説明

トナーカートリッジ

【課題】 トナーの不正な再充填を防止するトナーカートリッジを提供する。
【解決手段】 トナーカートリッジ30内部にトナー33を充填する、トナー充填路32を備えたトナーカートリッジ30であって、トナーカートリッジ30の内側から前記トナー充填路32に取り付けられることにより前記トナー充填路32を閉鎖する閉鎖体41を有しており、閉鎖体41には、トナーカートリッジ30の外側からトナー充填路32を通じて閉鎖体41を取り付け操作するための操作体42が設けらる。操作体42を操作して、閉鎖体41でトナー充填路32を閉鎖した後、閉鎖体41から操作体42が分離されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーカートリッジに関し、より詳しくは、トナーの不正な再充填を防止するトナーカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複合機、及びファクシミリ等の画像形成装置には、トナーを蓄えるトナーカートリッジが設けられており、トナーが消費されて交換時期が来ると、トナーカートリッジごと新しいものと交換されている。一方、トナーが切れた使用済みのトナーカートリッジは、回収されるか廃棄処分されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−352864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、純正品メーカー以外の業者が使用済みのトナーカートリッジを回収して、トナーを再度充填し、純正品より安い販売価格で販売することが行われている。このようなトナーカートリッジには、純正品より品質の低いトナーが使用されていることがあり、このようなトナーカートリッジが使用されると画像形成装置の印字不具合などの問題が発生する場合がある。
【0004】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであり、トナーの不正な再充填を防止するトナーカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1に記載の発明では、トナーカートリッジ内部にトナーを充填する、トナー充填路を備えたトナーカートリッジであって、
前記トナーカートリッジの内側から前記トナー充填路に取り付けられることにより前記トナー充填路を閉鎖する閉鎖体を有しており、
前記閉鎖体には、前記トナーカートリッジの外側から前記トナー充填路を通じて前記閉鎖体を取り付け操作するための操作体が設けられており、
前記操作体を操作して、前記閉鎖体で前記トナー充填路を閉鎖した後、前記閉鎖体から操作体が分離されることを特徴とするトナーカートリッジとする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のトナーカートリッジであって、
前記トナー充填路の外側開口部から内側開口部に向けて嵌入されうる外形と、トナーを通過させる内通路と、前記トナー充填路の所定位置より奥に嵌入されることを阻止する嵌入阻止手段と、前記トナー充填路内で肉厚方向外向きの力が加わることにより前記トナー充填路の所定位置から抜脱することを阻止する逆止手段と、を備えた内筒部材と、
前記トナー充填路を通過自在であり、トナーカートリッジの内側から前記内筒部材に取り付けられることにより前記内通路を閉鎖し、かつ、前記内筒部材の前記逆止手段に肉厚方向外向きの力を加える、閉鎖体と、
を有しており、前記トナー充填路を通じて前記閉鎖体をトナーカートリッジの内側に入れ、続いて前記トナー充填路に前記内筒部材を嵌入した後、前記閉鎖体で前記内筒部材の内通路を閉鎖するとともに、前記逆止手段に肉厚方向外向きの力を加えて前記内筒部材を前記トナー充填路内に固定することを特徴とするトナーカートリッジとする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記逆止手段は、内筒部材の内側端縁部に形成された切欠舌片部と、前記切欠舌片に形成され、前記トナー充填路の内側開口縁部に係合する逆止爪部と、を有していることを特徴とするトナーカートリッジとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、トナー充填路を閉鎖する閉鎖体は、トナーカートリッジの内側からトナー充填路に取り付けられており、一旦取り付けられた後は、トナーカートリッジの外側に取り外すことはできず、トナーを再充填するためにはトナーカートリッジの内側に向けて取り外すことしかできない。このとき、閉鎖体に設けられていた操作体は、閉鎖体からすでに分離しているため、閉鎖体をトナーカートリッジの内側に向けて取り外した場合は、閉鎖体を外側から支持することができずに閉鎖体はトナーカートリッジの内側に脱落する。トナーカートリッジの内側に脱落した閉鎖体はアジテータの動作を阻害し、トナーの攪拌や搬送を阻害するため、トナーカートリッジの機能を損なわせることとなる。
