説明

トッピングライン冷却装置

【課題】一般空調の室内において、冷却雰囲気下で弁当のトッピングを行うことができるトッピングライン冷却装置を提供する。
【解決手段】弁当箱28を順次搬送し、搬送されている弁当箱28に惣菜等30を順次トッピングすることができるベルトコンベア10を備え、このベルトコンベア10の搬送方向に沿った両縁部にベルトコンベア10上面より上方に突出する立ち上り部22a及び22bをそれぞれ備え、一方の立ち上り部22aから吹出された冷風を他方の立ち上り部22bから吸込むことによりベルトコンベア10上に包装室の室温よりも低温の冷却雰囲気を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベア等の搬送装置で搬送されている弁当箱に惣菜等をトッピングするトッピングラインを冷却するためのトッピングライン冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁当の製造において、米飯が充填された弁当箱に、別途製造した惣菜をトッピングするトッピングラインが設けられている。
【0003】
このようなトッピングラインでは、雑菌等の繁殖を防ぐために室温15℃から20℃程度に冷却された包装室内に弁当箱を搬送する搬送装置を設けており、搬送装置によって搬送される弁当箱に対して、作業員が手作業で惣菜を盛り付けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のトッピングラインでは、包装室の室温を15℃から20℃程度の低温に維持しなければならないため、包装室を当該温度に維持するための壁や天井の断熱工事が必要となるという問題がある。
【0005】
また、包装室全体を冷却するためにエネルギーコストがかかる。特に、15℃から20℃の温度に調整するためには特別な低温用空調機が必要となりコストがかかるという問題もある。
【0006】
さらに、包装室で作業する作業員が低温の環境下で作業しなければならず、健康上、好ましくないという問題もある。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、一般空調下にある包装室内であっても、冷却雰囲気下で弁当のトッピングを行うことができるトッピングライン冷却装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、弁当箱に惣菜等を順次トッピングするために搬送装置によって搬送される弁当箱の冷却を行うトッピングライン冷却装置であって、
前記搬送装置の搬送方向に沿った両側部に搬送面より上方に突出する立ち上り部をそれぞれ備え、一方の立ち上り部側から吹出された冷風を他方の立ち上り部側から吸込むことにより搬送面上に周囲温度よりも低温の冷却雰囲気を形成することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記搬送装置の搬送面上に形成される冷却雰囲気は5℃〜15℃であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のものにおいて、前記搬送装置をその搬送面を除き包囲するケーシングが設けられ、該ケーシング内には、前記立ち上り部に連通する空間が形成されると共に、冷却器とファンとが配設されて、冷却器からの冷風が、一方の立ち上り部から搬送面上に吹出されるとともに、ファンによって他方の立ち上り部から吸込まれることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記両立ち上り部はパンチングメタルにより構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送面上に冷却雰囲気を形成することができるため、作業室の室内温度が一般空調温度であっても、冷却雰囲気下で弁当のトッピングを行うことができる。搬送面より上方に突出する一対の立ち上り部によって、その間に冷却雰囲気を保持することができて、常に搬送面上を冷却することができる。
【0013】
搬送装置上に形成する冷却雰囲気の温度を調節することにより、一般空調温度の室内でチルド弁当のトッピングも可能となる。
【0014】
また、室内温度を低温に維持する必要がないため、作業室の壁・天井の断熱工事が不要となり、室内温度を下げるために用いられる低温用空調機も不要となり、低コストでトッピングラインを構成することができる。また、エネルギーコストが低減され、省エネルギーとなる。
【0015】
また、室内温度を低温にしないため、作業員の作業環境が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るトッピングラインの斜視図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】本発明に係るトッピングラインを斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1〜図3を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図において、トッピングラインでは、包装室内に搬送装置であるベルトコンベア10が設置されており、ベルトコンベア10の搬送面10aに置かれた弁当箱28が順次搬送されて、その途中で、順次、惣菜等30が順次トッピングされるようになっている。
【0018】
図示の例では、ベルトコンベア10が搬送方向に沿って直列に2台設置されており、ベルトコンベア10に本発明による冷却装置12が設けられている。
【0019】
冷却装置12は、ベルトコンベア10をその搬送面10aを除き包囲するケーシング14と、ベルトコンベア10の搬送方向に所定間隔をあけてケーシング14内に配設される複数の冷却器16と、ケーシング14内の各冷却器16の一面16aに対向してそれぞれ配設されるファン18により構成される。
