説明

トナー外添用アルミナ微粒子の製造方法およびトナーの製造方法

【課題】 本発明は、摩擦帯電安定性、感光体帯電安定性に優れると共にトナー補給
規制通過モレやトナー補給上シール飛散やトナー補給カブリや感光体メモリーの生じない
トナーとするのに適した外添用アルミナ微粒子の製造方法およびトナーの製造方法の提供
を課題とする。
【解決手段】
本発明のトナー外添用アルミナ微粒子の製造方法は、金属アルミニウムを直流アークプ
ラズマで蒸発させ、その蒸気を酸化して得られる、γ−アルミナ相を主相とすると共に少
なくとも少量のα−アルミナ相を含む結晶性で、かつ、BET比表面積が20m2 /g〜
80m2 /gの球形状アルミナ微粒子とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトナー外添用アルミナ微粒子の製造方法およびトナーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、潜像担持体である感光体ドラムや感光体ベルト等の感光体
を画像形成装置の本体に回転可能に支持し、画像形成動作時には感光体における感光層に
静電潜像を形成した後、この潜像をトナーによって接触方式または非接触方式で可視像化
し、次いでその可視像をコロナ転写や転写ローラを使用して転写材に直接転写する方式や
、また、転写ドラムまたは転写ベルト等の中間転写媒体に可視像を一旦転写した後、転写
材に再転写する方式がある。
【0003】
これらの画像形成装置にあって、トナーとしては一般的には二成分トナーが知られ、比
較的安定した現像を可能とするが、現像剤と磁性キャリアとの混合比の変動が発生しやす
く、その維持管理をする必要がある。また、一成分磁性トナーは、磁性材料の不透明性か
ら鮮明なカラー画像を得られないという問題がある。
【0004】
トナーにおいては、上記のごとき工程を繰り返して高品位の記録画像を得るためには高
い流動性を有すると共に如何にトナーを均一帯電させるかが課題となっている。特に、非
接触AC現像方式への適用に際しては、飛翔性の向上の観点からもトナーの流動性を向上
させてトナーにおける現像ローラへの粘着力を弱めることが必要であり、また、現像電界
による飛翔性を高める観点からもトナーに蓄積する過剰な摩擦電荷を放出することが必要
である。従来のトナーにおいては、流動性向上剤としてシリカ微粒子を外添することが知
られているが、シリカ微粒子は1015Ω・cm以上の高抵抗のために帯電に際してチャー
ジアップ現象が生じ、画像形成工程の繰り返しにより画像濃度が低下するという問題があ
る。
【0005】
そこで、トナー母粒子にアルミナ微粒子を外添して、その微弱な電荷リーク作用により
、トナーに蓄積する過剰な摩擦電荷を放出してトナーの摩擦帯電の安定化作用を図り、現
像電界による飛翔性を高め、また、その研磨作用により感光体表面をリフレッシュして感
光体の帯電性能の安定化を図ることが試みられている。
【0006】
アルミナ微粒子としては、α−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、また、その混
合体等の種々の形態が知られており、また、ナノ・サイズ アルミナの製法としては(1
)低ソーダ法アルミナ微粒子:昭和電工製、太平洋ランダム製、(2)ドーソナイト法ア
ルミナ微粒子:大明化学製、ヒノモト製、(3)火花放電法アルミナ:岩谷化学製、(4
)火炎加水分解法アルミナ:日本アエロジル製等が知られている。また、トナー外添用ア
ルミナとしては、例えばα−アルミナ微粒子は、明確な結晶構造を有するので、電荷リー
ク作用発現の起点となる酸素欠陥(格子欠陥)を形成し難く、摩擦帯電を安定化させる機
能に乏しい。さらに、α−アルミナ微粒子は粒子径が大きく、且つ硬度が高いので研磨作
用が過剰に発現しやすい欠点があり、感光体表面に生じる研磨痕が画像欠陥の起点となっ
たり、感光層を過剰に削り取ることでその寿命を短くする等の問題がある。
【0007】
また、γ−アルミナ微粒子、また、シリコーンオイルにより被覆したアルミナ微粒子、
また、カップリング剤により表面処理を施したアルミナ微粒子等が提案(特許文献1〜3
)されている。遷移アルミナの代表であるγ−アルミナは、その製造方法によっては酸素
欠陥(格子欠陥)を形成し易く、さらに粒子表面の活性Al−OH基に化学吸着する構造
水を多く含むので、電荷リーク作用を発現しやすくなる特徴がある。しかし、それら過剰
なリーク作用により摩擦帯電電荷の減衰が制御し難くなったり、大気中の水分量に依存す
る環境安定性が損なわれる課題も存在する。さらに、γ−アルミナは粒子径を小さくでき
る反面、粒子表面の活性Al−OH基の影響で二次凝集体を形成し易い特徴があり、トナ
ー母粒子の表面に付着するように処理を施した場合に、分散不良の状態で存在するアルミ
ナ遊離外添剤は、下記のような様々な弊害を引き起こしている。
【0008】
第1には、多数枚印字にともなって摩擦帯電の立ち上がりが低下し、特にトナーを補給
する方式にあってはトナー補給カブリの現象が生じる。現像装置内のトナーは現像操作を
多数回繰り返した場合に、その表面から電荷リーク作用を有する外添剤のアルミナ微粒子
がトナー母粒子に埋没または遊離により徐々に失われ、摩擦帯電の立ち上がりが低下する
。現像装置がトナーを補給可能とするトナー補給形式である場合には、残留トナーに加え
て現像に使用されるトナーが新たに補給されて、もしくは現像装置がトナーを補給可能と
しないトナー使い切り形式である場合には、再生現像装置として残留トナーに加えてトナ
ーが新たに充填されて、現像装置内でダメージを受けた劣化トナーと新トナーとの間に摩
擦帯電時での帯電能力差が生じる。一成分現像法ではトナー担持体である現像ローラとト
ナー間の摩擦帯電が新旧トナー間で摩擦帯電能力差が生じた場合、新トナー補給後若しく
は再充填後の画像形成時に、現像ローラ上のトナー層の規制通過モレ、現像ローラ上のト
ナー層の上シール飛散、感光体上の非画像形成部のカブリ等が発生する不具合が生じる。
また、二成分現像法ではキャリアとトナー間の摩擦帯電が新旧トナー間で摩擦帯電能力差
が生じた場合、マグネットローラ上での現像剤層の規制通過飛散、感光体上の非画像形成
部のカブリ等が発生する不具合が生じる。
【0009】
この現像のメカニズムは、劣化トナーと新トナーが現像装置内で共存する状況下では、
摩擦帯電の立ち上がりが良好である新トナーがトナー担持体(現像ローラ)上に形成する
トナー層の下層側、摩擦帯電の立ち上がりに劣る旧トナーが表層側として分離する様に層
形成することで、帯電の劣る表層側の旧トナーが現像動作時にトナー担持体から離脱しや
すくなることが原因となる。
【0010】
第2には、感光体メモリーの現象が生じる。現像動作時にトナーと同期して感光体上に
移行する外添剤のアルミナ微粒子は、その一部が転写動作時にトナーと同期して転写体上
に移行し、遊離状態のアルミナ微粒子の一部はトナーと同期して転写体上に移行すること
なく感光体上に残留しやすくなる。感光体上に残留したアルミナ微粒子は、更にその一部
がクリーニング動作で感光体上から除去されるが、サイズがトナーと比較して著しく小さ
いことからその多くが感光体上に残留し続ける。感光体上に残留するアルミナ微粒子は静
電潜像を形成する際の画像輪郭部に集中しやすい傾向があり、一様帯電もしくは書き込み
露光時にクリーニング工程でリセットできずに残留したアルミナ微粒子が、その動作にお
ける阻害要因となり、そこで生じた表面電位変動としての履歴(感光体メモリー)が画像
形成時に一工程前の画像形成履歴となり残像が出現する。
【0011】
トナー外添用アルミナ微粒子として、特許文献1には疎水性γ晶アルミナ研磨物質を記
載するが、帯電性に関してアルミナ遊離外添剤による課題を記載するものではなく、また
、特許文献2には、アルミニウムドウソナイト法により得られるトナー外添用アルミナ微
粒子を記載するが、多数枚印字にともなう摩擦帯電の立ち上がりの低下に伴う課題を記載
するものではなく、また、特許文献3には、非晶質のアルミナ微粒子とすることにより得
られるトナー外添用アルミナ微粒子を記載するが、結晶質のアルミナ微粒子とするもので
はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平3−191363号公報
【特許文献2】特開平3−240068号公報
【特許文献3】特開平8−184988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、摩擦帯電安定性、感光体帯電安定性に優れると共に、トナー補給カブリや感
光体メモリーの生じないトナーとするのに適した外添用アルミナ微粒子の製造方法および
トナーの製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のトナー外添用アルミナ微粒子の製造方法は、金属アルミニウムを直流アークプ
ラズマで蒸発させ、その蒸気を酸化して得られる、γ−アルミナ相を主相とすると共に少
なくとも少量のα−アルミナ相を含む結晶性で、かつ、BET比表面積が20m2 /g〜
80m2 /gの球形状アルミナ微粒子とすることを特徴とする。
【0015】
アルミナ微粒子の平均粒径が20nm〜100nmであることを特徴とする。
【0016】
アルミナ微粒子は、X線回折分析におけるγ−アルミナ由来スペクトルの半値幅が1.
