説明

トライアル情報配信サーバ及び端末装置

【課題】 ネットワークを介したタイムトライアルにおいて、ユーザに判定が公平に行われることを期待させるとともに、高速かつ高品質な通信手段を要することなく、容易にタイムトライアルに参加することを可能とするシステムを提供する。
【解決手段】 サーバ1は、カウンタチェックプログラムを記憶するカウンタチェックプログラム記憶部12と、カウンタチェックプログラムと「入力データ」とをクライアント端末に送信するサーバ側送信部15と、サーバ側送信部15が送信したカウンタチェックプログラムがクライアント端末で実行されることによりクライアント端末から入力開始時カウンタ値と入力終了時カウンタ値とを受信するサーバ側受信部16と、サーバ側受信部16が受信した入力開始時カウンタ値と入力終了時カウンタ値とに基づいて、「入力データ」に対する入力時間を計算するタイムトライアル判定部11とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、イベントやゲームにおいて、クイズ問題の回答やゲームの所定の面のクリアなどに要した時間を競う「タイムトライアル」に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ネットワークを介して複数のユーザが参加するイベントやゲームなどのサービスが提供されている。イベントやゲームにおいて、クイズ問題の回答やゲームの所定の面のクリアなどに要した時間を競う「タイムトライアル」が頻繁に行われる。参加するユーザは、このタイムトライアルが公平に行われることを期待している。
【0003】
一方、ネットワークを介した場合は、「タイムトライアル」を行いたい時間の前後に通信時間が入る。このため、ユーザに対して公平でない印象をあたえる。「タイムトライアル」の勝者が得る賞品は、ユーザが参加料を支払うか、あるいはスポンサが出資するかなどして提供されるものである。よって、公平な判定を行うことにより、より多くのユーザが参加するようにすることが求められる。
【0004】
この通信時間の問題に対し、例えば、特許文献1では、懸賞抽選システムにおいて懸賞情報にタイマープログラムを組み込み、回答時間をユーザの端末でカウントし、その回答時間を比較することで当選を判定することによって、通信時間にかかわらずタイムトライアルを行っていた。
【0005】
しかし、上記のようなタイムトライアル方式では、ユーザが端末の時計を変更してしまうことがある。このため、ユーザは、不正が行われる印象を捨てきれず、参加をためらうことになる。
【0006】
これに対して、サーバで通信時間を考慮したうえで判定を行うことによって、公正を保ってタイムトライアルを行うことも考えられるが、一定の通信品質が保証された通信手段を用意する必要があるなど、ユーザにとって敷居は高くなる。このことは、多くのユーザが参加することを望む運営側にとっても問題である。
【特許文献1】特開2002−56143号公報 第30頁〜31頁、第10図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、ユーザに判定が公平に行われることを期待させるとともに、高速かつ高品質な通信手段を用意することなく参加することを可能とするタイムトライアルシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のトライアル情報配信サーバは、
カウンタを備える端末装置にトライアルの対象となるトライアル情報を配信するトライアル情報配信サーバにおいて、
前記端末装置で実行されることにより、前記端末装置が受信した前記トライアル情報にユーザが取り組んだ場合の取り組み開始時における前記カウンタの開始時カウンタ値と、取り組み終了時における前記カウンタの終了時カウンタ値とを取得して送信するカウンタチェックプログラムを記憶するサーバ側プログラム記憶部と、
前記サーバ側プログラム記憶部が記憶する前記カウンタチェックプログラムと前記トライアル情報とを前記端末装置に送信するサーバ側送信部と、
前記サーバ側送信部が送信した前記カウンタチェックプログラムが前記端末装置で実行されることにより前記端末装置から前記開始時カウンタ値と前記終了時カウンタ値とを受信するサーバ側受信部と、
前記サーバ側受信部が受信した前記開始時カウンタ値と前記終了時カウンタ値とに基づいて、前記トライアル情報に対する前記取り組み開始時から前記取り組み終了時までの経過時間を計算する経過時間計算部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、タイムトライアルにおいて、各ユーザに対して公平性を担保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係るタイムトライアルシステム1000の構成図である。
【0011】
図1において、タイムトライアルシステム1000は、複数のクライアント端末2A,2B(端末装置)等、サーバ1(トライアル情報配信サーバ)、及びネットワーク3とを備えている。
【0012】
サーバ1は、カウンタを備えるクライアント端2A等にトライアルの対象となる情報(トライアル情報)を配信し、クライアント端末同士によるタイムトライアルの結果を判定する。
【0013】
