トナー回収ユニット
【課題】トナーの漏れを防止できて簡素な構造のトナー回収ユニットを提供する。
【解決手段】本トナー回収ユニット11は、回収空間13aを区画する壁面13cと、壁面13cから突出した誘導パイプ16と、誘導パイプ16に外嵌されて回動しうる回転シャッタ17とを有する。誘導パイプ16は、周面16aに形成された第1の廃棄口21と、その外周面16d上に突設された係合突起22とを有する。回転シャッタ17は、誘導パイプ16の係合突起22を受け入れる周方向に長手の係合孔28を有する。係合突起22が係合孔28の一端28aに当接する状態に回転シャッタ17が回動されたときに、第1の廃棄口21は回転シャッタ17の周面壁17bに対向して閉じる。係合突起22が係合孔28の他端28bに当接する状態に回転シャッタ17が回動されたときに、第1の廃棄口21が第2の廃棄口24に対向し開く。
【解決手段】本トナー回収ユニット11は、回収空間13aを区画する壁面13cと、壁面13cから突出した誘導パイプ16と、誘導パイプ16に外嵌されて回動しうる回転シャッタ17とを有する。誘導パイプ16は、周面16aに形成された第1の廃棄口21と、その外周面16d上に突設された係合突起22とを有する。回転シャッタ17は、誘導パイプ16の係合突起22を受け入れる周方向に長手の係合孔28を有する。係合突起22が係合孔28の一端28aに当接する状態に回転シャッタ17が回動されたときに、第1の廃棄口21は回転シャッタ17の周面壁17bに対向して閉じる。係合突起22が係合孔28の他端28bに当接する状態に回転シャッタ17が回動されたときに、第1の廃棄口21が第2の廃棄口24に対向し開く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置において使用された使用済みのトナーを回収するトナー回収ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、例えば感光体ドラムにトナー像を形成し、このトナー像を用紙に転写するようにしている。その一方で、トナーが用紙に転写されずに感光体ドラムに残ることがある。残ったトナーを回収するためにトナー回収ユニットが設けられている。
トナー回収ユニットは、残ったトナーを感光体ドラムから回収し、回収したトナーを内部に溜めるとともに、トナー回収ユニットの外部に設けられた容器にパイプを介して搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1では、パイプは、トナー回収ユニットに設けられていて、パイプの先端にトナーを排出するための開口が形成されている。この開口を開閉可能な筒状の蓋である回転シャッタが、パイプの先端に回動自在に取り付けられている。回転シャッタがパイプの回りを回動することにより、開口が開閉できるようになっている。例えば容器がパイプに連結されているときには、開口が開き、容器がパイプに連結されていないときには、開口が閉じられている。
【特許文献1】特許第2897411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、回転シャッタは、パイプからの抜け止めや、パイプに対しての相対回動角度の規制を施されていないので、容器がパイプから外された状態で、回転シャッタが不用意に回動したり外れたりする虞がある。その結果、トナーが漏れ出す虞がある。
また、このような事態の発生を防止するために、パイプからの回転シャッタの抜け止めを設けることが考えられる。抜け止めとしては、例えば、パイプとは別体の止め輪を、パイプの外周に嵌め入れて、止め輪を回転シャッタの抜け止めとすることが考えられる。しかし、止め輪が必要となるので、部品点数が増えて、製造コストが高くなる。
【0005】
また、回転シャッタの回動角度を規制する場合も、抜け止めを設ける場合と同様に、部品点数が増加して、組立コストが高くなる。
そこで、本発明の目的は、トナーの漏れを防止できて簡素な構造のトナー回収ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトナー回収ユニットは、画像形成装置本体に着脱可能とされ、画像形成装置本体に取り付けられた状態で、画像形成装置本体で使用された使用済みのトナーを回収するトナー回収ユニットである。このトナー回収ユニットは、回収空間を区画する壁面と、この壁面から突出して形成され、回収空間に回収されたトナーを廃棄する際に回収空間のトナーを導き出すための略円筒状の誘導パイプと、この誘導パイプの周面に形成された第1の廃棄口と、上記誘導パイプの外周面上であって、上記第1の廃棄口よりも壁面よりに突設された係合突起と、円筒状の周面壁を有し、誘導パイプの周面を取り囲むように誘導パイプに外嵌されていて、誘導パイプの周面沿いに回動しうる回転シャッタと、この回転シャッタに形成され、上記誘導パイプの係合突起を受け入れる周方向に長手の係合孔と、上記係合突起が係合孔の長手方向の一端に当接する状態に回転シャッタが回動されたときに、上記第1の廃棄口を閉じるように、周面壁が第1の廃棄口に対向し、上記係合突起が係合孔の長手方向の他端に当接する状態に回転シャッタが回動されたときに、上記第1の廃棄口が開くように、第1の廃棄口に対向するように回転シャッタに形成された第2の廃棄口とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、係合孔の長手方向の端部と係合突起とが互いに当接して係合することにより、回転シャッタの回動角度範囲が規制される。また、壁面側にある係合孔の縁部と係合突起とが互いに係合することにより、回転シャッタが誘導パイプから脱落するのが防止される。その結果、本トナー回収ユニットが装置本体から取り外されたときに、第1の廃棄口の不用意な開放が抑制される。その結果、トナーの漏れの発生を抑制することができる。しかも、係合突起を、回転シャッタの抜け止め用と、回転シャッタの回転角度規制用とに兼用できるので、部品点数を少なくして構造を簡素化でき、その結果、製造コストを低減することができる。
【0008】
また、本発明において、上記回転シャッタは、壁面側にある係合孔の縁部の薄肉部を含む場合がある。この場合、回転シャッタを誘導パイプに取り付けるときに、薄肉部が弾性変形することにより、係合突起が薄肉部を乗り越えて係合孔に嵌まる。係合突起が係合孔に嵌まった状態では、薄肉部は弾力的に係合突起と係合して、抜け止めとして機能する。しかも、薄肉部は、簡素な構造で済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態のトナー回収ユニットが適用された画像形成装置の概略構成の模式図である。図1を参照する。
