説明

トナー濃度測定装置および画像形成装置

【課題】像担持体上のトナー濃度を、像担持体との位置関係が変化しても正確に測定する。
【解決手段】像担持体22上のトナー濃度を測定するトナー濃度測定装置であって、像担持体22に単一偏光光を照射する投光手段34,38と、像担持体22によって反射された単一偏光光の反射光のP波成分のみ受光する第1および第2の受光素子36a,36bと、反射光のS波成分のみ受光する第3および第4の受光素子36c,36dと、第1または第2の受光素子36a,36bの少なくとも一方の受光量と、第3または第4の受光素子36c,36dの少なくとも一方の受光量とに基づいて、トナー濃度を算出するトナー濃度算出手段68とを有する。第1〜第4の受光素子36a〜36dそれぞれの受光面Pa,Pb,Sa,Sbは、同一平面上に二行二列に、且つ、第1及び第2の受光素子36a,36bの受光面Pa,Pbが対角に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上のトナーの濃度を測定するトナー濃度測定装置および画像形成装置に関し、画像の安定化に関する制御の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置では、安定した品質の画像を形成するために、画像安定化制御が実行されている。例えば、中間転写ベルト上に所定のトナー画像を形成し、次に所定のトナー画像のトナー濃度を測定し、そして、その測定結果に基づいて所定のトナー画像のトナー濃度が所定の濃度になるように、例えば、感光体の帯電量、感光体にトナーを静電的に供給する現像剤担持体に印加するバイアス電圧、潜像形成時の露光量などの画像形成条件が調整されている。このような画像安定化制御によって画像形成条件が調整されることにより、安定した品質の画像が画像形成装置から出力される。
【0003】
このような画像安定化制御においては、トナー濃度を測定するために、例えば特許文献1に記載する、偏光を利用したトナー濃度測定装置が使用されている。このトナー濃度測定装置は、像担持体上のトナー濃度測定位置に光を照射する投光素子と、トナー濃度測定位置からの該光の反射光を受光する第1および第2の受光素子と、投光素子からトナー濃度測定位置に至る光路上に配置されて該投光素子からの照射光のP波成分(入射面に平行な成分)のみを透過する偏光フィルタと、トナー濃度測定位置から第1の受光素子に至る光路上に配置されて反射光のP波成分のみを透過する偏光フィルタと、トナー濃度測定位置から第2の受光素子に至る光路上に配置されて反射光のS波成分(入射面に垂直な成分)のみを透過する偏光フィルタとを有する。そして、反射光のP波成分を受光する第1の受光素子の出力信号値(受光量)と反射光のS波成分を受光する第2の受光素子の出力信号値(受光量)との差に基づいて、トナー濃度測定位置のトナー濃度を算出する。
【0004】
これは、P波成分のみの単一偏光の照射光がトナー表面で反射される場合は偏光が乱されてその反射光がP波成分とS波成分とを含む光になり、一方、像担持体裸面で反射される場合は偏光が乱されずにその反射光がP波成分のみの光になることに基づいている。
【0005】
したがって、第1の受光素子は、像担持体裸面からのP波成分のみの反射光とトナー表面からの反射光のP波成分とを受光し、第2の受光素子は、トナー表面からの反射光のS波成分を受光する。第1の受光素子が受光するトナー表面からの反射光のP波成分の光量と、第2の受光素子が受光するトナー表面からの反射光のS波成分の光量は略同一であるため(無数のトナーにおける平均の反射光のP波成分の光量と平均の反射光のS波成分の光量とは略同一であるため)、第1の受光素子の出力信号値から第2の受光素子の出力信号値を引き算すれば、像担持体裸面からの反射光の光量を算出することができる。言い換えると、像担持体裸面におけるトナーの付着量(すなわちトナー濃度)を算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−208266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載するような、偏光を利用したトナー濃度測定装置の場合、当然ながらトナー濃度測定装置と像担持体との位置関係が常に一定に維持されている必要がある。厳密に言えば、2つの受光素子とトナー濃度測定位置との間の光路上に配置されている2つの偏光フィルタを取り除いた場合に、2つの受光素子の出力信号値が略同一である、すなわち2つの受光素子の受光量のバランスがとれている必要がある。
【0008】
例えば、特許文献1に記載するトナー濃度測定装置の場合、投光素子と2つの受光素子とが一直線上に配置されている。そのため、像担持体との位置関係が変化して反射光のスポットの中心が正常時における2つの受光素子の間から一直線方向にずれると、いずれか一方の受光素子の受光量が増加し、他方が減少する。また、一直線方向と異なる方向にずれると、いずれか一方の受光素子の受光量が増加するまたは減少する、あるいは両方の受光量が増加するまたは減少する。このように、トナー濃度測定装置と像担持体との位置関係が変化することにより2つの受光素子の受光量のバランスが変わると、受光量に対応する受光素子の出力信号値は、トナー濃度を正確に反映した値であるとは言い難い。
【0009】
この対処として、トナー濃度測定装置は像担持体に対して厳しく位置決めされているが、現実として、トナー濃度測定装置と像担持体との位置関係を、常に一定に維持することは困難である。位置関係は、例えば、画像形成装置の周辺温度の変化によってトナー濃度測定装置を保持する部材がわずかに変形するなどにより、変化する。また、トナー濃度測定装置の取り付け精度によっても異なる(すなわち画像形成装置毎にトナー濃度測定装置の取り付け精度に関してバラツキが生じる)。
【0010】
そこで、本発明は、偏光を利用して像担持体上のトナー濃度を測定するトナー濃度測定装置において、該トナー濃度測定装置と像担持体の位置関係が変化しても、トナー濃度を正確に測定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明は、
