説明

データ記録用の新規材料

本発明は、モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターのアセンブリを含む、室温または可視光より高い温度において非可視放射線を放射源により励起された状態にするためのデータ記録材料に関する。該材料における紫外または可視光の特異的パターンの放射により、該パターンからの発光は不可逆的に増強される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、該して、閉じ込められた金属原子クラスター、好ましくはケイ素、銀、銅および金を用いた光活性化による白色光および着色光の放射の増強に関し、より詳しくは、例えば、バイオラベルまたはセキュリティラベルなどのコード化ラベルのための、材料としてデータ記録およびデータ画像化能力を有するオリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、モレキュラーシーブ内に閉じ込められた金属オリゴ原子クラスターの放射性材料を含む、データ記録能を有する材料、例えばゼオライト、に関する。
【0003】
近年、所望の特性を有するゼオライトの合成において、構造指向剤(SDA:structure directing agent)の選択、合成条件の制御および合成後処理により、専門的知識が得られている。
【0004】
【表1】

【0005】
同時に、規則的メソ多孔性材料の族は、異なる界面活性剤および合成条件の使用により、大いに拡大された。
【0006】
【表2】

【0007】
適切な鋳型の使用は、ゼオライト合成における孔サイズ、分散および結合性の制御を可能とする。例えば、界面活性剤、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウムまたは臭化ドデシルトリメチルアンモニウムなどの使用は、一般にメソ多孔性材料の形成をもたらす。好ましい実施態様において、該モレキュラーシーブは、モルデナイト、ZSM−5、A−ゼオライト、L−ゼオライト、フォージャサイト、フェリエ沸石、菱沸石型のゼオライト、および上述のゼオライトの混合物からなる群から選択される1以上のものである。
【0008】
本発明の該材料、例えば、オリゴ銀原子クラスターを含むゼオライトは、安価かつ非毒性である。ゼオライトは、現在、洗浄パウダーに大量に使用されており、また、銀はその抗菌特性にも関わらず、人体組織への公知の毒性効果を有していない。コロイド銀は、例えば、酸化的ストレスおよび活性酸素種の生成に対する保護活性のため栄養補助食品として、広く市販されている。
【0009】
バンドギャップを持っていない、良好な導電体であるバルク金属とは対照的に、小さな金または銀クラスターは、とびとびのエネルギー準位からの興味深い発光特性を示す。この現象は、希ガスマトリクス中、水溶液中および酸化銀フィルム上の100原子より小さい銀で実証された。これら小さな銀クラスターの分子特性および離散エネルギー状態は、量子化学的計算により確認される
【0010】
【表3】

【0011】
小さな金または銀クラスターの研究および作製における主な問題は、発光のロスとなる、大きなナノ粒子への、ひいてはバルク金属への凝集である。ここで、限定された大きさの孔、空洞およびとトンネルを有する孔性構造の使用が、凝集の問題を解消し、発光体を経時的に安定化できることが示される。
【0012】
銀酸化物ナノ粒子などの酸化銀について、紫外から可視光までの放射により金属銀への還元が可能となることが示された(Peyser, LA. , Vinson, A. E., Bartko, A. P., Dickson, R. M. (2001) Science 291, 103-106)。この現象は、材料の光学特性の変化を引き起こすが、そのような材料について、還元反応の最終結果は、制御が困難であり、最終的に大きな非発光性の銀凝集体が形成される。
【0013】
モレキュラーシーブ中の銀クラスターは、顕著な安定性を示す(Ref: Bogdanchikova, N. E., Petranovskii, V. P., Machorro, R., Sugi, Y., Soto, V. M, & Fuentes, S. (1999) Applied Surface Science 150, 58-64.)。Bogdanchikovaらは、モレキュラーシーブの組成、例えばSiO2ZAl23のモル比、に関連し得る銀クラスターの安定性が、酸強度に左右されることを見出した。弱酸性部位を有するモルデナイト中の銀クラスターは、可視光源での使用のための本発明の思想に関して十分な長期間である、少なくとも50ヶ月の間、安定である。クラスターの消失は、酸化と関連している。クラスターまたは無酸素もしくは低酸素デバイスの還元は、明らかにさらにその安定性を高めることができた。本発明の1実施形態において、金または銀クラスターは、モレキュラーシーブ内での封入化により、酸化から保護される。さらに、必要な場合は、閉鎖金属クラスターをさらに保護するために、材料結晶の外部被覆または孔の入口のキャッピングを用いることができる。
【0014】
最先端の技術は、モレキュラーシーブ内に埋め込まれたオリゴ原子金属クラスターによる、非可視光、例えば紫外領域でのエネルギーから、より低いエネルギー、例えば可視光への室温変換を全く示唆も実証もしていない。そのような材料の光学特性による光照射の影響についても、これまでに全く研究されていない。
【0015】
いくつかの先端技術は、銀がゼオライト充填された光物理的特性に関係する。例えば、Chenらは、Yゼオライトに銀クラスターの代わりとしてヨウ化銀(AgI)を充填し、254nmの光を照射または負荷したが、可視発光の観察または記述はされていない(Chen, W.. JoIy, A. G., & Roark, J. (2002) Physical Review B 65, 245404 Artn 245404, US patent 7067072およびUS patent 7126136)。Calzaferriらは、 ゼオライトを含む銀金属による254nmの光の吸収を実証したが、発光の通知はされていない(Calzaferri. G.. Leiggener, C, Glaus. S., Schurch. D.. & Kuge, K. (2003) Chemical Society Reviews 32, 29-37.)。Kananらは、いくつかの銀(I)交換されたゼオライトYの発光強度を示したが、200K以下の温度で励起された場合のみである(Kanan, M. C, Kanan, S. M., & Patterson, H. H. (2003) Research on Chemical Intermediates 29, 691- 704)。
【0016】
本発明によって、モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターが顕著な安定性を示すだけでなく、記録された光学データ用に使用することもできることが実証された。例えば、そのような紫外または可視光のモレキュラーシーブユニットの初回放射線が、第2の紫外もしくは可視光励起上の該ユニットにより、または、それを電流または電場へ与えることにより、不可逆的に発光を増強することが実証された。いくつかのそのような励起可能なモレキュラーシーブユニットを含むマトリクスまたは担体は、光学情報を記録することを可能とし、ビットデータ記録のために使用することのできる、書き込み放射線および読み込み放射線システムに、または、記録された光学情報を1つイメージに視覚化するために用いることができる光学情報画像機器として用いることができる。本願において、不可逆的に増強されたとの意味は、モレキュラーシーブに閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターの放射源(例えば紫外または可視光線)による初回励起が、非書き込み領域と書き込み領域との観察可能な相違が視覚化され得る安定な、あるいは、不可逆的方法でも、紫外または可視光による第2の放射線の後に、そのモレキュラーシーブユニットによる発光を増強することである。書き込み領域は、活性化によりさらに強く発光するようになる。
【0017】
モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを含む光学データ記録用データ記録材料は、その中で、紫外または可視光励起による発光が、紫外または可視光の照射により不可逆的に増強され得る。
【0018】