画像形成装置1は、入力部から与えられる画像データに基づきトナー像を形成し所定の転写材としての用紙に転写する画像形成装置本体としての画像形成部2と、この画像形成部2により転写されたトナー像を用紙に加熱定着させる定着装置3と、画像形成部2に用紙を供給しこの用紙を搬送する用紙搬送部4と、これら各部2,3,4を支持する画像形成装置本体としてのハウジング5とを有している。
【0010】
画像形成部2は、入力部から与えられる画像データに基づきこの画像データに応じた所定のビーム光を得るための光学部6と、光学部6からのビーム光に応じた静電潜像を形成するための円柱形状をなす像担持体としての感光体ドラム7と、高電圧を印加されることにより感光体ドラム7を帯電させるメインチャージャ8(帯電チャージャ)と、感光体ドラム7に形成された静電潜像をトナーにより顕像化する現像装置9と、感光体ドラム7に形成されたトナー像を用紙に転写するための転写部10とを有している。
【0011】
また、画像形成装置1は、用紙に転写されずに感光体ドラム7上に残った残留トナーを回収するトナー回収ユニット11を有している。トナー回収ユニット11は、感光体ドラム7から回収したトナーを、容器12へ搬送する。
図2は、トナー回収ユニット11の斜視図である。図1と図2を参照する。
トナー回収ユニット11は、一方向に長い箱形状をなしその内部に回収空間13aを区画する本体ケース13と、トナーを感光体ドラム7から除去して回収空間13a内に取り込むためのブレード等の除去部材14と、回収空間13a内に受け入れられたトナーを本体ケース13の長手方向Yに搬送する搬送部材15とを有している。搬送部材15には、駆動源としてのモータ(図示せず)が駆動可能に連結されている。
【0012】
トナー回収ユニット11は、画像形成装置本体としてのハウジング5に着脱可能とされている。トナー回収ユニット11の本体ケース13がハウジング5に取り付けられた状態では、本体ケース13の長手方向Yが感光体ドラム7の回転中心軸線に平行に配置され、除去部材14が感光体ドラム7の外周に接している。このようにトナー回収ユニット11がハウジング5に取り付けられた状態で、画像形成装置本体としての画像形成部2で使用された使用済みのトナーを回収する。回収されたトナーは、搬送部材15により本体ケース13の長手方向Yに沿って搬送される。
【0013】
図3は、トナー回収ユニット11の要部の断面図であり、画像形成装置本体に取り付けられた状態を図示している。図2と図3を参照する。
トナー回収ユニット11は、本体ケース13の長手方向Yの端面に設けられた誘導パイプ16と、この誘導パイプ16に回動可能に嵌め入れられた回転シャッタ17と、回転シャッタ17を所定の回転方向F1に付勢する付勢部材18と、この付勢部材18の付勢に抗して回転シャッタ17を回動させるための操作部19とを有している。
【0014】
誘導パイプ16は、回収空間13aに回収されたトナーを廃棄する際に回収空間13aのトナーを導き出すために設けられていて、本体ケース13において搬送部材15による搬送方向(長手方向Yに相当する。)の下流側の端部に配置されている。
トナー回収ユニット11がハウジング5に取り付けられた状態では、誘導パイプ16内が、トナーを廃棄できるように開放される。一方で、トナー回収ユニット11がハウジング5から取り外された状態では、回収空間13a内のトナーが漏れ出さないように、誘導パイプ16が、回転シャッタ17により塞がれる。
【0015】
この回転シャッタ17は、誘導パイプ16に回転自在に外嵌されていて、回動角度位置に応じて誘導パイプ16を塞いだり、または誘導パイプ16内を開放したりできる。
本実施形態では、回転シャッタ17は、付勢部材18により、所定の向きF1に付勢されている。これにより、トナー回収ユニット11がハウジング5から取り外された状態では、回転シャッタ17が、自律的に誘導パイプ16を塞ぐようになっている。また、トナー回収ユニット11がハウジング5に取り付けられた状態では、操作部19が、ハウジング5に設けられた当接部20に当接するようにされている。これにより、操作部19が操作されて、付勢部材18の付勢に抗して回転シャッタ17が自律的に所定距離で回動し、誘導パイプ16内が開放されるようになっている。
【0016】
また、本実施形態では、回転シャッタ17が誘導パイプ16から脱落するのを防止するための簡素な抜け止め構造、具体的には、後述する係合突起22および係合孔28が設けられている。
本体ケース13は、その箱形状の長手方向Yに沿って延びる複数の壁面13b(一部のみ図示)と、長手方向Yに対向する2つの壁面13c(一部のみ図示)とを有している。これら6つの壁面13b,13cは、所定厚みの板部材である。これら壁面13b,13cに取り囲まれた内側に回収空間13aを区画している。上述のように回収空間13a内に受け入れられたトナーは、搬送部材15により搬送される。
【0017】
搬送部材15は、軸15aと、この軸15aの外周に形成された螺旋状の羽根15bとを有している。軸15aは、本体ケース13の長手方向Yに沿って延びていて、その両端部が回転自在に支持されている。軸15aの一方の端部(図示せず)は、モータにより駆動可能に連結されている。また、軸15aの他方の端部15cは、誘導パイプ16内に導入されている。モータにより軸15aが所定の方向に駆動されると、トナーは、回収空間13aから誘導パイプ16内に送り込まれる。
【0018】
誘導パイプ16は、壁面13cから突出してこの壁面13cに一体に、中空の略円筒形状に合成樹脂、例えばABS樹脂により形成されている。誘導パイプ16は、断面円形をなし軸方向(上述の長手方向Yに相当する。)に延びる周面16aと、周面16aの延設端に形成された端面16bとを有している。周面16aは、径方向Rに所定厚みを有した筒状部材であり、内周面16cおよび外周面16dを有している。周面16aの基端部は、壁面13cに固定されている。周面16aは、その軸方向が壁面13cに直交するように、壁面13cから所定距離で延び出している。誘導パイプ16の内部は、壁面13cに形成された孔13dを通じて、回収空間13aに連通している。端面16bは、環状の板部材であり、中央に孔16eが形成されている。
【0019】
誘導パイプ16の周面16aの円筒形状の中心軸線16fが、本体ケース13の長手方向Yに平行になり、且つ搬送部材15の軸15aの回転中心軸線と一致するように、誘導パイプ16は本体ケース13に配置されている。
図4は、斜め下方から見たときの誘導パイプ16の斜視図である。図5は、斜め上方から見たときの誘導パイプ16の斜視図である。図4と図5を参照する。
【0020】
誘導パイプ16は、この誘導パイプ16の周面16aに形成された第1の廃棄口21と、誘導パイプ16の外周面16d上に形成された係合突起22と、第1の廃棄口21に対して径方向の反対側に配置されて径方向外方へ突出して形成された凸部23とを有している。
