説明

データ送信装置及びデータ受信装置

【課題】 従来は外部装置からの書込みデータを映像信号受信装置がデータ通信線を介して受信し、内部のCPUによりフラッシュメモリに書き込むようにしているため、データ容量が大きく、装置間のデータ通信伝送速度が低い場合などは書込みに長時間を要する。
【解決手段】 データ加工及び映像信号生成部12は、G信号の有効映像信号区間にフラッシュ書込みデータ保持部11から読み出したフラッシュメモリ書込みデータを時系列に合成して配置し、このG信号をB信号及びR信号と共に静止画信号として映像信号出力部13及び信号線31を介して映像信号処理装置20へ送信する。映像信号処理ブロック23は受信した静止画信号を一旦、映像用フレームメモリ25に格納する。その後、CPU24が映像信号処理ブロック23を介して映像用フレームメモリ25からG信号を読み出して、フラッシュメモリ書込みデータを分離抽出してフラッシュメモリ26に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ送信装置及びデータ受信装置に係り、特にテレビ受像機等の映像信号受信装置内のフラッシュメモリに対する書込み用データを送信するデータ送信装置、及び映像信号受信装置内で上記の書き込み用データを受信するデータ受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機等の映像信号受信装置では、内部に実装された中央処理装置(CPU)が受信装置全体を統括的に制御するのが一般的である。そのCPUのプログラムは、機能仕様の変更などにより製品出荷後のサービス現場や出荷直前の製造現場などで変更可能なように、映像信号受信装置の内部に組み込まれた基板上に実装されているフラッシュメモリに外部からプログラム用データを書き込むことで、メモリを交換することなくプログラム変換可能とされている。そのため、従来は、映像信号受信装置内部のフラッシュメモリに、映像信号受信装置に専用コネクタを設けることなく、外部装置からプログラム用データを書き込むデータ送信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は従来のデータ送信装置及びデータ受信装置の一例のブロック図を示す。同図において、データ送信装置である外部装置40は、データ受信装置である映像信号受信装置50内のフラッシュメモリ56にCPU55のプログラム用データを書き込むための装置で、フラッシュ書込みデータ保持部41に保持しているフラッシュ書込みデータを、通信制御部42を介して通信用トランシーバ部43からデータ通信線61へ出力する。
【0004】
映像信号受信装置50は、データ通信線61を介して通信用トランシーバ部53に供給されたフラッシュ書込みデータをCPU55を介してフラッシュメモリ56に書き込む。また、映像信号受信装置50は、入力された映像信号に対して映像信号前処理部51で所定の前処理を行い、前処理後の映像信号を映像信号処理ブロック52にて、映像用フレームメモリ54を用いて所定の信号処理を行う。
【0005】
【特許文献1】特開平11−24915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7に示した従来のデータ送信装置及びデータ送受信装置では、データ送信装置である外部装置40からデータ通信線61を介してフラッシュ書込みデータをデータ受信装置である映像信号受信装置50へ送信し、映像信号受信装置50内でCPU55がフラッシュメモリ56に受信したフラッシュ書込みデータを書き込むようにしているため、外部装置40と映像信号受信装置50内のCPU55との間のデータ通信伝送速度により書込み時間が左右され、データ容量が大きく、装置間のデータ通信伝送速度が低い場合などは書込み時間が長くなるという問題があった。
【0007】
