説明

トランザクション管理システム、管理装置、サーバ装置、トランザクション管理方法、及びプログラム

【課題】管理装置とサービスを提供するサーバ装置との間において、トランザクションの実行中に通信障害が発生した場合であっても、トランザクションの実行結果を確定し得る、トランザクション管理システム、トランザクション管理方法、管理装置、サーバ装置、プログラムを提供する。
【解決手段】管理装置10は、トランザクションに識別子を設定する識別子設定部12と、サーバ装置20に識別子を送信してトランザクションの実行を要求する処理要求部11とを備える。サーバ装置20は、トランザクションを実行する処理実行部21と、識別子及びトランザクションの実行結果を紐付けて格納する格納部22と、管理装置10が識別子を用いてトランザクションの実行結果の送信を求めると、その識別子と格納済の識別子とが一致することを条件に、識別子に紐付けられた実行結果を管理装置10に送信する実行結果送信部23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置とサーバ装置との間でのトランザクションの管理を行うための、トランザクション管理システム、トランザクション管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業などでは、従来からの資産を生かしつつ、システムの発展を図るため、メインフレームと呼ばれる大型のコンピュータと、オープンサーバと呼ばれる汎用のサーバコンピュータとを組み合わせることが行われている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照。)。
【0003】
このようなメインフレームとオープンサーバとを組み合わせたシステム(以下「複合システム」とする。)では、メインフレームが、基幹業務のための処理を実行する。一方、オープンサーバは、データベースサービス、Webサービスといった各種サービスを提供するための処理を実行する。
【0004】
また、複合システムでは、オープンサーバが提供するサービスは、メインフレームを介して、利用者の端末装置に提供される。メインフレームは、利用者が端末装置を介してサービスの提供を要求すると、対応するローカルトランザクションを実行し、オープンサーバにリモートトランザクションを実行させる。
【0005】
具体的には、メインフレームが、ローカルトランザクションの中で、該当するオープンサーバに、リモートトランザクションの実行を要求すると、オープンサーバはリモートトランザクションを実行する。次に、オープンサーバからメインフレームにリモートトランザクションの処理結果が返却されると、メインフレームは、オープンサーバにリモートトランザクションのコミットを要求する。その後、メインフレームは、オープンサーバから、リモートトランザクションの実行結果(コミット結果等)を受け取ると、ローカルトランザクションをコミットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−340216号公報
【特許文献2】特開2000−227868号公報
【特許文献3】特開2002−169728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、複合システムでは、メインフレームとオープンサーバとは、LANなどのネットワークによって接続されているため、両者の間に、通信障害が発生する場合がある。このような場合、メインフレーム側のローカルトランザクションとオープンサーバ側のリモートトランザクションとの間で不整合が生じる可能性がある。
【0008】
例えば、メインフレームがリモートトランザクションのコミットを要求した後に、通信障害が発生すると、メインフレームは、オープンサーバから、リモートトランザクションの実行結果(コミット結果等)を受け取ることができない状態となる。このような場合、トランザクションの行方が不明となり、メインフレーム側のローカルトランザクションとオープンサーバ側のリモートトランザクションとの間で不整合が生じてしまう。そして、メインフレーム側には、通信障害の解消後に、オープンサーバの応答を取得する手立てはなく、再度、同じリモートトランザクションの実行を要求する必要がある。
【0009】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、管理装置とサービスを提供するサーバ装置との間において、トランザクションの実行中に通信障害が発生した場合であっても、トランザクションの実行結果を確定し得る、トランザクション管理システム、トランザクション管理方法、これらに用いられる管理装置及びサーバ装置、更にはプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるトランザクション管理システムは、サーバ装置と、前記サーバ装置にトランザクションの実行を要求する管理装置とを備え、
前記管理装置は、
前記トランザクションに識別子を設定する、識別子設定部と、
前記サーバ装置に、設定された前記識別子を送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求する、処理要求部とを備え、
前記サーバ装置は、
前記識別子を受信すると、前記管理装置が要求した前記トランザクションを実行する処理実行部と、
前記識別子及び前記トランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する格納部と、
前記管理装置が、前記識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求めた場合に、用いられた前記識別子と前記格納部が格納している識別子とが一致することを条件として、前記識別子に紐付けられた前記トランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、実行結果送信部とを備えている、
ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるサーバ装置は、管理装置が要求したトランザクションを実行するサーバ装置であって、
前記管理装置が、前記トランザクションに識別子を設定し、設定した前記識別子を当該サーバ装置に送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求した場合に、前記トランザクションを実行する処理実行部と、
前記識別子及び前記トランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する格納部と、