第1の廃棄口21は、周面16aの下側部分を貫通して、下向きに開放されているとともに、端面16bの一部を貫通している。第1の廃棄口21の周縁部は、外周面16dよりも径方向に突出している部分21bを含んでいる。
【0021】
図3を参照して、係合突起22は、誘導パイプ16の軸方向について第1の廃棄口21よりも壁面13c寄りに配置され、上側に向けて突設されている。係合突起22は、誘導パイプ16の先端側に、傾斜面22aを有している。この傾斜面22aは、誘導パイプ16の軸方向に対して傾斜し、径方向外方部分であるほどに壁面13c寄りに位置している。また、係合突起22は、軸方向について傾斜面22aとは反対側に、軸方向に直交する直交面22bを有している。係合突起22は、径方向Rに所定長さで外周面16dから突出し、突出した先端は回転シャッタ17の内周17aよりも径方向外方に達している。
【0022】
回転シャッタ17は、低摩擦で耐摩耗性を有する合成樹脂、例えばポリアセタール樹脂により形成され、有底円筒形状をなしている。回転シャッタ17は、円筒状の周面壁17bと、この周面壁17bの軸方向の一端を塞ぐ端面壁17cとを有している。
回転シャッタ17の有底円筒形状の軸線が、誘導パイプ16の軸方向に沿い、回転シャッタ17の周面壁17bが、誘導パイプ16の周面16aを取り囲むようにして誘導パイプ16の周面16aに外嵌されている。これにより、回転シャッタ17は、誘導パイプ16の周面16a沿いに回動しうるようになっている。また、回転シャッタ17の端面壁17cが誘導パイプ16の端面16bに当接することで、回転シャッタ17が誘導パイプ16に対して壁面13c側に移動することが規制されている。
【0023】
図6は、図3の回転シャッタ17の斜視図である。図3と図6を参照する。
回転シャッタ17の端面壁17cには、搬送部材15の軸15aの端部15cを受ける受け部17dが形成されている。受け部17dは、周面壁17bの軸線と同心の筒状部材であり、端面壁17cの内面から軸方向に所定長さで突出している。受け部17dの外周が、誘導パイプ16の端面16bの孔16eに相対回動自在に嵌め入れられているとともに、受け部17dの内周に、搬送部材15の軸15aの端部15cが相対回動自在に嵌め入れられている。
【0024】
回転シャッタ17には、トナーを排出するための第2の廃棄口24が形成されている。第2の廃棄口24は、周面壁17bを貫通している。第2の廃棄口24は、第1の廃棄口21に対向したときに誘導パイプ16を開放できるように、第1の廃棄口21に対向することができる軸方向位置に、第1の廃棄口21と同程度の大きさで形成されている。
また、回転シャッタ17の周面壁17bの内周17aには、平坦部25が形成されている。この平坦部25は、内周17aから径方向内方に張り出すように形成されていて、周方向について第2の廃棄口24に隣接し、第2の廃棄口24の周縁部に連続して徐々に径方向内方に張り出している。平坦部25は、誘導パイプ16の第1の廃棄口21に対向したときに、この第1の廃棄口21を覆うことができるように、第1の廃棄口21に対向することができる軸方向位置に、第1の廃棄口21よりも軸方向および周方向について大きく形成され、第1の廃棄口21を塞ぎ得る当接部であり蓋部として機能する。
【0025】
また、回転シャッタ17の周面壁17bの外周17eには、上述の操作部19が一体に形成されている。操作部19は、平坦部25に対応する外周17eに配置され、この外周面17eから径方向に突出している。
また、回転シャッタ17の周面壁17bの外周面17eには、付勢部材18を受ける受け部26が、一体に形成されている。受け部26は、付勢部材18を受けるための溝部を有している。本実施形態では、付勢部材18として、ねじりコイルばねが用いられる。後述するように第1の廃棄口21が閉じるようにして、回転シャッタ17が誘導パイプ16に嵌められていて、このときに、ねじりコイルばねがそのコイルの軸線の回りに弾性的にねじられて、その線材の一端が、回転シャッタ17の受け部26の溝部に係止され、線材の他端が、壁面13cに形成された受け部27(図7参照)の溝部に係止されていて、そのときの弾性復元力が第1の廃棄口21が閉じるように働くようにされている。これにより、付勢部材18は、第1の廃棄口21が閉じる方向F1に、回転シャッタ17を回動させるように付勢している。
【0026】
回転シャッタ17には、誘導パイプ16の係合突起22を受け入れる係合孔28が形成されている。係合孔28は、軸方向について壁面13c寄りにある周面壁17bの端部17fに配置され、周面壁17bを貫通している。係合孔28は、回転シャッタ17の周方向に長く、所定長さで形成されている。この所定長さは以下のように設定されている。すなわち、係合孔28に受け入れられた係合突起22が、係合孔28内で回転シャッタ17の周方向に動き得る角度範囲D1が、周方向についての第2の廃棄口24と平坦部25との中央部同士の間の中心角D2と等しい値か、この値に近い値に設定されている(図8参照)。
【0027】
図7は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の斜視図であり、誘導パイプ16が塞がった状態を図示している。図8は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の横断面図であり、誘導パイプ16が塞がった状態を図示している。図9は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の一部断面図であり、誘導パイプ16が塞がった状態を図示している。図7,図8,図9を参照する。
【0028】
トナー回収ユニット11が、ハウジング5から取り外された状態では、付勢部材18の付勢力により、回転シャッタ17が所定方向F1に付勢されている。これにより、係合突起22が係合孔28の長手方向(周方向Tに相当する。)の一端28aに近接して当接する状態に回転シャッタ17が回動されている。このときに、第1の廃棄口21を閉じるように、周面壁17bの平坦部25が第1の廃棄口21に対向する。
【0029】
第1の廃棄口21が閉じられるときには、回転シャッタ17の平坦部25と、誘導パイプ16の第1の廃棄口21の周縁部の突出部21bとが面当たりして密着して接触し、且つ回転シャッタ17の周面壁17bの内面17aと、誘導パイプ16の凸部23とが弾力的に当接するようにされている。これにより、第1の廃棄口21を、弾力的に押圧して、確実に封止することができる。
【0030】
図10は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の斜視図であり、誘導パイプ16が開放された状態を図示している。図11は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の横断面図であり、誘導パイプ16が開放された状態を図示している。図10,図11を参照する。