0°以下であることを特徴とする。
【0017】
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含むトナー母
粒子に、金属アルミニウムを直流アークプラズマで蒸発させ、その蒸気を酸化することに
より得られる、γ−アルミナ相を主相とすると共に少なくとも少量のα−アルミナ相を含
む結晶性で、かつ、BET比表面積が20m2 /g〜80m2 /gの球形状アルミナ微粒
子を外添処理した後、シリカ微粒子を外添処理することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明におけるアルミナ微粒子のX線回折図である。
【図2】図2は、本発明のアルミナ微粒子の走査電子顕微鏡写真(10万倍)である。
【図3】図3(a)(b)は、本発明におけるアルミナ微粒子の製造方法を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の画像形成装置の概要を説明するための図である。
【図5】図5は、現像装置の主要構成要素を説明するための図である。
【図6】図6(a)は比較例1のアルミナ微粒子のX線回折図であり、(b)は比較例2のアルミナ微粒子のX線回折図である。
【図7】図7(a)は比較例1のアルミナ微粒子の走査電子顕微鏡写真(10万倍)であり、(b)は比較例2のアルミナ微粒子の走査電子顕微鏡写真(10万倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のトナー外添用アルミナ微粒子の製造装置を図3(a)(b)に示す。図3に示
すトナー外添用アルミナ微粒子の製造装置は、特開2002−253953に記載される
超微粒子製造装置を使用するものであり、(a)は装置を上方から見た状態を示す図であ
り、(b)は側面から見た状態を示す図である。
【0020】
トナー外添用アルミナ微粒子製造装置は、外部の雰囲気を遮断するチャンバ1と、プラ
ズマトーチ4および電源5を有するプラズマアーク発生手段6と、プラズマトーチ4に供
給するアルゴンガス等の作用ガスが充填された作用ガスタンク7と、反応・冷却ガスタン
ク8に充填された酸素ガス等の反応・冷却ガスを原料体(金属アルミニウム)3が蒸発し
て発生した蒸発ガスに吹き付ける反応・冷却ガス吹き付けノズル9と、チャンバ1と連設
し、原料体3が蒸発した蒸発ガスを膨張させて冷却し、かつ蒸発ガスと生成した微粒子(
アルミナ微粒子)を分離する蒸発ガス冷却タンク10とを有するものである。この装置に
おいて、プラズマトーチ4は、発生したプラズマアークの軸方向が、原料体3の蒸発面に
対して斜め方向に配置される。また、反応・冷却ガス吹き付けノズル9は、プラズマトー
チ4との間に原料体3が配置されるように設けられる。さらに、原料体3をチャンバ1の
外から保持し、原料体3を送り出す原料体保持・送り出し装置12と、原料体3が蒸発し
ている位置を検出し、その情報を解析し、信号を原料体保持・送り出し装置12に出力し
て原料体3の送り出し速度を決定する蒸発面位置検出装置13とを有している。
【0021】
原料体として金属アルミニウムを使用し、上記公報における実施例1、実施例2と同様
にして、中心電極22と移行型プラズマトーチ4bの電極24との間にV字状プラズマア
ークCを形成させる。このV字状プラズマアークCのV字先端付近のアーク高温部Hを、
蒸発用るつぼ中の金属アルミニウムにあてて金属アルミニウムを蒸発させる。金属アルミ
ニウムから発生したアルミニウム蒸気をプラズマアークのガス圧によってプラズマアーク
の前方に流すと共にアルミニウム蒸気を横切るように、反応・冷却ガス吹き付けノズル9
から酸素ガスを吹き付け、アルミニウム蒸気を急速に酸化させてAl2 3 超微粒子を形
成させる。形成したAl2 3 超微粒子および酸化された蒸発ガスを蒸発ガス冷却タンク
10に移動して冷却した後に、コレクタ11によりAl2 3 超微粒子と気体とに分離す
る。分離したAl2 3 超微粒子を蒸発ガス冷却タンク10下部に設置された捕集容器で
捕集する。
【0022】
本発明のトナー外添用アルミナ微粒子は、このように、金属アルミニウムを直流アーク
プラズマで蒸発させ、その蒸気を酸化して得られるものであり、この方法により、アルミ
ナ純度は99.9%以上のアルミナ微粒子が得られる。本発明のトナー外添用アルミナ微
粒子としては、上記方法により得られるBET比表面積が20m2 /g〜80m2 /gの
アルミナ微粒子が好ましく、個数平均粒径としては20nm〜100nmのものが好まし
い。
【0023】
個数平均粒径が20nmより小さく、BET比表面積が80m2 /gより大きいと、後
述する比較例1、2のごとく、本発明の効果を奏しなく、また、個数平均粒径が100n
mを超え、BET比表面積が20m2 /gがより小さいと、トナー母粒子から遊離すると
いう問題が生じ、本発明の効果を奏しない。市販品としてはシーアイ化成社製「Nano
・Tek、Al2 3 、一次粒径30nm、BET比表面積49.3m2 /g」が例示さ
れる。本発明のアルミナ微粒子の走査電子顕微鏡写真(10万倍)を、図2に示す。図2
からわかるように、本発明のアルミナ微粒子は球形状微粒子であり、その各微粒子の粒子
径も看取されるものである。
【0024】
また、図1に本発明のトナー外添用アルミナ微粒子のX線回折データを示す。図1から
明らかなように、本発明のトナー外添用アルミナ微粒子は、γ−アルミナ結晶特有のピー
ク(例えば2θが45.9°、67.0°等)を有し、しかも、それぞれのピークの半値
幅は0.314、0.415である。X線スペクトルを、例えば特許文献3のごとくCP
S強度比Ia-max /Ia-min で表現する場合には、γ−アルミナが結晶質であるのか非晶
質であるのかについて比較することが容易になるが、本発明のトナー外添用アルミナ微粒
子においては、図1から2θが45.9°にピーク値を有し、そのIa-max =略4500
CPS、そのIa-min =略250CPSと看取されることから、Ia-max /Ia-min =1
8と算出されるものであり、本発明のトナー外添用アルミナ微粒子は結晶性であることが
わかる。
【0025】
また、その半値幅{ピーク値の高さの1/2高さ、すなわち、Ia-min +(Ia-max
a-min )/2に対応するそれぞれの2θ値の差}は、結晶粒(結晶子)の不完全さを示
す場合に用いられる一般的な表現方法であるが、2θが45.9°のピークにおいては0
.314°と測定され、2θが67.0°のピークにおいては0.405°と測定される
。ちなみに、図6(a)(b)に、後述する比較例1、2の市販のγ−アルミナ微粒子に
ついてのX線回折データを示すように、半値幅は、比較例1では2θが45.9°のピー
クにおいては1.756°と測定され、67.0°のピークにおいては1.496°と測
定され、また、比較例2では2θが45.9°のピークにおいては1.673°と測定さ
れ、67.0°のピークにおいては1.784°と測定される。
【0026】
比較例1、2のものは半値幅が大きく、結晶子の不完全さが大きいことがわかる。半値
幅が小さいと結晶子の不完全さが小さくなり、半値幅が大きいと結晶子の不完全さが大き
くなるように、半値幅は結晶子の不完全さとの対応を示すものである。結晶子との不完全
さは酸素欠陥(格子欠陥)の程度を反映していると考えられ、さらには電荷リーク作用発
現の程度を反映していると考えられる。本発明のトナー外添用アルミナ微粒子にあっては
、γ−アルミナ特有のピークである、例えば2θが45.9°や67.0°のピークにあ
って、その半値幅が1.0°以下、好ましくは0.1°〜0.8°のものであり、半値幅
がこれより大きいと本発明の効果を示さない。
【0027】
また、図1には、α−アルミナ結晶特有のピーク(例えば2θが35°等)も示してお
り、γ−アルミナ相とα−アルミナ相とが混在し、しかも、強度比を考慮すると、本発明
のトナー外添用アルミナ微粒子はγ−アルミナ相が大部分で、γ−アルミナを主相とする
ものであること、また、少量のα−アルミナ相を含むものであることがわかる。また、X
線回折データから結晶構造を有するものである。これに対して後述する比較例1のトナー
外添用アルミナ微粒子は、そのX線回折データから、γ−アルミナ相と共にδ−アルミナ
相を1/3程度含まれるものである。
【0028】
本明細書においては、BET比表面積は、(株)マウンテック社製「全自動比表面積計
Macsorb HM model−1201」を使用して求められ、また、アルミナ微
粒子の粒径は、透過電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の粒子径を測定して平均粒子
径を求める。また、X線構造回折は、リガク社製「RINT−1400(ゴニオ半径18
5mm)」を使用して測定するもので、半値幅等の測定等のスペクトル分析を可能とする
ものであり、その測定条件は
発散スリット: 1/2deg
散乱スリット: 1/2deg
受光スリット: 0.3mm
スキャンステップ:0.02°
である。
【0029】
本発明のトナー外添用アルミナ微粒子は、(1)トナー母粒子表面に付着したアルミナ
微粒子が所定の電荷リーク作用を発現し、トナーの摩擦帯電を安定化させる効果を有する
、(2)アルミナ微粒子の研磨作用により感光体表面をリフレッシュして感光体の帯電性
能を安定化させる効果がある、(3)さらに、現像装置がトナーを補給可能とするもので
あり、現像に使用されるトナーが残留トナーに加えて新たに補給もしくは再充填されるト