本発明は、例えば、バイオラベルおよび関連物のためのデータ記録材料の分野に関し、該データ記録材料は、例えば、室温以上での可視白色または着色光の励起を伴い、発光強度が光放射によって増大され得る白色光および着色発光性の材料を含む。かかるデバイスは、このように、閉じ込められた金属オリゴ原子クラスターの働きを通して生じるデータ記録のための発光材料を含んでいる。より具体的には、オリゴ原子銀クラスターは、モレキュラーシーブ(例えば、A3、A4およびA5ゼオライトのようなゼオライト)内に取り込まれる。本発明は、概して、閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを用いた紫外線放射による発光材料からの白色および着色光発光の増強に関し、特に、例えば、バイオラベル、または、例えばセキュリティアイテム用のタグ内に、データ記録アプリケーション用の発光材料として、これらのオリゴ原子金属クラスターを含むモレキュラーシーブの使用に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
発明の概要
本発明は、バーコードなどのパターンを光学的に書き込むことができる材料であって、該パターンが長期間に亘って安定である材料の提供により、関連技術の問題を解消する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の目的に従って、この中で具体化され広く記載されるように、本発明は、室温またはそれより高い温度において放射線源により発光される非可視放射線を可視光に変換するため、および、紫外または可視光の放射における発光強度を増強するために、モレキュラーシーブ(好ましくは、ゼオライト)の中に閉じ込められた、金、銀、プラチナ、パラジウム、ケイ素およびロジウムからなる群の貴金属の小クラスター(好ましくは、金および/または銀クラスター)のアセンブリを含むデータ記録材料であることが広く記載されている。
【0021】
本発明の一形態において、本発明の照射システムは、マトリクス内に埋め込まれたモレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスター(例えば、金、銀、および/または、それらの合金の)を含むアセンブリを備えている。そのようなマトリクスは、さらに粒子結合剤を含有する。該アセンブリは、モレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターの粉体アセンブリであってもよい。
【0022】
本発明の照射システムにおけるクラスターは、例えば1〜100原子のオリゴ原子クラスターである。本発明のモレキュラーシーブは、ゼオライト、多孔性酸化物、ケイ素アルミノリン酸塩、ガロリン酸塩、リン酸亜鉛、チタノケイ酸塩およびアルミノケイ酸塩、または、それらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態において、本発明のモレキュラーシーブは、ZSM−5、MCM−22、フェリエ沸石、フォージャサイトXおよびYからなる群からのラージポアゼオライトから選択される。本発明のたの実施形態におけるモレキュラーシーブは、ゼオライト3A、ゼオライ13X、ゼオライト4A、ゼオライト5AおよびZKFからなる群から選択される材料である。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、例えば、金 および/または銀の小クラスターを含むモレキュラーシーブの孔は、マトリクスで被覆されているか、または、ストッパー分子で閉じられている。
【0024】
紫外または可視線を、より赤側にシフトした光に転移するために、本発明の発光システムはシュウ酸塩、水酸化物、アジド、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩およびギ酸塩などの電荷補償アニオンの存在により小金属クラスターなどの貴金属との電荷相互作用を生じることを必要としない。
【0025】
本発明の適用性のさらなる範囲は、以下に与えられる詳細な記載から明らかとなる。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、発明の好ましい実施態様を示しているものであり、例示としてのみ与えられるものと理解されるべきであり、本発明の思想および範囲においての種々の変更および修飾は、この詳細な説明から当業者に明らかとなる。上述の一般的記載および以下の詳細な説明の両者は例示であり説明のためのみであって、クレームされた発明を限定するものではないと理解されるべきである。
【0026】
光学データ情報担体および光学データ表示装置は、フィルム内に一体化または包含されたモレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを含むシステムから作製されてもよい。また、そのような光学データ情報担体または光学データ表示システムは、マトリクス(好ましくは、ポリマーマトリクス)内に組み込まれたモレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスター層が存在する、積層構造を含んでもよい。そのようなポリマーマトリクスは、保護構造のために、そのモレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを組み込み、外部因子による低下からそれらを保護し、安定性を改善する。本発明は、モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターをポリマーマトリクス内に組み込むというシンプルな方法によって構造を形成することによる、補償された信頼性およびプロセス安定性を備えた光学データ記録または光学データ表示装置の製造方法も提供する。そのようなポリマー層は、アクリル系ビニルモノマー、芳香族ビニルモノマー、アクリロニトリル系ビニルモノマー、塩素系ビニルモノマー、ビニルステアレートまたは ビニルプロピオネートの重合生成物を含む。アクリル系ビニルモノマーの例は、トリエチルプロパン トリアクリル酸、トリ(プロピレングリコール)ジアクリル酸、ペンタエリスリトール トリアクリル酸、トリメチルプロパン エトキシレート トリアクリル酸、メチルメタクリル酸、メタクリル酸、トリ(プロピレングリコール)グリセロレート ジアクリル酸およびビニルアクリル酸からなる群から選択される1つ以上の混合物を含む。上記のフィルムバンは、上記フィルム内のモレキュラーシーブ内に閉じ込められた金属クラスに直接組み込まれて使用されるか、または、環境因子からそのような第2のフィルムを保護するために、モレキュラーシーブ内に閉じ込められた金属クラスターに組み込まれた他の層を保護または被覆するように使用されてもよい。芳香族ビニルモノマーの例は、スチレンおよびジビニルベンゼンを含む。塩素系ビニルモノマーの例は、塩化ビニリデンおよびビニルベンジルクロライドを含む。オリゴマーは、selected from thegroup consisting of urethane アクリル酸 オリゴマー、アクリル酸 オリゴマー、ether アクリル酸 オリゴマーおよびepoxy アクリル酸 オリゴmerからなる群から選択される1以上の混合物である。そのようなフィルムの重合は、重合開始剤によって開始することができる。重合開始剤の例は、1-hydroxy-cyclohexyl-phenyl-ketone(Irgacure 907)、2-methyl-l[4-(methylthio)phenyl]-2-morpholinopropane-l-one (Irgacure 184C)、l-hydroxy-2-メチル-1-phenyl-propane-l-one(Darocur 1 173)、Irgacure 184Cおよびベンゾフェノンの混合開始剤(Irgacure 500)、Irgacure 184CおよびIrgacure 1 173の混合開始剤(Irgacure 1000)、2-hydroxy-l-[4-(2-hydroxyethoxy)phenyl]-2-methyl-lpropanone (Irgacure 2959)、メチルベンゾイルギ酸塩(Darocure MBF)、α,α-ジメメトキシ-α-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)、2-benzyl-2-(dimethylamino)-l-[4-(4-morpholinyl)phenyl]-l-butanone (Irgacure 369)、Irgacure 369およびIrgacure 651の混合開始剤(Irgacure 1300)、diphenyl(2,4,6- トリmethylbenzoyl)-phosphine oxide (Darocur TPO)、Darocur TPOおよびDarocur 1 173の混合開始剤(Darocur 4265)、ホスフィン酸化物、フェニル ビス(2,4,6-トリメチル ベンゾイル)(Irgacure 819)、Irgacure 819およびDarocur 1 173の混合開始剤(Irgacure 2005)、Irgacure 819およびDarocur 1 173の混合開始剤(Irgacure 2010)、および、Irgacure 819およびDarocur 1 173の混合開始剤(Irgacure 2020)、ビス(.eta.5-2,4-シクロペンタジエン-l-yl)ビス[2.6-ジフルオロ−3−(lH-ピロル-l-yl)フェニル]チタニウム(Irgacure 784)、および、ベンゾフェノンを含む混合開始剤(HSP 188)からなる群から選択される光開始剤を含む。