説明

データ記憶タグを有する治療用パッド

本発明は、人間または動物の体に装着するための治療用パッド(10)を提供する。治療用パッド(10)はデータを記憶するための手段(310)を含む。さらに、治療用システムが提供される。システムは前記治療用パッド(10)と、水力装置(200)とを含む。水力装置(200)は、水力装置(200)と治療用パッド(10)を繋ぐために適合されたチューブ(212、214)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部システムによって制御されうる治療用パッドに関する。特に、パッドは人間または動物の、体または器官、例えば四肢、膝、肘、および/または顔などを冷却するのに用いられうる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、人間または動物の体に関する治療的処置や診断という技術分野に属する。
【0003】
より詳細には、本発明は、温度、圧力、および流量が制御され能動的に調節された流体のパッドを通じて循環を保証する熱処置による人間または動物の体に関する治療的処置という技術分野に属する。より詳細には、体部位に関する熱処置は、流体パッドとそれが装着された体部位との間において、制御され能動的に調節された熱エネルギーの交換を通じて実行される。この治療用パッドは、熱処置に関係するデータを治療用パッドに関連付ける手段を含む。
【背景技術】
【0004】
(背景技術)
特定の病気や疾患は、体部位に冷却または熱を加えることによる処置を必要とする。このような処置は、実施された処置の手順(例えば、処置の強さや期間)によっては、特に有益な医学的な効果が得られる。従来、このような処置は、例えば、寒冷療法のためには氷または冷液を、温熱療法のためには加熱されたタオルなどの熱源を、患部に当てることによってなされた。
【0005】
熱パッドを使うことにより、このような処置の効率性や利便性が大幅に増すことが分かってきた。
【0006】
しかしながら、症例によっては、パッドを介した流体の流れによって体を温めるため、または冷やすために、パッドを介した熱いまたは冷たい流体を供給するだけでは充分ではない。例えば、体部位が(例えば炎症によって)腫れたときに熱パッドを使うと、熱パッドによって体部位に加えられた圧力が強すぎたり弱すぎたりすることが生じうる。
【0007】
よって、パッドによる特定の処置が、処置の種類と、患者または患者の病気の特徴とに従って修正できるということは、有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の課題)
処置が制御され得る治療用パッドを提供することが本発明の目的である。
【0009】
制御に関係するデータを記憶するための手段を有する、制御可能な治療用パッドを提供することが本発明の目的である。
【0010】
患者の特定のデータに、患者と実施された処置を関連付ける手段を治療用パッドに設けることが、本発明のさらなる目的である。
【0011】
処置に関連するデータが効率的に記憶され分析されることが、本発明のさらなる目的である。
【0012】
本発明のさらなる目的と利点は、以下の説明によって開示され、明確になるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の概要)
本発明は、人間または動物の体に装着する治療用パッド並びに、パッド及びパッドに接続可能な水力装置とを含む治療用システムに関する。
【0014】
好ましい実施形態のためのより詳しい特徴は、従属請求項で設定される。
【0015】
本発明によれば、人間または動物の体に装着される治療用パッドが提供される。パッドはデータ記憶を記憶する手段を含む。
【0016】
特定の実施形態においては、パッドは、人間または動物の体に熱エネルギー交換をもたらすために適合される。
【0017】
特定の実施形態においては、パッドは、特にチューブを通じて、水力装置と接続されるのに適合される。
【0018】
特定の実施形態においては、パッドは、外部でチューブと接続するように適合された内部の流体伝送チャネルをさらに備える。
【0019】
特定の実施形態においては、データを記憶する手段は電子的なメモリチップである。
【0020】
特定の実施形態においては、メモリチップは外部演算装置と非接触で通信するように適合される。
【0021】
特定の実施形態においては、メモリチップはパッドの外側表面または内側表面に取り付けられる。
【0022】
特定の実施形態においては、メモリチップはタグ、特に無線タグ、を介してパッドに取り付けられる。
【0023】