像担持体に付着するトナーの濃度を測定するトナー濃度測定装置であって、
像担持体のトナー濃度測定位置に単一偏光光を照射する投光手段と、
トナー濃度測定位置で反射された前記単一偏光光の反射光のP波成分のみを受光面で受光する第1および第2の受光素子と、
前記反射光のS波成分のみを受光面で受光する第3および第4の受光素子と、
第1または第2の受光素子の少なくとも一方の受光量と、第3または第4の受光素子の少なくとも一方の受光量とに基づいて、トナー濃度を算出するトナー濃度算出手段とを有し、
第1〜第4の受光素子それぞれの受光面は、同一平面上に二行二列に、且つ、第1及び第2の受光素子の受光面が対角に配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、
像担持体と、像担持体にトナー画像を所定の画像形成条件に基づいて形成する画像形成手段と、請求項1から5のいずれか1項に記載のトナー濃度測定装置とを有する画像形成装置であって、
トナー濃度測定装置が測定した像担持体上のトナー濃度に基づいて、画像形成条件を調整する画像形成条件調整手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反射光のP波成分を受光する第1および第2の受光素子の受光面と、反射光のS波成分を受光する第3および第4の受光素子の受光面とが、同一平面上に二行二列に、且つ第1および第2の受光素子の受光面が対角に配置される。これにより、トナー濃度測定装置と像担持体との位置関係が変化しても、すなわち4つの受光面上の反射光のスポットが該4つの受光面の中心からずれても、反射光のP波成分とS波成分それぞれの受光量は、反射光のスポットが4つの受光面の中心に位置する場合と比べて、ほとんど変化しない。その結果、反射光のP波成分の受光量とS波成分の受光量との差に基づいて、トナー濃度を正確に測定することができる。
【0014】
また、本発明によれば、上述のトナー濃度測定装置によって正確に測定された像担持体上のトナー濃度に基づいて、画像形成条件が調整される。その結果、安定した品質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】トナー濃度センサの構成を概略的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御系を示す図である。
【図4】4つの受光面と反射光のスポット位置を示す図である。
【図5】画像安定化制御の一例のフローチャートを示す図である。
【図6】階調パターン画像を示す図である。
【図7】受光素子の角度特性を示す図である。
【図8】γ特性補正テーブルを作成する制御の一例のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の構成を概略的に示した図である。
【0017】
符号10に示される画像形成装置は、例えば複写機やプリンタなどであって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のトナーを用いてシートSに画像を形成する装置である。なお、符号にY、M、C、Kのアルファベットが含まれている構成要素は、そのアルファベットに対応する色用の構成要素である。なお、本発明は、画像形成に使用する画像データの提供方法は、特に限定しない。
【0018】
画像形成装置10は、円筒形状の感光体12Y、12M、12C、12Kと、感光体の表面(像担持面)を一様に帯電する帯電装置14Y、14M、14C、14Kと、帯電された像担持面上に潜像を形成する露光装置16Y、16M、16C、16Kと、像担持面上の潜像をトナーによって現像する現像装置18Y、18M、18C,18Kとを有する。現像装置18Y、18M、18C、18Kは、感光体12Y、12M、12C、12Kに対して静電的にトナーを供給することにより潜像を現像する現像ローラ20Y、20M、20C、20Kを有する。
【0019】
また、画像形成装置10は、感光体12Y、12M、12C、12Kそれぞれの像担持面上のトナー画像が重ねて転写される中間転写ベルト22と、中間転写ベルト22の表面(像担持面)上に重ねて転写された4色のトナー画像(カラー画像)をシートSに転写する二次転写ローラ24と、シートS上に転写されたカラー画像を該シートSに定着させる定着装置26とを有する。
【0020】
この画像形成装置10では、画像は以下のようにシートSに形成される。
【0021】
まず、感光体12Y、12M、12C、12Kの像担持面が、帯電装置14Y、14M、14C、14Kによって一様に帯電される。次に、帯電された像担持面上に、露光装置16Y、16M、16C、16Kによって潜像が形成される。続いて、像担持面上に形成された潜像が、現像装置18Y、18M、18C、18Kの現像ローラ20Y、20M、20C、20Kによって現像される(トナー画像が形成される。)。
【0022】
感光体12Y、12M、12C、12Kそれぞれの像担持面上のトナー画像が、中間転写ベルト22に順番に静電的に転写されて該中間転写ベルト22の像担持面上に重ねられる(カラー画像が形成される。)。
【0023】
中間転写ベルト22の像担持面上のカラー画像は、二次転写ローラ24と中間転写ベルト22との間の領域に移動され、その領域に搬送されてきたシートSに静電的に転写される。
【0024】
シートS上のカラー画像は、定着装置26によって該シートSに定着される。
【0025】
ここからは、本発明に係る画像安定化制御について説明する。
【0026】
画像安定化制御を実行するために、画像形成装置10は、中間転写ベルト22の像担持面上のトナー画像のトナー濃度を測定するトナー濃度センサ28a,28bを有する。これらのトナー濃度センサ28a,28bは、図1に示すように、シート収納部30に収納されているシートSを中間転写ベルト22と二次転写ローラ24との間に搬送する搬送ユニット32のハウジングに、中間転写ベルト22の幅方向(図面奥行き方向)に並んで取り付けられている。なお、トナー濃度センサ28a,28bは、トナーの濃度を測定する中間転写ベルト22の像担持面上の位置が異なるだけでその構成は同一である。したがって、ここからは2つを区別することなく説明する。
