説明

トマトソース系ルウ

【課題】ソースとした場合に、食感のよい、特に口溶けのよい、かつ油っぽさがないパスタ用トマトソースが得られるトマトソース系ルウを提供すること。
【解決手段】融点39℃以下の植物性油脂およびトマト原料を含有し、動物性油脂を使用しないことを特徴とするトマトソース系ルウ。融点39℃以下の植物性油脂は、トマトソース系ルウ中、10〜50質量%含んでいることが好ましい。トマト原料は、トマトソース系ルウ中、5〜20質量%含んでいることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスタ用トマトソースを作るためのトマトソース系ルウに関し、特に、ソースとした場合に、口溶けのよい、かつ油っぽさがないトマトソース系ルウに関する。
【背景技術】
【0002】
パスタソース用ルウは従来見かけないが、従来より、小麦粉にカレーパウダーや各種調味料などを加えて加熱混合したカレールウや、ホワイトシチューなどに用いられるホワイトルウなどのルウ製品を製造する技術が知られている。ルウは、小麦粉をサラダ油やバターなどの油脂で炒めて固形状ないしペースト状としたものである。
【0003】
特許文献1には、油脂として、特定のヨウ素価を有するナタネ水添油脂を用いたホワイトルウが、牛乳でのばすときの分散性がよく、ホワイトソースとしたときに、滑らかな食感と適度な粘性を有し、トロ味、風味の良好なホワイトソースとなり、ホワイトシチューなどに好適に使用されることが記載されている。
また、特許文献2には、カレールウやシチュールウの製造において、小麦粉の粉ぽっさが感じられないようにする技術として、特定の焙煎小麦粉を使用することが提案されている。
しかし、いずれの技術も、パスタ用トマトソースを作るためのトマトソース系ルウに利用できる技術ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−337166号公報
【特許文献2】特開2002−119229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の実状に鑑みて成されたものであり、ソースとした場合に、食感のよい、特に口溶けのよい、かつ油っぽさがないパスタ用トマトソースが得られるトマトソース系ルウを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、ルウを製造するための油脂として、特定の融点を有する植物性油脂を用い、動物性油脂を使用しないことにより、油っぽさがなく、トマトソースの口溶けが向上することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、融点39℃以下の植物性油脂およびトマト原料を含有し、動物性油脂を使用しないことを特徴とするトマトソース系ルウを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のトマトソース系ルウによれば、ソースとした場合に、食感のよい、特に口溶けのよい、かつ油っぽさがないパスタ用トマトソースが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いられる油脂は、融点39℃以下の植物性油脂であり、動物性油脂は使用しない。
上記植物性油脂としては、例えば、サラダ油、コーン油、大豆油、紅花油、なたね油、パーム油、パーム核油、綿実油、オリーブ油などが挙げられ、これらの中でも、パーム油、パーム核油が好ましい。これら植物性油脂は二種以上併用してもよい。
【0010】
本発明で用いられる油脂の融点は、二種以上の植物性油脂を併用した混合油脂を用いる場合、これら混合油脂の融点である。混合油脂の融点が39℃以下であれば、融点が39℃を超える植物性油脂を一部使用することができる。
本発明で用いられる植物性油脂の融点は、34〜39℃であることが好ましい。
植物性油脂の融点が39℃より高いと、ソースとした場合も、油っぽさが残る場合がある。
【0011】
本発明で用いられる植物性油脂は、トマトソース系ルウ中、10〜50質量%含んでいることが好ましく、10〜40質量%含んでいることがより好ましい。
植物性油脂の含有量が少なすぎると、均一に混合しにくい場合があり、また植物性油脂の含有量が多すぎると、ソースとした場合も、油っぽさが残る場合がある。
【0012】
本発明で用いられるトマト原料としては、制限されるものではなく、従来よりパスタ用トマトソースに配合されているトマト原料を配合することができ、例えば、トマトパウダー、トマトペーストなどが挙げられる。