また、閉鎖体が内側に脱落することを阻止したとしても、操作体は閉鎖体から分離しているため、閉鎖体の取り付け操作を行うことができず、再度トナー充填路を閉鎖体で閉鎖することはできない。
従って、閉鎖体を内側に取り外してトナーを再充填しても、トナーカートリッジの機能が損なわれるか、トナー充填路を再度閉鎖することができなくなるため、トナーの不正な再充填を防止することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、トナー充填路を通じて閉鎖体をトナーカートリッジの内側に入れ、続いてトナー充填路に内筒部材を嵌入した後、前記閉鎖体で前記内筒部材の内通路を閉鎖するため、トナーカートリッジにトナーを充填した後に、閉鎖体をトナーカートリッジの外側から内部に入れることができる。このため、トナー充填路の閉鎖を容易に行うことができる。
一方、内筒部材の内通路を閉鎖する閉鎖体は、トナーカートリッジの内側から内通路に取り付けられており、一旦取り付けられた後は、トナーカートリッジの外側に取り外すことはできず、トナーを再充填するためにはトナーカートリッジの内側に向けて取り外すことしかできない。このとき、閉鎖体に設けられていた操作体は、閉鎖体からすでに分離しているため、閉鎖体をトナーカートリッジの内側に向けて取り外した場合は、閉鎖体を外側から支持することができずに閉鎖体はトナーカートリッジの内側に脱落する。トナーカートリッジの内側に脱落した閉鎖体はアジテータの動作を阻害し、トナーの攪拌や搬送を阻害するため、トナーカートリッジの機能を損なわせることとなる。
また、閉鎖体が内側に脱落することを阻止したとしても、操作体は閉鎖体から分離しているため、閉鎖体の取り付け操作を行うことができず、再度トナー充填路を閉鎖体で閉鎖することはできない。
また、閉鎖体は逆止手段に肉厚方向外向きの力を加えて内筒部材をトナー充填路内に固定しているため、閉鎖体が内筒部材に取り付けられている状態では、内筒部材ごとトナーカートリッジから取り外すことはできず、トナーを再充填することはできない。
従って、閉鎖体を内側に取り外してトナーを再充填しても、トナーカートリッジの機能が損なわれるか、トナー充填路を再度閉鎖することができず、閉鎖体を取り付けた状態では内筒部材をトナーカートリッジから取り外すことはできない。このため、トナーの不正な再充填を防止することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、逆止手段は、内筒部材の内側端縁部に形成された切欠舌片部と、切欠舌片に形成され、トナー充填路の内側開口縁部に係合する逆止爪部と、を有しており、内筒部材がトナー充填路に嵌入された状態で、閉鎖体が内筒部材に取り付けられると、閉鎖体が切欠舌片部に肉厚方向外向きの力を加えることとなるため、逆止爪部がトナー充填路の内側開口縁部に係合した状態が維持され、内筒部材がトナー充填路内に固定された状態が維持される。従って、閉鎖体が内筒部材に取り付けられている状態では、内筒部材ごとトナーカートリッジから取り外すことはできず、トナーを再充填することはできない。このため、トナーの不正な再充填を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例に係るトナーカートリッジについて、図を用いて説明する。
【0015】
まず、図1を用いて、プリンタ(画像形成装置)1の概略構成を説明する。プリンタ1は、画像形成プロセスに係る装置が収納されたプリンタ本体2と、記録用紙を供給する給紙カセット3と、を備えている。このプリンタ1内には、フレーム等の間隙内に、記録用紙の搬送経路Rが形成されている。この搬送経路Rは、給紙カセット3から供給された記録用紙を、プリンタ本体2に備える画像形成プロセスに係る装置を経由して搬送させるための経路である。そして、プリンタ本体2には、この搬送経路Rに沿って、記録用紙を搬送するための各種ローラと、画像形成プロセスに係る各手段と、が配置されている。
【0016】
給紙カセット3内には、搬送経路Rの始端部が位置している。給紙カセット3には、記録用紙が載置されるフラッパ14と、搬送経路Rの始端部に配置されるピックアップローラ15と、セパレートローラ16と、リタードローラ17とが、備えられている。セパレートローラ16およびリタードローラ17は、記録用紙を一枚だけ搬送経路Rへと送り出すための手段である。
