説明

トナー

【課題】 低温定着性が向上し、多数枚のプリントアウトを行っても現像性が安定した画像を提供でき、更には定着器周辺部材等の機内汚染を防ぐことができるトナーを提供すること。
【解決手段】 結着樹脂、着色剤及び融点が80℃以上、120℃以下の炭化水素ワックス成分を少なくとも含有するトナー粒子を含有するトナーであって、透過型電子顕微鏡を用いた該トナー粒子の断面観察において、ワックス成分の分散粒子の形状係数SF−1が1.5以下の粒子濃度をA個数%、形状係数SF−1が3.0以上の粒子濃度をB個数%としたとき、
30≦A≦75
2≦B≦20
であり、
該ワックスの揮発成分について、該ワックス質量を基準としたヘキサデカン換算の濃度が1100ppm以下であることを特徴とするトナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法及びトナージェット法の如き記録方法に用いられるトナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
低温定着を達成するためには、少ない熱量で転写材に固着できるトナーが求められており、トナーに用いる結着樹脂の分子量やガラス転移温度(Tg)を下げる、ワックスの融点を低くする等の検討がされている。しかし、これらの手法を用いるとトナーの耐ストレス性は低下する傾向があり、特に現像工程などでトナーの劣化が促進される。そのため、多数枚のプリントアウトを実施すると、トナーの帯電性の低下や流動性が著しく低下し、カブリや画像濃度の低下といった現象が発生し、画像品質が劣化する。
【0003】
これら課題を解決するために、トナー内部に存在するワックス分散粒子の大きさや形状を制御する方法が開示されている(特許文献1参照)。このトナーは、トナー粒子中のワックス分散粒子の形状を真球状もしくはそれに近い形状にして、更にワックス分散粒子の大きさが揃っていることを特徴としている。しかし、この手法では、多数枚プリントにおける前記課題をある程度解決することができるが、更なる低温定着に対しては未だ十分なレベルとはいえない。また、ワックス分散粒子の形状を扁平状にする方法が開示されている(特許文献2参照)。この場合、トナー粒子からのワックス成分の離脱等は大幅に抑制でき、二成分現像においてキャリアスペントの発生を未然に防ぐことができる。しかし、ワックス分散粒子の形状が扁平であるため、長期にわたってトナーにストレスが加わると、ワックスがトナー表層に露出してくる傾向がある。そのため多数枚のプリントアウトを実施するとカブリ等の画像品位の劣化が発生する。
【0004】
更に、上記のトナーを含めた従来トナーは、長期にわたって多数枚のプリントアウトを繰り返し行った場合、トナー粒子中のワックス成分が原因で、定着器周辺部材の汚染が生じる場合があることが分かった。定着器周辺部材の汚染が悪化すると、定着工程において画像不良が発生する場合がある。
【0005】
以上の様に、低温定着性及び耐ストレス性を両立させ、且つ定着器周辺部材の汚染を防止できるトナーが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−337902号公報
【特許文献2】特開2001−142248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、低温定着性が向上し、多数枚のプリントアウトを行っても現像性が安定した画像を提供でき、更には定着器周辺部材等の機内汚染を防ぐことができるトナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、結着樹脂、着色剤及び炭化水素ワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、該炭化水素ワックスの融点が、80℃以上120℃以下であり、該炭化水素ワックスを加熱脱着装置で200℃で10分加熱し、脱着させた成分のGC/MS分析において、ヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分量が、ヘキサデカン換算で1100ppm以下であり、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた該トナー粒子の断面観察において、トナー粒子の断面中で観察される該炭化水素ワックスの分散粒子の形状係数SF−1が1.5以下の粒子濃度をA個数%、形状係数SF−1が3.0以上の粒子濃度をB個数%としたとき、
30≦A≦75
2≦B≦20
となるように、該炭化水素ワックスが該トナー粒子中に分散されていることを特徴とするトナーに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低温定着性及び耐ストレス性の両立が実現し、且つ定着器周辺部材等の機内汚染を抑制可能なトナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】攪拌装置を循環ラインの中に組み込んだ一実施の形態のシステム図である
【図2】攪拌装置の一実施の形態の拡大断面図である。
【図3】現像装置、トナーホッパーの概略断面図である。
【図4】画像形成装置の概略断面図である。
【図5】攪拌装置を循環ラインの中に組み込んだ一実施の形態のシステム図である。
【図6】攪拌装置の一実施の形態の図である。
【図7】攪拌装置の一実施の形態の拡大断面図である。
【図8】攪拌装置の一実施の形態の拡大断面図である。
【図9】攪拌装置の固定子の斜視図である。
【図10】攪拌装置の回転子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のトナーは、炭化水素ワックスを含有する。炭化水素ワックスは、トナーに用いる結着樹脂との相溶性が低く、結着樹脂と相溶しにくい。そのため、トナー粒子中におけるワックスの分散粒子の形状を制御する際に、高い性能を発揮することが可能である。
【0012】
本発明のトナーに用いられる炭化水素ワックスは、融点が80℃以上120℃以下である。炭化水素ワックスの融点が上記の範囲内であれば、従来トナーに用いられていたワックスよりも比較的高融点であるので、トナーの耐ストレス性を向上させることができる。また、トナーを50℃前後の比較的高温下で放置した場合での、耐ブロッキング性も良好である。しかし、融点が高いワックスを使用すると、一般に低温定着性に対して不利な傾向がある。本発明のトナーは、融点が高いワックスを用いても、トナー粒子中のワックス分散粒子の形状を特定なものとすることで低温定着性に対して良好な性能を発揮することができる点が大きな特徴である。
【0013】
本発明においては、ワックスの吸熱ピークトップをもって、ワックスの融点とする。ワックスの吸熱ピークトップの測定は、示差走査熱量測定によって行う。より具体的には、ASTM D 3417−99に準じて行い、パーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000を用いて測定を行う。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定する。なお、本発明においては、モジュレーティッドモードを用い、以下の条件にて測定を行い、昇温時のDSC曲線からワックスの融点を求める。なお、吸熱ピークが複数存在する場合は、吸熱ピークトップが最大のものを採用する。
【0014】
<モジュレーティッドモード測定条件>
・20℃で1分間平衡を保つ。
・1.5℃/分のモジュレーションをかけ、180℃まで2℃/分で昇温する。
・180℃で10分間平衡に保つ。
・1.5℃/分のモジュレーションをかけ、20℃まで2℃/分で降温する
本発明においては、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察されるトナー粒子の断面において、断面中の炭化水素ワックスの分散粒子の形状係数SF−1が1.5以下である粒子の割合をA個数%、形状係数SF−1が3.0以上である粒子の割合をB個数%としたとき、
30≦A≦75
2≦B≦20
となるように、炭化水素ワックスがトナー粒子中に分散されていることが重要である。
【0015】
トナー粒子断面において、SF−1が1.5以下である粒子とSF−1が3.0以上である粒子とが適度に存在することで、低温定着性に対して高い性能を発揮することができる。また、多数枚のプリントアウトに伴い、トナーが受けるストレスに対しても安定した帯電性を発揮できる。
【0016】
トナー粒子断面において、SF−1が1.5以下である粒子は、真球もしくはそれに近い形状であるため、トナー粒子内部に安定に存在している。そのため、トナーが受けるストレスに対しても、ワックスがトナー表層に露出するのを抑制する効果が高く、安定した帯電性を維持できる。しかし、定着工程においては、低温定着でのワックスの染み出し(ブリード性)が弱くなるため不利になる傾向がある。一方、ワックス分散粒子のSF−1が3.0以上の扁平な分散粒子の場合、その特有の形状が原因でトナーが受けるストレスに対して、ワックスが染み出しやすく、耐ストレス性に対して不利である。しかし、定着の際には、扁平な粒子の方が、圧力を受けた際にトナー粒子表面に露出し易く、ワックスのブリード性が高い。即ち、定着性と耐ストレス性を高度なレベルで両立させるためには、形状の異なるワックス分散粒子が適度に存在することが重要だと、本発明者らは考えている。
