説明

トイレ装置

【課題】便座や便蓋の着脱操作時に誤ってヒンジ軸が外れることのないトイレ装置を提供する。
【解決手段】トイレ装置は、洋式便器上に載置固定される本体部12と、本体部12に回動可能に軸支された便座16および便蓋17と、を備えている。本体部12に突設され、その軸方向の移動により本体部12に着脱可能なヒンジ軸に便座16が回動可能かつ着脱可能に取り付けられ、便座16は、本体部12に取り付けられたヒンジ軸に着脱可能である。便蓋17は、その基端部の左右に設けられた一対の係止部17a,17bを介して、本体部12の背面寄りの部分に突設された固定軸に回動可能かつ着脱可能に取り付けられている。ヒンジ軸が離脱方向へ移動するのを当該ヒンジ軸との当接により阻止する規制手段として、本体部12の一部にヒンジカバー20,21を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部洗浄機能を備えたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体局部を洗浄する機能を備えたトイレ装置は、従来、様々な構造、デザインのものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1記載のトイレ装置がある。このトイレ装置は、便器上に載置固定された本体部(機能部収納ケース)の左右側面に、便座および便蓋を軸支するヒンジ軸が着脱可能に設けられ、これらのヒンジ軸が本体部に取り付けられた状態で便座及び便蓋が着脱できる構造である。また、このトイレ装置の場合、便座および便蓋が本体部に装着されている状態であれば、便座若しくは便蓋のいずれか一方によりヒンジ軸の抜け落ちが防止されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のトイレ装置において便座や便蓋を本体部から取り外す場合、まず便座および便蓋の取り外しロック機構を解除し、便座および便蓋を指定された角度まで開いた後、指定された方向へ便座および便蓋を移動させる、という操作が行われる。ところが、便座や便蓋を取り外すときにヒンジ軸に思わぬ力が加わり、便座や便蓋が離脱すると同時にヒンジ軸も本体部から抜け、便器内部に落下して便鉢を傷つけたり、ヒンジが回収困難となったりすることがある。
【0005】
一方、便座や便蓋を本体部から取り外すときにヒンジ軸が本体部から外れなかった場合でも、ヒンジ軸から便座および便蓋が外れている状態においては、何らかの予期せぬ原因によりヒンジ軸が本体部から離脱するおそれがあるため、前述と同様、ヒンジ軸が便鉢内部に落下して便鉢を傷つけたり、ヒンジが回収困難となったりすることが懸念される。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、便座や便蓋の着脱操作時に誤って本体部からヒンジ軸が外れることのないトイレ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトイレ装置は、便器上に載置固定された本体部に突設され、その軸方向の移動により前記本体部に着脱可能なヒンジ軸に便座、便蓋の少なくとも一方が回動可能かつ着脱可能に取り付けられたトイレ装置であって、
前記本体部に前記ヒンジ軸が取り付けられた状態において前記便座、前記便蓋の少なくとも一方が前記ヒンジ軸に着脱可能であり、
前記ヒンジ軸の離脱方向への移動を当該ヒンジ軸との当接により阻止する規制手段を前記本体部に設けたことを特徴とする。
【0008】
このような構成とすれば、軸方向に移動させることによって本体部に着脱可能なヒンジ軸が何らかの外力を受けて離脱方向へ移動すると規制手段に当接してその移動が阻止されるため、本体部からヒンジ軸が外れることがない。従って、便座や便蓋の着脱操作時に誤って本体部からヒンジ軸が外れることがない。
【0009】
この場合、前記規制手段として、前記本体部に着脱可能であって前記便座、前記便蓋の少なくとも一方の側面の一部を覆うヒンジカバーを設ければ、便座や便蓋の着脱操作の際にヒンジ軸が移動する方向に、規制手段であるヒンジカバーが位置するため、ヒンジ軸の離脱を確実に阻止することができる。
【0010】
