説明

データ記憶装置

【課題】ハードディスク媒体すべてに消去用データを上書きすることなく、瞬時に仮想的にハードディスクを消去する構成をとることで、ハードディスクの再利用や廃棄にかかる作業をなくすことが可能なデータ記憶装置を提供する。
【解決手段】ハードディスク等のデータ記憶装置において、ハードディスクの記録データを消去する指示が出た場合、ハードディスク媒体へ記録するデータを乱数化するスクランブラ手段と記憶媒体から読み出した前記乱数化されたデータを元のデータに戻すデスクランブラ手段に設定する乱数発生のための初期値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク装置、フレキシブルディスク装置、光ディスク装置及びメモリーカード装置等のデータ記憶装置に関するものであり、特にデータ記憶装置のデータの消去技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(パソコン)、ワークステーション、PDA(Personal Digital Assistance)などの情報処理装置には、データの記憶を行うハードディスク装置、フレキシブルディスク装置、光ディスク装置、メモリーカード装置等のデータ記憶装置が接続され、各種情報処理に必須の装置として広く普及している。
【0003】
データ記憶装置の第1の従来例として、一般的なハードディスク装置について図11から図14を用いて説明する。
図11はコンピュータ1101に組み合わせた前記第1の従来例のハードディスク装置1102の構成を示し、図12はこのハードディスク装置1102におけるエンコーダ1115とデコーダ1116の構成を示す。図13は前記ハードディスク装置1102の記録データの構成を示し、図14はこのハードディスク装置1102におけるランダマイズ回路1501の構成を示す。
【0004】
図11において、ハードディスク装置1102はコントローラ1103、記録部1104、ハードディスク1105及び再生部1106を有する。ハードディスク装置1102は、コンピュータ1101と通信を行い、データ記録時は、コンピュータ1101からホストI/F1111に対して記録コマンドが発せられる。制御部1112はコントローラ1103内部の各ブロックを制御して、コンピュータ1101からのデータをコントローラ1103及び記録部1104を介してハードディスク1105に記録する。一方データ再生時は、コンピュータ1101からホストI/F1111に対して再生コマンドが発せられる。制御部1112はコントローラ1103の各ブロックを制御して、ハードディスク1105からデータを読み出し、再生部1106、コントローラ1103を介してコンピュータ1101に読み出したデータを送る。
【0005】
コンピュータ1101の出力するデータ列がバス12を介してメモリ1113に蓄積されると、ECC部1114はこの蓄積データをフレーム単位(図13参照)に区切って読み込み、誤り訂正用のパリティを計算し、各フレームのパリティ情報をメモリ1113に蓄積する。メモリ1113内の各フレームに対応するパリティが準備されると、制御部1112は、図13に示すように、フレーム90とそのパリティ91からなる中間データ18をバス13を介してメモリからエンコーダ1115へ出力する。エンコーダ1115では、制御部1112からの制御信号51に従って、図12に示すスクランブラ1201が入力として受け取った前記中間データ18をランダマイズし、変調部1202でエラーレートが小さくなるようなデータ系列に符号化する。エンコーダ1115は更にシンク挿入部1210にてフレーム同期パターンであるシンクデータ93を付加してブロックデータ94を構成した後、記録部1104に転送する。記録部1104は、ハードディスク1105上の指定した領域に前記変調後のブロックデータ列14を記録する。
【0006】
ハードディスク1105から読み出されて再生部1106が生成した信号15はデコーダ1116へ送られる。デコーダ1116では図12に示すように、シンク検出部1211にてシンク検出され、出力のタイミング信号52が制御部1112へ送られる。復調部1203は、前記変調部1202の逆処理の復調を行うものである。デスクランブラ1204は、図11に示す制御部1112からの制御信号51に従って復調後のデータをデランダマイズした出力16をメモリ1113へ記憶する。ECC部1114は、メモリ1113に記憶された各フレームと前記フレームのパリティを読み出して、前記フレーム内のデータ誤りを検出し、メモリ1113上の前記フレームの前記誤りデータを修正する。制御部1112は、前記修正済みのフレームを順次読み出してバス12を介してコンピュータ1101へ送出する。
【0007】
図11において、デコーダ1116のデスクランブラ1204は、エンコーダ1115のスクランブラ1201と同じものであり、具体例としては、図14に示すランダマイズ回路1501がある。ランダマイズ回路1501は、擬似乱数を発生させる擬似乱数発生回路(いわゆる、線形帰還シフトレジスタ)1502とExOR回路1505から構成されている。ここでは各ビット1511がフリップフロップで構成された10ビットのシフトレジスタとExOR回路1512を使って生成した擬似乱数1515をExOR回路1505に入力し、データ1503との排他的論理和を生成して出力1504として出力している。前記シフトレジスタは、前記各中間データ18をスクランブル(もしくは復調後のデータをデスクランブル)する直前に、固定初期値1205(図12参照)がバス1513(図14)を経由してロードされる。その後、8ビットのデータ1503がランダマイズ回路に入力される度にビットシフト動作を行う。前記ビットシフト動作を行うために、クロック信号1514が前記10ビットの線形帰還シフトレジスタ1502に入力される。
【0008】
図13はメモリ1113に記録されるフレーム90とパリティ91、及びエンコーダ1115から出力されるブロックデータ14の概念図である。各ブロック94は各フレーム90にパリティ91とシンクデータ93が付加されたものである。
【0009】
ところで、前記の第1の従来例のハードディスク装置を内蔵したパソコン等がリサイクルされ、中古製品として最初の所有者と違う他人の手に渡ることが多々ある。
このような場合、最初の所有者は自分がハードディスク装置に保存していたデータを他人に見られるのを防ぐため、ハードディスク装置のフォーマットを行ってから手放すのが通常である。
【0010】
ところが、このフォーマットを行うためのWindows(登録商標)等のハードディスクフォーマットプログラムでは、ハードディスクの完全フォーマットを選択しても、このフォーマットプログラムによって初期化されるのはハードディスクの管理領域のみである。従ってデータ領域については元のデータが残ったままになっている場合がある。この状態でも通常は管理領域が初期化されているため、データ領域に残っている元のデータを読み取ることができない。
しかしながら今日では、このように管理領域がフォーマットされた状態でも、データ領域に残っている元のデータを特殊な方法で読み取ることができるソフトウェアが流通しており、元の所有者の機密が漏れてしまうおそれがあることがわかった。これは元の所有者である企業の機密漏洩等に繋がるという問題がある。
そこで、このような問題を解決するために、パソコンで動作するソフトウェアプログラムであって、ハードディスクのデータ領域をも完全に消去することができるソフトウェアプログラムが市販されている。
【0011】
このハードディスクのデータ領域をも完全に消去するソフトウェアプログラムの消去方法では、まずパソコンから書き込むデータとハードディスクの書き込み領域とを指定する。この指定したデータをハードディスクの指定領域に書き込むことによってハードディスクのデータ領域に対して上書きを行い、元のデータを消去する。
しかしながらこのソフトウェアプログラムで消去を行う場合、コンピュータで消去データを作成し、それをデータ記憶装置に転送して記憶媒体に書き込む。そのため、データ記憶装置の容量が大きい場合にはデータの作成、転送及び記録に長い時間がかかり、データの消去に多大な時間がかかるという問題があった。
【0012】
このような問題に対処するために、ハードディスク装置内部にハードディスクを消去するための消去信号発生手段を設け、外部のコンピュータとハードディスク間にハードディスク全面消去のためのプロトコルを設けたデータ記憶装置(第2の従来例のハードディスク装置)が開示されている。これによると、コンピュータからハードディスク装置に対し、ハードディスク全面消去を指示するコマンドを発し、ハードディスク装置は、前記コマンドを受信すると前記消去信号発生手段が発生する信号をハードディスクの全面に記録する。
【特許文献1】特開2003−140835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記第2の従来例のハードディスク装置においても、データ消去のために記憶媒体に書き込むデータを作成して記録動作を行っている。そのため、記憶媒体の容量が大きい場合には記録動作に長い時間がかかり、これを短縮するのが課題であった。