【0020】
ケーシング14は、ベルトコンベア10の搬送方向に沿って、ベルトコンベア10の両側を覆う側壁20a及び20bを有している。側壁20a、20bの内側には、ベルトコンベア10の搬送方向に沿った両側部において、ベルトコンベア10の搬送面10aより上方に突出する立ち上り部22a及び22bを備えた内壁22が設けられる。立ち上り部22a及び22bはパンチングメタルにより構成されて、多数の孔または開口を有しており、側壁20aと内壁22の立ち上がり部22aとの間には空間26aが形成され、側壁20bと内壁22の立ち上がり部22bとの間には空間26bが形成される。また、ケーシング14内には仕切り壁24が設けられ、仕切り壁24に対して冷却器16とファン18とがそれぞれ固定される。
【0021】
冷却器16の他面16bが仕切り壁24の一方の面に形成された開口24aに臨むように配置される。また、仕切り壁24の他方の面に形成された開口24bにファン18が配置され、ファン18の吸気面18aは前記空間26bを向くように配設される。
【0022】
また、冷却器16を通過する冷媒は、ケーシング14外に配置される凝縮器、圧縮機及び膨張弁を循環するようになっている。
【0023】
以上のように構成されるトッピングライン冷却装置を用いて、弁当箱28に惣菜等30をトッピングする作業について説明する。
【0024】
室温を約20℃から25℃の常温に空調された包装室において、ベルトコンベア10、圧縮機及びファン18を駆動させる。これにより、ファン18によって冷却器16の一面16aに向かって送風が行われ、冷却器16を通過して熱交換されることによって得られた冷風は、他面16bから空間26aを通って、一方の立ち上り部22aから吹出され、ベルトコンベア10の搬送面10a上を幅方向に横断して他方の立ち上り部22bから吸込まれ、空間26bからファン18に吸引されて、循環される。
【0025】
これにより、ベルトコンベア10の搬送面10a上に、包装室の室温よりも低い冷却雰囲気が形成され、この冷却雰囲気中を弁当箱28がベルトコンベア10によって搬送される。
【0026】
作業員は、ベルトコンベア10の搬送方向に所定間隔をあけて複数人配置されており、冷却雰囲気中を搬送されてくる弁当箱28に番重32に装填された惣菜等30を順次トッピングしていく。このように、包装室の室温は常温であっても、ベルトコンベア10の搬送面10a上にはこれの搬送方向全長に渡って冷却雰囲気が形成されているので、弁当箱28を常時冷却雰囲気下で保持することができる。
【0027】
冷却装置によって形成されるベルトコンベア10の搬送面10a上の冷却雰囲気は、要求される設定温度になるように圧縮機または膨張弁が調整される。具体的な設定温度としては、5℃から20℃の間の任意の温度とすることができる。チルド弁当とすることが要求される場合には、低温の設定温度(好ましくは15℃以下)に、チルド以外の弁当とすることが要求される場合には、比較的高温の設定温度にすることができる。
【0028】
このように、ベルトコンベア10自体に冷却装置12を設けることにより、常温に空調された包装室で、冷却された弁当のトッピングを行うことができて、雑菌の繁殖を抑えることができる。立ち上がり部22a、22bによって、その間に冷却雰囲気を搬送面10a上に保持することができる。
【0029】
また、惣菜等30を収容する番重32を、番重自体に保冷機能を持たせた保冷番重とするか、または、番重32を保冷することができる保冷テーブルとすることにより、惣菜等30自体も常に冷却した状態に保持することができるため、雑菌の繁殖をさらに抑える効果が期待できる。
【0030】
このように本発明によれば、ベルトコンベア10に冷却装置12を設けており、包装室自体を冷却する必要がないため、包装室の壁や天井の断熱工事を行う必要がない。
【0031】
また、これにより、包装室を冷却するための冷温用空調機が不要なため、エネルギーコストが削減され省エネルギーとなる。
【0032】
さらに、包装室を冷却しないため、低温の中で作業しなければならなかった作業員の作業環境が改善され、働く人にやさしい職場環境となる。
【符号の説明】
【0033】
10 ベルトコンベア(搬送装置)
16 冷却器
22a 一方の立ち上り部
22b 他方の立ち上り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁当箱に惣菜等を順次トッピングするために搬送装置によって搬送される弁当箱の冷却を行うトッピングライン冷却装置であって、
前記搬送装置の搬送方向に沿った両側部に搬送面より上方に突出する立ち上り部をそれぞれ備え、一方の立ち上り部側から吹出された冷風を他方の立ち上り部側から吸込むことにより搬送面上に周囲温度よりも低温の冷却雰囲気を形成することを特徴とするトッピングライン冷却装置。
【請求項2】
前記搬送装置の搬送面上に形成される冷却雰囲気は5℃〜15℃であることを特徴とする請求項1記載のトッピングライン冷却装置。
【請求項3】
前記搬送装置をその搬送面を除き包囲するケーシングが設けられ、該ケーシング内には、前記立ち上り部に連通する空間が形成されると共に、冷却器とファンとが配設されて、冷却器からの冷風が、一方の立ち上り部から搬送面上に吹出されるとともに、ファンによって他方の立ち上り部から吸込まれることを特徴とする請求項1又は2記載のトッピングライン冷却装置。
【請求項4】
前記両立ち上り部はパンチングメタルにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のトッピングライン冷却装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate