説明

トラヒック迂回システム及びトラヒック迂回方法

【課題】物理回線を増設することなく、センタの物理回線に割当てられたセッション数の制限を超えた数の拠点とセンタとを通信可能にする。
【解決手段】サービスセンタの管理サーバ5は、セッション数の上限を超えている場合、現在セッションを確立している中から選択した迂回先を、接続を要求した拠点ルータ2bへ通知する。拠点ルータ2bは、通知された迂回先である拠点ルータ2aとのセッションを確立する。また、サービスセンタのセンタルータ4は、拠点ルータ2aとのセッションを切断した後、拠点ルータ2aの使用帯域と拠点ルータ2bの使用帯域の合計帯域によって再びセッションを確立する。この確立されたセッションを用いて、端末1aとサービス提供サーバ6のデータ通信が行なわれるとともに、端末1bとサービス提供サーバ6のデータ通信もまたこの確立されたセッションを迂回して行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラヒック迂回システム及びトラヒック迂回方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センタのサーバが複数の拠点の端末からアクセスされる構成においては、通常、センタは複数の拠点と同時にセッションを確立していた。
また、特許文献1には、セッションが確立されている端末から送信されたパケットを中継する中継装置において、パケットの廃棄を防止するとともに、パケットのスループット効率を向上させる技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−105952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センタと各拠点とを接続する物理回線には、同時に接続可能なセッション数に制限がある。従って、その制限を越える数の拠点とのセッションが発生する場合、拠点とセンタとの間の物理回線自体を増設し、収容セッション数がより多いネットワークサービスに変更する必要がある。そのため、例えば、データバックアップのときのみ多くのセッション数が必要であるなど、セッション数を一時的に増加させる必要がある場合でも、最もセッション数が多いときに合わせたサービスに変更しなければならない。一般的には、収容セッション数が多いサービスほど料金は高くなり、また、物理回線の増設等にもコストがかかるため、最もセッション数が多いときに合わせてサービス変更した場合には、無駄な投資が発生することがある。
特許文献1の技術の場合、接続可能なセッション数自体を増加させるものではない。
【0005】
本発明は、上記のような事情を考慮してなされたものであり、物理回線を増設することなく、センタの物理回線に割当てられたセッション数の制限を超えた数の拠点とセンタとを通信可能にすることができるトラヒック迂回システム及びトラヒック迂回方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、サービス提供装置が接続されたセンタ通信装置と、端末が接続された複数の拠点通信装置とをネットワークを介して接続してなるトラヒック迂回システムであって、迂回元の前記拠点通信装置は、前記センタ通信装置に送信した接続要求に対応して迂回先の通信アドレスを受信し、受信した前記通信アドレスにより特定される迂回先の前記拠点通信装置へセッション確立要求を送信して、前記迂回先の拠点通信装置とのセッションを確立する接続要求部と、該迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記接続要求部によって確立された前記セッションを用いて送受信する迂回元データ通信制御部とを備え、前記迂回先の拠点通信装置は、前記迂回元の拠点通信装置からのセッション確立要求を受信し、前記迂回元の拠点通信装置とのセッションを確立する迂回セッション確立部と、前記センタ通信装置から切断要求を受信し、前記センタ通信装置と確立済みのセッションを切断するセンタ指示切断部と、前記センタ通信装置からセッション確立要求と切断された前記セッションよりも広帯域の使用帯域とを受信し、前記センタ通信装置と受信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域増加再接続部と、該迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域増加再接続部によって確立された前記セッションを用いて送受信するとともに、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記迂回セッション確立部によって確立された前記セッション及び前記帯域増加再接続部によって確立された前記セッションを用いて中継する迂回先データ通信制御部とを備え、前記センタ通信装置は、前記迂回元の拠点通信装置から前記接続要求を受信し、セッションの接続数が上限に達している場合に、セッション確立済みの前記拠点通信装置の中から選択した迂回先の前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する接続指示部と、前記迂回先の拠点通信装置に前記切断要求を送信して前記迂回先の拠点装置との前記セッションを切断した後、前記迂回先の拠点通信装置へセッション確立要求と、切断前よりも広帯域の前記使用帯域とを送信し、前記迂回先の拠点通信装置と送信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域増加セッション確立部と、前記迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータ、及び、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域増加セッション確立部が確立した前記セッションにより送受信するセンタデータ通信制御部とを備える、ことを特徴とするトラヒック迂回システムである。
【0007】
また、本発明は、上述したトラヒック迂回システムにおいて、前記接続要求部は、要求する使用帯域を前記拠点通信装置へ送信し、前記帯域増加セッション確立部は、切断した確立済みの前記セッションが使用していた帯域と、前記迂回元の拠点通信装置から受信した前記使用帯域との合計の使用帯域を前記迂回先の拠点通信装置へ送信する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述したトラヒック迂回システムにおいて、前記センタ通信装置は、前記拠点通信装置とのセッションの上限の使用帯域、及び、前記拠点通信装置と確立済みの前記セッションの使用帯域を示す接続拠点管理テーブルを記憶する記憶部と、前記接続拠点管理テーブルを参照し、前記上限の使用帯域から確立済みの前記セッションの使用帯域を減算した空き帯域が、前記迂回元の拠点通信装置から受信した前記要求する使用帯域以上である前記拠点通信装置を選択する接続先選択部とをさらに備え、前記接続指示部は、前記接続先選択部によって選択された前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述したトラヒック迂回システムにおいて、前記センタ通信装置は、使用帯域に対応した料金を示す料金管理テーブル、及び、前記拠点通信装置と確立済みの前記セッションの使用帯域を記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出した前記拠点通信装置それぞれの使用帯域と、前記迂回元の拠点通信装置から受信した前記要求する使用帯域との合計の帯域を算出し、算出した前記合計の帯域それぞれに対応した料金を前記料金管理テーブルから読み出し、読み出した料金が最も安い前記拠点通信装置を選択する接続先選択部とをさらに備え、前記接続指示部は、前記接続先選択部によって選択された前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述したトラヒック迂回システムにおいて、前記センタ通信装置は、前記拠点通信装置の間の距離の情報を記憶する記憶部と、セッション確立済みの前記拠点通信装置の中から、前記記憶部を参照して、前記迂回元の拠点通信装置と最も距離が近い前記拠点通信装置を選択する接続先選択部とをさらに備え、前記接続指示部は、前記接続先選択部によって選択された前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述したトラヒック迂回システムにおいて、前記迂回元の拠点通信装置は、前記迂回先の拠点通信装置へ切断要求を送信し、前記迂回先の拠点通信装置との前記セッションを切断する迂回先切断要求部と、前記センタ通信装置へ前記迂回先の拠点通信装置との接続切断を通知する迂回先切断通知部とをさらに備え、前記迂回先の拠点通信装置は、前記迂回元の前記拠点通信装置から前記切断要求を受信し、前記迂回元の拠点通信装置との前記セッションを切断する迂回元切断部と、前記センタ通信装置から前記セッション確立要求と切断された前記セッションよりも狭帯域の使用帯域とを受信し、前記センタ通信装置と受信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域減少再接続部とを備え、前記迂回先データ通信制御部は、前記迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域減少再接続部によって確立された前記セッションを用いて送受信し、前記センタ通信装置は、前記迂回元の拠点通信装置から前記接続切断の通知を受信し、前記迂回先の拠点通信装置へ切断指示を送信して該迂回先の拠点通信装置との前記セッションを切断した後、前記迂回先の拠点通信装置へセッション確立要求と、切断された前記セッションよりも狭帯域の使用帯域とを送信し、前記迂回先の拠点通信装置と送信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域減少セッション確立部とをさらに備え、前記センタデータ通信制御部は、前記迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域減少セッション確立部が確立した前記セッションにより送受信する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述したトラヒック迂回システムにおいて、前記センタ通信装置へ切断要求を送信し、前記センタ通信装置との前記セッションを切断する切断要求部をさらに備え、前記センタ通信装置は、前記迂回先の拠点通信装置から前記切断要求を受信し、前記迂回先の拠点通信装置との前記セッションを切断するとともに前記迂回元の拠点通信装置へ接続切断要求を送信する迂回先切断指示部と、前記迂回元の拠点通信装置にセッション確立要求を送信し、前記迂回元の拠点通信装置とのセッションを確立する再接続確立部とを備え、前記センタデータ通信制御部は、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを前記再接続確立部が確立した前記セッションにより送受信し、前記迂回元の拠点通信装置は、前記センタ通信装置から前記接続切断要求を受信し、前記迂回先の拠点通信装置とのセッションを切断する迂回先切断部と、前記センタ通信装置から前記セッション確立要求を送信し、前記センタ通信装置とのセッションを確立する再接続部とを備え、前記迂回元データ通信制御部は、該迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを前記再接続部によって確立された前記セッションを用いて送受信する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、サービス提供装置が接続されたセンタ通信装置と、端末が接続された複数の拠点通信装置とをネットワークを介して接続してなるトラヒック迂回システムに用いられるトラヒック迂回方法であって、迂回元の前記拠点通信装置において、接続要求部が、前記センタ通信装置に接続要求を送信する接続要求過程と、前記センタ通信装置において、接続指示部が、前記迂回元の拠点通信装置から前記接続要求を受信し、セッションの接続数が上限に達している場合に、セッション確立済みの前記拠点通信装置の中から選択した迂回先の前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する接続指示過程と、迂