本発明は、前記課題を解決するためのもので、ハードディスク等の記憶媒体に消去用の記録を行うことなく短時間でハードディスクの記録データを読めなくして、ハードディスクの再利用や廃棄にかかる作業を短縮することが可能なデータ記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のデータ記憶装置は、外部からデータ記憶装置に入る情報を受信し、データ記憶装置内部の情報を送信する送受信手段、前記送受信手段が受信した前記外部からの情報を乱数化するスクランブラ手段、前記スクランブラ手段の出力信号を記憶する記憶媒体、前記記憶媒体から読み出した信号を前記外部からの情報に変換するデスクランブラ手段、前記スクランブラ手段と前記デスクランブラ手段に初期値を出力するメモリ、及び前記記憶媒体の記録信号を消去する時に前記初期値を変更する初期値変更手段を具備することを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、ハードディスクのデータの消去が指示されると、記録側と再生側の疑似乱数発生の初期値を初期値変更手段によって変更する。初期値を変更した結果、新たに記録されるデータは、変更した初期値(新初期値)に基づいて記録され、新初期値に基づいて再生されるので、ハードディスク装置の使用上支障はない。初期値の変更前にハードディスクに記録されていたデータは、記録時と異なる初期値に基づいて再生されるので、記録時とは全く異なる別のデータとして読み出される。すなわち、ハードディスクに記録されたデータを読み出そうとしても正常にデスクランブルを行うことが出来ない。そのため読み出されるデータは無意味なものとなる。このことは、記録されているデータに無意味なデータを上書き記録した場合と同等になる。記録側と再生側の疑似乱数発生の初期値を同時に変更しているため、このハードディスクは新しいドライブとして記録再生が可能となり、再利用可能なものとなる。
前記のデータ記憶装置において、前記スクランブラ手段及び前記デスクランブラ手段は、線形帰還シフトレジスタを備えることを特徴とするものである。
【0016】
前記のデータ記憶装置において、前記メモリは読み書き可能でかつ電力供給が無くても内容が消去されない構成であり、前記初期値変更手段は、前記初期値に所定の演算処理を行って更新した更新初期値を出力する演算手段を備え、前記メモリから前記初期値を読み出して前記所定の演算処理を行い、前記更新初期値を前記メモリ内の前記初期値に上書き保存することを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記所定の演算処理における、前記初期値と前記更新初期値は必ず異なる値にすることを特徴とするものである。
【0017】
前記のデータ記憶装置において、前記演算手段は線形帰還シフトレジスタを備え、前記初期値を前記線形帰還シフトレジスタに設定して、所定のクロックに同期して所定のビット数だけシフト動作を行った後、前記線形帰還シフトレジスタが保持する値を前記更新初期値とすることを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記演算手段内の前記線形帰還シフトレジスタの代わりに前記スクランブラ手段もしくは前記デスクランブラ手段内の線形帰還シフトレジスタを用いることを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記線形帰還シフトレジスタがシフト動作でシフトする所定のビット数が1ビットであることを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記演算手段が、前記初期値に定数値を加算した結果を前記更新初期値とすることを特徴とするものである。
【0018】
前記のデータ記憶装置において、前記外部からの情報を所定のバイト数のフレームに区切るフレーム化手段と、前記メモリの前記初期値変数の値を読み出して記憶する一時記憶手段を備え、前記初期値変更手段は、前記記憶媒体へ前記フレームを記録する場合は、前記フレームが前記スクランブラ手段に入力される前に、前記一時記憶手段が記憶している値を前記スクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタに設定し、前記記憶媒体から前記フレームを再生する場合は、前記フレームが前記デスクランブラ手段に入力される前に、前記一時記憶手段が記憶している値を前記デスクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタに設定することを特徴とするものである。
【0019】
前記のデータ記憶装置において、前記初期値変更手段は、前記記憶媒体へ前記フレームを記録する場合、前記フレームが前記スクランブラ手段に入力される前に、前記一時記憶手段が記憶している値を前記スクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタに設定し、この後に、前記メモリの前記初期値変数の値を読み出して、前記演算手段によって前記初期値に前記所定の演算処理を行い、前記演算結果を更新初期値として前記メモリの前記初期値変数に上書き記録し、前記記憶媒体から前記フレームを再生する場合、前記フレームが前記デスクランブラ手段に入力される前に、前記一時記憶手段が記憶している値を前記デスクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタに設定し、この後に、前記メモリの前記初期値変数の値を読み出して、前記演算手段によって前記初期値に前記所定演算処理を行い、前記演算結果を更新初期値として前記メモリの前記初期値変数に上書き記録することを特徴とするものである。
【0020】
前記のデータ記憶装置であって、連続する複数フレームで構成されるファイルを前記記憶媒体に対して記録もしくは読み出しを行うデータ記憶装置において、前記初期値変更手段は、前記記憶媒体へファイルを記録する前に、前記ファイルの先頭フレームを記録する前記記憶媒体上のアドレスと前記初期値の対応表を前記メモリもしくは前記記憶媒体に記憶させ、前記記憶媒体からファイルを再生する前に、前記対応表を参照して、再生すべき先頭フレームの前記記憶媒体上のアドレスに対応する前記初期値を読み出して、前記メモリの前記初期値変数へ記録することを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記記憶媒体を消去する時に、前記メモリもしくは前記記憶媒体にある前記対応表を初期化することを特徴とするものである。
【0021】
前記のデータ記憶装置において、前記初期値変更手段が、前記データ記憶装置の電源がオンになった後、もしくは、前記記憶媒体の消去時に前記メモリの初期値変数の値が更新された後に、前記メモリの前記初期値変数の値を読み出して、前記一時記憶手段に記憶させることを特徴とするものである。
本発明のデータ記憶装置は、外部からデータ記憶装置に入る情報を受信し、データ記憶装置内部の情報を送信する送受信手段、前記送受信手段が受信した前記外部からの情報を記憶する記憶媒体、前記外部からの情報を前記記憶媒体に記録し、前記記憶媒体から読み出した信号を再生データとして前記送受信手段に出力する記録再生手段、及び前記記憶媒体の記録情報の消去が指示された後は、前記再生データと異なるデータを前記送受信手段に出力する外部出力変更手段を具備することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、仮想消去を指示するイベントが発生すると、再生側の出力を意図的に別の値に切り替え、2度と元の状態に戻らない。従って、前記イベント発生以前に記録媒体に記録されたデータを読み出そうとしても無意味な情報しか読み出されない。また、イベント発生以降に記録媒体に記録したデータさえ読み出すことができなくなる。つまり、記録媒体は仮想的に消去され、かつ、記録、再生ともに不能にすることが可能となる。初期値の変更は、一旦変更した初期値を再び元の初期値に戻すことはできない、非可逆的変更である。従って初期値変更前の記録データはどのような手段を用いても絶対かつ永久に読み出すことはできない。
【0023】
前記のデータ記憶装置において、前記外部出力変更手段が、前記異なるデータとして前記送受信手段に所定の固定値を出力することを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置であって、前記外部からの情報をスクランブラ手段にて乱数化し、前記乱数化後のデータを変調手段にて変調した変調データを前記記憶媒体に記録し、前記記憶媒体から読み出した変調データを復調手段にて復調し、前記復調データをデスクランブラ手段にて前記外部からの情報に戻す構成において、前記外部出力変更手段は、前記デスクランブラ手段の出力と所定の固定値とを選択して外部へ送信するための第1のセレクタ手段と、前記記憶媒体の消去の指示を受けて、前記第1のセレクタ手段が前記所定の固定値を選択するように指示する選択制御手段とを具備することを特徴とするものである。
