説明

トイレ用ゲル状洗浄剤組成物

【課題】便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面に固着させることができ、流水により有効成分を持続的に放出させて、洗浄、芳香、消臭等を行うトイレ用ゲル状洗浄剤組成物を提供すること。また、流水により有効成分を持続的に放出させて、洗浄、芳香、消臭等を行うトイレ用ゲル状洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面に適用するか、あるいは貯水タンク上蓋に設置する容器に収納してなるトイレ用ゲル状洗浄剤組成物であり、下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むことを特徴とするトイレ用ゲル状洗浄剤組成物とする。
RO(CO)nH …(1)
(式中、nは13〜50の整数を示し、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数12〜18のアルキル基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレ用ゲル状洗浄剤組成物に関し、さらに詳しくは、便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面に固着させて使用、あるいは貯水タンク上蓋に設置する容器に収納して使用し、流水により有効成分を持続的に放出させて、洗浄、芳香、消臭等を行うトイレ用ゲル状洗浄剤組成物並びに該トイレ用ゲル状洗浄剤組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレを清潔な状態に維持するために、洗浄剤組成物を水洗トイレの貯水タンク上蓋に設置したり(オンタンク式)、貯水タンク内に設置投入する(インタンク式)ことによって、水洗水中に洗浄剤や色素等を溶解させて放出させることにより、便器の汚れを防止することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、貯水タンク上に収納容器と共に設置して使用する固形洗浄剤が開示されている。また、特許文献2のように、流水と任意の面に塗布することができる水徐溶性組成物も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−273484号公報
【特許文献2】特開2006−206882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インタンク式の洗浄剤は水との接触時間により洗浄成分の溶出量が決まるため、使用頻度による調節ができない。また、固形洗浄剤は、配合成分の溶解性の違いなどにより保形性が十分に確保できず、型崩れを起こすことがあり、その結果持続性が低下するという不具合が生じる。そして、特許文献2のような水徐溶性組成物は、水に膨潤性と溶解性を示す高分子化合物を原料とするため、コスト面において改良の余地がある。
さらに、近年、タンクレス型の水洗便器が増加しており、従来の貯水タンクを備えた水洗トイレとタンクレス型の水洗便器のいずれにも適用可能な洗浄剤が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの事情を考慮し、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることにより、ゲル化剤を使用することなく便器ボウルの表面や貯水タンクの天面等の流水接触面にしっかりと固着させることができ、しかも流水に流されず、且つ、流水による徐溶性を有するゲル状組成物とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下の〔1〕〜〔5〕によって達成されるものである。
〔1〕便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面に適用するか、あるいは貯水タンク上蓋に設置する容器に収納してなるトイレ用ゲル状洗浄剤組成物であり、
下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むことを特徴とするトイレ用ゲル状洗浄剤組成物。
RO(CO)nH …(1)
(式中、nは13〜50の整数を示し、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数12〜18のアルキル基を示す。)
〔2〕前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値が15〜18.5であることを特徴とする前記〔1〕に記載のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物。
〔3〕前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルを組成物中20〜40質量%含有することを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物。
〔4〕さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含有することを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1に記載のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物。
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物を、押し出し容器を用いて便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面に固着させて適用する、あるいは貯水タンク上蓋に設置する容器に収納して適用することを特徴とするトイレ用ゲル状洗浄剤組成物の使用方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄剤組成物をゲル状に形成するので、便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面等の流水接触面に適用したり、貯水タンク上蓋に設置する容器に収納して使用することができるため、種々の形態の水洗トイレにも対応できる。また、本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物は、有効成分を均一に溶出させることができ、洗浄、芳香、消臭等の効果を確実に持続させることができる。また、ゲル化剤を用いないため、洗浄剤の一部が溶け残ることはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のトイレ用洗浄剤組成物を充填した第1実施形態の洗浄剤製品の外観斜視図である。