前記管理装置が、前記識別子を用いて、前記識別子によって特定されるトランザクションの実行結果の送信を求めた場合に、用いられた前記識別子と前記格納部が格納している識別子とが一致することを条件として、前記識別子に紐付けられた前記トランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、実行結果送信部と、
を備えている、ことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における管理装置は、サーバ装置にトランザクションの実行を要求するための管理装置であって、
前記トランザクションに識別子を設定する、識別子設定部と、
前記サーバ装置に、設定された前記識別子を送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求する処理要求部と、
を備えている、ことを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるトランザクション管理方法は、サーバ装置と、前記サーバ装置にトランザクションの実行を要求する管理装置とを用いたトランザクション管理方法であって、
(a)前記管理装置によって、前記トランザクションに識別子を設定し、設定した前記識別子を前記サーバ装置に送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求する、ステップと、
(b)前記サーバ装置によって、前記識別子を受信し、前記管理装置が要求した前記トランザクションを実行する、ステップと、
(c)前記サーバ装置によって、前記識別子及び前記トランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する、ステップと、
(d)前記管理装置によって、前記識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求める、ステップと、
(e)前記(d)のステップで用いられた前記識別子と前記サーバ装置が前記(c)のステップで格納した識別子とが一致することを条件として、前記サーバ装置によって、前記識別子に紐付けられた前記トランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における第1のプログラムは、コンピュータに、管理装置が要求したトランザクションを実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記管理装置が、前記トランザクションに識別子を設定し、設定した前記識別子を前記コンピュータに送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求した場合に、前記トランザクションを実行する、ステップと、
(b)前記識別子及び前記トランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する、ステップと、
(c)前記管理装置が、前記識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求めた場合に、用いられた前記識別子と前記(b)のステップで格納した識別子とが一致することを条件として、前記識別子に紐付けられたトランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における第2のプログラムは、コンピュータによって、サーバ装置にトランザクションの実行を要求するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記トランザクションに識別子を設定する、ステップと、
(b)前記サーバ装置に、設定された前記識別子を送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、管理装置とサービスを提供するサーバ装置との間において、トランザクションの実行中に通信障害が発生した場合であっても、トランザクションの実行結果を確定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態におけるトランザクション管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態におけるトランザクション管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態における管理装置又はサーバ装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態におけるトランザクション管理システム、トランザクション管理方法、管理装置及びサーバ装置、更にはプログラムについて、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0019】
[システム構成]
最初に、本実施の形態におけるトランザクション管理システム100、これを構成する管理装置10及びサーバ装置20の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるトランザクション管理システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、トランザクション管理システム100は、管理装置10と、サーバ装置20とを備え、両者は、LAN等のネットワークによって接続されている。このうち、サーバ装置20は、管理装置10からの要求に応じてトランザクションを実行する。本実施の形態では、サーバ装置20は、トランザクションとして、データベース40に対する操作を実行する。
【0021】
更に、管理装置10には、利用者が使用する端末30がネットワークを介して接続されている。管理装置10は、利用者からの指示を、端末30を介して受け付け、指示に応じて、サーバ装置20にトランザクションの実行を要求する。本実施の形態では、利用者は、端末30を介して、データベース40における、検索、更新、削除等の操作を指示する。
【0022】
また、図1に示すように、管理装置10は、処理要求部11と、識別子設定部12とを備えている。識別子設定部12は、トランザクションの実行が要求されると、トランザクションに識別子を設定する。処理要求部11は、サーバ装置20に、設定された識別子を送信すると共に、トランザクションの実行を要求する。
【0023】
サーバ装置20は、処理実行部21と、格納部22と、実行結果送信部23とを備えている。処理実行部21は、識別子を受信すると、管理装置10が要求したトランザクションを実行する。そして、処理実行部21は、トランザクションの実行から得られた「処理結果」、例えば、データベース40における検索結果等を、管理装置10に送信する。また、処理実行部21は、コミット処理を行った場合は、識別子とトランザクションの実行結果とを格納部22に送る。