【0027】
トナー濃度センサ28a(28b)は、図2に示すように、中間転写ベルト22の像担持面上のトナー濃度測定位置に光を照射するLED(light emitting diode)34と、像担持面上のトナー濃度測定位置で反射されたLED光の反射光を受光する4つの受光素子36a〜36dと、5つの偏光フィルタ38、40a〜40dとを有する。
【0028】
LED34は、基板42に設けられている光量変更可能な光源であって、その光量が後述する画像形成装置10の制御部によって制御される。なお、基板42は、図示しないトナー濃度センサ28a(28b)のハウジングに支持されている。
【0029】
受光素子36a〜36dそれぞれは、中間転写ベルト22の像担持面上のトナー濃度測定位置からの反射光を受光する受光面Pa,Pb,Sa,Sbを有し、受光量に対応した受光信号(電圧信号)を制御部に出力するように構成されている。この4つの受光素子36a〜36dは、その受光面Pa,Pb,Sa,Sbが同一平面上に二行二列に配列されるように、また、受光素子36a,36bの受光面Pa,Pbが対角になるように(言い換えると、受光素子36c,36dの受光面Sa,Sbが対角になるように)、基板42に設けられている。
【0030】
加えて、4つの受光素子36a〜36dは、LED34と中間転写ベルト22の幅方向Dに並んで、且つ中間転写ベルト22からの反射光のスポットが二行二列に配置されている4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心に一致するように、基板42上に配置されている。なお、LED34と4つの受光素子36a〜36dとが並ぶ方向は、中間転写ベルト22の移動方向であってもよい。
【0031】
偏光フィルタ38は、LED34から中間転写ベルト22の像担持面上のトナー濃度測定位置に至る光路上に位置するようにトナー濃度センサ28a(28b)のホルダ44に支持されている(なお、ホルダ44は、図示しないトナー濃度センサ28a(28b)のハウジングに支持されている。)。また、偏光フィルタ38は、LED34からの照射光のP波成分のみを透過する。これにより、LED34からトナー濃度測定位置に、単一偏光光(P波光)が照射される。
【0032】
偏光フィルタ40aは、中間転写ベルト22の像担持面上のトナー濃度測定位置から受光素子36aの受光面Paに至る光路上に位置するようにホルダ44に支持されている。また、偏光フィルタ40aは、トナー濃度測定位置からの反射光のP波成分のみを透過する。これにより、受光素子36aの受光面Paは、反射光のP波成分のみを受光する。
【0033】
偏光フィルタ40bは、中間転写ベルト22の像担持面上のトナー濃度測定位置から受光素子36bの受光面Pbに至る光路上に位置するようにホルダ44に支持されている。また、偏光フィルタ40bは、トナー濃度測定位置からの反射光のP波成分のみを透過する。これにより、受光素子36bの受光面Pbは、反射光のP波成分のみを受光する。
【0034】
偏光フィルタ40cは、中間転写ベルト22の像担持面上のトナー濃度測定位置から受光素子36cの受光面Saに至る光路上に位置するようにホルダ44に支持されている。また、偏光フィルタ40cは、トナー濃度測定位置からの反射光のS波成分のみを透過する。これにより、受光素子36cの受光面Saは、反射光のS波成分のみを受光する。
【0035】
偏光フィルタ40dは、中間転写ベルト22の像担持面上のトナー濃度測定位置から受光素子36dの受光面Sbに至る光路上に位置するようにホルダ44に支持されている。また、偏光フィルタ40dは、トナー濃度測定位置からの反射光のS波成分のみを透過する。これにより、受光素子36dの受光面Sbは、反射光のS波成分のみを受光する。
【0036】
このようなトナー濃度センサ28a(28b)であれば、トナー濃度センサ28a(28b)と中間転写ベルト22との位置関係が変化しても、すなわち4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sb上の反射光のスポットが該4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心からずれても、トナー濃度センサ28a(28b)の反射光のP波成分とS波成分それぞれの受光量は、反射光のスポットが4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心に位置する場合と比べて、ほとんど変化しない。
【0037】
図3は、画像安定化制御に関わる画像形成装置10の制御系を概略的に示している。
【0038】
図3に示すように、画像形成装置10の制御系は、制御部50と、操作表示部52と、画像形成部54と、記憶部56とを有する。
【0039】
制御部50は、画像形成装置10の構成要素を制御するものであって、特に本発明においては、トナー濃度センサ28a(28b)からの受光信号に基づいて、画像安定化制御を実行するように構成されている。この制御部50についての詳細は後述する。
【0040】
操作表示部52は、ユーザによって操作され、且つユーザに対して情報を表示によって提供する、例えばタッチパネルなどであって、ユーザの操作に対応する操作信号を制御部50に送信するように、且つ制御部50から提供された情報データを表示するように構成されている。
【0041】
画像形成部54は、画像形成に関する構成要素を制御して画像を形成するものであって、例えば帯電装置14Y,14M,14C,14Kの帯電量、露光装置16Y,16M,16C,16Kの露光量、現像ローラ20Y,20M,20C,20Kに印加するバイアス電圧などを制御する、すなわち画像形成条件を調整するように構成されている。画像形成条件は、例えば、後述するγ特性補正テーブルに基づいて、γ特性が線形になるように調整される。
【0042】
記憶部56は、γ特性補正テーブルなどの画像形成条件の調整に関わるデータや、詳細は後述するが、前回の画像安定化制御時に取得した受光信号やトナー濃度の算出に使用した受光素子のデータを記憶している。
【0043】
