説明

データ記録再生装置、および、データ記録再生方法

【課題】光ディスク装置において、光ディスクに記録されているデータ量に関わらず、再生時に負荷をかけることなく、コンテンツの保護を可能にする。
【解決手段】光ディスク装置のメモリに、その光ディスクの固有情報と乱数表を記憶しておき、メモリよりデータ記録再生装置の固有情報と乱数表を読み出し、データ記録再生装置の固有情報を乱数表により変換した値を、データの管理情報の元の位置からの変位量として、データの管理情報を読出すようにする。また、光ディスク装置の管理領域の再配置情報を記憶しておき、メモリから管理領域の再配置情報を読出して、その管理領域の再配置情報から、管理領域を復元し、復元された管理領域から光ディスクのデータの管理情報を、所定の位置より読みだす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録再生装置、および、データ記録再生方法に係り、特に、BD(Blu-ray Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクに書き込まれるコンテンツのセキュリティを向上させるのに好適なデータ記録再生装置、および、データ記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、BD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)などの光ディスクが、可搬性記録媒体として広く使用されている。これらの記録媒体は、何れもコンパクトで軽量、持ち運びが容易であるため、常に紛失や盗難などによるデータ漏洩のおそれが伴う。そこで、データ漏洩を防ぐために、記録媒体に暗号鍵を記憶しておき、再生時に暗号鍵の入力を求める方法や、再生をおこなうドライブに暗号鍵を持たせ、同じ暗号鍵を記憶した記録媒体の再生のみを可能にする方法などが一般的に知られている。また、以下に示す特許文献1では、ファイル管理データの一部をユーザ領域以外の領域に記録することで、データコピーにおけるセキュリティを向上させる方法について開示されている。
【0003】
この特許文献1では、「光ディスク等の可搬性記録媒体のセキュリティを確保する」ことが課題とされ、その解決手段として、光ディスク装置の動作モードとしてセキュリティモードと通常モードを用意しておき、セキュリティモードでは、システムコントローラ32は光ディスクのユーザデータ領域以外の領域にセキュリティ識別信号を記録し、かつ、ファイル管理データの少なくとも一部をユーザデータ領域以外の領域に記録するようにする。これにより、光ディスクのコピー時にはファイル管理データが消失するため再生できず、コピーが防止されるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−171492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、ユーザデータ領域への書き込みにおいて、記録データのアドレス変換をおこなう方法について述べられている。この方法によれば、記録データのアドレス変換をおこなうことにより、データの格納順序にスクランブルをかけ、スクランブルを解く鍵はユーザデータ領域以外に格納しておく。通常のディスクコピーでは、ユーザデータ領域のみがコピーされるため、コピー先のディスクではスクランブル解除ができず、再生することができなくなるというものである。
【0006】
しかしながら、この方法ではユーザデータ領域にスクランブルをかけるため、多くのデータを記録する場合に負荷がかかってしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになさせれたもので、光ディスクに記録されているデータ量に関わらず、再生時に負荷をかけることなく、コンテンツの保護を可能になる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光ディスク装置のデータへアクセスするデータ記録再生装置においては、データ記録再生装置の固有情報と乱数表を記憶するメモリと、光ディスクの管理領域に格納されているデータの管理情報の位置を取得する管理情報取得部とを備えており、メモリよりデータ記録再生装置の固有情報と乱数表を読み出し、データ記録再生装置の固有情報を乱数表により変換した値を、データの管理情報の元の位置からの変位量として、データの管理情報を読出すようにする。
【0009】
また、光ディスクの管理領域を再配置した情報をメモリに記憶しておき、メモリより、光ディスクの管理領域を再配置した情報に基づき、光ディスクの管理領域を復元して、データの管理情報を読出すようにする。
【0010】
この構成によれば、ディスクの管理領域に含まれるディスクに書き込まれるデータの管理情報の格納位置を変えることにより、特定の光ディスク装置でのみ再生を可能にし、その他の光ディスク装置では再生できないようにすることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光ディスクに記録されているデータ量に関わらず、再生時に負荷をかけることなく、コンテンツの保護を可能になる光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るデータ記録再生装置の構成図である。