【0017】
本発明において、A及びBの値は、30≦A≦75、2≦B≦20であり、より好ましくは30≦A≦60、5≦B≦20である。Aの値が30未満の場合、多数枚のプリントアウトにおける帯電安定性を維持できず、75を超えると低温定着性に対して不利になる。またBの値が2未満の場合、低温定着性に対して不利になり、20を超えると耐ストレス性が悪化する。また、定着性と耐ストレス性を両立させるうえで、A+Bは80以上であることが好ましい。
【0018】
A及びBを適切は範囲とするためには、以下のような方法が挙げられる。またこれら手法を併用してA及びBを適切な範囲としてもよい。
【0019】
1.ワックスを従来公知の機械的手法により粉砕する。
例えば、粉砕機を用いてワックスを粉砕する際に、粉砕方法や粉砕強度等を調整することでワックスの形状を制御する。その後、この様にして粉砕したワックスをトナーに添加する。
【0020】
2.ワックスを溶媒もしくはモノマーと混合し、機械的手法により湿式粉砕処理をする。
トナーを粉砕法や乳化凝集法で製造する場合、ワックスが可溶な溶媒に溶解させたのち溶媒を脱溶剤等により除去し、所望のワックス形状を得てそれを用いる。また、懸濁重合法や湿式造粒法でトナーを製造する場合、他の原材料と同様に溶解させ重合工程や脱溶剤工程でワックスを析出させて所望のワックス形状を得る。
【0021】
3.ワックスを溶剤もしくはモノマーと混合し、加熱処理した後、冷却して結晶物を得る。
例えば懸濁重合法でトナーを製造する場合において、ワックスがモノマーに不溶な際は、モノマー溶液中でワックスの融点以上に温度を上げてワックスを一旦高温下で溶解させた後、冷却することによりワックスの結晶物を得る。この方法の場合、冷却速度でワックスの形状を制御することができる。
【0022】
A及びBの測定は以下のようにして行う。クライオミクロト―ム(Reichert社製 ULTRACUT N FC4E)装置に水溶性樹脂に分散したトナー粒子を入れる。液体窒素により該装置を−80℃まで冷却し、トナー粒子が分散された水溶性樹脂を凍結する。凍結された水溶性樹脂を、ガラスナイフにより切削面形状が約0.1ミリ幅、約0.2ミリ長になるようにトリミングする。次にダイヤモンドナイフを用いて、水溶性樹脂を含むトナーの超薄切片(厚み設定:70nm)を作製し、まつげプローブを用いてTEM観察用グリッドメッシュ上に移動する。水溶性樹脂を含むトナー粒子の超薄切片を室温に戻した後、水溶性樹脂を純水に溶解させて透過型電子顕微鏡(TEM)の観察試料とする。該試料は、透過型電子顕微鏡H−7500(日立製作所製)を用い、加速電圧100kVにて観察し、トナー粒子の断面の拡大写真を撮影する。拡大写真の倍率は1000倍とし、一視野にトナー粒子が10〜20個存在する画像を任意に5つ選ぶ。任意に選んだ5つの画像に存在する全てのワックス分散粒子について以下の方法によって、SF−1を算出してA、Bそれぞれの値を求める。形状係数を示すSF−1は、上記画像をインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(LuzexIII)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値を形状係数SF−1と定義する。形状係数SF−1は、粒子の丸さの度合を示す。
【0023】
【数1】

【0024】
(式中、MXLNGは粒子の絶対最大長を示し、AREAは粒子の投影面積を示す。)
なお、ワックス分散粒子が扁平なものは、トナー断面の切り方によって扁平状に見えたり丸状に見えたりする。しかし、上記方法で測定を行えば、高い精度でA及びBの値を算出することが可能である。
【0025】
本発明者らは、トナーに含有する炭化水素ワックスを加熱脱着装置で温度200℃で10分間加熱し、脱着させた成分のGC/MS分析において、ヘキサデカン(炭素数16)のピーク検出時間以降に検出される揮発成分量について分析した。そして、揮発成分量がヘキサデカン換算で1100ppm以下であれば、機内汚染の抑制効果が得られることを見出した。上記の様に分析条件を決定した理由は、一般的にトナーは温度200℃程度で定着し、また、10分加熱すれば炭化水素ワックスに含有される揮発成分が充分に発生することから、本分析は定着温度域でのワックスの揮発性をモニターしたものに相当すると考えているためである。また、ヘキサデカン(炭素数16)のピーク検出時間以降に検出される揮発成分量に着目した理由は、上記揮発成分は比較的高沸点であり、この様な揮発成分は、画像形成装置内の構成部材と接触することで析出し易いためである。機内汚染は、この様な析出物が堆積することで発生するため、上記揮発成分が、機内汚染に寄与する成分であると考えられる。上記の揮発成分量が1100ppmを超える場合、機内汚染を十分に抑制することができない。上記揮発成分量は、ワックス種の選択やワックスの製造方法や精製条件を調整することにより制御可能である。
【0026】
<加熱脱着装置を用いたワックスの揮発成分濃度の測定>
(使用する装置)
加熱脱着装置:メーカー:パーキンエルマー社製、TurboMatrixATD
GC/MS:メーカー:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、TRACE DSQ
(加熱脱着装置条件)
チューブ温度:200℃
トランスファー温度:300℃
バルブ温度:300℃
カラム圧力:150kPa
入口スプリット:25ml/min
出口スプリット:10ml/min
2次吸着管材質:TenaxTA
保持時間:10 min
脱着時2次吸着管温度:−30℃
2次吸着管脱着温度:300℃
(GC/MS条件)
カラム:ウルトラアロイ(金属製カラム)UT−5 (内径0.25mm, 液相0.25μm, 長さ30m)
カラム昇温条件:60℃(3min), 350℃(20.0℃/min) ,350℃(10min)
なお、加熱脱着装置のトランスファーラインとGCカラムは直結させ、GC注入口は使用しない
(内部標準入りガラスチューブの作製)
あらかじめ10mg のTenaxTA吸着剤をガラスウールで挟んだ加熱脱着装置用のガラスチューブを作製し、不活性雰囲気ガスを流した状態下で、300℃−3hコンディショニングを行ったものを用意する。その後、重水素化ヘキサデカン(ヘキサデカンD34)100ppmのメタノール溶液5uLをTenaxTAに吸着させ、内部標準入りガラスチューブとする。
【0027】
(ワックスの測定)
秤量したワックス約1mgをあらかじめ300℃で焼き出ししたアルミホイルに包み、(内部標準入りガラスチューブの作製)で準備した、専用チューブに入れる。このサンプルを加熱脱着装置用のテフロンキャップでフタをし、装置へセットする。このサンプルを上記条件で測定し、内部標準ピークおよび、重水素化ヘキサデカン以降のピークの全ピーク面積を算出する。
【0028】
(解析)
上記操作で得られたピークのうち、(内部標準である重水素化ヘキサデカンのピークを除いた)ヘキサデカンのリテンションタイム以降のピークをすべて積分し、全ピークの合計値を算出する。この際、ピークとは異なるノイズピークを積分値に加えないようにする。
式1 ・・・ワックスの揮発性分濃度(mg/kg)= (A1/B1×0.0005*×0.77*)/C1×1000000
*1・・・メタノール溶液5μL中の重水素化ヘキサデカンの体積(μL)
*2・・・ヘキサデカンの密度(mg/μL)
A1 ・・・重水素化ヘキサデカン以降の全ピーク面積
B1 ・・・重水素化ヘキサデカン(内部標準)のピーク面積
C1 ・・・秤量したワックスの重量(mg)
上記で求めた値を、ワックスを加熱脱着装置で200℃で10分加熱し、脱着させた成分のGC/MS分析において、ヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分量と定義する。
【0029】
本発明に用いられる炭化水素ワックスとしては、以下のようなものが利用できる。高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;チーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン;パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス;石炭ガス又は天然ガスを原料としてジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス;水酸基、カルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素ワックス;炭化水素ワックスと官能基を有する炭化水素ワックスとの混合物が挙げられる。また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法、融液晶析法等の手法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものが用いられる。その中でも好ましく用いられるものは、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、メタロセン触媒を用いて合成されたポリエチレン、ポリエチレン重合時に得られる低分子量副生物の蒸留精製物、メタロセン触媒を用いて合成されたポリプロピレン、ポリエチレン重合時に得られる低分子量副生物の蒸留精製物である。さらに、本発明のトナーに用いられるワックスは、特に高沸点揮発成分を効率良く取り除く必要性の観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックスが特に好ましく用いられる。これらの中でも、フィッシャートロプシュワックスを使用した場合に、現像性や転写性の改善効果が更に高くなる。
