説明

トラスコア、トラスコア組立体、及びこれを用いた加圧マガジン

【課題】被加圧物に対し、その押圧面全体にわたって均一に加圧することを可能にする。
【解決手段】平面状のシート部材と、このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起とから成るトラスコアを提供し、このトラスコアを2枚、それぞれ突起が設けられた面を対向させ、且つ一方のシート部材の突起の頂点と他方のシート部材の突起の頂点とがオフセットとなるように重ね合わせて成るトラスコア組立体を提供するものである。トラスコアは、三角錐形状の突起がシート部材の全面に設けられているため、シート部材に対して上下方向(面に対して垂直方向)の外力を受けても複数の突起が受け止めるため押しつぶされることなく外力に耐えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラスコア、トラスコア組立体、及びこれを用いた加圧マガジンに関し、特に、略平面形状を有する被加圧物の全面にわたって均一に加圧作用を及ぼすことを可能にするトラスコア、トラスコア組立体、及びこれを用いた加圧マガジンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IT製品の開発が盛んに行われ、それに用いるディスプレイの開発、製作が盛んに行われるようになってきている。そして、例えば、液晶表示装置の分野では、マトリクス状に画素電極が形成されたアクティブマトリクス基板と、画素電極に対向するように対向電極が形成された対向基板と、それらの両基板に挟持されるように設けられた液晶層とにより液晶表示装置を製作するに当り、上記アクティブマトリクス基板及び対向基板をそれぞれ作製し、それら両基板をシール材を介して貼り合わせて注入口を有する空セルを作製した後に、その空セルに液晶材料を上記注入口から注入して液晶セルを作製する際に、液晶セルの変形を矯正するために加圧装置が用いられる。
【0003】
このような分野において用いられる加圧装置としては例えば特許文献1に記載されたものがある。この加圧装置においては、上側ステージと下側ステージとの間に被加圧物を載置し、下側ステージは静止した固定台とする一方、上側ステージは加圧駆動機構に連結し、さらに上側ステージはその平面全体の複数個所にて加圧駆動機構に連結されるようにしておき、各部位における加圧駆動機構による押圧力動作を制御することにより、上記上側ステージの平面全体として均一な加圧を行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−270646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の加圧装置では、複数個所の一部において加圧力を制御すると他の部位において、また加圧制御が必要になるというように、加圧力の検出と制御が頻繁に行われる必要があり、複雑な制御が必要になる。また、上側ステージと下側ステージのうちいずれかに変形や傷があったり、或いは面の製作精度が悪いといった状況があると被加圧物の面全体に均一な加圧力を作用させることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、この種の加圧装置に利用して、被加圧物に対し、その押圧面全体にわたって均一に加圧することを可能にするトラスコア、トラスコア組立体、及びこれを用いた加圧マガジンを提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、平面状のシート部材と、このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起とから成るトラスコアを提供するものである。このトラスコアは、三角錐形状の突起がシート部材の全面に設けられているため、シート部材に対して上下方向(面に対して垂直方向)の外力を受けても複数の突起が受け止めるため押しつぶされることなく外力に耐えることが可能である。
【0008】
また、本発明は、平面状のシート部材と、このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起とから成り、前記三角錐形状の突起の内部は中空に形成されているトラスコアを2枚、それぞれ突起が設けられた面を対向させ、且つ一方のシート部材の突起の頂点と他方のシート部材の突起の頂点とがオフセットとなるように重ね合わせて成るトラスコア組立体を提供するものである。このトラスコア組立体は、上記のようなトラスコアを2枚重ね合わせてなるから、一方のトラスコアの突起と突起の間の隙間が他方のトラスコアの突起により埋められることになり、シート部材に対して上下方向(面に対して垂直方向)の外力を受けたときの耐力が倍加する。
【0009】