例えば、パッドの非接触通信は、無線自動識別(RFID:Radio Frequency Identification)技術を用いることにより提供され得る。理論上、RFIDはバーコード識別と似た技術である。RFIDを用いて、電磁スペクトルの無線周波数領域の中で電磁結合または静電結合が、信号を伝送するのに使われる。RFIDシステムはアンテナと無線通信機とで構成される。アンテナと無線通信機は、無線周波数を読み取り、演算装置及びトランスポンダまたはタグに情報を送信する。トランスポンダまたはタグは、無線回路および送信されるべき情報を含む集積回路である。高周波RFIDシステム(850MHzから950MHz、および2.4GHzから2.5GHz)は25メートル以上の伝送距離を提供する。RFIDシステムにおいて、送信されるべきデータを含むトランスポンダは「無線タグ」である。無線リーダ/ライタモジュール(RFIDリーダ/ライタモジュール)は、RFIDタグに問い合わせ、及び/または、それに関するデータを生成するために使用される装置である。モジュールは、電波を送信/受信するアンテナを有し、タグはそのデータを送り返すことによって応答する。
【0024】
特定の実施形態においては、メモリチップは、2つ以上の所定の演算装置によって読み取りおよび/または書き込みが可能である。
【0025】
特定の実施形態においては、データは医療手順情報、および/または医療的処置の結果、および/または(その医療的処置の)パフォーマンスに関係した情報、および/またはパッドの耐用期間である。
【0026】
特定の実施形態においては、治療用パッドのデータ記憶部のデータは、特に、そのパッドの処置に関連した医療用のデータであってもよい。例として、データ中の情報セットの表示を、以下に一覧させて示す。以下にまとめられるデータは、「読み取るための」データというだけでなく、ラベルを作る場合は結果的に、「書き込むための」データでもある。情報セットは、以下の情報のサブセットであってもよい(以下の情報は、これに限らず、他の関心ある情報が定義されて記憶されてもよい)。
【0027】
・治療用パッドの通し番号(S/N)
・パッドのタイプ(例えば、膝パッド、顔パッド、肩パッド)
・製造バッチ
・製造日
・患者の名前(一度だけ書き込む)
・患者の一意の識別名(患者の名前の代わりに識別名が使用される病院または処置施設で)(一度だけ書き込む)
・手順の名前(治療用パッドが使用される患者の処置のために用いられる手順の名前)(書き込む)
・手順のステップ1のパラメータ設定(書き込む)
・手順のステップ2のパラメータ設定(書き込む)
・手順の識別名(書き込む)
・一回目の接続のタイムスタンプ(一度だけ書き込む)
・最後の出来事のタイムスタンプ(書き込む)
・熱処置サーバSN(無線タグに書き込む最後の熱処置サーバ)(書き込む)
・最後のイベントのタイプ(例えば、治療用パッドの分離、システムメッセージ、処置の開始)(書き込む)
・処置が出力したデータセット(例えば、処置に対する人体の反応、治療用パッドのパフォーマンス)(書き込む)
【0028】
特定の実施形態においては、記憶される情報は、次に挙げるクラスの一部でもよいが、これに限定されるものではない。患者情報、医療用処置および医療的手順の情報、中間および最終の処置結果の情報、診断情報、治療用パッドの使用、品質、及びパフォーマンス、耐用期間に関する情報、患者および治療用パッドの追跡可能性の情報。
【0029】
熱処置装置の主要な役割は、制御され能動的に調節された温度、圧力、及び流量での流体の、治療用パッドを通じての循環を、処置される患者に肯定的な結果を確保するという所定の最終的な目標をもって、確保することである。熱処置装置は、効果的に、効率的に、確実に、及び安全にその主要な役割を果たすために、操作者(例えば、医師)による情報および指示の初期入力を、次に続くリアルタイム情報の流入と同様に、必要としてもよい。次に続くリアルタイム情報は、血圧または脈拍数のような関連する制御パラメータを測定するために、外部に設置された複数のセンサ、例えば、処置装置の中にあるセンサ、または、患者の適切な箇所に配置されたセンサを通じて収集される。
【0030】
特定の実施形態においては、パッドは使い捨て可能なパッドである。
【0031】
本発明によれば、治療用システムが提供される。システムは前述のような治療用パッドの1つと、水力装置とを含む。水力装置は、水力装置をパッドに接続するのに適したチューブを有する。
【0032】
特定の実施形態においては、水力装置は、2つのチューブを通じてパッドと接続されるために適合される。
【0033】
特定の実施形態においては、水力装置とパッドとが互いに着脱不可能に接続される。