ナーとの混合トナーであるトナー補給形式の現像装置において、トナー補給カブリを低減
したり、(4)感光体上に残留する遊離外添剤に起因して発生する残留メモリーを低減す
ることができる。
【0030】
(1)のトナーの摩擦帯電を安定化するのは、本発明のトナー外添用アルミナ微粒子が
、γ−アルミナ相を主相としα−アルミナ相を含む遷移アルミナでありながら、明確な結
晶形態を有するためと考えられる。明確な結晶形態を有することにより、電荷リーク作用
発現の起点となる酸素欠陥(格子欠陥)を適度に形成しながら、粒子表面のAl−OH基
が少ないことで化学吸着する構造水を低減でき、その結果、摩擦帯電電荷の制御が容易に
なり、大気中の水分量に依存することなく、環境安定性が向上するものと考えられる。
【0031】
特に、X線回折データにおけるγ−アルミナ由来スペクトルの半値幅を1.0°以下と
するのは、アルミナ微粒子のγ−アルミナ相の結晶子の不完全さを小さくするためであり
、γ−アルミナ相の不完全さが小さくなることで、微弱な電荷リーク作用の発現を安定化
させることに効果がある。
【0032】
(2)の感光体の帯電性能を安定化するのは、本発明のトナー外添用アルミナ微粒子が
、γ−アルミナ相を主相としα−アルミナ相を含む遷移アルミナでありながら、明確な結
晶形態を有するためと考えられる。アルミナ微粒子がγ−アルミナ相を主相とすることで
感光体表面をリフレッシュするに適した適度な研磨作用を発現するものと考えられる。ま
た、粒子表面の活性基が少ないことにより、二次凝集体を形成することなく容易に分散す
る球状の一次粒子を構成するので、感光体表面に研磨痕を発生させることなく適度な研磨
作用を持続させることができるものと考えられる。
【0033】
特に、X線回折データにおけるγ−アルミナ由来スペクトルの半値幅を1.0°以下と
するのは、アルミナ微粒子のγ−アルミナ相の結晶子の不完全さを小さくするためであり
、γ−アルミナ相の不完全さが小さくなることで、研磨作用を制御しうるのではないかと
考えられる。
【0034】
(3)のトナー補給カブリを低減するのは、本発明のトナー外添用アルミナ微粒子が、
γ−アルミナ相を主相としα−アルミナ相を含む遷移アルミナであるため適度な電荷リー
ク作用を発現し、粒子表面の活性基が少ない理由により、二次凝集体を形成することなく
容易に分散する球状の一次粒子を構成するので、トナー表面に付着するアルミナ微粒子が
埋没もしくは遊離が抑制されると共に摩擦帯電の立ち上がり性能が維持されるものと考え
られる。その結果、劣化トナーと新トナーが現像装置内において共存する状況下で、摩擦
帯電の立ち上がりにトナー差が発生しなくなり、新トナー補給後の画像形成時に感光体上
の非画像形成部にカブリが発生しなくなるものと考えられる。
【0035】
特に、X線回折データにおけるγ−アルミナ由来スペクトルの半値幅を1.0°以下と
するのは、アルミナ微粒子のγ−アルミナ相の結晶子の不完全さを小さくするためであり
、γ−アルミナ相の不完全さが小さくなることで、摩擦帯電の立ち上がり性能を維持しう
るものと考えられる。
【0036】
(4)の感光体メモリーを低減するのは、本発明のトナー外添用アルミナ微粒子におい
ては、粒子表面の活性基が少ない理由により、二次凝集体を形成することなく容易に分散
する球状の一次粒子を構成するためと考えられる。トナー表面にアルミナ微粒子を外添処
理する際に、一次粒子の形態で均一に分散した状態で付着させることができるので、トナ
ー表面から遊離して振る舞う非同期成分の発生を抑えることができる。その結果、現像動
作から転写動作時に感光体上に残留する外添剤が発生しないので、感光体メモリーを低減
できるものと考えられる。
【0037】
特に、X線回折データにおけるγ−アルミナ由来スペクトルの半値幅を1.0°以下と
するのは、アルミナ微粒子のγ−アルミナ相の結晶子の不完全さを小さくするためであり
、γ−アルミナ相の不完全さが小さくなることで、二次凝集体を形成することなく、容易
に分散する球形状の一次粒子を構成しうるものと考えられる。
【0038】
本発明のトナー外添用アルミナ微粒子は、トナー母粒子100質量部に対して、0.2
質量部〜5.0質量部、好ましくは0.5質量部〜2.0質量部の割合で外添処理させる
とよい。トナー母粒子に対する処理量がこれより多いと電荷リーク作用が過剰に発現した
り、遊離外添剤が発生する問題があり、また、少ないと所望の研磨効果が得られない。
【0039】
アルミナ微粒子は、後述する実施例においては、疎水化処理をしていないものを使用し
たが、アルキルアルコキシシラン、シロキサン、シラン、シリコーンオイル等のシラン系
有機化合物で疎水化処理をしてもよい。特にアルキルアルコキシシランを用いるのが好ま
しく、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシ
シラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルト
リメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン
、n−オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0040】
また、トナー外添剤として、アルミナ微粒子の他に(1)疎水性小シリカ粒子(以下、
疎水性小シリカ粒子)、(2)疎水性単分散球形大シリカ粒子、(3)正帯電性シリカ粒
子を使用するとよい。
【0041】
(1) 疎水性小シリカ粒子は、個数平均一次粒子径としては7〜16nm、好ましく
は10〜12nm、かつ、嵩比重が0.1〜0.2g/cm3 で、2成分帯電量(5mi
n値)が−20〜−80μC/gのものであり、日本アエロジル(株)製の「R8200
」、また、「RX200(嵩比重が0.02〜0.06g/cm3 、2成分帯電量(5m
in値)−100〜−300μC/g)」が例示される。共に、ケイ素ハロゲン化合物の
蒸気相酸化(乾式法)により得られるもので、嵩比重、2成分帯電量(5min値)にお
いて相違するものである。
【0042】
疎水性小シリカ粒子は、個数平均一次粒子径が小さい程、得られるトナーの流動性が高
くなるが、個数平均一次粒子径が7nmより小さいと、外添に際してシリカ微粒子がトナ
ー母粒子に埋没してしまう虞があり、逆に、個数平均一次粒子径が16nmを超えると、
流動性が悪くなる虞がある。疎水性小シリカ粒子は、トナー母粒子100質量部に対して
0.5〜3.0質量部、好ましくは1.0〜2.0質量部添加されることにより、疎水性
小シリカ粒子の低帯電性・高流動化により、ゴム薄層規制部における圧縮凝集塊の形成を
抑制することができる。
【0043】
なお、嵩比重は、100mlのメスシリンダーにロートを通して粉体を注ぎ、100m
lに達した時点で注入を止め、この時の重量を計測し、次式に代入して得られる。
【0044】
嵩比重(g/cm3 )={(サンプル注入後の重量)−(サンプル注入前の重量)}/
{メスシリンダーの容量(100ml)}。
【0045】
次に、(2) 疎水性単分散球形大シリカ粒子は、個数平均一次粒子径が50〜250
nm、好ましくは80〜150nmである。疎水性単分散球形大シリカ粒子は、形状とし
てはWadellの球形度が0.6以上、好ましくは0.8以上の球形である。単分散球
形シリカ微粒子は、湿式法であるゾルゲル法により得られ、比重が1.3〜2.1のもの
である。疎水性単分散球形大シリカ粒子は、平均粒径が50nmより小さいと、小粒径の
シリカ微粒子のトナー母粒子表面への埋没を防止して流動性や帯電安定性を維持すること
ができなくなったり、また、スペーサ効果が得られず、また、250nmより大きいと、
トナー母粒子に付着しにくくなると共にトナー母粒子表面から脱離しやすくなる。
【0046】
疎水性単分散球形大シリカ粒子としては、(株)日本触媒製の「シーホスターKE−P
10S2」(個数平均一次粒子径100nm)等が例示され、結晶形は一部結晶質とも考
えられるアモルファス、球状、個数平均一次粒子径は100nm、シリコーンオイルによ
り疎水化(表面)処理され、真比重が2.2、嵩比重が0.25〜0.35、BET比表
面積10〜14m2 /g、2成分帯電量(5min値)0〜−50μC/gである。
【0047】
疎水性単分散球形大シリカ粒子は、トナー母粒子100質量部に対して0.2〜2.0
質量部、好ましくは0.5〜1.5質量部添加される。疎水性単分散球形大シリカ粒子の
添加量が0.2質量部より少ないと、トナー充填密度が上昇し、現像ローラ回転時に規制
ブレードでトナー層を薄層規制する際、トナーの薄層化が困難となり、規制モレや飛散す
る問題が生じる。また、2.0質量部より多く添加すると、トナー層充填密度が低下しす
ぎ、現像ローラ回転時に規制ブレードをトナー層が通過する際、トナーの一部が現像ロー
ラに保持されず漏洩したり、また、トナー層の現像ローラ周期で発生する層厚形成ムラに
より、全面ベタ画像を出力すると用紙送り方向に対する濃度均一性が損なわれ、現像ロー
ラ周期ムラが出現するという問題が発生する。
【0048】
(2)の大粒子径のシリカ:(1)の小粒子径のシリカの添加比(質量比)は、1:4
〜4:1、好ましくは2:3〜3:2とするとよく、トナーに流動性を付与し、かつ帯電
の長期安定性を得る上で好ましい。大粒子径シリカと小粒子径シリカは、両者の混合比率
を考慮しつつトナー母粒子100質量部に対して合計量で1.25〜5.0質量部、好ま
しくは2.0〜3.0質量部添加される。
【0049】
シリカ微粒子は疎水化処理されていることが好ましい。負帯電性シリカ微粒子の表面を