例えば、外部装置40としてPC(パーソナルコンピュータ)を用い、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)方式でRS−232Cケーブルを介して映像信号受信装置50内部のCPU55と接続する場合、一般的なUARTチップ16550A仕様に従った通信速度上限は115.2kbpsとなる。しかし、通信速度と通信エラーのトレードオフの関係から、上限通信速度より低い速度で使っているのが実状である。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、通信伝送時間を大幅に短縮できるデータ送信装置及びデータ受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明のデータ送信装置は、記憶手段を内蔵した制御プログラムデータに基づき映像信号処理を行うデータ受信装置に対して、記憶手段に格納すべき制御プログラムデータを送信するデータ送信装置において、制御プログラムデータを映像信号の有効映像信号区間に配置したデータ書込み用映像信号を生成する信号生成手段と、データ書込み用映像信号をデータ受信装置へ送信する送信手段と、データ受信装置との間で双方向の通信を行うと共に、送信手段の制御を行う通信手段とを有し、通信手段は、データ受信装置に対してデータ書込み用映像信号の送信開始を通知した後、データ受信装置から送信開始応答を受信したときは、送信手段を用いてデータ書込み用映像信号のデータ受信装置への送信を開始し、データ書込み用映像信号の送信が終了したときは、データ受信装置に対してデータ書込み用映像信号の送信終了を通知することで、データ受信装置において受信したデータ書込み用映像信号から制御プログラムデータを分離抽出させて記憶手段に格納させる通信手段であることを特徴とする。
【0010】
この発明では、受信側のデータ受信装置内の記憶手段が格納すべき制御プログラムデータを、映像信号の有効映像信号区間に配置して生成したデータ書込み用映像信号を、データ受信装置へ送信するようにしたため、制御プログラムデータを映像信号の伝送速度で伝送できる。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明のデータ受信装置は、内蔵の記憶手段に書込まれた制御プログラムデータに基づき映像信号処理を行うデータ受信装置において、データ送信装置が送信した、制御プログラムデータが映像信号の有効映像信号区間に配置されたデータ書込み用映像信号を受信する映像信号受信手段と、映像信号を格納する映像用メモリと、映像信号受信手段が受信したデータ書込み用映像信号を映像用メモリに格納し、映像用メモリに格納されたデータ書込み用映像信号を読み出すメモリ読み書き手段と、メモリ読み書き手段を制御して映像用メモリに格納されたデータ書込み用映像信号を読み出し、そのデータ書込み用映像信号の有効映像信号区間から制御プログラムデータを分離抽出して記憶手段に格納する制御手段と、データ送信装置との間で双方向の通信を行うと共に、映像信号受信手段及び制御手段の制御を行う通信手段とを有し、通信手段は、データ送信装置が送信したデータ書込み用映像信号の送信開始通知を受信した後、データ送信装置に送信開始応答を通知し、その後映像信号受信手段を用いてデータ書込み用映像信号を受信して、その受信したデータ書込み用映像信号を、制御手段によりメモリ読み書き手段を制御させて映像用メモリに格納し、データ送信装置が送信したデータ書込み用映像信号の送信終了通知を受信したときは、制御手段によりメモリ読み書き手段を制御させて映像用メモリに格納されたデータ書込み用映像信号を読み出し、そのデータ書込み用映像信号の有効映像信号区間から制御プログラムデータを分離抽出して記憶手段に格納する通信手段であることを特徴とする。
【0012】
この発明では、記憶手段が格納すべき制御プログラムデータを映像信号の有効映像信号区間に配置して生成されたデータ書込み用映像信号を受信して一旦映像用メモリに格納した後、制御手段からメモリ読み書き手段を制御して読み出し、そのデータ書込み用映像信号の有効映像信号区間から制御プログラムデータを分離抽出して記憶手段に書き込むようにしたため、制御プログラムデータを映像信号の伝送速度で受信した後、映像用メモリに対してはメモリ読み書き手段のバスアクセススピード及び制御手段の外部バスアクセススピードでデータ転送して記憶手段に格納できる。
【0013】
すなわち、本発明では、記憶手段へ書込みを行う制御プログラムデータを映像信号時系列データと見立てて生成したデータ書込み用映像信号を出力するデータ送信装置と、映像用メモリとその保持データをメモリ読み書き手段を介して読み出すことが可能な中央処理装置による制御手段を有するという特徴を持つデータ受信装置とを組み合わせることで、データ送信装置からデータ受信装置へ転送する制御プログラムデータは、最大でデータ受信装置の入力に対応する静止画サイズのデータ容量単位に転送でき、かつ、制御手段はメモリ読み書き手段のバス、及び制御手段の外部バスのアクセススピードで映像用メモリから書込みデータを取り出せる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受信側のデータ受信装置内の記憶手段が格納すべき制御プログラムデータを、有効映像信号区間に配置したデータ書込み用映像信号を生成して送信することにより、制御プログラムデータを映像信号の伝送速度で伝送するようにしたため、データ通信線で制御プログラムデータを伝送していた従来装置に比べて大容量の制御プログラムデータを短時間で伝送することができる。