【0017】
プリンタ本体2には、搬送経路Rに沿って、搬送に係る各種ローラとして、レジストローラ対4、感光体ドラム5および転写ローラ6、ヒートローラ7およびプレスローラ8、搬送ローラ対9、排出ローラ対10、が備えられている。これらのローラのうち、一部は、画像形成プロセスに係る手段を兼用している。感光体ドラム5は感光手段であり、転写ローラ6は転写手段であり、ヒートローラ7およびプレスローラ8は定着手段である。また、感光体ドラム5の外周周辺には、この感光体ドラム5の回転方向に沿って、画像形成プロセスに係る手段として、現像ローラ(現像手段)11、帯電器(帯電手段)12、LED(露光手段)13等、が配置されている。このようにして、搬送経路Rに沿って、画像形成プロセスに係る各手段も配置されている。
【0018】
ここで、画像形成プロセスに係る装置の一部は、プリンタ本体2に対してはめ込み自在の交換部品(カートリッジ)に備えられる構成である。プリンタ1に備えられるカートリッジには、プロセスカートリッジ20とトナーカートリッジ30とがある。プロセスカートリッジ20には、感光体ドラム5や現像ローラ11等のプロセス装置が備えられている。また、トナーカートリッジ30には、プロセスカートリッジ20に供給するためのトナー(新トナー)が蓄えられると共に、プロセスカートリッジ20から排出されるトナー(廃トナー)が収容される。
【0019】
図1にはプリンタ1の正面断面図を図示しているが、プロセスカートリッジ20およびトナーカートリッジ30は、プリンタ本体2に対して前後方向で挿脱される。プリンタ本体2のフレーム内には、前後方向で挿入されたプロセスカートリッジ20およびトナーカートリッジ30をそれぞれ支持する受け部が形成されている。
【0020】
次に、トナーカートリッジ30について説明する。図2に示すように、トナーカートリッジ30は内部にトナー33を蓄えるトナー貯溜部31を有しており、トナー貯溜部31と外部とを連通させるトナー充填路32を備えている。トナー33はトナー充填路32を通じて外部からトナー貯溜部31に供給される。本実施例におけるトナー充填路32の断面形状は円形としている。
【0021】
閉鎖体41はトナー充填路32に取り付けられることにより、トナー充填路32を閉鎖するためのものである。図2に示すように、本実施例における閉鎖体41は円錐台状の栓であり、弾性を有する合成樹脂素材で形成されている。閉鎖体41はトナー充填路32の内側(トナーカートリッジ30の内部側)の開口部に圧入されて弾性変形することによりトナー充填路32を閉鎖する。
【0022】
図2に示すように、閉鎖体41には、トナーカートリッジ30の外側からトナー充填路32を通じて閉鎖体41を取り付け操作するための操作体42が設けられている。操作体42の一端部は、閉鎖体41のトナー充填路32に圧入される側に固定されており、操作体42の長さは、閉鎖体41がトナー充填路32に圧入されていない状態において、トナー充填路32の外側(トナーカートリッジ30の外側)から突出し、操作体42の他端部を支持して操作できる長さとしている。操作体42の自由端側には操作を容易にするために支持部43が形成されている。閉鎖体41をトナー充填路32に取り付ける場合には、操作体42に外向きの張力を加えることにより、閉鎖体41をトナー充填路32に圧入する。
【0023】
また、操作体42は、閉鎖体41がトナー充填路32に圧入されてトナー充填路32を閉鎖した後、閉鎖体41から分離されるものである。操作体42には、閉鎖体41の圧入後に破断するように破断部44が形成されている。破断部44は他の部分より引き抜き方向に直交する方向の断面積を減少させることにより強度を低下させた部分である。破断部44は閉鎖体41がトナー充填路32に圧入されて行き、閉鎖体41が充分圧入されて確実にトナー充填路32が閉鎖された段階の引張応力によって破断するように断面積が決定されている。また、破断部44は閉鎖体41に固定された根元付近に形成されており、破断した後、閉鎖体41に残った操作体42を用いて閉鎖体41を取り外したり、取り付けたりする操作ができないようにしている。
【0024】