疎水性にすることにより、トナーの流動性および帯電性がさらに向上する。シリカ微粒子
の疎水化は、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシランなどのシラン化合物;あ
るいはジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、フッ素変性シリコーンオイル、
アルキル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイルを
用いて、例えば、湿式法、乾式法など当業者が通常使用する方法により行われる。
【0050】
(3) 正帯電性シリカ粒子は、個数平均一次粒子径としては20nm〜40nmであ
る。正帯電性シリカ微粒子は、疎水化処理されていることが好ましく、外部環境の変化に
対する帯電性の変化を小さく、安定な帯電性を維持し、かつトナーの流動性を良好にする
ために添加される。正帯電性シリカ微粒子の疎水化は、アミノシランカップリン剤やアミ
ノ変性シリコンオイル等を使用して行われる。疎水性正帯電性シリカ微粒子としては、市
販の日本アエロジル(株)製のNA50H(結晶形はアモルファス、球状、個数平均一次
粒子径は30nm、ヘキサメチルジシラザンとアミノシランにより疎水化(表面)処理さ
れ、真比重が2.2、嵩比重が0.0671、BET比表面積44.17m2 /g、炭素
量2%以下、2成分帯電量(5min値)40μC/g)や、キャボット(株)製のTG
820Fなどが例示される。
【0051】
次に、本発明におけるトナー母粒子は、小粒径の着色粒子とするものであり、好ましく
は乳化凝集法で得られるものとするとよいが、転相乳化合一法や粉砕法で得られるもので
もよい。
【0052】
乳化凝集法においては、単量体、重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散
させて重合を行い、形成された樹脂粒子からなる分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じ
て荷電制御剤等と凝集剤(電解質)等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させた着色粒
子を得る。このようにして得られる着色粒子は、更に樹脂粒子からなる分散液を混合し、
着色粒子をコアとして樹脂粒子を付着・加熱融合して被膜(シェル)を形成してコアシェ
ル構造とするとよく、離型剤成分の着色粒子表面への露出を防止して現像ローラ等への機
器へのワックス(離型剤)成分の付着をより防止することができ、フィルミング防止に優
れるトナー母粒子とできる。
【0053】
乳化凝集法トナーにおける単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、
p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチ
レン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブ
チル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸
2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタク
リル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メ
タクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸
、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、
無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリ
ル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン
、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。中でも、帯電性の観点から
はスチレンアルリル系共重合体が好ましい。
【0054】
また、着色剤としてはカーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラ
ック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニン
グリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベ
ンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C
.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピ
グメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イ
エロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、
C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.
ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を
単独あるいは混合して使用できる。
【0055】
離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワッ
クス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型
ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス、ポリプロピレン
ワックス、カルナウバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましい。
【0056】
乳化凝集法における重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム
、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等が
ある。
【0057】
乳化剤(界面活性剤)としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシ
ル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸
ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ド
デシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチル
アンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルア
ンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシ
エチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポ
リオキシエチレンエーテル等がある。
【0058】
凝集剤(電解質)としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、
塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫
酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等が挙げられる

【0059】
着色粒子(トナー母粒子)における成分比としては、重合モノマー100質量部に対し
て、離型剤は3〜10質量部、好ましくは4〜8質量部であり、また、着色剤は3〜15
質量部、好ましくは5〜10質量部である。
【0060】
また、乳化重合に際しての重合開始剤としては、重合モノマー100質量部に対して0
.03〜2質量部、好ましくは0.1〜1質量部、乳化剤(界面活性剤)としては0.0
1〜0.1質量部、凝集剤(電解質)としては0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜
2質量部の割合で使用される。
【0061】
また、転相乳化合一法により得られるものとしてもよい。転相乳化合一法は、例えば特
許第3,867,893号に記載されるもので、(1)少なくともポリエステル樹脂と有
機溶剤とを含有する混合物を水性媒体中で乳化させることにより、水性媒体中に混合物の
微粒子を形成させる第一工程、次いで、(2)分散安定剤を添加し、更に電解質を順次添
加することで微粒子を合一させ、微粒子の凝集体を製造する第二工程、(3)凝集体中に
含有される有機溶剤を脱溶剤した後、水性媒体から微粒子を分離、洗浄し、その後、乾燥
させる第三工程を順次行うことにより得るものである。また、結着樹脂としてスチレンア
クリル樹脂とすると、耐湿性に優れることから帯電安定性に優れる結着樹脂とでき、また
、ポリエステル樹脂とすると、得られる画像の透明性に優れ、カラー画像に適したものと
できる。
【0062】
本発明における着色粒子(トナー母粒子)の粒径は、ベックマンコールター社製「マル
チサイザーIII 」型による測定でその50%体積平均粒径(D50)が2.0〜12.0μ
m、好ましくは3.0〜9.0μmである。平均粒径が12.0μm以下であることによ