回元の前記拠点通信装置において、前記接続要求部が、前記センタ通信装置から受信した前記通信アドレスにより特定される迂回先の前記拠点通信装置へセッション確立要求を送信して、前記迂回先の拠点通信装置とのセッションを確立する接続要求過程と、前記迂回先の拠点通信装置において、迂回セッション確立部が、前記迂回元の拠点通信装置からのセッション確立要求を受信し、前記迂回元の拠点通信装置とのセッションを確立する迂回セッション確立過程と、前記センタ通信装置において、帯域増加セッション確立部が、前記迂回先の拠点通信装置に切断指示を送信して前記迂回先の拠点装置とのセッションを切断する切断指示過程と、前記迂回先の拠点通信装置において、センタ指示切断部が、前記センタ通信装置から前記切断指示を受信し、前記センタ通信装置と確立済みの前記セッションを切断するセンタ指示切断過程と、前記センタ通信装置において、前記帯域増加セッション確立部が、前記迂回先の拠点通信装置へセッション確立要求と、切断された前記セッションよりも広帯域の使用帯域とを送信し、前記迂回先の拠点通信装置と送信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域増加セッション確立過程と、前記迂回先の拠点通信装置において、帯域増加再接続部が、前記センタ通信装置から前記セッション確立要求と前記使用帯域とを受信し、前記センタ通信装置と受信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域増加再接続過程と、前記迂回元の拠点通信装置において、迂回元データ通信制御部が、該迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記接続要求過程において確立された前記セッションを用いて送受信する迂回元データ通信制御過程と、前記迂回先の拠点通信装置において、迂回先データ通信制御部が、該迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域増加再接続過程において確立された前記セッションを用いて送受信するとともに、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記迂回セッション確立過程において確立された前記セッション及び前記帯域増加再接続過程において確立された前記セッションを用いて中継する迂回先データ通信制御過程と、前記センタ通信装置において、センタデータ通信制御部が、前記迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータ、及び、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域増加セッション確立過程において確立した前記セッションにより送受信するセンタデータ通信制御過程と、を有することを特徴とするトラヒック迂回方法である。
【発明の効果】
【0014】
上記構成によれば、物理回線を増設することなく、物理回線に割当てられたセッション数の制限を超えた数の拠点とセンタとを通信可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態を説明するためトラヒック迂回システムの全体構成図である。
【図2】同実施の形態による拠点ルータの構成を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態によるセンタルータの構成を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態による管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図5】同実施の形態によるルーチング設定情報のデータ構成を示す図である。
【図6】同実施の形態による接続拠点管理テーブルのデータ構成を示す図である。
【図7】同実施の形態による料金管理テーブルのデータ構成を示す図である。
【図8】同実施の形態による拠点間距離管理テーブルのデータ構成を示す図である。
【図9】同実施の形態による迂回シーケンスを示す図である。
【図10】同実施の形態による迂回シーケンスを示す図である。
【図11】同実施の形態による迂回元切断のシーケンスを示す図である。
【図12】同実施の形態による迂回先切断のシーケンスを示す図である。
【図13】ルーチング設定情報の設定例を示す図である。
【図14】ルーチング設定情報の設定例を示す図である。
【図15】接続拠点管理テーブルの設定例を示す図である。
【図16】接続拠点管理テーブルの設定例を示す図である。
【図17】接続拠点管理テーブルの設定例を示す図である。
【図18】接続要求の設定内容を示す図である。
【図19】接続要求応答の設定内容を示す図である。
【図20】接続切断通知の設定内容を示す図である。
【図21】接続切断通知応答の設定内容を示す図である。
【図22】接続切断要求の設定内容を示す図である。
【図23】接続切断要求応答の設定内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態を説明するためのトラヒック迂回システムの全体構成図である。図1において、例えば、NGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)などのIP(Internet Protocol)網であるネットワークNには、各拠点の拠点ルータ2、サービスセンタのセンタルータ4、及び、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ3が接続されている。各拠点の拠点ルータ2には、1台以上の端末1が接続され、サービスセンタのセンタルータ4には、セッションの管理を行なう管理サーバ5と、端末1に対してアプリケーションサービスなどを提供するサービス提供サーバ6が接続される。端末1は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータ端末である。また、SIPサーバ3は、SIPメッセージ内に設定されている宛先のアドレスを実IPアドレスに変換することによって、SIPメッセージを中継する。SIPとは、IETF(Internet Engineering Task Force)によって標準化されたセッション制御プロトコルであり、IP電話などのセッションの開始、変更、終了などの操作に用いられる。なお、SIPセッションの確立時には、データ通信の使用帯域を指定することができる。
【0017】
図1に示すトラヒック迂回システムにおいて、サービスセンタ(以下、単に「センタ」とも記載する)に収容されるセンタ回線には、全拠点との間で確立するSIPセッション数の制限がある。そのため、センタ接続を要求する拠点ルータ2の数が、センタ回線のSIPセッション数の上限よりも多くなってしまった場合、サービスセンタとの間でセッションを確立することはできない。そこで、本実施の形態においては、上限を超えた拠点については、現在サービスセンタとのセッションが確立されている他の拠点の拠点ルータ2を迂回して接続する。これにより、センタ接続を要求する拠点ルータ2の数が、センタ回線が許容するSIPセッション数を超える場合であっても、センタ側の物理回線を増やすことなく、サービスセンタへの接続を可能にする。
【0018】
以下、サービスセンタとセッションを確立している他の拠点ルータ2とセッションを確立し、この他の拠点ルータ2においてセッションを迂回させる拠点ルータ2を迂回元拠点ルータまたは迂回元の拠点ルータ2と記載し、迂回元拠点ルータとサービスセンタの間のセッションの迂回を行なう他の拠点ルータ2を迂回先拠点ルータまたは迂回先の拠点ルータ2と記載する。
また、各拠点の端末1、及び、拠点ルータ2を、拠点に対応した符号を付加することによって表す。例えば、拠点Aの端末1、拠点ルータ2をそれぞれ端末1a、拠点ルータ2aと記載し、拠点Bの端末1、拠点ルータ2をそれぞれ端末1b、拠点ルータ2bと記載する。
【0019】
図2は、拠点通信装置としての拠点ルータ2の内部構成を示す機能ブロック図である。
同図において、拠点ルータ2は、通信インタフェース部22、セッション制御部24、記憶部26、及び、データ通信制御部28を備えて構成される。
【0020】
通信インタフェース部22は、ネットワークNを介したデータの送受信を行なう。セッション制御部24は、SIPによるセッション制御を行なう。記憶部26は、IPsecに用いられるルーチング設定情報を記憶する。データ通信制御部28は、記憶部26に記憶されているルーチング設定情報を用いて、IPsecによるデータ通信制御を行なうとともに、セッションの確立や切断に伴って、記憶部26に記憶されているルーチング設定情報を書き換える。
【0021】
セッション制御部24は、接続要求部241、迂回先切断要求部242、迂回先切断通知部243、迂回先切断部244、再接続部245、迂回セッション確立部246、センタ指示切断部247、帯域増加再接続部248、迂回元切断部249、切断要求部250、及び、帯域減少再接続部251を備える。
【0022】
接続要求部241は、管理サーバ5へ接続要求を送信し、センタルータ4または迂回先拠点ルータとのセッションを確立する。迂回先切断要求部242は、自拠点ルータ2が迂回元拠点ルータであり、かつ、データ通信が終了した場合に、迂回先拠点ルータへセッションの切断を要求する。迂回先切断通知部243は、迂回先拠点ルータとのセッションを切断したことを管理サーバ5へ通知する。迂回先切断部244は、迂回先拠点ルータとセンタルータ4とのセッションを切断した旨の通知を管理サーバ5から受信し、この迂回先拠点ルータとのセッションを切断する。再接続部245は、迂回先拠点ルータがセンタルータ4とのセッションを切断した旨の通知を管理サーバ5から受信し、センタルータ4と直接セッションを確立する。
【0023】
迂回セッション確立部246は、センタルータ4とのセッションが確立されているときに迂回元拠点ルータから呼接続要求(セッション確立要求)を受信し、この迂回元拠点ルータとのセッションを確立する。センタ指示切断部247は、センタルータ4とのセッションを切断する。帯域増加再接続部248は、センタ指示切断部247によってセンタルータ4とのセッションが切断されたのち、センタルータ4からの指示に従い、迂回元拠点ルータの使用帯域分増加した帯域のセッションをセンタルータ4との間で再確立する。迂回元切断部249は、自拠点ルータ2が迂回先拠点ルータであり、かつ、迂回元拠点ルータから切断要求を受信した場合、迂回元拠点ルータとのセッションを切断する。切断要求部250は、自拠点ルータ2が迂回先拠点ルータであり、かつ、データ通信を終了した場合に、センタルータ4へセッションの切断を要求する。帯域減少再接続部251は、センタ指示切断部247によってセンタルータ4とのセッションが切断されたのち、センタルータ4からの指示に従い、迂回元拠点ルータの使用帯域分減少した帯域のセッションをセンタルータ4との間で再確立する。
【0024】
以下、各拠点の端末1内の機能ブロックを、拠点に対応した符号を付加することによって表す。例えば、拠点Aの拠点ルータ2aの記憶部26を記憶部26aと記載し、拠点Bの拠点ルータ2bの記憶部26を記憶部26bと記載する。
【0025】
次にセンタ通信装置としてのセンタルータ4及び管理サーバ5の構成について説明する。
図3は、センタルータ4の内部構成を示す機能ブロック図である。同図において、センタルータ4は、通信インタフェース部42、セッション制御部44、記憶部46、及び、データ通信制御部48を備えて構成される。
【0026】
通信インタフェース部42は、ネットワークNを介したデータの送受信を行なう。セッション制御部44は、SIPを用いたセッション制御を行なう。記憶部46は、IPsecに用いられるルーチング設定情報を記憶する。データ通信制御部48は、記憶部46に記憶されているルーチング設定情報を用いて、IPsecによるデータ通信制御を行なうとともに、セッションの確立及び切断に伴って、記憶部46に記憶されているルーチング設定情報を書き換える。
【0027】
セッション制御部44は、接続確立部441、帯域増加セッション確立部442、帯域減少セッション確立部443、再接続確立部444、及び、切断部445を備える。
