説明

データ記録再生装置及び記録再生方法

【課題】データの記録ミスがあっても、次に同一タイトルのディスクがローディングされたときに録音処理をやり直すことができるデータ記録再生装置を提供する。
【解決手段】ディスク装置によって読み取ったディスクのデータを記録媒体に記録する記録部と、ディスク又は記録媒体に記録したデータを再生する再生部を有し、記録部は、記録媒体にディスクのデータを記録する際に、ディスクのトラックデータとTOCデータを読み出して記録するとともに、正常に記録されなかったトラックデータがある場合にそのトラック番号の情報を記録する第1の制御部と、新たにディスクをローディングして記録処理を行う際に、同一タイトルのディスクがローディングされたときは記録されたトラック番号の情報をもとに同一トラックのデータを修正記録する第2の制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disk)等のディスクに記録された音楽データをHDD等の大容量の記録媒体に記録し、かつ再生可能にしたデータ記録再生装置及び記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用のディスク再生装置では、オーディオデータが書き込まれたCD(Compact Disk)やMD(Mini Disk)等のディスクを車内に持ち込み、車両に搭載されたディスク装置でオーディオデータを再生していた。また複数枚のディスクを再生するため、例えばCDチェンジャのようなディスク装置を用いて再生するようにしている。しかしながら、CDチェンジャを用いたとしても、予め決められた枚数のディスクしか再生することができず、他のディスクを再生するには、ディスクを入れ換える必要があった。
【0003】
そこで、大容量の記録媒体、例えばハードディスク装置(HDD)を車載機器に搭載し、ディスクから読み込んだデータをハードディスク装置に記録し、ハードディスク装置に記録したデータを再生可能にしたデータ記録再生装置が普及している。このようなデータ記録再生装置では、ディスク装置とハードディスク装置を含み、ディスク装置にて再生したデータをハードディスク装置に記録し、ハードディスク装置からデータを読み出して再生できるようにしている。
【0004】
またディスクに記録された音楽データをハードディスク装置に保存する場合、音楽データだけでなくディスク識別情報としてTOC(Table of Contents)データも合わせて記録し、このTOCデータを参照することで同じディスクのデータが二重に記録されるのを回避するようにしている。したがって、データ記録再生装置は、データを保存する際にTOCデータを検索し、現在再生中のディスクのTOCデータと同一のTOCデータが既にハードディスク装置に記録されている場合はデータの保存を行わないようにしている。
【0005】
また音楽用CDには、楽曲(楽章)の頭出しや、予め設定された順序で再生するためのプログラム機能に関する情報として、サブコードのPチャンネル及びQチャンネルのデータが含まれている。サブコードのQチャンネルデータ(以下、サブQデータと呼ぶ)は、コントロール部、アドレス部、データ部、及びCRC(Cyclic Redundancy Code)部からなり、CRC部にはエラー検出のためのデータが記録されている。したがって、このCRCを利用してサブQフレームの正誤を判定し、正しいデータのみを取得できるようにしている。またディスクの各トラックの切り替わりは、ディスクから取得したサブQデータから再生中の位置を認知することで検出している。
【0006】
しかしながら、市場にはコピーディスクが多く存在するため、ディスクに書き込まれたサブQデータのCRCが異常な値になっていることがある。CRC値が異常なサブQデータは破棄せざるを得ないため、特にトラック間の境界部分のCRCが異常な場合、トラック間の境界を正確に認識することができず、現在再生中のトラックの一部として次のトラックを再生してしまうことがあった。したがって、このようなディスクをトラック毎に録音した場合は、トラックの長さが実際と異なってしまい、音声が中途半端なファイルが作成されてしまうという不具合があった。
【0007】
特許文献1には、ディスクに記録されたデータを一旦、記憶媒体に記憶し、あとで再生するようにしたディスク再生装置が開示されている。この例では、サブQ信号のデータ化けにより、音楽データと非音楽データを正しく認識できない場合の対処法について記載されている。