り、600dpi以上の高解像度で潜像を形成しても、解像度の再現性に優れるものとで
きる。なお、2.0μm以下になると、現像効率が低下することでトナーによる隠蔽性が
低下するとともに、流動性を高めるために外添剤の使用量が増大し、その結果、定着性能
が低下する傾向がある。
【0063】
トナー母粒子形状としては、真球に近い形状のトナー粒子が好ましい。具体的には、ト
ナー母粒子は下記式
R=L0 /L1
{但し、式中、L1(μm)は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0(μm)は
、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲
長を表す。}
で表される平均円形度(R)が0.95〜0.99、好ましくは0.972〜0.98
3とするとよい。トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス製 F
PIA2100)で測定した値である。これにより、転写効率が高く、連続印字しても転
写効率の変動が少なく、帯電量の安定すると共に、クリーニング性にも優れるトナーとで
きる。
【0064】
平均円形度(R)が0.95より低いとトナー母粒子が球形から不定形に近づき、混合
処理槽内での流動性が悪く、攪拌羽根の周速を低下させても収率が低下し、また、転写効
率が低下すると共に、帯電量分布が広がり、正帯電トナー量が増え、筋発生やトナーとし
て使用した際にカブリが増大するという問題がある。また、トナー母粒子の平均円形度(
R)が0.99より高いと、トナー母粒子の形状が真球に近づき、トナー母粒子への外添
剤粒子の均一付着が困難であり、そのため攪拌羽根の周速を上げざるを得ず、羽根先端や
槽壁への溶着が発生し、収率が低下し、また、遊離外添剤量や正帯電トナー量も増え、帯
電量分布が拡がる傾向があり、カブリや筋が発生しやすくなる傾向がある。
【0065】
トナー母粒子への上述した外添剤の添加方法としては、ヘンシェルミキサー(三井三池
社製)、Q型ミキサー(三井鉱山社製)、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン社
製)、メカノミル(岡田精工社製)等より行うとよい。ヘンシェルミキサーを使用して多
段処理がなされる場合、各段階の処理操作条件は、回転周速度30〜50m/s、処理時
間2分〜15分の範囲から適宜選択される。
【0066】
また、外添剤の添加順序として3段階からなる多段処理するとよく、トナー母粒子にま
ず、1段目としてアルミナ微粒子をまず処理し、2段処理として疎水性単分散球形大シリ
カ粒子と共に疎水性小シリカ粒子を処理・付着させ、3段目として正帯電性シリカ微粒子
を処理するとよい。これにより、薄層規制に際し帯電分布調整を可能とし、チャージアッ
プ現象による静電凝集塊の形成を抑制できる負帯電性一成分非磁性トナーとできる。
【0067】
なお、本発明においては、上述した外添剤粒子の添加趣旨を損なわない範囲で、他の疎
水化処理された外添剤、例えば疎水性中シリカ粒子{ヒュームドシリカ、日本エアロジル
社製「RX50」真比重2.2、体積平均粒径D50=40nm(標準偏差=20nm)}
、金属石けん粒子である高級脂肪酸の亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミウムから
選ばれる金属塩であり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸モノアルミニウム、ステアリン酸トリアルミニウム等を外添処理
してもよく、また、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化マグ
ネシウム、酸化インジウム、酸化チタン、酸化セリウム等の金属酸化物の微粒子、また、
窒化珪素等窒化物の微粒子、炭化珪素等の炭化物の微粒子、樹脂粒子、硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等の金属塩の微粒子、並びに、
これらの複合物等の無機微粒子等を添加してもよい。
【0068】
本発明の一成分非磁性トナーは、フロー軟化温度(Tf1/2)が90℃〜140℃で
あり、また、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜70℃の範囲にある。フロー軟化温度(
Tf1/2)は、島津製作所製フローテスタ(CFT−500)を用いて、ノズル径1.
0mmΦ×1.0mm、単位面積(cm2 )当たりの荷重10kg、毎分6℃の昇温速度
で測定した値である。更に、ガラス転移温度(Tg)は、セイコーインスツルメンツ社製
「示差走査熱量計(DSC−200C)」を用い、セカンドラン法により毎分10℃の昇
温速度で測定した値である。
【0069】
次に、本発明における画像形成方法、画像形成装置について説明する。
図4は、本発明の画像形成装置の概要を説明するための図で、図中、プリンタ10は、感
光体20の回転方向に沿って、帯電ユニット30、露光ユニット40、現像器保持ユニッ
ト50、一次転写ユニット60、中間転写体70、クリーニングユニット75を有し、さ
らに、二次転写ユニット80、定着ユニット90等を有している。
【0070】
感光体20は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を
中心に回転可能であり、矢印で示すように時計回りに回転する。帯電ユニット30は、感
光体20を帯電するための装置であり、露光ユニット40は、レーザを照射することによ
って帯電された感光体20上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット40は、画
像信号に基づいて、変調されたレーザビームを帯電された感光体20上に照射する。そし
て、所定のタイミングにてレーザビームがON/OFFされて、所定の速度で回転する感
光体20上の格子状に区画された領域にドット状潜像が形成される。
【0071】
現像器保持ユニット50は、感光体20上に形成された潜像を、ブラック現像器51に
収容されたブラック(K)トナー、マゼンタ現像器52に収容されたマゼンタ(M)トナ
ー、シアン現像器53に収容されたシアン(C)トナー及びイエロー現像器54に収容さ
れたイエロー(Y)トナーを用いて現像するための装置である。この現像器保持ユニット
50は、回転することにより、前記4つの現像器51、52、53、54の位置を動かす
ことを可能としている。そして、感光体20が1回転する毎に、4つの現像器51、52
、53、54のうちの1つを選択的に感光体20と対向させ、対向された現像器51、5
2、53、54に収容されているトナーにより感光体20上に形成された潜像を順次現像
する。
【0072】
一次転写ユニット60は、感光体20に形成された単色トナー像を中間転写体70に転
写するための装置であり、4色のトナーが順次重ねて転写されると、中間転写体70にフ
ルカラートナー像が形成される。この中間転写体70は、エンドレスのベルトであり、感
光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。二次転写ユニット80は、中間転写体7
0上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を紙、フィルム、布等の記録媒体に
転写するための装置である。
【0073】
定着ユニット90は、記録媒体上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を紙
等の記録媒体に融着させて永久像とするための装置である。クリーニングユニット75は
、一次転写ユニット60と帯電ユニット30との間に設けられ、感光体20の表面に当接
されたゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ユニット60によって中間転
写体70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーTをクリーニン
グブレード76により掻き落として除去するための装置である。
【0074】
次に、図5は、イエロー現像器に代表させて現像器を説明するための図で、現像器の主
要構成要素を示した断面図である。現像器54は、トナーTを収容するハウジング540
、現像ローラ510、現像ローラ510にトナーを供給するためのトナー供給ローラ55
0、現像ローラ510に担持されたトナーの層厚を規制するための層厚規制ブレード56
0、ハウジング540と現像ローラ510との上方側の間隙をシールするための上シール
520、ハウジング540と現像ローラ510との端部側の間隙をシールするための端部
シール527等を有している。
【0075】
ハウジング540の内部に、トナー収容部530が形成されている。トナー収容部53
0は、仕切り壁545により、第一トナー収容部530aと第二トナー収容部530bと
に分けられている。現像器保持ユニット50が回転する際には、第一トナー収容部530
aと第二トナー収容部530bとに収容されていたトナーが、現像位置における上部側の
連通している部位側に一旦集められ、図5に示す状態に戻るときには、それらのトナーが
混合されて第一トナー収容部530a及び第二トナー収容部530bに戻されることにな
る。すなわち、現像器保持ユニット50が回転することにより現像器内のトナーTは撹拌
されることになる。このため、トナー収容部530に攪拌部材を設けていないが、トナー