また、重合開始剤の例は、benzoyl peroxide(BP)、acetyl peroxide(AP)、diauryl peroxide(DP)、di-tert-butyl peroxide(t-BTP)、cumyl hydroperoxide(CHP)、hydrogen peroxide(HP)、potassium peroxide(PP)、2,2'-azobisisobutyronitrile(AIBN)、azocompound、および、銀アルキルからなる群から選択される熱開始剤を含む。さらに、重合開始剤は、過硫酸塩(K2S2O8)および酸化還元開始剤からなる群から選択される酸化還元反応に使用する開始剤であってもよい。他の層または基材上のポリマーのコーティングは、スピンコーティング、バーコティング、印刷、拡散または塗布によって行われる。そのようなコーティングまたは印刷は、モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターと混合されたポリマーを用いて行うことができる。封入フィルムを形成する工程において、機溶液の重合反応生じさせるために、それらに光が照射されてもよく、または、熱が適用されてもよい フィルムを形成するときに、モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを含む液、ビニルモノマー、重合開始剤およびオリゴマーは重合されることができ、それによって、封入フィルムの接着および硬度、および、封入フィルム表面の密度が高められる。
【0027】
本発明のモレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを含むマトリクスは、そのような光学情報記録層上に第2のフィルムを蒸着することにより被覆することができる。これは、プラズマ蒸着により行うことができる。プラズマ重合は、通常は、薄膜の形成において、プラズマ放電に接触しているか、または、近くの表面上へのポリマー様有機材料の蒸着を用いた技術である。従来のポリマーと異なり、プラズマポリマーは、鎖同士を繋ぐまばらな「架橋」を有するモノマー繰返し単位の長鎖からなるものではない。代わりに、それらは、高度に枝分かれした、3次元的に相互結合したモノマー誘導ネットワークであり、フィルム形成反応物種が生じるプラズマ内での分裂および分離に起因するものである。プラズマ重合フィルムは、有機モノマーから形成され、一般的で、ピンホールがなく、密度が高く、非晶質である。従来のポリマフィルムと比べたときに、プラズマポリマーは、より良好な接着性、ならびに、改善された化学的および機械的耐久性を示す。さらに、蒸着フィルムの特性は、蒸着パラメータの変動によって変化し得る。プラズマ重合フィルムは、一般的に、通常、3つの部分((1)真空システム、(2)プラズマ発生用電気励起システム、および、(3)モノマーガス運搬システム)からなる装置内に形成される。モノマー分子が真空チャンバを通って流れるように、プラズマ放電エネルギーは、中性粒子内および電子、イオンおよびフリーラジカルの形成における反応物断片へのモノマー分子とかかわらない。これらの反応物断片は基材上で再結合し、硬度に分枝し、架橋し、3次元ネットワークが形成される。
【0028】
本発明のデータ記録モレキュラーシーブは、最先端の技術により、ポリマーマトリクスに組み込まれ、全体に分散されることができる。ZSM−5結晶は、例えば、従来のポリマーフィルムに組み込まれており、選択的分離が達成されている[see Duval. J. -M., Kemperman. A. J. B., Folkers. B.. Mulder, M. H. V.,およびDesgraddchamps, G., J. Appl. Polym. Sci.54 (1994)409-418]。米国特許第4,973,606号は、材料分離のため制御可能な選択性を備えた膜を製造するために、熱可塑性エラストマまたはデューロマーなどのポリマーへのゼオライトの組み入れを教示している。米国特許第5,069,794号は、ゼオライトコーティングを薄膜として機能する異なる基材へ適用することを教示している。
【0029】
シリカフィルム内へのモレキュラーシーブゼオライト組み込みも、Beinらによって以前に報告されている[see Bein, T., Brown, K., Enzel, P.,およびBrinker, C. J., Mat. Res. Soc. Symp. Proc, VoI 121 (1988) 761 -766]。そのようなアプローチは、窒素非透過性フィルムを運搬するシリカの単独源として、テトラエチルオルソケイ酸塩(TEOS)を利用するものである。
【0030】
本発明のデータ記録モレキュラーシーブを組み込む他のアプローチは、ゾル−ゲル派生材料の特性を調整することであり、非有機ゾル−ゲル材料の性質を改造するための材料有機化合物のゲルへの追加を含むものが現われた。このアプローチにおいて、マトリクス形成材料の非有機部分は、合成および熱安定性を提供し、一方、有機成分は、いくつかの熱安定性は費用がかかるにもかかわらず、一般に塑性および柔軟性に貢献する。Mackenzieらによる最近の研究その他は、そのようなアプローチを報告している。
【0031】
【表4】

【0032】
これらの方法において、コポリマーは、一般にalkoxysilanesから形成され、通常、第1のシリカ源として、TEOSまたはtetramethylorthosilane(TMOS)とともに用いられる。これらの方法において、加水分解反応(通常、酸媒体中)は、それから、他のシラン分子間の凝縮反応により架橋されるシリカ部分、または、外部のそれらの表面の水酸基を有するシリカ部分を沈殿させる。
【0033】
無機/有機ポリシロキサン混成ポリマーは、当該技術分野で知られており、「High Performance Ceramic Films」および「Coatings」(Elsevier Science Publishers B. V., 1991)に記載されており、これらは参照により本書に組み込まれる。特定の有用性を有するこれらの混成ポリマーの一族は、商業的にFraunhofer-Gesellschaft (ドイツ、ミュンヘン)およびドイツ商標によって指定されたORMOCERS(登録商標)から利用可能である。無機−有機ポリシロキサン混成ポリマーは、ドイツ特許DE 43 03 570にも開示されており、これらは参照により本書に組み込まれる。また、マトリクスまたは、ゼオライトポリマー複合体を形成するためのゼオライト追加物の結合剤として機能する、混成ポリシロキサンポリマーが使用できる(US6248682)。視覚的に、ゼオライト材料またはゼオライトの混合物などのモレキュラーシーブ材料は、複合材料のために利用してもよい。
【0034】
本発明の他の態様は、モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを、例えば、織り、編み、クロチェティング、ノッティングまたはプレス繊維によって得ることができるポリマー繊維または他の合成もしくは人口繊維マトリクス内に、そのような繊維のネットワークを含む柔軟性材料中に一緒に組み込むことに関する。 そのような柔軟性材料は、さらに布に加工処理されることができる。合成繊維の例は、ナイロン群の繊維である。Modacrylic、Olefin、Acrylic、Polyester、PLA、Vinyon、Saran Spandex、Vinalon、Aramids(Nomex、KevlarおよびTwaronとして知られている)、Modal、PBI(Polybenzimidazole fibre)、Sulfar、Lyocell、Dyneema/Spectra、M-5 (PIPD繊維)、Orion、Zylon (PBO繊維)、Vectra LCPポリマー、アクリロニトリル。これらは、発明の光学データ記録または光学データイメージング材料を組み込むために使用できる。
【0035】
図面説明
図面の簡単な説明
本発明は、以下に与えられる詳細な説明と、図解のみによって与えられる添付図面から、より十分に理解されるであろう。また、本発明はこのように限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、375nmピコ秒パルスの共焦点モードにおいて48W/cm2の平均パワーを有する光による励起における、個々の銀交換ゼオライト結晶から生じる発光強度の時間に対するグラフを示す。この同じ励起源は発光の光活性化を起こす。
【図2】図2は、バーコードを生じるための、個々の銀交換ゼオライト結晶における特異的パターンの光活性化の図を示す。