トマト原料は、トマトソース系ルウ中、5〜20質量%含んでいることが好ましく、5〜15質量%含んでいることがより好ましい。
トマト原料の含有量が少なすぎると、トマトの風味がでなくなる場合があり、またトマト原料の含有量が多すぎると、他の原料との混合がしづらい場合がある。
【0013】
本発明のトマトソース系ルウにおいて用いられる小麦粉は、従来のルウ製品に一般に用いられている小麦粉と同様であり、薄力粉、中力粉、強力粉、準強力粉が用いられるが、これらの小麦粉の中でも、ルウにとろみを出すという点から、薄力粉を用いるのが好ましい。
小麦粉は、トマトソース系ルウ中、10〜50質量%含んでいることが好ましく、10〜30質量%含んでいることがより好ましい。
小麦粉の含有量が少なすぎると、均一に混合しない場合があり、また小麦粉の含有量が多すぎると、油脂以外の原料を含みにくくなる場合がある。
【0014】
本発明のトマトソース系ルウは、さらに澱粉を含むことが好ましい。斯かる澱粉としては、例えば、コーンスターチ、ワキシースターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉などの澱粉類や、酸処理澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、油脂加工澱粉、α化澱粉、β化澱粉などの化工澱粉などを挙げることができ、これらを1種または2種以上を混合して用いることができる。これらの澱粉の中でも、α化澱粉が好ましく、α化タピオカ澱粉がより好ましい。
澱粉は、トマトソース系ルウ中、3〜10質量%含んでいることが好ましく、4〜10質量%含んでいることがより好ましい。
【0015】
本発明のトマトソース系ルウには、さらに、調味料、色素、乳化剤などを適宜配合することができる。
【0016】
本発明のトマトソース系ルウは、例えば、以下のようにして製造される。まず、植物性油脂、小麦粉、必要に応じて澱粉を加えた混合物を攪拌しながら、品温110〜130℃で、10〜40分間加熱する。
その後、混合物にさらに、トマト原料、必要に応じて調味料、色素、乳化剤などのその他の成分を混合し、攪拌しながら、品温70〜90℃で、5〜15分間加熱する。加熱後、0〜10℃程度で、5〜20分間程度冷却し、固形状のルウを得ることができる。
本発明のトマトソース系ルウは、固形状でもペースト状でもよく、ペースト状のルウとする場合には、公知の方法を用いることができる。
【0017】
本発明のトマトソース系ルウは、例えば、以下のような手順でトマトソースを調製することができる。
本発明のトマトソース系ルウに水を加え、ルウを水に溶かすようにして混合することにより、トマトソースを得ることができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0019】
実施例1〜2および比較例1〜2
以下の表1の配合で、まず、薄力粉および油脂を混合し、混合物を攪拌しながら、品温120℃で、20分間加熱した。
その後、混合物にさらに、トマトパウダー、調味料を混合し、攪拌しながら、品温80℃で、10分間加熱した。加熱後、10℃程度で、10分間程度冷却し、固形状のトマトソース系ルウをそれぞれ得た。
【0020】
【表1】

【0021】
実施例1〜2および比較例1〜2で得られた固形状のトマトソース系ルウを用い、次のようにしてトマトソース(ミートソース)をそれぞれ調製した。
固形状のトマトソース系ルウ25質量部に水150質量部および炒めた挽肉50質量部を加え、加熱しながらルウを水に溶かすようにして混合して、トマトソースをそれぞれ得た。
得られた各トマトソースについて、以下の評価基準で、ソースの口溶けおよびソースの油っぽさを評価した。その結果(パネラー10名の平均点)を表2に示す。
【0022】
(ソースの口溶けの評価基準)
5:ソースの口溶けがかなりよい。
4:ソースの口溶けがよい。
3:ソースの口溶けが普通。
2:ソースの口溶けが悪い。
1:ソースの口溶けが極めて悪い。
【0023】
(ソースの油っぽさの評価基準)
5:ソースの油っぽさが感じられない。
4:ソースの油っぽさがあまり感じられない。
3:ソースの油っぽさが少し感じられる。
2:ソースの油っぽさが感じられる。
1:ソースの油っぽさがかなり感じられる。
【0024】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点39℃以下の植物性油脂およびトマト原料を含有し、動物性油脂を使用しないことを特徴とするトマトソース系ルウ。