収容部530に収容されたトナーTを攪拌するための攪拌部材を設けてもよい。図5に示
すように、ハウジング540は下部に開口572を有しており、後述する現像ローラ51
0が、この開口572に臨ませて設けられている。
【0076】
トナー供給ローラ550におけるローラ部は、弾性を有する例えば発泡ウレタンにて形
成されている。そして、トナー供給ローラ550は、回転自在に支持されて、第一トナー
収容部530aに収容されており、トナーTを現像ローラ510に供給し、現像後に現像
ローラ510に残存している余剰なトナーTを、現像ローラ510から剥ぎ取る。
【0077】
トナー供給ローラ550と金属表面を有する現像ローラ510とは、互いに押圧された
状態にてハウジング540に組み付けられている。トナー供給ローラにおけるローラ部は
、アスカーF硬度70°の発泡部材で構成されており、接触深さ0.7mm〜1.3mm
で弾性変形された状態で現像ローラ510に当接するとよい。トナー供給ローラの接触深
さを大きくするほど消費部に供給されるトナーの帯電立ち上がりを向上させることができ
る。そして、トナー供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向(図5において反
時計方向)と逆の方向(図5において時計方向)、すなわちトナー供給ローラ550を現
像ローラ510に対してウイズ回転方向で回転させる。
【0078】
本発明のトナーにおける帯電性を十分なものとするためには、現像ローラ上で規制部材
による薄層規制により帯電させる必要があるが、乳化凝集法や転相乳化合一法で得られる
着色粒子は、薄層規制時のストレスにより部分欠損(凝集粒子の部分的欠落)し易い。そ
のため、内包されたワックス成分が露出して、現像ローラ510、規制部材560、上シ
ール520のフィルミングの発生の原因ともなる。
【0079】
本発明の外添処理の順序として、アルミナ微粒子の外添処理後に、疎水性単分散球形大
シリカ粒子を外添処理することにより、着色粒子表面において疎水性単分散球形大シリカ
粒子が移動し易くなるものと考えられる。多数枚印字での耐久時においては、発生する欠
損部に疎水性単分散球形大シリカ粒子が移動し、トラップされて欠損部を埋めるように再
配置され、ワックス部を被覆してフィルミングが抑制されるものと考えられる。
【0080】
現像ローラ510の周速度は250〜400mm/sとするとよく、周速度が大きいほ
ど大シリカの再配列がしやすい。また、トナー供給ローラ550の周速度は400〜60
0mm/sとするとよく、大きいほど現像室内でのトナー流動を活性化させて、トナーの
摩擦帯電状態を均質化させることができる。また、疎水性単分散球形大シリカ粒子の着色
粒子表面での移動を促進するのは、現像ローラと供給ローラの周速度と周速差であるが、
同時に現像ローラ上トナーのリセット性(剥離・供給)が高まり、トナー消費部/トナー
未消費部に対応した摩擦帯電コントラスト差が生じにくくなる。供給ローラ周速度/現像
ローラ周速度で示される周速差(周速度比)は1.4〜1.7とするとよい。周速度比が
大きいほど大シリカの再配列がしやすく、同時に現像ローラ上トナーのリセット性(剥離
・供給)が高まり、現像ローラ上トナーの入れ替わりを促進させることができる。
【0081】
本発明においては、現像ローラ510は、トナーTを担持して感光体20と対向する現
像位置に搬送する。この現像ローラ510は、金属製であり、5056アルミ合金や60
63アルミ合金等のアルミ合金、STKM等の鉄合金等により製造されており、必要に応
じて、ニッケルメッキ、クロムメッキ等が施されていてもよい。現像ローラ510の表面
は、サンドブラストによる粗面化処理により、その表面粗さ(Rz)は5〜8μmとされ
る。
【0082】
また、現像ローラ510は、中心軸を中心として回転可能であり、感光体20の回転方
向(図5において時計方向)と逆の方向(図5において反時計方向)に回転する。また、
図5に示すように、現像器54は、感光体20上に形成された潜像を非接触状態で現像す
る。
【0083】
規制ブレード560は、現像ローラ510に担持されたトナーTに電荷を付与し、また
、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制する。この規制ブレード560は
、ゴム部560aと、ゴム支持部560bとを有している。ゴム部560aは、シリコン
ゴム、ウレタンゴム等からなり、(株)レスカ製タッキング試験機「TAC−II」により
下記の条件で測定されるタック力が60〜80gfを有するゴムとするものである。
【0084】
測定プローブ:φ5
押込み荷重:10g
押込み速度:30mm/min
引剥がし速度:600mm/min
測定温度24℃(室内温度)。
【0085】
本実施例の規制ブレード用ゴム{EPSON(LP−9000C)熱硬化性ウレタンゴ
ム}についてタック力を測定した結果、標準プローブ71〜72gf、プローブ先端にト
ナー貼付けでは110〜130gfであった。
【0086】
ゴム支持部560bは、リン青銅、ステンレス等のバネ性を有する薄板である。ゴム部
560aは、ゴム支持部560bの長手方向に沿わされてゴム支持部560bの短手方向
の一端側に支持されており、ゴム支持部560bは、その他端側がブレード支持板金56
2に支持された状態で当該ブレード支持板金562を介してハウジング540に取り付け
られている。また、規制ブレード560の現像ローラ510側とは逆側にはモルトプレー
ン等からなるブレード裏部材570が設けられている。
【0087】
ここで、ゴム支持部560bの撓みによる弾性力によって、ゴム部560aが現像ロー
ラ510の中央部から両端部に亘って押しつけられている。また、ブレード裏部材570
は、ゴム支持部560bとハウジング540との間にトナーTが入り込むことを防止して
、ゴム支持部560bの撓みによる弾性力を安定させるとともに、ゴム部560aの真裏
からゴム部560aを現像ローラ510の方向へ付勢することによって、ゴム部560a
を現像ローラ510に押しつけている。したがって、ブレード裏部材570は、ゴム部5
60aの現像ローラ510への均一当接性を向上させている。
【0088】
規制ブレード560の、ブレード支持板金562に支持されている側とは逆側の端、す
なわち、先端は、現像ローラ510に接触しておらず、該先端から所定距離だけ離れた部
分が、現像ローラ510に幅を持って接触している。換言すると、規制ブレード560は
、現像ローラ510にエッジにて当接しておらず、ゴム部560aが有する平面にて腹当
たりにて当接している。また、規制ブレード560は、その先端が現像ローラ510の回
転方向の上流側に向くように配置されており、いわゆるカウンタ当接している。
【0089】
また、ゴム支持部560bは、ゴム部560aより現像ローラ510の軸方向に長く設
けられており、ゴム部560aの両端より外側にそれぞれ延出されている。ゴム支持部5
60bの延出された部位には、ゴム部560aより厚い厚みを有する例えば不織布製の端
部シール527が、ゴム部と560aと同一面に貼着されている。このとき、ゴム部56
0aの軸方向の端面は端部シール527の側面に当接されている。
【0090】
端部シール527は、現像ローラ510を取り付けた際に、現像ローラ510の表面に
おける溝部が設けられていない両端部に当接するように設けられ、現像ローラ510の端
部より外側に至る幅を有している。また、端部シール527は、規制ブレード560のゴ
ム部560aの先端より十分に長く延出されている。規制ブレード560がハウジング5
40に取り付けられると、端部シール527は、現像ローラ510外周面と対向するよう
に形成されたハウジング540の部位に沿わされ、ハウジング540と現像ローラ510
との間隙を閉塞する。
【0091】
上シール520は、現像器54内のトナーTが器外に漏れることを防止するとともに、
現像位置を通過した現像ローラ510上のトナーTを、掻き落とすことなく現像器内に回
収する。この上シール520は、ポリエチレンフィルム等からなるシールである。上シー
ル520は、シール支持板金522によって支持されており、シール支持板金522を介
してハウジング540に取り付けられている。また、上シール520の現像ローラ510
側とは逆側には、モルトプレーン等からなるシール付勢部材524が設けられており、上
シール520は、シール付勢部材524の弾性力によって、現像ローラ510に押しつけ
られている。
【0092】
このように構成された現像器54において、トナー供給ローラ550がトナー収容部5
30に収容されているトナーTを現像ローラ510に供給する。現像ローラ510に供給
されたトナーTは、現像ローラ510の回転に伴って、規制ブレード560の当接位置に
至り、該当接位置を通過する際に、電荷が付与されるとともに層厚が規制される。
【0093】
帯電された現像ローラ510上のトナーTは、現像ローラ510のさらなる回転によっ
て、感光体20に対向する現像位置に至り、該現像位置にて交番電界下で感光体20上に
形成された潜像の現像に供される。さらに、現像ローラ510の回転によって現像位置を
通過した現像ローラ510上のトナーTは、上シール520を通過して、上シール520
によって掻き落とされることなく現像器内に回収される。未だ現像ローラ510に残存し
ているトナーTは、トナー供給ローラ550によって剥ぎ取られる。
【0094】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0095】
(実施例1)
