説明

データ転送システム、方法及びプログラム、並びに、ネットワーク機器

【課題】実際の運用データを用いた業務プログラムや、実際のトランザクション負荷を試験することができ、業務プログラムの保守、開発の質を向上させることができるようにする。
【解決手段】本発明のデータ転送システムは、ネットワーク機器におけるデータ転送システムにおいて、入力パケットのヘッダ情報に基づいて、パケットデータをコピーして、コピーしたパケットデータを特定物理ポートから出力させるミラーポート処理手段と、ミラーポート処理手段によりコピーされたパケットのヘッダ情報を、所定の変換テーブルを用いて、特定物理ポートに接続する接続先装置のアドレス情報に変換するアドレス変換手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ転送システム、方法及びプログラム、並びに、ネットワーク機器に関し、例えば、運用系システム宛の運用データを、開発系システムにも転送するシステム、方法及びプログラム、並びに、ネットワーク機器に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、運用系システムにおける業務プログラムの保守や開発を行なうために、運用系システムとは別に開発系システムを備え、開発系システムにおいて、業務プログラムの正常性を試験することが行なわれている。
【0003】
従来、運用系システムと開発系システムとの間でデータを転送する方法としては、いわゆるパラレルランという機能が使用されている。
【0004】
図2は、例えば鉄鋼システムで使用されるパラレルラン機能を説明する説明図である。図2では、操業サーバとしては、実際の業務処理を行なう運用系501と、システム(業務プログラム)の保守や開発を行なう開発系601とが、デュプレックスシステムで構築されている。
【0005】
図2において、運用系501は、ホストコンピュータ901から、例えば鉄やステンレス等を生成するための作業計画等を受信し、各プロセスを制御するプロセスコントローラ801やCRT端末701に対して、作業指示や作業実績等の情報の授受を行なう。
【0006】
運用系501及び開発系601は、通信や作業処理を管理するパッケージを業務毎やシステム毎に有している。図2では、CRTパッケージ511及び611、プロコンパッケージ512及び612、ホストパッケージ513及び613が、これに相当する。
【0007】
そして、パラレルラン機能を実現するには、各パッケージにパラレルラン機能を搭載する必要がある。これにより、業務毎又はシステム毎のデータを、運用系から開発系に転送することができる。
【0008】
例えば、プロセスコントローラ801からの伝文が運用系501のプロコンパッケージ512に与えられると、その伝文は、パラレルラン機能により、開発系601のプロコンパッケージ612にSocket転送される。これにより、開発系601において、業務プログラム610を起動させて開発をすることができる。
【0009】
なお、パラレルラン機能を実施する前は、開発系に、テスト用のCRT端末やプロセスコントローラを別途備える必要があった。そして、擬似的なデータを開発系に受け渡し、業務プログラムの開発を行なっていた。これに対して、パラレルラン機能を用いることにより、開発系での試験の際、運用データとトランザクションでテストができるため、実際の運用に即した試験が可能で、システム全体のシステム評価が容易となる。
【0010】
また、従来、データフローの解析処理の際に、ネットワークスイッチに入力されたデータをコピーし、アナライザポートを介して、アナライザに転送するミラーポート機能という技術がある(特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特表2003−525000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、業務プログラムの保守、開発の質を向上させるために、テストデータではなく、運用系システムにおいて実際に運用されるデータを用いて試験することが望まれる。
【0013】
しかしながら、上述したように、運用系システムと開発系システムとの間のデータ転送の方法に、パラレルラン機能を使用する場合、運用系及び開発系システムが有する各パッケージに、パラレルラン機能を搭載する必要があるから、その負担が多大となる。
【0014】
また、上記のようにミラーポート機能という技術もあるが、この技術は、フレーム数やフレーム種類等を分析するネットワーク分析用に用いられるものであるから、監視ポート宛のフレームをそのままアナライズ機器に転送することが要求されるものである。従って、このミラーポート機能を、業務処理を行なうサーバへのデータ転送にそのまま適用することができない。