接続確立部441は、管理サーバ5からの指示を受け、拠点ルータ2とのセッションを確立する。帯域増加セッション確立部442は、管理サーバ5からの指示を受け、迂回先拠点ルータとのセッションを一旦切断したのち、切断前の使用帯域と、迂回元拠点ルータが要求した使用帯域との合計帯域によって、迂回先拠点ルータとのセッションを再確立する。帯域減少セッション確立部443は、管理サーバ5からの指示を受け、迂回先拠点ルータとのセッションを一旦切断したのち、切断前の使用帯域から、迂回元拠点ルータの使用帯域を減算した帯域によって、迂回先拠点ルータとのセッションを再確立する。再接続確立部444は、迂回先拠点ルータとのセッションを切断した迂回元拠点ルータとのセッションを確立する。切断部445は、迂回先拠点ルータから切断要求を受け、セッションを切断する。
【0028】
図4は、管理サーバ5の内部構成を示す機能ブロック図である。同図において、管理サーバ5は、通信インタフェース部52、セッション指示部54、及び、記憶部56を備えて構成される。
【0029】
通信インタフェース部52は、ネットワークNを介したデータの送受信を行なう。セッション指示部54は、センタルータ4や拠点ルータ2へセッション制御を指示する。記憶部56は、各拠点に割当てられている上限の使用帯域、センタと各拠点間で現在確立されているセッション数、現在確立されているセッションそれぞれの使用帯域、各セッションの使用帯域のうち迂回元の拠点及び迂回先の拠点の使用帯域、各拠点間の距離、ならびに、使用帯域に応じた料金の情報を記憶している。
【0030】
セッション指示部54は、接続指示部541、接続先選択部542、再接続指示部543、セッション管理部544、及び、迂回先切断指示部545を備える。
接続指示部541は、拠点ルータ2から接続要求を受信し、現在センタルータ4が確立しているセッション数が上限を超えていなければ接続要求送信元の拠点ルータ2への接続指示をセンタルータ4に送信し、越えていれば迂回先拠点ルータのアドレスを接続要求送信元の拠点ルータ2へ送信する。接続先選択部542は、記憶部56に記憶されている情報から得られる空き帯域、拠点間の距離、使用帯域に応じた料金に基づいて迂回先拠点ルータを選択する。再接続指示部543は、各セッションの使用帯域変更のため、センタルータ4へ再接続を指示する。セッション管理部544は、各拠点の拠点ルータ2との間で確立されているセッションと、その使用帯域を管理する。迂回先切断指示部545は、迂回先拠点ルータがセンタルータ4とのセッションを切断した旨の通知を受信し、迂回元拠点ルータへ迂回先拠点ルータとの切断を指示する。
【0031】
図5は、拠点ルータ2の記憶部26、センタルータ4の記憶部46に記憶されるルーチング設定情報の構成例を示す図である。
本実施の形態において、拠点ルータ2とセンタルータ4の間、異なる拠点の拠点ルータ2間における送信データには、IPsecが適用される。IPsecでは、IPパケットをカプセル化し、このカプセル化されたIPパケットに新たなIPヘッダを付加する。以下では、カプセル化されたIPパケットにIPヘッダを付加して生成したIPパケットを「IPsecパケット」と記載する。一般的には、IPsecパケットにカプセル化されるIPパケットは暗号化されるため、IPsecパケットからカプセル化を解除してIPパケットを取得するデカプセル化を行う際には、復号が行われる。この暗号化と復号に用いられる鍵は、IPsecトンネルが確立されているノード間の通信によって生成、更新される。
【0032】
同図に示すように、ルーチング設定情報は、IPsecパケット、つまり、送信データの宛先IPアドレス、及び、差出IPアドレスと、IPsecパケットにカプセル化されるIPパケットの送信先ローカルアドレス、及び、送信元ローカルアドレスと、IPsec識別子とを対応付けたレコードからなる。
本実施の形態において、IPsecパケット内にカプセル化される対象は、端末1とサービス提供サーバ6との間で送受信されるデータを設定したIPパケットである。よって、カプセル化されたIPパケットの送信先・送信元アドレスには、端末1のローカルアドレスやサービス提供サーバ6のローカルアドレスが設定される。一方、IPsecパケットに設定される宛先IPアドレス、差出IPアドレスには、IPsecトンネルを確立している拠点ルータ2やセンタルータ4のNGN IPアドレスとなる。
なお、送信元ローカルアドレスについては省略してもよい。この場合、カプセル化対象のIPパケットの送信先ローカルアドレスのみによって、IPsec対象であるか否かを判断する。
【0033】
図6は、管理サーバ5の記憶部56に記憶される接続拠点管理テーブルの構成例を示す図である。
同図において、接続拠点管理テーブルの各レコードはそれぞれ1つのセッションに対応しており、接続拠点管理テーブルのレコード数が、管理サーバ5において管理している現在接続中のセッションの数を表す。接続拠点管理テーブルの各レコードは、現在確立されているセッションの接続元、接続先、及び、接続元を迂回先としてセッションを確立している迂回元を示す迂回接続接続元と、該セッションの上限の使用帯域を示す上限帯域と、接続元が要求した使用帯域である接続帯域と、迂回接続接続元が要求した使用帯域である迂回接続帯域と、該セッションの合計接続帯域とを対応づけた情報からなる。なお、複数の迂回元が1つの迂回先を迂回する可能性があるため、迂回接続接続元及び迂回接続帯域の組は複数含まれ、迂回接続接続元(i)が要求した使用帯域が迂回接続帯域(i)である(iは1以上の整数)。
同図の最初のレコードでは、接続元が「拠点A」の拠点ルータ2aであり、接続先が「センタ」のセンタルータ4であるセッションについては、データ通信の上限帯域が「15[Mbps]」であること、接続元の拠点ルータ2aから接続帯域「10[Mbps]」が要求されてセッションが確立され、現在は合計接続帯域「10[Mbps]」を使用していることを示している。また、迂回接続接続元及び迂回接続帯域が設定されておらず、現在接続元「拠点A」の拠点ルータ2aを迂回先として接続している他の拠点ルータ2はないことを示している。
【0034】
図7は、管理サーバ5の記憶部56に記憶される料金管理テーブルの構成例を示す図である。同図に示すように、料金管理テーブルは、データ通信の使用帯域と料金とを対応づけたレコードからなる。
【0035】
図8は、管理サーバ5の記憶部56に記憶される拠点間距離管理テーブルの構成例を示す図である。拠点間距離管理テーブルは、各拠点間の距離を示すテーブルである。同図においては、拠点A〜拠点Cがある場合について示しており、距離の単位については省略している。
【0036】
次に、トラヒック迂回システムの動作について説明する。
ここでは、迂回先拠点ルータを拠点Aの拠点ルータ2、迂回元拠点ルータを拠点Bの拠点ルータ2である場合を例として説明する。
また、サービスセンタのセンタルータ4のNGN IPアドレスを「1.1.1.1」、管理サーバ5のNGN IPアドレスを「1.1.1.2」、サービス提供サーバ6のローカルアドレスを「10.1.1.1」とし、拠点Aの端末1aのローカルアドレスを「10.1.3.1」、拠点ルータ2aのNGN IPアドレスを「1.1.1.3」とし、拠点Bの端末1bのローカルアドレスを「10.1.4.1」、拠点ルータ2bのNGN IPアドレスを「1.1.1.4」とする。
【0037】
なお、信号名に付加して対応するSIPメッセージ名を[]内に記載する。ただし、標準に規定されていない独自のSIPメッセージの場合、[独自メッセージ]と記載する。また、SIPセッションに関するパラメータを(SIP用)と記載し、データ通信に関するパラメータを(データ通信用)と記載する。
なお、SIPの[200OK]メッセージは、要求に対する処理が成功した旨の応答であり、要求の種類を問わず、処理成功時に返送される。
【0038】
図9及び図10は、迂回制御シーケンスを示す図である。
まず図9において、拠点Aの拠点ルータ2aが端末1aからの接続要求を受信したり、拠点ルータ2aにセッションの確立を指示するコマンドが入力されたりした場合、接続要求部241aは、サービスセンタの回線番号を宛先として接続要求[独自メッセージ]を送信する(ステップS110)。接続要求には、拠点Aの回線番号(SIP用)、拠点Aの通信種別(SIP用)、拠点Aの使用帯域(SIP用)が設定される。接続要求は、SIPのINVITEメッセージと同様のパラメータを用いることができるため、拠点ルータ2aのNGN アドレス(データ通信用)、拠点ルータ2aの通信種別(データ通信用)が設定されうる。SIPサーバ3は、接続要求の宛先に設定されているサービスセンタの回線番号を管理サーバ5の実IPアドレスに変換して送信する(ステップS115)。
【0039】
管理サーバ5の接続指示部541は、記憶部56に記憶されている接続拠点管理テーブル内のレコード数を各拠点との現在のセッション確立数として取得し、現在のセッション確立数に1を加算したセッション数がセンタ回線について予め決められた上限以下である場合、接続可能と判断する。接続可能と判断した場合、接続指示部541は、センタルータ4へ拠点Aとの接続指示を送信する(ステップS120)。この接続指示には、ステップS115において受信した接続要求に設定されている拠点Aの回線番号、通信種別、及び、使用帯域が設定される。
【0040】
センタルータ4の接続確立部441は、管理サーバ5から拠点Aとの接続指示を受信すると、拠点Aの回線番号を宛先として呼接続要求[INVITE]を送信する(ステップS125)。呼接続要求には、サービスセンタの回線番号(SIP用)、拠点Aの通信種別(SIP用)、拠点Aの使用帯域(SIP用)、センタルータ4のNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、センタルータ4の通信種別(データ通信用)が設定される。拠点Aの回線番号、通信種別、及び、使用帯域は、管理サーバ5から受信した拠点Aとの接続指示から取得する。SIPサーバ3は、呼接続要求の宛先に設定されている拠点Aの回線番号を拠点ルータ2aのNGN IPアドレスに変換して送信する(ステップS130)。
【0041】
なお、SIPサーバ3は、全てのSIPメッセージについて、SIPメッセージに設定されている宛先の回線番号を実アドレスであるNGN IPアドレスに変換して中継するが、以降この中継手順についてはシーケンス図中のみに示し、記載を省略する。SIPサーバ3は、拠点Aの回線番号を拠点ルータ2aのNGN IPアドレスに、拠点Bの回線番号を拠点ルータ2bのNGN IPアドレスに変換する。また、サービスセンタの回線番号はセンタルータ4のNGN IPアドレスに変換するが、独自メッセージの場合は管理サーバ5のNGN IPアドレスに変換する。
【0042】
拠点ルータ2aの接続要求部241aは、センタルータ4からの呼接続要求を受信すると、サービスセンタの回線番号を宛先として接続応答[200OK]を返送する(ステップS135、S140)。接続応答には、拠点ルータ2aのNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、拠点ルータ2aの通信種別(データ通信用)が設定される。センタルータ4の接続確立部441は、拠点ルータ2aからの接続応答を受信し、受信確認[ACK]を返送する(ステップS145、S150)。
【0043】
拠点ルータ2aの接続要求部241aがセンタルータ4からの受信確認を受信すると、拠点ルータ2aとセンタルータ4の間でIPsecトンネルを確立する(ステップS155)。拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、センタルータ4のデータ通信制御部48との間で、IPsecの標準のプロトコルに従って、利用する暗号/認証アルゴリズム等のパラメータの調整を行う。これにより、拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、予め記憶しているか、端末1aから受信した接続要求より取得した端末1aのローカルアドレスをセンタルータ4に送信し、センタルータ4のデータ通信制御部48は、予め記憶しているサービス提供サーバ6のローカルアドレスを拠点ルータ2aに送信する。拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、記憶部26aのルーチング設定情報を、センタルータ4のデータ通信制御部48は、記憶部46のルーチング設定情報を更新する。
【0044】