制御部50は、画像安定化制御に関する構成要素として、トナー濃度センサ28a(28b)のLED34の光量を調整するLED光量調整部60と、トナー濃度センサ28a(28b)の複数の受光素子36a〜36dからの受光信号を取得する受光信号取得部62と、取得した受光信号に基づいて反射光のスポット位置を推定する反射光スポット位置推定部64と、推定した反射光スポット位置に基づいてトナー濃度の算出に使用する受光素子を決定する使用受光素子決定部66と、使用決定された受光素子からの受光信号に基づいてトナー濃度を算出するトナー濃度算出部68と、算出したトナー濃度に基づいてγ特性を算出するγ特性算出部70と、算出したγ特性に基づいてγ特性補正テーブルを作成するγ特性補正テーブル作成部72を有する。
【0044】
LED光量調整部60は、トナー濃度センサ28a(28b)のLED34の光量を調整するように構成されている。
【0045】
受光信号取得部62は、トナー濃度センサ28a(28b)の複数の受光素子36a〜36dからの受光信号を取得するように構成されている。
【0046】
反射光スポット位置推定部64は、複数の受光素子36a〜36dそれぞれからの受光信号に基づいて、二行二列に配置されている4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sb上の反射光のスポットの位置(中心)を推定するように構成されている。この反射光のスポット位置の推定方法について、図4を参照しながら説明する。
【0047】
図4(A)に示すように、受光素子36aの受光面Paが受光した受光量に対応する受光信号値L(Pa)と受光素子36bの受光信号値L(Pb)とが略等しく、且つ、受光素子36cの受光信号値L(Sa)と受光素子36dの受光信号値L(Sb)とが略等しい場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(実線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの略中心に位置すると推定する。ここで言う「略等しい」とは、例えば、両者の差が、予め定義された値より小さいことを言う。
【0048】
また、図4(B)に示すように、受光素子36aの受光信号L(Pa)が受光素子36bの受光信号L(Pb)より大きく(例えば、両者の差が予め定義された値より大きく)、且つ受光素子36cの受光信号L(Sa)が受光素子36dの受光信号L(Sb)より小さい(例えば、両者の差が予め定義された値より大きい)場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(実線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pa,Sb側(図中右側)に位置すると推定する。
【0049】
一方、受光素子36aの受光信号L(Pa)が受光素子36bの受光信号L(Pb)より小さく、且つ受光素子36cの受光信号L(Sa)が受光素子36dの受光信号L(Sb)より大きい場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(点線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pb,Sa側(図中左側)に位置すると推定する。
【0050】
さらに、図4(C)に示すように、受光素子36aの受光信号L(Pa)が受光素子36bの受光信号L(Pb)より大きく、且つ受光素子36cの受光信号L(Sa)が受光素子36dの受光信号L(Sb)より大きい場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(実線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pa,Sa側(図中上側)に位置すると推定する。
【0051】
一方、受光素子36aの受光信号L(Pa)が受光素子36bの受光信号L(Pb)より小さく、且つ受光素子36cの受光信号L(Sa)が受光素子36dの受光信号L(Sb)より小さい場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(点線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pb,Sb側(図中下側)に位置すると推定する。
【0052】
さらにまた、図4(D)に示すように、受光素子36aの受光信号L(Pa)が受光素子36bの受光信号L(Pb)より大きく、且つ受光素子36cの受光信号L(Sa)と受光素子36dの受光信号L(Sb)とが略等しい場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(実線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pa側(図中右上側)に位置すると推定する。
【0053】
一方、受光素子36aの受光信号L(Pa)が受光素子36bの受光信号L(Pb)より小さく、且つ受光素子36cの受光信号L(Sa)と受光素子36dの受光信号L(Sb)とが略等しい場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(点線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pb側(図中左下側)に位置すると推定する。
【0054】
加えて、図4(E)に示すように、受光素子36aの受光信号L(Pa)と受光素子36bの受光信号L(Pb)とが略等しく、且つ受光素子36cの受光信号L(Sa)が受光素子36dの受光信号L(Sb)より大きい場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(実線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Sa側(図中左上側)に位置すると推定する。
【0055】