【0015】
そのため、実際の運用データを用いた業務プログラムや、実際のトランザクション負荷を試験することができ、業務プログラムの保守、開発の質を向上させることができる、データ転送システム、方法及びプログラム、並びに、ネットワーク機器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる課題を解決するために、第1の本発明のデータ転送システムは、ネットワーク機器におけるデータ転送システムにおいて、(1)入力パケットのヘッダ情報に基づいて、パケットデータをコピーして、コピーしたパケットデータを特定物理ポートから出力させるミラーポート処理手段と、(2)ミラーポート処理手段によりコピーされたパケットのヘッダ情報を、所定の変換テーブルを用いて、特定物理ポートに接続する接続先装置のアドレス情報に変換するアドレス変換手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
第2の本発明のデータ転送方法は、ネットワーク機器におけるデータ転送方法において、(1)ミラーポート処理手段が、入力パケットのヘッダ情報に基づいて、パケットデータをコピーして、コピーしたパケットデータを特定物理ポートから出力させるミラーポート処理工程と、(2)アドレス変換手段が、ミラーポート処理手段によりコピーされたパケットのヘッダ情報を、所定の変換テーブルを用いて、特定物理ポートに接続する接続先装置のアドレス情報に変換するアドレス変換工程とを有することを特徴とする。
【0018】
第3の本発明のデータ転送プログラムは、ネットワーク機器におけるデータ転送プログラムにおいて、コンピュータに、(1)入力パケットのヘッダ情報に基づいて、パケットデータをコピーして、コピーしたパケットデータを特定物理ポートから出力させるミラーポート処理手段、(2)ミラーポート処理手段によりコピーされたパケットのヘッダ情報を、所定の変換テーブルを用いて、特定物理ポートに接続する接続先装置のアドレス情報に変換するアドレス変換手段として機能させるものである。
【0019】
第4の本発明のネットワーク機器は、第1サーバ宛の送信パケットを、第2サーバに向けて転送するネットワーク機器において、第1の本発明のデータ転送システムを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、実際の運用データを用いて業務プログラムや、実際のトランザクション負荷を試験することができ、業務プログラムの品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(A)第1の実施形態
以下、本発明のデータ転送システム、方法及びプログラム、並びに、ネットワーク機器の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態のシステムの概略的な構成を示す全体構成図である。図1に示すように、第1の実施形態のシステムは、ネットワークに接続可能な、運用系サーバ501と、開発系サーバ601と、ネットワークスイッチ100と、CRT端末701、プロセスコントローラ801、ホストコンピュータ901、を少なくとも有して構成される。
【0023】
なお、図1におけるネットワークとしては、IP(インターネットプロトコル)を通信プロトコルとする通信網を例に挙げて説明するが、ネットワークの通信プロトコルは、特に限定されるものではなく、広く適用することができる。
【0024】
ホストコンピュータ901は、当該システムを管理コンピュータである。ホストコンピュータ901は、当該システムの実行の際、実現する業務の作業計画情報を運用系サーバ501に与えるものである。これにより、運用系サーバ501は、この作業計画情報に基づいて業務処理を実行することができる。なお、作業計画情報を運用系サーバ501に与えた作業計画情報は、ネットワークスイッチ100を介して、開発系サーバ601にも与えられる。
【0025】
プロセスコントローラ801は、運用系サーバ501との間で、作業計画情報に従った各業務工程情報を授受し、この業務工程情報に基づいて各業務工程の処理を制御するものである。例えば、鉄鋼システムの場合、鉄やステンレス等を生成するために、多数の作業工程がある。この場合、プロセスコントローラ801は、運用系サーバ501からの業務工程情報に基づいて、それぞれの作業工程を実現させるものである。なお、プロセスコントローラ801は、複数台備えることとしてもよい。
【0026】
業務端末701は、作業者などが取り扱う端末であり、運用サーバ501から受信した作業指示や作業実績等を表示するものである。業務端末701としては、例えばCRT端末等を適用できるが、特に限定されるものではない。
【0027】
運用系サーバ501は、実際に業務処理を実行するサーバであり、開発系サーバ601は、システムの保守や開発を行なうサーバである。なお、運用系サーバ501と、ホストコンピュータ901、プロセスコントローラ801及び業務端末701との間は、サーバ−クライアント構成である。
【0028】
運用系サーバ501及び開発系サーバ601は、基本的には同じ内部構成を備えるものであり、図1に示すように、業務プログラム510及び610、CRT処理部511及び611、プロコン処理部512及び612、ホスト処理部513及び613、トランザクション処理部515及び615、TCP/IP部516及び616、を少なくとも有する。
【0029】
TCP/IP部516及び616は、ネットワークスイッチ100との間で所定の通信処理を行なうものである。
【0030】
業務プログラム510及び610は、当該システムの業務を実現するための処理プログラムである。
【0031】
CRT処理部511及び611、トランザクション処理部515及び615、プロコン処理部512及び612、並びに、ホスト処理部513及び613は、業務端末701、プロセスコントローラ801、並びに、ホストコンピュータ901との間の情報通信処理や業務プログラム管理を行なうものである。
【0032】
ネットワークスイッチ100は、運用系サーバ501及び開発系サーバ601と、ホストコンピュータ901、プロセスコントローラ801及び業務端末701との間で情報を中継するものである。例えば、OSI基本モデルのレイヤ2、レイヤ3対応のスイッチを想定するが、レイヤ7スイッチを適用するようにしてもよい。
【0033】
ネットワークスイッチ100は、ホストコンピュータ901、プロセスコントローラ801及び業務端末701から、運用系サーバ501宛のパケットが入力されると、そのパケットのデータと同じ内容のデータのパケットを、開発系サーバ601にも転送するものである。
【0034】
これにより、運用系サーバ501に与えられる実データを開発系サーバ601にも与えることができるので、開発系サーバ601における、実データを用いた業務プログラムの保守、リプレースや、実トランザクション負荷でのシステム負荷を評価できる。
【0035】
なお、ネットワークスイッチ100のハードウェア構成については説明を省略するが、一般的なネットワークスイッチと同様に、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を有して構成されており、CPUが、所定の処理プログラムを実行することにより、処理プログラムに係る機能を実現することができる。
【0036】
図3は、ネットワークスイッチ100の内部構成を示す内部構成図である。図3に示すように、第1の実施形態のネットワークスイッチ100は、ポート1、ポート2、ポート3、アドレス検索部101、ミラーポート機能部102、アドレス変換機能部103、を少なくとも有する。
【0037】
ポート1は、運用系サーバ501と接続する物理ポートである。ポート2は、開発系サーバ601と接続する物理ポートであり、ポート1に対するミラーポートである。これにより、ポート1から出力されるパケットはポート2からも出力される。ポート3は、ホストコンピュータ901、プロセスコントローラ801、業務端末701等と接続する物理ポートである。なお、説明便宜上、1個のポート1〜3を備える場合を示すが、それぞれのポート1〜3は複数個備えるようにしてもよい。
【0038】
アドレス検索部101は、入力されたパケットのヘッダ情報を判断し、当該入力パケットの宛先に対応する物理ポートを検索するものである。アドレス検索部101は、例えば、MACアドレスと、当該MACアドレスを持つ装置と接続する物理ポートとを対応付けたMAC−ポート対応テーブル101aを有している。
【0039】
図4は、MAC−ポート対応テーブル101aの構成例を説明する説明図である。図4に示すように、MAC−ポート対応テーブル101aの項目としては、「MACアドレス」、「物理ポート」、「制御情報」等を有して構成される。
【0040】
「MACアドレス」は宛先のMACアドレスを示し、「物理ポート」は当該MACアドレスを有する装置と接続する物理ポート番号を示す。また、「制御情報」としては、当該物理ポートから出力されるパケットに対しては、ミラーポート機能を実行させる等の情報が記載される。図4では、ミラーポート機能を実行させて、ミラーポート2に出力すべき旨を示す「ミラーポート2」が記載されている。なお、ここではポートに直接サーバが接続されていることを前提として、MACアドレスにて宛先を区別するものとして説明するが、宛先のサーバを区別する情報であればよいので、IPアドレスを使用することにしても構わない。
