説明

トイレ便座

【課題】マッサージ機能を伴うトイレ便座を提供する。
【解決手段】トイレ便座は、本体と、本体に設置された複数のマッサージメカニズムと、マッサージメカニズムをシールするための手段とを備えている。マッサージメカニズムは、上部及び下部より成るハウジングと、上部及び下部の間に保持されたモータと、モータの出力シャフトに固定された偏心おもりと、これらモータ、偏心おもり及びハウジングのアッセンブリを本体内に懸架する弾力性懸架装置とを備えている。この懸架装置は、ハウジングに固定されたハウジング固定端と、本体に固定された本体固定端と、これら固定端間に接続された接続部とを含む。使用中に、モータが偏心おもりを回転させて、振動を発生し、この振動が、便座に座っている利用者に伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ座席に係り、より詳細には、マッサージ機能を伴うトイレ便座に係る。
【背景技術】
【0002】
マッサージを行うトイレ便座は長年知られている。このアイデアは、便座全体を振動させるか又は側部から側部へ急速に動かす装置をもたせることにより利用者が便座に座るときにリラックスさせる上で役立つものである。これは、ある利用者をリラックスさせると分かっているが、便座全体を動かすためにマッサージメカニズムに大きなバイブレータが必要となる。又、特に、鍼又は指圧の位置のような幾つかの個別の位置に振動を加えたときには、小さな直接的振動でも、有益なマッサージ又は刺激効果を与えることが分かっている。この個別の刺激を便座において合成できれば、付加的な効果が与えられる。効率を追求する近代社会のトレンドでは、人々は非常に多忙で、単一機能のマッサージ装置を楽しみのためだけに使用するに足る時間的余裕を有していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、使用時に人にマッサージを施すことができるか又は少なくとも一般大衆に有用な選択肢を与えるマッサージ機能を伴うトイレ便座のような目新しい日用品を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、利用者を支持するための本体と、本体に設置された複数のマッサージメカニズムと、マッサージメカニズムをシールするための手段とを備え、マッサージメカニズムは、ハウジングと、ハウジング内に保持されたモータと、モータの出力シャフトに固定された偏心おもりと、これらモータ、偏心おもり及びハウジングの結合体を本体内に懸架すると共に、ハウジングをシール手段に接触するように弾力で押しやるように構成された懸架装置とを備え、該懸架装置は、ハウジングに固定されたハウジング固定端と、本体に固定された本体固定端と、これら固定端の間に接続された接続部と、を含み、これにより、モータがターンオンされたとき、モータが偏心おもりを回転させて、振動を発生し、この振動が、ハウジング及びシール手段を経て、便座に座っている利用者に伝達されるようにしたトイレ便座を提供する。
【0005】
好ましくは、ハウジングは、上部及び下部より成り、モータは、上部と下部との間にサンドイッチされる。
【0006】
好ましくは、懸架装置のハウジング固定端には貫通穴が設けられ、上部及び下部の一方には貫通穴が設けられ、上部及び下部の他方にはスクリュー穴が設けられ、スクリューが各貫通穴を通過してスクリュー穴に係合し、懸架装置のハウジング固定端を上部と下部との間に固定する。
【0007】
好ましくは、本体は、各マッサージメカニズムに対応する貫通穴を有し、シール手段は、本体の貫通穴に固定されてその貫通穴をシールするための複数の防水カバーを含み、この防水カバーは、マッサージメカニズムのハウジングに接触してそのハウジングから利用者へ振動を伝達する。
【0008】
好ましくは、本体は、各貫通穴の周りに環状グルーブを有し、防水カバーは、エラストマ材料で作られ、各防水カバーの周囲は、フランジを形成し、そしてフランジは、本体の対応環状グルーブにシール係合される。
【0009】
好ましくは、防水カバーは、フランジに隣接する複数のフックを有し、これらのフックは、本体の対応する貫通穴の周囲を掴むように構成され、防水カバーのフランジが本体の環状グルーブから逃れるのを防止する。
【0010】
或いは又、本体は、各マッサージメカニズムに対応する減少厚みの部分を有し、これらの部分は、シール手段として作用して、マッサージメカニズムのハウジングと接触し、ハウジングから利用者へ振動を伝達する。
【0011】
或いは又、各マッサージメカニズムに対応する本体には貫通穴が設けられ、薄い防水層が本体の外面に固定されて貫通穴をシールし、薄い防水層は、シール手段として働き、マッサージメカニズムのハウジングに接触して、ハウジングから利用者へ振動を伝達する。
【0012】
好ましくは、懸架装置は、弾力性ストリップであり、この弾力性ストリップの接続部分は、複数の曲げ構造部を含む。
【0013】
好ましくは、本体の内面には複数の固定部が設けられ、各固定部は、スクリュー穴を有し、各弾力性ストリップの本体固定端は、少なくとも1つの貫通穴を有し、そして弾力性ストリップの各貫通穴にスクリューを通して本体のスクリュー穴にロックさせ、ハウジングを本体に固定する。
