説明

トノカバー装置

【課題】トノカバー装置の外観に対する影響を抑制しつつ保持部材のケースからの脱落を防止する。
【解決手段】トノカバー装置10では、内カバー16の筒部22に長孔26及び長孔30が設けられており、外カバー40のボス46にフック48及びフック50が設けられている。第1位置において、フック48及びフック50がそれぞれ長孔26の当接面26A及び長孔30の当接面30Aに当接されている。このため、外カバー40のケース12からの脱落が防止される。ここで、筒部22及びボス46は、外カバー40の周壁44及び底壁42に対して外カバー40の内側に配置されている。このため、ボス46(フック48及びフック50)及び筒部22(当接面26A及び当接面30A)が、周壁44及び底壁42によって外部に露出されない。これにより、トノカバー装置10の外観に対する影響を抑制しつつ、外カバー40のケース12からの脱落を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースの一端部及び他端部の少なくとも何れか一方に移動可能に設けられた保持部材を備えたトノカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1のトノカバー装置では、トノカバーを巻取る巻取軸がトノカバーケースの内部に収容されており、トノカバーケースの両端部には、内ホルダが取付けられている。内ホルダは巻取軸を回転可能に支持しており、内ホルダの外周部には、突起が形成されている。
【0003】
また、トノカバーケースの両端部には、外ホルダが取付けられており、外ホルダは、内ホルダを被覆しつつ、巻取軸の軸線方向に移動可能に取付けられている。これにより、外ホルダを移動させてトノカバー装置の長手方向の長さを伸縮させることで、トノカバー装置を車両に取付けることができる。
【0004】
さらに、外ホルダには、外周壁において、長孔が貫通形成されている。長孔内には、内ホルダの突起が収容されており、突起が長孔の内周面の長手方向一端に当接することによって、外ホルダの移動が阻止される。これにより、外ホルダのトノカバーケースからの脱落が防止されている。
【0005】
ここで、このトノカバー装置では、上述のように、長孔が、外ホルダの外周壁に貫通形成されて、外部に露出されている。このため、トノカバー装置の外観に影響を与えてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−23438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、トノカバー装置の外観に対する影響を抑制しつつ保持部材のケースからの脱落を防止できるトノカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のトノカバー装置は、巻取方向へ回転することで車両の荷室を覆うトノカバーを巻取る巻取軸と、前記巻取軸を内部に収容する長尺状のケースと、前記ケースの一端部及び他端部に設けられ、前記巻取軸を回転可能に支持する支持部材と、前記ケースの一端部及び他端部の少なくとも何れか一方に設けられると共に、前記支持部材を覆う外壁部を有し、組付位置から前記巻取軸の軸線方向内側へ移動可能に保持された保持部材と、前記支持部材及び前記保持部材に設けられると共に、前記外壁部に対して内側に配置され、前記組付位置において互いに当接することで前記保持部材の前記組付位置から前記巻取軸の軸線方向外側への移動を阻止する阻止部と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載のトノカバー装置では、トノカバーを巻取る巻取軸がケースの内部に収容されており、巻取軸は、ケースの一端部及び他端部に設けられた支持部材に回転可能に支持されている。ケースの一端部及び他端部の少なくとも何れか一方には、保持部材が設けられている。保持部材は支持部材を覆う外壁部を有しており、保持部材は、組付位置から巻取軸の軸線方向内側へ移動可能に保持されている。
【0010】
また、阻止部が支持部材及び保持部材にそれぞれ設けられており、組付位置において阻止部が互いに当接することで、保持部材の組付位置から巻取軸の軸線方向外側への移動が阻止される。これにより、保持部材のケースからの脱落が防止される。
【0011】
ここで、阻止部は外壁部に対して内側に配置されている。このため、保持部材の外壁部によって支持部材及び保持部材の阻止部が外部に露出されない。
【0012】