上述のように、トナー回収ユニット11が、ハウジング5に取り付けられた状態では、当接部20により操作部19が操作されて、付勢部材18の付勢に抗して、回転シャッタ17が誘導パイプ16に対して回動している。このときに、係合突起22が係合孔28の長手方向(周方向Tに相当する。)の他端28bに近接するか、または当接する状態に回転シャッタ17が回動され、これにより、第1の廃棄口21が開くように、第2の廃棄口24が第1の廃棄口21に対向するようになっている。
【0031】
第1の廃棄口21が開かれるときには、回転シャッタ17の周面壁17bの内面17aと、誘導パイプ16の凸部23との間には、隙間が開くか、軽く接するようにされている。
図3と図6を参照して、回転シャッタ17は、壁面13c側にある係合孔28の縁部28cの薄肉部28dを含んでいる。薄肉部28dは、周面壁17bの外周17eが窪むようにして、径方向の寸法(肉厚)が軸方向の寸法(幅)よりも小さく形成されている。薄肉部28dは、以下のように径方向に所定量の弾性曲げ変形ができるように定められている。すなわち、回転シャッタ17を誘導パイプ16に軸方向に沿って壁面13c側へ相対移動させて組み付けるときに、係合突起22の傾斜面22aが、薄肉部28dの周方向の中央部を径方向外方へ押圧する。これにより、薄肉部28dが、径方向外方に所定量で弾性曲げ変形する。このときに薄肉部28dの径方向内方を係合突起22が通過できるようになっている。
【0032】
このように本発明の実施形態によれば、係合孔28の長手方向の端部28a,28bと係合突起22とが互いに当接し係合することにより、回転シャッタ17の回動角度範囲が規制される。また、壁面13c側にある係合孔28の縁部28c、具体的には薄肉部28dと係合突起22とが互いに係合することにより、回転シャッタ17が誘導パイプ16から脱落するのが防止される。その結果、本トナー回収ユニット11が画像形成装置本体としてのハウジング5から取り外されたときに、第1の廃棄口21の不用意な開放が抑制される。その結果、トナーの漏れの発生を抑制することができる。しかも、係合突起22を、回転シャッタ17の抜け止め用と、回転シャッタ17の回転角度規制用とに兼用できるので、部品点数を少なくして構造を簡素化でき、その結果、製造コストを低減できる。
【0033】
また、本実施形態では、回転シャッタ17は、係合孔28の周縁部28cに薄肉部28dを含むようにしている。これにより、回転シャッタ17を誘導パイプ16に取り付けるときに、薄肉部28dが弾性変形することにより、係合突起22が薄肉部28dを乗り越えて係合孔28に嵌まる。係合突起22が係合孔28に嵌まった状態では、薄肉部28dは弾力的に係合突起22と係合して、抜け止めとして機能する。しかも、薄肉部28dは、簡素な構造で済む。
【0034】
また、本実施形態では、回転シャッタ17は、トナー回収ユニット11がハウジング5から取り外された状態で、第1の廃棄口21を閉じるように、付勢部材18により付勢される受け部26を一体に形成しているので、構造を簡素化できる。
回転シャッタ17は、トナー回収ユニット11がハウジング5に取り付けられた状態で、係合部としての当接部20に当接することにより、第1の廃棄口21を開くように当該回転シャッタ17を回動させるための操作部19を一体に形成しているので、構造を簡素化できる。
【0035】
また、本実施形態について、以下のような変形例を考えることができる。以下の説明では、上述の実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
例えば、付勢部材18を廃止することも考えられる。また、係合孔28の周縁部28cが、薄肉部28dを含まず、全周にわたり肉厚が周面壁17bと同じにされている場合も考えられる。また、回転シャッタ17の平坦部25や、誘導パイプ16の第1の廃棄口21の周縁部において外周面よりも径方向に突出している部分21bや、誘導パイプ16の外周16dの凸部23を廃止することも考えられる。
【0036】
また、係合孔28の端部28a,28bと係合突起22とは、互いに当接できるようになっていればよく、トナー回収ユニット11が装着状態または取り外し状態で当接していなくてもよい。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態のトナー回収ユニットが適用された画像形成装置の概略構成の模式図である。
【図2】図1に示すトナー回収ユニットの斜視図である。
【図3】図1に示すトナー回収ユニットの要部の一部断面図であり、画像形成装置本体に取り付けられた状態を図示している。
【図4】斜め下方から見たときの図3に示す誘導パイプの斜視図である。
【図5】斜め上方から見たときの図3の誘導パイプの斜視図である。
【図6】図3の回転シャッタの斜視図である。
【図7】図2に示すトナー回収ユニットの要部の斜視図であり、誘導パイプが塞がった状態を図示している。
【図8】図2に示すトナー回収ユニットの要部の横断面図であり、誘導パイプが塞がった状態を図示している。
【図9】図2に示すトナー回収ユニットの要部の一部断面図であり、誘導パイプが塞がった状態を図示している。
【図10】図2に示すトナー回収ユニットの要部の斜視図であり、誘導パイプが開放された状態を図示している。
【図11】図2に示すトナー回収ユニットの要部の横断面図であり、誘導パイプが開放された状態を図示している。
【符号の説明】
【0038】
2…画像形成部(画像形成装置本体)
5…ハウジング(画像形成装置本体)
11…トナー回収ユニット
13a…回収空間
13c…壁面
16…誘導パイプ
16a…(誘導パイプの)周面
16d…(誘導パイプの)外周面
17…回転シャッタ
17b…(回転シャッタの)周面壁
21…第1の廃棄口
22…係合突起
24…第2の廃棄口
28…係合孔
28a…(係合孔の長手方向の)一端
28b…(係合孔の長手方向の)他端
28d…薄肉部
T…周方向(係合孔の長手方向)
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置において使用された使用済みのトナーを回収するトナー回収ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、例えば感光体ドラムにトナー像を形成し、このトナー像を用紙に転写するようにしている。その一方で、トナーが用紙に転写されずに感光体ドラムに残ることがある。残ったトナーを回収するためにトナー回収ユニットが設けられている。