そして、上記トラスコア組立体において、2枚のトラスコアのそれぞれにおいて、前記突起を形成する三角錐は正三角形により形成され、また前記突起は、前記シート部材の片面の全体にわたって、鱗繋模様状に配設することができる。このような構成にすると、2枚のトラスコアを上記のように重ね合わせたことにより、一方のトラスコアの1つの突起(第1突起とする)に隣接して他方のトラスコアの突起(第2突起とする)が位置し、且つ第1突起の稜線と第2突起の稜線とが相接する位置関係が現出される。このため、シート部材に対して上下方向(面に対して垂直方向)の巨大な外力を受けたとき、一方の突起(例えば第1突起)が変形しようとしても、稜線が相接する部位において他方の突起(第2突起)が反対方向に変形しようとして互いに相手の変形を阻止ないしは抑止する作用を及ぼすことになり、巨大な外力であっても押しつぶされることなく耐えながら弾性変形することが可能である。さらに上述のような外力に対する抵抗作用が複数の突起において現出され、且つ各突起についてみれば、その突起に加わった外力に対応して弾性変形するから、トラスコア組立体の面全体にわたって均一な反力を生じることができる。この点において本発明はより一層優れた作用効果を有するものである。さらに2枚のトラスコアは重ねられた状態にあって完全一体構造となっているものではないため、トラスコア組立体が外力を受けて変形する際には横方向(シート部材の面に対して水平方向)への変位(或いは変形)受け入れることができる。
【0010】
本発明はまた、平面状のシート部材と、このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起とから成り、前記三角錐形状の突起の内部は中空に形成されているトラスコアを2枚、それぞれ突起が設けられた面を対向させ、且つ一方のシート部材の突起の頂点と他方のシート部材の突起の頂点とがオフセットとなるように重ね合わせて成るトラスコア組立体と、前記トラスコア組立体の両面にそれぞれ対接して配置された複数の平板形状の押え板部材とから成る加圧マガジンを提供するものである。かかる構成により、上記加圧マガジンにおいては、上記トラスコア組立体の持つ技術的な特性を充分に適用しつつ押え板部材の面に作用力を及ぼすから、押え板部材は、その面全体にわたって均一な力を被加圧物に与えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、平面状のシート部材と、このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起とから成り、前記三角錐形状の突起の内部は中空に形成されているトラスコアを2枚、それぞれ突起が設けられた面を対向させ、且つ一方のシート部材の突起の頂点と他方のシート部材の突起の頂点とがオフセットとなるように重ね合わせて成るトラスコア組立体を押え板部材に挟持し、且つ、被加圧物が各押え板部材の間に保持された状態で、各押え板部材を押圧するようにしたから、被加圧物は、押さえ板の押圧面全体にわたって均一な力を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態に係るトラスコア及びトラスコア組立体の平面図である。
【図2】同トラスコア及びトラスコア組立体において、突起の稜線が相接する位置で反対方向に撓み変形する作用を説明する図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る加圧マガジンを構成する押え板部材の特に内側面を示す斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る加圧マガジンを構成する押え板部材の特に外側面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るトラスコアの平面図である。この実施の形態に係るトラスコア1は、平面状のシート部材2と、このシート部材2の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起3とから成る。図1中で、符号4は三角錐の頂点である。シート部材2及び突起3を含むトラスコア1全体は、塩化ビニール、ポリプロピレンなどの合成樹脂から成り、通常はこれらの素材をプレス加工等して成形される。したがって、突起3の内部は底板部のない中空に形成されている。三角錐の各面を形成する三角形は二等辺三角形、その他の三角形など特に決められる必要はないが、この実施の形態においては、突起3を形成する三角錐の各面は正三角形に形成されている。突起3はまた、前記シート部材2の片面の全体にわたって、鱗繋模様状に配設されている。
【0015】
かかる構成を有するトラスコア1は、三角錐形状の突起3がシート部材2の全面に設けられているため、シート部材2に対して上下方向(面に対して垂直方向)の外力を受けても複数の突起3が受け止め、その弾性変形によって吸収するため押しつぶされることなく外力に耐えることが可能である。