請求項2に記載のトノカバー装置は、請求項1に記載のトノカバー装置において、前記支持部材及び前記保持部材の何れか一方に設けられ、一方の前記阻止部が形成された軸部と、前記支持部材及び前記保持部材の何れか他方に設けられると共に、他方の前記阻止部が形成され、前記軸部が摺動可能に挿入された軸受部と、を備えている。
【0013】
請求項2に記載のトノカバー装置では、軸部が軸受部に摺動可能に挿入されており、軸部には一方の阻止部が形成されると共に、軸受部には他方の阻止部が形成されている。このため、保持部材が巻取軸の軸線方向内側へ移動する際に軸受部が軸部をガイドする。
【0014】
請求項3に記載のトノカバー装置は、請求項2に記載のトノカバー装置において、前記軸受部に設けられると共に、長手方向を前記巻取軸の軸線方向とした長孔を備え、前記長孔内に一方の前記阻止部が前記巻取軸の軸線方向に移動可能に収容され、他方の前記阻止部が前記長孔の長手方向一側面にされている。
【0015】
請求項3に記載のトノカバー装置では、軸受部に長手方向を巻取軸の軸線方向とした長孔が設けられており、この長孔内に一方の阻止部が巻取軸の軸線方向に移動可能に収容されている。組付位置において、一方の阻止部が長孔の長手方向一側面(他方の阻止部)に当接されることで、保持部材の巻取軸の軸線方向外側への移動が阻止される。
【0016】
請求項4に記載のトノカバー装置は、請求項2又は請求項3に記載のトノカバー装置において、前記軸部及び前記軸受部が前記保持部材の中央部に配置されている。
【0017】
請求項4に記載のトノカバー装置では、軸部及び軸受部が保持部材の中央部に配置されているため、保持部材を軸部及び軸受部の軸線方向に沿って移動させやすくできる。
【0018】
請求項5に記載のトノカバー装置は、請求項2〜請求項4の何れか一項に記載のトノカバー装置において、前記支持部材と前記保持部材との間に設けられる共に、前記軸部及び前記軸受部が挿通され、前記保持部材を前記巻取軸の軸線方向外側へ付勢する付勢部材を備えている。
【0019】
請求項5に記載のトノカバー装置では、付勢部材が支持部材と保持部材との間に設けられており、付勢部材には軸部及び軸受部が挿通されている。このため、軸部及び軸受部によって、付勢部材の位置が設定されると共に、付勢部材の倒れが抑制される。しかも、付勢部材の付勢力が軸部及び軸受部の軸線方向に沿って作用する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載のトノカバー装置によれば、トノカバー装置の外観に対する影響を抑制しつつ保持部材のケースからの脱落を防止できる。
【0021】
請求項2に記載のトノカバー装置によれば、保持部材が巻取軸の軸線方向内側へ移動する際に、軸部及び軸受部が保持部材のケースからの脱落を防止しつつ、軸受部が軸部をガイドできる。
【0022】
請求項3に記載のトノカバー装置によれば、簡単な構造で保持部材のケースからの脱落を防止できる。
【0023】
請求項4に記載のトノカバー装置によれば、保持部材を巻取軸の軸線方向内側へ移動させる際に、保持部材を円滑に移動できる。
【0024】
請求項5に記載のトノカバー装置によれば、付勢部材を取付ける際の取付性を向上できる。さらに、保持部材を巻取軸の軸線方向内側へ移動させる際に、保持部材を一層円滑に移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係るトノカバー装置を一部破断した断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るトノカバー装置の右方の端部を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るトノカバー装置の右方の端部を示す一部破断した斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るトノカバー装置の右方の端部を分解した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に用いた外カバーと内カバーとを一部破断した断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に用いた外カバーと内カバーとを一部破断した断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に用いた外カバーと内カバーとを一部破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、本発明の実施の形態に係るトノカバー装置10が断面図にて示されている。なお、図面では、トノカバー装置10の上方を矢印UPで示し、トノカバー装置10の右方を矢印RHで示し、トノカバー装置10の前方を矢印FRで示す。