【図2】本発明のトイレ用洗浄剤組成物を充填した第2実施形態の洗浄剤製品の外観斜視図である。
【図3】本発明のトイレ用洗浄剤組成物を充填した第3実施形態の洗浄剤製品の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物(以下、単に「洗浄剤組成物」ともいう。)の実施形態について詳細に説明する。
尚、本発明においてゲル状とは、25℃において、ゾルにならず、定形性のある半固形状の状態をいう。
【0011】
本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物は、ゲル化剤を用いることなくゲル化させてなるものである。
前記洗浄剤組成物は、必須成分として、エーテル型の非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレン(以下、「POE」という場合がある。)アルキルエーテルを含んでいる。
本発明において、下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する。
RO(CO)nH …(1)
(式中、nは13〜50の整数を示し、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数12〜18のアルキル基を示す。)
【0012】
ここで、一般式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるオキシエチレン基(CO)の重合数(n)は、13〜50であれば特に限定されないが、20〜50のものを用いるのが好ましい。上記範囲内であると、均一な溶出、持続などに優れるので好ましい。
【0013】
本発明において、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、グリフィン法で求めたHLB値が15〜18.5であることが好ましい。HLB値が上記範囲のものを用いることでトイレ用ゲル状洗浄剤組成物を透明に形成することができ、視覚的に美しくすることができる。
【0014】
本発明に用いるポリオキシエチレンアルキルエーテルの例としては、n=19,Rの炭素数12のポリオキシエチレン(19)ラウリルエーテル(商品名:エマルゲン147,花王株式会社製,HLB15.3)、n=20,Rの炭素数12のポリオキシエチレン(20)ラウリルエーテル(商品名:ノニオンK220,日本油脂株式会社製,HLB16.5)、n=30,Rの炭素数12のポリオキシエチレン(30)ラウリルエーテル(商品名:ノニオンK230,日本油脂株式会社製,HLB17.5)、n=47,Rの炭素数12のポリオキシエチレン(47)ラウリルエーテル(商品名:エマルゲン150,花王株式会社製,HLB18.4)、n=50,Rの炭素数18のポリオキシエチレン(50)ステアリルエーテル(商品名:エマルゲン350,花王株式会社製,HLB17.8)等が挙げられる。
【0015】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、トイレ用ゲル状洗浄剤組成物中、20〜40質量%含有することが好ましい。組成物中、含有量が20質量%未満であるとゲル状とすることができないため好ましくなく、40質量%を超えて含有させるとゲル状組成物の透明感が失われるため好ましくない。
【0016】
本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物は、加熱して溶解させたポリオキシエチレンアルキルエーテルに、同じく加熱させた水を加えて混錬し、常温まで冷却することにより、所定の粘度に調整される。洗浄剤組成物の粘度は、25℃において固形状又は半固形状であればよい。具体的な実測値では、60〜70℃において1500〜3000mPa・sの範囲が安定性の点から好ましく、2000〜2500mPa・sの範囲が最も好ましい。60〜70℃における粘度が1500〜3000mPa・sの範囲内であると、便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面に確実に固着でき、流水に流されることがなく、しかも流水による徐溶性を有する。
【0017】
本発明において、洗浄剤組成物中にポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含有させることが好ましい。これは、泡立ちが良くなり洗浄力が増し、視覚的にも洗浄感が得られるためである。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることもできる。中でも、洗浄力、高起泡性という点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを使用することが好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、トイレ用ゲル状洗浄剤組成物中、5〜30質量%含有することが好ましく、10〜20質量%含有させることがより好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が30質量%を超えて配合するとゲル強度の低下をまねくため好ましくない。
【0018】
また、多価アルコールを含むことにより、洗浄剤組成物の乾燥を防ぐことができる。多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールを使用することが好ましい。多価アルコールは、トイレ用ゲル状洗浄剤組成物中、1〜10質量%含有することが好ましい。多価アルコールの含有量が1質量%未満の場合、ゲル表面白化をまねき、外観を損なうので好ましくなく、10質量%を超えて配合すると、ゲル強度の低下や持続時間の減少が生じるため好ましくない。ただし、多価アルコールの配合は、他成分との相互作用に依存するためこの限りではない。
【0019】
本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分の他に、所望に応じて、公知の香料、洗浄成分、界面活性剤、色素等を配合することができる。
【0020】
香料としては、例えば、レモン、オレンジ、ベルガモット、ラベンダー、ローズマリー、ジャスミン、ローズ等から抽出した精油;リモネン、リナロール、シトラール、シトロネラール、メントール等が挙げられる。香料は、トイレ用ゲル状洗浄剤組成物中、1〜15質量%配合することが好ましく、5〜10質量%配合することがより好ましい。上記範囲とすることでトイレ空間内に十分な香りが広がる。