次に、本実施例に係るトナーカートリッジ30において、トナー充填路32を閉鎖体41で閉鎖する場合について説明する。まず図2に示すように、閉鎖体41は、トナー33をトナー貯溜部31に充填する前にトナーカートリッジ30の内側に入れておくものとする。トナー33を貯溜した後、操作体42に外向きの張力を加えることにより、閉鎖体41をトナー充填路32に圧入する。図3に示すように、閉鎖体41がトナー充填路32に圧入されて行き、閉鎖体41が充分圧入されて確実にトナー充填路32が閉鎖された段階で、操作体42に形成された破断部44が破断し、閉鎖体41から操作体42が分離されて、閉鎖体41によるトナー充填路32の閉鎖が完了する。尚、本実施例では、破断部44によって操作体42が分離することとしたが、別途切断手段を用いて操作体42を切断するようにしてもよい。
【0025】
上記実施例1に係るトナーカートリッジ30によれば、トナー充填路32を閉鎖する閉鎖体41は、トナーカートリッジ30の内側からトナー充填路32に取り付けられている。一旦取り付けられた後は、トナーカートリッジ30の外側に取り外すことはできず、トナー33を再充填するためにはトナーカートリッジ30の内側に向けて取り外すことしかできない。このとき、閉鎖体41に設けられていた操作体42は、閉鎖体41からすでに分離しているため、閉鎖体41をトナーカートリッジ30の内側に向けて取り外した場合は、閉鎖体41を外側から支持することができずに閉鎖体41はトナーカートリッジ30の内側に脱落する。トナーカートリッジ30の内側に脱落した閉鎖体41はアジテータの動作を阻害し、トナー33の攪拌や搬送を阻害するため、トナーカートリッジ30の機能を損なわせることとなる。
【0026】
また、閉鎖体41が内側に脱落することを何らかの手段で阻止したとしても、操作体42は閉鎖体41から分離しているため、閉鎖体41の取り付け操作を行うことができず、再度トナー充填路32を閉鎖体41で閉鎖することはできない。
【0027】
このため、閉鎖体41を内側に取り外してトナー33を再充填しても、トナーカートリッジ30の機能が損なわれるか、トナー充填路32を再度閉鎖することができなくなるため、トナー33の不正な再充填を防止することができる。
【実施例2】
【0028】
次に、本発明の実施例2に係るトナーカートリッジ30について説明する。実施例2では、トナー充填路32に内筒部材51を設けており、閉鎖体41は内筒部材51を介してトナー充填路32を閉鎖している点が実施例1に係るトナーカートリッジ30と大きく異なっている。実施例1と同一部分は同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0029】
図8に示すように、実施例2では、トナー充填路32に内筒部材51が設けられており、閉鎖体41は内筒部材51を介してトナー充填路32を閉鎖している。図4に示すように、内筒部材51は、筒形状であり、トナー充填路32の外側開口部から内側開口部に向けて嵌入されうる外形を有し、内側にはトナー33を通過させる内通路52を有している。内筒部材51の外側縁部(トナーカートリッジ30の外側になる側であり、図示右側)には、内筒部材51がトナー充填路32に嵌入された際に、トナー充填路32の所定位置より奥に嵌入されることを阻止するため、嵌入阻止手段としてのフランジ部53が形成されている。フランジ部53はトナー充填路32の外側端縁に当接することによって、内筒部材51が所定位置より奥に嵌入されることを阻止するものである(図8参照)。
【0030】
また、図4に示す内筒部材51の内側端縁部(トナーカートリッジ30の内側になる側であり、図示左側)には、逆止手段としてのスナップフィット部54が設けられている。スナップフィット部54は、内筒部材51がトナー充填路32に嵌入された際に、内筒部材51がトナー充填路32の所定位置から抜脱することを阻止するものである。スナップフィット部54は、内筒部材51の内側端縁部に形成された切欠舌片部55と、切欠舌片に形成される逆止爪部56とから構成される。切欠舌片部55は、その両側に一端が開放端である1対のスリット57が形成されているため、自由端側が揺動可能であり、トナー充填路32内で内筒部材51の肉厚方向外向きの力が加わることにより、自由端側が押動され、逆止爪部56がトナー充填路32の内側開口縁部に係合し、その状態が維持される。また、逆止爪部56の前面にはテーパー部58が形成されており、内筒部材51をトナー充填路32に嵌入する際に、嵌入が容易となるようにしている。
【0031】
また、実施例2に係るトナーカートリッジ30では、閉鎖体41は、内筒部材51の内通路52に取り付けられることにより、トナー充填路32を閉鎖するものである。図5に示すように、閉鎖体41はトナー充填路32を通過自在であり、図8に示すように、内筒部材51の内通路52を閉鎖する。尚、閉鎖体41が円錐台状の栓であり、弾性を有する合成樹脂素材で形成されている点、操作体42が設けられている点、及び、操作体42には、閉鎖体41を内通路52に圧入した後に破断するように破断部44が形成されている点は、実施例1と同様である。
