説明

トイレ装置

【課題】 非常時においても安心して排泄できるトイレ装置を提供する。
【解決手段】 1階に重力タンク式便器9、2階以上の階には可撓性の細管11を接続した圧送式排水便器8を設置する。この効果として圧送式排水便器8が、停電時、または故障時、またはメンテナンス時、などの非常時に汚物を洗浄できない場合でも、重力タンク式便器9は使用可能である。つまり、前記非常時でも安心して排泄できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本考案は、強制式排水装置の停電や故障対策に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、水周り設備のフレキシブル性の向上や、ユニット工法による簡施工性や、洗浄水量の節水化や、排水配管スペースの縮小や、排水管の延長や、建設コストがかかる埋設配管の削減や、を目的として、水洗大便器、または水洗小便器、または手洗い器、または洗面器、または浴槽、またはシンクなどの水周り機器を強制式排水装置とした構造物の提案がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の強制式排水装置は、多くの場合電源を必要とするため停電時に、または乾電池や充電器などで停電対策をとったとしても故障時やメンテナンス時などの非常時に作動不能となる。
【0004】よって、前記強制式排水装置の一部である強制式排水便器は、前記非常時が復旧するまであいだ大便、小便の排泄を行ったとしても、洗浄できないため、不衛生である等の不具合が生じる。そこで本考案は、前記非常時においても安心して排泄できるトイレ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本考案のトイレ装置は、複数個の便器を設置する構造物であって、少なくとも1個は、重力タンク式便器、または水道直圧式便器、または簡易便器、を設置し、少なくとも1個は強制式排水便器を設置することを特徴とする。
【0006】
【作用】強制式排水便器を組み込んだ強制排水装置が停電、故障等で作動不能となったとしても、電気式でなく、故障の確立が比較的小さい重力タンク式便器、または水道直圧式便器、または簡易便器を使用できる。
【0007】ここで強制式排水装置とは、主に強制式排水ユニットと、強制式排水便器と、前記強制式排水ユニットと前記強制式排水便器を接続する排水管と、から構成されていることを特徴とする装置である。
【0008】前記強制式排水装置は、例えば、汚物粉砕カッターと、圧送ポンプと、電磁バルブと、から成る圧送ユニットと、圧送式排水便器と、から構成された強制圧送式排水装置や、真空ユニットと、真空式排水便器と、前記真空ユニットと、前記真空式排水便器とを接続した真空排水管と、から構成された強制式排水真空装置に代表される。
【0009】重力タンク式便器とは、主に便器とタンクで構成され、タンク内に貯留した水の位置エネルギーを利用して、汚物または汚水を便器から排出することを特徴とする装置である。
【0010】水道直圧式便器とは、主に便器と水道直結バルブで構成され、水道圧を利用して、汚物または汚水を便器から排出することを特徴とする装置である。
【0011】簡易便器とは、主に便器と汚物貯留槽で構成され、汚物を一時的に貯留槽内に溜めておくことを特徴とする装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】本考案の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。以下の説明では、重力タンク式便器を代表としてあげるが、これを水道直圧式便器、または簡易便器、に置き換えてもよい。
【0013】また、下記説明は本考案の一形態であり、これらに相当するものであれば、下記形態に限らない。
【0014】図1は、本発明のトイレ装置の第一の実施の態様を示す。本態様によれば、本発明のトイレ装置はテーマパークなどの公共施設に対応するものであり、真空式排水便器1及び重力タンク式便器2が設置されるものである。真空式排水便器1は真空ユニット3の上流側に、また、重力タンク式便器2は真空ユニット3の下流側に配置される。また、真空排水管4は、各真空式排水便器1と真空ユニット3とを連通するようにそれぞれ配管されている。また、重力タンク式便器2からの排水は真空ユニット3の下流側に接続される下水管5に流下するように配管されている。
【0015】なお、前記真空式排水便器1と前記重力タンク式便器2の設置位置は、建設費用と使い勝手により様々な形態が考えられるため、特にここで指定した限りでない。
【0016】通常時は、真空式排水便器1と、重力タンク式便器2は使用可能となっている。もしくは重力タンク式便器2は未使用としてもよい。
【0017】真空ユニット3の停電や故障による作動不能、または、真空管4の破損、または、強制真空式排水装置のメンテナンス、などの非常時には、真空式排水便器2から汚物を洗浄できない。
【0018】しかし、重力タンク式便器2は使用可能であるため、前記非常時の対策となる。