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。図面において、2つ以上の図に現れる同じ構造、素子又は部分は、一般的に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で示される。図示されたコンポーネント及び特徴部の大きさは、一般に、表現の便宜上及び明瞭化のために選択されたもので、必ずしも正確なスケールで示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の第1の実施形態によるトイレ便座の斜視図である。
【図1B】図1Aの便座の一部分の断面図で、便座の本体に設置されるマッサージメカニズムを示す図である。
【図1C】図1Bのマッサージメカニズムの懸架装置を示す斜視図である。
【図1D】図1Aの便座の一部分である防水カバーの斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施形態により便座の本体に設置されるマッサージメカニズムの断面図である。
【図3】本発明の更に別の実施形態により便座の本体に設置されるマッサージメカニズムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
解決されるべき技術的な問題、本発明の技術的な解決策及び有益な効果は、添付図面を参照した好ましい実施形態の以下の詳細な説明から最も良く理解されよう。ここに述べる好ましい実施形態は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0017】
図1Aから1Dは、本発明の第1の好ましい実施形態によるトイレ便座10を示す。この便座10は、複数の貫通穴22が設けられた本体20を備えている。貫通穴22の各々にマッサージメカニズム30が固定される。
【0018】
このマッサージメカニズム30は、上部32a及び下部32bを有するハウジングと、上部32a及び下部32bの間にサンドイッチされたモータ34と、モータ34の出力シャフトに固定された偏心おもり36と、弾力性懸架装置38と、対応する貫通穴22の周囲に固定されてその貫通穴22をシールする好ましくは防水のカバー40と、を備えている。カバー40は、ハウジングの上部32aにより支持されるか、さもなければ、それと接触される。
【0019】
図1B及び1Cを参照すれば、懸架装置38は、ハウジングに取り付けられるハウジング固定端38aと、本体20に取り付けられる本体固定端38bと、これら2つの固定端38a、38bを一緒に接続する接続部38cとを有している。ハウジング固定端38aは、複数の貫通穴を有し、上部32a及び下部32bの一方にも貫通穴が設けられ、そしてその他方にはスクリュー穴が設けられる。スクリュー(図示せず)が各貫通穴に通されてスクリュー穴にねじ込まれ、懸架装置38のハウジング固定端38aをハウジングの上部32aと下部32bとの間に固定する。本体20の底面には複数の固定部24が設けられ、各固定部24は、スクリュー穴を有する。懸架装置38の本体固定端38bにも貫通穴が設けられ、スクリュー(図示せず)が本体固定端38bの各貫通穴に通されて、本体20の固定部24のスクリュー穴に固定される。従って、モータ34、偏心おもり36及びハウジングの結合体が懸架装置38を経て本体20内に懸架される。本発明のこの実施形態では、懸架装置38は、2つの弾力性ストリップを備え、各弾力性ストリップの接続部38cには複数の曲げ構造部が設けられている。或いは又、懸架装置38は、板ばねのような他の形態でもよい。
【0020】
図1B及び1Dを参照すれば、本体20の上面には、貫通穴22の周囲付近に環状グルーブ26が形成される。カバー40の周囲にはフランジ42が設けられる。フランジ42は、本体20のグルーブ26にシール係合される。カバー40には、フランジ42の付近に複数のフック44が形成される。これらフック42は、本体20の貫通穴22の周囲を掴むように構成され、フランジ42が本体20のグルーブ26から逃れるのを防止する。本発明のこの実施形態では、カバー40は、ゴムのような弾力性材料で作られ、又、フランジ42は、本体20のグルーブ26にシール式に収容され、水のような液体が本体20の内部の入り込むのを防止する。
【0021】
使用中に、モータ34がターンオンされると、モータ34は、偏心おもり36を回転してハウジングを振動させる。ハウジングの上部32aがカバー40と接触状態に保たれるので、振動がカバー40に伝達され、ひいては、カバー40と接触している便座10に座る利用者に刺激を与える。マッサージメカニズムの位置は、典型的な利用者の特定の位置、例えば、指圧点に対応するように選択され、これらの領域に直接刺激を与えることができる。
【0022】
図2は、第1の実施形態の便座と同様の、本発明の第2の実施形態の便座を示す。その相違点は、本体20が、各マッサージメカニズム30に対応する減少厚みの部分22’を一体的に形成することである。部分22’は、マッサージメカニズム30の上部32aに当接して、モータ34及びマッサージメカニズム30の偏心おもり36により発生された振動を、便座10に座る利用者に伝達できるようにする。
【0023】
図3は、第1の実施形態の便座と同様の、本発明の別の実施形態の便座を示す。その相違点は、本体20の貫通穴22をシールするために本体20の外面に薄い防水層40’が設けられることである。この薄い防水層は、モータ34からの振動を、便座10に座る利用者へ伝達するために、マッサージメカニズム30の上部32aと接触する。薄い防水層は、薄いプラスチック又はゴム層でよい。
【0024】