【0034】
特定の実施形態においては、水力装置が医療用処置装置によって制御可能である。
【0035】
患者は、異なる熱処置の場所の間で(例えば、手術室から回復室へ、それから寝室へ、場合によっては、日中は理学療法施設へ)移動させられるであろうということ、及び、すべてのこれらの場所で同じ患者のために、同じ熱処置装置を使用することは実際上不可能であるということから、実務上患者を追随するための、熱処置装置で用いられる関連情報を有することには、明らかな問題がある。本明細書に記載される発明は、熱処置装置操作者(例えば、医師、看護師)が、処置(例えば、正しい処置手順)の実行のために必要とされる初期情報を設定することを可能にする。操作者は熱処置装置ユーザインタフェースまたは他の何らかの携帯装置若しくはユーザインタフェースを使って、初期情報を入力する。2つ以上の処置装置を伴う治療用パッドの互換性により、パッドが、パッドへ、および/またはパッドから稼動中の医療用処置装置へ、送信されたデータに従って制御されることが可能である。
【0036】
1つの実施形態においては、センサが提供されてもよい。センサは、皮膚伝導率、皮膚の色、皮膚温度、皮膚組織、心拍数、血圧、血液飽和度のような体部位に関係するパラメータを測定するように適合されてもよい。
【0037】
さらに、システムは、患者に対する制御された薬物投与のための手段、例えば、薬ポンプによって特定の調合薬が投与される手段、を含んでもよい。このシステムは、薬物投与に対する患者の反応、すなわち体部位に関係するパラメータの変化を(適切なセンサを通じて)測定する。システムは患者の反応に基づいた特定の診断を提供してもよく、及び/または、閉ループ(フィードバック)制御手段によって患者の処置を最適化するために、制御された方法で熱処置を修正してもよい。
【0038】
抗生物質、抗炎症薬及び化学療法薬など、さらにこれらに限定されない他の医療用処置、と連携して、熱処置装置による処置を組み合せることは、肯定的な相乗的な処置効果を引き起こせる。1つの実施形態においては、熱処置装置は、例えば、抗生物質に対して通常耐性を有する細菌(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に感染した体の領域(例えば、腕)に、寒冷処置を適用するために使用されてもよい。この方法での寒冷処置の適用は、細胞分裂の減少および/または組織への拡散を引き起こしうるので、患部に効果的に作用する抗生物質により多くの時間をもたらす。これは、切断が唯一の他の実行可能な選択肢であったところへ、好ましい処置効果をもたらしうる。
【0039】
さらに、本明細書に開示された発明は、他の医療用処置と連携して、寒冷処置に関する患者の進展をモニタするのに役立ち、したがって、処置手順、例えば、薬剤の有効性を最大化するための薬剤および最適な服用速度の選択を新しくする。
【0040】
温度分布データは、IR(赤外線)カメラによって得られてもよく、医師に表示されてもよく、及び/または、熱処置のフィードバック制御に使用されてもよい。さらに、様々な体部位に関連するパラメータの測定に基づいて熱処置を制御するときに、熱処置の間に失われた時間も考慮に入れられてもよい。
【0041】
本発明は、処置手段を適応させるバイオフィードバックの使用について説明するが、好ましくは非侵襲性のバイオフィードバックの読み取りを取得する最適な手段を開示することは有益である。例えば、熱パッドもしくはペルチェ熱交換素子と皮膚との間での熱交換量は、熱パッドもしくはペルチェ熱交換素子と皮膚との間の温度感知表面を用いることにより、測定されうる。あるいは、熱パッド内もしくはペルチェ熱交換素子内の流体への電力出力それ自体を計測することは、体との熱交換の間接的な測定をもたらすことが可能である。あるいは、ペルチェ熱交換素子と皮膚との間での熱交換量は、ペルチェ熱交換素子の低温側と高温側との間の温度差、並びにペルチェ熱交換素子の高温側上のヒートシンクを冷却する流体の流速を、測定することにより、間接的に測定されうる(ペルチェ熱交換素子は、ピラによって米国特許6017337号で公開されたように構成されることが好ましい)。あるいは、患者からのバイオフィードバックの直接的測定(例えば、体温)は、ドレナージカテーテルから読み取りを取得する検出手段を用いることにより、取得されうる。ドレナージカテーテルは、例えば、膝の再建手術に続いて体内に挿入されたものである。バイオフィードバックの読み取りを取得するいくつかの望ましい手段を本明細書に開示したが、そのような読み取りを取得する他の手段も排除されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