【特許文献1】特開2001−210008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のデータ記録再生装置では、音楽ディスクからデータを読み取りHDD等の記憶媒体に保存する場合、トラックの切り替わりをディスクから取得したサブQデータから再生中の位置を認知することによって検出しているが、コピーされたディスク等では、次トラックへの切り替わりを正規の位置で検出することができず、トラック毎の録音を行う場合に、実際の時間よりも長い、あるいは短い録音ファイルが作成されてしまうという不具合があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み粗悪ディスクを録音した場合でも、次に同一タイトルのディスクがローディングされたときに録音処理を実施し、録音状態の改善を図ることでできるデータ記録再生装置及び記録再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明のデータ記録再生装置は、ディスク装置によって読み取ったディスクのデータを記録媒体に記録する記録部と、前記ディスク又は前記記録媒体に記録したデータを再生する再生部を有するデータ記録再生装置であって、前記記録部は、前記記録媒体に前記ディスクのデータを記録する際に、前記ディスクのトラックのデータとTOC(Table of Contents)データを読み出して記録するとともに、正常に記録されなかったトラックのデータがある場合に当該トラック番号の情報を記録する第1の制御部と、前記ディスク装置に新たにディスクをローディングして記録処理を行う際に、同一タイトルのディスクがローディングされたときは前記記録されたトラック番号の情報をもとに同一トラックのデータを修正記録する第2の制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
また請求項7記載の本発明の記録再生方法は、ディスク装置によって読み取ったディスクのデータを記録媒体に記録する記録部を有し、前記記録媒体に前記ディスクのデータを記録する際に、前記ディスクのトラックのデータとTOC(Table of Contents)データを読み出して記録するとともに、正常に記録されなかったトラックのデータがある場合に当該トラック番号の情報を記録し、前記ディスク装置に新たにディスクをローディングして記録処理を行う際に、同一タイトルのディスクがローディングされたときは前記記録されたトラック番号の情報をもとに同一トラックのデータを修正記録し、前記記録媒体から更新されたトラックデータを読み出して再生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のデータ記録再生装置では、ディスクに記録されたデータをHDD等の記録媒体に記録する際に、以前に記録したデータに記録ミスがある場合にそのトラック番号も記録しておくことにより、次に同じタイトルのディスクがローディンクされたときに修正記録して録音状態の改善を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明のデータ記録再生装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明のデータ記録再生装置100の構成を示すブロック図である。図1において、データ記録再生装置100は、ディスク装置10と、ハードディスク装置30を備えている。データ記録再生装置100は、マイクロプロセッサを含むシステム制御部11を有し、システム制御部11が装置全体の動作を制御する。
【0015】
先ずディスク装置10の構成を説明する。ディスクDは、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転する。ディスクDからの情報の読み取りは、光ピックアップ13によって行い、ディスクDにレーザ光を照射し、その反射光によってディスクDに記録されている情報を読み出す。
【0016】
光ピックアップ13は、スレッドモータ14によってディスクDの半径方向に移動制御され、再生位置を決定する。15はサーボコントローラであり、システム制御部11からの制御信号に応じて、スピンドルモータ12の回転を制御するとともに、光ピックアップ13のトラッキング制御、フォーカス制御、及びスレッドモータ14の駆動制御を行う。
【0017】
16はRFアンプであり、光ピックアップ13によって読み出した情報に対応するRF信号を増幅して次段に伝達する。又、このRFアンプ16は、RF信号からフォーカス制御用の信号及びトラッキング制御用の信号を分離して、これらの制御信号をサーボコントローラ15に送る。
【0018】
サーボコントローラ15は、フォーカス制御用の信号に基づいて光ピックアップ13のアクチュエータ(図示せず)を制御し、光ビームがディスクD上に常時ジャストフォーカスとなるように制御する。また、トラッキング制御用の信号に基づいてアクチュエータを制御し、光ピックアップ13のトラッキング方向の移動を制御する。これにより、データの再生を正確に行うようにしている。