トナー回収ユニットは、残ったトナーを感光体ドラムから回収し、回収したトナーを内部に溜めるとともに、トナー回収ユニットの外部に設けられた容器にパイプを介して搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1では、パイプは、トナー回収ユニットに設けられていて、パイプの先端にトナーを排出するための開口が形成されている。この開口を開閉可能な筒状の蓋である回転シャッタが、パイプの先端に回動自在に取り付けられている。回転シャッタがパイプの回りを回動することにより、開口が開閉できるようになっている。例えば容器がパイプに連結されているときには、開口が開き、容器がパイプに連結されていないときには、開口が閉じられている。
【特許文献1】特許第2897411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、回転シャッタは、パイプからの抜け止めや、パイプに対しての相対回動角度の規制を施されていないので、容器がパイプから外された状態で、回転シャッタが不用意に回動したり外れたりする虞がある。その結果、トナーが漏れ出す虞がある。
また、このような事態の発生を防止するために、パイプからの回転シャッタの抜け止めを設けることが考えられる。抜け止めとしては、例えば、パイプとは別体の止め輪を、パイプの外周に嵌め入れて、止め輪を回転シャッタの抜け止めとすることが考えられる。しかし、止め輪が必要となるので、部品点数が増えて、製造コストが高くなる。
【0005】
また、回転シャッタの回動角度を規制する場合も、抜け止めを設ける場合と同様に、部品点数が増加して、組立コストが高くなる。
そこで、本発明の目的は、トナーの漏れを防止できて簡素な構造のトナー回収ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトナー回収ユニットは、画像形成装置本体に着脱可能とされ、画像形成装置本体に取り付けられた状態で、画像形成装置本体で使用された使用済みのトナーを回収するトナー回収ユニットである。このトナー回収ユニットは、回収空間を区画する壁面と、この壁面から突出して形成され、回収空間に回収されたトナーを廃棄する際に回収空間のトナーを導き出すための略円筒状の誘導パイプと、この誘導パイプの周面に形成された第1の廃棄口と、上記誘導パイプの外周面上であって、上記第1の廃棄口よりも壁面よりに突設された係合突起と、円筒状の周面壁を有し、誘導パイプの周面を取り囲むように誘導パイプに外嵌されていて、誘導パイプの周面沿いに回動しうる回転シャッタと、この回転シャッタに形成され、上記誘導パイプの係合突起を受け入れる周方向に長手の係合孔と、上記係合突起が係合孔の長手方向の一端に当接する状態に回転シャッタが回動されたときに、上記第1の廃棄口を閉じるように、周面壁が第1の廃棄口に対向し、上記係合突起が係合孔の長手方向の他端に当接する状態に回転シャッタが回動されたときに、上記第1の廃棄口が開くように、第1の廃棄口に対向するように回転シャッタに形成された第2の廃棄口とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、係合孔の長手方向の端部と係合突起とが互いに当接して係合することにより、回転シャッタの回動角度範囲が規制される。また、壁面側にある係合孔の縁部と係合突起とが互いに係合することにより、回転シャッタが誘導パイプから脱落するのが防止される。その結果、本トナー回収ユニットが装置本体から取り外されたときに、第1の廃棄口の不用意な開放が抑制される。その結果、トナーの漏れの発生を抑制することができる。しかも、係合突起を、回転シャッタの抜け止め用と、回転シャッタの回転角度規制用とに兼用できるので、部品点数を少なくして構造を簡素化でき、その結果、製造コストを低減することができる。
【0008】
また、本発明において、上記回転シャッタは、壁面側にある係合孔の縁部の薄肉部を含む場合がある。この場合、回転シャッタを誘導パイプに取り付けるときに、薄肉部が弾性変形することにより、係合突起が薄肉部を乗り越えて係合孔に嵌まる。係合突起が係合孔に嵌まった状態では、薄肉部は弾力的に係合突起と係合して、抜け止めとして機能する。しかも、薄肉部は、簡素な構造で済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態のトナー回収ユニットが適用された画像形成装置の概略構成の模式図である。図1を参照する。
画像形成装置1は、入力部から与えられる画像データに基づきトナー像を形成し所定の転写材としての用紙に転写する画像形成装置本体としての画像形成部2と、この画像形成部2により転写されたトナー像を用紙に加熱定着させる定着装置3と、画像形成部2に用紙を供給しこの用紙を搬送する用紙搬送部4と、これら各部2,3,4を支持する画像形成装置本体としてのハウジング5とを有している。
【0010】
画像形成部2は、入力部から与えられる画像データに基づきこの画像データに応じた所定のビーム光を得るための光学部6と、光学部6からのビーム光に応じた静電潜像を形成するための円柱形状をなす像担持体としての感光体ドラム7と、高電圧を印加されることにより感光体ドラム7を帯電させるメインチャージャ8(帯電チャージャ)と、感光体ドラム7に形成された静電潜像をトナーにより顕像化する現像装置9と、感光体ドラム7に形成されたトナー像を用紙に転写するための転写部10とを有している。
【0011】
また、画像形成装置1は、用紙に転写されずに感光体ドラム7上に残った残留トナーを回収するトナー回収ユニット11を有している。トナー回収ユニット11は、感光体ドラム7から回収したトナーを、容器12へ搬送する。
図2は、トナー回収ユニット11の斜視図である。図1と図2を参照する。
トナー回収ユニット11は、一方向に長い箱形状をなしその内部に回収空間13aを区画する本体ケース13と、トナーを感光体ドラム7から除去して回収空間13a内に取り込むためのブレード等の除去部材14と、回収空間13a内に受け入れられたトナーを本体ケース13の長手方向Yに搬送する搬送部材15とを有している。搬送部材15には、駆動源としてのモータ(図示せず)が駆動可能に連結されている。
【0012】
トナー回収ユニット11は、画像形成装置本体としてのハウジング5に着脱可能とされている。トナー回収ユニット11の本体ケース13がハウジング5に取り付けられた状態では、本体ケース13の長手方向Yが感光体ドラム7の回転中心軸線に平行に配置され、除去部材14が感光体ドラム7の外周に接している。このようにトナー回収ユニット11がハウジング5に取り付けられた状態で、画像形成装置本体としての画像形成部2で使用された使用済みのトナーを回収する。回収されたトナーは、搬送部材15により本体ケース13の長手方向Yに沿って搬送される。
【0013】
図3は、トナー回収ユニット11の要部の断面図であり、画像形成装置本体に取り付けられた状態を図示している。図2と図3を参照する。
トナー回収ユニット11は、本体ケース13の長手方向Yの端面に設けられた誘導パイプ16と、この誘導パイプ16に回動可能に嵌め入れられた回転シャッタ17と、回転シャッタ17を所定の回転方向F1に付勢する付勢部材18と、この付勢部材18の付勢に抗して回転シャッタ17を回動させるための操作部19とを有している。
