説明

トッピング材料付着装置

【課題】トッピング材料が付着した固形食品の割合を増やすことができるトッピング材料付着装置を提供する。また、固形食品に付着しなかったトッピング材料を回収することができるトッピング材料付着装置を提供する。
【解決手段】本発明によるトッピング材料付着装置(1)は、固形食品(P)を落下させる移送部(2)と、溶融させたトッピング材料(F)を、落下している固形食品(P)に向かって側方から放出するトッピング材料放出部(4)を有する。トッピング材料放出部(4)は、上面(12b)を有する回転部材(12)と、溶融したトッピング材料(F)を回転部材(12)の上面(12b)に供給するトッピング材料供給部(18)を有する。トッピング材料(F)は、回転する回転部材(12)の上面(12b)に供給され、回転部材(12)の周縁部(12d)から線状に放出された後、粒化し、固形食品(P)に付着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッピング材料を固形食品に付着させるトッピング材料付着装置に係わり、更に詳細には、溶融したトッピング材料を固形食品に付着させるトッピング材料付着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポテトチップスに代表されるスナック菓子等の固形食品に、フレーク状の油脂加工食品等のトッピング材料を付着させる方法が知られている(特許文献1参照)。例えば、特許文献1に記載されている方法では、フライヤーから出てきた高温のポテトチップスをコンベヤで搬送し、コンベヤで搬送されているポテトチップスの上からチーズを含むフレーク状の油脂加工食品を振り掛ける。ポテトチップスの上に振り掛けられた油脂加工食品は、ポテトチップスの熱により溶融し、ポテトチップスに付着する。次いで、ポテトチップスを冷却し、溶融した油脂加工食品を固化させる。
【0003】
【特許文献1】特開平5-64546号公報 (段落0019参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の方法において、フレーク状の油脂加工食品が均一に振り掛けられないことがある。また、コンベヤで搬送されているポテトチップスが重なっていると、下側のポテトチップスに油脂加工食品が振り掛けられないこともある。その場合、油脂加工食品が付着しているポテトチップスの割合が少なくなる。すべてのポテトチップスに油脂加工食品が付着している必要はないが、油脂加工食品が付着しているポテトチップスの割合が多い方が好ましい。
また、ポテトチップスがない部分にフレーク状の油脂加工食品が振り掛けられると、コンベヤに油脂加工食品が付着してしまうことがある。この場合、ポテトチップスの生産終了後、油脂加工食品をコンベヤから除去する必要がある。
【0005】
そこで、本発明の第1の目的は、溶融可能なトッピング材料が付着した固形食品の割合を増やすことができるトッピング材料付着装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、固形食品に付着しなかった溶融可能なトッピング材料を回収することができるトッピング材料付着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1及び第2の目的を達成するために、本発明によるトッピング材料付着装置は、溶融可能なトッピング材料を固形食品に粒状に付着させるトッピング材料付着装置であって、固形食品を落下させることによってそれを移送する移送部と、溶融させたトッピング材料を、落下している固形食品の側方からこの固形食品に向かって放出するトッピング材料放出部と、を有し、トッピング材料放出部は、上下方向軸線を中心に回転し且つ周縁部を備えた上面を有する回転部材と、溶融したトッピング材料を回転部材の上面に供給するトッピング材料供給部とを有し、トッピング材料は、回転する回転部材の上面に供給されたとき、回転部材の上面の周縁部から線状に放出された後、粒化することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明によるトッピング材料付着装置によれば、固形食品を移送する移送部において、固形食品を落下させる。固形食品が落下しているとき、溶融させたトッピング材料をトッピング材料放出部から固形食品に向かって固形食品の側方から放出させ、それにより、トッピング材料を固形食品に付着させる。詳細には、溶融したトッピング材料を、上下方向軸線を中心に回転している回転部材の上面にトッピング材料供給部によって供給する。回転部材の上面に供給されたトッピング材料は、遠心力によって半径方向外方に移動し、周縁から放出される。このとき、トッピング材料は、その粘性のため、回転部材の上面の周縁全体から一様に放出されずに、線状になって放出される。線状に放出されたトッピング材料は、回転部材から遠ざかると、途切れて粒化する。粒化したトッピング材料が、落下している固形食品に付着する。次いで、好ましくは、トッピング材料が付着した固形食品を冷却する。