【0030】
これらのワックスを精製することで、高沸点揮発成分の量が低減されたワックスが得られる。精製方法としては、原材料やワックス生成物を溶剤抽出や減圧蒸留法、プレス発汗法、再結晶法、真空蒸留法、分子蒸留法、超臨界ガス抽出法、融液晶析法が挙げられる。中でも、減圧蒸留法と分子蒸留法を組み合わせた精製方法が、最も好ましい。例えば、次のような方法で蒸留を行う。原料となるワックスに対して減圧蒸留を行い、初留を取り除く工程を繰り返してワックスを分取する。その後、分取したワックスに対して分子蒸留を繰り返し、低分子量成分を取り除く。
【0031】
炭化水素ワックス成分の含有量は、トナーの結着樹脂100質量部に対して4質量部以上25質量部以下であることが好ましい。炭化水素ワックス成分の含有量が4質量部未満の場合、定着性に関して十分な効果が発現せず、25質量部を超えるとトナー表層へのワックス成分の露出が起こるため、トナーの帯電性に悪影響を与えカブリや画像濃度の低下が起こりやすい。
【0032】
本発明においては、炭化水素ワックスに加えて、離型作用や樹脂の可塑化を補うために、エステルワックスの如き極性ワックスを併用して用いてもよい。これらの極性ワックスとしては、好ましくは吸熱メインピークのピークトップ温度が70〜110℃である。例えば次のようなワックスがあげられる。カルナバワックス及びその誘導体の如きワックスで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコールワックス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトンワックス、硬化ひまし油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、モンタンワックスである。中でも好ましく用いられるワックス極性ワックスは、カルナバワックス、直鎖状のアルコールワックス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックスあるいは、モンタン系誘導体である。これらの極性ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、前述本発明のワックスと併せて総量で1.0〜20.0質量部で用いることができ、好ましくは1.0〜15.0質量部で用いるのが効果的である。
【0033】
本発明に用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。上記の樹脂を得るための重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
【0034】
結着樹脂に用いられる重合性単量体としては、スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体が挙げられる。
【0035】
これらは、単独、または、出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139乃至192(John Wiley&Sons製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)を参考にして単量体を適宜混合して用いられる。
【0036】
また、トナーには、好ましい分子量分布にするために低分子量ポリマーを添加することが好ましい。低分子量ポリマーは、粉砕法でトナーを製造する場合には、結着樹脂等と溶融混練する際に添加することができ、また懸濁重合法によってトナーを製造する場合には、重合性単量体組成物中に添加することができる。低分子量ポリマーとしては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が2,000乃至5,000の範囲で、且つ、Mw/Mnが4.5未満、好ましくは3.0未満のものが良い。低分子量ポリマーの例としては、低分子量ポリスチレン、低分子量スチレン−アクリル酸エステル共重合体、低分子量スチレン−アクリル共重合体が挙げられる。上述の結着樹脂と共にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂等の極性樹脂を併用することができる。
【0037】
トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナーの結着樹脂の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。架橋剤としては、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。これらの架橋剤の添加量は、該単量体100質量部に対して、好ましくは0.05乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部である。
【0038】
本発明のトナーには、極性樹脂を添加することが好ましい。極性樹脂とはカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基などの極性基を持つ樹脂のことを意味する。極性樹脂を用いることで、懸濁重合法等により直接トナーを製造する場合に、極性のバランスに応じて、トナー粒子の表面に極性樹脂による薄層のシェルを形成することができる。或いは、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもつように、極性樹脂を存在させることができる。極性樹脂を添加し、トナー粒子をコアシェル構造とすることで、トナーの耐久性と定着性を向上させることができる。極性樹脂の好ましい添加量は、結着樹脂100質量部に対して1乃至30質量部である。極性樹脂の添加量を上記範囲とすることで、トナーの帯電性や耐ストレス性が向上する。
【0039】
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類なども用いられる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン等も用いられる。
【0040】
また、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類が挙げられる。これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
【0041】
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。さらに好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100質量部に対して0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部である。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
【0042】
トナーに、帯電制御を主目的として樹脂系荷電制御剤を用いることも好ましい形態である。樹脂系荷電制御剤として、スルホン酸基、スルホン酸基塩又はスルホン酸エステル基を側鎖に持つ高分子が用いられることが好ましい。その中で特にスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体を用いることが好ましい。トナーを懸濁重合法にて製造する場合、上記高分子を添加することによって、造粒安定化は基より重合段階でのトナー粒子のコアシェル構造が促進される。そのためトナーの耐久性と定着性の両立を一層高めることができる。スルホン酸基、スルホン酸基塩又はスルホン酸エステル基を有する単量体としては、例えばスチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸やそれらのアルキルエステルがある。スルホン酸基、スルホン酸基塩又はスルホン酸エステル基を含有する重合体は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
【0043】
本発明に用いられる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い各色に調色されたものが利用される。特に染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
【0044】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214が挙げられる。
【0045】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19が挙げられる。
【0046】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
【0047】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の添加量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1乃至20質量部添加して用いられる。