【0014】
誘導パイプ16は、回収空間13aに回収されたトナーを廃棄する際に回収空間13aのトナーを導き出すために設けられていて、本体ケース13において搬送部材15による搬送方向(長手方向Yに相当する。)の下流側の端部に配置されている。
トナー回収ユニット11がハウジング5に取り付けられた状態では、誘導パイプ16内が、トナーを廃棄できるように開放される。一方で、トナー回収ユニット11がハウジング5から取り外された状態では、回収空間13a内のトナーが漏れ出さないように、誘導パイプ16が、回転シャッタ17により塞がれる。
【0015】
この回転シャッタ17は、誘導パイプ16に回転自在に外嵌されていて、回動角度位置に応じて誘導パイプ16を塞いだり、または誘導パイプ16内を開放したりできる。
本実施形態では、回転シャッタ17は、付勢部材18により、所定の向きF1に付勢されている。これにより、トナー回収ユニット11がハウジング5から取り外された状態では、回転シャッタ17が、自律的に誘導パイプ16を塞ぐようになっている。また、トナー回収ユニット11がハウジング5に取り付けられた状態では、操作部19が、ハウジング5に設けられた当接部20に当接するようにされている。これにより、操作部19が操作されて、付勢部材18の付勢に抗して回転シャッタ17が自律的に所定距離で回動し、誘導パイプ16内が開放されるようになっている。
【0016】
また、本実施形態では、回転シャッタ17が誘導パイプ16から脱落するのを防止するための簡素な抜け止め構造、具体的には、後述する係合突起22および係合孔28が設けられている。
本体ケース13は、その箱形状の長手方向Yに沿って延びる複数の壁面13b(一部のみ図示)と、長手方向Yに対向する2つの壁面13c(一部のみ図示)とを有している。これら6つの壁面13b,13cは、所定厚みの板部材である。これら壁面13b,13cに取り囲まれた内側に回収空間13aを区画している。上述のように回収空間13a内に受け入れられたトナーは、搬送部材15により搬送される。
【0017】
搬送部材15は、軸15aと、この軸15aの外周に形成された螺旋状の羽根15bとを有している。軸15aは、本体ケース13の長手方向Yに沿って延びていて、その両端部が回転自在に支持されている。軸15aの一方の端部(図示せず)は、モータにより駆動可能に連結されている。また、軸15aの他方の端部15cは、誘導パイプ16内に導入されている。モータにより軸15aが所定の方向に駆動されると、トナーは、回収空間13aから誘導パイプ16内に送り込まれる。
【0018】
誘導パイプ16は、壁面13cから突出してこの壁面13cに一体に、中空の略円筒形状に合成樹脂、例えばABS樹脂により形成されている。誘導パイプ16は、断面円形をなし軸方向(上述の長手方向Yに相当する。)に延びる周面16aと、周面16aの延設端に形成された端面16bとを有している。周面16aは、径方向Rに所定厚みを有した筒状部材であり、内周面16cおよび外周面16dを有している。周面16aの基端部は、壁面13cに固定されている。周面16aは、その軸方向が壁面13cに直交するように、壁面13cから所定距離で延び出している。誘導パイプ16の内部は、壁面13cに形成された孔13dを通じて、回収空間13aに連通している。端面16bは、環状の板部材であり、中央に孔16eが形成されている。
【0019】
誘導パイプ16の周面16aの円筒形状の中心軸線16fが、本体ケース13の長手方向Yに平行になり、且つ搬送部材15の軸15aの回転中心軸線と一致するように、誘導パイプ16は本体ケース13に配置されている。
図4は、斜め下方から見たときの誘導パイプ16の斜視図である。図5は、斜め上方から見たときの誘導パイプ16の斜視図である。図4と図5を参照する。
【0020】
誘導パイプ16は、この誘導パイプ16の周面16aに形成された第1の廃棄口21と、誘導パイプ16の外周面16d上に形成された係合突起22と、第1の廃棄口21に対して径方向の反対側に配置されて径方向外方へ突出して形成された凸部23とを有している。
第1の廃棄口21は、周面16aの下側部分を貫通して、下向きに開放されているとともに、端面16bの一部を貫通している。第1の廃棄口21の周縁部は、外周面16dよりも径方向に突出している部分21bを含んでいる。
【0021】
図3を参照して、係合突起22は、誘導パイプ16の軸方向について第1の廃棄口21よりも壁面13c寄りに配置され、上側に向けて突設されている。係合突起22は、誘導パイプ16の先端側に、傾斜面22aを有している。この傾斜面22aは、誘導パイプ16の軸方向に対して傾斜し、径方向外方部分であるほどに壁面13c寄りに位置している。また、係合突起22は、軸方向について傾斜面22aとは反対側に、軸方向に直交する直交面22bを有している。係合突起22は、径方向Rに所定長さで外周面16dから突出し、突出した先端は回転シャッタ17の内周17aよりも径方向外方に達している。
【0022】
回転シャッタ17は、低摩擦で耐摩耗性を有する合成樹脂、例えばポリアセタール樹脂により形成され、有底円筒形状をなしている。回転シャッタ17は、円筒状の周面壁17bと、この周面壁17bの軸方向の一端を塞ぐ端面壁17cとを有している。
回転シャッタ17の有底円筒形状の軸線が、誘導パイプ16の軸方向に沿い、回転シャッタ17の周面壁17bが、誘導パイプ16の周面16aを取り囲むようにして誘導パイプ16の周面16aに外嵌されている。これにより、回転シャッタ17は、誘導パイプ16の周面16a沿いに回動しうるようになっている。また、回転シャッタ17の端面壁17cが誘導パイプ16の端面16bに当接することで、回転シャッタ17が誘導パイプ16に対して壁面13c側に移動することが規制されている。
【0023】
図6は、図3の回転シャッタ17の斜視図である。図3と図6を参照する。
回転シャッタ17の端面壁17cには、搬送部材15の軸15aの端部15cを受ける受け部17dが形成されている。受け部17dは、周面壁17bの軸線と同心の筒状部材であり、端面壁17cの内面から軸方向に所定長さで突出している。受け部17dの外周が、誘導パイプ16の端面16bの孔16eに相対回動自在に嵌め入れられているとともに、受け部17dの内周に、搬送部材15の軸15aの端部15cが相対回動自在に嵌め入れられている。
【0024】
回転シャッタ17には、トナーを排出するための第2の廃棄口24が形成されている。第2の廃棄口24は、周面壁17bを貫通している。第2の廃棄口24は、第1の廃棄口21に対向したときに誘導パイプ16を開放できるように、第1の廃棄口21に対向することができる軸方向位置に、第1の廃棄口21と同程度の大きさで形成されている。