図13は、ステップS155におけるルーチング設定情報の設定内容を示す図である。図13(a)は、拠点ルータ2aに記憶されるルーチング設定情報の設定内容を、図13(b)は、センタルータ4に記憶されるルーチング設定情報の設定内容を示す。
図13(a)に示すように、拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、ルーチング設定情報にレコードを追加すると、送信データの宛先IPアドレスにステップS130において受信した呼接続要求から取得したセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」を、送信データの差出IPアドレスにステップS135において送信した接続応答に設定した拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」を、送信先ローカルアドレスにセンタルータ4のデータ通信制御部48から受信したサービス提供サーバ6のローカルアドレス「10.1.1.1」を、送信元ローカルアドレスに端末1aのローカルアドレス「10.1.3.1」を設定する。また、IPsec識別子に、割当てた「100」を設定する。
一方、図13(b)に示すように、センタルータ4のデータ通信制御部48は、ルーチング設定情報にレコードを追加すると、送信データの宛先IPアドレスにステップS140において受信した接続応答から取得した拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」を、送信データの差出IPアドレスにステップS125において送信した呼接続要求に設定したセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」を、送信先ローカルアドレスに拠点ルータ2aデータ通信制御部28aから受信した端末1aのローカルアドレス「10.1.3.1」を、送信元ローカルアドレスにサービス提供サーバ6のローカルアドレス「10.1.1.1」を設定する。また、IPsec識別子に、割当てた「100」を設定する。
【0045】
また、図9において、センタルータ4の接続確立部441は、拠点Aとの接続完了通知を管理サーバ5に送信する(ステップS160)。管理サーバ5のセッション管理部544は、拠点Aとの接続完了通知を受信すると、接続拠点管理テーブルを更新する。更新後の接続拠点管理テーブルの設定内容は図6に示したものとなる。具体的には、まず、管理サーバ5のセッション管理部544は、記憶部56から拠点Aの上限の接続帯域を読み出すとともに、記憶部56に記憶されている接続拠点管理テーブルにレコードを追加する。そして、追加したレコードに、接続元「拠点A」、接続先「センタ」を書き込み、さらに、上限帯域に記憶部56から読み出した拠点Aの上限の使用帯域「15[Mbps]」を、接続帯域及び合計帯域にステップS120において送信した拠点Aとの接続指示に設定した使用帯域「10[Mbps]」を書き込む。
【0046】
図9において、端末1aとサービス提供サーバ6との間では、ステップS155において確立されたIPsecトンネルを利用したデータ通信を行う(ステップS165)。つまり、端末1aは、宛先IPアドレスにサービス提供サーバ6のローカルIPアドレス「10.1.1.1」を、差出IPアドレスに端末1aのIPアドレス「10.1.3.1」を設定した送信データを送信する。拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、記憶部26aに記憶されているルーチング設定情報を検索し、送信先ローカルアドレス及び送信元ローカルアドレス欄の情報が、端末1aから受信した送信データに設定されている宛先IPアドレス及び差出IPアドレスと一致するレコードを検出する。データ通信制御部28aは、受信した送信データを、検出したレコードにおける送信データの宛先IPアドレス及び送信データの差出IPアドレスに基づいてIPsecパケットにカプセル化し、検出したルーチング設定情報のレコードから読み出した宛先IPアドレス及び差出IPアドレス、ならびに、IPsec識別子を付加して送信する。これによって、宛先IPアドレスにセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」が、差出IPアドレスに拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」が、IPsec識別子に「100」が設定され、センタルータ4へ送信される。センタルータ4のデータ通信制御部48は、受信したIPsecパケットから送信データをデカプセル化して送信する。これにより、送信データがサービス提供サーバ6にルーチングされる。
【0047】
一方、サービス提供サーバ6は、宛先IPアドレスに端末1aのローカルIPアドレス「10.1.3.1」を、差出IPアドレスにサービス提供サーバ6のIPアドレス「10.1.1.1」を設定した送信データを送信する。センタルータ4のデータ通信制御部48は、記憶部46に記憶されているルーチング設定情報を検索し、送信先ローカルアドレス及び送信元ローカルアドレス欄の情報が、サービス提供サーバ6から受信した送信データに設定されている宛先IPアドレス及び差出IPアドレスと一致するレコードを検出する。データ通信制御部48は、受信した送信データを、検出したレコードにおける送信データの宛先IPアドレス及び送信データの差出IPアドレスに基づいてIPsecパケットにカプセル化し、検出したルーチング設定情報のレコードから読み出した宛先IPアドレス及び差出IPアドレス、ならびに、IPsec識別子を付加して送信する。これによって、宛先IPアドレスに拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」が、差出IPアドレスにセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」が、IPsec識別子に「100」が設定され、拠点ルータ2aへ送信される。拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、受信したIPsecパケットから送信データをデカプセル化して送信する。これにより、送信データが端末1aにルーチングされる。
【0048】
図10において、図9に記載の手順によって確立されたセッションを用いて拠点Aの端末1aとサービスセンタのサービス提供サーバ6との間でデータ通信が行われている(ステップS210)。このとき、拠点Bの拠点ルータ2bにおいて、端末1bからの接続要求を受信したり、センタルータ4とのセッションの確立を指示するコマンドが入力されたりした場合、接続要求部241bは、サービスセンタの回線番号を宛先として接続要求[独自メッセージ]を送信する(ステップS215、S220)。接続要求には、拠点Bの回線番号(SIP用)、拠点Bの通信種別(SIP用)、拠点Bの使用帯域(SIP用)、拠点ルータ2bのNGNアドレス(データ通信用)及び、拠点ルータ2bの通信種別(データ通信用)が設定される。
【0049】
管理サーバ5の接続指示部541は、拠点ルータ2bからの接続要求を受信すると、記憶部56に記憶されている接続拠点管理テーブル内のレコード数を各拠点との現在のセッション確立数として取得し、現在のセッション確立数に1を加算したセッション数がセンタ回線について予め決められた上限を超えている場合、迂回が必要であると判断する。接続指示部541によって迂回が必要と判断された場合、接続先選択部542は、記憶部56に記憶されている接続拠点管理テーブルを参照し、接続帯域が0ではない拠点、すなわち、現在セッション確立中の拠点を迂回先の拠点として決定する。接続帯域が0ではない拠点が複数ある場合、接続先選択部542は、特定した拠点の中から1つを選択する。選択の手順については後述するが、拠点Aが迂回先として選択された場合を例に説明する(ステップS225)。
【0050】
管理サーバ5の接続指示部541は、接続先選択部542が選択した迂回先拠点である拠点Aへの迂回を指示する接続要求応答[独自メッセージ]を拠点Bの回線番号を宛先として返送する(ステップS230、S235)。接続要求応答には、拠点Aの回線番号(SIP用)が設定される。
【0051】
拠点ルータ2bの接続要求部241bは、管理サーバ5からの接続要求応答を受信すると、接続要求応答に設定されている拠点Aの回線番号を宛先として呼接続要求[INVITE]を送信する(ステップS240、S245)。呼接続要求には、拠点Bの回線番号(SIP用)、拠点Bの通信種別(SIP用)、拠点Bの使用帯域(SIP用)、拠点ルータ2bのNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、拠点ルータ2bの通信種別(データ通信用)が設定される。使用帯域は、ステップS215において送信した接続要求内の使用帯域と同じである。
【0052】
拠点ルータ2aの迂回セッション確立部246aは、拠点ルータ2bからの呼接続要求を受信すると、接続応答[200OK]を拠点Bの回線番号を宛先として返送する(ステップS250、S255)。接続応答には、拠点ルータ2aのNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、拠点ルータ2aの通信種別(データ通信用)が設定される。拠点ルータ2bの接続要求部241bは、接続応答を受信すると、受信確認[ACK]を返送する(ステップS260、S265)。
【0053】
一方、管理サーバ5の再接続指示部543は、センタルータ4へ拠点Aとの再接続指示を送信する(ステップS280)。なお、ステップS230の接続要求の送信と、ステップS280の再接続指示の送信は、非同期により行なわれる。ステップS280において送信された再接続指示には、迂回先接続拠点として選択された拠点Aの回線番号、通信種別、及び、使用帯域、ならびに、拠点Bの回線番号が設定される。使用帯域は、接続元「拠点A」、接続先「センタ」が設定されている接続拠点管理テーブル(図6)のレコードから読み出した接続帯域と、ステップS220において拠点Bの拠点ルータ2bから受信した接続要求に設定されている使用帯域とを加算した帯域である。同時に、セッション管理部544は、拠点Aとの再接続のために、拠点Aとの接続完了通知を受信するまでセッションの予約を行なう。これは、拠点Aとの再接続手順においては、まず、拠点Aとのセッションを一時的に切断した(後述するステップS285〜S300)後に、拠点Aとの再接続指示によって指示した使用帯域によるセッション確立を行なうが、セッションが一時切断されている間に、意図しない他の拠点の拠点ルータ2から接続要求を受信しても接続を許可しないようにするためである。そこで、セッションの一時的な切断の間も、接続拠点管理テーブルから拠点Aが接続元となっているレコードは削除せず、セッション確立数を維持する。なお、セッションの予約が行なわれている間に管理サーバ5が他の拠点の拠点ルータ2から接続要求を受信した場合、接続指示部541は[400Error]などを返送する。
【0054】
センタルータ4の帯域増加セッション確立部442は、管理サーバ5から拠点Aとの再接続指示を受信すると、拠点Aの回線番号を宛先として切断要求[BYE]を送信する(ステップS285、S290)。切断要求には、独自パラメータとして、迂回元の拠点Bの回線番号が設定される。拠点ルータ2aのセンタ指示切断部247aは、センタルータ4から切断要求を受信すると、切断応答[200OK]を返送する(ステップS295、S300)。
【0055】
センタルータ4の帯域増加セッション確立部442は、拠点ルータ2aからの切断応答を受信すると、拠点Aの回線番号を宛先として呼接続要求[INVITE]を送信する(ステップ305、S310)。呼接続要求には、サービスセンタの回線番号(SIP用)、サービスセンタの通信種別(SIP用)、サービスセンタの使用帯域(SIP用)、センタルータ4のNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、センタルータ4の通信種別(データ通信用)が設定される。サービスセンタの使用帯域は、ステップS280において管理サーバ5から受信した拠点Aとの再接続指示に設定されている使用帯域とする。
【0056】