【図3】図3は、規則的多孔性酸化物に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターのアセンブリであり、好ましくは、マトリクス内に埋め込まれた微小孔性シリカ酸化物、好ましくはポリマー、コポリマーまたはエラストマーマトリクスである、データ記録可能な孔性構造またはDSCPSを備えたデータ記録媒体(DSM:データ記録媒体)を示す。それは、好ましくは透明または半透明である。
【図4】図4は、a)光活性化前(1)、および、3つの個々のスポットの連続的活性化後(2、3および4)の、10W/cm2のピコ秒375nmレーザーの20分間の各スポットへの共焦点顕微鏡を通した放射による1つの結晶内の単独銀交換ゼオライトA結晶のフォルスカラーイメージを示す。b)単結晶の総活性化。(1)は、活性化前の結晶を示す。16.7kW/cm2パルスの375nmビームよる5分の放射後、その強度は、因子10(2)によって増大する。同じパワーでの、さらに20分の活性化は因子20の総強度増加をもたらした。(1)から(3)まで増加した目盛範囲を示す。a)およびb)における画像は、画素当たり2msの積分時間でそれぞれ10および20W/cm2の375nmパルスの励起源による放射下での共焦点顕微鏡により得られた。c)デジタルカメラ(励起光をカットするレンズ前面の400nmロングパスフィルターを備えたキャノン製Power Shot A710)によって顕微鏡の接眼部を通して得られたトゥルーカラーイメージは、16.7kW/cm2励起パワーでの完全な活性化後に同じゼオライトからの緑の発光を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
発明の実施形態の詳細な説明
本願で用いられる用語「データ記録」は、この材料の光学特性を局所的に変えることにより、材料の内部または上にあるパターンを作る可能性、電磁気プローブビームを使用してそのパターンを読み取る可能性、または他の解釈を意味する。
【0038】
本願で用いられる「室温」は、12〜30℃(摂氏)の温度を意味し、好ましくは16〜28℃、より好ましくは17〜25℃、最も好ましくは概ね20〜23℃とされる。
【0039】
用語 「発光(luminescence)」または「放射性(emissive)」には、次のタイプが含まれる:化学発光、化粧発光、エレクトロルミネッセンス、フォトルミネッセンス、リン光、熱ルミネッセンス。
【0040】
オリゴ原子金属クラスターは、次の金属(サブナノメーターサイズ):Si、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Rh、CoおよびIr、または、それらの合金(例えば、Ag/Cu、Au/Niなど)の1〜100原子の範囲のクラスターを包含する。該クラスターは、中性、正または負に荷電されていてもよい。該オリゴ原子金属クラスターは、1〜100原子を含む小オリゴ原子銀(および/または金)分子であってもよい。
【0041】
ここで用いられる冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法的な目的語の1または1より多いこと(すなわち、少なくとも1)をいう。例として、「an element」は1のelementまたは1より多いelementを意味する。
【0042】
用語「含む(comprise)」および「含む(comprising)」は追加の要素を含んでもよいことを意味する包括的で開かれた意味に用いられる。
【0043】
用語「含む(including)」は「含むが限定されない(including but not limited to)」を意味するように用いられる。「含む(including)」および「含むが限定されない(including but not limited to)」は相互変換可能に用いられる。
【0044】
用語「特に(in particular)」は「限定されないが、特に(in particular but not limited to)」を意味するように用いられる。また、用語「特に(particularly)」は「限定されないが、特に(particularly but not limited to)」を意味するように用いられる。
【0045】
用語「ゼオライト」は、ナトリウムおよびカルシウム、または、やや一般的ではないが、バリウムj、ベリリウム、リチウム、カリウム、マグネシウムおよびストロンチウムなどのカチオンを含むアルミノケイ酸塩鉱物から構成される群、または、群のいずれかのメンバーをいう。それは、比(Al+Si):O=約1:2、イオン交換可能な開四面体骨格構造、および、(可逆性脱水を可能とする)緩く水を保持する分子によって特徴付けられる。用語「ゼオライト」は、アルミノリン酸塩(例えば、MeAPO、SAPO、ElAPO、MeAPSOおよびElAPSO)、ガロリン酸塩、リン酸亜鉛、チタノケイ酸塩などの場合に、Si4+またはAl3+が他の元素で置き換えられることにより調製される「ゼオライト関連材料」または「ゼオタイプ」も包含する。ゼオライトは、「Pure Appl. Chem., Vol. 73. No. 2, pp. 381-394, (c) 2001 IUPAC」に記載されるような骨格を有する結晶性多孔性材料であってもよく、または、国際ゼオライト学会によって定義される以下の構造タイプの基にあるIZA構造委員会のゼオライト骨格タイプデータベースにおいて提供されてもよい。
【0046】
【表5】

【0047】
用語「ゼオライト」は、「ゼオライト関連材料」、または、アルミノリン酸塩(例えば、MeAPO、AlPO、SAPO、ElAPO、MeAPSO、および、ElAPSO)、ガロリン酸塩、リン酸亜鉛、チタノケイ酸塩等の場合にSi4+またはA13+を他の元素に置き換えることで調製される「ゼオタイプ」、および、本願に記載されるゼオライトも含んでいる。
【0048】
ここで用いられる用語「モレキュラーシーブ」は、分子サイズの孔を有する固体をいう。それは、限定されないが、微小孔性およびメソ多孔性材料を含む。モレキュラーシーブの命名において、<20オームストロング(A)の孔サイズは微小孔性と考えられ、また、20〜500Aはメソ多孔性と考えられる。
【0049】
ここで用いられる用語「微小孔性担体」は、分子サイズの孔を有する固体をいう。それは、限定されないが、微小孔性材料、ALPOsおよび(合成)ゼオライト、柱状または非柱状粘土、炭素モレキュラーシーブ、微小孔性チタノケイ酸塩(ETS−I O、微小孔性酸化物など)を含む。微小孔性担体は、多様な孔サイズ分布を有していてもよく、規則的な極微小孔(典型的には、0.7nmより小さい)および超微小孔(典型的には、約0.7〜2nmの範囲内)であってもよい。本発明において想定される特定のタイプの微小孔性担体は、モレキュラーシーブであるゼオライトである。ゼオライトは、微小孔性担体の族のアルミノケイ酸塩メンバーである。該微小孔性担体は、規則的結晶性構造またはアモルファス材料で構成されるものでもよい。
【0050】
モレキュラーシーブの孔径は、さらに、合成における鋳型分子の性質によって影響され得る。合成混合物への膨張剤の添加は、さらに、得られるモレキュラーシーブの孔サイズに影響を及ぼし得る。異なる孔サイズを有するゼオライトは、よく特徴づけられ、Martin David Fosterによって「"Computational Studies of the Topologies and Properties of zeolite", The Royal Institution of Great Britain Department of Chemistry, University College London, a thesis submitted for the degree of Doctor of Philosophy, London, January 2003.」に記載されている。
【0051】
当業者の有機化学者によって使用される略語の包括的なリストは、「Journal of Organic Chemistry」の各巻の最初の号に登場する。このリストは、通常、「Standard List of Abbreviations」と題された表として提示される。
【0052】
本発明の目的のために、「the Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry」および「Physics, 67th Ed., 1986-87, inside cover」に従って、化学成分が確認された。そのような上記の熟考されたゼオライト構造の等価物、サブユニットおよび他の成分は、そうでなければそれらに相当し、それらの同じ一般特性(例えば、生体適合性)を有する材料を含み、そこで、1以上のシンプルな置換基の変化は、その意図する目的を達成するためのそのような分子の効果に逆に影響を与えないようになされた。一般に、本発明の化合物は、例えば、容易に利用可能な出発材料、試薬および従来の合成手順を用いて、以下に記載されるような反応スキームに描かれる方法により調製されてもよい。これらの反応において、自体公知の変形を使用することも可能であるが、ここでは言及されていない。