【0027】
この図に示すように、トノカバー装置10の右方の端部(一端部)と左方の端部(他端部)とは、トノカバー装置10の左右方向中央部に対して対称な構成であるため、トノカバー装置10の右方の端部と左方の端部とについては、トノカバー装置10の右方の端部を説明して、トノカバー装置10の左方の端部の説明は省略する。
【0028】
図1〜図3に示すように、トノカバー装置10は略長尺筒状のケース12を備えており、ケース12の断面形状は一部開放された略矩形状にされている。ケース12の後側壁には、スリット14が貫通形成されており、スリット14は左右方向に沿って配置されている。
【0029】
図4及び図5にも示すように、ケース12の右方の端部には、樹脂により製作された有底略矩形筒状の支持部材としての内カバー16が設けられている。内カバー16は右方に向けて開口されており、内カバー16の開口部にはフランジ18が設けられている。内カバー16はケース12内に挿入されると共に、フランジ18がケース12の右方の縁部に当接された状態で、内カバー16がケース12に取付けられている。これにより、ケース12の右方の端部が内カバー16によって閉塞されている。内カバー16の底壁には、中央部において、略円柱状の支持軸20が設けられており、支持軸20は内カバー16の底壁に対して左方へ突出されている。
【0030】
また、内カバー16の底壁には、中央部において、略十字形筒状の軸受部としての筒部22が設けられており、筒部22は内カバー16の底壁に対して右方へ突出されている。また、筒部22は、右方に向けて開口されて、支持軸20に対して同軸上に配置されている。筒部22の後側壁24には、略矩形状の長孔26が貫通形成されている。長孔26は、長手方向を支持軸20の軸線方向として、配置されており、長孔26の内周面の右側面が阻止部としての当接面26Aにされている。また、筒部22の前側壁28には、略矩形状の長孔30が貫通形成されている。長孔30は、長手方向を支持軸20の軸線方向として、配置されており、長孔30の内周面の右側面が阻止部としての当接面30Aにされている。
【0031】
図1に示すように、ケース12の内部には、略円筒状の巻取軸32が設けられている。巻取軸32は、内カバー16の支持軸20に対して同軸上に配置されて、支持軸20に回転可能に支持されている。巻取軸32には、シート状のトノカバー(図示省略)の一端が固定されており、巻取軸32を軸線回り一方(以下、「巻取方向」という)へ回転させると、トノカバーが一端から巻取軸32の外周部に層状に巻き取られる。一方、トノカバーの他端を引張ると、巻取軸32が軸線回り他方(以下、「引出方向」という)へ回転しながらトノカバーがケース12のスリット14から引出される。
【0032】
巻取軸32の内部には、コイルスプリング34が設けられている。コイルスプリング34の一端は内カバー16の支持軸20に係止されると共に、コイルスプリング34の他端は巻取軸32に係止されており、コイルスプリング34は巻取軸32を巻取方向へ付勢している。
【0033】
図1〜図5に示すように、ケース12の右方の端部には、樹脂により製作された保持部材としての外カバー40が設けられている。外カバー40の右方の部分には、外壁部としての略矩形板状の底壁42が配置されている。底壁42には、外周部において、略矩形筒状の外壁部としての周壁44が一体に設けられており、周壁44は底壁42に対して左方へ突出されている。
【0034】
外カバー40の底壁42には、中央部において、略十字形筒状の軸部としてのボス46が設けられており、ボス46は底壁42に対して左方へ突出されている。ボス46の外形は、筒部22の内周部の内形に比して僅かに小さく形成されている。ボス46の先端部には、後方の部分において、上方から見て断面三角形状の阻止部としてのフック48が設けられており、フック48はボス46に対して、後方へ突出されている。ボス46の先端部には、前方の部分において、上方から見て断面三角形状の阻止部としてのフック50が設けられており、フック50はボス46に対して、前方へ突出されている。
【0035】
ボス46は内カバー16の筒部22内に挿入されており、ボス46のフック48及びフック50がそれぞれ筒部22の長孔26内及び長孔30内に収容されている。これにより、ボス46及び筒部22が、外カバー40の周壁44及び底壁42に対して外カバー40の内側に配置されて、周壁44及び底壁42によって外部に露出されていない。