クライアント端末2A、2B、2C等は、タイムトライアルに参加するユーザが使用する端末である。サーバ1とクライアント端末2A、2B、2Cは、ネットワーク3を介して通信を行なう。
【0014】
図2は、実施の形態1におけるサーバ1の外観の一例を示す図である。図2において、サーバ1は、システムユニット150、液晶ディスプレイ装置171(表示部)、キーボード172(入力部)、マウス173(入力部)、コンパクトディスク装置(CDD)174、プリンタ装置175を備える。これらはケーブルで接続されている。さらに、サーバ1は、また、ローカルエリアネットワーク(LAN)200、ゲートウェイを介してインターネット300(例えば図1のネットワーク3に対応)に接続されている。
【0015】
図3は、実施の形態1におけるサーバ1のハードウェア構成図である。図3において、サーバ1は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)155を備えている。CPU155は、バス156を介してROM152、RAM153、通信ボード154(送信部、受信部)、液晶ディスプレイ装置171、K/B172、マウス173、FDD(Flexible Disk Drive)151、CDD174、プリンタ装置175、磁気ディスク装置160(記憶部)、と接続されている。
【0016】
磁気ディスク装置160には、オペレーティングシステム(OS)161、ウィンドウシステム162、プログラム群163、ファイル群164が記憶されている。プログラム群163は、CPU155、OS161、ウィンドウシステム162により実行される。
【0017】
上記プログラム群163には、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」、として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU155により読み出され実行される。ファイル群164には、例えば以下に述べるカウンタ情報DBが記憶されている。
【0018】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」、として説明するものは、ROM152に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0019】
また、以下に述べる実施の形態を実施するプログラムは、また、磁気ディスク装置160、FD(Flexible Disk)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)等のその他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【0020】
なお、クライアント端末2A等もサーバ1と同様のコンピュータシステムを含み、構成は図2、図3と同様である。
【0021】
次に、図1を参照して、サーバ1とクライアント端末2Aの構成を説明する。まずサーバ1の構成を説明する。サーバ1は、入力時間を計算して結果を判定するタイムトライアル判定部11(経過時間計算部)と、クライアント端末の備えるカウンタをチェックするクライアントカウンタチェック部12(カウンタ確認部)と、カウンタチェックプログラムを記憶するカウンタチェックプログラム記憶部13(サーバ側プログラム記憶部)と、カウンタの情報を記憶するカウンタ情報DB記憶部14(カウンタ特性記憶部)と、データを送信するサーバ側送信部15と、データを受信するサーバ側受信部16とを備える。
【0022】
(1)カウンタチェックプログラム記憶部13は、カウンタチェックプログラムを記憶する。カウンタチェックプログラムは、クライアント端末装置で実行されるプログラムである。カウンタチェックプログラムは、クライアント端末が受信した後述の「入力データ」(トライアル情報)にユーザが取り組んだ場合の取り組み開始時における入力開始時カウンタ値、取り組み終了時における入力終了時カウンタ値、及びクライアント端末が備えるカウンタの種別等を取得して、サーバ1に送信する。
(2)サーバ側送信部15は、カウンタチェックプログラム記憶部13が記憶するカウンタチェックプログラムと後述の「入力データ」とをクライアント端末2A等に送信する。
(3)サーバ側受信部16は、サーバ側送信部15が送信したカウンタチェックプログラムがクライアント端末で実行されることによりクライアント端末から入力開始時カウンタ値、入力終了時カウンタ値、クライアント端末が備えるカウンタの種別などを受信する。
(4)カウンタ情報DB記憶部14は、カウンタの種別ごとにカウンタ特性をDB(データベース)として記憶する。カウンタ特性とは、例えばカウンタの精度や周期である。
(5)クライアントカウンタチェック部12は、サーバ側受信部16が受信したカウンタの種別と、カウンタ情報DB記憶部14が記憶するカウンタ特性とから、サーバ側受信部16が受信したカウンタの種別に係るカウンタのカウンタ特性を確認する。
(6)タイムトライアル判定部11は、サーバ側受信部16が受信した入力開始時カウンタ値、入力終了時カウンタ値、クライアントカウンタチェック部12が確認したカウンタ特性の確認結果等とに基づいて、後述の「入力データ」に対する取り組み開始時から取り組み終了時までの入力時間(経過時間)を計算する。
【0023】