【0053】
a.. 「モレキュラーシーブマトリクスは、ゼオライト、孔性酸化物、ケイ素アルミノリン酸塩ケイ素アルミノリン酸塩およびアルミノケイ酸塩から選択される微小孔性材料の中から選択される。」
b.. 「ゼオライトAおよびZKFなどのスモールポアサイズのゼオライト族、および、それらの組合せから選択されるゼオライト」
c.. 「ZSM−5、MCM−22、フェリエ沸石、フォージャサイトXおよびYなどのラージポアゼオライト、ならびに、微小孔性モレキュラーシーブ」
d.. 「マトリクスは、モレキュラーシーブMCM−41、MCM−48、HSM、SBA−15、および、それらの組合せから選択されるモレキュラーシーブであってもよい。」
e.. 「微小孔性ゼオライトの調製のための技術における方法が使用できる。」
f.. 「ここで使用されるように、微小孔性 ゼオライトは、好ましくは、約3オングストローム〜約14オングストロームの孔サイズを有する」。
【0054】
微小孔性材料の用語は、アモルファス微小孔性固体をも含む。代替的にアモルファス微小孔性固体は、本発明に使用できる。例えば、乾燥形態において、<3nmの範囲の直径の微小孔の狭い孔サイズ分布(半値幅<孔径の±10%)を有するアモルファス微小孔性混合酸化物や、前記アモルファス微小孔性混合酸化物の調製は、US6121187に十分に記載され、他はWO0144308、US6753287、US6855304、US6977237、WO2005097679、US7055756およびUS7132093に十分に記載される。いくつかの文献が本明細書本文を通して引用されている。それぞれの文献(どのような製造者の明細書、示唆なども含む)は、ここで参照することにより本願明細書に組み込まれるが、どのような引用された文献も本発明の真の先行技術であるとは認められない。
【0055】
上記データ記録可能な孔性構造(例えば、モレキュラーシーブ、または、規則的な本発明のオリゴ原子銀クラスターを含む)は、膜またはフィルム中に組み込まれてもよい。本発明のデータ記録可能な孔性構造を含む塗料または液体は、データ記録可能な孔性構造の表面を被覆するために、使用することができる。
【0056】
媒体(例えば、塗料、ゲル化液体、エラストマー)が利用でき、および、そのような膜またはフィルム、例えば、満たされたエラストマー重合体、を得るための製造方法が利用できる。該膜またはフィルムは、モレキュラーシーブ内または規則孔性酸化物(微小孔性 または メソ多孔性、または、混合されたメソ多孔性/微小孔性)内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスター、または、ナノメートルの大きさ(0.3〜10nm)の窓、溝および空洞構造を有する孔性材料を含む。そのようなエラストマー重合体の典型的であるが排他的ではない例は、ポリヂメチルシロキサン(シリコンゴム)、ポリイソブテン(ブチルゴム)、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エテン−プロペン−ジエン−ゴム(EPDM)およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)(Murder. 1991)。そのようなオリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブのフィルムまたは膜;オリゴ原子銀クラスターを含むナノメーター寸法(0.3−10nm)の窓、チャネルおよび空洞構造を備えるオリゴ原子銀クラスターまたは多孔性材料を備える規則的メソ多孔性および/または微小孔性酸化物は、基材上に被覆されてもよい。
【0057】
ASTM(米国材料試験協会)規格によれば、「エラストマー」は「弱いストレスおよびストレスの解放による実質的な変形の後に、ほぼ初期の寸法および形状に戻るマクロ分子材料」として定義される。エラストマーはしばしば「ゴム状材料」とも言われる。「ゴム」は「大きな変形から迅速および強制的に回復することができ、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、および、エタノール/トルエン共沸混合物などの沸騰溶媒中に基本的に不溶性である(膨潤することはできるが)ある状態に修飾されることができ、または既に修飾されている材料」と定義されている。
【0058】
データ記録膜の調製において、データ記録可能な孔性構造はまず適切な溶媒中に分散される。適切な溶媒は、低イオン強度の溶媒、たとえばイオン強度値が1mmol/Lから0.05mmol/Lの範囲にある、であり、エラストマーを十分に溶解することのできるものであり、または少なくとも膜形成ポリマーが溶解された溶媒に部分的に混和性であるものである。分散を改善するために、超音波処理、高速混合、修飾反応を適用することができる。
【0059】
データ記録可能な孔性構造、および、該分散中のポリマーの範囲は、1重量%から80重量%の範囲であることができ、好ましくは20重量%から60重量%である。該分散は、分散を改善するため、および、可能であれば化学反応を起こさせるために、一定の時間(ポリマー/充填材)相互作用が達成されるようにかき混ぜられる。適切な場合、分散は加熱され、または、超音波で分解されてもよい。
【0060】
データ運搬孔性構造、特に微小孔性材料またはモレキュラーシーブ内に閉じ込められた金属クラスターは、塗料または印刷インク(たとえば、印刷可能なマトリクス印刷インク)または印刷可能な塗料、ニス(たとえば上塗りニス)および基板上の層またはコーティングに堆積する、吹付ける、印刷する、または、塗るための塗料に組込まれてもよい。本発明の発光材料を含有するために適した該分野の印刷インクまたは塗料は、たとえば、硬質樹脂、コロフォニー修飾フェノール樹脂、マレイン酸エステル樹脂、水素化鉱油カット、合成アロマオイル、アルキド樹脂、特に炭化水素樹脂および/またはコロフォニー樹脂エステル、および、ジ−n−ドデシルエーテル、ジ−n−ウンデシルエーテル、アリル−n−オクチルエーテル、n−ヘキシル−n−ウンデシルエーテルなどの担体としてのジアルキルエーテルである。特に適切な溶媒は、多価アルコールまたはエタノールの水不溶性脂肪酸エステル樹脂である。当該技術分野の適切な印刷インクはUS4028291、US4169821、US4196033、US4253397、US4262936、US4357164、US5075699、US5286287、US5431721、US5886066、US5891943、US6613813およびUS5965633に記載されている。本発明のデータ記録媒体は、光学情報運搬タグ、マーカーまたはイメージ中の基材上に、塗られ、印刷され、または、被覆されてもよい。本発明のデータ運搬孔性構造を有する光学データ記録構成は、例えばセキュリティイメージまたはバイオラベルを備えた品物などを提供するために、品物に添付され、または一体化されてもよい。本発明の特徴的利点は、印刷または被覆されたイメージが環境条件下では見えないように光学情報を含むことができる点だけでなく、それ以上に、さらなる光学情報が、例えば、規定の紫外線によって、イメージに加えられ、または書き込まれ得ることにある。
【0061】
セキュリティイメージは、一般的に、環境条件下で見えないか、そうでなければ検出することのできないイメージを含むか、または、環境条件下で見えないか、そうでなければ検出することのできない光学情報を含む。そして、それは、適切な刺激の適用によって、見えるように、または、検出可能なようにされ得る。代わりに、そのイメージは、環境条件下で、刺激の適用により、1つの色から他の色へ変えられてもよい。本発明の材料に適した刺激は、例えば、より低い波長への波長転換を引き起こす、電位差、電磁気放射、紫外放射、または、400nm未満の波長の光放射である。セキュリティイメージを含む技術は、多くの工業分野、例えば、包装、IDカード、バイオラベルおよびラベルにおいて有用である。かかる技術は、さらに、セキュリティイメージに加えて、印刷イメージを含んでもよい。環境条件下でユーザーに見えないが、刺激を与えることで見えるようになるセキュリティイメージを含む放送を提供することは有用である。例えば、税関および税務当局が、輸入商品が真正品か偽造品かをチェックしたい場合や、単に放射線手段または放射線要素を、自動的にデータ記録イメージを備えた特定のアイテムと光学情報イメージを見るものではない他のアイテムの間でトレースしたい場合が挙げられる。包装がセキュリティイメージを含む場合、見えるようにされるか、そうでなければ、適切な刺激によって検出できることで、税関および税務当局は、包装が(したがって、その商品が)偽装品でないと決定することができる。同じように、セキュリティイメージが環境下で見えるか、または規定の色であるが、IDカードのユーザーの本人証明のため、IDカードが真正であることを判断するために、可視化または検出可能とされるか、刺激を与えることで色が変化することのできるIDカードを提供することが有益である。例えば、バンクノートの作成において、可能な限り多くのセキュリティ上の特徴を含むことが望ましく、刺激または(見える角度が変化するようなバンクノートの動きを含む)刺激を与えられることによって、色が変化する、または、有色から無色に変化する、またはその逆が可能な多種の化合物を用いた多数のセキュリティイメージを含んでもよい。本発明の利点は、微小孔性材料が、そのようなセキュリティドキュメントまたはバンクノートの作製の間の繊維混合工程に統合される繊維中に統合され得ることである。
