説明

トイレ装置

【課題】便座の開閉動作に対しても信頼性を確保することが可能となり、且つ十分な振動量を得ることができ、臀部のマッサージ感、便意促進感、血行促進等を高めることが可能なトイレ装置を提供すること。
【解決手段】便器2のリム3に便座4が載置され、便座4を振動させるための突起形状の振動部5を便器2のリム3から突設させたトイレ装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置に関し、詳しくは便座に着座した人の臀部をマッサージするための機能を備えたトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレ装置において、着座時に臀部をマッサージする手段として、便座に振動装置を設置して人体に振動を与えるようにした構成が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
しかしながら、図5(a)(b)に示すように、便座4は頻繁に開閉動作するために、振動装置20自体に衝撃が加わるようになり、長期信頼性等が低下するという問題があり、さらに振動装置20の通電線に負担が加わるといった問題もある。さらに振動装置20の振動部位を便座4表面に露出させて人体に振動を直接付与する方式であるため、図5(c)に示す体重による押し付け力Fによって振動装置20の振幅を大きくとることが困難となり、このため大きな振動を臀部に伝えにくくなるという問題もある。なお図中の21は便座4の下面から突出して便器2のリム3に支持される突起部である。
【特許文献1】特開2004−89280号公報
【特許文献2】実用新案登録第3097195号公報
【特許文献3】特開2007−54240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、便座の開閉動作に対しても信頼性を確保することが可能となり、且つ十分な振動量を得ることができ、臀部のマッサージ感、便意促進感、血行促進等を高めることが可能なトイレ装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明は、便器2のリム3に便座4が載置されたトイレ装置において、便座4を振動させるための突起形状の振動部5を便器2のリム3から突設させて成ることを特徴としている。
【0006】
このような構成とすることで、振動部5は、便座4側ではなく、便器2側に設けられるので、開閉動作に伴う便座4に振動部5を設けることが不要となるため、便座4開閉動作時の衝撃が振動部5自体に加わることがなくなる。しかも振動部5は便座4をその内部からではなく、外部から振動を付与する方式であり、そのうえ便器2とは独立した部品とすることができるので、便座4に対して十分な振動量を与えることが可能となる。
【0007】
また、上記振動部5は、便座4の支持を兼ねると共にリム3の複数個所に設置されているのが好ましく、この場合、振動部5と便座4との接触面積を増加させて、便座4の振動量の増加を図ることができると共に、便座4から振動部5に加わる荷重を複数個の振動部5に分散できるので、振動部5の耐荷重性を向上させることができる。
【0008】
また、上記振動部5の通電線6が、便器2の外側面をカバーするスカート7とリム3との間に形成される隙間8を通して配線されているのが好ましく、この場合、便座4の開閉動作時に、リム3に設けた振動部5に衝撃が加わらないことと同様に、通電線6にも負担が加わることがなくなり、振動部5の高信頼性が得られると共に通電線6が外部から見えないようにできて外観性を向上させることができる。
【0009】
また、上記振動部5は、防水性があり且つ振動を妨げない弾性体11を用いてリム3に対して保持されているのが好ましく、この場合、弾性体11によって振動部5への水の浸入を防止でき、そのうえ弾性体11は振動部5の振動を妨げることもないので振動が減衰せず、これにより、振動部5の長期信頼性を向上させながら、同時に大きな振動量を維持できるようになる。
【0010】
また、上記便座4に着座時の体重がかかった際に該体重を受けるための支持バネ12を上記振動部5に設けるのが好ましく、この場合、便座4に体重がかかった際に支持バネ12によって体重に対する反力が発生することにより、振動部5を単に便座4に接触させて振動を伝える構造と比較して、大きな振動量を発生させることが可能となる。
【0011】