【0036】
また、フック48及びフック50は長孔26の当接面26A及び長孔30の当接面30Aにそれぞれ当接されており、外カバー40の右方向(巻取軸32の軸線方向外側方向)の移動が組付位置としての第1位置において阻止されている。これにより、外カバー40のケース12からの脱落が防止されている。さらに、ボス46は、筒部22の内周部において左右方向に摺動可能にされており、フック48及びフック50は、それぞれ筒部22の長孔26内及び長孔30内において左右方向に移動可能にされている。このため、外カバー40は第1位置から左方(巻取軸32の軸線方向内側方向)へ移動可能に構成されており、外カバー40は、内カバー16の筒部22の先端部が外カバー40の底面に当接されるまで移動可能に構成されている(以下、この位置を「第2位置」という)。
【0037】
内カバー16の底壁と外カバー40の底壁42との間には、略螺旋状の付勢部材としての圧縮コイルスプリング52が掛け渡されており、圧縮コイルスプリング52の内側には、内カバー16の筒部22及び外カバー40のボス46が挿通されている。圧縮コイルスプリング52は外カバー40を右方へ付勢しており、これにより、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって外カバー40が第1位置に保持されている。また、外カバー40を圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して左方向へ移動させると、前述したように、外カバー40が第2位置まで移動できる。
【0038】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0039】
車両の荷室をトノカバー装置10を用いて覆う際には、トノカバー装置10を荷室の車両上方に取付ける。この際には、例えば、車両の荷室の側壁に設けられた凹部にトノカバー装置10の外カバー40を係合させる。
【0040】
この凹部にトノカバー装置10の外カバー40を係合させる際には、外カバー40を把持して、外カバー40を圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して第1位置から第2位置(巻取軸32の軸線方向内側)へ移動させる。この際には、外カバー40のボス46のフック48及びフック50が、それぞれ筒部22の長孔26内及び長孔30内において移動される。これにより、トノカバー装置10の長手方向の長さが短くなる。この状態で、外カバー40の位置を凹部の位置に合わせて外カバー40を離すと、外カバー40が、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって第2位置から右方(巻取軸32の軸線方向外側)へ移動されて、凹部に係合される。これにより、トノカバー装置10が車両に取付けられる。
【0041】
この状態で、トノカバーの他端を引張ると、トノカバーがケース12のスリット14から引出される。引出されたトノカバーの他端を車両に係止させることによって、トノカバーが車両の荷室を覆う。
【0042】
一方、トノカバー装置10を車両から取り外す際には、外カバー40を把持して、外カバー40を圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して左方へ第2位置まで移動させる。これにより、トノカバー装置10の長手方向の長さが短くなり、外カバー40と車両の凹部との係合を解除できる。
【0043】
その後に、外カバー40を離すと、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって外カバー40が第1位置に移動される。この際には、外カバー40のボス46のフック48及びフック50が、それぞれ筒部22の長孔26の当接面26A及び長孔30の当接面30Aに当接される。このため、外カバー40の右方の移動が阻止されて、外カバー40のケース12からの脱落が防止される。
【0044】
ここで、筒部22(当接面26A及び当接面30A)及びボス46(フック48及びフック50)は、外カバー40の周壁44及び底壁42に対して外カバー40の内側に配置されている。このため、ボス46(フック48及びフック50)及び筒部22(当接面26A及び当接面30A)が、周壁44及び底壁42によって外部に露出されない。これにより、トノカバー装置10の外観に対する影響を抑制しつつ外カバー40のケース12からの脱落を防止できる。
【0045】