また、回転シャッタ17の周面壁17bの内周17aには、平坦部25が形成されている。この平坦部25は、内周17aから径方向内方に張り出すように形成されていて、周方向について第2の廃棄口24に隣接し、第2の廃棄口24の周縁部に連続して徐々に径方向内方に張り出している。平坦部25は、誘導パイプ16の第1の廃棄口21に対向したときに、この第1の廃棄口21を覆うことができるように、第1の廃棄口21に対向することができる軸方向位置に、第1の廃棄口21よりも軸方向および周方向について大きく形成され、第1の廃棄口21を塞ぎ得る当接部であり蓋部として機能する。
【0025】
また、回転シャッタ17の周面壁17bの外周17eには、上述の操作部19が一体に形成されている。操作部19は、平坦部25に対応する外周17eに配置され、この外周面17eから径方向に突出している。
また、回転シャッタ17の周面壁17bの外周面17eには、付勢部材18を受ける受け部26が、一体に形成されている。受け部26は、付勢部材18を受けるための溝部を有している。本実施形態では、付勢部材18として、ねじりコイルばねが用いられる。後述するように第1の廃棄口21が閉じるようにして、回転シャッタ17が誘導パイプ16に嵌められていて、このときに、ねじりコイルばねがそのコイルの軸線の回りに弾性的にねじられて、その線材の一端が、回転シャッタ17の受け部26の溝部に係止され、線材の他端が、壁面13cに形成された受け部27(図7参照)の溝部に係止されていて、そのときの弾性復元力が第1の廃棄口21が閉じるように働くようにされている。これにより、付勢部材18は、第1の廃棄口21が閉じる方向F1に、回転シャッタ17を回動させるように付勢している。
【0026】
回転シャッタ17には、誘導パイプ16の係合突起22を受け入れる係合孔28が形成されている。係合孔28は、軸方向について壁面13c寄りにある周面壁17bの端部17fに配置され、周面壁17bを貫通している。係合孔28は、回転シャッタ17の周方向に長く、所定長さで形成されている。この所定長さは以下のように設定されている。すなわち、係合孔28に受け入れられた係合突起22が、係合孔28内で回転シャッタ17の周方向に動き得る角度範囲D1が、周方向についての第2の廃棄口24と平坦部25との中央部同士の間の中心角D2と等しい値か、この値に近い値に設定されている(図8参照)。
【0027】
図7は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の斜視図であり、誘導パイプ16が塞がった状態を図示している。図8は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の横断面図であり、誘導パイプ16が塞がった状態を図示している。図9は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の一部断面図であり、誘導パイプ16が塞がった状態を図示している。図7,図8,図9を参照する。
【0028】
トナー回収ユニット11が、ハウジング5から取り外された状態では、付勢部材18の付勢力により、回転シャッタ17が所定方向F1に付勢されている。これにより、係合突起22が係合孔28の長手方向(周方向Tに相当する。)の一端28aに近接して当接する状態に回転シャッタ17が回動されている。このときに、第1の廃棄口21を閉じるように、周面壁17bの平坦部25が第1の廃棄口21に対向する。
【0029】
第1の廃棄口21が閉じられるときには、回転シャッタ17の平坦部25と、誘導パイプ16の第1の廃棄口21の周縁部の突出部21bとが面当たりして密着して接触し、且つ回転シャッタ17の周面壁17bの内面17aと、誘導パイプ16の凸部23とが弾力的に当接するようにされている。これにより、第1の廃棄口21を、弾力的に押圧して、確実に封止することができる。
【0030】
図10は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の斜視図であり、誘導パイプ16が開放された状態を図示している。図11は、図2に示すトナー回収ユニット11の要部の横断面図であり、誘導パイプ16が開放された状態を図示している。図10,図11を参照する。
上述のように、トナー回収ユニット11が、ハウジング5に取り付けられた状態では、当接部20により操作部19が操作されて、付勢部材18の付勢に抗して、回転シャッタ17が誘導パイプ16に対して回動している。このときに、係合突起22が係合孔28の長手方向(周方向Tに相当する。)の他端28bに近接するか、または当接する状態に回転シャッタ17が回動され、これにより、第1の廃棄口21が開くように、第2の廃棄口24が第1の廃棄口21に対向するようになっている。
【0031】
第1の廃棄口21が開かれるときには、回転シャッタ17の周面壁17bの内面17aと、誘導パイプ16の凸部23との間には、隙間が開くか、軽く接するようにされている。
図3と図6を参照して、回転シャッタ17は、壁面13c側にある係合孔28の縁部28cの薄肉部28dを含んでいる。薄肉部28dは、周面壁17bの外周17eが窪むようにして、径方向の寸法(肉厚)が軸方向の寸法(幅)よりも小さく形成されている。薄肉部28dは、以下のように径方向に所定量の弾性曲げ変形ができるように定められている。すなわち、回転シャッタ17を誘導パイプ16に軸方向に沿って壁面13c側へ相対移動させて組み付けるときに、係合突起22の傾斜面22aが、薄肉部28dの周方向の中央部を径方向外方へ押圧する。これにより、薄肉部28dが、径方向外方に所定量で弾性曲げ変形する。このときに薄肉部28dの径方向内方を係合突起22が通過できるようになっている。
【0032】
このように本発明の実施形態によれば、係合孔28の長手方向の端部28a,28bと係合突起22とが互いに当接し係合することにより、回転シャッタ17の回動角度範囲が規制される。また、壁面13c側にある係合孔28の縁部28c、具体的には薄肉部28dと係合突起22とが互いに係合することにより、回転シャッタ17が誘導パイプ16から脱落するのが防止される。その結果、本トナー回収ユニット11が画像形成装置本体としてのハウジング5から取り外されたときに、第1の廃棄口21の不用意な開放が抑制される。その結果、トナーの漏れの発生を抑制することができる。しかも、係合突起22を、回転シャッタ17の抜け止め用と、回転シャッタ17の回転角度規制用とに兼用できるので、部品点数を少なくして構造を簡素化でき、その結果、製造コストを低減できる。
【0033】
また、本実施形態では、回転シャッタ17は、係合孔28の周縁部28cに薄肉部28dを含むようにしている。これにより、回転シャッタ17を誘導パイプ16に取り付けるときに、薄肉部28dが弾性変形することにより、係合突起22が薄肉部28dを乗り越えて係合孔28に嵌まる。係合突起22が係合孔28に嵌まった状態では、薄肉部28dは弾力的に係合突起22と係合して、抜け止めとして機能する。しかも、薄肉部28dは、簡素な構造で済む。