【0024】
前記のデータ記憶装置において、前記外部出力変更手段が、前記異なるデータとして前記送受信手段に所定の乱数値を出力することを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置であって、前記記録再生手段は、前記外部からの情報を乱数化するスクランブラ手段と、前記スクランブラ手段の出力信号を変調して前記記憶媒体に記録する変調データを生成する変調手段と、前記記憶媒体から読み出した前記変調データを復調する復調手段と、前記復調手段の出力である復調データから前記再生データを生成するデスクランブラ手段とを備え、前記外部出力変更手段は、前記デスクランブラ手段の出力と前記復調データとを選択して外部へ送信するための第2のセレクタ手段と、前記記憶媒体の消去の指示発生を受けて、前記第2のセレクタ手段が前記復調データを選択するように指示する選択制御手段とを具備することを特徴とするものである。
【0025】
前記のデータ記憶装置であって、前記外部からの情報をスクランブラ手段によって乱数化し、前記乱数化後のデータを変調手段によって変調した変調データを前記記憶媒体に記録し、前記記憶媒体から読み出した変調データを復調手段によって復調し、前記復調データをデスクランブラ手段によって前記外部からの情報に戻す構成において、前記外部出力変更手段は、前記記憶媒体の消去の指示発生以前は、第1の初期値を前記デスクランブラ手段に設定し、前記記憶媒体の消去の指示発生以降は、前記第1の初期値と異なる第2の初期値を前記デスクランブラ手段に設定することを特徴とするものである。
【0026】
前記のデータ記憶装置において、記憶媒体へ記録するデータと、記憶媒体へのデータ記録クロックに同期して動作する線形帰還シフトレジスタの出力とに所定の論理演算をする前記スクランブラ手段、及び記憶媒体から読み出した前記乱数化されたデータと、記憶媒体からのデータ再生クロックに同期して動作する線形帰還シフトレジスタの出力とに所定の論理演算をする前記デスクランブラ手段を備え、前記外部出力変更手段は、第1の初期値と第2の初期値とを選択して前記デスクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタへ設定するための第3のセレクタ手段と、前記記憶媒体の消去の指示を受けて、前記第3のセレクタ手段が前記第2の初期値を選択するように指示する選択制御手段とを具備することを特徴とするものである。
【0027】
前記のデータ記憶装置において、前記選択制御手段は、書き込み読み出し可能で、電力供給がなくても記憶が消えない前記メモリのフラグ変数に記憶されているフラグ値を、前記データ記憶装置の電源オン時に読み出して前記フラグ値を一時記憶手段に記憶させ、前記一時記憶手段の前記フラグ値を前記第1のセレクタ手段、第2のセレクタ手段、又は第3のセレクタ手段への入力選択指示値とし、前記記憶媒体の消去の指示を受信した場合は、前記フラグ変数および前記一時記憶手段に記録し、前記フラグ値と異なる値のイベントフラグ値を上書き記録することを特徴とするものである。
【0028】
前記のデータ記憶装置において、前記第1のセレクタ手段は、前記一時記憶手段が記憶する値が前記フラグ値の場合は、前記デスクランブラ手段の出力を選択し、前記一時記憶手段が記憶する値が前記イベントフラグ値の場合は、前記所定の固定値を選択することを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記第2のセレクタ手段は、前記一時記憶手段が記憶する値が前記フラグ値の場合は、前記デスクランブラ手段の出力を選択し、前記一時記憶手段が記憶する値が前記イベントフラグ値の場合は、前記復調データを選択することを特徴とするものである。
【0029】
前記のデータ記憶装置において、前記第3のセレクタ手段は、前記一時記憶手段が記憶する値が前記フラグ値の場合は、前記第1の初期値を選択し、前記一時記憶手段が記憶する値が前記イベントフラグ値の場合は、前記第2の初期値を選択することを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記データ記憶装置に取り付けられた物理的スイッチを更に有し、前記記憶媒体の消去の指示が、前記物理スイッチの状態変化もしくは前記外部からの情報を元に発生することを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記記憶媒体の消去の指示発生後に、前記物理的スイッチの状態を変化させても、もしくは、前記外部から情報を与えても、前記記憶媒体の消去の指示が発生した事実が記憶されていて失われないことを特徴とするものである。
【0030】
前記のデータ記憶装置において、前記記憶媒体の消去の指示が発生して、前記メモリ内の前記初期値変数もしくは前記フラグ変数、もしくは前記一時記憶手段に、所定の値が上書きされたことを示す状態情報を外部に出力するための外部開示手段を備えたことを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記外部開示手段が、前記状態情報を外部に対して所定データにて送信することを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記外部開示手段が、前記状態情報を前記データ記憶装置に取り付けられたLED等の光源を点灯もしくは点滅させて外部に示すことを特徴とするものである。
前記のデータ記憶装置において、前記記憶媒体が磁気ディスクまたは磁気テープまたは光ディスクまたは半導体メモリであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明のデータ記憶装置によれば、データ記憶媒体の記憶データの消去を行うために、データの記録再生においてデータのスクランブル及びデスクランブルに用いる初期値を変更する。初期値の変更により、変更以前に記憶したデータは正常に読み出すことができなくなり、記憶媒体を仮想的に消去したことになる。そのためデータ記憶装置の記憶媒体に消去用の上書き記録を行うことなく瞬時に仮想的にデータを消去することが可能となる。これにより、ハードディスクの再利用や廃棄にかかる作業時間を大幅短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明のデータ記憶装置の好適な実施例を図1から図10を参照して詳細に説明する。
《実施例1》
【0033】
本発明の実施例1のデータ記憶装置であるハードディスク装置10を図1から図6を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1におけるハードディスク装置10のコントローラ1103aとその周辺の構成を示すブロック図である。コントローラ1103aは、図11に示すコントローラ1103に対応する部分であり、これに従来例のものと同じコンピュータ1101、記録部1104、ハードディスク1105及び再生部1106が接続されている。従来例と同じ要素については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
図1に示すコントローラ1103aは、図11に示す第1の従来例のコントローラ1103に、図1に太線の枠のブロックで示す初期値変更部101、一時記憶部102、不揮発性メモリ103、演算部104を追加したものである。またコントローラ1103aの外部に電源電圧信号121の入力線、スイッチ122、LED124を接続している。コントローラ1103aに記録部1104、ハードディスク(HD)1105及び再生部1106が接続されてハードディスク装置10が構成される。
図2は、コントローラ1103aに含まれるエンコーダ1115a及びデコーダ1116aの構成を示すブロック図である。図3の(a)及び(b)に、前記演算部104の2つの例をそれぞれ示す。図4に、前記初期値変更部101が行う処理のフローを示している。
【0035】
この構成により以下に詳しく説明するように、ハードディスク1105の記憶媒体のデータを仮想的に消去するための記録信号を生成することが可能になる。「仮想的に消去する」とは、ハードディスクの記録再生において、あらかじめ設定されている初期値を変更することである。ハードディスク装置では磁気記録の直流成分を減らすために、記録信号を前記の初期値を用いて変調し、変調した信号を磁気記録している。再生時には磁気記録信号を記録時と同じ初期値を用いて復調し、元の信号を再生している。初期値はハードディスク製造時に所定の固定値が設定される。初期値を変更すると、変更前に記録されていたデータは、記録時と全く異なるデータとして読み出される。すなわち元のデータを再現することはできない。仮想的に消去することを、以下「仮想消去」という。
【0036】
以下、本発明の実施例1について、図1から図4を用いて詳細に説明する。