【0048】
さらに本発明のトナーは、着色剤として磁性材料を含有させ磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト如きの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属の合金及びその混合物が挙げられる。磁性体は、表面改質された磁性体が好ましい。重合法により磁性トナーを調整する場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。磁性体は、個数平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1乃至0.5μmのものを用いるのが良い。トナー粒子中に含有させる磁性体の量としては、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し20乃至200質量部、好ましくは結着樹脂100質量部に対し40乃至150質量部が良い。
【0049】
トナー粒子の流動性を向上させる目的で、流動性向上剤をトナー粒子に添加しても良い。流動性向上剤としては、フッ化ビニリデン微粉未、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛の如き脂肪酸金属塩;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末の如き金属酸化物または、上記金属酸化物を疎水化処理した粉末;及び湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如きシリカ微粉末または、それらシリカにシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した表面処理シリカ微粉末が挙げられる。流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.01乃至5質量部を使用することが好ましい。
【0050】
トナーの製造方法としては、従来公知の粉砕法、結着樹脂やその他材料を溶剤に溶解又は分散させ水系媒体中で造粒後に溶剤を除去して製造する溶解懸濁法、或いは従来公知の懸濁重合法が挙げられる。これらの中でもワックス分散粒子をトナー粒子中に良好な状態で存在させることができる懸濁重合法で製造することがより好ましい。
【0051】
懸濁重合法によりトナー粒子を製造する際に用いられる水系媒体には、分散安定剤を添加することが好ましい。分散安定剤として使用する無機化合物としては以下の、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンが挙げられる。これらの分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部を使用することが好ましい。また、これら分散安定剤の微細な分散のために、0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を使用しても良い。分散安定剤の初期の作用を促進するためのものである。具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが挙げられる。分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成させて用いても良い。例えば、リン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するとよい。
【0052】
重合性単量体を重合するための重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5乃至30時間のものである。また、重合性単量体100質量部に対し0.5乃至20質量部の添加量で重合反応を行うと、通常、分子量1万乃至10万の間に極大を有する重合体が得られ、適当な強度と溶融特性を有するトナーを得ることができる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル如きのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド如きの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0053】
懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法において、重合性単量体組成物を水系媒体に加える前に、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された回転子と同様の形状の固定子が一定間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置された撹拌装置を用いて、前記重合性単量体組成物を処理する工程を有することが好ましい。トナー製造時に上記工程を導入することにより、前述同様にトナー粒子中のワックス分散粒子は良好な分散状態を保持し、トナーの性能を一層向上させることが可能である。図5は、上述した回転子及び固定子を具備する混合装置を組み込んだシステムを示し、図6は、混合装置の本体側面図を示す。また、図7は図5中のA−A’断面を示した図であり、図8は図6中のB−B’断面を示した図である。また、図9、図10は、それぞれ、混合装置の固定子221の斜視図、回転子225の斜視図を示す。
【0054】
以下、混合装置について具体的に説明する。図5において、重合性単量体に着色剤が分散している着色剤含有単量体と重合性単量体に樹脂が溶解している樹脂含有単量体とを、ホールディングタンク208に投入して調製液とする。投入された調製液は、循環ポンプ210を介して、混合装置入口より供給され、混合装置においては、ケーシング202の内部に具備された、回転子225と固定子221のスリットを通過し、遠心方向に排出される。混合装置内を調製液が通過する際、回転子、固定子のスリットのずれにより生じる遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃により調製液は混合される。回転子と固定子の形状は、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された形状であり、一定の間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置されていることが好ましい。回転子及び固定子が相互に噛み合うように設置された形状であることにより、ショートパスが軽減され、調製液の分散が十分に行える。また、回転子と固定子が同心円方向に交互に多段に存在することにより、調製液が遠心方向に進行する際に、多くのせん断・衝撃を受ける為、一層、分散レベルを高めることができる。ホールディングタンク208は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
【0055】
回転子及び固定子の周速とは、回転子及び固定子の最大径の周速である。回転子225の周速をG(m/s)とすると、20≦G≦60で回転させ調製液を混合することが好ましい。より好ましくは、回転子の周速Gが30≦G≦40である。回転子の周速Gが20≦G≦60であれば、回転子及び固定子のスリットのずれにより生じる調製液の遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃が増し、高度な分散が達成される。これにより、従来以上に、調製液の分散ムラが非常に少なく、均一な分散状態に達することができる。回転子の周速Gが20m/sより小さい場合、遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃が低下し、所望の分散レベルを達するのが困難である。また、時間の経過に伴い、着色剤粒子が凝集するような分散安定性の悪い調製液が生じる場合が多い。また、回転子の周速Gが60m/sより大きい場合、回転子、固定子のスリットからの吐出時に大きな圧力損失が生じる為、十分な流量が確保できないだけでなく、着色剤等の固形物と重合性単量体が分離した状態になる場合がある。上述の混合装置としては、例えば、キャビトロン(ユーロテック社製)を好適に用いることができる。
【0056】
トナー粒子の製造方法において、重合性単量体組成物を水系媒体に加える前に、高速回転する攪拌羽根と攪拌羽根の周囲に攪拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンとを具備した攪拌装置を用いて、重合性単量体組成物を処理する工程を有することも好ましい。攪拌装置を循環経路の中に組み込んだシステムを図1、攪拌室の断面図を図2として説明する。図1、図2において、1は高速回転する攪拌羽根、2は攪拌羽根1の周囲に該攪拌羽根1と逆方向に高速回転するスクリーン、3は攪拌羽根1とスクリーン2によって形成される攪拌室3、4は分散容器、5はスクリーン2に設けられた吐出口、6はジャケット、7はホールディングタンク、8は攪拌翼、9は循環ポンプ、10は分散容器入口、11は吸入口、12は排出口、13は熱交換器、14は流量計、15は圧力調整弁、16は下部モーター、17は上部モーター、18は蓋体、19は支持筒、20は上部回転軸、21はメカニカルシール、22は上部ハウジング、23は仕切板、24は下部回転軸、25は圧力計、26は温度計である。