クライアント端末2A、2B、2Cは、構成は同様である。クライアント端末2Aを例に説明する。クライアント端末2Aは、一定の周期で特定の値ずつ変化(例えば増加、減少しても構わない)するカウンタ21Aと、データを受信する端末側受信部22Aと、カウンタプログラムや入力データを記憶する端末側記憶部23Aと、ユーザからのトライアルへの取り組みを受け付ける取り組み受付部24Aと、カウンタチェックプログラムを実行するカウンタチェックプログラム実行部25Aと、データを送信する端末側送信部26Aと、データを表示する表示部27Aとを備える。
【0024】
図1に示すクライアント端末2Aでは、
(1)カウンタ21Aは、一定の周期で特定の値ずつ変化するカウンタ値を生成する。
(2)端末側受信部22は、トライアルの対象となる後述の「入力データ」(トライアル情報)と、カウンタチェックプログラムとサーバ1から受信する。カウンタチェックプログラムは、「入力データ」にユーザが取り組んだ場合の取り組み開始時におけるカウンタ値を示す「入力開始時カウンタ値」と取り組み終了時におけるカウンタ値を示す「入力終了時カウンタ値」とを取得する。
(3)端末側記憶部23Aは、端末側受信部22Aが受信した「入力データ」とカウンタチェックプログラムとを記憶する。
(4)取り組み受付部24Aは、端末側記憶部23Aが記憶した「入力データ」へのユーザによる取り組みを受け付ける。
(5)カウンタチェックプログラム実行部25Aは、取り組み受付部24Aがユーザによる取り組みを受け付けた場合に、端末側記憶部23Aが記憶したカウンタチェックプログラムを実行することにより、「入力開始時カウンタ値」と「入力終了時カウンタ値」とを取得する。
(6)端末側送信部は、カウンタチェックプログラム実行部25Aが取得した「入力開始時カウンタ値と「入力終了時カウンタ値」とをサーバ1に送信する。
【0025】
次に、図4を用いてタイムトライアルシステム1000におけるサーバとクライアント端末との動作を説明する。クライアント端末はクライアント端末2Aを例に説明する。
(1)まず、クライアント端末2Aは、サーバ1にアクセスしてカウンタチェックプログラムを端末側受信部22Aにより受信する(S1、S2)。カウンタチェックプログラムは、端末側記憶部23Aが記憶する。
(2)この受信したカウンタチェックプログラムをカウンタチェックプログラム実行部25Aによって実行することにより、カウンタ21Aの種別と、そのカウンタ値とを取得し(S3)、これらをカウンタ情報として、端末側送信部26Aを介してサーバ1へ送信する(S4)。
【0026】
(3)サーバ1は、サーバ側受信部16によりカウンタ情報を受信する。このカウンタ情報を受信したサーバ1は(S5)、クライアントカウンタチェック部12によってカウンタ情報DB記憶部14の記憶するカウンタ情報を参照し、期待されるカウンタ精度などをもとに参加資格があるかどうかを判定する(S6)。本判定に不合格の場合、クライアント端末2Aはサービスを利用できない。
(4)先の参加資格の判定に合格すると、サーバ1は、クイズの問題やゲームのステージ情報などのタイムトライアルの対象となるデータ(トライアル情報)(以降、「入力データ」という)をクライアント端末2Aへ送信する(S7)。
【0027】
(5)クライアント端末2Aは、この「入力データ」を受信し(S8)、ユーザが問題の回答やゲームなどを実行できるよう表示部27Aに画面を表示する(S9)。
(6)続けて、先に受信したカウンタチェックプログラムを用いてユーザの入力開始時のカウンタ値を取得し保持する(S10)。
(7)ユーザが回答を入力やゲームのクリアをもって入力終了とし、入力開始時と同様にカウンタチェックプログラムを用いて入力終了時のカウンタ値を取得し保持する(S11)。
(8)そしてユーザが入力した回答やゲームのクリア状態(以下、「回答データ」という)を、入力開始時カウンタ値(開始時カウンタ値)、入力終了時カウンタ値(終了時カウンタ値)とともにサーバ1へ送信する(S12)。
【0028】
(9)サーバ1は、この回答データを受信すると(S13)、回答データが正解かどうかを判定し、入力開始時カウンタ値と入力終了時カウンタ値を保持する(S14)。
(10)締め切り時刻になると、サーバはタイムトライアル判定部11を用いて、(a)カウンタ種別と(b)入力開始時カウンタ値と(c)入力終了時カウンタ値とから、比較可能な入力時間(経過時間)を計算し(S15)、この入力時間を比較することによって勝者の決定や順位付けなどの判定を行う(S16)。
(11)さらに、サーバ1は、判定結果をクライアント端末2Aへ送信する(S17)。
【0029】
(12)サーバ1から判定結果を受信したクライアント端末2Aは(S18)、表示部27Aに画面に結果を表示し(S19)、ユーザは結果を確認できる。
【0030】
以上のように、入力時間の計算をサーバで行い、その計算に使用するカウンタ種別と入力開始時カウンタ値と入力終了時カウンタ値とをサーバから送信するカウンタチェックプログラムによって行うようにしているので、不正なユーザが入力時間を短くみせることが困難となり、ユーザに対して公平性を提供することができる。
【0031】
また、カウンタチェックプログラムはクライアント端末で動作するためネットワークを介した通信にかかる時間は入力時間に含まれず、ユーザは通信環境の違いを気にすることなく参加することができる。
【0032】
実施の形態2.