【0016】
(実施の形態2)
図1はまた、本発明の第2の実施の形態としてのトラスコア組立体の説明にも用いられる。この第2の実施の形態に係るトラスコア組立体5は上記第1の実施の形態として示したトラスコア1を2枚重ね合わせて成る。この第2の実施の形態においては、2枚のトラスコア1は図1において上下関係に重ね合わせられ、そのうちの一方である第1のトラスコア(1aとする)は、下側に載置されて突起(3aとする)を上側(図1の紙面に対して表側)に向けて配置される。また、他方である第2のトラスコア(1bとする)は、上側に載置されて突起(3bとする)を下側(図1の紙面に対して裏側)に向けて配置される。第1のトラスコア1aと第2のトラスコア1bはそれぞれ、突起3a、3bが設けられた面を対向させ、且つ、第1のトラスコア1aの突起3aの頂点と第2のトラスコア1bの突起3bの頂点とがオフセットとなるように重ね合わされる。したがって、図1において、破断線Lによって区画分けされたAゾーンとBゾーンのうち、Aゾーンは第1のトラスコア1aを表し、Bゾーンは第2のトラスコア1bを表す。そして、Bゾーンにおいて黒く塗りつぶした三角形(3個)はそこに第2のトラスコア1bの突起3bがあることを示す。これに対し、Aゾーンにおいて白抜きで表された三角形(複数個)はそこに何もない(単なる空間である)ことを示す。また、図1において、Aゾーン、Bゾーン共に突起3a、3bの集合はごく一部の区域にしか表されていないが、これは簡易表示によるものであり、実際にはそれぞれのシート部材2a、2bのほぼ全面にわたって鱗繋模様状に配設されている。また、互いに重ね合わせられた第1のトラスコア1aと第2のトラスコア1bは、4隅の結合部20において接着固定されている。結合部20以外の部分においては接着されていないが、第1のトラスコア1aと第2のトラスコア1bの重ね合わせにより突起3aと突起3bとがオフセット状態で互いに食い込む形態で結合するので互いにずれて外れることはない。また、接着箇所は上述のように4隅でなくても任意の部分で接着されていてもよく、また全面で接着されていてもよい。しかし、全面にわたり接着されるよりも部分的に接着されている方が、第1のトラスコア1aと第2のトラスコア1bとの間で面と平行な方向に幾分変位する余裕(すなわち、遊び)ができて好都合である。
【0017】
以上の構成を有するトラスコア組立体5について動作を説明する。このトラスコア組立体5は、上記のようなトラスコア1a、1bを2枚重ね合わせてなるから、一方のトラスコア(例えば1a)についてみると、その突起3aと突起3aの間の隙間が他方のトラスコア1bの突起3bにより占拠される、或いは埋められることになり、シート部材2a、2bに対して上下方向(面に対して垂直方向)の外力を受けたときの耐力が倍加する。
【0018】
そして、上記トラスコア組立体5において、2枚のトラスコア1a、1bのそれぞれにおいて、前記突起3a、3bを形成する三角錐は正三角形により形成され、また前記突起3a、3bは、前記シート部材2a、2bの片面の全体にわたって、鱗繋模様状に配設することができる。このような構成にすると、2枚のトラスコア1a、1bを上記のように重ね合わせたことにより、一方のトラスコア1aの1つの突起(第1突起3aとする)に隣接して他方のトラスコア1bの突起(第2突起3bとする)が位置し、且つ第1突起3aの稜線と第2突起3bの稜線とが相接する位置関係が現出される。このため、シート部材2a、2bに対して上下方向(面に対して垂直方向)の巨大な外力を受けたとき、一方の突起(例えば第1突起3a)が変形(撓み変形)しようとしても、稜線が相接する部位において他方の突起(第2突起3b)が相対する位置で反対方向に撓み変形しようとして互いに相手の変形を阻止ないしは抑止する作用を及ぼすことになり、巨大な外力であっても押しつぶされることなく耐えながら弾性変形することが可能である。
【0019】
図2は、上述のような稜線が相接する位置で反対方向に撓み変形する作用を説明する図である。図2において、トラスコア組立体5は第1のトラスコア1aの第1突起3aの頂点4aと第2のトラスコア1bの第2突起3bの頂点4bとがオフセットとなるように重ね合わされている。そして、第1突起3aの稜線6aと第2突起3bの稜線6bとはほぼ一致し相接している。この状態で、トラスコア組立体5に上下方向の外力Fが加わると、互いに交差する三角錐構造の突起3を有するトラスコア1が上下方向に弾性変形する。これによりトラスコア組立体5は上下方向にΔDだけ圧縮される。このとき、トラスコア1は全体として上記荷重Fを多数の突起3が分散して弾性支持している。これによりトラスコア1を加圧媒体として使用する場合は被加圧体に多少の凹凸があっても、この凹凸を吸収してほぼ均一に圧力伝播せしめる要因となっている。さらに上述の弾性圧縮に伴って、第1突起3aの稜線6aは撓み変形して、元の状態からδ1だけ膨らもうとする。他方、第2突起3bの稜線6bもまた撓み変形して、元の状態からδ2だけ、稜線6aとは反対の方向へ膨らもうとする。第1突起3aと第2突起3bとは同じ材質、同じ形状、同じ寸法であるから、