【0019】
17は、デジタル信号処理部であり、RFアンプ16から出力されたRF信号をデジタル化し、デジタル化された信号の復調処理と誤り訂正処理等を行い、メモリコントローラ18に入力する。メモリコントローラ18には、SDRAM等のメモリ19が接続されており、例えばMP3による圧縮音楽データ等のファイル情報をメモリ19に読み書き自在に一時記憶する。メモリコントローラ18は、圧縮データ(ファイル情報)をメモリ19に高速に書込み、書き込みと並行してメモリ19から通常速度で連続的に読み出す。
【0020】
メモリコントローラ18によりメモリ19から読み出されたファイル情報は、デコーダ20に供給され、デコーダ20では、例えばMP3圧縮音楽データを伸長して非圧縮の通常の音楽データに変換する。デコーダ20からのデータは出力部21に供給され、アナログに変換して出力される。アナログ出力は、外部に設けたオーディオアンプ(図示せずに)に供給される。尚、メモリコントローラ18、デコーダ20、及び出力部21は、再生部を構成する。
【0021】
また、システム制御部11は、サーボコントローラ15、デジタル信号処理部17、メモリコントローラ18等の制御を行う。システム制御部11には、操作部22及び表示部23が接続されている。操作部22は、再生キー、リピートキー、スキャンキー、録音キー等の各種の操作キーを備えている。表示部23は、HDD31(後述)に記録されているオーディオデータに関する情報等(曲名、アーティスト情報など)を表示する。
【0022】
一方、ハードディスク装置30は記録部を構成し、大容量の記録媒体であるHDD31と、ハードディスクコントローラ32、及びエンコーダ33を含む。
【0023】
エンコーダ33は、デジタル信号処理部20から入力したオーディオデータを必要に応じて圧縮処理して出力する。エンコーダ33からのオーディオデータは、ハードディスクコントローラ32によってHDD31に書き込まれる。ハードディスクコントローラ32は、システム制御部11の制御のもとにHDD31へのオーディオデータの書き込み及び読み出しを行う。
【0024】
またシステム制御部11は、エンコーダ33に対して圧縮率を設定する。さらにシステム制御部11は、ハードディスクコントローラ32を介して読み出したオーディオデータをエンコーダ33に出力し、エンコーダ33で圧縮オーディオデータを生成し、デジタル信号処理部17に供給する。
【0025】
このように、データ記録再生装置100は、大容量の記憶媒体(HDD31)等を車載機器に搭載し、ディスク装置10によってディスクDから読み込んだデータをHDD31に記録したり、HDD31に記録したデータを読み出してディスク装置10によって再生可能にしている。
【0026】
図2はディスクDに記録されたデータのフォーマット構成を示した図である。図中、(a)はサブコードにおけるQデータ(サブQデータ)の構成を示し、(b)はサブQデータ内におけるデータ部の構成を示している。
【0027】
一般にCDには、楽曲(又は楽章)の頭出しや、予め設定された順序に従って再生するためのプログラム機能に関する情報としてサブコードのPチャンネル及びQチャンネルのデータが含まれている。Pチャンネルデータは、音楽と音楽の間を示しており、ラフな頭出しのために使用される情報であり、Qチャンネルデータは、より詳細な制御のための情報である。
【0028】
図2(a)に示すように、サブQデータは、コントロール部、アドレス部、データ部及びCRC(Cyclic Redundancy Code)部からなる。コントロール部は4ビットのデータであり、オーディオのチャンネル数、エンファシス、デジタルデータなどの識別を行うためのテーブルが記録されている。コントロール部を構成する4ビットのうち1ビット(上位から2ビット目)は、トラックに記録されているデータがオーディオデータであるか否かを示している。
【0029】
アドレス部は4ビットのデータであり、後述するデータ部内のデータのフォーマットや種類を示す制御信号が記録されている。CRC部は16ビットデータであり、巡回符号のエラー検出を行うためのデータが記録されている。データ部は72ビットのデータであり、アドレス部の4ビットのデータが「0001」のときに、ディスクDのリードイン領域におけるデータ部(TOC)は、図2(b)に示すフォーマットを有する。
【0030】
即ち、図2(b)に示すように、TOCは、楽曲(又は楽章)番号を示すMNR部と、情報の種別を示すPOINT部と、楽曲内の経過時間の「分」成分を示すMIN部、「秒」成分を示すSEC部、及びフレーム番号を示すFRAME部を有する。またZERO部と、POINT部の内容の絶対時間の「分」成分、「秒」成分、及びフレーム番号をそれぞれ示すPMIN部、PSEC部、PFRAME部を有し、これらの各部は8ビットのデータからなっている。このうちMNR部、MIN部、SEC部、FRAME部、ZERO部は、いずれも16進数表示で「00」に固定され、8ビット全てに「0」が付与されている。