図1において、コンピュータ1101が、送受信手段であるホストI/F1111に接続され、データ11の送受をする。ホストI/F1111の出力は、制御部1112を経てメモリ1113に入力される。メモリ1113はコンピュータ1101にバス12で接続されている。メモリ1113にはECC部1114がバス17で接続されている。メモリ1113の出力の中間データ18はバス13を介してエンコーダ1115aに入力されている。またデコーダ1116aの出力16がメモリ1113に入力される。エンコーダ1115aの出力14は記録部1104に出力され、ハードディスク1105に記録される。ハードディスク1105の読み出しデータは再生部1106を経てその再生出力15がデコーダ1116aに入力される。デコーダ1116aの出力16はメモリ1113に入力される。
【0037】
初期値変更部101には、電源の入・切を示す電源電圧信号121が信号ライン21を経て入力されるとともに、スイッチ(SW)122の動作を示す情報22が入力される。またホストI/F1111から情報24が入力される。初期値変更部101の出力は、演算部104、不揮発性メモリ103、一時記憶部102及びホストI/F1111に入力される。初期値変更部101の出力25は表示装置であるLED124に印加される。不揮発性メモリ103と演算部104は、バス31と32を経てデータの送受を行う。不揮発性メモリ103の出力はバス35を経て一時記憶部102に送られる。
【0038】
不揮発性メモリ103の内部には10ビットの初期値変数エリアが割り付けられている。この初期値変数エリアには、ハードディスク装置を出荷する時点で、図2に示すエンコーダ1115aの内部のスクランブラ1201、及びデコーダ1116aの内部のデスクランブラ1204の具体例の、当技術分野では周知のランダマイズ回路1501(図14)内部の線形帰還シフトレジスタ1502にロードすべき共通の初期値が格納されている。初期値変更部101は、電源電圧信号121を観測して、ハードディスク装置の電源がオンになったことを認識すると、制御信号34、36によって、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに格納されている初期値をバス35を経由して一時記憶部102にロードする。一時記憶部102に格納された初期値は、バス37を経由して、エンコーダ1115a及びデコーダ1116aへ、その内部にロードすべき共通の初期値として転送される。
【0039】
初期値変更部101は、スイッチ122からの開閉動作を示す情報22、又はコンピュータ1101からのハードディスク装置10のデータを仮想消去するという指示の情報24を元にして、仮想消去を実行する指示(以下、仮想消去イベント、という)を認識する。仮想消去イベントを認識すると、通常のハードディスク記録再生動作が終わった段階で、初期値変更部101は、制御信号33、34によって、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアの初期値をバス31を経由して演算部104に転送し、演算部104にて所定の演算処理を行う。その演算結果得られた新たな初期値(以下、更新初期値という)はバス32を経由して不揮発性メモリ103に転送され、内部の初期値変数に上書きされ、初期値が変更される。また初期値変更部101から仮想消去イベント発生信号25が出され、LED124とホストI/F1111に印加される。これによりLED124を点灯させるとともにホストI/F1111を介して外部のコンピュータ1101に仮想消去イベントの発生を表示する。次に前記初期値変更部101は、制御信号34、36によって、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに格納されている更新初期値をバス35を経由して一時記憶部102にロードする。一時記憶部102に格納された更新初期値はバス37を経由して、前記エンコーダ1115a及びデコーダ1116aへその内部にロードすべき共通の初期値として転送される。
【0040】
図3の(a)は、図1の演算部104の具体例としての加算演算部200のブロックを示す。不揮発性メモリ103からバス31を経由して転送された10ビットの初期値は加算演算部200内の加算器201に入力され、この初期値と10ビットの「0000000001」の値との加算を行う。加算結果の値は前記更新初期値としてバス32を経由して不揮発性メモリ103に転送される。この場合は、制御信号33は使用しない。
【0041】
図3の(b)に、図1の演算部104の別の具体例としての、擬似乱数発生回路(いわゆる、線形帰還シフトレジスタ)300を示す。線形帰還シフトレジスタ300は擬似乱数を発生させるものであり、各ビット301がフリップフロップで構成された10ビットのシフトレジスタと、ExOR回路302とで構成される。前記不揮発性メモリ103からの初期値をバス31を経由して線形帰還シフトレジスタ300にロードし、クロック信号として初期値変更部101からの制御信号33を入力する。これにより、線形帰還シフトレジスタ300を1ビットシフトさせ、その時線形帰還シフトレジスタ300が保持する値を更新初期値としてバス32を経由して不揮発性メモリ103へ転送する。
【0042】
図3の(b)の線形帰還シフトレジスタ300は、エンコーダ1115a内部のスクランブラ1201及びデコーダ1116a内部のデスクランブラ1204に用いられる線形帰還シフトレジスタ1502と同じ構成をしているが、異なる構成であってもよい。
また、更新初期値を生成する際、線形帰還シフトレジスタ300を1ビットシフトさせたが、1ビットである必要はなく、任意のビット数でシフトさせるものでもよい。ただし、不揮発性メモリ103から線形帰還シフトレジスタ300にロードした初期値と任意のビット数でシフトした後の更新初期値が同じ値にならないものとする。図3の(a)及び(b)にそれぞれ示す演算部104の具体例の、加算演算部200及び線形帰還シフトレジスタ300では、バス31から入力された初期値は、演算されてバス32から更新初期値として出力される。従って変更された更新初期値が前の初期値と同じになることはない。また更新初期値を前の初期値と同じにすることは不可能であり、一旦変更された初期値は2度と元に戻らない。
【0043】
図4は、図1に示すコントローラ1103aで記憶媒体のデータを仮想消去する手順を示すフローチャートである。図1に示す初期値変更部101は、ステップS401でハードディスク装置10の電源がオンになったことを検知すると、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに格納されている初期値を一時記憶部102へ記憶させて設定する(S402)。
ハードディスク装置10が通常使用時の記録再生動作を行う際(S403)は、一時記憶部102に記憶されている前記初期値がエンコーダ1115a、及びデコーダ1116aによってフレーム単位で参照されて、ブロックを生成してハードディスクへ記録する。再生時には、ハードディスクから再生された前記ブロックから前記初期値を参照してフレームを生成する。ハードディスク装置の通常使用は電源オフ(S404:YES)で終了する。
【0044】
ステップS404で電源がオン状態(NO)の時、スイッチ122の状態が変化しているか(S405:YES)、もしくは外部のコンピュータ1101から仮想消去コマンドが入力された(S406:YES)場合、仮想消去イベントが発生したと判断してステップS407へ処理が移る。仮想消去イベントがなかった場合は、ステップS403へ処理が戻って、通常のハードディスク装置使用時の記録再生動作が可能な状態となる。
仮想消去イベントが発生した場合、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに格納されている初期値を演算部104へ送り(S407)、前記演算部104の演算結果を更新初期値として不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアの初期値に上書き記録する(S408)。次に仮想消去が行われた旨を外部に伝えるために、制御信号25によってLED124を点灯させるかもしくは、外部のコンピュータ1101に表示する(S409)。その後、再びステップS402において、不揮発性メモリ103内の更新初期値を一時記憶部102へ記憶させる。
前記のステップS407、S408、S409、S402の一連の処理により、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに更新初期値が格納されたので、以降のステップS403の処理では、エンコーダ1115a及びデコーダ1116aは前の初期値と異なる更新初期値を参照して、ハードディスク装置の記録再生動作を行うことになる。
【0045】
線形帰還シフトレジスタ300が、エンコーダ1115a内部のスクランブラ1201、及びデコーダ1116a内部のデスクランブラ1204の各内部の線形帰還シフトレジスタ1502と同じ構成の場合、演算部104の代わりに、エンコーダ1115aの内部のスクランブラ1201、もしくはデコーダ1116aの内部のデスクランブラ1204のどちらかの線形帰還シフトレジスタ1502を共用してもよい。