一方、受光素子36aの受光信号L(Pa)と受光素子36bの受光信号L(Pb)とが略等しく、且つ受光素子36cの受光信号L(Sa)が受光素子36dの受光信号L(Sb)より小さい場合、反射光スポット位置推定部64は、反射光のスポット(点線円)の中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Sb側(図中右下側)に位置すると推定する。
【0056】
図3に戻り、使用受光素子決定部66は、反射光スポット位置推定部64の推定結果に基づき、トナー濃度の算出に使用する受光素子を決定するように構成されている。
【0057】
具体的には、使用受光素子決定部66は、まず、反射光スポット位置推定部64が推定した位置に反射光のスポットが存在し、且つ偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定する。次に、その想定における4つの受光素子36a〜36dそれぞれの受光量に基づいて、4つの受光素子36a〜36dのうち、いずれの受光素子をトナー濃度の算出に使用するかを決定する。
【0058】
具体例を挙げると、図4(A)に示すように、反射光のスポットの中心が4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの略中心に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの受光量は略等しい。すなわち、4つの受光素子36a〜36dの受光量のバランスがとれている。
【0059】
この場合については、使用受光素子決定部66は、受光素子36aまたは36bのいずれか一方と、受光素子36cまたは36dのいずれか一方とを、トナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0060】
また、図4(B)の実線円に示すように、反射光のスポットの中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pa,Sb側(図中右側)に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、2つの受光面Pa,Sbの受光量が略等しく、また、2つの受光面Pb,Saの受光量が略等しい。すなわち、受光素子36a,36dの受光量のバランスがとれており、また、受光素子36b,36cの受光量のバランスがとれている。
【0061】
この場合については、使用受光素子決定部66は、値が大きい(受光量が大きい)方の、受光素子36aと36dとをトナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0062】
一方、図4(B)の点線円に示すように、反射光のスポットの中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pb,Sa側(図中左側)に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、2つの受光面Pa,Sbの受光量が略等しく、また、2つの受光面Pb,Saの受光量が略等しい。すなわち、受光素子36a,36dの受光量のバランスがとれており、また、受光素子36b,36cの受光量のバランスがとれている。
【0063】
この場合については、使用受光素子決定部66は、値が大きい方の、受光素子36bと36cとをトナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0064】
さらに、図4(C)の実線円に示すように、反射光のスポットの中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pa,Sa側(図中上側)に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、2つの受光面Pa,Saの受光量が略等しく、また、2つの受光面Pb,Sbの受光量が略等しい。すなわち、受光素子36a,36cの受光量のバランスがとれており、また、受光素子36b,36dの受光量のバランスがとれている。
【0065】
この場合については、使用受光素子決定部66は、値が大きい方の、受光素子36aと36cとをトナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0066】
一方、図4(C)の点線円に示すように、反射光のスポットの中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pb,Sb側(図中下側)に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、2つの受光面Pa,Saの受光量が略等しく、また、2つの受光面Pb,Sbの受光量が略等しい。すなわち、受光素子36a,36cの受光量のバランスがとれており、また、受光素子36b,36dの受光量のバランスがとれている。
【0067】
この場合については、使用受光素子決定部66は、値が大きい方の、受光素子36bと36dとをトナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0068】
さらにまた、図4(D)の実線円に示すように、反射光のスポットの中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pa側(図中右上側)に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、受光面Paが受光する受光量が、受光面Sa,Sbの受光量の和と略等しい。すなわち、受光素子36aの受光量は、受光素子36c,36dの受光量の和とバランスがとれている。
【0069】
この場合については、使用受光素子決定部66は、受光素子36a、36c、および36dをトナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0070】