【0015】
また、本発明によれば、記憶手段が格納すべき制御プログラムデータが映像信号の有効映像信号区間に配置されたデータ書込み用映像信号を受信して一旦映像用メモリに格納した後、読み出し、そのデータ書込み用映像信号の有効映像信号区間から制御プログラムデータを分離抽出して記憶手段に書き込むことにより、制御プログラムデータを映像信号の伝送速度で受信した後、映像用メモリに対してはメモリ読み書き手段のバス、及び制御手段の外部バスアクセススピードでデータ転送して記憶手段に格納するため、高速に制御プログラムデータの転送を行うことができ、これより、メモリ書込みを伴う製造工程やサービス現場における作業効率の向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明になるデータ送信装置とデータ受信装置の一実施の形態のブロック図を示す。データ送信装置の一実施の形態である外部装置10は、後述するフラッシュメモリ26に書込むための書込みデータ(これは、後述するCPU24のプログラム用データである)を保持するデータ保持部11と、データ加工及び映像信号生成部12と、映像信号を出力する映像信号出力部13と、通信制御部14と、後述する映像信号受信装置20に接続された通信用トランシーバ部15とから構成されている。
【0017】
データ加工及び映像信号生成部12は、フラッシュ書込みデータ保持部11からの書込みデータを静止画の時系列画素データに置き換え、かつ、指定の画像サイズに並び替えて静止画データをCPU24の制御プログラムデータの書込み用映像信号として生成する。映像信号出力部13は、データ加工及び映像信号生成部12が生成した静止画データを外部へ出力する。また、通信制御部14は、外部装置10と映像信号受信装置20間でフラッシュメモリ書込みデータから生成した静止画のサイズや出力タイミング等の情報をやり取りする。
【0018】
データ加工及び映像信号生成部12の出力静止画データはディジタル信号とし、その信号フォーマットはR(赤)信号、G(緑)信号、B(青)信号からなる三原色信号、又は輝度(Y)信号、2種類の色差信号Pb、Prからなる信号と、水平・垂直同期信号及びピクセルクロックとする。後述する映像信号出力部13が有するトランスミッタの入力信号仕様でディジタル映像信号の有効映像領域を表すイネーブル信号が必要な場合は、データ加工及び映像信号生成部12において、イネーブル信号を生成及び出力するものとする。
【0019】
映像信号出力部13には映像信号用ディジタルインタフェース伝送方式のトランスミッタを有するものとし、例えばDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)、SDI(Serial Digital Interface)等が挙げられる。これらの伝送方式は、トランスミッタと対となるレシーバを用いれば、トランスミッタへの入力信号と等価な信号がレシーバ出力信号として現れることを保証する。映像信号出力部13はデータ加工及び映像信号生成部12からの出力信号を入力信号とし、採用するディジタルインタフェース伝送方式の専用フォーマットへ変換して出力する。
【0020】
一方、本発明のデータ受信装置の一実施の形態としての映像信号受信装置20は、外部装置10の映像信号出力部13が有するトランスミッタと対となるレシーバを内部に有し、外部からの映像信号を受信して装置内部のディジタル信号フォーマットに加工処理して出力する映像信号前処理部21と、外部装置10と通信を行うための通信用トランシーバ部22と、ディジタル信号化された映像信号を信号処理するための映像信号処理ブロック23と、映像信号受信装置20全体を内蔵のプログラム又はフラッシュメモリ26に格納されたプログラムに従って統括的に制御するCPU24と、映像用フレームメモリ25と、前記書込みデータが書き込まれるフラッシュメモリ26とからなる。