【図2】BDディスクの記録様式を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理を示すフローチャートである。
【図4】ドライブIDから、ディスク管理情報のずらし量を求める処理を説明する図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係るディスク管理情報の分割について示す図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るディスク管理領域の分割について示す図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第三の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第三の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る各実施形態を、図1ないし図9を用いて説明する。
【0014】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る第一の実施形態を、図1ないし図4を用いて説明する。
先ず、図1を用いて本発明の第一の実施形態に係るデータ記録再生装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るデータ記録再生装置の構成図である。
【0015】
本実施形態のデータ記録再生装置は、図1に示されるように、光ピックアップ2と、スライダ機構3と、スピンドルモータ4と、サーボ制御部5と、サーボ信号生成部6と、システム制御部7と、再生信号生成部8と、再生信号2値化部9と、デコード部10と、インタフェース部11と、エンコード部12と、管理情報取得部13と、メモリ15を備える光ディスク装置(以下、単に「ドライブ」ともいう)である。
【0016】
以下、データ再生、記録における処理の流れを説明する。
【0017】
光ピックアップ2は、レーザ光を光ディスク1に照射するための半導体レーザを搭載している。システム制御部7は、サーボ制御部5を介して、スピンドルモータ4に装着された光ディスク1の回転制御をおこない、スライダ機構3により、光ピックアップ2を光ディスク1の半径方向に駆動させる。そして、光ピックアップ2のアクチュエータを駆動して対物レンズのフォーカス制御およびトラッキング制御をおこなう。さらに、光ピックアップ2の半導体レーザを駆動させることで、半導体レーザの発光制御をおこなう。
【0018】
光ディスク1のデータを再生する場合、光ディスク1からの反射光束を光検出器により電気信号に変換し、サーボ信号生成部6および再生信号生成部8に送る。サーボ信号生成部6は、光ディスク1に好適な検出方法で各種サーボ信号を選択して生成し、システム制御部7に供給する。サーボ信号には、少なくともフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号が含まれる。システム制御部7は、これらのサーボ信号に基づき、サーボ制御部5を介して光スポットのフォーカス制御およびトラッキング制御をおこなう。再生信号生成部8は、波形等化部とA/Dコンバータを備え、光ピックアップ2から供給されたアナログの再生信号に対して、所定の波形等化処理の後、標本化および量子化を行ってデジタル信号に変換し、再生信号2値化部9に供給する。再生信号2値化部9は、再生信号の2値化をおこない、得られた信号をデコード部10へ供給する。デコード部10では、2値化信号の復調、エラー訂正などをおこなうことによって再生データを取得し、インタフェース部11を介して再生データをパーソナルコンピュータなどのホスト装置へ出力する。
【0019】
また、光ディスク1にデータを記録する場合、記録データは、インタフェース部11を介してパーソナルコンピュータなどのホスト装置から入力され、エンコード部12に供給される。エンコード部12で変調した記録データは、システム制御部7へ供給される。システム制御部7は、変調データを所定の記録ストラテジに従ってマルチパルスへと変換をおこない、光ピックアップ2の半導体レーザを駆動することで光ディスク1へレーザを照射、データ記録をおこなう。
【0020】
管理情報所得部13は、メモリ15上に格納されている光ディスク1のディスク管理情報を所得して、システム制御部7に転送する。ディスク管理情報については、後に詳説する。
【0021】
次に、図2を用いて本発明の一実施形態に係るデータ記録再生装置の記録様式の一例について説明する。
図2は、BDディスクの記録様式を示す図である。
【0022】
ここでは、BDに記録される情報の構造を例に示すことにする。
【0023】
光ディスクには、パーソナルコンピュータなどのホスト装置がアクセスするユーザデータ領域以外に、ホストとは関係なくドライブ自身がアクセスする領域がある。