【0019】図2は、本発明のトイレ装置の第二の実施の態様を示す。本態様によれば、本発明のトイレ装置は3階建ての戸建住宅に対応するものであり、圧送式排水便器8が2階以上の階に、また、重力タンク式便器9が1階に設置されるものである。圧送式排水便器8には可撓性の細管11が接続されて排水立て管7と連通する。階下に垂下された排水立て管7は、埋設横主管10に接続され合流する。重力タンク式便器9からの排水は排水横主管10へ流下するように配管される。
【0020】通常時は圧送式排水便器8と、重力タンク式便器9と、が使用可能である。もしくは重力タンク式便器9は未使用としてもよい。
【0021】圧送式排水便器8は、停電時、または故障時、またはメンテナンス時、などの非常時には、前記圧送式排水便器8から汚物を洗浄できない。
【0022】しかし、重力タンク式便器9は使用可能であるため、前記非常時の対策となる。
【0023】なお、上記トイレ装置の2階以上に可撓性の細管11を採用すると、床懐12を小さくできるため、建設費の削減や天井高の確保が可能である。また、ユニット工法などでは配管の勾配とる必要が無いため施工性に優れている。また、満流排水によって配管内の水流音を小さくできるため、階下の騒音対策にもなる。一方、1階部分は、階下がなく、床懐も大きいため、重力タンク式便器9の設置にさほど支障はない。
【0024】よって、戸建て住宅では、1階に重力タンク式便器9、2階以上の階には可撓性の細管11を接続した圧送式排水便器8を設置すると良い。
【0025】図3は、本発明のトイレ装置の第三の実施の態様を示す。本態様によれば、本発明のトイレ装置は7階建ての集合住宅に対応するものであり、圧送式排水便器15が居住スペースに、また、重力タンク式便器19が共有スペースに設置されるものである。圧送式排水便器15には可撓性の細管16が接続されて共通排水立て管18と連通する。また、重力タンク式便器19には直配管17が所定の勾配をもって接続され共通排水立て管18と連通する。さらに、排水は共通排水立て管18から共通排水横主管20へ流下するように配管される。
【0026】通常時は住居スペース13に設置された圧送式排水便器15と、共有スペース14に設置された重力タンク式便器19が使用可能となっている。もしくは前記重力タンク式便器19は未使用としてもよい。
【0027】住居スペース13の圧送式排水便器15が、停電時、または故障時、またはメンテナンス時、などの非常時には、前記圧送式排水便器15から汚物を洗浄できない。
【0028】しかし、共有スペース14の重力タンク式便器19は使用可能であるため、前記非常時の対策となる。
【0029】なお、共用スペース14と、居住スペース13と、が同一階にあっても良い。
【0030】また、本考案は便器に好適であるが、洗面器、シンクなどの水周り機器に広く適用できる。
【0031】
【発明の効果】本考案は、上記構成により、強制式排水便器が停電時、または故障時、またはメンテナンス時、などの非常時には、汚物洗浄ができない。しかし、電気式でなく、故障の確立が低い重力タンク式便器、または水道直圧式便器、または簡易便器を使用でき、非常時の対策となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の係わるテーマパークなどの公共施設を想定した場合の原理図
【図2】本考案の係わる戸建て住宅を想定した場合の原理図
【図3】本考案に係わる集合住宅を想定した場合の原理図
【符号の説明】
1…真空式排水便器、2…重力タンク式便器、3…真空ユニット、4…真空排水管、5…下水管、8…圧送式排水便器、9…重力タンク式便器、10…埋設横主管、11…可撓性の細管、12…床懐、13…住居スペース、14…共有スペース、15…圧送式強制便器、16…可撓性の細管、17…直配管、18…共通排水立て管、19…重力タンク式便器、20…共通排水横主管

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数個の便器を設置する構造物のトイレ装置であって、少なくとも1個は、重力タンク式便器、または水道直圧式便器、または簡易便器とし、少なくとも1個は強制式排水便器としたトイレ装置。
【請求項2】 上記請求項1に記載のトイレ装置であって、前記強制式排水便器を含む強制式排水装置は、電源に接続した機器を内蔵するすることを特徴とするトイレ装置。
【請求項3】 上記請求項2に記載のトイレ装置であって、1階部分に重力タンク式便器、または水道直圧式便器、または簡易便器を設置し、2階以上の階には、可撓性の細管に接続した前記強制式排水装置を設置することを特徴とするトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2001−207508(P2001−207508A)
【公開日】平成13年8月3日(2001.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−14267(P2000−14267)
【出願日】平成12年1月24日(2000.1.24)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】