【0034】
また、本実施形態では、回転シャッタ17は、トナー回収ユニット11がハウジング5から取り外された状態で、第1の廃棄口21を閉じるように、付勢部材18により付勢される受け部26を一体に形成しているので、構造を簡素化できる。
回転シャッタ17は、トナー回収ユニット11がハウジング5に取り付けられた状態で、係合部としての当接部20に当接することにより、第1の廃棄口21を開くように当該回転シャッタ17を回動させるための操作部19を一体に形成しているので、構造を簡素化できる。
【0035】
また、本実施形態について、以下のような変形例を考えることができる。以下の説明では、上述の実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
例えば、付勢部材18を廃止することも考えられる。また、係合孔28の周縁部28cが、薄肉部28dを含まず、全周にわたり肉厚が周面壁17bと同じにされている場合も考えられる。また、回転シャッタ17の平坦部25や、誘導パイプ16の第1の廃棄口21の周縁部において外周面よりも径方向に突出している部分21bや、誘導パイプ16の外周16dの凸部23を廃止することも考えられる。
【0036】
また、係合孔28の端部28a,28bと係合突起22とは、互いに当接できるようになっていればよく、トナー回収ユニット11が装着状態または取り外し状態で当接していなくてもよい。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態のトナー回収ユニットが適用された画像形成装置の概略構成の模式図である。
【図2】図1に示すトナー回収ユニットの斜視図である。
【図3】図1に示すトナー回収ユニットの要部の一部断面図であり、画像形成装置本体に取り付けられた状態を図示している。
【図4】斜め下方から見たときの図3に示す誘導パイプの斜視図である。
【図5】斜め上方から見たときの図3の誘導パイプの斜視図である。
【図6】図3の回転シャッタの斜視図である。
【図7】図2に示すトナー回収ユニットの要部の斜視図であり、誘導パイプが塞がった状態を図示している。
【図8】図2に示すトナー回収ユニットの要部の横断面図であり、誘導パイプが塞がった状態を図示している。
【図9】図2に示すトナー回収ユニットの要部の一部断面図であり、誘導パイプが塞がった状態を図示している。
【図10】図2に示すトナー回収ユニットの要部の斜視図であり、誘導パイプが開放された状態を図示している。
【図11】図2に示すトナー回収ユニットの要部の横断面図であり、誘導パイプが開放された状態を図示している。
【符号の説明】
【0038】
2…画像形成部(画像形成装置本体)
5…ハウジング(画像形成装置本体)
11…トナー回収ユニット
13a…回収空間
13c…壁面
16…誘導パイプ
16a…(誘導パイプの)周面
16d…(誘導パイプの)外周面
17…回転シャッタ
17b…(回転シャッタの)周面壁
21…第1の廃棄口
22…係合突起
24…第2の廃棄口
28…係合孔
28a…(係合孔の長手方向の)一端
28b…(係合孔の長手方向の)他端
28d…薄肉部
T…周方向(係合孔の長手方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能とされ、画像形成装置本体に取り付けられた状態で、画像形成装置本体で使用された使用済みのトナーを回収するトナー回収ユニットであって、
回収空間を区画する壁面と、
この壁面から突出して形成され、回収空間に回収されたトナーを廃棄する際に回収空間のトナーを導き出すための略円筒状の誘導パイプと、
この誘導パイプの周面に形成された第1の廃棄口と、
上記誘導パイプの外周面上であって、上記第1の廃棄口よりも壁面寄りに突設された係合突起と、
円筒状の周面壁を有し、誘導パイプの周面を取り囲むように誘導パイプに外嵌されていて、誘導パイプの周面沿いに回動しうる回転シャッタと、
この回転シャッタに形成され、上記誘導パイプの係合突起を受け入れる周方向に長手の係合孔と、
上記係合突起が係合孔の長手方向の一端に当接する状態に回転シャッタが回動されたときに、上記第1の廃棄口を閉じるように、周面壁が第1の廃棄口に対向し、上記係合突起が係合孔の長手方向の他端に当接する状態に回転シャッタが回動されたときに、上記第1の廃棄口が開くように、第1の廃棄口に対向するように回転シャッタに形成された第2の廃棄口とを備えたことを特徴とするトナー回収ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のトナー回収ユニットにおいて、
上記回転シャッタは、壁面側にある係合孔の縁部の薄肉部を含むことを特徴とするトナー回収ユニット。
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能とされ、画像形成装置本体に取り付けられた状態で、画像形成装置本体で使用された使用済みのトナーを回収するトナー回収ユニットであって、
回収空間を区画する壁面と、
この壁面から突出して形成され、回収空間に回収されたトナーを廃棄する際に回収空間のトナーを導き出すための略円筒状の誘導パイプと、
この誘導パイプの周面に形成された第1の廃棄口と、
上記誘導パイプの外周面上であって、上記第1の廃棄口よりも壁面寄りに突設された係合突起と、
円筒状の周面壁を有し、誘導パイプの周面を取り囲むように誘導パイプに外嵌されていて、誘導パイプの周面沿いに回動しうる回転シャッタと、
この回転シャッタに形成され、上記誘導パイプの係合突起を受け入れる周方向に長手の係合孔と、
上記係合突起が係合孔の長手方向の一端に当接する状態に回転シャッタが回動されたときに、上記第1の廃棄口を閉じるように、周面壁が第1の廃棄口に対向し、上記係合突起が係合孔の長手方向の他端に当接する状態に回転シャッタが回動されたときに、上記第1の廃棄口が開くように、第1の廃棄口に対向するように回転シャッタに形成された第2の廃棄口とを備えたことを特徴とするトナー回収ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のトナー回収ユニットにおいて、
上記回転シャッタは、壁面側にある係合孔の縁部の薄肉部を含むことを特徴とするトナー回収ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−140390(P2007−140390A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337457(P2005−337457)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]