【0032】
次に、本実施例に係るトナーカートリッジ30において、トナー充填路32を内筒部材51を介して閉鎖体41で閉鎖する場合について説明する。まず図5に示すように、トナーカートリッジ30には、予めトナー33をトナー貯溜部31に充填しておくものとし、その後、閉鎖体41をトナーカートリッジ30の内側に入れるものとする。実施例2では、閉鎖体41はトナー充填路32より径が小さく通過自在であるため、トナー33を充填した後、トナーカートリッジ30の外側から内側に入れることができ、トナー充填路32の閉鎖を容易に行うことができる。
【0033】
閉鎖体41をトナーカートリッジ30の内側に入れた後、図6に示すように、トナー充填路32に内筒部材51を嵌入する。トナー充填路32に内筒部材51を嵌入する際には、内筒部材51に設けられたスナップフィット部54はトナー充填路32の内壁によって押圧され、内筒部材51の肉厚方向内向きに弾性変形するため、内筒部材51の嵌入の障害とはならない。
【0034】
内筒部材51がトナー充填路32に嵌入され、トナー充填路32の所定位置まで嵌入されると、フランジ部53がトナー充填路32の外側端縁に当接して、内筒部材51が所定位置より奥に嵌入されることを阻止する。また、スナップフィット部54はもとの状態に復元して、逆止爪部56がトナー充填路32の内側開口縁部に係合し、内筒部材51がトナー充填路32の所定位置から抜脱することを阻止する。
【0035】
次に、図7に示すように、操作体42に外向きの張力を加えることにより、閉鎖体41を内筒部材51の内通路52に圧入する。そして、図8に示すように、閉鎖体41が内通路52に圧入されて行き、閉鎖体41が充分圧入されて確実に内通路52及びトナー充填路32が閉鎖された段階で、操作体42に形成された破断部44が破断し、閉鎖体41から操作体42が分離されて、閉鎖体41によるトナー充填路32の閉鎖が完了する。また、この状態では、閉鎖体41がスナップフィット部54に内筒部材51の肉厚方向外向きの力を加えているため、スナップフィット部54の逆止爪部56がトナー充填路32の内側開口縁部に係合した状態が維持されることとなる。
【0036】
上記実施例2に係るトナーカートリッジ30によれば、トナー充填路32を通じて閉鎖体41をトナーカートリッジ30の内側に入れ、続いてトナー充填路32に内筒部材51を嵌入した後、閉鎖体41で内筒部材51の内通路52を閉鎖するため、トナーカートリッジ30にトナー33を充填した後に、閉鎖体41をトナーカートリッジ30の外側から内側に入れることができる。このため、トナー充填路32の閉鎖を容易に行うことができる。
【0037】
また、内筒部材51の内通路52を閉鎖する閉鎖体41は、トナーカートリッジ30の内側から内通路52に取り付けられており、一旦取り付けられた後は、トナーカートリッジ30の外側に取り外すことはできず、トナー33を再充填するためにはトナーカートリッジ30の内側に向けて取り外すことしかできない。このとき、閉鎖体41に設けられていた操作体42は、閉鎖体41からすでに分離しているため、閉鎖体41をトナーカートリッジ30の内側に向けて取り外した場合は、閉鎖体41を外側から支持することができずに閉鎖体41はトナーカートリッジ30の内側に脱落する。トナーカートリッジ30の内側に脱落した閉鎖体41はアジテータの動作を阻害し、トナー33の攪拌や搬送を阻害するため、トナーカートリッジ30の機能を損なわせることとなる。
【0038】
また、閉鎖体41が内側に脱落することを阻止したとしても、操作体42は閉鎖体41から分離しているため、閉鎖体41の取り付け操作を行うことができず、再度トナー充填路32を閉鎖体41で閉鎖することはできない。
【0039】
従って、閉鎖体41を内側に取り外してトナー33を再充填しても、トナーカートリッジ30の機能が損なわれるか、トナー充填路32を再度閉鎖することができず、閉鎖体41を取り付けた状態では内筒部材51をトナーカートリッジ30から取り外すことはできない。このため、トナー33の不正な再充填を防止することができる。
【0040】
更に、逆止手段としてのスナップフィット部54は、内筒部材51がトナー充填路32に嵌入された状態で、閉鎖体41が内筒部材51に取り付けられると、閉鎖体41がスナップフィット部54の切欠舌片部55を肉厚方向外向きの力を加えることとなるため、逆止爪部56がトナー充填路32の内側開口縁部に係合した状態が維持され、内筒部材51がトナー充填路32内に固定された状態が維持される。従って、閉鎖体41が内筒部材51に取り付けられている状態では、内筒部材51ごとトナーカートリッジ30から取り外すことはできず、トナー33を再充填することはできない。このため、トナー33の不正な再充填を防止することができる。