以上の実施形態1では、カウンタチェックプログラムをサーバから送信しクライアント端末で実行することでカウンタの改変を困難にするようにしたものである。これに対して、本実施の形態2は、サーバとクライアント端末とが参加から結果判定までの期間定期的に通信可能な場合に、通信を利用してサーバがクライアント端末のカウンタをチェックする実施形態である。実施の形態のシステム構成は、図1に示す実施の形態1と同様である。
【0033】
図5は、このような場合のサーバとクライアント端末との動作について示したものである。実施の形態1の動作を示す図4に対して、S1〜S6は同様である。図5は破線で囲まれたループ部分が特徴である。
(1)実施形態1と同様に、サーバ1は、クライアント端末2Aからカウンタ21の種別と、カウンタ値とを取得し参加資格の判定を行う(S6)。
(2)さらに、サーバ1はタイムトライアルの結果が出るまで、参加中のクライアント端末2Aに対して、周期的にカウンタのチェック要求(カウンタ値の取得要求)を送信する(図5の破線で囲まれたループ部分)。
【0034】
(3)クライアント端末2Aは、カウンタのチェック要求を受信(S204)すると、カウンタチェックプログラムによってカウンタ値を取得し(S205)、サーバ1へカウンタ値を送信する(S206)。
【0035】
サーバ1はカウンタ値(応答カウンタ値)を受信すると(S208)、クライアントカウンタチェック部12によってカウンタ情報DBを参照し、カウンタ値(応答カウンタ値)が期待される値かどうかを判定する(S209)。この判定が不合格となった場合およびカウンタのチェック要求に対して一定時間応答を受信しない場合、そのクライアント端末の参加資格を削除する。
【0036】
以上のように、入力開始時と入力終了時以外にカウンタ値をサーバでチェックすることによって、カウンタ改変の手間を複雑にし、不正を行いにくくしている。
【0037】
実施の形態3.