【0021】
色素は、トイレ用ゲル状洗浄剤組成物を継続使用する場合には、製品の寿命を視覚的に認識できることから配合すべき添加剤といえる。色素としては、水溶性の法定色素が好ましく、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、緑色3号、橙色207号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、橙色402号、紫色401号、黒色401号等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて様々な色で用いることができる。
【0022】
界面活性剤は、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルによるゲル化と洗浄剤組成物の便器ボウル等への固着効果を妨げない範囲において使用することができる。
界面活性剤としては、フッ素化アルキルPOEエステル、フッ素化アルキル親水性基含有オリゴマー、フッ素化アルキルエステル付加重合物等のフッ素系両親媒性物質;高級アルキルスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシプロピレン(POP)−POEブロックコポリマー;ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル;POEソルビタンモノオレート等のPOEソルビタンエステル;グリセリルモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;POEグリセリルモノオレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル;POEジヒドロコレステロールエステル、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油イソステアレート等のPOE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル;エチレングリコール・プロピレングリコールブロックポリマー、グリセリルイソステアリルエーテル、グリセリルミリスチルエーテル等のグリセリルエーテル;POEグリセリルイソステアリルエーテル、POEグリセリルミリスチルエーテル等のPOEグリセリルエーテル;ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒロドキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアミノ酸系界面活性剤、等が挙げられる。界面活性剤は、トイレ用ゲル状洗浄剤組成物中、50質量%以下とするのが適当である。
【0023】
本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物は、例えば、ミキサーによる攪拌下で混合することにより製造することができる。
【0024】
本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物は、便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面に固着させたり、あるいは容器に収納して貯水タンク上蓋に設置して使用することができる。
便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面に固着させるには、洗浄剤組成物を、例えば、押し出し式の容器に充填して使用すればよい。該押し出し式の容器としては、前方を開口し、後方に押圧機構を備えたものであれば特に限定されず、例えば、図1に示すような蛇腹タイプの押し出し式容器11、図2に示すような所謂スティック糊タイプの押し出し式容器12、図3に示すようなシリンジタイプの押し出し式容器13等が挙げられる。図1〜3に示したように、トイレ用ゲル状洗浄剤組成物1を押し出し式容器11,12,13に充填し、洗浄剤製品10,20,30として使用する。
【0025】
図1および図3に示した洗浄剤製品10,30の場合は後方の押出部材14,16を押圧することにより、図2に示した洗浄剤製品20の場合は後方の押出部材15を回転させることにより、容器内の洗浄剤組成物1が押し出されるので、必要量を押し出し、便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面等に固着させる。尚、便器ボウルに適用する場合は、流水接触面であれば任意の場所に固着させることができ、水勢により洗浄剤組成物が剥がれることなく、しかも溶出した洗浄成分が満遍なく便器ボウル内を旋回するので十分な洗浄効果が得られる。そして、貯水タンクの天面に適用する場合は、上蓋の注水口(穴)を塞がないよう流水と接する位置に固着させればよい。
【0026】
また、押し出し式容器11,12,13の吐出部17,18,19を任意の形状に形成しておけば、トイレ用ゲル状洗浄剤組成物1を様々な立体形状に形成することができる。例えば、図1に示したように、押し出し式容器11の吐出部17の形状を星型にした場合は、星型の洗浄剤組成物成形体2を形成することができ、図2に示したスティック糊タイプの押し出し式容器12や図3に示したシリンジタイプの押し出し式容器13の場合は、ドーム型の洗浄剤組成物成形体3,4を形成することができる。尚、吐出部17,18,19に枠型部材を取り付け可能に構成しておけば、種々の形状で吐出させることも可能である。
【0027】
洗浄剤組成物を容器に収納して使用する場合、水流通孔を有する容器に収納し、手洗い付き貯水タンクの上蓋、すなわち該上蓋に設けられている注水口又はその近傍に設置し、流水との接触により貯水タンク内に溶出するようにすればよい。
【0028】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるものではない。尚、特に断りの無い限り、配合量は質量%を示す。
【実施例】
【0029】
[ゲル化試験−1]
非イオン界面活性剤のゲル化の成否を評価するために下記組成からなる洗浄剤組成物1〜17を調製し、ゲル化の成否を確認した。非イオン界面活性剤として表1に記載のものを用いた。結果をあわせて表1に示す。なお、表中、○はゲル化したこと、×はゲル化しなかったことを示す。
<製剤組成>
非イオン界面活性剤 40質量%
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 20質量%
(製品名:エマールE-227S-S(花王社製))
イオン交換水 40質量%
【0030】
【表1】