【0024】
BDでは、図2に示されるように、ディスクの内周から外周へ向かってリードイン領域(Lead-in Area)、インナースペア領域(Inner Spare Area)、ユーザデータ領域(User Data Area)、アウタースペア領域(Outer Spare Area)、リードアウト領域(Lead-out Area )の順に構成されている。
【0025】
BDでは、ユーザデータ領域に傷などの欠陥のため正常に記録できないディフェクト領域がある場合、その領域へ書き込みをおこなう代わりに、インナースペア領域、あるいは、アウタースペア領域に書き込みをおこなう。書き込んだデータを読み出す場合には、ディフェクト領域の代わりにインナースペア領域、あるいは、アウタースペア領域に書き込んだ代替データを読み出すことで動作を保証している。ここで、ディフェクト領域のアドレスと、それに対応する代替データの格納アドレスは、リードイン領域に存在するDMA(Defect Management Area)において、DFL(Defect List)という情報として管理している。リードイン領域には、このようにディスクを管理するための情報が書かれており、この領域は、ドライブが光ディスクにアクセスをおこなう場合に最初に読みに行く領域である。ドライブは、光ディスクへのアクセス時、リードイン領域の所定のアドレスを読みに行くことにより、DMAなどからディスク管理情報を取得する。
【0026】
ここで、リードイン領域内のディスク管理領域に存在するディスク管理情報の位置をずらすことを考える。例えば、通常、図2(a)に示す位置にDMAがあるとする。これを、図2(b)に示す位置にDMAをずらすとする。このように正規の位置からDMAの位置をずらすと、通常のドライブによりディスク管理領域の位置を変えた光ディスクを読み込んだ場合、正しいディスク管理情報を取得することができず、データの再生ができない。
【0027】
本実施形態は、ドライブ固有のID情報を利用することで、ずらしたディスク管理領域の位置の取得を可能にし、特定のドライブのみでの再生を実現するものである。
【0028】
次に、図3および図4を用いて本発明の第一の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理について説明する。
図3は、本発明の第一の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理を示すフローチャートである。
図4は、ドライブIDから、ディスク管理情報のずらし量を求める処理を説明する図である。
【0029】
先ず、ディスクのリード処理が発生する(SP11)。管理情報所得部13は、メモリ15に記憶しているドライブ固有のID(ドライブID)を読み出し、取得する(SP12)。ここで、ドライブIDは、ドライブの工場出荷時にメモリ15に記憶しているものとする。メモリ15は、電源を切っても内容が消去されない不揮発メモリである。
【0030】
そして、管理情報取得部13は、メモリから取得したドライブIDから、ディスクのリードイン領域におけるディスク管理情報のずらし量を算出する(SP13)。ここで、SP13におけるディスク管理情報のずらし量を算出する方法について説明する。
【0031】
ドライブの工場出荷時に、図4に示すような乱数表をメモリ15に記憶しておく。この乱数表はドライブ固有のものとする。また、ここではドライブ固有IDを8桁の数字であると仮定する。以下、ディスク管理情報のずらし量を取得する手順を示す。
【0032】
仮に、メモリ15に記憶しているドライブIDが「05637249」という番号であるとする。これを2桁ずつに分割する。分割してできる四つの数字のペアを、メモリ15に記憶している乱数表の行列に当てはめることにより四つの数字(16進数)を得る。図4に示す例では、0x93FAという値を得ることができる。この値を、本来のディスク管理領域の中のディスク管理情報が置かれる位置からのずらし量(オフセットアドレス)とする。
【0033】
上記の方法により、管理情報取得部13は、リードイン領域からディスク管理情報を読み出す際、通常のディスク管理領域の位置アドレスに、SP13で取得したオフセットアドレスを加えたアドレスにアクセスすることにより、ディスク管理情報を取得する(SP14)。
【0034】
リードイン領域内に取得すべきディスク管理情報が残っている場合には(SP15)、SP14を繰り返しおこなう。SP15において、リードイン領域から管理情報を取得し終えた場合、ユーザデータ領域へのアクセスに移行する(SP16)。
【0035】
なお、ドライブがアクセスするディスクが、通常のディスクであるか、あるいは、管理領域をずらしたディスクであるかを示す識別情報をディスクに記憶しておくとよい。例えば、リードアウト領域の所定の位置に記憶しておけばよい。この識別信号を確認することにより、アクセス先のディスクが通常のディスクであるか、あるいは、管理領域をずらしたディスクであるかを判定することができる。これにより、アクセス先のディスクが通常のディスクである場合は、通常のディスク管理領域にアクセスすることでディスク管理情報を取得することができる。また、管理領域をずらしたディスクである場合は、本実施形態で示した方法により、通常の管理領域の位置にオフセットを加えた位置にアクセスすることにより、ディスク管理情報を取得することが可能になる。