また、内カバー16の筒部22は略十字形筒状に形成されており、外カバー40のボス46が略十字形筒状に形成されている。また、内カバー16の筒部22には、長孔26及び長孔30が設けられており、外カバー40のボス46には、フック48及びフック50が設けられている。さらに、筒部22内に外カバー40のボス46が挿入されると共に、ボス46は筒部22の内周部を左右方向に摺動可能にされている。このため、外カバー40が第1位置から第2位置へ移動する際に、ボス46及び筒部22が外カバー40のケース12からの脱落を防止しつつ、筒部22がボス46をガイドできる。
【0046】
さらに、筒部22には、長孔26及び長孔30が矩形状に貫通形成されており、長孔26及び長孔30は、長手方向を巻取軸32の軸線方向として、配置されている。また、長孔26の内周面の右側面が当接面26Aとされると共に、長孔30の内周面の右側面が当接面30Aとされており、第1位置において、フック48及びフック50がそれぞれ当接面26A及び当接面30Aに当接される。このため、簡単な構造で外カバー40のケース12からの脱落を防止できる。
【0047】
また、内カバー16の筒部22及び外カバー40のボス46は、外カバー40の中央部に配置されている。このため、外カバー40を第1位置から第2位置へ移動させる際に、外カバー40を筒部22及びボス46の軸線方向に沿って移動させやすくできる。これにより、外カバー40を第1位置から第2位置へ円滑に移動させることができる。
【0048】
さらに、圧縮コイルスプリング52は内カバー16の底壁と外カバー40の底壁42との間に掛け渡されており、圧縮コイルスプリング52内には筒部22及びボス46が挿入されている。このため、筒部22及びボス46によって、圧縮コイルスプリング52の位置を設定でき、圧縮コイルスプリング52の倒れを抑制できる。これにより、圧縮コイルスプリング52を取付る際の取付性を向上できる。しかも、圧縮コイルスプリング52の付勢力が筒部22及びボス46の軸線方向に沿って作用するため、外カバー40を第1位置から第2位置へ一層円滑に移動させることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、内カバー16に筒部22が設けられており、外カバー40にボス46が設けられている。これに替えて、内カバー16にボス46が設けられて、外カバー40に筒部22が設けられてもよい。この場合には、長孔26の内周面の左側面が当接面26Aとされ、長孔30の内周面の左側面が当接面30Aとされる。
【0050】
また、本実施の形態では、内カバー16の筒部22は略十字形筒状に形成されており、外カバー40のボス46は略十字形筒状に形成されているが、筒部22及びボス46の形状はこれに限らない。例えば、筒部22及びボス46が、円筒状に形成されてもよいし、矩形筒状に形成されてもよい。
【0051】
(変形例1)
【0052】
図6に示す如く、変形例1では、外カバー40にボス46が設けられていない。外カバー40の周壁44の後側壁には、内周部において、フック48が設けられており、フック48は外カバー40の後側壁に対して前方へ突出されている。また、外カバー40の周壁44の前側壁には、内周部において、フック50が設けられており、フック50は外カバー40の前側壁に対して後方へ突出されている。
【0053】
内カバー16のフランジ18の外周部には、略矩形筒状の筒部22が設けられており、筒部22はフランジ18に対して右方へ突出されている。筒部22の外周部は外カバー40の周壁44の内周部に左右方向に摺動可能にされている。筒部22の後側壁には、長孔26が設けられており、長孔26の内周面の右側面が当接面26Aとされている。また、筒部22の前側壁には、長孔30が設けられており、長孔30の内周面の右側面が当接面30Aとされている。
【0054】
このように、本変形例1においても、フック48、フック50、及び筒部22が外カバー40の周壁44及び底壁42に対して外カバー40の内側に配置されており、周壁44及び底壁42によって、フック48、フック50、及び筒部22が外部に露出されていない。これにより、そのカバー装置10の外観に対する影響を抑制しつつ外カバー40のケース12からの脱落を防止できる。
【0055】
(変形例2)
【0056】
図7に示す如く、変形例2では、外カバー40にボス46が設けられていない。外カバー40の周壁44の後側壁には、内周部において、断面三角形状の突起部60が設けられている。突起部60は周壁44の後側壁に対して前方へ突出されており、突起部60の右側面が当接面26Aとされている。さらに、外カバー40の周壁44の前側壁には、内周部において、断面三角形状の突起部62が設けられている。突起部62は周壁44の前側壁に対して後方へ突出されており、突起部62の右側面が当接面30Aとされている。