【0057】
図2の撹拌装置について説明する。分散容器4内に投入された重合性単量体組成物は、攪拌羽根1が、攪拌室3の内部にて高速回転することにより、スクリーン2の内壁と羽根先との間の微小な間隙においてせん断力を受け、重合性単量体組成物中のピグメントショックにより再凝集した顔料が、再分散される。そして、攪拌室3が攪拌羽根1の回転方向と逆方向に回転するものである為、両者の相対的な回転数を上げることができ、再凝集した顔料へかかるせん断力を高めることができる。これにより、従来の攪拌装置よりも、再凝集した顔料を高度に分散することが可能である。更に、攪拌室3における吐出口5が、攪拌羽根1の回転方向と逆方向に回転するものである為、その回転に伴い流体の吐出位置が変化し、分散容器4内で重合性単量体組成物が、良好に循環する。また、この流れが、吐出口5と微小隙間を置いて回転する攪拌羽根1の回転による吐出流に加わる為、更に早い吐出流が得られるものであり、より一層、全体の循環が促進される。
【0058】
更に、攪拌室3内部の攪拌羽根1上部に導入口10を設けることにより、重合性単量体組成物が、導入口10より分散容器4内に排出された直後、互いに高速で逆方向に回転する攪拌羽根1とスクリーン2により高速せん断を受け、攪拌室3の内側から吐出口5を通過することが可能となる。すなわち、重合性単量体組成物が、高速せん断処理を受けずに吐出口5を通過することなく、調整タンクに戻ること(ショートパス)を抑制することができ、分散時間の短縮が可能となる。また、ショートパスを抑制できない場合、処理時間が増加してしまうため、顔料の過分散や過粉砕が生じ、結果として、顔料の表面積の増加により、重合性単量体組成物の粘度が、上昇してしまう。重合性単量体組成物の粘度上昇は、次工程である造粒工程での造粒性を悪化させ、粒度分布がブロードになる。よって、攪拌室内部の導入口を最適に設計することにより、ショートパスを防止し、造粒性の低下も抑制することができる。また、分散容器4は、ジャケット構造になっており、ジャケット6内に冷却媒体を流すことにより、分散容器内部のせん断により上昇した重合性単量体組成物の温度を低下させることが可能となる。
【0059】
次に、図1の分散システムについて説明する。調整タンク7に着色剤含有単量体と樹脂を投入後、調整タンク7に敷設された攪拌翼8により混合された重合性単量体組成物は、循環ポンプ9を介して、導入口10より供給され、吸入口11へと導入される。次いで、吸入口11より導入された重合性単量体組成物は、前述の微小間隙を通過し、吐出口5より吐出される。吐出された重合性単量体組成物は、分散容器4内を循環した後に、排出口12より排出され、熱交換器13を経由してホールディングタンク7へ戻る。ホールディングタンク7へ戻った重合性単量体組成物を再度、導入口10へ供給するという循環が繰り返される。分散機と調整タンク7との間の循環を繰り返すことで、均一且つ効率よく重合性単量体組成物中のピグメントショックにより再凝集した顔料の再分散が行われる。高速せん断処理された重合成単量体組成物が、再び調整タンク内部へ排出される部分は、調整タンク内の重合成単量体組成物に位置することが好ましい。調整タンク内の重合成単量体組成物中に高速せん断処理された重合成単量体組成物を戻すため、気体の巻込みを防止することができる。重合成単量体組成物への気体の巻込みは、攪拌室3における高速せん断処理時にキャビテーションの発生を促進し、分散効率が低下するため好ましくない。熱交換器13は、循環ライン上に必ずしも設ける必要はなく、分散容器4内にコイル式の熱交換ラインを設置しても良い。
【0060】
また、処理流量は、循環経路中に設置された流量計14にて測定される。更に、圧力調整弁15により、背圧をかけることが可能である。背圧をかけることで、攪拌羽根1及びスクリーン2の回転によるキャビテーションの発生を抑制することが可能となり、一層、処理液に対してせん断力を付与することができる。これにより重合性単量体組成物中の顔料の再分散が効率良くできる為、本発明においては、好適に背圧をかけることもできる。特に好ましい背圧は、50kPa以上150kPa以下の範囲である。50kPa以下では、背圧が不十分なため、キャビテーションの発生を抑制することが難しいため好ましくない。また、150kPa以上では、せん断力が非常に大きくなり、攪拌室3内部における重合性単量体組成物の昇温が激しく、重合性単量体組成物が熱により重合を開始するため、所望のトナーの分子量を得られないため好ましくない。
【0061】
次に、重合性単量体組成物中の顔料の再分散を効率良く行なう攪拌羽根1とスクリーン2の条件について詳細に説明する。攪拌羽根1の周速をA(m/s)、スクリーン2の周速をB(m/s)とすると、25≦A≦40、(A−10)≦B≦(A+10)である範囲が好ましい。攪拌羽根1の周速が高いほど重合性単量体組成物に与えるせん断力が大きくなり、顔料の再分散の効率も良化していく。
【0062】
攪拌羽根1同様、スクリーン2の周速も高いほど重合性単量体組成物に与えるせん断力が大きくなり、顔料の再分散の効率も良化していく。しかし、スクリーンの周速B(m/s)が、攪拌羽根の周速A(m/s)に比べ相対的に10以上小さい場合、羽根先との間の微小隙間を介して逆方向に回転するスクリーン2とのせん断力が不十分となるため好ましくない。一方、攪拌羽根1の回転に伴い、攪拌羽根1からスクリーン2の吐出口5に向けて、重合性単量体組成物が吐出され、吐出口より高圧力の流れとなって攪拌室外に吐出される。この攪拌室外に排出される重合性単量体組成物に生じる圧力≒抵抗≒せん断力は、スクリーン2の周速が増加するに従い大きくなり、同時にスクリーン2の吐出口5から吐出される重合性単量体組成物の吐出量は、減少していく。そして、スクリーン2の周速Bが、攪拌羽根の周速Aに比べ相対的に10以上大きい場合、スクリーン2の吐出口5から吐出される重合性単量体組成物の吐出量の減少が大きく、吐出口5を通過せずにショートパスし、攪拌室外に排出される重合性単量体組成物の割合が増加する。そのため、10以上の場合、ショートパスの増加による再分散率の低下及び分散容器4内部の循環流が減少し、槽内の不均一化が発生し好ましくない。以上より、スクリーン2の周速B(m/s)は、(A−10)≦B≦(A+10)の範囲が好ましい。上述の分散機としては、例えば、クレアミクスWモーション(エム・テクニック社製)を好適に用いることができる。
【0063】
本発明で好適に用いられる画像形成方法について図3及び図4を用いて説明する。本願実施例の評価で用いられる画像形成装置の構成を図4に示す。図4は、転写方式電子写真プロセスを用いたタンデム型のカラーLBP(カラーレーザープリンタ)の断面図を示したものである。図4において、Y、M、C、Bkの各画像形成装置をそれぞれユニットa、ユニットb、ユニットc、ユニットdと呼ぶ。また、静電吸着搬送ベルト109aは、駆動ローラ109bと固定ローラ109c,109e及びテンションローラ109dに張架されており、駆動ローラ109bによって図示矢印方向に回転駆動され、記録媒体Sを吸着して搬送する。現像部104a〜dによってトナー像が感光ドラム上に形成され、静電潜像が可視化される。形成された4色のトナー像は、所定のタイミングで給紙ローラ108bにより搬送されてきた記録媒体Sを停止、再搬送するレジストローラ108cにより同期され、感光ドラムと静電吸着搬送ベルト109aとのニップ部において記録媒体Sにトナー像が順次転写される。トナー像が転写された記録媒体Sは、駆動ローラ109b部において静電吸着搬送ベルト109a面から分離されて定着器110に送り込まれ、定着器110においてトナー像が定着された後、排出ローラ110cによって排出トレー113に排出される。
【0064】
次に、現像部の拡大図(図3)を用いて、非磁性一成分接触現像方式での画像形成方法の具体例を説明する。図3において、現像ユニット313は、一成分現像剤としての非磁性トナー317を収容した現像剤容器323と、現像剤容器323内の長手方向に延在する開口部に位置し潜像担持体(感光ドラム)310と、対向設置されたトナー担持体314とを備え、潜像担持体310上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。潜像担持体接触帯電部材311は潜像担持体310に当接している。潜像担持体接触帯電部材311のバイアスは電源312により印加されている。
【0065】
トナー担持体314は、上記開口部にて図に示す右略半周面を現像剤容器323内に突入し、左略半周面を現像剤容器323外に露出して横設されている。この現像剤容器323外へ露出した面は、図4(a)のように現像ユニット313の図中左方に位置する潜像担持体310に当接している。
【0066】
トナー担持体314は矢印B方向に回転駆動され、潜像担持体310の周速は50〜170mm/s、トナー担持体314の周速は潜像担持体310の周速に対して1〜2倍の周速で回転させている。
【0067】