【0008】
従来技術では、フレーク状の油脂加工食品(トッピング材料)をポテトチップス(固形食品)に付着させていたため、トッピング材料が、固形食品の熱で溶融する前に固形食品から転がり落ちることがあったのに対し、本発明のトッピング材料付着装置は、溶融させ且つ粒化させたトッピング材料を固形食品に付着させるので、トッピング材料が固形食品に付着し易くなる。その結果、トッピング材料が付着した固形食品の割合を増やすことができる。
【0009】
また、本発明のトッピング材料付着装置では、固形食品を落下させたとき、重なって移送されてきた固形食品をずらすことができる。それにより、固形食品にトッピング材料が付着する機会が増える。その結果、トッピング材料が付着した固形食品の割合を増やすことができる。
【0010】
また、落下している固形食品の側方からトッピング材料を放出しているので、固形食品に付着しなかったトッピング材料は、固形食品の反対側に通り抜ける。それにより、従来技術においてコンベヤ等に付着していたトッピング材料を、固形食品の反対側で回収することが可能になる。
【0011】
本発明によるトッピング材料付着装置において、好ましくは、回転部材の上面は、その中央部が下方に凹んでいる。
【0012】
このように構成されたトッピング材料付着装置では、溶融したトッピング材料が、回転部材の上面に溜まって、安定的にトッピング材料の液膜が形成され、その後、溶融したトッピング材料が回転部材の周縁部から放出されるので、トッピング材料の放出量を安定させることができる。
【0013】
本発明によるトッピング材料付着装置において、好ましくは、回転部材の周縁部は、半径方向に延びる溝を有する。
【0014】
このように構成されたトッピング材料付着装置では、回転部材の上面の周縁部から放出されるトッピング材料の位置が、溝の位置になるため、粒化されたトッピング材料の径を安定させることができる。
【0015】
本発明によるトッピング材料付着装置において、好ましくは、粒化されたトッピング材料の径が1〜10mmである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるトッピング材料付着装置によれば、トッピング材料が付着した固形食品の割合を増やすことができる。
また、本発明によるトッピング材料付着装置によれば、固形食品に付着しなかったトッピング材料を回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1及び図2を参照して、本発明によるトッピング材料付着装置の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態であるトッピング材料付着装置の概略的な全体図である。図2は、トッピング材料放出部の平面図である。以下に説明する実施形態では、例示として、固形食品をポテトチップスとして説明する。
【0018】
図1に示すように、トッピング材料付着装置1は、ポテトチップスPを落下させることによってそれを移送する移送部2と、溶融させたトッピング材料Fを、落下しているポテトチップスPの側方からこのポテトチップスPに向かって放出するトッピング材料放出部4とを有している。
【0019】
移送部2は、上方に設けられた上流側コンベヤ6と、下方に設けられた下流側コンベヤ8とを有している。下流側コンベヤ8は、上流側コンベヤ6の下流端6aから落下したポテトチップスPを受け止める位置に配置されている。上流側コンベヤ6及び下流側コンベヤ8は、ポテトチップスPが搬送される無端ベルト10を有していることが好ましい。上流側コンベヤ6及び下流側コンベヤ8は、水平方向に配置されていてもよいし、傾斜して配置されていてもよい。
【0020】
また、落下しているポテトチップスPを挟んでトッピング材料放出部4の反対側には、ポテトチップスPに付着しないでそれを通り越してきたトッピング材料Fを受け止めるための壁11が設けられている。壁11は、加熱されていることが好ましい。この場合、溶融して壁11を伝って流れ落ちるトッピング材料Fを受け止める受け部(図示せず)が壁11の下方に設けられるのがよい。
【0021】
トッピング材料放出部4は、上下方向軸線12aを中心に回転する且つ上面12bを有する回転部材12と、回転部材を回転させるために回転部材の上方に配置された回転駆動部14と、回転部材12の周囲を覆うケース16と、溶融したトッピング材料Fを回転部材12の上面12bに供給するトッピング材料供給部18と、を有している。