δ1=δ2
である。これにより稜線6aと稜線6bとは互いに反対側へ同じ力で押し合う(すなわち、せり合う)ことになって釣り合いトラスコア1a、1bの強度を増大させる。また、第1突起3aまたは第2突起3bの高さ寸法にばらつきがあって無荷重状態でトラスコア組立体5の厚さ方向(上下方向)寸法が不均一であった場合は、上記トラスコア1a、1bの面と平行な方向の変位の余裕(すなわち、遊び)により隙間が埋められ、均一性を取り戻させることができる。よってトラスコア組立体5が上下方向の外力を受けて変形する場合、横方向(シート部材の面に対して水平方向)への変位(或いは変形)受け入れることができ、トラスコア組立体5は全体的に平面状態を維持する。さらに上述のような外力に対する抵抗作用が複数の突起3a、3bにおいて現出され、且つ各突起3a、3bについてみれば、その突起3a、3bに加わった外力に対応して弾性変形するから、トラスコア組立体5の押圧面全体にわたって均一な反力を生じることができる。
【0020】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態として上記トラスコア組立体5を用いた加圧マガジンについて説明する。この実施の形態に係る加圧マガジンは、上記第2の実施の形態において説明したトラスコア組立体5を基本構成要素として、これに押え板部材を取り付けて成るものである。図3及び図4はこの第3の実施の形態で用いられる押え板部材8を示す斜視図である。これらの図のうち、図3は押え板部材8の内側面(トラスコア組立体5が配置される側の面)を示す斜視図、図4は押え板部材8の外側面(被加圧物が配置される側の面)を示す斜視図である。上記押え板部材8は図3、図4に示されるように、概略平板形状に成形され、トラスコア組立体5の両面にそれぞれ1枚ずつ、内側面81をトラスコア組立体5に対接させて配置されることにより加圧マガジン7を構成する。この場合、押え板部材8の、トラスコア組立体5に対接する面である内側面81は全体的に平坦面から成り、当該平坦面にトラスコア組立体5を位置決め保持するための突状のガイド811が設けられる。なお、ここでは、突状のガイド811がトラスコア組立体5の外形に合せて四角形の枠状に形成されているが、この形状はトラスコア組立体5の外形に応じて適宜変更されるものである。また、この場合、トラスコア組立体5に対接する面にトラスコア組立体5が嵌合可能な凹部を形成して、この凹部をトラスコア組立体5を位置決め保持するためのガイドとしてもよい。また、トラスコア組立体5の対接面と反対側の面である外側面82は全体的に平坦面から成り、当該平坦面に被加圧物を位置決め保持するための突状のガイド821が設けられる。なお、ここでは、突状のガイド821が被加圧物の外形に合せて一対の略コ字形になっているが、この形状は被加圧物の外形に応じて適宜変更されるものである。また、この場合、被加圧物に対接する面に被加圧物が嵌合可能な凹部を形成して、この凹部を被加圧物を位置決め保持するためのガイドとしてもよい。
【0021】
このようにして構成された加圧マガジンは、例えば加圧装置に使用して、被加圧物の加圧に用いることができる。この場合、加圧装置内に複数の加圧マガジンが並列に配置され、各加圧マガジンの間に被加圧物が挟持される。そして、加圧装置の駆動により、複数の加圧マガジンを介して被加工物を加圧する。
【0022】
この加圧マガジンに用いるトラスコア組立体について実験を行っている。
ここで、サンプルとして実際にトラスコアを2枚作成して上述のように重ね合わせてトラスコア組立体を作製した。上記トラスコアのスペック(寸法関係などの仕様)は下記の通りである。
材質:ポリプロピレン
シート部材の厚さ:約0.1mm(ミリメートル)
突起の高さ:約5mm(ミリメートル)
突起のピッチ(図1参照):約9mm(ミリメートル)
【0023】
このトラスコア組立体を使って従来の加圧装置により被加圧物を加圧した(上述の外力を加えたのと同じ状態)ところ、互いに交差する三角錐構造の突起を有するトラスコアが上下方向に弾性変形した。サンプルの一枚のトラスコアは一辺の長さ約5mmの正三角形の底辺を有し、高さ約5mmの三角錐の突起783個よりなっている。この1対のトラスコアは約2トンの荷重を支持できる。そのときのトラスコアのたわみは0.3−0.4mmで弾性的に復元する。このときのトラスコアの各三角錐の突起のばね定数は約8kg/mmとなり、1枚のパネルのばね定数は6トン/mmとなる。すなわち、トラスコアは全体として大きな荷重を多数の突起が分散して弾性支持している。これによりトラスコアを加圧媒体として使用する場合は被加圧物の多少の凹凸を吸収してほぼ均一に圧力伝播せしめることができる。加圧媒体が均一なばね体とみなせることが加圧装置の媒体としては決定的に重要であり、本発明のトラスコアはこの条件を満たしている。