【0021】
上記の映像用フレームメモリ25は、ディジタル信号化された映像信号データ及び映像信号処理ブロック23で信号処理した途中データや処理後の最終データを保持する、映像信号処理ブロック23を介してデータの読み書きが可能なメモリである。また、CPU24は、映像信号処理ブロック23を介して映像用フレームメモリ25へアクセス可能である。なお、フラッシュメモリ26は、電気的に全ビット又はブロック単位で消去可能な半導体メモリであるが、これに限らず書き換え可能な不揮発性メモリであれば何でもよく、例えば、SDカードあるいはEEPROMなどでもよい。また、フラッシュメモリ26の他の代替として、ハードディスクやフロッピディスク等の書き換え可能な記憶装置でもよい。
【0022】
次に、フラッシュメモリ26のデータ書込みについて、図1乃至図6を参照して詳細に説明する。まず、図1に示すように、外部装置10の映像信号出力部13と映像信号受信装置20の映像信号前処理部21、外部装置10の通信用トランシーバ部15と映像信号受信装置20の通信用トランシーバ部22を各々信号線31、32で接続する。次に、外部装置10の通信制御部14は、通信用トランシーバ部15、データ通信線32、映像信号受信装置20内の通信用トランシーバ部22を介してフラッシュメモリデータの書込みを開始するためのスタート信号をCPU24に対して出力することで処理が開始される(図2のステップS1)。
【0023】
その後、映像信号受信装置20のCPU24から外部装置10の通信制御部14へ応答信号ACKが送信され(図2のステップS2)、それを通信制御部14が確認すると、フラッシュメモリ書込みデータ送信のための静止画情報(静止画サイズや、フラッシュメモリ書込みデータがどの映像信号に多重されているかなどの情報)を通信制御部14が通信用トランシーバ部15及びデータ通信線32を介して映像信号受信装置20へ送信する(図2のステップS3)。
【0024】
映像信号受信装置24内のCPU24が通信用トランシーバ部22を介して上記の静止画情報を受信すると、データ通信線32を介して通信制御部14へ応答信号ACKを送信し(図2のステップS4)、それを通信制御部14が確認すると、以後、外部装置10から映像信号受信装置20へ信号線31を用いて静止画信号の出力が開始される(図2のステップS6)。
【0025】
上記のステップS6で出力される静止画信号は、データ加工及び映像信号生成部12が生成して映像信号出力部13から信号線31を介して映像信号として映像信号前処理部21へ出力される。上記の静止画信号は、例えば三原色信号を映像信号出力部13から出力する場合は、その三原色信号のうちG信号に図3(A)に示す如く、フラッシュメモリ書込みデータが多重される。
【0026】
すなわち、図3(A)に示すG信号は、同図(B)及び(C)に示す水平同期信号と同図(D)に示す垂直同期信号と共に出力されるが、G信号の有効映像信号区間にフラッシュ書込みデータ保持部11から読み出されたフラッシュメモリ書込みデータDkが順番に時系列に合成して配置された構成とされている。
【0027】
フラッシュメモリ書込みデータの先頭は、静止画映像信号の有効画像領域左上画素点のG信号になるように配置し、以後フラッシュメモリ書込みデータのデータ順が映像信号の時系列データとなるように配置していくが、フラッシュメモリの書込みデータは映像信号の水平有効画像区間単位に細切れになる。
【0028】
そこで、水平有効画像区間単位に細切れになったデータの先頭と終端を区別し易くする目的で、図3(A)に示すように、水平同期信号を基準としたデータの先頭を表す特殊符号MKHSが、有効映像信号区間に配置される先頭のフラッシュメモリ書込みデータの直前に配置され、かつ、水平同期信号を基準としたデータの終端を表す特殊符号MKHEが有効映像信号区間に最後に配置されるフラッシュメモリ書込みデータの直後に配置される。これらの特殊符号MKHS及びMKHEは、フラッシュメモリの書込みデータでは現れない信号列が望ましく、複数バイトで構成される。
【0029】
なお、図3の一例では、映像信号のG信号にフラッシュメモリ書込みデータを配置したが、R信号又はB信号、あるいはR/G/B信号全てのいずれに配置してもよい。更に、出力する静止画映像信号がY/Pb/Prの色差信号の場合は、フラッシュメモリ書込みデータをY信号、Pb信号及びPr信号のどれか一信号に配置するか、あるいはY/Pb/Pr信号全てに配置してもよい。
【0030】