(図面の簡単な説明)
【図1】図1は治療用パッドの上面図を概略的に示す。
【図2】図2は水力装置を概略的に示す。
【図3】図3は無線タグを有するパッドの一部を概略的に示す。
【図4】図4は治療用パッドを制御する外部システムの構成を概略的に示す。
【図5】図5は治療用パッドを制御する外部装置を概略的に示す。
【図6】図6は治療用パッドのデータを読み取る/書き込むための、外部携帯装置を概略的に示す。
【図7】図7はパッドの動作を制御するシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明のいくつかの実施形態について、添付の図を参照しながら説明する。図は一定の縮尺で描かれていないことは注目されるべきである。また、同じ構成または機能の要素は、全ての図面を通して同じ参照番号によって示されていることは注目されるべきである。また、図面は発明の具体的な実施形態の説明を補助することとしてしか意図されていない。加えて、本発明の特定の実施形態と関連付けられて説明される態様は、必ずしもその実施形態に限定されず、本発明の別の実施形態によっても実施できる。
【0044】
発明の詳細について説明する。図1は治療用パッド10の上面図を示す。治療用パッド10の形状は、処置される特定の体部位に合わせて修正されてもよいし、用途に依存するものである。図1に図示された治療用パッド10は、例えば、膝用のものである。他の形状であってもよい。
【0045】
治療用パッド10は、外側を囲む溶接線12によって輪郭付けられる。治療用パッド10は、例えば、流体注入口14を通じて熱処置装置から流体を受け取る。流体は治療用パッド10の中を、内部の伝送チャネル16を通じて循環する。伝送チャネル16は、内部の溶接線18と溶接点20によって区切られている。最後に、流体は流体排出口22を通じて熱処置装置へ戻る。
【0046】
図2において、水力装置200の上面図が示される。水力装置200は2つのチューブ212、214と、これらのチューブ212、214に接続された2つの水力接続器202、204と、2つの水力封止接続部206、208とによって形成される。水力封止接続部206、208は、着脱不可能に治療用パッド10の流体注入口14および流体排出口22に対して封止されるのが好ましい。水力装置200は、治療用パッド10と組み立てられて単一部を形成するのが好ましい。例えば、水力装置200とパッドは、例えば一体的にモールドされるように、一体的に形成されてもよい。水力装置200は、2つのチューブ212、214を互いに近接して保持するという機械的な目的のためのエレメント210を備えてもよい。別の、しかし類似の実施形態では、2つの水力接続器202、204がこのエレメント210に組み込まれてもよい。水力装置200は、熱処置装置から水力接続器202、204を通じて治療用パッドへの、そして治療用パッド10を通じての流体の循環を可能にする。
【0047】
図3は、無線タグ312が取り付けられた治療用パッドの一部を示す。この実施形態では、タグ312は、例えば外部装置から、受信したデータの記憶を可能にするデータ記憶部310を含む。特定の実施形態では、データ記憶部は処置および患者の情報データを記憶し、そしてタグを用いて治療用パッド10上に配置される。
【0048】
図4は、体に対するパッドの処置を制御するための外部処置装置の機能的構成図を示す。特定の実施形態では、演算装置316と、データ記憶部318と、無線リーダおよび/またはライタモジュール314は、非接触通信システムを形成する。例えば、もし読み取り可能および書き込み可能な電子的なメモリチップ、例えばデータ記憶部310、が無線タグ312上に配置され(図3参照)、パッドの一部の上または内部に取り付けられれば、非接触通信システムは、パッド内の流体の流量、圧力および/または温度の制御および調節を可能にする。
【0049】
そうすることにより、パッドの適用やパッドの使用は、患者にとってより便利であり、より効率的であり、効果的であって、そのため、回復を増進しうる。
【0050】
1つの実施形態では、処置が開始するとすぐに、熱処置装置はデータ記憶タグ310にデータを書き込みはじめることになる。処置が停止し、そして使用者が別の場所へ移動するとすぐに、治療用パッド10は新しい熱処置装置に接続されることになる。後者は、データ記憶タグ310から情報を読み取ることになるので、こうすることにより、どんな手動入力も必要とせずに正しい処置手順を実施することが可能となる。
【0051】
また、熱処置装置はデータ記憶タグ310に、治療用パッド10のパフォーマンスと使用量、品質などに関する情報の記録も取ることになるので、熱処置装置は、有効期限切れの、または動作しない治療用パッド10の使用を、制御および調節できるだろう。