トナー担持体314の上方位置には、SUS等の金属板や、ウレタン、シリコーン等のゴム材料、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板を基体とし、トナー担持体314への当接面側にゴム材料を接着したもの等からなる規制部材316が、規制部材支持板金324に支持され、自由端側の先端近傍をトナー担持体314の外周面に面接触にて当接するように設けられており、その当接方向としては、当接部に対して先端側がトナー担持体314の回転方向上流側に位置するいわゆるカウンター方向になっている。規制部材316の一例としては、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムを規制部材支持板金324に接着した構成で、トナー担持体314に対する当接圧(線圧)を、適宜設定したものである。当接圧は、好ましくは、20〜300N/mである。なお、当接圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、中央の1枚をばねばかりで引き抜いた値から換算する。なお、規制部材316は当接面側にゴム材料などを接着したものの方がトナーとの付着性の面で、長期使用において規制部材へのトナーの融着、固着を抑制できるため望ましい。また規制部材316は、トナー担持体314に対する当接状態を先端を当接させるエッジ当接とすることも可能である。なお、エッジ当接とする場合は、トナー担持体との接点におけるトナー担持体の接線に対する規制部材の当接角を40度以下になるよう設定するとトナーの層規制の点で更に望ましい。
【0068】
トナー供給ローラ315は、規制部材316のトナー担持体314表面との当接部に対しトナー担持体314の回転方向上流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。このトナー供給ローラ315のトナー担持体314に対する当接幅としては、1〜8mmが有効で、またトナー担持体314に対してその当接部において相対速度を持たせることが好ましい。
【0069】
帯電ローラ329は本発明の画像形成方法に必須のものではないが、設置されているとより好ましい。帯電ローラ329はNBR、シリコーンゴム等の弾性体であり、抑圧部材330に取り付けられている。そしてこの抑圧部材330による帯電ローラ329のトナー担持体314への当接荷重は0.49〜4.9Nに設定する。帯電ローラ329の当接により、トナー担持体314上のトナー層は細密充填され均一コートされる。規制部材316と帯電ローラ329の長手位置関係は、帯電ローラ329がトナー担持体314上の規制部材316当接全域を確実に覆うことができるように配置されるのが好ましい。
【0070】
また、帯電ローラ329の駆動については、トナー担持体314との間は従動又は同周速が必須であり、帯電ローラ329とトナー担持体314間に周速差が生じるとトナーコートが不均一になり、画像上にムラが発生するため好ましくない。帯電ローラ329のバイアスは、電源327によってトナー担持体314と潜像担持体310の両者間に直流で印加されており、トナー担持体314上の非磁性トナー317は帯電ローラ329より、放電によって電荷付与を受ける。帯電ローラ329のバイアスは、非磁性トナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアスであり、トナー担持体314に対して1000〜2000Vの電位差が生じるように設定される。
【0071】
帯電ローラ329による帯電付与を受けた後、トナー担持体314上に薄層形成されたトナー層は、一様に潜像担持体310との対向部である現像部へ搬送される。この現像部において、トナー担持体314上に薄層形成されたトナー層は、図3に示す電源327によってトナー担持体314と潜像担持体310の両者間に印加された直流バイアスによって、潜像担持体310上の静電潜像にトナー像として現像される。
【実施例】
【0072】
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
【0073】
(トナーの製造例1)
〔水系媒体の作成〕
温度60℃に加温したイオン交換水1300質量部に、リン酸三カルシウム9質量部、10%塩酸11質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000r/minにて撹拌して水系媒体を調製した。
【0074】
〔ワックス分散液の調整〕
スチレン20.0質量部と111℃に融点をもつ炭化水素ワックス(C105、シューマン・サゾール社製)9.0質量部を混合し、ホモジナイザーにて30分間湿式粉砕してワックス分散液を得た。
【0075】
〔トナーの作成〕
下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで溶解して溶解液を調製した。
【0076】
・スチレン 49.0質量部
・n−ブチルアクリレート 31.0質量部
・スルホン酸基含有樹脂(アクリルベースFCA−1001−NS,藤倉化成製) 0.7質量部
・極性樹脂(スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体) 15.0質量部
(共重合比:スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=95.85/2.50/1.65、Mp=15800、Mw=14000)
次に上記溶解液に下記の材料を添加した。
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88,オリエント化学製) 0.7質量部
・上記ワックス分散液 29.0質量部
その後、上記重合成単量体組成物を温度60℃に加温した後、攪拌装置としてキャビトロン(ユーロテック社製)を用いて、回転子の周速を35(m/s)にて2時間処理を行った。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物及び重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0質量部を投入し、温度60℃にてTK式ホモミキサーを用いて15,000r/minで10分間攪拌し、造粒した。その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、温度80℃で10時間反応を行った。重合反応終了後、得られた粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
【0077】
上記トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、トナー粒子と同極性(負極性)に摩擦帯電する疎水性シリカ微粉体(個数平均1次粒子径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池製)で3,000r/minで15分間混合してトナー(A)を得た。得られたトナーについて、トナー中にワックス含有量を測定した結果、結着樹脂100質量部に対して9質量部であることが分かった。
【0078】
(トナーの製造例2)
トナーの製造例1において、重合成単量体組成物を温度60℃に加温した後、攪拌装置としてクレアミクスWモーション(エム・テクニック社製)を用いることを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(B)を得た。処理条件は、攪拌羽根1の周速を30(m/s)、スクリーン2の周速を30(m/s)、背圧100kPaにて2時間実施した。
【0079】
(トナーの製造例3)
実施例1において、83℃に融点をもつ炭化水素ワックス(Hi−Mic−1080、日本精鑞社製)に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(C)を得た。
【0080】
(トナーの製造例4)
実施例1において、118℃に融点をもつ炭化水素ワックス(410P、三井石油化学社製社製)に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(D)を得た。
【0081】
(トナーの製造例5)
実施例1において、ワックス分散液の調整工程での湿式粉砕処理を40分とすることを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(E)を得た。
【0082】
(トナーの製造例6)
実施例1において、ワックス分散液の調整工程での湿式粉砕処理を20分とすることを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(F)を得た。
【0083】
(トナーの製造例7)
実施例1において、反応温度を78℃に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(G)を得た。
【0084】
(トナーの製造例8)
実施例1において、反応温度を85℃に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(H)を得た。
【0085】
(トナーの製造例9)
実施例1において、ワックス分散液の調整工程での湿式粉砕処理を20分とし、反応温度を85℃に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(I)を得た。
【0086】
(トナーの製造例10)
実施例1において、ワックス分散液の調整工程での湿式粉砕処理を20分とし、反応温度を65℃に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(J)を得た。