一方、少なくとも前記ヒンジカバーの側面が前記本体部の側面と略同一面を形成するようにすれば、本体部の側面に凹凸が生じないため、この側面部分の拭き掃除などがし易くなり、清掃性が向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、便座や便蓋の着脱操作時に誤ってヒンジ軸が外れることのないトイレ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態であるトイレ装置を示す斜視図、図2は図1に示すトイレ装置の一部拡大図、図3は図1に示すトイレ装置を構成する本体部の斜視図、図4は図1に示すトイレ装置を構成する本体部の斜視図、図5は図3に示す本体部の平面図、図6は図3に示す本体部の正面図、図7は図3に示す本体部の左側面図、図8は図3に示す本体部の右側面図である。
【0013】
図1,図2に示すように、本実施形態のトイレ装置10は、洋式便器11上に載置固定された局部洗浄機能などを有する本体部12と、この本体部12に回動可能に軸支された便座16および便蓋17と、を備えている。また、図3〜図8に示すように、本体部12の正面寄りの部分に設けられた軸受ハウジング13の左右側面にそれぞれヒンジ軸14,15が水平方向に突設され、これらのヒンジ軸14,15を介して便座16が回動可能に軸支されている。ヒンジ軸14は、本体部12と一体的に成形された合成樹脂製の軸体であるが、ヒンジ軸15は軸方向に移動させることにより本体部12に着脱可能である。即ち、ヒンジ軸15は、軸方向に沿って突出するように移動させると、本体部12の軸受ハウジング13から離脱し、逆方向に移動させると軸受ハウジング13に係止される。
【0014】
便座16は、その基端部の左右に設けられた一対の係止部16a,16bを介してヒンジ軸14,15に着脱可能に取り付けられている。便蓋17は、その基端部の左右に設けられた一対の係止部17a,17bを介して、本体部12の背面寄りの部分に突設された固定軸18,19に回動可能かつ着脱可能に取り付けられている。また、便座16は、本体部12にヒンジ軸15が取り付けられた状態においてヒンジ軸14,15に着脱可能である。さらに、ヒンジ軸15が離脱方向へ移動するのを当該ヒンジ軸15との当接により阻止する規制手段として、ヒンジカバー21を設けている。また、ヒンジ軸14の外側にもヒンジカバー20を設けている。図3,図4に示すように、ヒンジカバー20,21は互いに鏡面対称な形状であり、本体部12の側面と略同一面をなす平板状の壁部20a,21aと、壁部20a,21aの片面に形成された滑らかな「く」字状の固定部20b,21bと、を備えている。
【0015】
ヒンジカバー20,21は、それぞれヒンジ軸14,15の軸心の延長上に配置され、便座16の基端部の左右にある係止部16a,16bをそれぞれ覆うように設けられている。図5,図6に示すように、ヒンジカバー20,21はそれぞれ化粧キャップ22,23で閉塞されたネジ孔に螺着されたネジ(図示せず)により、本体部12に着脱可能に取り付けられている。また、ヒンジカバー20,21の外側面はそれぞれ本体部12の左右側面と略同一面を形成するように配置されている。
【0016】
図3に示すように、便座16および便蓋17が本体部12から取り外された状態においてヒンジ軸15は軸方向に移動可能であるが、ヒンジ軸15を離脱方向へ移動させたとき、ヒンジ軸15が軸受ハウジング13から離脱可能な位置に達する前にその先端部がヒンジカバー20,21に当接し、それから先へ移動不能となるため、ヒンジ軸15の離脱が阻止される。なお、ヒンジカバー20,21を本体部12から取り外せば、ヒンジ軸15は軸方向に自由に移動可能となるため、本体部12への着脱も容易である。
【0017】
トイレ装置10においては、軸方向に移動させることによって本体部12に着脱可能なヒンジ軸15が何らかの外力を受けて離脱方向へ移動することがあっても、規制手段であるヒンジカバー21にヒンジ軸15が当接してその移動が阻止されるため、本体部12からヒンジ軸15が外れることがない。従って、便座16の着脱操作時に誤って本体部12からヒンジ軸15が外れることがない。
【0018】
また、ヒンジカバー20,21は、それぞれヒンジ軸14,15の軸心の延長上に配置され、便座16の基端部の左右にある係止部16a,16bをそれぞれ覆うように設けられている。このため、便座16の着脱操作の際にヒンジ軸15が移動する方向に、規制手段であるヒンジカバー21が位置することとなり、ヒンジ軸15の離脱を確実に阻止することができる。
【0019】