本発明の上述した実施形態において、利用者が便座を使用するときには、便座のマッサージメカニズムが、利用者の身体の特定の場所又は特定の鍼点をマッサージすることができる。従って、利用者は、生活の日用品を利用するときにマッサージを受けることができる。
【0025】
本出願の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」及び「有する(have)」、並びにその変化の各々は、ここに述べるアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用されるが、付加的なアイテムの存在を除外するものではない。
【0026】
1つ以上の好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、種々の変更が考えられることが明らかであろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【符号の説明】
【0027】
10:便座
20:本体
22:貫通穴
22’:減少厚みの部分
24:固定部
26:環状グルーブ
30:マッサージメカニズム
32a:ハウジングの上部
32b:ハウジングの下部
34:モータ
36:偏心おもり
38:懸架装置
38a:ハウジング固定端
38b:本体固定端
38c:接続部
40:カバー
40’:防水層
42:フランジ
44:フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を支持するための本体と、該本体に設置された複数のマッサージメカニズムと、該マッサージメカニズムをシールするための手段とを備え、前記マッサージメカニズムは、ハウジングと、該ハウジング内に保持されたモータと、該モータの出力シャフトに固定された偏心おもりと、これらモータ、偏心おもり及びハウジングの結合体を前記本体内に懸架すると共に、前記ハウジングを前記シール手段に接触するように弾力で押しやるように構成された懸架装置とを備え、該懸架装置は、前記ハウジングに固定されたハウジング固定端と、前記本体に固定された本体固定端と、これら固定端間に接続された接続部とを含み、これにより、前記モータがターンオンされたとき、前記モータが偏心おもりを回転させて振動を発生し、この振動が、前記ハウジング及びシール手段を経て、便座に座っている利用者に伝達されるようにしたトイレ便座。
【請求項2】
前記ハウジングは、上部及び下部より成り、前記モータは、これら上部と下部との間にサンドイッチされる、請求項1に記載の便座。
【請求項3】
前記懸架装置のハウジング固定端には貫通穴が設けられ、前記上部及び下部の一方には貫通穴が設けられ、前記上部及び下部の他方にはスクリュー穴が設けられ、スクリューが各貫通穴を通過してスクリュー穴に係合し、前記懸架装置のハウジング固定端を前記上部と下部との間に固定する、請求項2に記載の便座。
【請求項4】
前記本体は、各マッサージメカニズムに対応する貫通穴を有し、前記シール手段は、前記本体の貫通穴に固定されてその貫通穴をシールするための複数の防水カバーを含み、この防水カバーは、前記マッサージメカニズムのハウジングに接触してそのハウジングから利用者へ振動を伝達する、請求項1、2又は3に記載の便座。
【請求項5】
前記本体は、各貫通穴の周りに環状グルーブを有し、前記防水カバーは、エラストマ材料で作られ、各防水カバーの周囲は、フランジを形成し、そしてフランジは、前記本体の対応する環状グルーブにシール係合される、請求項4に記載の便座。
【請求項6】
前記防水カバーは、前記フランジに隣接する複数のフックを有し、これらのフックは、前記本体の対応する貫通穴の周囲を掴むように構成され、前記防水カバーのフランジが前記本体の環状グルーブから逃れるのを防止する、請求項5に記載の便座。
【請求項7】
前記本体は、各マッサージメカニズムに対応する減少厚みの部分を有し、これらの部分は、シール手段として作用して、前記マッサージメカニズムのハウジングと接触し、そのハウジングから利用者へ振動を伝達する、請求項1、2又は3に記載の便座。
【請求項8】
各マッサージメカニズムに対応する前記本体には貫通穴が設けられ、薄い防水層が前記本体の外面に固定されて前記貫通穴をシールし、その薄い防水層は、シール手段として働き、前記マッサージメカニズムのハウジングに接触して、そのハウジングから利用者へ振動を伝達する、請求項1、2又は3に記載の便座。
【請求項9】
前記懸架装置は、弾力性ストリップであり、この弾力性ストリップの接続部は、複数の曲げ構造部を含む、請求項1から8のいずれかに記載の便座。
【請求項10】
前記本体の内面に複数の固定部が設けられ、各固定部は、スクリュー穴を有し、各弾力性ストリップの本体固定端は、少なくとも1つの貫通穴を有し、そして前記弾力性ストリップの各貫通穴にスクリューを通して前記本体のスクリュー穴にロックさせ、前記ハウジングを前記本体に固定する、請求項9に記載の便座。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−247912(P2009−247912A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−110025(P2009−110025)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(502458039)ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム (90)
【Fターム(参考)】