【0024】
実際に、押え板部材と被加圧物との接触面において、押圧面全体の加圧分布は均一になり、且つその加圧力は約2トンにまで達することができた。また、上記加圧力よりも小さな加圧力で被加圧物を加圧した場合でも、押え板部材と被加圧物との接触面において、押圧面全体の加圧分布は均一になり、被加圧物にとって押圧面全体に均一な加圧作用を受け得ることが明らかになった。また、上記実験によれば、加圧力を下げていっても押圧面全体の加圧分布は均一になっていることが分かった。これは、本発明によるトラスコア組立体が被加圧物に押圧面全体にわたって均一な加圧力を与えることができる点で優れていることの証明である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明では、平面状のシート部材と、このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起とから成り、前記三角錐形状の突起の内部は中空に形成されているトラスコアを2枚、それぞれ突起が設けられた面を対向させ、且つ一方のシート部材の突起の頂点と他方のシート部材の突起の頂点とがオフセットとなるように重ね合わせて成るトラスコア組立体を押え板部材に挟持し、且つ、被加圧物が各押え板部材の間に保持された状態で、各押え板部材を押圧するようにしたから、被加圧物は、押さえ板の押圧面全体にわたって均一な力を受けることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 トラスコア
2 シート部材
20 結合部
3 突起
4 頂点
5 トラスコア組立体
6a 稜線
6b 稜線
7 加圧マガジン
8 押え板部材
81 内側面
811 ガイド
82 外側面
821 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状のシート部材と、
このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起と、
から成るトラスコア。
【請求項2】
前記三角錐形状の突起は、前記シート部材の片面の全体にわたって、鱗繋模様状に配設され、また、突起の内部は中空に形成されていることを特徴とする請求項1記載のトラスコア。
【請求項3】
平面状のシート部材と、このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起とから成り、前記三角錐形状の突起の内部は中空に形成されているトラスコアを2枚、それぞれ突起が設けられた面を対向させ、且つ一方のシート部材の突起の頂点と他方のシート部材の突起の頂点とがオフセットとなるように重ね合わせて成るトラスコア組立体。
【請求項4】
2枚のトラスコアのそれぞれにおいて、前記突起を形成する三角錐は正三角形により形成され、また前記突起は、前記シート部材の片面の全体にわたって、鱗繋模様状に配設されていることを特徴とする請求項3記載のトラスコア組立体。
【請求項5】
2枚のトラスコアは、前記重ね合わせられた状態で接着結合されていることを特徴とする請求項4記載のトラスコア組立体。
【請求項6】
平面状のシート部材と、このシート部材の片面の全体にわたって、当該片面から立ち上がって設けられた複数の三角錐形状の突起とから成り、前記三角錐形状の突起の内部は中空に形成されているトラスコアを2枚、それぞれ突起が設けられた面を対向させ、且つ一方のシート部材の突起の頂点と他方のシート部材の突起の頂点とがオフセットとなるように重ね合わせて成るトラスコア組立体と、
前記トラスコア組立体の両面にそれぞれ対接して配置された複数の平板形状の押え板部材と、
から成る加圧マガジン。
【請求項7】
前記押え板部材の、トラスコア組立体に対接した面は平坦面から成り、前記トラスコア組立体を位置決め保持するためのガイドが設けられ、前記対接面と反対側の面は平坦面から成り、被加圧物を位置決め保持するためのガイドが設けられていることを特徴とする請求項6記載の加圧マガジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245815(P2011−245815A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123767(P2010−123767)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(591117413)株式会社菊池製作所 (33)
【Fターム(参考)】