【0062】
溶媒キャスティングまたはコーティングは、膜調製工程として使用される。
コーティングの特定の方法は、オリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブの溶液堆積であり、オリゴ原子銀クラスターを含むモレキュラーシーブ、オリゴ原子銀クラスターを含む規則的なメソ多孔および/または微小多孔酸化物、または、基材上のそのような構造(以下、データ記録可能な孔性構造またはDSCPS)内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターのアセンブリを備えた、ナノメータ寸法(たとえば0.3−10nm)の窓、チャネルおよび空洞構造を有する多孔性材料への、スプレーコーティング、ディップキャスティング、ドロップキャスティング、エバポレーティング、グレードキャスティング、または、スピンコーティングを含む(図3)。
【0063】
該分散(ポリマー/データ記録可能な孔性構造、または、塗料/データ記録可能な孔性構造)は、後で除去される自己補強フィルムを形成するための非多孔性補強材上にキャストされることができる。一方向の少量の実現は、溶媒の前にそれを浸漬することによるものであり、分散のための低い親和性を有している。また、補強材は接着増強剤で処理されてもよい。
【0064】
該分散(ポリマー/データ記録可能な孔性構造、または、塗料/データ記録可能な孔性構造)は、布地、紙または板などの繊維状構造物上にキャストされ、または印刷されてもよい。
【0065】
キャスティングまたはコーティングの後に、溶媒は蒸発され、および、必要であれば架橋反応を終結させるために加熱処理が施されてもよい。加熱処理は、可能なら残った溶媒を除去するために真空条件下で行なわれる。結果として生じた補強された膜は、0.01μmから500μm、好ましくは0.1から250μm、さらに好ましくは10から150μmの範囲内の厚さのこの選択的層を有するエラストマーで満たされる。
【0066】
最も重要なエラストマーは、ポリイソプレン(天然または合成ゴム(IR))、ポリクロロプレン(クロロプレンゴム(CR))、ブチルゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エテンプロペンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリロブタジエンスチレン(ABS)、塩化スルホン酸ポリエチレン(CSM)、ポリアクリレート(ポリアクリル酸ゴム)、ポリウレタンエラストマー、ポリジメチルシロキサン(PDMS、しばしばより一般的にはシリコーンゴムと呼ばれる)、フッ化シリコーン、およびポリスルフィドである。
【0067】
ポリスチレンは、部分的に放射線に対して耐性である熱可塑性ポリマーである。
本発明のデータ記録またはデータ画像処理は、使用環境に応じた特定の性質を必要としてもよい。さまざまな代わりのポリマーはデザインの自由性を提供し、複雑な形状をデザインするために、部分をより少ない構成に統合し生産物を単純化するために、透明なおよび予め着色された部品を生産するために、重量を減じるために、オリゴ原子金属クラスターを有する多孔質構造が動くときのノイズを減じるために、上昇した温度での信頼できる機能性を有するために、厳しい気候での化学的耐性を有するために、所望の剛性、強度および強靭性を有するために、経時の加水分解安定性を有するために、所望の外観を有するための電気的特性を有するために当該技術分野の調整プロトコルが利用できる。
【0068】
本発明のデータ記録可能な多孔性構造に組込まれるための適切なポリマーは、たとえば、Spire(商標)族のウルトラポリマー、たとえば1)極めて優れた化学的耐性および機械的機能性を300℃(570°F)まで提供する成形しやすいウルトラポリマーであるKetaSpire(登録商標)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または、AvaSpire(登録商標)(修飾PEEK、PEEK型フォーミュレーション、または、2)PrimoSpire(登録商標)自己補強されたポリフェニレン(SRP)であり、表面硬度、化学耐性および固有の難燃性の優れた組合せを備えた非常に硬く強力な補強されていないポリマーにデザインすることのできるものとして知られている、または、3)EpiSpire(商標)、265℃(510°F)までの温度で優れた耐クリープ性を備えた透明なアモルファスポリマーであることが知られている高温スルフォン(HTS)、または、4)Torlon(登録商標)、優れた化学耐性、クリープ耐性および耐摩耗性と組合された275℃(525°F)までの熱可塑性を備えており高い強度と硬さを備えたポリアミドイミド(PAI)である。本発明のその中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを備えた多孔性構造に組込まれるための適切な他のポリマーは、1)特別な化学耐性、良好な加水分解安定性、および、345°F(374℃)のHDTを備えた頑丈で透明なプラスチックにデザインすることのできることが知られているUdel(登録商標)PSU、2)優れた電気特性を備えた修飾ポリスルフォンであるMindel(登録商標)、3)405°F(207℃)のHDT、優れた化学耐性、および、重大な特性のロスなく蒸気滅菌され得る特徴的な能力を備えた極めて頑丈で透明なプラスチックを供給することが知られているRadel(登録商標)R(PPSU)、または、4)400°F(204℃)の高いHDTと良好な化学耐性を備えた透明なプラスチックを供給することが知られているRadel(登録商標)A(PES)、または、修飾PPSUであるAcudel(登録商標)などのアモルファススルフォンポリマー族である。本発明のその中に閉じ込められたオリゴ原子金属クランプを備えた多孔性構造に組込むために適した他のポリマーは、たとえば、特別な機械的特性、535°F(280℃)のHDT、優れた化学耐性、および低い水分吸収性を備えた高温ナイロンを供給することが知られたポリフタルアミド(PPA)であるAmodel(登録商標)、または、特別な表面形状、低くかつ遅い水分吸収、および優れたフロー特性に未処理の堅固さを組合せた美的、構造的特徴を有するナイロンを供給することが知られているポリアリルアミド(PA MXD6)であるIxef(登録商標)などの、半結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。本発明のその中に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを備えた多孔性構造に組込むための適切な他のポリマーは、良好な温度および化学耐性とともに、固有の難燃性を備えた高流動の構造プラスチックを供給するポリフェニレンスルフィド(PPS)であるPrimef(登録商標)、または、570°F(300℃)のHDTおよび極めて高い化学耐性を備えた高流動、高温プラスチックを供給することが知られた液晶ポリマー(LCP)であるXydar(登録商標)などの半結晶性ポリマーが挙げられる。これらは、ソルベー改良ポリマーのデザインおよび形成誘導処理に利用できる。
【0069】
本発明のその中に閉じ込められた多孔性構造オリゴ原子金属クラスターおよびポリマーに基づくデータ記録媒体の製造の特定の例は、たとえば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、RTV−615AおよびB(密度1.02g/ml)、ならびに、General Electric Corp.(USA)から得られる接着増強剤(SS4155)である。成分Aはビニル基を備えたプレポリマーである。成分Bは、水素基を有しており、架橋材およびEPDM(DSMからのKeltan 578)および使用前に十分に乾燥された。
【0070】