以上の実施形態では、クライアント端末が備えるカウンタを用いるものであるが、本実施の形態3は、クライアント端末が外部のカウンタを用いる実施形態である。実施の形態3のシステム構成は、図1に示す実施の形態1の構成と同様である。
【0038】
図6は、このような実施形態におけるクライアント端末の構成図である。
【0039】
図6において、クライアント端末4は、タイムトライアルに参加するユーザが使用する端末である。カウント装置5は、クライアント端末4に接続しカウント値を取得するための装置である。図7は、クライアント端末4の外観の一例を示す。図7では、クライアント端末4の一例として携帯電話55を示している。また、図7では携帯電話55に接続されるカウント装置5は、カード状である。
【0040】
カウント装置5は、カウンタ51と、カウンタ値の外部からの変更記録を保持する修正記録メモリ52(変更履歴記憶部)と、カウンタ値の修正とカウンタ値の取得を行うカウンタ値入出力部53とを備える。カウンタ値を外部から修正する場合、カウンタ値入出力部53は、カウンタ51を修正し、修正記録メモリ52の内容を修正前と別の値に書き換える。
【0041】
次に動作について図8を用いて説明する。実施の形態1を示す図4に対して、図8のS304,S308、S314、S317が特徴である。
【0042】
実施形態1と同様に、クライアント端末4は、サーバ1からカウンタチェックプログラムを受信し(S302)、カウンタチェックプログラムを用いてカウント装置5から「カウンタ種別」と「カウンタ値」とを取得する(S302)。さらに、クライアント端末4は、カウント装置5からカウンタ修正記録を取得し(S304)、カウンタ種別とカウンタ値とともにサーバ1へ送信する(S305)。
【0043】
この情報を受信したサーバ1は(S306)、参加資格判定を行う(S307)とともに、カウンタ値とカウンタ修正記録とを保持する(S308)。S309〜S312は、実施の形態1を示す図4のS7〜S11と同じであり、説明は省略する。
【0044】
そして、クライアント端末4は入力終了時のカウンタ値を取得(S313)すると、カウント装置5からカウンタ修正記録を取得(S314)し、回答データ、入力開始時カウンタ値、入力終了時カウンタ値とともにサーバ1へ送信する(S315)。
【0045】
サーバ1はこの回答データを受信すると(S316)、カウンタ修正記録を確認し(S317)、参加判定した時点から変更がないことを確認する。その後、回答データが正解かどうかを判定し、入力開始時カウンタ値と入力終了時カウンタ値を保持する(S318)(S318〜S323は図2と同様)。
【0046】
以上のように、カウンタ値を修正した場合に修正前と別の値に書き換える修正記録メモリを備えたカウント装置を用いてカウンタ値を取得することによって、タイムトライアルの期間中にカウンタ修正を行うことを困難にし、やはりユーザに対して公平性を提供できる。この実施の形態3では、参加資格判定から入力終了までの期間、常に通信する必要がなく、このこともより多くのユーザが参加しやすくすることにつながる。
【0047】
また、本実施の形態3のカウント装置5を分解に手間がかかる装置として作成することや、修正記録メモリ52の内容を保護することによって、カウンタ値の信頼性を向上させることは容易である。
【0048】
実施の形態4.
以上の実施の形態では、「入力データ」を受信してすぐにクライアント端末はユーザ入力画面を表示することができる。しかしながら、例えば、パズルを解くような場合に、ユーザがあるクライアント端末でパズルを解いた後、そのユーザが別のクライアント端末から参加して、あたかも短時間で回答できたかのような不正が行われることがある。これを防ぐ一つの手段として、いずれのクライアント端末においても、同時刻にユーザ入力ができるようになる実施形態(ある時刻までは、いずれのユーザも入力できない実施形態)について示す。実施の形態4の構成は図1の実施の形態1同様である。
【0049】
図9は、このような実施形態におけるサーバの構成図である。図1に示すサーバ1の構成に対して、あらたに、開封カウンタ値決定部65(特定カウンタ値決定部)が追加された構成である。サーバ6は、タイムトライアル判定部11と、クライアントカウンタチェック部12と、カウンタチェックプログラム記憶部13と、カウンタ情報DB記憶部14と、開封カウンタ値決定部65とを備えている。
【0050】
図9において、
(1)カウンタチェックプログラム記憶部13は、カウンタチェックプログラムを記憶する。カウンタチェックプログラムはクライアント端末で実行されることにより、少なくともクライアントの備えるカウンタの種別とカウンタの示すカウンタ値とを取得して送信するとともにカウンタの示すカウンタ値が「開封カウンタ値」(特定の値)の場合に、クライアント端末が受信した「入力データ」(トライアル情報)へのアクセスを認める。