拠点ルータ2aの帯域増加再接続部248aは、センタルータ4からの呼接続要求を受信すると、接続応答[200OK]を返送する(ステップS315、S320)。接続応答には、拠点ルータ2aのNGN IPアドレス(データ通信用)及び拠点ルータ2aの通信種別(データ通信用)が設定される。センタルータ4の帯域増加セッション確立部442は、拠点ルータ2aから接続応答を受信すると、受信確認[ACK]を返送する(ステップS325、S330)。
【0057】
拠点ルータ2aの帯域増加再接続部248aがセンタルータ4からの受信確認を受信すると、IPsecの標準のプロトコルに従って、拠点ルータ2aとセンタルータ4の間でIPsecトンネルを確立する(ステップS335)。また、拠点ルータ2aの迂回セッション確立部246aは、拠点ルータ2aと拠点ルータ2bの間で、IPsecの標準のプロトコルに従って、IPsecトンネルを確立する(ステップS340)。
【0058】
センタルータ4のデータ通信制御部48は、サービス提供サーバ6のローカルアドレスを拠点ルータ2aに送信し、拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bは、端末1bのローカルアドレスを拠点ルータ2aに送信する。拠点ルータ2aの迂回セッション確立部246aは、ステップS290において受信した切断要求に設定される迂回元の回線番号から、拠点ルータ2bが迂回元の拠点であることを判断している。そこで、拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、センタルータ4から受信したサービス提供サーバ6のローカルアドレスを迂回元の拠点ルータ2bに送信し、拠点ルータ2bから受信した端末1bのローカルアドレスをセンタルータ4へ送信する。これにより、拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、記憶部26aのルーチング設定情報を、拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bは、記憶部26bのルーチング設定情報を、センタルータ4のデータ通信制御部48は、記憶部46のルーチング設定情報を更新する。
【0059】
図14は、ステップS335、S340において設定されるルーチング設定情報の設定内容を示す図である。図14(a)は、拠点ルータ2aに記憶されるルーチング設定情報の設定内容を、図14(b)は、センタルータ4に記憶されるルーチング設定情報の設定内容を、図14(c)は、拠点ルータ2bに記憶されるルーチング設定情報の設定内容を示す。
図14(a)に示すように、図13(a)に示す拠点ルータ2aのルーチング設定情報に、迂回のためのレコードが追加される。具体的には、図13(a)に示すレコードのうち、送信元ローカルアドレス以外の内容をコピーしたレコードを追加し、送信元ローカルアドレスには、拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bから受信した端末1bのローカルアドレス「10.1.4.1」を設定する。
さらに、拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、この追加したレコードの送信先ローカルアドレスと送信元ローカルアドレスを入れ替え、さらに、送信データの宛先IPアドレスと送信データの差出IPアドレスを入れ替えたレコードをさらに追加し、IPsec識別子に割当てた「200」を設定する。
【0060】
また、図14(b)に示すように、図13(b)に示すセンタルータ4のルーチング設定情報には、拠点Bの端末1bとサービス提供サーバ6間のデータ通信のためのレコードが追加される。具体的には、センタルータ4のデータ通信制御部48は、ルーチング設定情報にレコードを追加すると、送信データの宛先IPアドレスにステップS320において受信した接続応答から取得した拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」を、送信データの差出IPアドレスにステップS305において送信した呼接続要求に設定したセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」を、送信先ローカルアドレスに拠点ルータ2aから受信した端末1bのローカルアドレス「10.1.4.1」を、送信元ローカルアドレスにサービス提供サーバ6のローカルアドレス「10.1.1.1」を設定する。また、IPsec識別子に、拠点AとのIPsecトンネルに割当てた「100」を設定する。
【0061】
一方、拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bにおいても、ルーチング設定情報に新しいレコードを追加する。そして、図14(c)に示すように、送信データの宛先IPアドレスにステップS255において受信した接続応答から取得した拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」を、送信データの差出IPアドレスにステップS240において送信した接続要求に設定した拠点ルータ2bのNGN IPアドレス「1.1.1.4」を、送信先ローカルアドレスに拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aから受信したサービス提供サーバ6のローカルアドレス「10.1.1.1」を、送信元ローカルアドレスに端末1bのローカルアドレス「10.1.4.1」を設定する。また、IPsec識別子に拠点AとのIPsecトンネルに割当てた「200」を設定する。
【0062】
また、図10において、センタルータ4の帯域増加セッション確立部442は、拠点Aとの接続完了通知を管理サーバ5に送信する(ステップS345)。管理サーバ5のセッション管理部544は、拠点Aとの接続完了通知を受信すると、接続拠点管理テーブルを更新する。図15は、更新後の接続拠点管理テーブルの設定内容を示す図である。セッション管理部544は、接続元「拠点A」、接続先「センタ」が設定されている接続拠点管理テーブルを特定し、特定したレコードの迂回接続接続元(1)に「拠点B」を、迂回接続帯域(1)にステップS220において拠点Bの拠点ルータ2bから受信した接続要求に設定されている使用帯域「2[Mbps]」を書き込む。さらに、セッション管理部544は、特定したレコードの合計接続帯域を、ステップS280において送信した拠点Aとの接続指示に設定した使用帯域、すなわち、現在の合計接続帯域「10[Mbps]」に拠点Bの迂回接続帯域(迂回接続帯域(1))「2[Mbps]」を加算した合計の帯域「12[Mbps]」に書き換える。
【0063】
上記手順により、拠点ルータ2aとセンタルータ4の間でIPsecトンネルが再確立され、端末1aとサービス提供サーバ6との間、及び、端末1bとサービス提供サーバ6との間でデータ通信が行われる(ステップS350、S355)。
端末1aとサービス提供サーバ6との間のデータ通信は、図9のステップS165と同様に行われる。
【0064】
一方、端末1bとサービス提供サーバ6との間のデータ通信は、以下のように行われる。すなわち、端末1bは、宛先IPアドレスにサービス提供サーバ6のローカルIPアドレス「10.1.1.1」を、差出IPアドレスに端末1bのIPアドレス「10.1.4.1」を設定した送信データを送信する。拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bは、記憶部26bに記憶されているルーチング設定情報を検索し、送信先ローカルアドレス及び送信元ローカルアドレス欄の情報が、端末1bから受信した送信データに設定されている宛先IPアドレス及び差出IPアドレスと一致するレコードを検出する。データ通信制御部28bは、受信した送信データを、検出したレコードにおける送信データの宛先IPアドレス及び送信データの差出IPアドレスに基づいてIPsecパケットにカプセル化し、検出したルーチング設定情報のレコードから読み出した宛先IPアドレス及び差出IPアドレスを付加して送信する。これによって、送信データをカプセル化したIPsecパケットに、宛先IPアドレスとして拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」が、差出IPアドレスとして拠点ルータ2bのNGN IPアドレス「1.1.1.4」、IPsec識別子に「200」が設定され、拠点ルータ2aへ送信される。
【0065】
拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、端末1bから受信したIPsecパケットにカプセル化されている送信データをデカプセル化する。データ通信制御部28aは、記憶部26aに記憶されているルーチング設定情報を検索し、送信先ローカルアドレス及び送信元ローカルアドレス欄の情報が、デカプセル化した送信データに設定されている宛先IPアドレス及び差出IPアドレスと一致するレコードを検出する。データ通信制御部28aは、受信した送信データを、検出したレコードにおける送信データの宛先IPアドレス及び送信データの差出IPアドレスに基づいてIPsecパケットにカプセル化し、検出したルーチング設定情報のレコードから読み出した宛先IPアドレス及び差出IPアドレス、ならびに、IPsec識別子を付加して送信する。これによって、宛先IPアドレスにセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」が、差出IPアドレスに拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」が、IPsec識別子に「100」が設定されて送信される。
センタルータ4のデータ通信制御部48は、受信したIPsecパケットから送信データをデカプセル化して送信する。これにより、送信データがサービス提供サーバ6にルーチングされる。
【0066】
また、サービス提供サーバ6は、宛先IPアドレスに端末1bのローカルIPアドレス「10.1.1.4」を、差出IPアドレスにサービス提供サーバ6のIPアドレス「10.1.1.1」を設定した送信データを送信する。センタルータ4のデータ通信制御部48は、記憶部46に記憶されているルーチング設定情報を検索し、送信先ローカルアドレス及び送信元ローカルアドレス欄の情報が、サービス提供サーバ6から受信した送信データに設定されている宛先IPアドレス及び差出IPアドレスと一致するレコードを検出する。データ通信制御部48は、受信した送信データを、検出したレコードにおける送信データの宛先IPアドレス及び送信データの差出IPアドレスに基づいてIPsecパケットにカプセル化し、検出したルーチング設定情報のレコードから読み出した宛先IPアドレス及び差出IPアドレス、ならびに、IPsec識別子を付加して送信する。これによって、宛先IPアドレスに拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」が、差出IPアドレスにセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」が、IPsec識別子に「100」が設定されて送信される。
【0067】
拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、センタルータ4から受信したIPsecパケットにカプセル化されている送信データをデカプセル化する。データ通信制御部28aは、記憶部26aに記憶されているルーチング設定情報を検索し、送信先ローカルアドレス及び送信元ローカルアドレス欄の情報が、デカプセル化した送信データに設定されている宛先IPアドレス及び差出IPアドレスと一致するレコードを検出する。データ通信制御部28aは、受信した送信データを、検出したレコードにおける送信データの宛先IPアドレス及び送信データの差出IPアドレスに基づいてIPsecパケットにカプセル化し、検出したルーチング設定情報のレコードから読み出した宛先IPアドレス及び差出IPアドレス、ならびに、IPsec識別子を付加して送信する。これによって、宛先IPアドレスに拠点ルータ2bのNGN IPアドレス「1.1.1.4」が、差出IPアドレスに拠点ルータ2aのNGN IPアドレス「1.1.1.3」が、IPsec識別子に「200」が設定されて送信される。
拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bは、拠点ルータ2aから受信したIPsecパケットにカプセル化されている送信データをデカプセル化して送信する。これにより、送信データが端末1bにルーチングされる。