図3と共に説明したように、フラッシュメモリの書込みデータが有効映像信号区間に多重されたG信号を含む静止画映像信号は、図1の映像信号前処理部21で映像信号受信装置20内部のディジタル信号フォーマットに加工処理された後、映像信号処理ブロック23により映像用フレームメモリ25に一旦書き込まれる。
【0031】
ここで、映像用フレームメモリ25が図4(A)に示すような、入出力幅(I/O幅)が32ビットの2バンク(Bank)構成のシンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDRAM)である場合、通常のR/G/Bの三原色信号からなる映像信号データは図4(C)に示すように、映像用フレームメモリ25のバンク0に書き込まれるが、上記のG信号にフラッシュメモリ書込みデータが多重されている静止画信号データは、図4(D)に示すように、映像用フレームメモリ25のバンク0に書き込まれる。
【0032】
なお、先頭の画像データ{R0,G0,B0}又は{R0,MKHS,B0}は図4(B)に示すように、画面の左上端の位置の画像データである。また、図4(D)には特殊符号「MKHS」がバンク0に格納されているが、ここでは1バイトであるものとしている。なお、映像用フレームメモリ25に格納する映像信号は三原色信号であるものとしているが、Y/Pb/Prの構成の映像信号でもよいことは勿論である。
【0033】
以上のようにして、図2のステップS9でデータ取り込みと映像用フレームメモリ25にG信号にフラッシュメモリ書込みデータが多重されている1フレーム分の静止画信号データの書込みが終了すると、映像信号受信装置20内のCPU24は、通信用トランシーバ部22を介して外部装置10へデータ取り込み完了信号を送信する(図2のステップS10)。外部装置10の通信制御部14が上記のデータ取り込み完了信号の受信を確認すると、通信用トランシーバ部15を介して映像信号受信装置20へ終了信号を送信し(図2のステップS11)、これをCPU24が確認すると、応答信号ACKを返送し(図2のステップS12)、フラッシュメモリの書込みデータの一連の送受信処理が完了する。
【0034】
なお、図2のステップS6で送信される、フラッシュメモリの書込みデータが多重された静止画データは1フレーム分であるが、送受信すべきフラッシュメモリの書込みデータが複数フレーム分での伝送を必要とする大きなデータ量であるときには、図2のステップS3〜S10の処理を複数回繰り返すこととなる。
【0035】
外部装置10からフラッシュメモリの書込みデータを静止画データとして映像信号受信装置20へ送信する動作が終了すると、映像信号受信装置20内のCPU24は、映像用フレームメモリ25に格納されているフラッシュメモリの書込みデータを加工してフラッシュメモリ26に書き込む処理を開始する。
【0036】
この処理について図5と共に説明する。図5は外部データバス幅32ビットのCPU24が映像用フレームメモリ25からフラッシュメモリ書込みデータを読出し、データ加工する例の説明図を示す。CPU25は映像信号処理ブロック23のレジスタ部232を読み書きすることで映像信号処理ブロック23の挙動を制御するのに加え、映像信号処理ブロック23内のフレームメモリ制御部231を介して映像用フレームメモリ25内のデータを読み書きできる構成になっている。
【0037】
図5はCPU24が図4(D)に示したフラッシュメモリ書込みデータを格納した映像用フレームメモリ25のメモリ領域をアクセスし、1回のアクセスで32ビットのデータを読み出す場合を示している。CPU24からは映像用フレームメモリ25がCPU外部メモリの一つに見えるように、フレームメモリ制御部231がフレームメモリ制御部231とCPU24間のバススピード、及びフレームメモリ制御部231と映像フレームメモリ25間のバススピードの差異を吸収する処理を行っており、そのアクセススピードはCPU24の外部バスアクセススピード、及びフレームメモリ制御部231と映像フレームメモリ25間のバスアクセススピードになる。
【0038】
フラッシュメモリ書込みデータは図3の一例に従いG信号に配置されているとすると、CPU24は映像用フレームメモリ25の静止画映像信号のデータ並びに従って順番にアクセスして画素データを取出し、更にその中からG信号のみのデータを取出して順番に再配置する加工処理を行う。
【0039】