一方、図4(D)の点線円に示すように、反射光のスポットの中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Pb側(図中左下側)に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、受光面Pbが受光する受光量が、受光面Sa,Sbの受光量の和と略等しい。すなわち、受光素子36bの受光量は、受光素子36c,36dの受光量の和とバランスがとれている。
【0071】
この場合については、使用受光素子決定部66は、受光素子36b〜36dをトナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0072】
加えて、図4(E)の実線円に示すように、反射光のスポットの中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Sa側(図中左上側)に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、受光面Saが受光する受光量が、受光面Pa,Pbの受光量の和と略等しい。すなわち、受光素子36cの受光量は、受光素子36a,36bの受光量の和とバランスがとれている。
【0073】
この場合については、使用受光素子決定部66は、受光素子36a〜36cをトナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0074】
一方、図4(E)の点線円に示すように、反射光のスポットの中心が、4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心の受光面Sb側(図中右下側)に位置すると推定された場合、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた状態を想定すると、受光面Sbが受光する受光量が、受光面Pa,Pbの受光量の和と略等しい。すなわち、受光素子36dの受光量は、受光素子36a,36bの受光量の和とバランスがとれている。
【0075】
この場合については、使用受光素子決定部66は、受光素子36a、36b、および36dをトナー濃度の算出に使用することを決定する。
【0076】
図3に戻り、トナー濃度算出部68は、使用受光信号決定部66が使用決定した受光素子からの受光信号に基づいて、トナー濃度を算出するように構成されている。
【0077】
具体的に説明すると、トナー濃度算出部68は、反射光のP波成分を受光する受光素子36a,36bの少なくとも1つの受光信号(2つの受光素子36a,36bが決定されている場合は、2つの受光信号の和)と、反射光のS波成分を受光する受光素子36c,36dの少なくとも1つの受光信号(2つの受光素子36c,36dが決定されている場合は、2つの受光信号の和)との差から、トナーの濃度を算出する。
【0078】
すなわち、上述するように、使用受光素子決定部66が、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた場合に受光量のバランスがとれている、反射光のP波成分受光用受光素子36a,36bの少なくとも1つと、反射光のS波成分受光用受光素子36c,36dの少なくとも1つを決定していることから、トナー濃度算出部68は、偏光フィルタ40a〜40dを取り除いた場合に受光量のバランスが取れている、反射光のP波成分受光用の受光素子からの受光信号と、反射光のS波成分受光用の受光素子からの受光信号との差から、トナー濃度を算出することになる。
【0079】
これにより、トナー濃度算出部68は、トナー濃度センサ28a(28b)と中間転写ベルト22との位置関係が変化しても、換言すれば図4(A)〜図4(E)に示すように反射光のスポット位置が異なっていても、トナー濃度を正確に測定することができる。
【0080】
なお、当然ながら、反射光のP波成分の受光量(受光信号)とS波成分の受光量(受光信号)との差と、トナー濃度との関係は、予め実験的または理論的に求められており、トナー濃度算出部68は、この関係にしたがってトナー濃度を算出している。
【0081】
図3に戻り、γ特性算出部70は、トナー濃度算出部68が算出したトナー濃度に基づいて、画像形成装置10の現在のγ特性を算出する。詳細については後述する。
【0082】
γ特性補正テーブル作成部72は、γ特性算出部70が算出した現在のγ特性に基づいて、画像形成装置10のγ特性が、例えば線形になるように現在のγ特性を補正するためのγ特性補正テーブルを作成する。そして、作成したγ特性テーブルを記憶部56に記憶する。
【0083】
ここからは、本発明に係る画像安定化制御の一例について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図5に示すフローチャートの制御は、各色について実行される。
【0084】
まず、図5に示す画像安定化制御は、定期的に、例えば、画像形成装置10の始動時やトナーの交換時などに実行される。
【0085】
まず、画像安定化制御の実行が決定されると、ステップS100において、制御部50は、画像形成部54に、予め決められた所定の画像形成条件で中間転写ベルト22の像担持面上に、予め用意されている(例えば記憶部56に記憶されている)階調パターンデータに基づく、階調パターン画像(トナー画像)を形成させる。
【0086】
この階調パターンデータは、濃度が段階的に変化する階調パターン画像のデータであって、該データに対応するトナー画像が中間転写ベルト22の像担持面上に形成されたときに、図6に示すように、中間ベルト22の移動方向にトナー濃度が段階的に(例えば256段階)濃くなる(または薄くなる)パターンT,T,T,Tのデータである。なお、階調パターン画像を形成する中間転写ベルト22の像担持面上の位置は、トナー濃度センサ28a(28b)のLED34が光を照射する位置(図中、一点鎖線上の位置)である。
【0087】
次に、ステップS110において、制御部50は、LED光量調整部60により、ステップS100で形成された階調パターン画像の所定部分に、所定光量のLED光を照射する。
【0088】
ステップS120において、制御部50は、受光信号取得部62により、トナー濃度センサ28a(28b)の4つの受光素子36a〜36dからの受光信号を取得する。
【0089】