【0031】
また、PMIN部は、POINT部が16進数表示で「A0」の場合には、最初の楽曲(又は楽章)番号を示し、POINT部が16進数表示で「A1」の場合には、最後の楽曲(又は楽章)番号を示す。また、POINT部が16進数表示で「A2」の場合には、PMIN部、PSEC部及びPFRAME部は、それぞれ、リードアウト領域が始まる絶対時間を示す。さらに、POINT部が2ディジットのBCDで表現される場合には、PMIN部、PSEC部及びPFRAME部は、それぞれ、当該数値で示される各曲(又は楽章)が始まるアドレスを絶対時間で表したものとなる。
【0032】
以下、本発明の記録部(ハードディスク装置30)の動作について説明する。図3(a)は、ディスクDの情報をトラック毎にHDD31に記録する際のトラックの切替りの検出方法を示す説明図である。図3(a)では、現トラックから次トラックへ切り替ったタイミングをT1で示している。実際には光ピックアップ13で読み取ったデータからサブQデータを取得し、それをデコードすることで、システム制御部11のマイクロプロセッサがトラックの切替りを検出している。サブQデータのTOCには、トラックのどの位置を再生しているかを示す位置情報が含まれているため、再生位置を判別することができる。
【0033】
一方、コピーディスクのような粗悪なディスクの場合、ディスクに書き込まれたサブQのCRCが異常な値になっていることがある。図3(b)は、CRCの値に異常があるディスクの一例を示す。
【0034】
図3(b)は、トラックの切替り付近のサブQデータにおいて、CRCの値が異常な部分を×印で示し、正常な部分を○印で示している。CRC値に異常があるサブQは、破棄せざるを得ないため、トラック間の境界部分のCRCが異常な場合、トラック間の境界を認識することができず、現在再生中のトラックの一部として次のトラックを再生してしまう。
【0035】
つまり、現トラックと次トラックの実際の切替りのタイミングはT1であるが、次のトラックの最初の部分でCRC値に異常(×印)があると、それらのサブQは破棄されるため、マイクロプロセッサは、正常なCRCが検出されるまでは現トラックと判断し、時間t1だけずれた位置(タイミングT1’)で次のトラックに切り替わったと判断してしまう。
【0036】
このためHDD31には、現トラックのデータがタイミングT1’までオーバーランして記録され、タイミングT1’以降が次トラックのデータとして記録されてしまう。現トラックを第1のトラック、次トラックを第2のトラックとすると、第1のトラックは実際よりも長くなり、第2のトラックは実際よりも短くなり、HDD31にはトラックの長さが実際と異なる中途半端な音楽ファイルが作成されてしまう。
【0037】
そこで本発明では、ディスクDのデータをHDD31に記録する際に、TOCデータと音楽データを記録するとともに、CRC値が異常のためにトラックの長さが実際と異なって記録されたときのトラック番号の情報を合わせて記録しておく点に特徴がある。また記録したトラック番号の情報をもとに、同じタイトルのディスクが再度ローディングされたときに、該当するトラックについて録音処理をやり直し、録音状態の改善を図るようにしている。
【0038】
図4は、本発明でのHDD31への記録動作を示すフローチャートである。尚、以下のフローチャートの処理は、システム制御部11の制御のもとにハードディスクコントローラ32によって実行される。
【0039】
図4において、ステップS1は、ディスク装置10にディスクDがローディングされ、HDD31への記録が開始されるステップを示している。ステップS2では、ディスクDに記録されているTOCデータ及び音楽データを読み出す。ステップS3では、ローディングしたディスクDのTOCデータを検索し、既にHDD31に記録済みのデータの中に同じTOCデータがないか確認する。
【0040】
ステップS4において、同一のTOCデータがない場合は、新規のディスクDであると判断し、次のステップS5で全トラックの録音処理を行う。尚、ステップS5では、予め指定したトラックのみを録音することもできるが、ここでは全トラックを録音する場合を説明する。
【0041】
ステップS6では、TOCデータと実際にHDD31に記録した音楽データを照合し、トラックの長さが実際と異なって記録されたトラック番号の情報をHDD31に記録する。即ち、TOCデータにはトラック毎の位置情報が含まれているため、TOCデータから実際のトラック長を知ることができる。これに対し、粗悪なコピーディスクの音楽データを記録した場合は、図3(b)で例示したようなオーバーランによる記録ミス、つまりトラックの長さが実際と異なって記録される場合がある。また記録ミスのあった次のトラックは実際よりも短く記録される。