【0036】
以上の説明では、ディスク管理情報のリード処理について示したが、ディスク管理領域に、ディスク管理情報の書き込みをおこなう場合には、上述の方法により取得されるオフセットアドレスを考慮した位置に書き込みをおこなうものとする。また、ディスク管理領域の位置を取得するために、ドライブ固有IDを用いる例を示したが、ドライブ固有の数字であれば如何なるIDを利用してもよい。また、IDの桁数やIDに使用する数字、文字、記号なども限定しない。乱数表を用いてオフセットアドレスを求める方法についても一例であり、オフセットアドレスを決定する方法は、その他如何なる方法であってもよい。また、メモリ15に記憶するドライブIDや乱数表については、任意の方法で暗号化をおこない、単純にメモリアクセスするだけでは解読できないようにしてもよい。この場合、固有情報取得部14に暗号を復号化する機能を持たせることにより対応できる。
【0037】
このように本実施形態によれば、ディスクのリードイン領域に含まれるディスク管理情報の格納位置を所定の位置からずらすことにより、特定の光ディスク装置でのみ再生を可能にし、その他の光ディスク装置では再生できないようにすることが可能になる。また、ディスク管理情報の格納位置については、ドライブごとに固有の位置となるため、セキュリティを向上させることができる。
【0038】
〔実施形態2〕
以下、本発明に係る第二の実施形態を、図5ないし図7を用いて説明する。
【0039】
第一の実施形態では、ディスクのリードイン領域に含まれるディスク管理情報の格納位置を所定の位置からずらす方法について示した。本実施形態は、ディスク管理情報を分割して、格納位置を変える方法である。
【0040】
なお、本実施形態のデータ記録再生装置の構成は、第一の実施形態の図1に示したものと同様であるが、管理情報所得部13の機能のみ異なっている。
【0041】
図5は、本発明の第二の実施形態に係るディスク管理情報の分割について示す図である。
図6は、本発明の第二の実施形態に係るディスク管理領域の分割について示す図である。
【0042】
例えば、図5(a)に示す位置にDMAがあるとする。これを、図5(b)に示すように分割することを考える。図6は、ディスク管理領域を分割する方法について一例を示したものである。ここでは、リードイン領域をArea-1〜Area-4の四つの領域に分割する例を挙げる。まず、図6(a)のように、リードイン領域を四つの領域に分割する。そして、図6(b)のように、Area-1とArea-2、Area-3とArea-4の領域を入れ替えることにより、通常のディスク管理領域の位置とは異なる位置にディスク管理領域を配置する。リードイン領域を四つの領域に分割した時点で、各領域の先頭アドレスを計算することは可能である。図6では、説明簡略化のため、Area-1の先頭アドレスを、0x0000、Area-2の先頭アドレスを、0x1000、Area-3の先頭アドレスを、0x2000、Area-4の先頭アドレスを、0x3000としている。領域の入れ替えをおこなった場合、Area-1は、0x1000から、Area-2は、0x0000から、Area-3は、0x3000から、Area-4は、0x2000にアクセスすることにより、各領域の情報を取得することができる。このようにディスク管理領域を分割して再配置することにより、通常のドライブでは正しいディスク管理情報を取得することができず、データの再生ができなくなる。
【0043】
このように、ディスク管理領域を分割したときには、各領域の先頭アドレスなどのディスク管理領域の分割情報を、メモリ15に保持してそれを読出す必要がある。
【0044】
次に、図7を用いて本発明の第二の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理について説明する。
図7は、本発明の第二の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理を示すフローチャートである。
【0045】
先ず、ディスクのリード処理が発生する(SP11)。
【0046】
管理情報取得部13は、メモリ15に記憶しているディスク管理領域の分割情報を取得する(SP17)。ここで、ディスク管理領域の分割情報は、ドライブの工場出荷時にメモリ15に記憶しているものとする。ここでのディスク管理領域の分割情報とは、図6で示したようなディスク管理領域の分割および再配置に関する領域分割数や各領域の先頭アドレス、再配置先のアドレス情報などを意味する。管理情報取得部13は、SP17で取得した分割情報に従い、ディスク管理領域を復元し(SP18)、復元したディスク管理領域からディスク管理情報を取得する(SP14)。リードイン領域内に取得すべき管理情報が残っている場合には(SP15)、SP14を繰り返しおこなう。SP15において、リードイン領域からディスク管理情報を取得し終えた場合、ユーザデータ領域へのアクセスに移行する(SP16)。