ステップS130において、制御部50は、ステップS120で取得した受光信号値が、前回の画像安定化制御のステップS120で取得した受光信号値と略同一であるか否かを判定する。略同一である場合はステップS140に進み、そうでない場合はステップS160に進む。
【0090】
このステップは、言い換えると、トナー濃度センサ28a(28b)と中間転写ベルト22の位置関係、すなわち図4に示す反射光のスポット位置が、前回の画像安定化制御実行時から変化していないことを確認するステップである。前回の画像安定化制御においてステップS120で取得した受光信号値は、記憶部56に記憶されている。
【0091】
ステップS130で、トナー濃度センサ28a(28b)と中間転写ベルト22の位置関係が前回から変化していないことを確認すると、ステップS140において、制御部50は、後のステップで実行されるγ特性補正テーブル作成制御に使用する受光素子を、前回のγ特性補正テーブル作成に使用した受光素子に決定する。前回のγ特性補正テーブル作成時に使用した受光素子の情報は、記憶部56に記憶されている。
【0092】
ステップS150において、制御部50は、ステップ120で取得した受光信号値と、ステップS140で決定した受光素子を記憶部56に記憶する。そして、ステップS300において、γ特性補正テーブル作成を実行する(詳細は後述する)。
【0093】
一方、ステップS130で、ステップS120で取得した受光信号値が、前回の画像安定化制御のステップS120で取得した受光信号値と略同一でないと判定した場合、ステップS160において、制御部50は、ステップS120で取得した各受光信号値が所定のしきい値より大きいか否かを判定する。各受光信号値が所定のしきい値より大きい場合はステップS170に進み、そうでない場合はステップS200に進む。
【0094】
この所定のしきい値は、図7に示す受光素子の角度特性に関連する値、すなわち受光面に入射する反射光の角度が適切な角度から変化すると受光素子の出力信号値が減少することに関連する値である。この所定のしきい値より4つの受光素子36a〜36dの受光信号値が小さくなると、反射光のスポット位置が、トナー濃度の算出精度に大きく影響を与えるほど受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心から大きくはずれていることを示す。
【0095】
ステップS170において、制御部50は、反射光スポット位置推定部64により、ステップS120で取得した各受信信号値に基づき、反射光のスポット位置を推定する。
【0096】
ステップS180において、制御部50は、使用受光素子決定部66により、ステップS170で推定した反射光のスポット位置に基づき、トナー濃度の算出に使用する受光素子を決定する。
【0097】
ステップS190において、制御部50は、ステップS120で取得した受光信号値と、ステップS180で決定した受光素子を記憶部56に記憶する。そして、ステップS300において、γ特性補正テーブル作成制御を実行する(詳細は後述する)。
【0098】
一方、ステップS160で、ステップS120で取得した各受光信号値が所定のしきい値より小さいと判定した場合、すなわち反射光のスポット位置が受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心から大きくはずれている場合、ステップS200において、制御部50は、操作表示部52を介して、ユーザに対してエラーを報知する。例えば操作表示部52がタッチパネルの場合、対応するトラブルコードを表示する。そして、画像安定化制御を終了する。
【0099】
次に、ステップS300のγ特性補正テーブル作成について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0100】
まず、ステップS310において、制御部50は、LED光量調整部60により、中間転写ベルト22の裸面部分にLED光を照射する。
【0101】
次に、ステップS320において、制御部50は、受光信号取得部62により、図5に示すステップS140またはステップS180で決定された受光素子からの受光信号を取得する。
【0102】
続いて、ステップS330において、制御部50は、ステップS320で取得した受光信号値に基づいて、図5に示すステップS140またはステップS180で決定された受光素子の受光信号値が所定値になるような、LED34の光量(校正光量)を算出する。
【0103】
ステップS340において、制御部50は、LED光量調整部60により、ステップS330で算出した校正光量で、図5に示すステップS100で中間転写ベルト22に形成された階調パターン画像にLED光を照射する。このとき、中間転写ベルト22を駆動し、LED光のスポットを階調パターン画像に走査する。
【0104】
ステップS350において、制御部50は、受光信号取得部62により、図5に示すステップS140またはステップS180で決定された受光素子からの受光信号を取得する。この場合、受光信号の変化を取得する(ステップS340で中間転写ベルト22が駆動されていることによる)。
【0105】
ステップS360において、制御部50は、トナー濃度算出部68により、ステップS350で取得した受光信号値(その変化)と、ステップS330の所定値とに基づいて、すなわちこれらの差に基づいて、中間転写ベルト22上の階調パターン画像の濃度値(濃度変化)を算出する。
【0106】
ステップS370において、制御部50は、γ特性算出部70により、ステップS360で算出した中間転写ベルト22上の階調パターン画像の濃度(濃度変化)と、階調パターンデータの濃度(濃度変化)に基づき、γ特性を算出する。
【0107】
ステップS380において、制御部50は、γ特性補正テーブル作成部72により、ステップS370で算出したγ特性に基づいて、γ特性補正テーブルを作成する。例えば、γ特性を線形に補正するテーブル、または操作表示部52を介してユーザが要求したγ特性に補正するテーブルが作成される。
【0108】
ステップS390において、制御部50は、ステップS380で作成したγ特性補正テーブルを記憶部56に記憶する。そして、γ特性補正テーブル作成制御を終了する。