(2)サーバ側送信部15は、カウンタチェックプログラム記憶部13が記憶するカウンタチェックプログラムをクライアント端末に送信するとともに、後述の開封カウンタ値をクライアント端末に送信する。
(3)サーバ側受信部16は、サーバ側送信部15が送信したカウンタチェックプログラムがクライアント端末で実行されることにより、クライアント端末からこのクライアント端末の備えるカウンタの種別とカウンタの示すカウンタ値とを受信する。
(4)カウンタ情報DB記憶部14は、カウンタの種別ごとにカウンタ特性をDB(データベース)として記憶する。
(5)クライアントカウンタチェック部12は、サーバ側受信部16が受信したカウンタの種別と、カウンタ情報DB記憶部14が記憶するカウンタ特性とから、サーバ側受信部16が受信したカウンタの種別に係るカウンタのカウンタ特性を確認する。
(6)開封カウンタ値決定部65(特定カウンタ値決定部)は、クライアントカウンタチェック部12が確認した確認結果と、サーバ側受信部16が受信したカウンタ値とに基づいて、カウンタチェックプログラムにより「入力データ」(トライアル情報)へのアクセスが認められる「開封カウンタ値」(特定カウンタ値)を決定する。
【0051】
次に、動作について図10を用いて説明する。前記のように実施の形態4の構成は図1の実施の形態1同様である。クライアント端末はクライアント端末2Aを例に説明する。図10において、S1〜S6までは実施の形態1の動作を示す図4と同様である。
【0052】
(1)サーバ6は、クライアント端末2Aに「入力データ」を送信(S7)する前に、開封カウンタ値決定部65を用いて、クライアント端末2Aのカウンタ種別とカウンタ値およびクライアント端末2Aのカウンタ情報を受信した時刻およびユーザ入力画面を表示可能としたい時刻(以降、開封時刻)から、開封時刻に期待されるカウンタ値(以降、開封カウンタ値)(特定カウンタ値)を決定する(S401)。
(2)そして「入力データ」とともに「開封カウンタ値」をクライアント端末2Aへ送信する(S7)。
【0053】
(3)クライアント端末2Aでは、「入力データ」、「開封カウンタ値」を受信すると(S8)、カウンタチェックプログラムによって、カウンタ値と受信した「開封カウンタ値」とを比較し、受信した「入力データ」を入力画面表示としてよいかどうかを判定する(S402)。入力画面表示できないと判定した場合は、一定時間経過後再度判定を行う(S403)。なお、例えばクイズの問題などで、「入力データ」が表示用のプログラムによらなくてもテキストとして判読できるような場合は、テキストを暗号化して「入力データ」として送信し、カウンタチェックプログラムによって復号化するようにしてもよい。
【0054】
以上のように、特定の時刻にクライアント端末のカウンタ値として期待される値を指定して「入力データ」を送信することによって、クライアント端末間で同時にユーザ入力が可能となるようにすることが可能となる。これにより、先に述べたような回答を知ってから別のクライアント端末で参加する不正を防止し、公平性を確保できる。
【0055】
また、「入力データ」が大きくなる場合、「入力データ」の受信に時間がかかったり、多くのクライアント端末が同時に「入力データ」を受信するためサーバやネットワークの負荷が増大したりする問題があるが、本実施の形態によれば「入力データ」の受信完了時刻の前後に関係なく同時にスタートできるため、「入力データ」の受信を分散して行うようにすれば、公平性を保ったままこの問題を解決することが出来る。
【0056】
以上の実施の形態のタイムトライアルシステムは、サーバに、クライアント端末で動作するカウンタチェックプログラムと、このカウンタチェックプログラムと通信しカウンタのチェックを行うカウンタチェック手段とを備え、入力時間の計算をサーバで行ってタイムトライアルの結果を判定し、その計算に使用する入力開始時カウンタ値と入力終了時カウンタ値とをサーバから送信するカウンタチェックプログラムによって行うことを特徴とする。
【0057】
以上の実施の形態のタイムトライアルシステムは、前記サーバは、カウンタ種別毎に精度や周期などの情報を保持したカウンタ種別DBをさらに備え、入力時間の計算にカウンタ種別と入力開始時カウンタ値と入力終了時カウンタ値とを使用することを特徴とする。
【0058】
以上の実施の形態のタイムトライアルシステムは、入力開始時と入力終了時以外にカウンタ値をサーバでチェックすること特徴とする。
【0059】
以上の実施の形態のタイムトライアルシステムは、カウンタと、カウンタ値を修正した場合に修正前と別の値に書き換える修正記録メモリと、カウンタ値の修正とカウンタ値の取得を行うカウンタ値入出力手段とを備えたカウンタ装置をクライアント端末と接続し、参加時と判定時に修正記録を確認することを特徴とする。