図5は、図1に示す演算部104の代わりにエンコーダ1115a内のスクランブラ1201を用いる場合のコントローラ1103bのブロック図である。コントローラ1103aは、図5のコントローラ1103bのように構成される。不揮発性メモリ103内の初期値を更新する時だけ、初期値変更部101が発する信号39によってセレクタ105を制御し、セレクタ105が不揮発性メモリ103内の初期値31を選択しスクランブラ1201に入力する。前記初期値31はスクランブラ1201内の線形帰還シフトレジスタ1502に設定される。スクランブラ1201は、初期値変更部101が発するクロック信号33をクロック信号1514(図14)として入力することにより、線形帰還シフトレジスタ1502を1ビットシフトさせる。そしてその時シフトレジスタが保持する値が更新初期値としてバス32を経由して不揮発性メモリ103へ転送される。この演算結果は新たな更新初期値として不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに上書きされる。
【0046】
以上のように本実施例1においては、初期値変更部101を設けて、消去イベント発生時にはエンコーダ1115a及びデコーダ1116a内の擬似乱数発生の初期値を変更する。このように仮想消去イベントにより消去を指示された時に擬似乱数発生の初期値を変更することにより、仮想消去以前にハードディスクに記録されたデータを読み出すとき正常にデスクランブルを行うことが出来ない。そのため読み出されるデータは記録したデータとは全く異なるものになり、通常は内容不明の無意味なデータとなる。すなわち無意味なデータをハードディスクに上書き記録して消去を行った場合と等しくなる。エンコーダ1115aとデコーダ1116aの擬似乱数発生の初期値を共に変更しているため、仮想消去したハードディスクは仮想的に新しいハードディスクと同等になり新たなデータの記録再生が可能となる。すなわち再利用可能なものとなる。
図1の構成において、1フレームのデータの記録再生毎に一時記憶部102の初期値を更新するものであってもよい。この場合は、1フレームのデータの記録再生毎に前記スクランブラ1201、デスクランブラ1204(図1)各々の線形帰還シフトレジスタに新たな初期値がロードされる。
【0047】
上記の動作を図1及び図6を用いて詳細に説明する。
ハードディスク装置10は連続する複数のフレームで構成されるファイルデータをハードディスク1105に記録もしくは再生する。前提として、ハードディスク装置10の出荷時点で、不揮発性メモリ103内には、後述の複数のレコードから構成される対応表を格納する領域が確保されているものとする。この領域の各バイト値は16進数の「0xFF」となっているものとする。
【0048】
コンピュータの電源のオン(S901)の後、コンピュータ1101からライトコマンドが発せられた場合(S902)、ホストI/F1111はコマンドに付随するパラメータとして、記録アドレス(以下、WLBAとする)、記録ブロック数(以下、WBLKとする)を受信する。そしてライトするファイルのWLBAから、ハードディスク1105上の物理アドレス(以下、WPBAとする)を算出し(S903)、WPBAとWBLKを初期値変更部101へ転送する。不揮発性メモリ103内には、WPBA、WBLK及び初期値を1レコードとし、複数レコードから構成される対応表を格納する領域が確保されている。初期値変更部101は、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに登録されている初期値を読み出し、これを前記WPBA、WBLKに対応する初期値とし、WPBA、WBLK、及び初期値を1レコードとして前記対応表に登録する(S904)。
【0049】
次に、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアの初期値を一時記憶部102へ設定し(S905)、1フレーム分のデータをメモリ1113からエンコーダ1115aへ転送する。そして生成される1ブロック分のデータ14をハードディスク1105へ記録する(S906)。次に、不揮発性メモリ103内の初期値を演算部104へバス31を介して転送し、生成された更新初期値をバス32を介して不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに上書きして更新する(S907)。この時点で、WBLKに相当するデータをメモリ1113からエンコーダ1115aへ転送し記録したかどうかを確認し(S908)、全ブロックデータを記録終了するまでステップS905、S906及びS907の処理を繰り返す。ステップS908でファイルデータの記録が終了し(YES)、特に消去イベントが発生していない場合は、ステップS404、S405、S406を経て、再びステップS902に戻る。
【0050】
コンピュータ1101からリードコマンドが発せられた場合(S911)、ホストI/F1111は、リードコマンドに付随するパラメータとして、再生アドレス(以下、RLBAとする)、及び再生ブロック数(以下、RBLKとする)を受信する。そしてリードするファイルのRLBAからハードディスク1105上の物理アドレス(以下、RPBAとする)を算出し(S912)、RPBAと前記RBLKを初期値変更部101へ転送する。初期値変更部101は、不揮発性メモリ103内の前記対応表の各レコードのWPBAを読み出し、算出されたRPBAと一致するWPBAを検出する。そしてこのWPBAを含むレコード内の初期値を読み出し(S913)、この初期値を不揮発性メモリ103内の初期値変数へ設定する(S914)。ただし、RPBAもWPBAも「0xFF」バイトで構成される複数バイトの値ではないものとする。
【0051】
次に、不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアの初期値を一時記憶部102へ設定し(S915)、1ブロック分のデータをハードディスク1105から再生する。再生データをデコーダ1116aへ入力し、生成される1フレーム分のデータをメモリ1113へ転送する(S916)。さらに、不揮発性メモリ103内の初期値を演算部104へバス31を介して転送し、生成された更新初期値をバス32を介して不揮発性メモリ103内の初期値変数エリアに上書きして更新する(S917)。この時点で、RBLKに相当するデータをデコーダ1116aからメモリ1113へ転送したかどうかを確認し(S918)、全ブロックデータの再生を終了するまでステップS915、S916、及びS917を繰り返す。ステップS918でファイルデータの再生が終了し、特に消去イベントが発生していない場合は、ステップS404、S405、S406を経て、再びステップS902に戻る。
【0052】
このようにして記録再生が行われるハードディスク装置において、もし、スイッチ122の状態が変化したか、あるいは、コンピュータ1101(図11)からの仮想消去コマンドを受信した場合(S405、S406)、初期値変更部101は、不揮発性メモリ103内の前記対応表の全レコードに16進数のバイト値「0xFF」を上書き記録して初期化する(S924)。そして仮想消去が行われた旨を外部に伝えるために、制御信号25によって、LED124を点灯させる。またその旨を外部のコンピュータ1101に表示し(S409)、その後、コマンド受信状態に戻る(S902)。
【0053】
上記の動作例のように制御して、フレームの記録再生毎に初期値を更新すると、ハードディスク1105上に記録されるデータがより複雑化される。また、仮想消去イベント発生後に前記対応表の内容を初期化してしまうので、ハードディスクに記録されたデータを読み出そうとしても正しいデータは読み出されない。また、ハードディスク装置1102からハードディスク1105を取り外して、何らかの装置で前記ハードディスク1105上のデータを再生しようとしても正しいデータの読み出しを不可能にすることができる。
なお、図1において、不揮発性メモリ103は、一般にハードディスク装置全体を管理制御するCPUのプログラムを格納する電気的消去可能なEEPROM等の不揮発性メモリと共用してもよい。
《実施例2》
【0054】
図7は、本発明の実施例2におけるデータ記憶装置であるハードディスク装置10のコントローラ1103cとその周辺の構成を示すブロック図である。第1の従来例及び前記実施例1の構成と同じ要素については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図7のコントローラ1103cは、第1の従来例の構成のコントローラ1103(図11)内に、選択制御部511、一時記憶部502、不揮発性メモリ503、セレクタA501を追加したものである。コントローラ1103cには、図1に示すように、コンピュータ1101、記録部1104及び再生部1106が接続される。コントローラ1103cには更に電源電圧信号121、スイッチ122、LED124が接続されている。上記の構成により、ハードディスク1105の記憶媒体のデータを仮想的に消去可能となる。図8は、選択制御部511が行う処理のフローを示している。図9及び図10は、図7に類似した構成の他の2つの例のコントローラ1103d及び1103eをそれぞれ示す。