【0087】
(トナーの製造例11)
実施例1において、ワックス分散液の調整工程での湿式粉砕処理を1時間とし、反応温度を85℃に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(K)を得た。
【0088】
(トナーの製造例12)
実施例1において、ワックス分散液の調整工程での湿式粉砕処理を1時間とし、反応温度を65℃に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(L)を得た。
【0089】
(トナーの製造例13)
実施例1において、98℃に融点をもつ炭化水素ワックス(PW725、東洋ペトロライト社製)の低分子量成分を蒸留により30質量%カットしたワックスに変更したことを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(M)を得た。
【0090】
(トナーの製造例14)
実施例1において、ワックスの添加量を5.0質量部に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(N)を得た。なお、本製造例ではワックスを5.0質量部に変更することに伴い、トナー作成時のワックス分散液は25.0質量部添加することになる。
【0091】
(トナーの製造例15)
実施例1において、ワックスの添加量を24.0質量部に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(O)を得た。なお、本製造例ではワックスを24.0質量部に変更することに伴い、トナー作成時のワックス分散液は44.0質量部添加することになる。
【0092】
(トナーの製造例16)
実施例1において、重合成単量体組成物の攪拌処理を実施しないことを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(P)を得た。
【0093】
(トナーの製造例17)
実施例1において、ワックスの添加量を3.0質量部に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(Q)を得た。なお、本製造例ではワックスを3.0質量部に変更することに伴い、トナー作成時のワックス分散液は23.0質量部添加することになる。
【0094】
(トナーの製造例18)
実施例1において、ワックスの添加量を26.0質量部に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(R)を得た。なお、本製造例ではワックスを26.0質量部に変更することに伴い、トナー作成時のワックス分散液は46.0質量部添加することになる。
【0095】
(トナーの製造例19)
トナーの製造例19では以下のような、溶解懸濁法にてトナーを製造した。
【0096】
〔水系媒体の作成〕
室温にて、イオン交換水1300質量部に、リン酸三カルシウム9質量部、10%塩酸11質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000r/minにて撹拌して水系媒体を調製した。
【0097】
〔ワックス分散液の調整〕
酢酸エチル20.0質量部と111℃に融点をもつ炭化水素ワックス(C105、シューマン・サゾール社製)9.0質量部を混合し、ホモジナイザーにて30分間湿式粉砕してワックス分散液を得た。
【0098】
〔トナーの作成〕
また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで溶解して溶解液を調製した。
・酢酸エチル 300.0質量部
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 100.0質量部
(共重合比はスチレン/n−ブチルアクリレート=70/30、Mp=19000、Mw=110000)
・スルホン酸基含有樹脂(アクリルベースFCA−1001−NS,藤倉化成製) 0.7質量部
・極性樹脂(スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体) 15.0質量部
(共重合比はスチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=95.85/2.50/1.65、Mp=15800、Mw=14000)
次に上記溶解液に下記の材料を添加した。
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88,オリエント化学製) 0.7質量部
・上記ワックス分散液 29.0質量部
その後、上記重合成単量体組成物を温度60℃に加温した後〔図5〕に示すようなキャビトロン(ユーロテック社製)を用いて回転子の周速を35(m/s)にて2時間処理を行った。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃にてTK式ホモミキサーを用いて15,000r/minで10分間攪拌し、造粒した。その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、減圧下、温度80℃で10時間蒸留を行い、酢酸エチルを除去した。得られた粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
【0099】
上記トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、トナー粒子と同極性(負極性)に摩擦帯電する疎水性シリカ微粉体(個数平均1次粒子径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池製)で3,000r/minで15分間混合してトナー(S)を得た。
【0100】
(トナーの製造例20)
トナーの製造例20では以下のような、粉砕法にてトナーを製造した。
【0101】
〔ワックス分散粒子の作成〕
酢酸エチル20.0質量部と111℃に融点をもつ炭化水素ワックス(C105,シューマン・サゾール社製)9.0質量部を混合し、ホモジナイザーにて30分間湿式粉砕し後、減圧蒸留により酢酸エチルを除去してワックス分散粒子を得た。
【0102】
〔トナーの作成〕
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 100.0質量部
(共重合比はスチレン/n−ブチルアクリレート=70/30、Mp=19000、Mw=110000)
・スルホン酸基含有樹脂(アクリルベースFCA−1001−NS,藤倉化成製) 0.7質量部
・極性樹脂(スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体) 15.0質量部
(共重合比はスチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=95.85/2.50/1.65、Mp=15800、Mw=14000)
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88,オリエント化学製) 0.7質量部
・上記ワックス分散粒子 9.0質量部
を溶融混練後、粉砕を行い、トナー粒子を得た。
【0103】
上記トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、トナー粒子と同極性(負極性)に摩擦帯電する疎水性シリカ微粉体(個数平均1次粒子径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池製)で3,000r/minで15分間混合してトナー(T)を得た。
【0104】
(トナーの製造例21)
実施例1において、98℃に融点をもつ炭化水素ワックス(PW725、東洋ペトロライト社製)の低分子量成分を蒸留により27質量%カットしたワックスに変更したことを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(a)を得た。
【0105】
(トナーの製造例22)
実施例1において、ワックス分散液の調整工程での湿式粉砕処理を2時間とすることを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(b)を得た。
【0106】
(トナーの製造例23)
実施例1において、ワックス分散液の調整工程での湿式粉砕処理を10分とすることを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(c)を得た。
【0107】
(トナーの製造例24)
実施例1において、反応温度を50℃に変更することを除いて、実施例1と同様にして製造し、トナー(d)を得た。
【0108】
(トナーの製造例25)
実施例1において、反応温度を90℃に変更することを除いて。実施例1と同様にして製造し、トナー(e)を得た。
【0109】
トナー(A)〜(T)及びトナー(a)〜(e)について、A値、B値、結着樹脂100質量部に対するワックス含有量(分析結果)、ワックス揮発性物質の総量を表1に示す。
【0110】
【表1】

【0111】
以下、評価方法および評価基準について説明する。
【0112】
<低温定着性に関する評価>