【0060】
以上の実施の形態のタイムトライアルシステムは、クライアント端末間で同時にユーザ入力が可能となるように、クライアント端末の備えるカウンタ種別とカウンタ値とから、特定の時刻にクライアント端末のカウンタ値として期待される値を決定し、その期待される値を指定して入力データを送信することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施の形態1における、タイムトライアルシステムの構成図である。
【図2】実施の形態1における、サーバの外観の一例を示す。
【図3】実施の形態1における、サーバのハードウェア構成の一例を示す。
【図4】実施の形態1における、サーバとクライアント端末のシーケンスを示す。
【図5】実施の形態2における、サーバとクライアント端末のシーケンスを示す。
【図6】実施の形態3における、クライアント端末の構成を示す。
【図7】実施の形態3における、クライアント端末の外観の例を示す。
【図8】実施の形態3における、サーバとクライアント端末のシーケンスを示す。
【図9】実施の形態4における、サーバの構成を示す。
【図10】実施の形態3における、サーバとクライアント端末のシーケンスを示す。
【符号の説明】
【0062】
1 サーバ、11 タイムトライアル判定部、12 クライアントカウンタチェック部、13 カウンタチェックプログラム記憶部、14 カウンタ情報DB記憶部、15 サーバ側送信部、16 サーバ側受信部、150 システムユニット、151 FDD、152 ROM、153 RAM、154 通信ボード、155 CPU、156 バス、160 磁気ディスク装置、161 OS、162 ウィンドウシステム、163 プログラム群、164 ファイル群、171 液晶ディスプレイ装置、172 キーボード、173 マウス、174 CDD、175 プリンタ装置、200 LAN、300 インターネット、1000 タイムトライアルシステム、2A,2B,2C クライアント端末、21A カウンタ、22A 端末側受信部、23A 端末側記憶部、24A 取り組み受付部、25A カウンタチェックプログラム実行部、26A 端末側送信部、27A 表示部、3 ネットワーク、4 クライアント端末、5 カウント装置、51 カウンタ、52 修正記録メモリ、53 カウンタ値入出力部、55 携帯電話、6 サーバ、65 開封カウンタ値決定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタを備える端末装置にトライアルの対象となるトライアル情報を配信するトライアル情報配信サーバにおいて、
前記端末装置で実行されることにより、前記端末装置が受信した前記トライアル情報にユーザが取り組んだ場合の取り組み開始時における前記カウンタの開始時カウンタ値と、取り組み終了時における前記カウンタの終了時カウンタ値とを取得して送信するカウンタチェックプログラムを記憶するサーバ側プログラム記憶部と、
前記サーバ側プログラム記憶部が記憶する前記カウンタチェックプログラムと前記トライアル情報とを前記端末装置に送信するサーバ側送信部と、
前記サーバ側送信部が送信した前記カウンタチェックプログラムが前記端末装置で実行されることにより前記端末装置から前記開始時カウンタ値と前記終了時カウンタ値とを受信するサーバ側受信部と、
前記サーバ側受信部が受信した前記開始時カウンタ値と前記終了時カウンタ値とに基づいて、前記トライアル情報に対する前記取り組み開始時から前記取り組み終了時までの経過時間を計算する経過時間計算部と
を備えたことを特徴とするトライアル情報配信サーバ。
【請求項2】
前記サーバ側プログラム記憶部が記憶する前記カウンタチェックプログラムは、
前記端末装置で実行されることにより、前記端末装置の備える前記カウンタの種別を取得して送信し、
前記サーバ側受信部は、
前記カウンタチェックプログラムが前記端末装置で実行されることにより前記端末装置から前記カウンタの種別を受信し、
前記トライアル情報配信サーバは、さらに、
カウンタの種別ごとにカウンタ特性を記憶するカウンタ特性記憶部と、
前記サーバ側受信部が受信した前記カウンタの種別と、前記カウンタ特性記憶部が記憶するカウンタ特性とから、前記サーバ側受信部が受信した前記カウンタの種別に係る前記カウンタのカウンタ特性を確認するカウンタ確認部と
を備え、
前記経過時間計算部は、
前記カウンタ確認部が確認した確認結果と前記サーバ側受信部が受信した前記開始時カウンタ値と前記終了時カウンタ値とに基づいて、前記トライアル情報に対する前記取り組み開始時から前記取り組み終了時までの経過時間を計算することを特徴とする請求項1記載のトライアル情報配信サーバ。
【請求項3】
前記カウンタチェックプログラムは、