【0055】
図7において、不揮発性メモリ503の内部には1ビットのフラグ変数領域が割り付けられており、このフラグ変数領域には、ハードディスク装置を出荷する時点で、「0」が記録されている。選択制御部511は、電源電圧信号121を観測して、ハードディスク装置の電源がオンになったことを認識すると、制御信号26及び28によって、不揮発性メモリ503内の前記フラグ変数領域に格納されているフラグ値「0」をバス27を経由して一時記憶部502にロードする。一時記憶部502に格納されたフラグ値「0」は、セレクタA501の入力選択信号29となる。
【0056】
選択制御部511は、スイッチ122からの情報22、もしくはコンピュータ1101(図1)からの情報24を元に、仮想消去実行の指示である仮想消去イベントを認識する。選択制御部511は、仮想消去イベントを認識すると、通常のハードディスク記録再生動作が終わった段階で、制御信号26によって、不揮発性メモリ503内のフラグ変数領域のフラグ値に「1」を上書き記録する。そして仮想消去イベント発生信号25によりLED124を点灯させる、また、ホストI/F1111を介して外部のコンピュータ1101に仮想消去イベントの発生を表示する。次に、前記選択制御部511は、制御信号26、28によって、不揮発性メモリ503内のフラグ変数領域に格納されているフラグ値「1」を、バス27を経由して一時記憶部502にロードする。一時記憶部502に格納されたフラグ値は、セレクタA501の入力選択信号29となる。セレクタA501は、入力選択信号29が「0」の場合、デコーダ1116の出力16を選択しバス62を介してメモリ1113へ転送し、「1」の場合、ゼロ値61を選択しバス62を介してメモリ1113へ転送する。
【0057】
図8のフローチャートは、本実施例2における、ハードディスク1105の記憶媒体のデータを仮想消去する手順を示している。図7及び図8において、選択制御部511は、ハードディスク装置10の電源がオンになったことを検知すると(S601)、前記不揮発性メモリ503内のフラグ変数領域に格納されているフラグ値を前記一時記憶部502へ記憶させる(S602)。
ハードディスク装置が通常使用時の記録再生動作を行う際(S603)、記録時は従来例と同様であり、再生時は一時記憶部502に記憶されているフラグ値が前記デコーダ1116によってフレーム単位で参照されて、ハードディスク1105から再生された前記ブロックからフレームを生成する。ハードディスク装置10の通常使用が終わる場合は電源をオフ(S604)にする。
【0058】
ステップS604で電源がオン状態(NO)の時、スイッチ122の状態が変化した場合(S605:YES)、又は、外部のコンピュータ1101からの仮想消去コマンドが入力された(S606:YES)場合には、仮想消去イベントが発生したと判断されてステップS607へ処理が移る。仮想消去イベントがなかった場合は、ステップS603へ処理が戻って、通常のハードディスク装置10の使用時の記録再生動作が可能な状態となる。
仮想消去イベントが発生した場合、不揮発性メモリ503内の前記フラグ変数領域のフラグ値「0」に新たに「1」を上書き記録する(S607)。そして仮想消去が行われた旨を外部に伝えるために、制御信号25によってLED124を点灯させる。また、外部のコンピュータ1101に表示する(S608)。その後、再びステップS602において、不揮発性メモリ503内の更新フラグ値を一時記憶部502へ記憶させる。
【0059】
前記のステップS607、S608及びS602の一連の処理により、不揮発性メモリ503内のフラグ変数領域には前記更新フラグ値が格納されたことになる。従って、それ以降のステップS603の処理では、セレクタA501は、常にゼロ値61をセレクタA501の出力としてメモリ1113へ転送することになり、ハードディスク1105上のデータと異なるデータが外部のコンピュータ1101へ転送されることになる。
また、前記消去後、再び消去イベントが発生した場合(S605、S606)も、ステップS607、S608、及びS602の一連の処理によって、不揮発性メモリ503内のフラグ変数領域には常に同じ更新フラグ値「1」が格納される。従って、以降のステップS603の処理では、セレクタA501は、常にゼロ値61をセレクタA501の出力としてメモリ1113へ転送することになり、ハードディスク1105上のデータと異なるデータが外部のコンピュータ1101へ転送されることになる。
【0060】
以上のように本実施例2のハードディスク装置においては、選択制御部511の指示によりデコーダ出力と定数値を選択するようにし、消去が指示された時にデコーダ出力ではなく定数値を出力するようにしている。そのため、消去以前にハードディスク1105に記録されたデータを読み出そうとしても無意味な情報しか読み出させない。また、消去以降にハードディスク1105に記録したデータも読み出すことができなくなる。つまり、ハードディスク1105は、記憶データが仮想的に消去されるとともに新たな記録再生もできなくなる。
図9は、図7のコントローラ1103cの一部分を変更した他の例のコントローラ1103dのブロック図である。コントローラ1103dは、セレクタB701の一方の入力が、デコーダ1116内の復調部1203の出力である点が、前記図7の構成と異なっている。図9に示す選択制御部511が行う処理のフローは、図8と同様である。このコントローラ1103dを用いると、ハードディスク1105に記録されたデータを読み出そうとしても無意味な乱数情報しか読み出されない。
【0061】
図8の処理のフローに示すように、仮想消去イベントが発生するまでは、セレクタB701はデコーダ1116内のデスクランブラ1204の出力を選択して、メモリ1113へ転送する。これにより、外部のコンピュータ1101(図11)にハードディスクから読み出したデータを転送する。仮想消去イベントが発生した場合には、ステップS607、S608及びS602の一連の処理により、不揮発性メモリ503内のフラグ変数領域には更新フラグ値が格納される。従って、それ以降のステップS603の処理では、セレクタB701は、常に復調部1203の出力71を選択して、メモリ1113へ転送する。その結果、ハードディスク1105の記憶データとは異なるデータが外部のコンピュータ1101へ転送されることになる。
図9に示すものでは、仮想消去を指示するイベントが発生すると、前記デコーダの出力を意図的に別の値に切り替えて、2度と元の状態に戻らないようにする。従って仮想消去イベント発生以前にハードディスク1105に記録されたデータを読み出そうとしても無意味な情報しか読み出されない。また、イベント発生以降にハードディスク1105に記録されたデータも読み出すことができなくなる。つまり、ハードディスク1105は記憶データが仮想的に消去され、記録再生ともに不能になる。
【0062】
図10は図7のコントローラ1103cの一部分を変更したコントローラ1103eのブロック図である。このコントローラ1103eを用いると、ハードディスクに記録されたデータを読み出そうとしても無意味な乱数情報しか読み出されない。図10のコントローラ1103eは、セレクタC801の出力83が、デコーダ1116内部のデスクランブラ1204に含まれる線形帰還シフトレジスタに印加されている。選択される2つの入力は、10ビットの固定値である初期値A81と初期値B82である。初期値A81はエンコーダ1115内のスクランブラ1201が参照する初期値となっている。図10の選択制御部511が行う処理のフローは図8と同じである。
【0063】
図8の処理のフローに従うと、仮想消去イベントが発生するまでは、セレクタC801は初期値A81を選択して、デコーダ1116内部のデスクランブラ1204の中にある線形帰還シフトレジスタに入力されている。初期値A81は、エンコーダ1115が参照する初期値と同じであるので、ハードディスク1105に記録されたデータは外部のコンピュータ1101によって読み出すことができる。
仮想消去イベントが発生した場合には、前記ステップS607、S608及びS602の一連の処理により、不揮発性メモリ503内のフラグ変数領域には前記更新フラグ値が格納される。従ってそれ以降のステップS603の処理では、セレクタC801は前記初期値B82を選択して、デコーダ1116内部のデスクランブラ1204の中にある線形帰還シフトレジスタに印加する。初期値B82は、エンコーダ1115が参照する初期値と異なる値になるので、仮想消去イベント発生以降は、ハードディスク1105に記録されたデータとは異なるデータが外部のコンピュータ1101によって読み出されることになる。
【0064】
すなわち、仮想消去を指示するイベントが発生すると、前記デコーダの出力を意図的に別の値に切り替えて、2度と元の状態に戻らないようにする。従って、仮想消去イベント発生以前にハードディスク1105に記録されたデータを読み出そうとしても無意味な情報しか読み出されない。また、イベント発生以降にハードディスク1105に記録したデータさえ読み出すことができなくなる。つまり、ハードディスク1105はその記憶データが仮想的に消去され、かつ記録再生ともに不能になる。