【0068】
続いて、ステップS225における拠点選択手順を説明する。
まず、管理サーバ5の接続先選択部542は、接続拠点管理テーブルを参照し、接続帯域が0ではない拠点を第1選択候補拠点として特定する。第1選択候補拠点が1つの場合、その第1選択候補拠点を迂回先の拠点として決定する。
【0069】
第1選択拠点候補が複数の場合、接続先選択部542は、上限帯域から接続帯域を減算した空き帯域が、受信した接続要求に設定されている使用帯域以上の第1選択候補拠点を第2選択拠点候補として特定する。第2選択候補拠点がない場合、第1選択候補拠点の中から最も空き帯域が多い拠点を迂回先の拠点として選択する。
【0070】
一方、第2選択候補拠点が1つの場合、接続先選択部542は、特定された第2選択候補拠点を迂回先の拠点として決定し、第2選択候補拠点が複数ある場合、第2選択候補拠点の中から以下の条件(1)、(2)によって迂回先の拠点として選択する。条件(1)、(2)の両方を用いるか、あるいは、一方を用いるか、条件(1)、(2)の両方を用いる場合にどちらを優先するかについては、任意に設定可能である。
【0071】
(1)料金管理テーブルから、第2選択候補拠点の接続帯域と、迂回元拠点ルータから受信した接続要求に設定されている使用帯域とを加算した帯域に対応した料金を読み出し、読み出した料金が最も安い第2選択候補拠点を選択する。これにより、料金が最適になる迂回先拠点を選択することができる。
(2)拠点間距離管理テーブルから、第2選択候補拠点と、接続要求の送信元である迂回元拠点ルータが属する拠点との距離を読み出し、読み出した距離が最も近い第2選択候補拠点を選択する。これにより、遅延を少なくすとともに、ネットワークNにおけるトラヒック増加を極力抑えることができる。
【0072】
なお、迂回先の拠点の空き帯域が、受信した接続要求に設定されている使用帯域未満である場合、ステップS230において接続要求応答に空き帯域を設定する。この場合、接続要求応答を受信した拠点ルータ2は、接続要求応答に設定されている空き帯域を、迂回先の拠点ルータ2へ送信する呼接続要求の使用帯域に設定する。
【0073】
図11は、図9及び図10の手順により、端末1aとサービス提供サーバ6との間、及び、端末1bとサービス提供サーバ6との間でデータ通信が行われている際に、端末1bとサービス提供サーバ6との間の通信が終了した場合のシーケンスである。
拠点Bの拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bが、通信パケットを所定時間以上受信しない、あるいは、IPsecの鍵更新がタイムアウトするなどして、端末1bとサービス提供サーバ6との間の通信終了を検出する(ステップS410)。これにより、拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bと、拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aの間で、IPsecの標準のプロトコルに従って、IPsecトンネルを終了する(ステップS415)。拠点ルータ2aは、ルーチング設定情報から、拠点ルータ2bとのIPsecトンネルに関するレコードを削除し、拠点ルータ2bは、ルーチング設定情報から、拠点ルータ2aとのIPsecトンネルに関するレコードを削除する。
【0074】
続いて、拠点ルータ2bの迂回先切断要求部242は、切断要求[BYE]を拠点Aの回線番号を宛先として送信する(ステップS420、S425)。拠点ルータ2aの迂回元切断部249aは、拠点ルータ2bからの切断要求を受信すると、切断応答[200OK]を返送する(ステップS430、S435)。これにより、拠点ルータ2aと拠点ルータ2bの間のセッションが切断される。
【0075】
拠点ルータ2bの迂回先切断通知部243bは、拠点ルータ2aからの切断応答を受信すると、接続切断通知[独自メッセージ]をサービスセンタの回線番号を宛先として送信する(ステップS440、S445)。管理サーバ5の再接続指示部543は、拠点ルータ2bからの接続切断通知を受信すると、接続切断通知応答を返送し(ステップS450、S455)、さらに、拠点Bの迂回先接続拠点である拠点Aとの再接続指示をセンタルータ4へ送信する(ステップS460)。この再接続指示には、拠点Aの回線番号、通信種別、及び、使用帯域が設定される。設定する使用帯域は、接続元「拠点A」、接続先「センタ」が設定されている接続拠点管理テーブル(図15)のレコードから読み出した拠点Aの接続帯域から、迂回接続接続元「拠点B」の迂回接続帯域(迂回接続帯域(1))を減算した使用帯域である。
【0076】
センタルータ4の帯域減少セッション確立部443は、管理サーバ5から拠点Aとの再接続指示を受信すると、拠点Aの回線番号を宛先として切断要求[BYE]を送信する(ステップS465、S470)。拠点ルータ2aのセンタ指示切断部247aは、センタルータ4からの切断要求を受信すると、切断応答[200OK]を返送する(ステップS475、S480)。
【0077】
センタルータ4の帯域減少セッション確立部443は、拠点ルータ2aからの切断応答を受信すると、拠点Aの回線番号を宛先として呼接続要求[INVITE]を送信する(ステップS485、S490)。呼接続要求には、サービスセンタの回線番号(SIP用)、サービスセンタの通信種別(SIP用)、サービスセンタの使用帯域(SIP用)、センタルータ4のNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、センタルータ4の通信種別(データ通信用)が設定される。サービスセンタの使用帯域は、ステップS460において管理サーバ5から受信した拠点Aとの再接続指示に設定されている使用帯域とする。
【0078】
拠点ルータ2aの帯域減少再接続部251aは、センタルータ4からの呼接続要求を受信すると、接続応答[200OK]を返送する(ステップS495、S500)。接続応答には、拠点ルータ2aのNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、拠点ルータ2aの通信種別(データ通信用)が設定される。センタルータ4の帯域減少セッション確立部443は、拠点ルータ2aからの接続応答を受信すると、受信確認[ACK]を返送する(ステップS505、S510)。
【0079】
拠点ルータ2aの帯域減少再接続部251aがセンタルータ4からの受信確認を受信すると、図9のステップS155と同様の手順により、IPsecの標準のプロトコルに従って、拠点ルータ2aとセンタルータ4の間でIPsecトンネルを確立する(ステップS515)。これにより、拠点ルータ2aのルーチング設定情報が図13(a)と同様に、センタルータ4のルーチング設定情報が図13(b)と同様に設定される。ただし、IPsec識別子は新たに割当てた値でもよい。
【0080】
また、センタルータ4の帯域減少セッション確立部443は、拠点Aとの接続完了通知を管理サーバ5へ送信する(ステップS520)。管理サーバ5のセッション管理部544は、拠点Aとの接続完了通知を受信すると、接続拠点管理テーブルを更新する。図16は、更新後の接続拠点管理テーブルの設定内容を示す図である。セッション管理部544は、接続元「拠点A」、接続先「センタ」が設定されている接続拠点管理テーブルのレコードを特定し、特定したレコードに設定されている合計接続帯域を、現在の合計接続帯域「12[Mbps]」から迂回接続接続元「拠点B」の迂回接続帯域(迂回接続帯域(1))「2[Mbps]」を減算した「10[Mbps]」に書替え、さらに、迂回接続接続元「拠点B」(迂回接続接続元(1))とその迂回接続帯域(迂回接続帯域(1))の設定値を削除する。
【0081】
端末1aとサービス提供サーバ6との間では、図9のステップS165と同様の手順により、ステップS515において確立されたIPsecトンネルを利用したデータ通信が行われる(ステップS525)。
【0082】
図12は、図9及び図10の手順により、端末1aとサービス提供サーバ6との間、及び、端末1bとサービス提供サーバ6との間でデータ通信が行われている際に、端末1aとサービス提供サーバ6との間の通信が終了した場合のシーケンスである。
拠点Aの拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aが、端末1aとサービス提供サーバ6との間の通信終了を検出する(ステップS610)。拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aと、センタルータ4のデータ通信制御部48の間で、IPsecの標準のプロトコルに従って、IPsecトンネルを終了する(ステップS615)。拠点ルータ2aは、ルーチング設定情報から、センタルータ4とのIPsecトンネルに関するレコードを削除し、センタルータ4は、ルーチング設定情報から、拠点ルータ2aとのIPsecトンネルに関するレコードを削除する。
【0083】
続いて、拠点ルータ2aの切断要求部250aは、切断要求[BYE]をサービスセンタの回線番号を宛先として送信する(ステップS620、S625)。センタルータ4の切断部445は、拠点ルータ2aからの切断要求を受信すると、切断応答[200OK]を返送する(ステップS630、S635)。これにより、拠点ルータ2aとセンタルータ4の間のセッションが切断される。
【0084】
センタルータ4の切断部445は、拠点Aとの切断を管理サーバ5へ通知する(ステップS637)。管理サーバ5のセッション管理部544は、接続元「拠点A」、接続先「センタ」が設定されている接続拠点管理テーブルのレコードを特定する。セッション管理部544は、特定したレコードに迂回接続接続元及び迂回接続帯域が設定されているため、特定したレコードを削除せず、現在の合計接続帯域「12[Mbps]」を、接続元「拠点A」の接続帯域「10[Mbps]」を減算した「2[Mbps]」に書替え、さらに、接続帯域を「0」に書き換える。管理サーバ5の迂回先切断指示部545は、接続切断要求[独自メッセージ]を、拠点Aの迂回元である拠点Bの回線番号を宛先として送信する(ステップS640、S645)。
【0085】
拠点ルータ2bの迂回先切断部244bは、管理サーバ5から接続切断要求を受信すると、迂回先である拠点Aの回線番号を宛先として切断要求[BYE]を送信する(ステップS650、S655)。拠点ルータ2aの迂回元切断部249aは、拠点ルータ2bからの切断要求を受信すると、切断応答[200OK]を返送する(ステップS660、S665)。これによって、拠点ルータ2aと拠点ルータ2bの間のセッションが切断される。
【0086】
拠点ルータ2bの迂回先切断部244bが拠点ルータ2aからの切断応答を受信すると、データ通信制御部28bは、拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aとの間で、IPsecの標準のプロトコルに従って、IPsecトンネルを終了する(ステップS670)。拠点ルータ2aは、ルーチング設定情報から、拠点ルータ2bとのIPsecトンネルに関するレコードを削除し、拠点ルータ2bは、ルーチング設定情報から、拠点ルータ2aとのIPsecトンネルに関するレコードを削除する。
【0087】
続いて、拠点ルータ2bの迂回先切断部244bは、接続切断要求応答[独自メッセージ]をサービスセンタの回線番号を宛先として送信する(ステップS675、S680)。管理サーバ5の再接続指示部543は、拠点ルータ2bからの接続切断要求応答を受信すると、センタルータ4へ拠点Bとの再接続指示を送信する(ステップS685)。この再接続指示には、拠点Bの回線番号、通信種別、及び、使用帯域が設定される。使用帯域は、図10のステップS220において受信した接続要求に設定されている使用帯域である。
【0088】
センタルータ4の再接続確立部444は、管理サーバ5から拠点Bとの再接続指示を受信すると、拠点Bの回線番号を宛先として呼接続要求[INVITE]を送信する(ステップS690、S695)。呼接続要求には、サービスセンタの回線番号(SIP用)、サービスセンタの通信種別(SIP用)、サービスセンタの使用帯域(SIP用)、センタルータ4のNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、センタルータ4の通信種別(データ通信用)が設定される。サービスセンタの使用帯域は、ステップS685において管理サーバ5から受信した拠点Bとの再接続指示に含まれる使用帯域とする。