【0022】
トッピング材料供給部18は、溶融したトッピング材料Fを収容するヒータ付きのリザーバ18aと、リザーバから延びる配管18bと、この配管18bに接続され且つリザーバ18a内のトッピング材料Fを圧送するためのポンプ18cと、ポンプ18cから回転部材12の上方まで延びる配管18dとを有している。リザーバ18aは、その中のトッピング材料Fを攪拌する攪拌翼18eを有していることが好ましい。
【0023】
ケース16は、例えば、円筒形であり、側壁16aと底壁16bとを有し、上向きに開放している。側壁16aの移送部2側には、窓16cが設けられている。後述するように、この窓16cを通して、トッピング材料Fが、落下しているポテトチップスPに放出される。底壁16bには、孔16dがあけられ、この孔に、ケース16に溜まったトッピング材料Fをリザーバ18aに戻すトッピング材料循環部20が接続されることが好ましい。トッピング材料循環部20は、孔16dから延びる配管20aと、この配管20aに接続されたポンプ20bと、ポンプ20bからリザーバ18aまで延びる配管20cとを有している。
【0024】
ケース16、トッピング材料供給部18及びトッピング材料循環部20は、トッピング材料Fを溶融状態に保つために、温水ジャケット等により温められることが好ましい。ポンプ18c、20bは、粘性液体用のスクリュー式ポンプ、ギア式ポンプ、ペリスタリックポンプ等であることが好ましい。
【0025】
回転部材12の上面12bは、中央部12cと周縁部12dを有している。図2に示すように、回転部材12の上面12bは、その中央部12cが下方に凹んでいることが好ましい。また、回転部材12の周縁部12dは、半径方向に延びる溝12eを有していることが好ましい。回転部材12の外径は、例えば、50〜500mmである。溝12eの数は、任意であり、例えば、10〜50である。回転部材の回転数は、例えば、100〜2000rpmである。
【0026】
トッピング材料Fは、好ましくは、0〜50℃の任意の範囲で固化し、溶融したときに径が、好ましくは、0.1〜10mm、更に好ましくは、1.0〜10mmの粒状になり得る材料である。また、トッピング材料Fは、回転する回転部材12の上面12bに供給されたとき、回転部材12の上面12bの周縁部12dから線状に放出された後、粒化される性質を有するものである。
【0027】
トッピング材料F、例えば、油脂を含む油脂加工食品である。油脂は、植物性油脂であっても、動物性油脂であっても、それらの混合物であってもよい。植物性油脂は、例えば、ナタネ油、大豆油、ひまわり種子油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カボック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、チョコレート等のカカオ脂、ヤシ油、パーム核油であり、動物性油脂は、例えば、乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油である。また、油脂加工食品は、これらの油脂を硬化、分別、エステル交換等した加工油脂であってもよいし、糖類、粉乳類、アミノ酸類、乳化剤のうちの1種以上を含んでいてもよい。また、トッピング材料は、溶融し且つノズルから放出可能な任意の食品材料であってもよく、例えば、油脂を含む食品、具体的には、チョコレート等であってもよい。JIS−K2207に基づく環球法による油脂加工食品又は油脂を含む食品の軟化点は、好ましくは、25〜50℃であり、更に好ましくは、30〜45℃である。
【0028】
次に、本発明の実施形態であるトッピング材料付着装置の動作を説明する。
【0029】
例えば、フライヤー(図示せず)で揚げられたポテトチップスPを上流側コンベヤ6によって搬送する。ポテトチップスPは、上流側コンベヤ6の下流端6aに到達した順番にそこから落下し、それにより、下流側コンベヤ8に向かって移送される。上流側コンベヤ6の上で重なっていたポテトチップスPは、下流端6aから落下する際、その位置がずらされる。
【0030】
それと同時に、リザーバ18a内の溶融状態のトッピング材料Fを配管18b、18dを通してポンプ18cによって圧送し、トッピング材料Fを回転部材12の上面12bに供給する。回転部材12を回転駆動部14によって矢印Aの方向に回転させると、回転部材12の上面12bに供給されたトッピング材料Fは、遠心力によって半径方向外方に移動すると共に、上面12b上に安定的な液膜を形成し、次いで、図1及び図2の符号FLで示すように、周縁部12dの溝12eの位置から線状に放出される。放出されたトッピング材料Fの一部は、ケース16の窓16cを通過して、落下しているポテトチップスPに向かって飛んでいく。ケース16の側壁16aにぶつかったトッピング材料Fは、底壁16bの上に溜まり、配管20a、20cを通してポンプ20bによってリザーバ18aに戻すのがよい。