【0042】
したがって、正常に記録されなかったトラックデータがある場合は、そのトラック番号の情報をHDD31のリストに記録する。また同じディスクDにおいて、別のトラックで同様の記録ミスがあった場合は、そのトラック番号の情報がリストに追加され、ステップS7で録音処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS4において同一のTOCデータが発見された場合は、同じタイトルのディスクDが再度ローディングされたものと判断し、ステップS8では、HDD31のトラック番号のリストが空か否かを判断する。トラック番号のリストが空である場合は、以前に録音したデータに記録ミスがなかったことを示すため、既に正常に録音されているものと判断してステップS7に進み、録音を終了する。このとき、表示部23に「既に記録済みです」等のメッセージを表示すると良い。
【0044】
またステップS8において、トラック番号のリストに情報が書き込まれている場合は、ステップS9に進み、該当トラックとその次のトラックの音楽データを録音処理する。つまりステップS8,S9では、コピー版ではない正規の同一タイトルのディスクDがローディングされたときに、以前に録音して記録エラーがあったトラックのデータのみを再度録音し直す訳である。
【0045】
ステップS10では新たに録音したトラックのデータと以前録音したトラックのデータを置き換え、かつ新たに記録したトラックのデータに記録ミスがなければ、リストから該当するトラック番号の情報を削除する。尚、依然として同一トラックにおいて記録ミスが生じた場合は、そのトラック番号の情報はリストから削除されずに残る。こうして更新されたトラックデータをHDD31から読み出して再生することが可能となる。
【0046】
尚、ハードディスクコントローラ32は、HDD31にディスクDのデータを記録する際に、トラックのデータとTOCデータを読み出して記録するとともに、正常に記録されなかったトラックのデータがある場合には当該トラック番号の情報を記録する第1の制御部を構成する。また新たにディスクDをローディングして記録処理を行う際に、同一タイトルのディスクがローディングされたときは、HDD31に記録されたトラック番号の情報をもとに同一トラックのデータを修正記録する第2の制御部を構成する。
【0047】
図5は、ステップS9,S10での修正録音の動作を説明する説明図である。図5において、例えば第1のトラックAがオーバーランして実際のトラック長よりも長く記録され、後続の第2のトラックBが実際のトラック長よりも短く記録され、A’、B’で示すように記録エラーが生じた場合、HDD31のリストには、トラックA,Bのトラック番号の情報が記録されている。
【0048】
そして再度、同一タイトルのディスクがローディングされたときは、リストに記録されたトラック番号の情報を基にトラックAとトラックBの音楽データを読み出し、A’及びB’のデータと置き換えて修正記録する。したがって、エラーのないディスクがローディングされたときには、データが更新されて記録される。また記録エラーのない他のトラックのデータについては、改めて記録し直す必要がないため、修正記録を簡略化することができる。
【0049】
このように、本発明のデータ記録再生装置では、ディスクDに記録されたデータをHDD31に記録する際に、以前に記録したデータに記録ミスがある場合は、そのトラック番号も記録しておくことにより、次に同じタイトルのディスクがローディンクされたときに修正して記録することができ、録音状態の改善を図ることができる。
【0050】
尚、以上の説明では、HDD31に音楽データを記録する例について説明したが、HDD31に限らず他の記録媒体、例えばコンパクトフラッシユ(登録商標)等に記録するようにしてもよい。また以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータ記録再生装置の構成を示すブロック図。
【図2】ディスク(CD)に記録されたデータのフォーマット構成を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態でのトラック情報の記録動作を説明する説明図。
【図4】本発明の一実施形態での記録部の動作を説明するフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態での修正記録の動作を説明する説明図。
【符号の説明】
【0052】
D…ディスク
10…ディスク装置
11…システム制御部
12…スピンドルモータ