それは、ヘキサン中の本発明のデータ記録可能な多孔質構造体(たとえば、オリゴ原子銀クラスターを含むゼオライト)の粉末を分散させる調整により生産されることができる。その際、本発明のデータ記録可能な多孔質構造体の分散に架橋剤(RTV615B)を加え、両方の層の間の強力な相互作用が達成されるのに十分な時間を得るためにこの混合物を40℃で2時間攪拌する。プレポリマー(RTV615A)を追加し、その混合物をさらに1時間60℃で攪拌してプレポリメライゼーションを誘導する。ペトリ皿に(PDMS/ZSM−5 CBV 3002)を注ぎ、数時間溶媒を蒸発させて、その結果得られたフィルムは100℃で保存された。キャスティング溶液中の固体成分の内容(たとえばPDMSおよび充填材)は、18.5重量%であった。最適なポリマー保存のためのRTV615A/B比は、ゼオライト上の表面シラノール基とのそれらの反応による水素基のロスを補償するためには7であった(通常は望ましい保存のための比として製造者により提案された値は10/1比である)。
【実施例】
【0071】
(実施例1) 準備および方法
当該技術分野の様々な金属イオン交換モレキュラーシーブの製造方法が利用できる。acobsら(Jacobs, P. A. & Uytterhoeven, J. B., 1979, Journal of the Chemical Society-Faraday Transactions I 75, 56-64)によって記載されたような同様の方法が、incorporating 銀イオンをモレキュラーシーブおよび生成銀クラスター内に組み込むために使用された。しかし、多くのパラメータlike ゼオライトの充填比率、交換時間、熱処理の時間、熱処理の初期、勾配および最終の温度、熱処理の間の気体の存在(例えば、真空中、酸素の存在中、酸素および窒素の存在中、水素の存在中、COおよび/またはCO2ガスの存在中)、および、空気中の水分の存在は、最終的に形成されたクラスタータイプ、クラスターの酸化状態、ならびに、形成されたクラスタータイプの分布および多分散性に影響を与える。
【0072】
一般的手順は以下のように行われる:ゼオライト3A(ユニオンカーバイド;500mg)は13±1重量%の硝酸銀(8±1%の銀)を含むMQ水100mLに懸濁された。暗室で2時間かき混ぜられた後、イオン交換(±17%のゼオライトの陽イオン交換能)は停止された。該材料はブフナーフィルタに注がれ、MQ水で広範囲に洗浄された。洗浄液中には塩化物の沈殿が観測されなかったため、この段階的洗浄が定量的銀交換であるとわかった。フィルタの上端に回収された白い粉末は、摂氏450℃で1日加熱された。この加熱処理の後に、白色でときどきわずかに黄色がかった粉体が得られた。その粉体は乾燥環境下の暗室中で保存された。
【0073】
(実施例2) 発光
閉じ込められたモレキュラーシーブ内の金属イオンクラスター、特に銀が電磁気スペクトルのVISおよびNIR部分を通した特徴的および調整可能な発光を有し、一方で、それらは全てLJV領域内で励起しやすいことが実証された。ホストマトリクスのおかげで、閉じ込められた金属クラスターは、お互いに凝集して非発光性のより大きいナノ粒子を形成することが抑えられる。また、それらは、もし、モレキュラーシーブの周りのシリコンを加えることによるコーティングが必要な場合は、外部環境(例えば、酸素)から保護されてもよい。
【0074】
(実施例3) 銀交換ゼオライト結晶内における個々のスポットの光活性化:ゼオライト結晶内部の書き込みパターン
実施例1に記載されるようにして合成される銀交換ゼオライト結晶の内部の選ばれたスポットのピコ秒パルスの375nmレーザー光の放射によって、共焦点顕微鏡装置を用いて、高い発光性の銀クラスターが回折限界領域の内部に形成され、適用された励起源により、これらの選ばれたスポットからの強力に高められた蛍光(最大200回まで)の上昇をもたらす。通常の活性化のための放射パワーは、光活性化のための10〜10000W/cm2である。一方、放射回数は、10000W/cm2の場合の10秒から、10W/cm2の放射の場合の1200秒まで変化する。
【0075】
低パワー(0.1〜10W/cm2)を用いて試料をスキャンすることにより、光活性化領域は、スキャン工程の間、さらなる光活性化なしで、明るい発光によって容易に認識される。
【0076】
(実施例5) 可視発光減の励起および発光の調整可能な色
オリゴ原子クラスターを含むモレキュラーシーブは、紫外光によって励起され、実施例3に記載されるように可視範囲の発光をもたらすことができる。しかし、励起波長の変更もしくは調整により、または、1つまたは複数の線源から生じる複数の励起波長を用いることにより、および、異なる波長間の励起パワーの異なる比率を調整することにより、可視光の色を調整することが可能になる。このように、出力色が末端利用者によって調整できる1つの発光デバイスが得られる。この効果は、異なる発光を異なる紫外線波長に応答させるモレキュラーシーブ内の異なるオリゴ原子クラスターを使用することによって達成することができる。この1つの例が合成され、360nm光での材料の放射は青色の発光を生じ、一方、254nmでの励起は黄色の発光を生じた。同時に254nmおよび360nmの2つの波長で励起した場合、励起パワーを変えることにより、青色と黄色の間の発光色の全ての範囲および全ての可能な太陽の色を生じる。
【0077】
(実施例6) 明るい発光性マーカー
一般に、マイクロメーターまたはサブマイクロメーターの大きさの結晶からなるモレキュラーシーブを含むオリゴ原クラスターは明るい発光性材料であるため、これらの小さな結晶を明るい発光性マーカーとして使用することができる。特に、それらが100nmより小さい場合、それらは蛍光ビーズまたは量子ドットの代替物として使用することができる
(実施例7) 読み込み/書き込み
1. 材料への書き込み方法:
高強度375nmピコ秒パルスのレーザービームは、共焦点顕微鏡を通して、材料(セットアップは、後でより詳細に説明される)上に焦点が合わせられる。低レーザー強度は、大幅に長い放射時間によって補償されてもよい。例えば、0.01kW/cm2では、1200秒の放射時間が必要であり、一方、10kW/cm2を用いた場合、10秒で十分である。
【0078】
2. 材料からの読み込み方法:
結晶の発光を位置づけするために同じレーザー源を備えた同じ顕微鏡が用いられる。しかし、大幅に低い励起パワーが適用される。一般に、試料は、0.1〜10W/cm2の励起パワーを用いてスキャンされる。0.1〜10msの読み出し時間は必要である。
【0079】
(実施例8) 可視発光源の電場および発光による励起
3Aゼオライトは、銀で交換され(10重量%)、そして、熱処理(450℃で24時間)されて、ホストマトリクスにおける部分的縮小、および、小さな銀クラスターの形成をもたらした。ゼオライトに充填されたこれらの銀の0.4mgが、20mg/mLのPVK(ポリ−N−ビニルカルバゾール)塩化ベンゼン溶液1mLに加えられた。この溶液から、フィルムがITOカバーガラス基材上にスピンコートされた。それから、イッテルビウムが、パターンマスクを通してスピンコートフィルム上に第2の電極として蒸着された。その中でITOがアノードとして機能し、イッテルビウムがカソードとして機能する、このデバイス上に電界が適用された後、赤色のエレクトロルミネッセンスが観測された。このエレクトロルミネッセンスの発光スペクトルが図5に示される。所望の放射特性を有するオリゴ金属クラスターの合成は、合成パラメータを変更することにより調整することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
該光学データ記録媒体は、データ記録材料として、固体または柔軟性担体内に埋め込まれたモレキュラーシーブに閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターを含み、
前記金属クラスターが、室温以上で、非可視線または電場に晒された場合、それに反応して可視光を発することを特徴とする、光学データ記録用のデータ記録媒体。
【請求項2】
前記モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターによる紫外または可視光の励起による発光は、紫外または可視光の初期照射により不可逆的に増強される、請求項1に記載の光学データ記録媒体。
【請求項3】
紫外または可視光による第1の書き込み放射または照射に晒される前記モレキュラーシーブユニットは、次の紫外または可視光放射線による読み込み低放射または照射に増強された励起効果をもたらす、前記請求項のいずれかに記載の光学データ記録媒体。
【請求項4】
前記モレキュラーシーブユニットは、レーザービーム、中波紫外(UVC)線放射源、遠紫外(FUV)、真空紫外(VUV)線放射源、極紫外(EUV)または深紫外(XUV)線放射源からの放射による、十分に強い、あるいは長い読み込み照射に曝されるときに、発光を活性化するための十分に強く長い紫外または可視光照射による次の照射における増強された励起効果を生じる、前記請求項のいずれかに記載の光学データ記録媒体。
【請求項5】
前記モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターが、マトリクス全体に広がっている、前記請求項のいずれかに記載の光学データ記録媒体。