【0047】
なお、第一の実施形態と同様、ドライブがアクセスするディスクが、通常のディスクであるか、あるいは、管理領域を分割して再配置したディスクであるかを示す識別情報をディスクに記憶しておくことにより、ディスク管理領域へのアクセス方法を切り替えることが可能になる。また、メモリ15に記憶するディスク管理領域の分割情報について、任意の方法で暗号化をおこない、単純にメモリアクセスするだけでは解読できないようにしてもよい。この場合、管理領域情報取得部16に暗号を復号化する機能を持たせることにより対応できる。
【0048】
本実施形態では、ディスク管理領域におけるディスク管理情報のリード方法について示したが、ディスク管理領域にディスク管理情報の書き込みをおこなう場合は、上述の方法により取得されるディスク管理領域の分割情報を考慮した位置に書き込みをおこなうものとする。また、リードイン領域全体を分割対象とし、再配置する方法について示したが、リードイン領域の一部を分割し、再配置するようにしてもよい。また、分割数や再配置の方法についても限定しない。
【0049】
このように本実施形態によれば、ディスクのリードイン領域に含まれるディスク管理情報を分割し、所定の位置とは異なる領域に配置することにより、特定の光ディスク装置でのみ再生を可能にし、その他の光ディスク装置では再生できないようにすることが可能になる。
【0050】
〔実施形態3〕
以下、本発明に係る第三の実施形態を、図8および図9を用いて説明する。
図8は、本発明の第三の実施形態に係るデータ記録再生装置の構成図である。
図9は、本発明の第三の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理を示すフローチャートである。
【0051】
第一の実施形態では、ディスクのリードイン領域に含まれるディスク管理情報の格納位置を所定の位置からずらす方法について示した。また、ディスク管理情報の格納位置を所定の位置からずらす量として、ドライブ固有IDを用いる方法を示した。本実施形態は、ディスク管理情報の格納位置を所定の位置からずらす量として、ユーザが指定する暗号鍵を用いるものである。
【0052】
なお、本実施形態のデータ記録再生装置の構成は、第一の実施形態の図1に示したものとほぼ同様であるが、管理情報所得部13の機能とインタフェース部11からメモリ15に暗号鍵が取り込まれることのみ異なっている。
【0053】
本実施形態のドライブを使用するユーザは、パーソナルコンピュータなどのホストからインタフェース部11を介して、事前に暗号鍵を指定しておく。指定された暗号鍵は、メモリ15に記憶しておく。ここでの暗号鍵とは、第一の実施形態で示したドライブ固有IDに相当するものである。ドライブ固有IDの代わりに、ユーザが任意の暗号鍵を指定することができる構成にしたものである。例えば、暗号鍵として、8桁の数字を使用するとする。管理情報取得部13は、メモリ15に記憶した暗号鍵を読み出し、例えば、図4に示した乱数表を用いる方法によりオフセットアドレスを取得し、ディスクのリードイン領域における管理領域の位置を取得することが可能になる。
【0054】
次に、図8を用いて本発明の第三の実施形態に係るデータ記録再生装置が、光ディスク1をリードする処理について説明する。
【0055】
先ず、ディスクのリード処理が発生する(SP11)。
【0056】
管理情報所得部13は、メモリ15からユーザ指定の暗号鍵を取得する(SP19)。上述したように、暗号鍵はユーザによって事前にメモリ15に記憶されているものとする。管理情報取得部13は、暗号鍵から、ディスクのリードイン領域におけるディスク管理情報の位置を取得する(SP20)。リードイン領域内に取得すべき管理情報が残っている場合(SP15)、SP14を繰り返しおこなう。SP15において、リードイン領域から管理情報を取得し終えた場合、ユーザデータ領域へのアクセスに移行する(SP16)。
【0057】
なお、第一の実施形態と同様、ドライブがアクセスするディスクが、通常のディスクであるか、あるいは、管理領域をずらしたディスクであるかを示す識別情報をディスクに記憶しておくことにより、ディスク管理領域へのアクセス方法を切り替えることが可能になる。
【0058】
本実施形態では、ディスク管理領域におけるディスク管理情報のリード方法について示したが、ディスク管理領域にディスク管理情報の書き込みをおこなう場合は、上述の方法により取得されるオフセットアドレスを考慮した位置に書き込みをおこなうものとする。また、ユーザ指定の暗号鍵を8桁の数字とした例を示したが、暗号鍵の桁数や使用する数字、文字、記号なども限定しない。乱数表を用いてオフセットアドレスを求める方法についても一例であり、オフセットアドレスを決定する方法は、その他如何なる方法であってもよい。また、メモリ15に記憶する暗号鍵や乱数表については、任意の方法で暗号化をおこない、単純にメモリアクセスするだけでは解読できないようにしてもよい。管理情報所得部13に暗号を復号化する機能を持たせることにより対応できる。