【0052】
好ましくは、治療用パッド10は、所定の時間の後に、パッドの処置手順、安全性またはパッドの有効期限切れを理由に交換される、使い捨てできる装置である。データ記憶タグ310により、所定の時間、例えば、10時間の処置の後に、処置装置はパッド10を無効化できる。このとき、治療用パッド10上のデータ記憶タグ310からの情報は、交換された治療用パッド10にコピーされることが期待される。このコピーは、仲介装置により、例えば、熱処置装置を経由して行われるが、これに限定されない。
【0053】
加えて、または、あるいは、情報は、例えば、患者個人に装着された記憶装置、例えば、無線ブレスレットにコピーされてもよい。例えば、このような情報は、処置装置により若しくは、好ましくは無線送信手段を使う治療用パッド10からのいずれかで、コンピュータネットワーク若しくはインタネットにアップロードされてもよい。このような別の実施形態は、患者に特有のデータが様々な目的にために照合されることを好都合に可能にする。様々な目的とは、例えば、処置手順を生成すること若しくは変更すること、回復途中にある患者の現在の状態を評価することまたは臨床試験過程でデータを収集することであるが、これらに限定されない。
【0054】
最後に、前述の種類の治療用パッド10及び処置の領域に関する問題のひとつは、治療用パッドの不適切な使用(例えば、複数患者での使用)に起因する伝染病の危険である。操作者は今や患者の名前を登録してさらに印刷でき、それを治療用パッド10に貼り付けることが可能である。熱処置サーバが現在の患者‐治療用パッド10の関係の確認を求めることになるから、治療用パッド10の単独での患者の使用を確実にすることにおいて、制御の更なる一歩となるだろう。
【0055】
図5は、治療用パッドを制御するための医療用処置装置100を概略的に示す。装置が持ち運べる装置であるように、装置は車輪102、または運搬と取り扱いを容易にする別の手段を有してもよく、有しなくてもよい。処置装置100は、ハードウェアとソフトウェアのユーザインタフェース104を備える。ユーザインタフェース104は、タッチスクリーンユーザインタフェースでもよいが、処置装置100の操作者がデータ及び命令の入力を実行して見ること並びに、データ及び命令の出力を要求して見ることができる他のどんな種類のものでもよい(ハードウェアキーボード、指示装置、音声入力及び音声出力を含むが、これらに限らない)。さらに、処置装置100は、ラベルとレポートの印刷のために、内蔵印刷装置106、または(無線または有線で処置装置100に接続される)外付けの印刷装置を有してもよい。最後に、処置装置100は熱処置装置であってもよく、そして、循環する流体が図2で示されたような水力装置200を通じて治療用パッドに届くことを可能にする、水力チューブ108と水力接続器110を備えてもよい。水力接続器110は、2つの独立の水力接続器によって形成されてもよく、または、2つの接続器が、図5に描写されるような1つの要素に組み込まれてもよい。
【0056】
図6は、ハードウェアとソフトウェアのユーザインタフェース414、416を備えた、携帯装置400を概略的に示す。図6に描写されたユーザインタフェース414、416は、ハードウェアキーボード414を伴うビデオディスプレイ416であるが、(熱)処置装置100の操作者がデータおよび命令の入力を実行して見ること、かつ、データおよび命令の出力を要求して見ることができる他のどんな種類のものでもよい(ハードウェアキーボードと、指示装置、音声入力、音声出力を含むが、これらに限らない)。さらに、携帯装置400は、ラベルとレポートの印刷のために、内蔵印刷装置412、または(無線または有線で、携帯装置400に接続される)外付けの印刷装置を備えてもよい。最後に、携帯装置400は、無線リーダ/ライタモジュール410を備えてもよい。
【0057】
図7は、医療用の処置装置100と、チューブシステム108、110、202、204、206、208を通じて装置100と接続するパッド10との配置を含むシステム全体を概略的に示す。
【0058】