【請求項6】
前記モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターが、モレキュラーシーブの単一粒子層を形成する、前記請求項のいずれかに記載の光学データ記録媒体。
【請求項7】
前記モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターが、モレキュラーシーブ粒子の多種粒子層内に構成される、前記請求項のいずれかに記載の光学データ記録媒体。
【請求項8】
前記モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターは、マトリクス全体に3次元的に広げられている、前記請求項のいずれかに記載の光学データ記録媒体。
【請求項9】
前記モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスター単層または複数層は、フィルムで被覆されている、前記請求項のいずれかに記載の光学データ記録媒体。
【請求項10】
レーザービーム、例えばパルス状レーザービームが、視覚化されることができるか、または、紫外または可視光による放射線によって読み込まれることができるパターンを、記録または書き込みすることができる、前記請求項のいずれかに記載の光学データ記録媒体。
【請求項11】
前記アセンブリは、マトリクス内に埋め込まれたモレキュラーシーブに閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターを含む、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項12】
前記マトリクスは、さらに、分散されたオリゴ原子金属クラスターをモレキュラーシーブ内に閉じ込められた状態で固定するためのマトリクスまたは結合剤を含む、請求項5に記載のデータ記録媒体。
【請求項13】
前記アセンブリは、モレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな(small)金および/または銀クラスターの粉体アセンブリである、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項14】
励起源が、レーザーまたは光発光ダイオード放射源である、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項15】
所定の色温度の光を作り出すための、多数のモレキュラーシーブの1つまたは組合せ内に閉じ込められた異なる小さな金および/または銀クラスターのアセンブリからなる、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項16】
小クラスターは1−100原子のクラスタである、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項17】
小クラスターはオリゴ原子クラスターである、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項18】
モレキュラーシーブが微小孔性材料である、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項19】
前記モレキュラーシーブは、ゼオライト、孔性酸化物、ケイ素アルミノリン酸塩およびアルミノケイ酸塩からなる群から選択される微小孔性材料の中から選択される、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項20】
前記モレキュラーシーブは、ゼオライト3A、ゼオライト13X、ゼオライト4Aおよびゼオライト5AおよびZKF、またはそれらの組合せなどのゼオライトA類似材料のうちの小孔ゼオライトから選択されるゼオライトである、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項21】
前記モレキュラーシーブは、モルデナイト、ZSM−5、MCM−22、フェリエ沸石、Faujasite−XおよびYからなる群から選択されるラージポアゼオライトである、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項22】
前記モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブMCM−41、MCM−48、HSM、SBA−15、および、それらの組合せから選択される、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項23】
前記金および/または銀の小クラスターを含む前記モレキュラーシーブの孔が、コーティングマトリクスで被覆されているか、または、ストッパー分子で閉じられている、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項24】
光学データ画像処理または光学データ表示システムでもある、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項25】
前記モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターが、マトリクス内に組み込まれる、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項26】
モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ原子金属クラスターが、重合体、共重合体またはグラフト共重合体マトリクス内に組み込まれる、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項27】
モレキュラーシーブ内に閉じ込められたオリゴ−原子金属クラスターが、繊維内に組み込まれる、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録材料
【請求項28】
前記マトリクスまたは前記繊維が保護フィルムで被覆される、前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体。
【請求項29】
光学データ記録膜もしくは光学データ記録フィルムを形成するため、または、データ記録可能な層の表面を被覆するために、その中に閉じ込められたオリゴ原子銀クラスターを有するモレキュラーシーブを含む塗料、ゲル化液またはエラストマー。
【請求項30】
光学データ記録層に堆積、噴霧、印刷もしくは塗布するため、または、基材上を被覆するために、その中に閉じ込められたオリゴ原子銀クラスターを有するモレキュラーシーブを含む印刷液またはインク。
【請求項31】
前記請求項のいずれかに記載のデータ記録媒体上のパターン内に光学データを書き込む方法であって、
モレキュラーシーブ粒子に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターの少なくとも1つのアセンブリを有する、材料の局所領域部を、そのような放射線を吸収するアセンブリに光量子を放出させるのに十分な放射線パワーにおいて、放射線に晒す工程、および、
それらへの再放射により、または、光学データを保存するモレキュラーシーブ内に閉じ込められた小さな金および/または銀クラスターのアセンブリを読み込むだけのために十分な低い放射線パワーを備えた材料の大部分によって、そのような保存された光学データを視覚化する工程を含む方法。
【請求項32】
前記局所領域の放射線が、中波紫外(UVC)線放射源からのものである 、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記局所領域の放射線が、遠紫外(FUV)または真空紫外(VUV)線放射源からのものである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記局所領域の放射線が、極紫外(EUV)または深紫外(XUV)線放射源からのものである、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−532906(P2010−532906A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515325(P2010−515325)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/BE2008/000052
【国際公開番号】WO2009/006709
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510008846)カトリーケ・ユニフェルジテイト・ルーベン (3)
【氏名又は名称原語表記】KATHOLIEKE UNIVERSITEIT LEUVEN
【Fターム(参考)】