【0089】
拠点ルータ2bの再接続部245bは、センタルータ4からの呼接続要求を受信すると、接続応答[200OK]を返送する(ステップS700、S705)。接続応答には、拠点ルータ2bのNGN IPアドレス(データ通信用)、及び、拠点ルータ2bの通信種別(データ通信用)が設定される。センタルータ4の再接続確立部444は、拠点ルータ2bからの接続応答を受信すると、受信確認[ACK]を返送する(ステップS710、S715)。
【0090】
拠点ルータ2bの再接続部245bがセンタルータ4からの受信確認を受信すると、データ通信制御部28bは、センタルータ4のデータ通信制御部48との間で、IPsecの標準のプロトコルに従って、拠点ルータ2bとセンタルータ4の間でIPsecトンネルを確立する(ステップS720)。これにより、拠点ルータ2aのデータ通信制御部28aは、記憶部26aのルーチング設定情報を、センタルータ4のデータ通信制御部48は、記憶部46のルーチング設定情報を更新する。
【0091】
具体的には、拠点ルータ2bのデータ通信制御部28bは、ルーチング設定情報にレコードを追加し、送信データの宛先IPアドレスにステップS695において受信した呼接続要求に設定されているセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」を、送信データの差出IPアドレスにステップS700において送信した接続応答に設定した拠点ルータ2bのNGN IPアドレス「1.1.1.4」を、送信先ローカルアドレスにセンタルータ4のデータ通信制御部48から受信したサービス提供サーバ6のローカルアドレス「10.1.1.1」を、送信元ローカルアドレスに端末1bのローカルアドレス「10.1.4.1」を設定する。また、割り当てたIPsec識別子を設定する。
また、センタルータ4のデータ通信制御部48は、ルーチング設定情報にレコードを追加し、送信データの宛先IPアドレスにステップS705において受信した接続応答に設定されている拠点ルータ2bのNGN IPアドレス「1.1.1.3」を、送信データの差出IPアドレスにステップS690において送信した呼接続要求に設定したセンタルータ4のNGN IPアドレス「1.1.1.1」を、送信先ローカルアドレスに拠点ルータ2bから受信した端末1bのローカルアドレス「10.1.4.1」を、送信元ローカルアドレスにサービス提供サーバ6のローカルアドレス「10.1.1.1」を設定する。また、拠点ルータ2bと同じIPsec識別子を設定する。
【0092】
また、センタルータ4の再接続確立部444は、拠点Bとの接続完了通知を管理サーバ5へ送信する(ステップS725)。管理サーバ5のセッション管理部544は、拠点Bとの接続完了通知を受信すると、接続拠点管理テーブルを更新する。図17は、更新後の接続拠点管理テーブルの設定内容を示す図である。セッション管理部544は、接続元「拠点A」、接続先「センタ」が設定されている接続拠点管理テーブルのレコードを特定し、特定したレコードの接続元を「拠点B」に、接続帯域を迂回接続接続元「拠点B」の迂回接続帯域(迂回接続帯域(1))「2[Mbps]」に書き換え、さらに、迂回接続接続元「拠点B」(迂回接続接続元(1))とその迂回接続帯域(迂回接続帯域(1))の設定値を削除する。
【0093】
上記の手順により、端末1bとサービス提供サーバ6との間では、ステップS720において確立されたIPsecトンネルを利用したデータ通信が行われる(ステップS730)。
【0094】
図18は、図10のステップS215において、拠点Bの拠点ルータ2bから送信される接続要求[独自メッセージ]の記述例である。
接続要求のSIPタグには、標準のフォーマットが使用される。符号L11の記述「MESSAGE tel:0311112222 SIP/2.0」、符号L12の記述「To:sip:0311112222」は、宛先(サービスセンタ)の回線番号が「0311112222」であることを示す。また、符号L13の記述「From: sip:0312345678;tag=49583」は、差出(拠点ルータ2b)の回線番号が「0312345678」であることを示す。符号L14の記述「Call-ID:asd88asd77a@1.2.3.4」は、呼識別子を示しており、セッションを一意に識別する。
メッセージ本文は、独自のフォーマットである。符号L15の記述「Connect request」は、本SIPメッセージが「接続要求」であることを、符号L16の記述「c=IN IP4 1.1.1.4」は、データ通信用のNGN IPアドレス(データ通信用)を、符号L17の記述「b=10」は、使用帯域を、符号L17の記載「m=application 5060 TCP」は、通信種別を示している。
【0095】
図19は、図10のステップS230において、サービスセンタのセンタルータ4から送信される接続要求応答[独自メッセージ]の記述例である。
接続要求応答のSIPタグにも、標準のフォーマットが使用される。符号L21の記述「MESSAGE tel:0312345678 SIP/2.0」、符号L22の記述「To:sip:0312345678」は、宛先(拠点ルータ2b)の回線番号が「0312345678」であることを示す。また、符号L23の記述「From: sip:0311112222;tag=49583」は、差出(センタルータ4)の回線番号が「0311112222」であることを示す。符号L24の記述「Call-ID:asd88asd77a@1.2.3.4」は、呼識別子である。
メッセージ本文は、独自フォーマットである。符号L25の記述「Connect request Ack」は、本SIPメッセージが「接続要求応答」であることを、符号L26の記述「SIP/2.0 200OK」は、正常応答を、符号L27の記述「to:0312345678」は、迂回先の拠点ルータ2aの回線番号を示している。
【0096】
図20は、図11のステップS440において、拠点Bの拠点ルータ2bから送信される接続切断通知[独自メッセージ]の記述例である。
接続切断通知のSIPタグにも、標準のフォーマットが使用される。符号L31〜符号L34の記述は、図18に示す接続要求の符号L11〜符号L14と同様である。メッセージ本文は、独自フォーマットであり、符号L35の記述「Disconnect inform」は、本SIPメッセージが「接続切断通知」であることを示している。
【0097】
図21は、図11のステップS450において、サービスセンタのセンタルータ4から送信される接続切断通知応答[独自メッセージ]の記述例である。
接続切断通知応答のSIPタグにも、標準のフォーマットが使用される。符号L41〜符号L44の記述は、図19に示す接続要求応答の符号L21〜符号L24と同様である。メッセージ本文は、独自フォーマットであり、符号L45に記述「Disconnect request Ack」は、本SIPメッセージが「接続切断要求応答」であることを、符号L46の記述「SIP/2.0 200OK」は、正常応答を示している。
【0098】
図22は、図12のステップS640において、センタルータ4から送信される接続切断要求[独自メッセージ]の記述例である。
接続切断要求のSIPタグにも、標準のフォーマットが使用される。符号L51〜符号L54の記述は、図18に示す接続要求の符号L11〜符号L14と同様である。メッセージ本文は、独自フォーマットであり、符号L55の記述「Disconnect request」は、本SIPメッセージが「接続切断要求」であることを、符号L56の記述「to:0312345678」は、切断の対象である拠点ルータ2aの回線番号を示している。
【0099】
図23は、図12のステップS675において、拠点Bの拠点ルータ2bから送信される接続切断要求応答[独自メッセージ]の記述例である。
接続切断要求応答のSIPタグにも、標準のフォーマットが使用される。符号L61〜符号L64の記述は、図19に示す接続要求応答の符号L21〜符号L24と同様である。メッセージ本文は、独自フォーマットであり、符号L65に記述「Disconnect request Ack」は、本SIPメッセージが「接続切断要求応答」であることを、符号L66の記述「SIP/2.0 200OK」は、正常応答を示している。
【0100】
上記実施形態によれば、物理回線を増設することなく、物理回線に割当てられたセッション数の制限を超えて拠点とセンタとの間のセッションを確立することが可能となる。
SIPでは、一旦確立したセッションは、メディアストリームのポート番号をゼロにすることにより、セッションを継続しながらメディアストリームの通信を完了させることができる。しかし、このようにセッション継続中に減らしたメディアストリームについては削除することはできず、何度かメディアストリームの増減を繰り返すとSIPセッションにポート番号ゼロのメディアストリームが残ってしまう。そのため、迂回先のセッションを一旦終了することにより、実際は使用していないがポート0として残ってしまっているメディアストリームを解除し、実際に使用するメディアストリームを新たに確立することができる。
【0101】
なお、センタルータ4と管理サーバ5は、同じ装置において実現してもよい。
また、上記においては、1つの迂回先拠点ルータにおいて、1つの迂回元拠点ルータとセンタルータ4との間のセッションを迂回させる例を示したが、1つの迂回先拠点ルータにおいて、2以上の迂回元拠点ルータのセッションを迂回させるようにしてもよい。
例えば、拠点Aとセンタとの間の上限帯域が15Mbpsであり、現在10Mbpsを使用して拠点Aの拠点ルータ2aとセンタルータ4のセッションが確立されている場合、拠点Bの拠点ルータ2bから要求された2Mbpsの帯域、拠点Nの拠点ルータ2nから要求された1Mbpsの帯域のセッションを、拠点Aの拠点ルータ2aにおいて同時に迂回させることができる。
【0102】
なお、上述の端末1、拠点ルータ2、SIPサーバ3、センタルータ4、管理サーバ5、及び、サービス提供サーバ6は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、端末1、拠点ルータ2のセッション制御部24及びデータ通信制御部28、SIPサーバ3、センタルータ4のセッション制御部44及びデータ通信制御部48、管理サーバ5のセッション指示部54、ならびに、サービス提供サーバ6の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0103】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0104】
1、1a、1b、1n…端末
2、2a、2b、2n…拠点ルータ(拠点通信装置)
22…通信インタフェース部
24…セッション制御部
241…接続要求部
242…迂回先切断要求部
243…迂回先切断通知部
244…迂回先切断部
245…再接続部
246…迂回セッション確立部
247…センタ指示切断部
248…帯域増加再接続部
249…迂回元切断部
250…切断要求部
251…帯域減少再接続部
26…記憶部
28…データ通信制御部(迂回元データ通信制御部、迂回先データ通信制御部)
3…SIPサーバ
4…センタルータ(センタ通信装置)
42…通信インタフェース部
44…セッション制御部
441…接続確立部
442…帯域増加セッション確立部
443…帯域減少セッション確立部
444…再接続確立部
445…切断部
46…記憶部
48…データ通信制御部(センタデータ通信制御部)
5…管理サーバ(センタ通信装置)
52…通信インタフェース部
54…セッション指示部
541…接続指示部
542…接続先選択部
543…再接続指示部
544…セッション管理部
545…迂回先切断指示部
6…サービス提供サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス提供装置が接続されたセンタ通信装置と、端末が接続された複数の拠点通信装置とをネットワークを介して接続してなるトラヒック迂回システムであって、
迂回元の前記拠点通信装置は、
前記センタ通信装置に送信した接続要求に対応して迂回先の通信アドレスを受信し、受信した前記通信アドレスにより特定される迂回先の前記拠点通信装置へセッション確立要求を送信して、前記迂回先の拠点通信装置とのセッションを確立する接続要求部と、
該迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記接続要求部によって確立された前記セッションを用いて送受信する迂回元データ通信制御部とを備え、
前記迂回先の拠点通信装置は、
前記迂回元の拠点通信装置からのセッション確立要求を受信し、前記迂回元の拠点通信装置とのセッションを確立する迂回セッション確立部と、
前記センタ通信装置から切断要求を受信し、前記センタ通信装置と確立済みのセッションを切断するセンタ指示切断部と、
前記センタ通信装置からセッション確立要求と切断された前記セッションよりも広帯域の使用帯域とを受信し、前記センタ通信装置と受信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域増加再接続部と、
該迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域増加再接続部によって確立された前記セッションを用いて送受信するとともに、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記迂回セッション確立部によって確立された前記セッション及び前記帯域増加再接続部によって確立された前記セッションを用いて中継する迂回先データ通信制御部とを備え、
前記センタ通信装置は、
前記迂回元の拠点通信装置から前記接続要求を受信し、セッションの接続数が上限に達している場合に、セッション確立済みの前記拠点通信装置の中から選択した迂回先の前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する接続指示部と、
前記迂回先の拠点通信装置に前記切断要求を送信して前記迂回先の拠点装置との前記セッションを切断した後、前記迂回先の拠点通信装置へセッション確立要求と、切断前よりも広帯域の前記使用帯域とを送信し、前記迂回先の拠点通信装置と送信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域増加セッション確立部と、
前記迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータ、及び、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域増加セッション確立部が確立した前記セッションにより送受信するセンタデータ通信制御部とを備える、
ことを特徴とするトラヒック迂回システム。
【請求項2】
前記接続要求部は、要求する使用帯域を前記拠点通信装置へ送信し、
前記帯域増加セッション確立部は、切断した確立済みの前記セッションが使用していた帯域と、前記迂回元の拠点通信装置から受信した前記使用帯域との合計の使用帯域を前記迂回先の拠点通信装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のトラヒック迂回システム。
【請求項3】
前記センタ通信装置は、
前記拠点通信装置とのセッションの上限の使用帯域、及び、前記拠点通信装置と確立済みの前記セッションの使用帯域を示す接続拠点管理テーブルを記憶する記憶部と、
前記接続拠点管理テーブルを参照し、前記上限の使用帯域から確立済みの前記セッションの使用帯域を減算した空き帯域が、前記迂回元の拠点通信装置から受信した前記要求する使用帯域以上である前記拠点通信装置を選択する接続先選択部とをさらに備え、
前記接続指示部は、前記接続先選択部によって選択された前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する、
ことを特徴とする請求項2に記載のトラヒック迂回システム。
【請求項4】
前記センタ通信装置は、
使用帯域に対応した料金を示す料金管理テーブル、及び、前記拠点通信装置と確立済みの前記セッションの使用帯域を記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した前記拠点通信装置それぞれの使用帯域と、前記迂回元の拠点通信装置から受信した前記要求する使用帯域との合計の帯域を算出し、算出した前記合計の帯域それぞれに対応した料金を前記料金管理テーブルから読み出し、読み出した料金が最も安い前記拠点通信装置を選択する接続先選択部とをさらに備え、
前記接続指示部は、前記接続先選択部によって選択された前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する、
ことを特徴とする請求項2に記載のトラヒック迂回システム。
【請求項5】
前記センタ通信装置は、
前記拠点通信装置の間の距離の情報を記憶する記憶部と、
セッション確立済みの前記拠点通信装置の中から、前記記憶部を参照して、前記迂回元の拠点通信装置と最も距離が近い前記拠点通信装置を選択する接続先選択部とをさらに備え、
前記接続指示部は、前記接続先選択部によって選択された前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトラヒック迂回システム。
【請求項6】
前記迂回元の拠点通信装置は、
前記迂回先の拠点通信装置へ切断要求を送信し、前記迂回先の拠点通信装置との前記セッションを切断する迂回先切断要求部と、
前記センタ通信装置へ前記迂回先の拠点通信装置との接続切断を通知する迂回先切断通知部とをさらに備え、
前記迂回先の拠点通信装置は、
前記迂回元の前記拠点通信装置から前記切断要求を受信し、前記迂回元の拠点通信装置との前記セッションを切断する迂回元切断部と、
前記センタ通信装置から前記セッション確立要求と切断された前記セッションよりも狭帯域の使用帯域とを受信し、前記センタ通信装置と受信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域減少再接続部とを備え、
前記迂回先データ通信制御部は、前記迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域減少再接続部によって確立された前記セッションを用いて送受信し、
前記センタ通信装置は、
前記迂回元の拠点通信装置から前記接続切断の通知を受信し、前記迂回先の拠点通信装置へ切断指示を送信して該迂回先の拠点通信装置との前記セッションを切断した後、前記迂回先の拠点通信装置へセッション確立要求と、切断された前記セッションよりも狭帯域の使用帯域とを送信し、前記迂回先の拠点通信装置と送信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域減少セッション確立部とをさらに備え、
前記センタデータ通信制御部は、前記迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域減少セッション確立部が確立した前記セッションにより送受信する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかの項に記載のトラヒック迂回システム。
【請求項7】
前記迂回先の拠点通信装置は、
前記センタ通信装置へ切断要求を送信し、前記センタ通信装置との前記セッションを切断する切断要求部をさらに備え、
前記センタ通信装置は、
前記迂回先の拠点通信装置から前記切断要求を受信し、前記迂回先の拠点通信装置との前記セッションを切断するとともに前記迂回元の拠点通信装置へ接続切断要求を送信する迂回先切断指示部と、
前記迂回元の拠点通信装置にセッション確立要求を送信し、前記迂回元の拠点通信装置とのセッションを確立する再接続確立部とを備え、
前記センタデータ通信制御部は、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを前記再接続確立部が確立した前記セッションにより送受信し、
前記迂回元の拠点通信装置は、
前記センタ通信装置から前記接続切断要求を受信し、前記迂回先の拠点通信装置とのセッションを切断する迂回先切断部と、
前記センタ通信装置から前記セッション確立要求を送信し、前記センタ通信装置とのセッションを確立する再接続部とを備え、
前記迂回元データ通信制御部は、該迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを前記再接続部によって確立された前記セッションを用いて送受信する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかの項に記載のトラヒック迂回システム。
【請求項8】
サービス提供装置が接続されたセンタ通信装置と、端末が接続された複数の拠点通信装置とをネットワークを介して接続してなるトラヒック迂回システムに用いられるトラヒック迂回方法であって、
迂回元の前記拠点通信装置において、
接続要求部が、前記センタ通信装置に接続要求を送信する接続要求過程と、
前記センタ通信装置において、
接続指示部が、前記迂回元の拠点通信装置から前記接続要求を受信し、セッションの接続数が上限に達している場合に、セッション確立済みの前記拠点通信装置の中から選択した迂回先の前記拠点通信装置の通信アドレスを返送する接続指示過程と、
迂回元の前記拠点通信装置において、
前記接続要求部が、前記センタ通信装置から受信した前記通信アドレスにより特定される迂回先の前記拠点通信装置へセッション確立要求を送信して、前記迂回先の拠点通信装置とのセッションを確立する接続要求過程と、
前記迂回先の拠点通信装置において、
迂回セッション確立部が、前記迂回元の拠点通信装置からのセッション確立要求を受信し、前記迂回元の拠点通信装置とのセッションを確立する迂回セッション確立過程と、
前記センタ通信装置において、
帯域増加セッション確立部が、前記迂回先の拠点通信装置に切断指示を送信して前記迂回先の拠点装置とのセッションを切断する切断指示過程と、
前記迂回先の拠点通信装置において、
センタ指示切断部が、前記センタ通信装置から前記切断指示を受信し、前記センタ通信装置と確立済みの前記セッションを切断するセンタ指示切断過程と、
前記センタ通信装置において、
前記帯域増加セッション確立部が、前記迂回先の拠点通信装置へセッション確立要求と、切断された前記セッションよりも広帯域の使用帯域とを送信し、前記迂回先の拠点通信装置と送信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域増加セッション確立過程と、
前記迂回先の拠点通信装置において、
帯域増加再接続部が、前記センタ通信装置から前記セッション確立要求と前記使用帯域とを受信し、前記センタ通信装置と受信した前記使用帯域のセッションを確立する帯域増加再接続過程と、
前記迂回元の拠点通信装置において、
迂回元データ通信制御部が、該迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記接続要求過程において確立された前記セッションを用いて送受信する迂回元データ通信制御過程と、
前記迂回先の拠点通信装置において、
迂回先データ通信制御部が、該迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域増加再接続過程において確立された前記セッションを用いて送受信するとともに、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記迂回セッション確立過程において確立された前記セッション及び前記帯域増加再接続過程において確立された前記セッションを用いて中継する迂回先データ通信制御過程と、
前記センタ通信装置において、
センタデータ通信制御部が、前記迂回先の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータ、及び、前記迂回元の拠点通信装置に接続される前記端末と前記サービス提供装置との間のデータを、前記帯域増加セッション確立過程において確立した前記セッションにより送受信するセンタデータ通信制御過程と、
を有することを特徴とするトラヒック迂回方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−151456(P2011−151456A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8921(P2010−8921)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】