さらに、ヒンジカバー20,21の外側面はそれぞれ本体部12の左右側面と略同一面を形成するように配置されているため、便蓋17を開いた状態において、本体部12の側面に凹凸が生じるのを回避することができる。また、便蓋17を閉じた状態においては、本体の一部であるヒンジカバー20,21は便蓋17の側面で覆われているため、本体部12の側面は開いた状態と同様、凹凸のない連続した面を呈する。したがって、便蓋17が開いた状態であっても、閉じた状態であっても、ヒンジカバー20,21の外側面を含む側面部分の拭き掃除などがし易くなり、清掃性が向上する。
【0020】
一方、図2,図6に示すように、ヒンジ軸15の抜け落ちを防止するヒンジカバー21は取り付けられた側の軸受ハウジング13の側方端面に設けられたヒンジ軸15を挿入する軸受部13bから、ヒンジ軸15の軸方向の長さより短い所定の距離を隔て配設されており、軸受ハウジング13の側方端面に対向した状態にある。また、軸受ハウジング13の左右端面からヒンジカバー20,21までの距離は、便座16の係止部16a,16bが2mm〜5mm程度のクリアランスをもって嵌入可能なサイズとなっている。従って、離脱させた便座16を本体部12に取り付ける工程において、便座16の係止部16a,16bをそれぞれヒンジ軸14,15に係合させるとき、ヒンジカバー20,21がガイド部材として機能するため、ヒンジカバー20,21に沿って係止部16a,16bを押し込めば容易に所定位置に取り付けることができる。
【0021】
本実施形態では、便座16が回動可能かつ着脱可能に取り付けられるヒンジ軸14,15に対してヒンジカバー20,21を設けた場合について説明しているが、本発明はこれに限定するものではないので、ヒンジ軸に便座、便蓋の少なくとも一方が回動可能かつ着脱可能に取り付けられたトイレ装置において広く使用することができる。また、ヒンジ軸14,15がともに着脱自在である場合においても、本発明は適応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のトイレ装置は、一般住宅のトイレや公共設備のトイレなどにおいて広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態であるトイレ装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すトイレ装置の一部拡大図である。
【図3】図1に示すトイレ装置を構成する本体部の斜視図である。
【図4】図1に示すトイレ装置を構成する本体部の斜視図である。
【図5】図3に示す本体部の平面図である。
【図6】図3に示す本体部の正面図である。
【図7】図3に示す本体部の左側面図である。
【図8】図3に示す本体部の右側面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 トイレ装置
11 洋式便器
12 本体部
13 軸受ハウジング
14,15 ヒンジ軸
16 便座
16a,16b,17a,17b 係止部
17 便蓋
18,19 固定軸
20,21 ヒンジカバー
20a,21a 壁部
20b,21b 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に載置固定された本体部に突設され、その軸方向の移動により前記本体部に着脱可能なヒンジ軸に便座、便蓋の少なくとも一方が回動可能かつ着脱可能に取り付けられたトイレ装置であって、
前記本体部に前記ヒンジ軸が取り付けられた状態において前記便座、前記便蓋の少なくとも一方が前記ヒンジ軸に着脱可能であり、
前記ヒンジ軸の離脱方向への移動を当該ヒンジ軸との当接により阻止する規制手段を前記本体部に設けたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記規制手段として、前記本体部に着脱可能であって前記便座、前記便蓋の少なくとも一方の側面の一部を覆うヒンジカバーを設けたことを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記ヒンジカバーの側面が前記本体部の側面と略同一面を形成することを特徴とする請求項2記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−319410(P2007−319410A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152852(P2006−152852)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】