【0031】
線状に放出されたトッピング材料FLは、回転部材12から遠ざかると、途切れて粒化する。粒化したトッピング材料Fが、落下しているポテトチップスPにぶつかることにより、トッピング材料FがポテトチップスPに付着する。ポテトチップスPに付着しなかったトッピング材料Fは、ポテトチップスPを通り越して壁11に達し、壁11に付着する。壁11に付着したトッピング材料Fを回収することが好ましい。
【0032】
トッピング材料Fの粒径を調整するために、回転部材12の回転数、溝12dの数を変化させるのがよい。
【0033】
回転部材12の変形例として、回転部材12は、図3〜図5に示す形態であってもよい。図3〜図5は、変形例の回転部材の平面図である。即ち、図3に示す回転部材12'のように、回転部材12の溝12eを省略してもよいし、図4に示す回転部材12''ように、単なる平らな円盤にしてもよいし、図5に示す12'''のように、平らな円盤の周囲に凹凸輪郭12e'''を設けてもよい。また、回転部材12を上下逆に取付けてもよい。
【0034】
本発明の実施形態であるトッピング材料付着装置1は、粒化されたトッピング材料の径を比較的大きくすることができる。粒化されたトッピング材料の径は、0.1〜10mmであることが好ましく、1〜10mmであることが更に好ましい。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
上記実施形態では、固形食品がポテトチップスであるとして説明したが、トッピング材料を付着させる固形食品であれば、他のスナック菓子等であってもよい。
また、上記実施形態では、ケース16に窓16cを設けることによって、回転部材12から放出されてポテトチップスPに到達する溶融トッピング材料Fの範囲を制限したが、ケース16を設けないで、回転部材12の周りを包囲するようにポテトチップスPを落下させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるトッピング材料付着装置の概略的な全体図である。
【図2】図1のケース及び回転部材の平面図である。
【図3】回転部材の変形例を示す平面図である。
【図4】回転部材の変形例を示す平面図である。
【図5】回転部材の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 トッピング材料付着装置
2 移送部
4 トッピング材料放出部
6 上流側コンベヤ
8 下流側コンベヤ
12 回転部材
12a 上下方向軸線
12b 上面
12c 中央部
12d 周縁部
12e 溝
18 トッピング材料供給部
F トッピング材料
FL 線状のトッピング材料
P ポテトチップス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融可能なトッピング材料を固形食品に粒状に付着させるトッピング材料付着装置であって、
固形食品を落下させることによってそれを移送する移送部と、
溶融させたトッピング材料を、落下している固形食品の側方からこの固形食品に向かって放出するトッピング材料放出部と、を有し、
前記トッピング材料放出部は、上下方向軸線を中心に回転し且つ周縁部を備えた上面を有する回転部材と、溶融したトッピング材料を前記回転部材の上面に供給するトッピング材料供給部と、を有し、
トッピング材料は、回転する前記回転部材の上面に供給されたとき、前記回転部材の上面の周縁部から線状に放出された後、粒化することを特徴とするトッピング材料付着装置。
【請求項2】
前記回転部材の上面は、その中央部が下方に凹んでいることを特徴とする請求項1に記載のトッピング材料付着装置。
【請求項3】
前記回転部材の周縁部は、半径方向に延びる溝を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のトッピング材料付着装置。
【請求項4】
粒化されたトッピング材料の径が1〜10mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトッピング材料付着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−289003(P2007−289003A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116977(P2006−116977)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(591115578)カルビー株式会社 (28)
【Fターム(参考)】