【0041】
ミラーポート機能部101は、アドレス検索部101によるアドレス検索結果により、ミラーポート機能の実行が必要とする場合、入力パケットをコピーし、コピーしたパケットをミラーポートに与えるものである。これにより、運用系サーバ501宛のパケットをコピーすることができる。
【0042】
アドレス変換機能部103は、ミラーポート機能部101によりコピーされたパケットについて、開発系サーバ601宛とするためのアドレス変換を行なうものである。つまり、アドレス変換機能部103は、アドレス変換用テーブル103aを備えており、このアドレス変換用テーブル103aを参照しながら、コピーされたパケットの宛先情報を変換するものである。
【0043】
図5は、アドレス変換用テーブル103aの構成例を説明する説明図である。図5に示すように、アドレス変換用テーブル103aの項目としては、変換前の「IPアドレス」及び「ポート番号」と、変換後の「IPアドレス」及び「ポート番号」とを有して構成される。なお、「IPアドレス」は、運用系サーバ501又は開発系サーバ601のIPアドレスを示す。「ポート番号」は、業務プログラムに割り当てられた番号である。
【0044】
これにより、コピーされたパケットの宛先情報を、開発系サーバ601宛のアドレスに変換することができるので、開発系サーバ601に受信させ、業務プログラムの処理を実行させることができる。
【0045】
(A−2)第1の実施形態の動作
続いて、第1の実施形態の運用データ転送処理の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0046】
以下では、プロセスコントローラ801から運用系サーバ501宛のパケットを、開発系サーバ601に転送する場合を例に挙げて説明する。
【0047】
なお、ホストコンピュータ901又は業務端末701からの運用系サーバ501宛にパケットを送信した場合も同様の処理がなされる。
【0048】
図6は、プロセスコントローラ801から運用系サーバ501宛のパケットを転送する場合の処理を説明する説明図である。
【0049】
まず、プロセスコントローラ801は、運用系サーバ501に向けて、送信データを送信する(ステップS1)。
【0050】
このとき、送信データの構成は、「宛先MAC;ネットワークスイッチ100・ポート3(bb-bb)」、「送信元MAC;プロセスコントローラ(aa-aa)」、「宛先IP;運用系サーバ(192.168.1.1)」、「送信元IP;プロセスコントローラ(192.168.2.1)」、「宛先ポート;100」、「送信元ポート;1234」、「データ;ABCD」とする。
【0051】
プロセスコントローラ801から出力された送信データが、ネットワークスイッチ100に与えられると、ネットワークスイッチ100において、送信データの転送処理が行なわれる(ステップS2)。なお、このときMACアドレスは経由する機器のポートのMACアドレスや転送先のMACアドレスに適宜書き換えられるが、通常の構成であるので説明は省略する。
【0052】
まず、ネットワークスイッチ100では、アドレス検索機能部101により、送信データのアドレス検索が行なわれる。つまり、アドレス検索機能部101により、送信データのヘッダ情報が抽出され、送信先のIPアドレスに基づき送信先のMACアドレスが決定され、MAC−ポート対応テーブル101aを参照して、当該送信データの「宛先MAC」に基づいて、宛先装置と接続する物理ポートが特定される。
【0053】
図6の場合、「宛先MAC;運用系サーバ(xx-xx)」となり、物理ポートのポート1が特定される。このとき、ミラーポート2に対するミラーポート機能を実行させる旨が制御情報に記載されている。
【0054】
そこで、ミラーポート機能部102は、送信データをコピーし、このコピーした送信データをミラーポート2から出力させるようにする。
【0055】
また、このとき、アドレス変換機能部103は、ミラーポート機能部102によりコピーされた送信データのアドレス情報の変換処理を行なう。つまり、アドレス変換機能部103により、送信データのヘッダ情報が抽出され、アドレス変換用テーブル103aを参照して、送信データの「宛先IP」及び「宛先ポート」を、対応する「宛先IP」及び「宛先ポート」に変換する。
【0056】
さらに、開発系サーバ601のMACアドレスは、例えばARPテーブルを用いることで、開発系サーバ601のIPアドレスから割り出すことができる。