また、上記便座4への着座を検知するセンサ13と、センサ13からの信号に応じて着座時と上記振動部5の振動開始及び離座時と振動終了のそれぞれのタイミングを連動させる制御手段とを設けるのが好ましく、この場合、着座と振動とを連動させることができるので、振動部5の切/入の操作が不要となり、利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、便座の開閉動作に対しても振動部の信頼性を確保することが可能となり、しかも便座に十分な振動量を伝播させることができ、臀部のマッサージ感、便意促進感、血行促進等を高めることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0014】
図1は、請求項1、2に対応する実施形態であり、本実施形態のトイレ装置1は、便器2のリム3に便座4が載置されていると共に、リム3の上方に向けて突起形状の振動部5が突設されている。なお図1中の2aは便器2内の便器ボウル、7は便器2の外側面を覆うスカート、15は便座4を覆う便蓋である。
【0015】
上記便器2のリム3から突設される振動部5は、便座4に対して振動を付与するためのもので、突起形状に形成されており、例えば着座センサ13a(図4(a)参照)からの検知信号を受けて振動の開始、終了を行なうように制御される。この振動部5は、便座4の支持を兼ねると共にリム3の複数個所(図1の例では4箇所)に設置されている。
【0016】
振動部5の振動発生源としては、例えば、ソレノイド、或いは、電動モータの回転軸に偏心させて重りを設けて振動を発生させる偏心モータ、或いは、圧電材料製の圧電振動部の相対向する2つの主面にそれぞれ電極が配設され、電極間に電界を印加して振動が励振されるようにした圧電素子、或いは、コイルにより磁界が印加されると大きな振動を生じる伸縮可能な超磁歪素子等の振動装置が挙げられる。
【0017】
しかして、上記構成の突起形状をした振動部5を便器2のリム3から突設させたことにより、便座4を閉じると振動部5に便座4下面が接触した状態となり、人が便座4に着座したときに着座センサ13aからの検知信号を受けて振動を開始することによって、その振動が便座4に伝播して便座4に座った人の臀部をマッサージする。その後、使用者が便座4から立ち上がると、着座センサ13aからの検知信号を受けて振動部5は振動を停止する。
【0018】
ここで、振動部5は、便座4側ではなく、リム3側に設けられているので、便座4は振動伝達体として機能するようになる。また、開閉動作に伴う便座4に振動部5を設けることが不要となるため、便座4開閉動作時の衝撃が振動部5自体に加わることがなくなる結果、振動部5の長期信頼性を向上させることができる。また本例の振動部5は便座4をその内部からではなく、外部から振動を付与する方式であり、しかも便器2とは独立した部品であるため、便座4に対して十分な振動量を与えることができるようになる結果、臀部のマッサージ感、便意促進感、血行促進等を高めることができるものである。
【0019】
さらに本例では、振動部5は、便座4の支持を兼ねると共にリム3の複数個所に設置されているので、振動部5と便座4との接触面積を増加させて、便座4の振動量の増加を図ることができると共に、便座4から振動部5に加わる荷重を複数個の振動部5に分散できるので、振動部5の耐荷重性が向上すると共にマッサージ時の便座4を安定させることができるという利点もある。
【0020】
図2は、請求項3、4に対応する実施形態であり、振動部5の通電線6が、便器2の外側面をカバーするスカート7とリム3との間に形成される隙間8を通して配線されている。さらに振動部5は、防水性があり且つ振動を妨げない弾性体11を用いてリム3に対して保持されている。他の構成は図1の実施形態と同様であり、対応する部分には同一符号を付しておく。本例では、リム3とスカート7間の隙間8から、便器2ボウルとスカート7との隙間9に通じる通線スペース10が設けられ、この通線スペース10に沿って通電線6の配線を行なっている。さらに振動部5をリム3に取り付けるにあたって、振動部5を例えば防水ゴム等からなる筒状の弾性体11で覆うと共にリム3に設けたリム3開口に振動部5を嵌め込み、振動部5の上半部をリム3よりも上方に突出させた状態で、弾性体11をリム3に対して保持している。しかして、便座4の開閉動作時に、リム3に設けた振動部5に衝撃が加わらないことと同様に、通電線6にも負担が加わることがなくなり、振動部5の高信頼性が得られると共に便器2の外側面をカバーするスカート7を利用して通電線6を配線できるので、通電線6が外部から見えないようにでき、外観性も良好となる。さらに、防水ゴム等からなる弾性体11によって振動部5への水の浸入を防止できるようになると共に、弾性体11は振動部5の振動を妨げることもないので振動が減衰せず、この結果、振動部5の長期信頼性を向上させながら、同時に大きな振動量を維持できるようになる。
【0021】