【0031】
表1の結果から、HLB値が約14〜18.5のポリオキシエチレンアルキルエーテルがゲル化することがわかった。このうち、HLB値が約15〜18.5のポリオキシエチレンアルキルエーテルは透明なゲルとなることが分かった。
【0032】
[ゲル化試験−2]
ポリオキシエチレンアルキルエーテルと水との混合比について評価した。表2に示す組成からなる洗浄剤組成物18〜34を調製し、ゲル化の成否を調べた。結果を同じく表2に示す。表中、○はゲル化したこと、×はゲル化しなかったこと、△はゲル化するが硬質表面の固着性が不十分であることを表す。
尚、組成物19,23,31の60〜70℃における粘度を測定した結果(n=2)、それぞれ平均値で56.4mPa・s、2250mPa・s、495mPa・sであった。
【0033】
【表2】

【0034】
表2の結果からポリオキシエチレンアルキルエーテルを20〜40質量%含有させた洗浄剤組成物19〜27は透明にゲル化することがわかった。一方、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを40質量%を超えて配合した洗浄剤組成物28〜32はゲル化したが白色の組成物となり、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを15質量%含有させた洗浄剤組成物18や80質量%含有させた洗浄剤組成物34ではゲル化しなかった。
【0035】
[固着試験]
前記洗浄剤組成物19,23〜25、および表3に記載の組成からなる洗浄剤組成物35をそれぞれ調製し、流水接触面に対する固着力について確認した。
それぞれの洗浄剤組成物7gを、便器ボウルの表面に固着させた。気温10〜15℃で、1回量3リットルのフラッシングを洗浄剤組成物が落下するまで行った。結果を表3に示す。表中、○は十分に固着力があること、×は固着力がないことを表す。
【0036】
【表3】


【0037】
洗浄剤組成物35は、2回目のフラッシングでほぼ全量剥がれ落ちた。洗浄剤組成物19,23〜25は、固着したまま徐々に溶解し、7日間にわたり流水により流されることはなかった。
【0038】
[徐溶性試験]
表4に示す組成からなる洗浄剤組成物を、直径4cm×高さ1cmの円柱形状(7.0g)に形成し、側面および底面に複数の排水口を有する上面が開口した小型容器(約13.5g)に入れ、手洗い付きトイレ用貯水タンクの天面に設置し、フラッシング回数と重量の変化について調べた。試験は、気温10〜15℃、1回量3リットルのフラッシングを1日15回のペースで行った。試験は2回行った。尚、測定値(g)、残量(g)、速度(g/回)は、以下の式により求めた。結果を表5に示す。
測定値(g)=容器ごと天秤に載せたときの実測値
残量(g)=7g−(使用前の測定値−使用中の測定値)
速度(g/回)=(7g−測定時の残量)/フラッシング回数
【0039】
【表4】


【0040】
【表5】


【0041】
表5の結果から、流水による徐溶性が確認され、洗浄剤組成物中の有効成分が流水により少しずつ放出されていることがわかった。
【0042】
以上説明したように、本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物は、便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面に固着させて使用することができ、流水による徐溶性があり、洗浄、芳香、消臭効果を持続させることができる。さらに、透明で外観が美しく、容器の吐出部の形状により種々の形状に成形することができるため、意匠性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物は、種々の水洗タイプのトイレに使用できる。また、ハンドタイプの押し出し式容器を用いれば、持ち運びが容易となり、携帯使用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 トイレ用ゲル状洗浄剤組成物
2,3,4 洗浄剤組成物成形体
10,20,30 洗浄剤製品
11,12,13 押し出し式容器
14,15,16 押出部材
17,18,19 吐出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面に適用するか、あるいは貯水タンク上蓋に設置する容器に収納してなるトイレ用ゲル状洗浄剤組成物であり、
下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むことを特徴とするトイレ用ゲル状洗浄剤組成物。
RO(CO)nH …(1)
(式中、nは13〜50の整数を示し、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数12〜18のアルキル基を示す。)
【請求項2】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値が15〜18.5であることを特徴とする請求項1に記載のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルを組成物中20〜40質量%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項のトイレ用ゲル状洗浄剤組成物を、押し出し容器を用いて便器ボウルの表面や手洗い付き貯水タンクの天面の流水接触面に固着させて適用する、あるいは貯水タンク上蓋に設置する容器に収納して適用することを特徴とするトイレ用ゲル状洗浄剤組成物の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−57780(P2011−57780A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206836(P2009−206836)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】