また、水平有効画像区間単位に細切れになったフラッシュメモリ書込みデータの前後に「MKHS/MKHE」の特殊符号を配置した場合、CPU24がフラッシュメモリ書込みデータを取出す際には、特殊符号MKHSとMKHEの間に挟まれたデータ列を取出し、特殊符号MKHSとMKHEは映像用フレームメモリ25から該当データを取り出す際の基準符号として用いることができる。加工処理を施したデータ列は本来のフラッシュメモリ書込みデータを再構築したことに相当し、CPU24はこのデータ列をフラッシュメモリ26に書込む。
【0040】
ところで、本実施の形態において、フラッシュメモリ書込みデータの伝送及び書込みを実行している期間、映像信号受信装置20の映像用フレームメモリ25内におけるフラッシュメモリ書込みデータが存在する領域は、人間の認識できる正常な映像信号としては成立しない。そこで、フラッシュメモリ書込みデータの伝送及び書込み期間中であることを映像信号受信装置20側で映像として認知するために、図4(A)に示した領域を持つ映像用フレームメモリ25を、図6に示すように領域Aと領域Bとに領域分割して使用してもよい。
【0041】
ここで、図6はCPU24がフラッシュメモリ書込みデータを読み出す領域Aとは別に、映像信号処理ブロック23が読み出す映像データ領域Bを確保する例を示す。外部装置10からのフラッシュメモリ書込みデータが多重された静止画データは、図6に示す映像用フレームメモリ25の領域Aに格納されて、CPU24から読み出す処理が行われると同時に、映像信号処理ブロック23は映像用フレームメモリ25の領域Bに格納されている映像信号データを読み出す処理を行う。
【0042】
これにより、映像信号処理ブロック23が読み出す領域Bに、人間の認識できる映像信号データを格納しておくことで、フラッシュメモリ書込みデータの伝送及び書込みを実行している期間を映像信号受信装置20側で映像として認知できる。例えば、映像信号受信装置20内のCPU24は、フラッシュメモリ書込みデータの伝送及び書込み処理の段階を外部装置10との通信により認識し、処理の段階に見合った映像信号データを発生し、映像信号処理ブロック23内のフレームメモリ制御部231を介して領域Bに書き込む。または、映像信号処理ブロック23の内部に固有の映像信号発生部を有しておき、CPU24からの指示に従って処理の段階に見合った映像信号を発生してもよい。
【0043】
この場合、映像信号処理ブロック23の後段の処理部クロックと、映像信号発生部が生成する映像信号クロック間で同期がとれていないならば、映像信号発生部で発生した映像信号は領域Bに書き込んだ後、後段の処理部クロックで領域Bの映像信号を読み出す。同期がとれている場合は、発生した映像信号を領域Bに書き込まず、直接映像信号処理ブロック23の後段へ出力してもよい。
【0044】
次に、本実施の形態における外部装置10と映像信号受信装置20間のフラッシュメモリ書込みデータ伝送速度について説明する。映像信号受信装置20の入力映像信号上限がXGA信号(総画素数1,344×806/有効画素数1,024×768/垂直同期周波数60Hz/ピクセルクロック65MHz/RGB信号)の場合を例にとる。外部装置10は図3のようにXGA信号のG信号にフラッシュメモリ書込みデータを配置した信号を映像信号受信装置20へ出力し、映像信号受信装置20は図4のように映像用フレームメモリ25へ受信データを格納する。
【0045】
このときの外部装置10と映像信号受信装置20間の通信伝送速度は、1秒間に有効画素数のフレームデータを60フレーム伝送する速度になるので、
1,024×768×60=47,185,920バイト/秒
=377,487,360bps≒377487.4kbps
となり、従来技術のUART方式通信速度115.2kbpsと比較して3,000倍以上のスピード向上を実現できる。
【0046】
また、本実施の形態では、フラッシュメモリ書込みデータ格納先の映像用フレームメモリ25とCPU24間はCPU24の外部バスアクセススピード、及びフレームメモリ制御部231と映像用フレームメモリ25間のバスアクセススピードでデータ転送を行えることから、高速にフラッシュメモリ26へ書込みを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のデータ送信装置及びデータ受信装置の一実施の形態のブロック図である。
【図2】図1の外部装置と映像信号受信装置間でやりとりする一連の通信例を示すシーケンス図である。