【0057】
また、内カバー16に筒部22が設けられていない。内カバー16には、フランジ18の外周部において、略矩形筒状のボス46が設けられており、ボス46は、フランジ18に対して右方に突出されている。ボス46の後側壁には、外周部において、フック48が設けられており、フック48はボス46に対して後方へ突出されている。また、ボス46の前側壁には、外周部において、フック50が設けられており、フック48はボス46に対して前方へ突出されている。
【0058】
このように、本変形例2においても、突起部60、突起部62、及びボス46が外カバー40の周壁44及び底壁42に対して外カバー40の内側に配置されており、周壁44及び底壁42によって、突起部60、突起部62、及びボス46が外部から露出されていない。これにより、そのカバー装置10の外観に対する影響を抑制しつつ外カバー40のケース12からの脱落を防止できる。
【0059】
なお、本実施の形態、変形例1、及び変形例2では、トノカバー装置10(ケース12)の右方の端部(一端部)と左方の端部(他端部)とに、それぞれ外カバー40が第1位置から第2位置(巻取軸32の軸線方向内側)へ移動可能に保持されている。これに替えて、トノカバー装置10の右方の端部及び左方の端部の何れか一方に、外カバー40を第1位置から第2位置へ移動可能に保持させてもよい。この場合には、トノカバー装置10の右方の端部及び左方の端部の何れか他方においては、圧縮コイルスプリング52を設けずに、例えば、内カバー16と外カバー40とを一体部品にすることで、外カバー40を移動不能に構成させてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 トノカバー装置10
12 ケース
16 内カバー(支持部材)
22 筒部(軸受部)
26 長孔
26A 当接面(阻止部)
30 長孔
30A 当接面(阻止部)
32 巻取軸
40 外カバー(保持部材)
42 底壁(外壁部)
44 周壁(外壁部)
46 ボス(軸部)
48 フック(阻止部)
50 フック(阻止部)
52 圧縮コイルスプリング(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取方向へ回転することで車両の荷室を覆うトノカバーを巻取る巻取軸と、
前記巻取軸を内部に収容する長尺状のケースと、
前記ケースの一端部及び他端部に設けられ、前記巻取軸を回転可能に支持する支持部材と、
前記ケースの一端部及び他端部の少なくとも何れか一方に設けられると共に、前記支持部材を覆う外壁部を有し、組付位置から前記巻取軸の軸線方向内側へ移動可能に保持された保持部材と、
前記支持部材及び前記保持部材に設けられると共に、前記外壁部に対して内側に配置され、前記組付位置において互いに当接することで前記保持部材の前記組付位置から前記巻取軸の軸線方向外側への移動を阻止する阻止部と、
を備えたトノカバー装置。
【請求項2】
前記支持部材及び前記保持部材の何れか一方に設けられ、一方の前記阻止部が形成された軸部と、
前記支持部材及び前記保持部材の何れか他方に設けられると共に、他方の前記阻止部が形成され、前記軸部が摺動可能に挿入された軸受部と、
を備えた請求項1に記載のトノカバー装置。
【請求項3】
前記軸受部に設けられると共に、長手方向を前記巻取軸の軸線方向とした長孔を備え、
前記長孔内に一方の前記阻止部が前記巻取軸の軸線方向に移動可能に収容され、
他方の前記阻止部が前記長孔の長手方向一側面にされた請求項2に記載のトノカバー装置。
【請求項4】
前記軸部及び前記軸受部が前記保持部材の中央部に配置された請求項2又は請求項3に記載のトノカバー装置。
【請求項5】
前記支持部材と前記保持部材との間に設けられる共に、前記軸部及び前記軸受部が挿通され、前記保持部材を前記巻取軸の軸線方向外側へ付勢する付勢部材を備えた請求項2〜請求項4の何れか一項に記載のトノカバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−148614(P2012−148614A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7190(P2011−7190)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】