図3は、請求項5に対応する実施形態であり、便座4に着座時の体重がかかった際に該体重を受けるための支持バネ12を振動部5に設けた場合の一例を示している。他の構成は図1又は図2の実施形態と同様であり、対応する部分には同一符号を付しておく。本例では、体重による押し付けに対し、更に便座4の振動量を増加させるために支持バネ12を用いるものであり、図3の例では支持バネ12は、振動部5に一体に取り付けられて上下方向に伸縮自在なコイルバネで構成されている。図中のFは体重による押し付け方向、Gは便座4の振動する方向である。なお、支持バネ12を振動部5と一体にせず、例えばリム3の内部に隠蔽して設置して、振動部5に対して下方からバネ力を付与する構成とすることも可能である。しかして、便座4に体重がかかった際に支持バネ12によって体重に対する反力が発生するようになるので、振動部5を単に便座4に接触させて振動を伝える構造と比較して、大きな振動量を発生させることが可能となり、臀部のマッサージ感、便意促進感等をより一層高めることが可能となる。
【0022】
図4は、請求項6に対応する実施形態であり、便座4への着座を検知するセンサ13と、センサ13からの信号に応じて着座時と振動部5の振動開始及び離座時と振動終了のそれぞれのタイミングを連動させる制御手段(図示せず)とを設けたものである。他の構成は図1又は図2又は図3の実施形態と同様であり、対応する部分には同一符号を付しておく。本例では、振動発生の制御方法として、図4(a)に示すように、便器2に設けた着座センサ13a(例えば赤外線人感センサ)と連動して、着座時に振動を開始し、立ち上がった時に振動を停止させるように制御するものである。また別の制御方法として、図4(b)に示すように、振動する振動部5の下面側に荷重検知センサ13bを設置し、着座時の体重Fを検知して振動を開始し、体重がかからなくなった時に振動を停止させるようにしてもよい。しかして、着座と振動開始、離座と振動終了とのタイミングをそれぞれ連動させることにより、振動部5の切/入の操作が不要となり、無駄な振動をなくして省エネ化を図ると共に、利便性の向上も図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の斜視図である。
【図2】他の実施形態であり、図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】更に他の実施形態であり、便座に着座時の体重がかかった際に該体重を受けるための支持バネを振動部に設けた場合の一例の説明図である。
【図4】(a)は更に他の実施形態であり、着座センサを備えた場合の説明図であり、(b)は荷重センサを備えた場合の説明図である。
【図5】(a)(b)は従来の振動装置付き便座の説明図であり、(c)は着座時に便座にかかる押し付け力を説明する側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 トイレ装置
2 便器
3 リム
4 便座
5 振動部
6 通電線
7 スカート
8 隙間
11 弾性体
12 支持バネ
13 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器のリムに便座が載置されたトイレ装置において、便座を振動させるための突起形状の振動部を便器のリムから突設させて成ることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
上記振動部は、便座の支持を兼ねると共にリムの複数個所に設置されていることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
上記振動部の通電線が、便器の外側面をカバーするスカートとリムとの間に形成される隙間を通して配線されていることを特徴とする請求項1又は2記載のトイレ装置。
【請求項4】
上記振動部は、防水性があり且つ振動を妨げない弾性体を用いてリムに対して保持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項5】
上記便座に着座時の体重がかかった際に該体重を受けるための支持バネを上記振動部に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項6】
上記便座への着座を検知するセンサと、センサからの信号に応じて着座時と上記振動部の振動開始及び離座時と振動終了のそれぞれのタイミングを連動させる制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−125501(P2009−125501A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306586(P2007−306586)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】