【0057】
なお、ネットワークスイッチ100では、ミラーポート機能を備えるものがある。そこで、そのミラーポート機能を利用することができるが、単にミラーポート機能を設定した場合、運用系サーバ501宛の送信データをポート2に与えることができるが、送信データのアドレス情報が運用系サーバ501宛であるため、そのままでは開発系サーバ601にデータ転送することはできない。
【0058】
そこで、第1の実施形態では、ネットワークスイッチ100上で、ポート1から出力される送信データの「宛先IP」を運用系サーバ501から開発系サーバ601にアドレス変換するものとする。これにより、変更後の送信データをポート2から転送することにより、あたかも運用系クライアン端末(この場合、プロセスコントローラ801)から開発系サーバ601に送信データが送信されたものと扱うことができる。
【0059】
以上より、ネットワークスイッチ100においてデータ転送処理が行なわれることで、プロセスコントローラ801からの送信データが、ポート1を介して、運用系サーバ501に与えられると共に(ステップS3)、ポートミラーによりコピーされた送信データが、ポート2を介して、開発系サーバ601に与えられる(ステップS4)。
【0060】
すなわち、運用系サーバ501に送信される送信データの構成は、「宛先MAC;運用系サーバ(xx-xx)」、「送信元MAC;プロセスコントローラ(zz-zz)」、「宛先IP;運用系サーバ(192.168.1.1)」、「送信元IP;プロセスコントローラ(192.168.2.1)」、「宛先ポート;100」、「送信元ポート;1234」、「データ;ABCD」である。
【0061】
また、開発系サーバ601に送信される送信データの構成は、「宛先MAC;開発系サーバ(yy-yy)」、「送信元MAC;プロセスコントローラ(vv-vv)」、「宛先IP;開発系サーバ(192.168.9.9)」、「送信元IP;プロセスコントローラ(192.168.2.1)」、「宛先ポート;101」、「送信元ポート;1234」、「データ;ABCD」となる。
【0062】
運用系サーバ501及び開発系サーバ601のそれぞれに送信データが与えられると、運用系サーバ501及び開発系サーバ601では、プロコン処理部512及び612により、対応する業務プログラムが起動されて、所定の業務処理がなされる。この点については、従来と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0063】
次に、運用系サーバ501及び開発系サーバ601において、業務処理が実行されると、その業務処理の結果が、運用系サーバ501及び開発系サーバ601からプロセスコントローラ801に向けて送信される(ステップS5及びS6)。
【0064】
このとき、運用系サーバ501からの業務処理結果(パケット)は、ネットワークスイッチ100のポート1から入力し、アドレス検索機能部101により、通常通り、アドレス検索処理が行なわれて、プロセスコントローラ801に与えられる(ステップS5、ステップS8)。
【0065】
これに対して、開発系サーバ601からの業務処理結果(パケット)は、ネットワークスイッチ100のポート2から入力すると、ポート2において破棄される(ステップS6、S7)。これは、ネットワークスイッチ100のミラーポート2は、開発系サーバ601からの入力データを全て破棄するものとする。これにより、開発系サーバ601が送信したデータを、プロセスコントローラ801側に与えずに済む。
【0066】
なお、開発系サーバ601からの入力データを選択的に破棄することもできる。この場合、破棄対象情報をネットワークスイッチ100にて記憶しておき、開発系サーバ601からのパケットの宛先が、破棄対象であれば破棄するようにする。破棄対象は、例えばプロセスコントローラ801、ホストコンピュータ901、業務端末701等のIPアドレスを開発系サーバ601のIPアドレスと関連づけて登録する。そのようにすれば、開発系サーバ601からのパケットのうち破棄対象のみ破棄し、必要な外部へのアクセス(例えば外部サーバのデータベースを参照するためのパケット等)は通すことができるようになるので、より柔軟な試験環境が構築できる。
【0067】
(A−1)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態では、ミラーポート機能とアドレス変換機能とを備えることにより、運用系サーバ501に与えられる全ての運用データを、開発系サーバに与えることができるので、実データ用いて、負荷試験や本番業務処理のシステム又はプログラムテストを行なうことができる。その結果、開発システムの品質を向上させることができる。
【0068】
(B)他の実施形態
第1の実施形態において、ネットワークスイッチとしては、例えば、スイッチングハブ(SW−HUB)、ルータ等のネットワーク機器を適用することができる。また、レイヤ7スイッチ等を適用することができる。
【0069】
第1の実施形態では、運用系サーバ、開発系サーバが1台ずつの場合を説明したが、それぞれ複数台の場合でも適用できる。
【0070】
ネットワークスイッチにおける動作は、上述したように、ソフトウェア処理により実現される場合を説明したが、可能であれば、ハードウェア構成で実現できるようにしてもよい。
【0071】
第1の実施形態では、例えば、鉄鋼システム等の業務システムを例に挙げて説明したが、ある第1のサーバと、この第1のサーバと並行して動作させる第2のサーバとを設けて、所定処理を実行させるようなシステムにも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施形態のシステムの全体構成を示す構成図である。
【図2】従来のパラレルラン機能を説明する説明図である。
【図3】第1の実施形態のネットワークスイッチの内部構成を示す内部構成図である。
【図4】第1の実施形態のMAC−ポート対応テーブルの構成例を説明する説明図である。
【図5】第1の実施形態のアドレス変換テーブルの構成例を説明する説明図である。
【図6】第1の実施形態のデータ転送処理の動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0073】
100…ネットワークスイッチ、101…アドレス検索機能部、102…ミラーポート機能部、103…アドレス変換機能部、103…アドレス変換用テーブル、1〜3…ポート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク機器におけるデータ転送システムにおいて、
入力パケットのヘッダ情報に基づいて、パケットデータをコピーして、コピーしたパケットデータを特定物理ポートから出力させるミラーポート処理手段と、
上記ミラーポート処理手段によりコピーされたパケットのヘッダ情報を、所定の変換テーブルを用いて、上記特定物理ポートに接続する接続先装置のアドレス情報に変換するアドレス変換手段と
を備えることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項2】
上記アドレス情報変換手段が変換するアドレス情報は、少なくともIPアドレス情報及びMACアドレス情報であることを特徴とする請求項1に記載のデータ転送システム。
【請求項3】
ネットワーク機器におけるデータ転送方法において、
ミラーポート処理手段が、入力パケットのヘッダ情報に基づいて、パケットデータをコピーして、コピーしたパケットデータを特定物理ポートから出力させるミラーポート処理工程と、
アドレス変換手段が、上記ミラーポート処理手段によりコピーされたパケットのヘッダ情報を、所定の変換テーブルを用いて、上記特定物理ポートに接続する接続先装置のアドレス情報に変換するアドレス変換工程と
を有することを特徴とするデータ転送方法。
【請求項4】
ネットワーク機器におけるデータ転送プログラムにおいて、
コンピュータに、
入力パケットのヘッダ情報に基づいて、パケットデータをコピーして、コピーしたパケットデータを特定物理ポートから出力させるミラーポート処理手段、
上記ミラーポート処理手段によりコピーされたパケットのヘッダ情報を、所定の変換テーブルを用いて、上記特定物理ポートに接続する接続先装置のアドレス情報に変換するアドレス変換手段
として機能させるデータ転送プログラム。
【請求項5】
第1サーバ宛の送信パケットを、第2サーバに向けて転送するネットワーク機器において、請求項1又は2に記載のデータ転送システムを備えることを特徴とするネットワーク機器。
【請求項6】
上記第1サーバ宛の送信パケットを上記第2サーバに向けて転送後、上記第2サーバから送信されてきたパケットを破棄する破棄手段を備えることを特徴とするネットワーク機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−10454(P2009−10454A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167245(P2007−167245)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)沖ソフトウェア株式会社 (173)
【Fターム(参考)】