前記端末装置で実行されることにより、前記トライアル情報配信サーバから前記カウンタの示すカウンタ値の取得要求を受けた場合に前記カウンタ値を取得し、取得した前記カウンタ値を前記トライアル情報配信サーバに送信し、
前記サーバ側送信部は、
前記取得要求を前記端末装置に送信し、
前記サーバ側受信部は、
前記カウンタチェックプログラムが前記端末装置で実行されることにより、前記送信部が送信した前記取得要求に応答する前記端末装置から前記カウンタの示すカウンタ値を前記取得要求に応答する応答カウンタ値として受信し、
前記カウンタ確認部は、
前記サーバ側受信部が受信した前記応答カウンタ値と、カウンタ特性の前記確認結果とに基づいて、応答カウンタ値が期待される値かどうかを判定することを特徴とする請求項2記載のトライアル情報配信サーバ。
【請求項4】
カウンタを備える端末装置にトライアルの対象となるトライアル情報を配信するトライアル情報配信サーバにおいて、
前記端末装置で実行されることにより、少なくとも前記カウンタの種別と前記カウンタの示すカウンタ値とを取得して送信するとともに前記カウンタの示すカウンタ値が特定の値の場合に前記端末装置が受信した前記トライアル情報へのアクセスを認めるカウンタチェックプログラムを記憶するサーバ側プログラム記憶部と、
前記サーバ側プログラム記憶部が記憶する前記カウンタチェックプログラムを前記端末装置に送信するサーバ側送信部と、
前記サーバ側送信部が送信した前記カウンタチェックプログラムが前記端末装置で実行されることにより、前記端末装置から前記カウンタの種別と前記カウンタの示すカウンタ値とを受信するサーバ側受信部と、
カウンタの種別ごとにカウンタ特性を記憶するカウンタ特性記憶部と、
前記サーバ側受信部が受信した前記カウンタの種別と前記カウンタ特性記憶部が記憶するカウンタ特性とから、前記サーバ側受信部が受信した前記カウンタの種別に係る前記カウンタのカウンタ特性を確認するカウンタ確認部と、
前記カウンタ確認部が確認した確認結果と前記サーバ側受信部が受信した前記カウンタ値とに基づいて、前記カウンタチェックプログラムにより前記トライアル情報へのアクセスが認められる前記特定の値を示す特定カウンタ値を決定する特定カウンタ値決定部と
を備え、
前記サーバ側送信部は、
前記特定カウンタ値決定部が決定した前記特定カウンタ値と前記トライアル情報とを前記端末装置に送信することを特徴とするトライアル情報配信サーバ。
【請求項5】
所定の情報を受信する端末装置において、
一定の周期で特定の値ずつ変化するカウンタ値を生成するカウンタと、
トライアルの対象となるトライアル情報と、前記トライアル情報にユーザが取り組んだ場合の取り組み開始時における前記カウンタ値を示す開始時カウンタ値と取り組み終了時における前記カウンタ値を示す終了時カウンタ値とを取得するカウンタチェックプログラムとを受信する端末側受信部と、
前記端末側受信部が受信した前記トライアル情報と前記カウンタチェックプログラムとを記憶する端末側記憶部と、
前記端末側記憶部が記憶した前記トライアル情報へのユーザによる取り組みを受け付ける取り組み受付部と、
前記取り組み受付部がユーザによる前記取り組みを受け付けた場合に、前記端末側記憶部が記憶した前記カウンタチェックプログラムを実行することにより、前記開始時カウンタ値と前記終了時カウンタ値とを取得するカウンタチェックプログラム実行部と、
前記カウンタチェックプログラム実行部が取得した前記開始時カウンタ値と前記終了時カウンタ値とを送信する端末側送信部と
を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項6】
前記端末側受信部が受信する前記カウンタチェックプログラムは、
前記カウンタチェックプログラム実行部に、前記カウンタの種別を取得させ、
前記端末側送信部は、
前記カウンタチェックプログラム実行部が取得した前記カウンタの種別を送信することを特徴とする請求項5記載の端末装置。
【請求項7】
前記カウンタが生成する前記カウンタ値は、
変更が可能であり、
前記端末装置は、さらに、
前記カウンタの示す前記カウンタ値の変更履歴を記憶する変更履歴記憶部を備え、
前記端末側送信部は、
前記変更履歴記憶部が記憶する前記変更履歴を送信することを特徴とする請求項5記載の端末装置。
【請求項8】
前記カウンタと変更履歴記憶部とは、
前記端末装置から分離可能であることを特徴とする請求項7記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−254971(P2006−254971A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73126(P2005−73126)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】