【0041】
尚、本実施形態の説明では、閉鎖体41は円錐台状の栓としたが、トナー充填路32を閉鎖できる形状であればよい。例えば、トナー充填路32がトナーカートリッジ30の内側に突出している形状の場合には、閉鎖体41はトナー充填路32に被嵌する形状とすることにより、トナー充填路32を閉鎖するようにしてもよい。
【0042】
閉鎖体41に設けられる操作体42は、破断することにより分離するものとしたが、これに限定されず、閉鎖体41でトナー充填路32を閉鎖した後分離できる構成であればよい。例えば、閉鎖体41と操作体42とが螺合されており、操作体42を回転させて緩めることによって分離できるようにしてもよい。
【0043】
以上説明した本発明の技術的範囲は、上記の実施例に限定されるものではなく、上記実施例の形状に限定されない。本発明の技術的範囲は、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】プリンタの正面断面図。
【図2】本発明の実施例1に係るトナーカートリッジ30の断面図。
【図3】本発明の実施例1に係るトナーカートリッジ30の断面図。
【図4】本発明の実施例2に係るトナーカートリッジ30の内筒部材51の斜視簡略図。
【図5】本発明の実施例2に係るトナーカートリッジ30の断面図。
【図6】本発明の実施例2に係るトナーカートリッジ30の断面図。
【図7】本発明の実施例2に係るトナーカートリッジ30の断面図。
【図8】本発明の実施例2に係るトナーカートリッジ30の断面図。
【符号の説明】
【0045】
30 トナーカートリッジ
31 トナー貯溜部
32 トナー充填路
33 トナー
41 閉鎖体
42 操作体
43 支持部
44 破断部
51 内筒部材
52 内通路
53 嵌入阻止手段としてのフランジ部
54 逆止手段としてのスナップフィット部
55 切欠舌片部
56 逆止爪部
57 スリット
58 テーパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーカートリッジ内部にトナーを充填する、トナー充填路を備えたトナーカートリッジであって、
前記トナーカートリッジの内側から前記トナー充填路に取り付けられることにより前記トナー充填路を閉鎖する閉鎖体を有しており、
前記閉鎖体には、前記トナーカートリッジの外側から前記トナー充填路を通じて前記閉鎖体を取り付け操作するための操作体が設けられており、
前記操作体を操作して、前記閉鎖体で前記トナー充填路を閉鎖した後、前記閉鎖体から操作体が分離されることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のトナーカートリッジであって、
前記トナー充填路の外側開口部から内側開口部に向けて嵌入されうる外形と、トナーを通過させる内通路と、前記トナー充填路の所定位置より奥に嵌入されることを阻止する嵌入阻止手段と、前記トナー充填路内で肉厚方向外向きの力が加わることにより前記トナー充填路の所定位置から抜脱することを阻止する逆止手段と、を備えた内筒部材と、
前記トナー充填路を通過自在であり、トナーカートリッジの内側から前記内筒部材に取り付けられることにより前記内通路を閉鎖し、かつ、前記内筒部材の前記逆止手段に肉厚方向外向きの力を加える、閉鎖体と、
を有しており、前記トナー充填路を通じて前記閉鎖体をトナーカートリッジの内側に入れ、続いて前記トナー充填路に前記内筒部材を嵌入した後、前記閉鎖体で前記内筒部材の内通路を閉鎖するとともに、前記逆止手段に肉厚方向外向きの力を加えて前記内筒部材を前記トナー充填路内に固定することを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、前記逆止手段は、内筒部材の内側端縁部に形成された切欠舌片部と、前記切欠舌片に形成され、前記トナー充填路の内側開口縁部に係合する逆止爪部と、を有していることを特徴とするトナーカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−165065(P2008−165065A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356414(P2006−356414)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】