トナー母粒子の製造方法について説明する。以下、「部」は質量部である。
【0096】
(樹脂微粒子分散液の調製)
・ スチレン ・・・ 370g
・ n−ブチルアクリレート ・・・ 30g
・ アクリル酸 ・・・ 8g
・ ドデカンチオール ・・・ 24g
・ 四臭化炭素 ・・・ 4g。
【0097】
を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株
)製)6g及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10gを
イオン交換水550gに溶解したフラスコ中で乳化分散させ、10分間ゆっくり混合しな
がら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入した。窒素置
換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加
熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒子径が150nmであり、
Tg=58℃、重量平均分子量Mw=11500の樹脂粒子が分散した樹脂微粒子分散液
を得た。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。
【0098】
(着色剤分散液の調製)
・ シアン顔料B15:3 ・・・ 60g
・ 非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)・・ 5g
・ イオン交換水 ・・・ 240g。
【0099】
以上の成分を混合して、溶解し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA
社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーによって分散処理し、平均粒
径が250nmの着色剤粒子が分散した着色剤分散液を調製した。
【0100】
(離型剤分散液の調製)
・ ポリエチレンワックス(PW725:東洋ペトロライト(株)製)・ 100g
・ イオン性界面活性剤(ネオゲンRK:第一工業製薬(株)製)・・ 5g
・ イオン交換水 ・・・ 200g。
【0101】
以上の成分を混合した溶液を95℃に加熱して、ホモジナイザー(ウルトラタラックス
T50:IKA社製)にて十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、
平均粒子径が210nmである離型剤粒子が分散した離型剤分散液を調製した。
【0102】
(トナー母粒子の調製)
・ 上記で調製した樹脂微粒子分散液 ・・・ 234部
・ 上記で調製した着色剤分散液 ・・・ 30部
・ 上記で調製した離型剤分散液 ・・・ 40部
・ ポリ塩化アルミニウム(浅田化学社製「PAC100W」)・・ 1.8部
・ イオン交換水 ・・ 600部。
【0103】
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックス
T50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後に加熱用オイルバス中でフラスコ内を
攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で30分間保持した後、D50(体積平均粒径)
が4.5μmの凝集粒子が形成されていることを確認した。さらに加熱用オイルバスの温
度を上げて56℃で1時間保持し、D50(体積平均粒径)が5.3μmとなった。
【0104】
その後、この凝集体粒子を含む分散液に26部の樹脂微粒子分散液を追加した後、加熱
用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液
に1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを5.0に調整した後、ステンレス製フラ
スコを密閉し、攪拌を継続しながら95℃まで加熱し、4時間保持し、カプセル化した。
冷却後、濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子を得た。こ
のトナー母粒子のD50(体積平均粒径)は5.5μmであった。
【0105】
(トナーの調製)
上記で得たトナー母粒子2kgをヘンシェルミキサー(20L)に投入した後、トナー
母粒子100gあたりの添加量で、アルミナ微粒子(シーアイ化成社製「Nano・Te
k、Al2 3 、一次粒径30nm、BET比表面積49.3m2 /g」)2.0g(以
下、同様)を投入して、周速40m/sで2分間処理した。
【0106】
ついで、疎水性単分散球形大シリカ粒子(日本触媒社製「KEP10S2」一次粒子サ
イズ100nm、シリコンオイル処理品)0.5gと、疎水性小シリカ粒子(日本アエロ
ジル社製「RX200」一次粒子サイズ12nm、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)
処理品)2.0gを投入して、周速40m/sで2分間処理した。
【0107】
処理後、63μm目開きの金属メッシュを用いて音波フルイで粗大粒子を除去し、本発
明におけるトナーとした。
【0108】
(比較例1)
実施例1のトナーの調製において、アルミナ微粒子、およびその添加量を日本アエロジ
ル製「AEROXIDE C805、結晶系(割合):γ相2/3、δ相1/3、一次粒
径13nm、BET比表面積100m2 /g」1.0gに代えた以外は実施例1と同様に
して、比較例1のトナーとした。
【0109】
(比較例2)
実施例1のトナーの調製において、アルミナ微粒子、およびその添加量を大明化学社製
「ダイミクロン TM−300、結晶系:γ相約90%、純度99.99%、一次粒径7
nm、BET比表面積225m2 /g」0.5gに代えた以外は実施例1と同様にして、
比較例2のトナーとした。
【0110】
(画像形成)
得られた各トナーを図4に示す画像形成装置(LP9000C、セイコーエプソン社製
)に搭載した。現像ローラは外径φ18の鉄製中空素管の表面をサンドブラスト処理後に
Ni−Pメッキを施したRz=7μmの表面粗さに形成した。規制部材の突出量は0.7
6mmとした。また、供給ローラは外径φ19でアスカーF硬度70°のウレタンスポン
ジからなり、現像ローラに接触深さ1.0mmで圧接した。また、プロセス速度210m
m/sとし、現像ローラの周速度は336mm/s、供給ローラの周速度は504mm/
sであり、供給ローラ周速度/現像ローラ周速度で示される周速差(周速度比)は1.5
とした。また、感光体との現像ギャップ100μm、直流バイアス−150v、周波数3
.0kHzの交流バイアス1000v(p−p)、Duty60%の条件下で、ACジャ
ンピング現像法によりカラー画像を形成した。なお、各プロセスユニットのバイアス電位
設定値はデフォルト設定した固定バイアス電位を採用し、トナー量調整用パッチセンサの
動作無しとした。また、試験環境は22〜24℃/45〜55%RHであった。
【0111】
次に、評価項目と評価方法についての評価基準を以下に示す。
(1) 規制通過モレ
現像ローラ上のトナー層が規制ブレードを通過する際、トナーの一部が現像ローラに保
持されずに漏洩する現象をいい、次の4段階で目視評価した。下記の判定基準で3以上を
可とする。
【0112】
Lv4(○):規制ブレードから現像ローラ上へのトナー漏れが全くなく、トナーによ
る汚れのない状態
Lv3(△):トナー漏れが現像ローラ回転時に間欠的に発生し、ゴマ粒大より少ないト
ナー量が下地が見える程度に付着した状態
Lv2(×):トナー漏れが現像ローラ回転時に間欠的に発生し、トナー量が下地が見え
ない程度に付着して堆積した状態
Lv1(×):トナー漏れが現像ローラ回転時に間欠的に発生し、トナーが制限なく漏れ
続ける状態。
【0113】
(2) 上シール飛散
現像ローラ上のトナー層が上シールを通過する際、トナーの一部が現像ローラに保持さ
れずに飛散する状態をいい、次の4段階で目視判定。判定基準は下記の通りである。
【0114】
Lv4(○):上シール回収部で現像ローラ上のトナー飛散が全く生じなく、トナーに
よる汚れのない状態
Lv3(△):飛散したトナーがホルダー/ハウジング上の一部に下地が見える程度に薄
く付着した状態
Lv2(×):飛散したトナーがホルダー/ハウジング上の一部に下地が見えなくなるま
で堆積した状態
Lv1(×):飛散したトナーがホルダー/ハウジング上の半分以上の面積に下地が見え
なくなるまで堆積した状態。
【0115】
(3) 飛翔性(OD値)
全面ベタ(ソリッド)画像を形成する際の現像能力の高さを示し、画像濃度の大きさと
その均一性で表す。画像の先端/中央/後端の3箇所、画像の左側/中央/右側の3箇所
を組み合わせた合計9点の平均OD値と最低OD値を用いる。
【0116】
Lv4(○):平均OD値が1.30以上、最低OD値が1.20以上の状態
Lv3(△):平均OD値が1.20以上、最低OD値が1.10以上の状態
Lv2(×):平均OD値が1.10以上、1.20未満の状態
Lv1(×):平均OD値が1.10未満の状態。
【0117】
(4) カブリ(OD値)
感光体(OPC)上でのカブリ量は、白ベタパターン印字時に画像形成プロセスを強制
的に途中停止して、感光体上に残留する白ベタ(背景部)のカブリトナーをメンディング
テープ(住友スリーエム社製)で転写・回収する。転写回収後のテープをJ紙(富士ゼロ