不揮発性メモリ503は、一般にハードディスク装置10全体を管理制御するCPUのプログラムを格納する電気的消去可能なEEPROM等の不揮発性メモリと共用してもよい。
上記の各実施例において、前記電源電圧信号121は、外部から電源をオン/オフするスイッチによる信号であってもよい。また、前記スイッチ122は、モメンタリタイプのスイッチ、ジャンパースイッチ、ディップスイッチ等であってもよい。外部のコンピュータ1101は、パソコンでもよい。また、コンピュータに限らなくてもよい。
上記の各実施例ではデータ記憶装置がハードディスク装置の場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。たとえば、フレキシブルディスク、CD・DVD等の光ディスク、メモリーカードなど、磁気的、光学的、電気的にデータを記憶するあらゆるデータ記憶装置に適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のデータ記憶装置は、記憶媒体のデータを消去できるデータ記憶装置等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施例1におけるハードディスク装置のブロック図
【図2】本発明の実施例1におけるエンコーダ及びデコーダのブロック図
【図3】(a)は、本発明の実施例1における演算部の一例である加算器のブロック図、(b)は、本発明の実施例1における演算部の一例である線形帰還シフトレジスタのブロック図
【図4】本発明の実施例1における初期値変更部の処理を示すフローチャート
【図5】本発明の実施例1におけるハードディスク装置のコントローラの他の例のブロック図
【図6】本発明の実施例1の他の例における初期値変更部の処理を示すフローチャート
【図7】本発明の実施例2におけるハードディスク装置のコントローラのブロック図
【図8】本発明の実施例2における選択制御部の処理を示すフローチャート
【図9】本発明の実施例2におけるハードディスク装置のコントローラの他の例のブロック図
【図10】本発明の実施例2におけるハードディスク装置のコントローラの更に他の例のブロック図
【図11】従来例のハードディスク装置のブロック図
【図12】従来例のハードディスク装置のエンコーダ、デコーダのブロック図
【図13】従来例のハードディスク装置の記録データストリームの構成例を示す図
【図14】従来例のランダマイズ回路及び擬似乱数発生回路のブロック図
【符号の説明】
【0067】
10 ハードディスク装置
11 ホストインタフェースバス
12 ホストインタフェースバスのメモリアクセス経路
13 メモリからエンコーダへのバス
14 エンコーダ出力
15 デコーダ入力
16 デコーダ出力
17 メモリとECC部の経路
18 中間データ
21 信号ライン
22 スイッチの状態信号
24 外部からの仮想消去指示信号
25 仮想消去モードに切り替わったことを示す制御信号
26 不揮発性メモリへの制御信号
27 フラグ変数の値
28 一時記憶部への制御信号
29 入力選択信号
31 初期値変数の値
32 演算部の演算結果
33 演算部への制御信号
34 不揮発性メモリへの制御信号
35 初期値変数の値
36 一時記憶部への制御信号
37 エンコーダ、デコーダ内の線形帰還シフトレジスタへ設定する初期値
39 セレクト信号
61 ゼロ値
62 セレクタAの出力
71 復調部の出力
72 セレクタBの出力
81 初期値A
82 初期値B
83 セレクタCの出力
90 フレーム
91 パリティ
93 シンク
94 ブロック
101 初期値変更部
102 一時記憶部
103 不揮発性メモリ
104 演算部
105 セレクタ
121 電源電圧信号
122 スイッチ
124 LED
200 演算部104の一例である加算演算部
201 加算器
300 演算部104の一例である擬似乱数発生回路(線形帰還シフトレジスタ)
301 フリップフロップ
302 ExOR回路(排他的論理和回路)
501 セレクタA
502 一時記憶部
503 不揮発性メモリ
511 選択制御部
701 セレクタB
801 セレクタC
1101 コンピュータ
1102 ハードディスク装置
1103 コントローラ
1103a〜e コントローラ
1104 記録部
1105 ハードディスク
1106 再生部
1111 ホストインタフェース
1112 制御部
1113 メモリ
1114 ECC部
1115 エンコーダ
1115a エンコーダ
1116 デコーダ
1116a デコーダ
1201 スクランブラ
1202 変調部
1203 復調部
1204 デスクランブラ
1210 シンク挿入部
1211 シンク検出部
1501 ランダマイズ回路
1502 擬似乱数発生回路(線形帰還シフトレジスタ)
1503 スクランブラ(もしくはデスクランブラ)への入力
1504 スクランブラ(もしくはデスクランブラ)の出力
1505 ExOR回路(排他的論理和回路)
1511 フリップフロップ
1512 ExOR回路(排他的論理和回路)
1513 擬似乱数発生回路へ初期値設定するための入力
1514 擬似乱数を発生させるための入力クロック
1515 擬似乱数出力


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からデータ記憶装置に入る情報を受信し、データ記憶装置内部の情報を外部へ送信する送受信手段、
前記送受信手段が受信した前記外部からの情報を乱数化するスクランブラ手段、
前記スクランブラ手段の出力信号を記憶する記憶媒体、
前記記憶媒体から読み出した信号を前記外部からの情報に変換するデスクランブラ手段、
前記スクランブラ手段と前記デスクランブラ手段に初期値を出力するメモリ、及び
前記記憶媒体の記憶信号を消去する時に前記初期値を変更する初期値変更手段
を具備することを特徴とするデータ記憶装置。
【請求項2】
前記スクランブラ手段及び前記デスクランブラ手段は、線形帰還シフトレジスタを備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項3】
前記メモリは読み書き可能でかつ電力供給が無くても内容が消去されない構成であり、
前記初期値変更手段は、前記初期値に所定の演算処理を行って更新した更新初期値を出力する演算手段を備え、
前記メモリから前記初期値を読み出して前記所定の演算処理を行い、前記更新初期値を前記メモリ内の前記初期値に上書き保存することを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項4】
前記初期値変更手段は、前記所定の演算処理において、前記初期値と前記更新初期値を必ず異なる値にすることを特徴とする請求項3に記載のデータ記憶装置。
【請求項5】
前記演算手段は、線形帰還シフトレジスタを備え、前記初期値を前記線形帰還シフトレジスタに設定して、所定のクロックに同期して所定のビット数だけシフト動作を行った後、前記線形帰還シフトレジスタが保持する値を前記更新初期値とすることを特徴とする請求項3に記載のデータ記憶装置。
【請求項6】
前記演算手段内の前記線形帰還シフトレジスタの代わりに、前記スクランブラ手段もしくは前記デスクランブラ手段内の線形帰還シフトレジスタを用いることを特徴とする請求項5に記載のデータ記憶装置。
【請求項7】
前記線形帰還シフトレジスタがシフト動作でシフトする所定のビット数が1ビットであることを特徴とする請求項5又は6に記載のデータ記憶装置。
【請求項8】
前記演算手段は、前記初期値に定数値を加算した結果を前記更新初期値とすることを特徴とする請求項3に記載のデータ記憶装置。
【請求項9】
前記外部からの情報を所定バイト数のフレームに区切るフレーム化手段及び、
前記メモリの前記初期値変数の値を読み出して記憶する一時記憶手段を更に備え、
前記初期値変更手段は、
前記記憶媒体へ前記フレームを記録する場合は、前記フレームが前記スクランブラ手段に入力される前に、前記一時記憶手段が記憶している値を前記スクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタに設定し、
前記記憶媒体から前記フレームを再生する場合は、前記フレームが前記デスクランブラ手段に入力される前に、前記一時記憶手段が記憶している値を前記デスクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタに設定することを特徴とする請求項3から8のいずれかに記載のデータ記憶装置。
【請求項10】
前記初期値変更手段は、
前記記憶媒体へ前記フレームを記録する場合、前記フレームが前記スクランブラ手段に入力される前に、前記一時記憶手段が記憶している値を前記スクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタに設定し、この後に前記メモリの前記初期値変数の値を読み出して、前記演算手段によって前記初期値に前記所定の演算処理を行い、前記演算結果を更新初期値として前記メモリの前記初期値変数に上書き記録し、