13…光ピックアップ
14…スレッドモータ
15…サーボコントローラ
16…RFアンプ
17…デジタル信号処理部
18…メモリコントローラ
19…メモリ
20…デコーダ
21…出力部
22…操作部
23…表示部
30…ハードディスク装置(記録部)
31…記録媒体(HDD)
32…ハードディスクコントローラ
33…エンコーダ
100…データ記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク装置によって読み取ったディスクのデータを記録媒体に記録する記録部と、前記ディスク又は前記記録媒体に記録したデータを再生する再生部を有するデータ記録再生装置であって、
前記記録部は、前記記録媒体に前記ディスクのデータを記録する際に、前記ディスクのトラックのデータとTOC(Table of Contents)データを読み出して記録するとともに、正常に記録されなかったトラックのデータがある場合に当該トラック番号の情報を記録する第1の制御部と、
前記ディスク装置に新たにディスクをローディングして記録処理を行う際に、同一タイトルのディスクがローディングされたときは前記記録されたトラック番号の情報をもとに同一トラックのデータを修正記録する第2の制御部と、を具備したことを特徴とするデータ記録再生装置。
【請求項2】
前記第1の制御部は、前記TOCデータと前記記録媒体に記録されたトラックのデータを照合して、前記トラックのデータが正常に記録されたか否かを判断することを特徴とする請求項1記載のデータ記録再生装置。
【請求項3】
前記第2の制御部は、前記記録されたトラック番号の情報をもとに同一トラックのデータを読み出して記録し、以前に記録したトラックのデータと置き換えることを特徴とする請求項1記載のデータ記録再生装置。
【請求項4】
前記第2の制御部は、前記第1の制御部によって記録されたトラック番号の情報をもとに、該当するトラック及び次のトラックのデータを読み出して修正記録することを特徴とする請求項1又は3記載のデータ記録再生装置。
【請求項5】
前記第2の制御部は、前記修正記録したトラックのデータが正常なデータであると判断したときは、前記記録されたトラック番号の情報を削除することを特徴とする請求項1記載のデータ記録再生装置。
【請求項6】
前記記録部は、前記記録媒体としてのハードディスクと、前記ハードディスクへのデータの書き込み及び読み出しを制御するハードディスクコントローラを含むことを特徴とする請求項1記載のデータ記録再生装置。
【請求項7】
ディスク装置によって読み取ったディスクのデータを記録媒体に記録する記録部を有し、
前記記録媒体に前記ディスクのデータを記録する際に、前記ディスクのトラックのデータとTOC(Table of Contents)データを読み出して記録するとともに、正常に記録されなかったトラックのデータがある場合に当該トラック番号の情報を記録し、
前記ディスク装置に新たにディスクをローディングして記録処理を行う際に、同一タイトルのディスクがローディングされたときは前記記録されたトラック番号の情報をもとに同一トラックのデータを修正記録し、
前記記録媒体から更新されたトラックデータを読み出して再生することを特徴とする記録再生方法。
【請求項8】
前記トラックのデータが正常に記録されたか否かは、前記TOCデータと前記記録媒体に記録されたトラックのデータを照合して判断することを特徴とする請求項7記載の記録再生方法。
【請求項9】
前記データの修正記録は、新たにディスクをローディングしたときに前記記録されたトラック番号の情報をもとに同一トラックのデータを読み出して記録し、以前に記録したトラックのデータと置き換えることを特徴とする請求項7記載の記録再生方法。
【請求項10】
前記データの修正記録は、前記記録されたトラック番号の情報をもとに、該当するトラック及び次のトラックのデータを修正記録することを特徴とする請求項7又は9記載の記録再生方法。
【請求項11】
前記修正記録したトラックのデータが正しく記録されたときに、前記記録されたトラック番号の情報を削除することを特徴とする請求項7記載の記録再生方法。
【請求項12】
前記記録部は、前記記録媒体としてのハードディスク、及び前記ハードディスクへのデータの書き込み及び読み出しを制御するハードディスクコントローラを含むことを特徴とする請求項7記載の記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−134980(P2010−134980A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308466(P2008−308466)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】