ックス社製)に貼り付けた後、そのテープ濃度の変化をマクベス濃度計でOD値(光学反
射濃度)を測定する。テープ単体でのOD値は0.1程度を示し、そのOD値差引分をカ
ブリトナー濃度とした。
【0118】
Lv4(○):カブリトナー分のOD値が0.10以下である状態
Lv3(△):カブリトナー分のOD値が0.15以下、0.10超えである状態
Lv2(×):カブリトナー分のOD値が0.20以下、0.15超えである状態
Lv1(×):カブリトナー分のOD値が0.20超えである状態。
【0119】
(5) 供給遅れ
ベタ(ソリッド)画像先端である現像ローラ周期1周目に対して、現像ローラ2周目以
降から後端まで用紙送り方向(露光副走査方向)の画像濃度の均一性が低下し、濃度低下
(カスレ)が発生する現象をいい、目視判定した。
【0120】
Lv4(○):画像先端である現像ローラ周期1周目から画像後端までの領域で濃度低
下が全くない状態(透かしても判別不能)
Lv3(○):画像先端である現像ローラ周期1周目から画像後端までの領域で濃度低下
がない状態(透かすと判別可能)
Lv2(△):供給遅れ起因の濃度低下が現像ローラ周期2周目以降の一部に発生した状

Lv1(△):供給遅れ起因の濃度低下が現像ローラ周期2周目以降の半域以上に発生し
た状態。
【0121】
(6) 総合判定
Lv4(○):全ての項目が○判定である状態
Lv3(○):△判定が2項目以下であり、それ以外の項目が○判定である状態
Lv2(×):×判定の項目がなく、総合判定Lv3、Lv4に該当しない状態
Lv1(×):×判定の項目が1項目以上該当する状態。
【0122】
実施例、比較例1、2の各トナーについての実機評価結果を表1に示す。
【0123】
【表1】

【0124】
次に、課題との対応についての評価基準を以下に示す。
(1) トナー帯電安定性
上述した(1) 規制通過モレ、(2) 上シール飛散、(3) 飛翔性、(4) カブリの4項目につい
て、不具合なく成立している状態
Lv4(○):(1) 〜(4) において、すべての項目が○判定である状態
Lv3(○):(1) 〜(4) において、△判定が1項目以下であり、上記Lv4に該当しな
い状態
Lv2(△):(1) 〜(4) において、×判定を含まず、上記Lv3、Lv4に該当しない
状態
Lv1(×):(1) 〜(4) において、×判定が1項目以上該当する状態。
【0125】
(2) 感光体帯電安定(感光体フィルミング)
感光体(OPC)表面に放電生成物やトナー組成物の一部が固着して一様帯電が阻害さ
れる感光体のフィルミング現象をみるもので、感光体フィルミングのレベルの定量化は予
め作製する顕微鏡拡大像の固着限度見本と照らし合わせてスコアを決める。
【0126】
Lv4(○):感光体表面の顕微鏡拡大像の一視野内に固着が全く認められない状態
Lv3(○):感光体表面の顕微鏡拡大像の一視野内に100μm以下の固着が20箇所
以下である状態
Lv2(△):感光体表面の顕微鏡拡大像の一視野内に500μm以下の固着が50箇所
以下である状態
Lv1(×):感光体表面の顕微鏡拡大像の一視野内の固着が上記に該当しない状態。
【0127】
(3) トナー補給規制通過モレ
白ベタ画像をA4サイズ6千枚相当形成してカブリトナー量を消費後に、新トナーを残
トナー重量の10相当分だけ現像装置に補給する。新トナーを現像装置に補給した直後に
現像ローラ上のトナー層の規制通過モレか一時的に増加する現象をみるもので、トナー補
給規制通過モレの判定は通常カブリの規制通過モレの判定方法と同一手順で実施する。
【0128】
Lv4(○):規制ブレードから現像ローラ上へのトナー漏れが全くなく、トナーによ
る汚れのない状態。
Lv3(△):トナー漏れが現像ローラ回転時に間欠的に発生し、ゴマ粒大より少ないト
ナー量が下地が見える程度に付着した状態。
Lv2(×):トナー漏れが現像ローラ回転時に間欠的に発生し、トナー量が下地が見え
ない程度に付着して堆積した状態。
Lv1(×):トナー漏れが現像ローラ回転時に連続的に発生し、トナーが制限なく漏れ
続ける状態。
【0129】
(4) トナー補給上シール飛散
白ベタ画像をA4サイズ6千枚相当形成してカブリトナー量を消費後に、新トナーを残
トナー重量の10相当分だけ現像装置に補給する。新トナーを現像装置に補給した直後に
現像ローラ上のトナー層の上シール飛散が一時的に増加する現象をみるもので、トナー補
給上シール飛散の判定は、通常カブリの規制通過モレの判定方法と同一手順で実施する。

【0130】
Lv4(○):上シール回収部で現像ローラ上のトナー飛散が全く生じなく、トナーに
よる汚れのない状態
Lv3(△):飛散したトナーがホルダー/ハウジング上の一部に下地が見える程度に薄
く付着した状態
Lv2(×):飛散したトナーがホルダー/ハウジング上の一部に下地が見えなくなるま
で堆積した状態
Lv1(×):飛散したトナーがホルダー/ハウジング上の半分以上の面積に下地が見え
なくなるまで堆積した状態。
【0131】
(5) トナー補給カブリ
白ベタ画像をA4サイズ6千枚相当形成してカブリトナー量を消費後に新トナーを残ト
ナー重量の10%相当分だけ現像装置に補給する。新トナーを現像装置に補給した直後に
形成する白ベタ画像に発生するカブリが一時的に増加する現象をみるもので、トナー補給
カブリ量の判定は、通常カブリの判定方法と同一手順で実施する。
【0132】
Lv4(○):カブリトナー分のOD値が0.10以下である状態
Lv3(△):カブリトナー分のOD値が0.15以下、0.10超えである状態
Lv2(×):カブリトナー分のOD値が0.20以下、0.15超えである状態
Lv1(×):カブリトナー分のOD値が0.20超えである状態。
【0133】
(6) 感光体メモリー
白ベタ画像内に孤立するベタ画像を形成した直後の感光体1周期内に低いハーフの濃度
画像を形成する際、ハーフ濃度画像にベタ画像の履歴が残像として出現する現象を見る。
トナー表面の外添剤の一部が感光体上のベタ画像輪郭に集中して残留しやすく、クリーニ
ングにより除去できない残留外添剤が露光を遮ることでハーフ画像の潜像電位にムラが発
生することで出現する。残像レベルの定量化は予め作成する画像限度見本と照らし合わせ
てスコアを決める。
【0134】
Lv4(○):ハーフ画像内に残像が全く認められない状態
Lv3(△):ハーフ画像内に不鮮明な輪郭の残像が薄っすらと認められる状態
Lv2(×):ハーフ画像内に鮮明な輪郭の残像が薄っすらと認められる状態
Lv1(×):ハーフ画像内に鮮明な輪郭の残像が明らかに周囲の濃度以上(OD値0.
1以上)で認められる状態。
【0135】
実施例、比較例1、2の各トナーについて、課題との対応の評価結果を表2に示す。
【0136】
【表2】

【0137】
表1、2から明かなように、本発明は、摩擦帯電安定性、感光体帯電安定性に優れると
共にトナー補給規制通過モレやトナー補給上シール飛散やトナー補給カブリや感光体メモ
リーの生じないトナー外添用アルミナ微粒子、およびトナーとできる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明のトナー外添用アルミナ微粒子の製造方法およびトナーの製造方法は、摩擦帯電
安定性、感光体帯電安定性に優れると共にトナー補給規制通過モレやトナー補給上シール
飛散やトナー補給カブリや感光体メモリーの生じないトナー外添用アルミナ微粒子および
トナーを製造できる。
【符号の説明】
【0139】
10はプリンタ、20は感光体、30は帯電ユニット、40は露光ユニット、50は現
像器保持ユニット、60は一次転写ユニット、70は中間転写体、75はクリーニングユ
ニット、80は二次転写ユニット、90は定着ユニット、510は現像ローラ、520は
上シール、530はトナー収容部、540はハウジング、550はトナー供給ローラ、5
60は規制ブレード、Tはトナーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属アルミニウムを直流アークプラズマで蒸発させ、その蒸気を酸化して得られる、γ−
アルミナ相を主相とすると共に少なくとも少量のα−アルミナ相を含む結晶性で、かつ、
BET比表面積が20m2 /g〜80m2 /gの球形状アルミナ微粒子とすることを特徴
とするトナー外添用アルミナ微粒子の製造方法。
【請求項2】
平均粒径が、20nm〜100nmである請求項1記載のトナー外添用アルミナ微粒子の
製造方法。
【請求項3】
アルミナ微粒子は、X線回折分析におけるγ−アルミナ由来スペクトルの半値幅が1.0
°以下である請求項1記載のトナー外添用アルミナ微粒子の製造方法。
【請求項4】
少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含むトナー母粒子に、金属アルミニウムを直流
アークプラズマで蒸発させ、その蒸気を酸化することにより得られる、γ−アルミナ相を
主相とすると共に少なくとも少量のα−アルミナ相を含む結晶性で、かつ、BET比表面
積が20m2 /g〜80m2 /gの球形状アルミナ微粒子を外添処理した後、シリカ微粒
子を外添処理することを特徴とするトナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−204237(P2010−204237A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47654(P2009−47654)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】