【図3】図1中の外部装置においてフラッシュメモリへ書込むデータを静止画映像信号へ変換する例を示す図である。
【図4】図1中の映像信号受信装置において静止画映像信号を映像用フレームメモリへ格納する例を示す図である。
【図5】図1中のCPUが映像用フレームメモリからフラッシュメモリへ書込むデータを読出し、データ加工する例の説明図である。
【図6】映像用フレームメモリを領域分割して使用する例
【図7】従来のデータ送信装置及びデータ受信装置の一例のブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
10 外部装置
11 フラッシュ書込みデータ保持部
12 データ加工及び映像信号生成部
13 映像信号出力部
14 通信制御部
15、22 通信用トランシーバ部
20 映像信号受信装置
21 映像信号前処理部
23 映像信号処理ブロック
24 中央処理装置(CPU)
25 映像用フレームメモリ
26 フラッシュメモリ
31 信号線
32 データ通信線
231 フレームメモリ制御部
232 レジスタ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段を内蔵し制御プログラムデータに基づき映像信号処理を行うデータ受信装置に対して、前記記憶手段に格納すべき前記制御プログラムデータを送信するデータ送信装置において、
前記制御プログラムデータを映像信号の有効映像信号区間に配置したデータ書込み用映像信号を生成する信号生成手段と、
前記データ書込み用映像信号を前記データ受信装置へ送信する送信手段と、
前記データ受信装置との間で双方向の通信を行うと共に、前記送信手段の制御を行う通信手段と
を有し、前記通信手段は、前記データ受信装置に対して前記データ書込み用映像信号の送信開始を通知した後、前記データ受信装置から送信開始応答を受信したときは、前記送信手段を用いて前記データ書込み用映像信号の前記データ受信装置への送信を開始し、前記データ書込み用映像信号の送信が終了したときは、前記データ受信装置に対して前記データ書込み用映像信号の送信終了を通知することで、前記データ受信装置において受信した前記データ書込み用映像信号から前記制御プログラムデータを分離抽出させて前記記憶手段に格納させる通信手段であることを特徴とするデータ送信装置。
【請求項2】
内蔵の記憶手段に書込まれた制御プログラムデータに基づき映像信号処理を行うデータ受信装置において、
データ送信装置が送信した、前記制御プログラムデータが映像信号の有効映像信号区間に配置されたデータ書込み用映像信号を受信する映像信号受信手段と、
映像信号を格納する映像用メモリと、
前記映像信号受信手段が受信した前記データ書込み用映像信号を前記映像用メモリに格納し、前記映像用メモリに格納された前記データ書込み用映像信号を読み出すメモリ読み書き手段と、
前記メモリ読み書き手段を制御して前記映像用メモリに格納された前記データ書込み用映像信号を読み出し、そのデータ書込み用映像信号の有効映像信号区間から前記制御プログラムデータを分離抽出して前記記憶手段に格納する制御手段と、
前記データ送信装置との間で双方向の通信を行うと共に、前記映像信号受信手段及び前記制御手段の制御を行う通信手段と
を有し、前記通信手段は、前記データ送信装置が送信した前記データ書込み用映像信号の送信開始通知を受信した後、前記データ送信装置に送信開始応答を通知し、その後前記映像信号受信手段を用いて前記データ書込み用映像信号を受信して、その受信した前記データ書込み用映像信号を、前記制御手段により前記メモリ読み書き手段を制御させて前記映像用メモリに格納し、前記データ送信装置が送信した前記データ書込み用映像信号の送信終了通知を受信したときは、前記制御手段により前記メモリ読み書き手段を制御して、前記映像用メモリに格納された前記データ書込み用映像信号を読み出し、そのデータ書込み用映像信号の有効映像信号区間から前記制御プログラムデータを分離抽出して前記記憶手段に格納する通信手段であることを特徴とするデータ受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−36857(P2007−36857A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219275(P2005−219275)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】