前記記憶媒体から前記フレームを再生する場合、前記フレームが前記デスクランブラ手段に入力される前に、前記一時記憶手段が記憶している値を前記デスクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタに設定し、この後に前記メモリの前記初期値変数の値を読み出して、前記演算手段によって前記初期値に前記所定の演算処理を行い、前記演算結果を更新初期値として前記メモリの前記初期値変数に上書き記録することを特徴とする請求項9に記載のデータ記憶装置。
【請求項11】
連続する複数のフレームで構成されるファイルを前記記憶媒体に対して記録もしくは読み出しを行うデータ記憶装置において、
前記初期値変更手段は、
前記記憶媒体へファイルを記録する前に、前記ファイルの先頭フレームを記録する前記記憶媒体上のアドレスと前記初期値の対応表を前記メモリもしくは前記記憶媒体に記憶させ、
前記記憶媒体からファイルを再生する前に、前記対応表を参照して、再生すべき先頭フレームの前記記憶媒体上のアドレスに対応する前記初期値を読み出して、前記メモリの前記初期値変数へ記録することを特徴とする請求項10に記載のデータ記憶装置。
【請求項12】
前記記憶媒体を消去する時に、前記メモリもしくは前記記憶媒体にある前記対応表を初期化することを特徴とする請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項13】
前記初期値変更手段が、
前記データ記憶装置の電源がオンになった後、もしくは前記記憶媒体の消去時に前記メモリの初期値変数の値が更新された後に、前記メモリの前記初期値変数の値を読み出して、前記一時記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載のデータ記憶装置。
【請求項14】
外部からデータ記憶装置に入る情報を受信し、データ記憶装置内部の情報を送信する送受信手段、
前記送受信手段が受信した前記外部からの情報を記憶する記憶媒体、
前記外部からの情報を前記記憶媒体に記録し、前記記憶媒体から読み出した信号を再生データとして前記送受信手段に出力する記録再生手段、及び
前記記憶媒体の記録情報の消去が指示された後は、前記再生データと異なるデータを前記送受信手段に出力する外部出力変更手段
を具備することを特徴とするデータ記憶装置。
【請求項15】
前記外部出力変更手段が、前記異なるデータとして前記送受信手段に所定の固定値を出力することを特徴とする請求項14に記載のデータ記憶装置。
【請求項16】
外部からの情報をスクランブラ手段によって乱数化し、前記乱数化後のデータを変調手段によって変調し、変調した変調データを前記記憶媒体に記録し、
前記記憶媒体から読み出した変調データを復調手段によって復調し、前記復調データをデスクランブラ手段によって前記外部からの情報に戻す構成において、
前記外部出力変更手段は、
前記デスクランブラ手段の出力と所定の固定値とを選択して外部へ送信するための第1のセレクタ手段、及び
前記記憶媒体の消去の指示を受けて、前記第1のセレクタ手段が前記所定の固定値を選択するように指示する選択制御手段
を具備することを特徴とする請求項15に記載のデータ記憶装置。
【請求項17】
前記外部出力変更手段が、前記異なるデータとして前記送受信手段に所定の乱数値を出力することを特徴とする請求項14に記載のデータ記憶装置。
【請求項18】
前記記録再生手段は、
前記外部からの情報を乱数化するスクランブラ手段、
前記スクランブラ手段の出力信号を変調して前記記憶媒体に記録する変調データを生成する変調手段、
前記記憶媒体から読み出した前記変調データを復調する復調手段、及び
前記復調手段の出力である復調データから前記再生データを生成するデスクランブラ手段を備え、
前記外部出力変更手段は、
前記デスクランブラ手段の出力と前記復調データとを選択して外部へ送信するための第2のセレクタ手段、及び
前記記憶媒体の消去の指示発生を受けて、前記第2のセレクタ手段が前記復調データを選択するように指示する選択制御手段
を具備することを特徴とする請求項17に記載のデータ記憶装置。
【請求項19】
前記外部からの情報をスクランブラ手段によって乱数化し、前記乱数化後のデータを変調手段によって変調した変調データを前記記憶媒体に記録し、
前記記憶媒体から読み出した変調データを復調手段によって復調し、前記復調データをデスクランブラ手段によって前記外部からの情報に戻す構成において、
前記外部出力変更手段は、
前記記憶媒体の消去の指示発生以前は、第1の初期値を前記デスクランブラ手段に設定し、
前記記憶媒体の消去の指示発生以降は、前記第1の初期値と異なる第2の初期値を前記デスクランブラ手段に設定することを特徴とする請求項14に記載のデータ記憶装置。
【請求項20】
記憶媒体へ記録するデータと、記憶媒体へのデータ記録クロックに同期して動作する線形帰還シフトレジスタの出力とに所定の論理演算をする前記スクランブラ手段、及び記憶媒体から読み出した前記乱数化されたデータと、記憶媒体からのデータ再生クロックに同期して動作する線形帰還シフトレジスタの出力とに所定の論理演算をする前記デスクランブラ手段を備え、
前記外部出力変更手段は、
第1の初期値と第2の初期値とを選択して前記デスクランブラ手段内の前記線形帰還シフトレジスタへ設定するための第3のセレクタ手段、及び
前記記憶媒体の消去の指示を受けて、前記第3のセレクタ手段が前記第2の初期値を選択するように指示する選択制御手段
を具備することを特徴とする請求項19に記載のデータ記憶装置。
【請求項21】
前記選択制御手段は、
書き込み読み出し可能で、電力供給がなくても記憶が消えない前記メモリのフラグ変数に記憶されているフラグ値を、前記データ記憶装置の電源オン時に読み出して前記フラグ値を一時記憶手段に記憶させ、前記一時記憶手段の前記フラグ値を前記第1のセレクタ手段、第2のセレクタ手段、又は第3のセレクタ手段への入力選択指示値とし、
前記記憶媒体の消去の指示を受信した場合は、前記フラグ変数および前記一時記憶手段に記録し、前記フラグ値と異なる値のイベントフラグ値を上書き記録することを特徴とする請求項16、18及び20のいずれかに記載のデータ記憶装置。
【請求項22】
前記第1のセレクタ手段は、
前記一時記憶手段が記憶する値が前記フラグ値の場合は、前記デスクランブラ手段の出力を選択し、前記一時記憶手段が記憶する値が前記イベントフラグ値の場合は、前記所定の固定値を選択することを特徴とする請求項21に記載のデータ記憶装置。
【請求項23】
前記第2のセレクタ手段は、
前記一時記憶手段が記憶する値が前記フラグ値の場合は、前記デスクランブラ手段の出力を選択し、前記一時記憶手段が記憶する値が前記イベントフラグ値の場合は、前記復調データを選択することを特徴とする請求項21に記載のデータ記憶装置。
【請求項24】
前記第3のセレクタ手段は、
前記一時記憶手段が記憶する値が前記フラグ値の場合は、前記第1の初期値を選択し、前記一時記憶手段が記憶する値が前記イベントフラグ値の場合は、前記第2の初期値を選択することを特徴とする請求項21に記載のデータ記憶装置。
【請求項25】
前記データ記憶装置に取り付けられた物理的スイッチを更に有し、前記記憶媒体の消去の指示が、前記物理的スイッチの状態変化もしくは前記外部からの情報を元にして発生することを特徴とする請求項1から24のいずれかに記載のデータ記憶装置。
【請求項26】
前記記憶媒体の消去の指示発生後に、前記物理的スイッチの状態を変化させても、もしくは、前記外部から情報を与えても、前記記憶媒体の消去の指示が発生した事実が記憶されていて失われないことを特徴とする請求項14から25のいずれかに記載のデータ記憶装置。
【請求項27】
前記記憶媒体の消去の指示が発生して、前記メモリ内の前記初期値変数もしくは前記フラグ変数、もしくは前記一時記憶手段に、所定の値が上書きされたことを示す状態情報を外部に出力するための外部開示手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項26のいずれかに記載のデータ記憶装置。
【請求項28】
前記外部開示手段が、前記状態情報を外部に対して所定データにて送信することを特徴とする請求項27に記載のデータ記憶装置。
【請求項29】
前記外部開示手段が、前記状態情報を前記データ記憶装置に取り付けられたLED等の光源を点灯もしくは点滅させて外部に示すことを特徴とする請求項27に記載のデータ記憶装置。
【請求項30】
前記記憶媒体が磁気ディスクまたは磁気テープまたは光ディスクまたは半導体メモリであることを特徴とする請求項1から29のいずれかに記載のデータ記憶装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−196135(P2006−196135A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9526(P2005−9526)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】