【0109】
本実施形態によれば、反射光のP波成分を受光する受光素子36a,36bの受光面Pa,Pbと、反射光のS波成分を受光する受光素子36c,36dの受光面Sa,Sbとが、同一平面上に二行二列に、且つ受光面Pa,Pbが対角に配置される。これにより、トナー濃度センサ28a(28b)と中間転写ベルト22との位置関係が変化しても、すなわち4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sb上の反射光のスポットが該4つの受光面Pa,Pb,Sa,Sbの中心からずれても、反射光のP波成分とS波成分それぞれの受光量は、反射光のスポットが4つの受光面の中心に位置する場合と比べて、ほとんど変化しない。その結果、反射光のP波成分の受光量とS波成分の受光量との差に基づいて、トナー濃度を正確に測定することができる。
【0110】
また、本実施形態によれば、上述のように正確に測定された像担持体上のトナー濃度に基づいて、画像形成条件が調整される。その結果、安定した品質の画像を得ることができる。
【0111】
以上、上述の一実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0112】
例えば、上述の実施形態の場合、図2や図4に示すように、受光素子の受光面は四角形であるが、これに限らない。例えば、受光面は、それぞれ扇形であって、4つの受光面が二行二列に配列されると円を形づくるようにしてもよい。
【0113】
また、上述の実施形態の場合、トナー濃度の測定値は、画像安定化の方法の1つとして、γ特性を補正するために使用するγ特性補正テーブルを作成するために使用されているが、これに限らないし、別の用途に使用してもよい。
【0114】
さらに、上述の実施形態の場合、トナー濃度が測定される像担持体は中間転写ベルトであるが、これに限らない。例えば、感光体であってもよい。
【符号の説明】
【0115】
22 像担持体(中間転写ベルト)
34 投光手段(LED)
36a〜36d 受光素子
38 偏光フィルタ
68 トナー濃度算出手段(トナー濃度算出部)
Pa 受光面
Pb 受光面
Sa 受光面
Sb 受光面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に付着するトナーの濃度を測定するトナー濃度測定装置であって、
像担持体のトナー濃度測定位置に単一偏光光を照射する投光手段と、
トナー濃度測定位置で反射された前記単一偏光光の反射光のP波成分のみを受光面で受光する第1および第2の受光素子と、
前記反射光のS波成分のみを受光面で受光する第3および第4の受光素子と、
第1または第2の受光素子の少なくとも一方の受光量と、第3または第4の受光素子の少なくとも一方の受光量とに基づいて、トナー濃度を算出するトナー濃度算出手段とを有し、
第1〜第4の受光素子それぞれの受光面は、同一平面上に二行二列に、且つ、第1及び第2の受光素子の受光面が対角に配置されていることを特徴とするトナー濃度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のトナー濃度測定装置において、
第1の受光素子の受光量と第2の受光素子の受光量とが略同一である場合、且つ、
第3の受光素子の受光量と第4の受光素子の受光量とが略同一である場合、
トナー濃度算出手段は、
第1の受光素子または第2の受光素子のいずれか一方の受光量と、
第3の受光素子または第4の受光素子のいずれか一方の受光量との差に基づいてトナー濃度を算出することを特徴とするトナー濃度測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載のトナー濃度測定装置において、
第1の受光素子の受光量と第2の受光素子の受光量とが略同一である場合、且つ、
第3の受光素子の受光量と第4の受光素子の受光量とが異なる場合、
トナー濃度算出手段は、
第1の受光素子の受光量と第2の受光素子の受光量の和と、
第3の受光素子の受光量と第4の受光素子の受光量とを比較して大きい方の受光量との差に基づいてトナー濃度を算出することを特徴とするトナー濃度測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載のトナー濃度測定装置において、
第1の受光素子の受光量と第2の受光素子の受光量とが異なる場合、且つ、
第3の受光素子の受光量と第4の受光素子の受光量とが略同一である場合、
トナー濃度算出手段は、
第1の受光素子の受光量と第2の受光素子の受光量とを比較して大きい方の受光量と、
第3の受光素子の受光量と第4の受光素子の受光量の和との差に基づいてトナー濃度を算出することを特徴とするトナー濃度測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載のトナー濃度測定装置において、
第1の受光素子の受光量と第2の受光素子の受光量とが異なる場合、且つ、
第3の受光素子の受光量と第4の受光素子の受光量とが異なる場合、
トナー濃度算出手段は、
第1の受光素子の受光量と第2の受光素子の受光量とを比較して大きい方の受光量と、
第3の受光素子の受光量と第4の受光素子の受光量とを比較して大きい方の受光量との差に基づいてトナー濃度を算出することを特徴とするトナー濃度測定装置。
【請求項6】
像担持体と、像担持体にトナー画像を所定の画像形成条件に基づいて形成する画像形成手段と、請求項1から5のいずれか1項に記載のトナー濃度測定装置とを有する画像形成装置であって、
トナー濃度測定装置が測定した像担持体上のトナー濃度に基づいて、画像形成条件を調整する画像形成条件調整手段を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−75634(P2011−75634A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224340(P2009−224340)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】