図3に示す一成分接触現像システムの現像装置であるSatera LBP 5800(キヤノン社製)の現像剤容器に実施例及び比較例記載のトナーを85g充填し、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて24時間放置した。この際、転写紙も同様に放置した。その後、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて現像装置を図4のユニットc部に装着し、シアン単色モードにてプロセススピードを250mm/sとして未定着画像を出力した。
【0113】
(こすり試験)
転写材として、複写機用普通紙(64g/m紙)を用い、トナーのり量が0.7mg/cmの未定着のベタ画像を得た。これを、IRC3200(キヤノン社製)の定着機を用いてプロセススピードを250mm/sにて定着させた。定着温度は200℃から130℃まで5℃ずつ低下させた。その画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5回往復し、濃度低下率が20%以上となる温度を定着下限温度として評価した。
A:定着下限温度が、145℃未満である。
B:定着下限温度が、145℃以上、155℃未満である。
C:定着下限温度が、155℃以上、165℃未満である。
D:定着下限温度が、165℃以上である。
【0114】
(火脹れ試験)
転写材として、複写機用普通紙(105g/m紙)を用い、トナーのり量が0.7mg/cmの未定着ベタ画像を得た。これを、IRC3200(キヤノン社製)の定着機を用いてプロセススピードを250mm/s、定着温度を190℃として定着させた。火脹れとは、トナー粒子に十分な熱量が加わらないため、定着工程時に画像の一部が定着ローラによって剥離する現象である。この火脹れレベルを目視にて評価した。
A:未発生
B:若干発生している
C:発生しているが問題ないレベル
D:著しく発生している
(折り曲げ試験)
転写材として、複写機用普通紙(64g/m紙)を用い、トナーのり量が0.7mg/cmの未定着ベタ画像を得た。これを、IRC3200(キヤノン社製)の定着機を用いてプロセススピードを250mm/s、定着温度を190℃として定着させた。その後、画像部を折り曲げる。折り曲げる条件は、折り曲げ部を平らな重りで4.9kPaの荷重をかけつつ、5往復移動させることとした。その後、折り曲げた画像部を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率を測定した。
A:濃度低下が5%未満である。
B:濃度低下が5%以上、10%未満である。
C:濃度低下が10%以上、15%未満である。
D:濃度低下が15%以上である。
【0115】
<定着器部材汚染及び現像性に関する評価>
図3に示す一成分接触現像システムの現像装置において、現像剤容器に実施例及び比較例記載のトナーを70g充填し、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて24時間放置する。この際、転写紙も同様に放置した。なお、本評価では転写紙としてはXerox4200(ゼロックス社製)(75g/m紙)を用いた。その後、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて現像装置を図4のユニットc部に装着した。シアン単色モードにてプロセススピードを250mm/sとして、印字比率2%のチャートにて連続出力を行った。定着器部材汚染及び現像性に関する評価は初期(1枚目)/5,000枚/10,000枚の時点で以下の評価を実施した。
【0116】
(定着器部材汚染の目視評価)
定着器部材の汚染は定着器を直接目視で確認して評価を行った。
A:未発生。
B:軽微な汚染が見られる。
C:汚染は発生しているが問題ないレベル。
D:汚染が著しい。
【0117】
(画像濃度)
画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス製)を用いて、ベタ画像の濃度を測定した。測定方法は、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
A:画像濃度が1.40以上である。
B:画像濃度が1.30以上、1.40未満である。
C:画像濃度が1.20以上、1.30未満である。
D:画像濃度が1.10以上、1.20未満である。
【0118】
(カブリ)
カブリの評価方法は白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、アンバーライトフィルターを用いた。
【0119】
A:カブリ濃度が0.5%未満である。
【0120】
B:カブリ濃度が0.5%以上1.0%未満である。
【0121】
C:カブリ濃度が1.0%以上1.5%未満である。
【0122】
D:カブリ濃度が1.5%以上である。
【0123】
トナー(A)〜(T)及びトナー(a)〜(e)を上記評価方法により評価した結果を表2に示す。トナー(A)〜(T)いずれも、低温定着性、定着器部材汚染、現像性の全ての評価項目において、使用上問題ないレベル以上の評価(A〜C)だった。これに対して、トナー(a)〜(e)は、上記のうちいずれかの評価項目で、使用上許容されないレベル(D)の評価があった。
【0124】
【表2】

【符号の説明】
【0125】
1 撹拌羽根
2 スクリーン
3 撹拌室
5 吐出口
6 ジャケット
7 ホールディングタンク
8 撹拌翼
9 循環ポンプ
10 分散容器入口
11 吸入口
12 排出口
13 熱交換器
104 現像部
108b 給紙ローラ
108c レジストローラ
109a 静電吸着搬送ベルト
109b 駆動ローラ
109c 固定ローラ
109d テンションローラ
109e 固定ローラ
110 定着器
110c 排出ローラ
113 排出トレー
202 ケーシング
208 ホールディングタンク
210 循環ポンプ
221 固定子
225 回転子
310 潜像担持体
311 潜像担持体接触帯電部材
313 現像ユニット
314 トナー担持体
316 規制部材
317 非磁性トナー
323 現像剤容器
329 帯電ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、着色剤及び炭化水素ワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該炭化水素ワックスの融点が、80℃以上120℃以下であり、
該炭化水素ワックスを加熱脱着装置で200℃で10分加熱し、脱着させた成分のGC/MS分析において、ヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分量が、ヘキサデカン換算で1100ppm以下であり、
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察される該トナー粒子の断面において、該断面中の該炭化水素ワックスの分散粒子の形状係数SF−1が1.5以下である粒子の割合をA個数%、形状係数SF−1が3.0以上である粒子の割合をB個数%としたとき、
30≦A≦75
2≦B≦20
となるように、該炭化水素ワックスが該トナー粒子中に分散されていることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記A及び前記Bが、
30≦A≦60
5≦B≦20
であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記炭化水素ワックスの含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、4質量部以上25質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー粒子は、重合性単量体、前記着色剤及び前記炭化水素ワックスを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散し、造粒し、該重合性単量体を重合することにより得られるトナー粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項5】
前記重合性単量体組成物を前記水系媒体中に分散する際に、高速回転する攪拌羽根と該攪拌羽根の周囲に該攪拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンとを具備した攪拌装置を用いて、該重合性単量体組成物を処理することを特徴とする請求項4に記載のトナー。
【請求項6】
前記重合性単量体組成物を前記水系媒体中に分散する際に、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された回転子と同様の形状の固定子が一定間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置された撹拌装置を用いて、該重合性単量体組成物を処理することを特徴とする請求項4に記載のトナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−78672(P2012−78672A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225216(P2010−225216)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】