【0059】
このように本実施形態によれば、ディスクのリードイン領域に含まれるディスク管理情報の格納位置を所定の位置からずらすことで、特定の光ディスク装置でのみ再生を可能にし、その他の光ディスク装置では再生できないようにすることが可能になる。また、ディスク管理情報の格納位置については、ドライブごとに固有の位置となるため、セキュリティを向上させることができる。
【符号の説明】
【0060】
1…光ディスク
2…光ピックアップ
3…スライダ機構
4…スピンドルモータ
5…サーボ制御部
6…サーボ信号生成部
7…システム制御部
8…再生信号生成部
9…再生信号2値化部
10…デコード部
11…インタフェース部
12…エンコード部
13…管理情報取得部
15…メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬性記録媒体のデータへアクセスするデータ記録再生装置において、
前記データ記録再生装置の固有情報を記憶するメモリと、
前記データ記録再生装置が前記可搬性記録媒体上の管理領域に格納されている前記可搬性記録媒体のデータの管理情報の位置を取得する管理情報取得手段とを備え、
前記管理領域に格納されているデータの管理情報を、所定の位置より前記データ記録再生装置の固有情報に基づいた変位量分変位させた位置から前記データの管理情報を読出すことを特徴とするデータ記録再生装置。
【請求項2】
さらに、前記メモリに乱数表を記憶し、
前記データ記録再生装置の固有情報を前記乱数表に基づいて変換した値により、前記変位量を求めることを特徴とする請求項2記載のデータ記録再生装置。
【請求項3】
可搬性記録媒体のデータへアクセスするデータ記録再生装置において、
前記データ記録再生装置の前記可搬性記録媒体上の管理領域を再配置した情報を記憶するメモリと、
前記データ記録再生装置が前記可搬性記録媒体上の管理領域に格納されている前記可搬性記録媒体のデータの管理情報の位置を取得する管理情報取得手段と、
前記データ記録再生装置の前記可搬性記録媒体上の管理領域を再配置した情報から管理領域を復元する手段とを備え、
前記データ記録再生装置の前記可搬性記録媒体上の管理領域を再配置した情報から管理領域を復元し、復元した前記管理領域に格納されているデータの管理情報を、所定の位置より読出すことを特徴とするデータ記録再生装置。
【請求項4】
可搬性記録媒体のデータへアクセスするデータ記録再生装置において、
ユーザが暗号鍵を入力するインタフェース手段と、
前記インタフェース手段から入力された前記暗号鍵を記憶するメモリと、
前記データ記録再生装置が前記可搬性記録媒体上の管理領域に格納されている前記可搬性記録媒体のデータの管理情報の位置を取得する管理情報取得手段とを備え、
前記管理領域に格納されているデータの管理情報を、所定の位置より前記インタフェース手段から入力された前記暗号鍵に基づいた変位量分変位させた位置から前記データの管理情報を読出すことを特徴とするデータ記録再生装置。
【請求項5】
さらに、前記メモリに乱数表を記憶し、
前記インタフェース手段から入力された前記暗号鍵を前記乱数表に基づいて変換した値により、前記変位量を求めることを特徴とする請求項4記載のデータ記録再生装置。
【請求項6】
可搬性記録媒体のデータへアクセスするデータ記録再生方法において、
前記データ記録再生装置のメモリに、前記データ記録再生装置の固有情報を記憶するステップと、
前記データ記録再生装置のメモリに、乱数表を記憶するステップと、
前記データ記録再生装置のメモリから前記データ記録再生装置の固有情報を読出すステップと、
前記データ記録再生装置のメモリから乱数表を読出すステップと、
前記読み出された前記データ記録再生装置の固有情報と前記乱数表から、前記可搬性記録媒体上の管理領域に格納されている前記可搬性記録媒体のデータの管理情報の元の位置からの変位量を求めるステップと、
前記データの管理情報の元の位置からの変位量分変位させた位置から前記データの管理情報を読みだすステップとを有することを特徴とするデータ記録再生方法。
【請求項7】
可搬性記録媒体のデータへアクセスするデータ記録再生方法において、
前記データ記録再生装置のメモリに、前記可搬性記録媒体の管理領域の再配置情報を記憶するステップと、
前記データ記録再生装置のメモリから前記可搬性記録媒体の管理領域の再配置情報を読出すステップと、
前記読み出された管理領域の再配置情報から、前記可搬性記録媒体上の管理領域を復元するステップと、
前記復元された管理領域から前記可搬性記録媒体のデータの管理情報を、所定の位置より読みだすステップとを有することを特徴とするデータ記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−53960(P2012−53960A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197215(P2010−197215)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】