したように、実施の形態1のデータ表示装置100によれば、任意に設定された一または複数の換算係数を取り込むことができる換算係数入力部と換算係数記憶部とを備え、パワーコンディショナから出力された発電電力量と換算係数とに基づいて環境貢献値を生成するようにしたので、使用者が任意に設定した換算係数や公表された最新の換算係数を用いて環境貢献値を表示することができる。また、データ表示装置100は複数の換算係数を取り込み、各換算係数に対応する環境貢献値を表示することが可能である。その結果、使用者の省エネルギー化に対する意識を一層高め環境負荷の低減が期待できる。
【0029】
実施の形態2.
実施の形態2にかかるデータ表示装置100は、換算係数入力部13に取り込まれた換算係数の履歴を記録し、換算係数の更新時期を管理することができるように構成されている。
【0030】
図2は、実施の形態2にかかるデータ表示装置の構成を示す図である。図2に示すデータ表示装置100は、主たる構成部として、データ受信部11、データ蓄積部12、換算係数入力部13、換算係数履歴管理部18、換算係数記憶部14、演算処理部15、表示情報変換部16、および表示部17を有して構成されている。換算係数履歴管理部18以外の各構成要素は、実施の形態1と同様であり、以下説明を省略する。
【0031】
ここで、実施の形態2にかかるデータ表示装置100は、換算係数入力部13において使用者が所定の操作を行うことにより、換算係数履歴管理部18の履歴を表示部17に表示し、過去に記録された所望の換算係数を選択することができるように構成されている。
【0032】
換算係数記憶部14には、実施の形態1のデータ表示装置100と同様に、複数の換算係数を記録することができるため、選択できる換算係数は1つに限定されない。演算処理部15は、換算係数履歴管理部18で選択された一または複数の換算係数に基づいて、環境貢献値を生成する。
【0033】
以下、実施の形態2にかかるデータ表示装置100の動作を説明する。パワーコンディショナ1は、太陽電池から出力された直流電力を交流電力に変換し、電力データをデータ表示装置100に出力する。
【0034】
データ受信部11は、パワーコンディショナ1から出力された電力データを取り込み、データ蓄積部12に当該電力データを蓄積する。換算係数入力部13は換算係数を取り込む。取り込まれた換算係数は、換算係数記憶部14に保存されると共に換算係数履歴管理部18に送信される。換算係数履歴管理部18は、換算係数の更新日時と値を対応付けて管理する。
【0035】
ここで、使用者は、換算係数入力部13で所定の操作を行うことにより、換算係数履歴管理部18の履歴を表示部17に表示し、過去に記録された所望の換算係数を選択することが可能である。演算処理部15は、選択された換算係数を用いて各環境貢献値を生成する。表示情報変換部16は、生成された環境貢献値を表示部17に表示可能な情報に変換し、表示部17に出力する。
【0036】
以上説明したように、実施の形態2のデータ表示装置100によれば、換算係数入力部13、換算係数記憶部14および換算係数履歴管理部18を備え、換算係数履歴管理部18に記録されている複数の換算係数の中から任意に換算係数を選択することができるため、選択された換算係数と発電電力量とに基づいて複数の環境貢献値を生成することができる。その結果、使用者が希望する環境貢献値が表示部17に同時表示され、使用者の省エネルギー化に対する意識を一層高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかるデータ表示装置は、パワーコンディショナの環境貢献値を表示するデータ表示装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1にかかるデータ表示装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態2にかかるデータ表示装置の構成を示す図である。
【図3】換算係数の一例を示す図である。
【図4】表示部の表示状態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 パワーコンディショナ
11 データ受信部
12 データ蓄積部
13 換算係数入力部
14 換算係数記憶部
15 演算処理部
16 表示情報変換部
17 表示部
18 換算係数履歴管理部
100 データ表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の発電電力を系統電源に供給するパワーコンディショナに接続され前記太陽電池の発電電力量を含む表示情報を表示する表示部を備えたデータ表示装置において、
前記発電電力量の値を前記パワーコンディショナの環境貢献度を示す環境貢献値に換算する換算係数を取り込む換算係数入力部と、
前記パワーコンディショナから出力された前記発電電力量を蓄積するデータ蓄積部と、
前記換算係数入力部に取り込まれた一または複数の前記換算係数を保存するする換算係数記憶部と、
前記データ蓄積部の前記発電電力量と前記換算係数記憶部の前記換算係数とに基づいて算出され前記表示部に表示される前記環境貢献値を生成する演算処理部と、
を備えたことを特徴とするデータ表示装置。
【請求項2】
前記換算係数の更新日時と値が対応付けて記録される更新履歴を管理する換算係数履歴管理部を備え、
前記演算処理部は、前記換算係数履歴管理部から選択された一または複数の前記換算係数に基づいて前記環境貢献値を生成することを特徴とする請求項1に記載のデータ表示装置。
【請求項3】
前記換算係数は、単位発電電力量当たりのCO排出削減量に換算する第1の換算係数と、単位発電電力量当たりの石油消費削減量に換算する第2の換算係数と、単位発電電力量当たりの植樹効果に換算する第3の換算係数を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ表示装置。
【請求項4】
太陽電池の発電電力を系統電源に供給するパワーコンディショナに接続され前記太陽電池の発電電力量を含む表示情報を表示する表示部を備えたデータ表示装置に適用可能なデータ表示方法であって、
前記パワーコンディショナから出力された前記発電電力量と前記発電電力量の値を前記パワーコンディショナの環境貢献度を示す環境貢献値に換算する換算係数とを取り込む入力ステップと、
一または複数の前記換算係数と前記発電電力量とを蓄積する蓄積ステップと、
蓄積された前記換算係数と前記発電電力量とに基づいて前記表示部に表示される前記環境貢献値を生成する生成ステップと、
前記環境貢献値の信号形式を前記表示部に適合した信号形式に変換する変換ステップと、
を含むことを特徴とするデータ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−33242(P2010−33242A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193489(P2008−193489)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】