前述のように本発明を詳細に図説し説明したが、図と説明は説明的または例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものではない。よって、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。本明細書で説明された1つの実施形態に関連付けて言及された特性は、本明細書で説明された別の実施形態の特性としても、これらの特性が明確に示していなくとも、有効である。開示した実施形態の変形例は、当業者であり請求項の発明を実施する者によって、明細書の開示及び添付の請求項の研究から、理解され、実行されうる。請求項において「含む」という言葉は他の要素またはステップを排除せず、単数形の構成要素は複数形の構成要素を排除しない。特定の手段が互いに異なる従属請求項において記述されるという単純な事実は、これらの手段の組み合わせが有効に利用されえないということを示さない。
【符号の説明】
【0059】
10 治療用パッド
12 外部の溶接線
14 流体注入口
16 伝送チャネル
18 内部の溶接線
20 溶接点
22 流体排出口
100 医療用(熱)処置装置
102 車輪
104 ユーザインタフェース
106 内蔵印刷装置
108 水力チューブ
110 水力接続器
200 水力装置
212、214 チューブ
202、204 水力接続器
206、208 水力封止接続部
210 機械的な目的のためのエレメント
310 データ記憶タグ
312 無線タグ
314 無線リーダ/ライタ
316 演算装置
318 データ記憶部
400 携帯装置
410 無線リーダ/ライタ装置
412 内蔵印刷装置
414 ハードウェアキーボード
416 ビデオディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶するための手段(312、310)を含む、
人間または動物の体に装着するための治療用パッド。
【請求項2】
人間または動物の体へ熱エネルギー交換を行うように適合されること特徴とする、請求項1記載のパッド。
【請求項3】
特にチューブを通じて、水力装置と接続されるように適合されることを特徴とする、請求項1または2記載のパッド(10)。
【請求項4】
チューブ(212、214、108)と外部で接続するように適合された内部の流体伝送チャネルをさらに含む、
請求項1ないし3のいずれか一つに記載のパッド。
【請求項5】
前記データを記憶するための手段は電子的なメモリチップであることを特徴とする、
請求項1ないし4のいずれか一つに記載のパッド。
【請求項6】
前記メモリチップは外部演算装置(316)と非接触的に通信するように適合されたことを特徴とする、
請求項5記載のパッド。
【請求項7】
前記メモリチップは前記パッドの外側表面または内側表面に取り付けられることを特徴とする、
請求項5または6記載のパッド(10)。
【請求項8】
前記メモリチップ(310)はタグ、特に無線タグ(312)、を介して前記パッドに取り付けられることを特徴とする、
請求項7記載のパッド。
【請求項9】
前記メモリチップは2つ以上の所定の演算装置(316)によって読み取りおよび/または書き込みが可能であることを特徴とする、
請求項5ないし8のいずれか一つに記載のパッド。
【請求項10】
前記データは医療的な手順情報、および/または医療的処置の結果、および/またはそのパフォーマンスに関係した情報、および/または前記パッドの耐用期間であることを特徴とする、
請求項1ないし9のいずれか一つに記載のパッド。
【請求項11】
前記パッドが使い捨て可能であることを特徴とする、
請求項1ないし10のいずれか一つに記載のパッド。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一つに記載の治療用パッドと、
液体を循環させるためのチューブ(108、200)を通じて前記治療用パッドと接続する水力装置とを含む
治療用システム。
【請求項13】
前記水力装置と前記治療用パッドとが互いに着脱不可能に接続されることを特徴とする
請求項12記載のシステム
【請求項14】
前記水力装置は医療用処置装置の手段によって制御可能であることを特徴とする、
請求項12または13記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−531289(P2012−531289A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518909(P2012−518909)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059372
【国際公開番号】WO2011/000916
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(512003928)ヴェーゲナー・インターナショナル・アクチェンゲゼルシャフト (5)
【氏名又は名称原語表記】WAEGENER INTERNATIONAL AG
【Fターム(参考)】