【0024】
格納部22は、識別子及びトランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する。ここで、「トランザクションの実行結果」とは、管理装置10からのコミット要求に応じて、コミット処理を行った後の結果、例えば、「コミット結果」を意味する。
【0025】
実行結果送信部23は、管理装置10が、識別子を用いて、トランザクションの実行結果の送信を求めると、この用いられた識別子と格納部22が格納している識別子とが一致するかどうかを判定する。そして、実行結果送信部23は、一致している場合は、格納部22に格納されており、且つ、一致した識別子と紐付けられている、トランザクションの実行結果を管理装置10に送信する。
【0026】
このように、本実施の形態におけるトランザクション管理システム100は、管理装置10側から、サーバ装置20側に、トランザクションの実行結果を問い合わせることができるようになっている。このため、トランザクションの実行中に通信障害が発生した場合であっても、管理装置10は、トランザクションの実行結果を取得することができるので、管理装置10における処理とサーバ装置20における処理との間で、不整合が生じる事態が回避される。結果、管理装置10は、このような場合であっても、トランザクションの実行結果を確定できる。
【0027】
ここで、本実施の形態におけるトランザクション管理システム100について、更に具体的に説明する。本実施の形態では、管理装置10は、メインフレームとよばれる汎用のコンピュータによって構築されている。サーバ装置20は、各種Webサービスなどを提供するサーバコンピュータである。
【0028】
図1に示すように、管理装置10は、処理要求部11及び識別子設定部12に加えて、処理管理部13を備えている。また、サーバ装置20は、処理実行部21、格納部22、及び実行結果送信部23に加えて、通信部24を備えている。
【0029】
管理装置10において、処理管理部13は、サーバ装置20との間に通信経路を設定する。具体的には、処理管理部13は、端末30を介して利用者からの指示を受け付けると、サーバ装置20の通信部24にアクセスし、通信経路の設定を要求する。そして、サーバ装置20において、通信部24は、通信経路の設定を許可する場合は、応答信号を送信する。これにより、通信経路が設定される。また、この場合、処理要求部11は、設定された通信経路を介してトランザクションクの実行を要求する。
【0030】
また、処理管理部13は、トランザクションの完了前に、設定した通信経路が切断されると、新たな通信経路を設定する。そして、処理管理部13は、新たな通信経路を介して、サーバ装置20に、識別子を用いて、トランザクションの実行結果の送信を求める。サーバ装置20においては、実行結果送信部23は、この用いられた識別子と格納部22が格納している識別子とが一致する場合、この新たな通信経路を介して、格納部22に格納されており、且つ、識別子に紐付けられているトランザクションの実行結果を送信する。
【0031】
また、本実施の形態では、サーバ装置20において、通信部24は、識別子設定部25を備えることができる。識別子設定部25は、管理装置10の処理管理部13から接続が要求されると、第2の識別子(以下「SID」とする。)を設定する。
【0032】
更に、本実施の形態では、管理装置10において、識別子設定部12は、それが設定した識別子(以下「CID」とする。)と、サーバ装置20の識別子設定部25が設定したSIDとから、新たな識別子(以下「TXCID」とする。)を生成することができる。
【0033】
このように、識別子設定部12がTXCIDを生成する場合、処理要求部11は、サーバ装置20に、TXCIDを送信する。更に、処理管理部13は、通信経路が切断された場合、TXCIDを用いて、サーバ装置20に、トランザクションの実行結果の送信を求める。
【0034】
また、サーバ装置20においては、処理実行部21は、TXCIDを受信したことを条件に、トランザクションを実行する。更に、格納部22は、TXCIDを、トランザクションの実行結果と紐付けて格納する。実行結果送信部23は、管理装置10から、トランザクションの実行結果の送信が求められると、その時に使用されたTXCIDと格納部22が格納しているTXCIDとが一致するかどうかを判定する。一致する場合、実行結果送信部23は、管理装置10に、TXCIDと紐付けられているトランザクションの実行結果を送信する。
【0035】
このように、サーバ装置20側の識別子と管理装置10側の識別子とによって、新たな識別子が生成される態様とした場合は、トランザクションの実行結果が外部から不正に取得される可能性が低減される。この態様は、管理装置10と、サーバ20とが、別々の組織(企業等)に配置されている場合に有効である。
【0036】
次に、本発明の実施の形態におけるトランザクション管理システム100の動作について図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態におけるトランザクション管理システムの動作を示すシーケンス図である。また、本実施の形態では、トランザクション管理システム100を動作させることによって、トランザクション管理方法が実施される。よって、本実施の形態におけるトランザクション管理方法の説明は、以下のトランザクション管理システム100の動作説明に代える。
【0037】
図2に示すように、まず、利用者が、端末30から、管理装置10に対してデータベース40の操作を指示すると、管理装置10において、処理管理部13が、サーバ装置20に対して接続を要求する(ステップS1)。
【0038】
次に、サーバ装置20において、通信部24は、接続要求を許可する場合は、識別子設定部25にCIDを設定させると共に、CIDを管理装置10に送信する(ステップS2)。
【0039】
ステップS2が実行されると、管理装置10において、処理管理部13は、サーバ装置20との間に通信経路を設定する。また、処理管理部13は、受信したCIDを識別子設定部12に出力する(ステップS3)。
【0040】
次に、識別子設定部12は、トランザクションに識別子(SID)を設定し、更に、ステップS3で処理管理部13が出力したCIDと、設定したSIDとから、TXCIDを生成する(ステップS4)。また、ステップS4では、識別子設定部12は、生成したTXCIDを処理要求部11に出力する。
【0041】
そして、処理要求部11は、ステップS1及びS2によって設定された通信経路を介して、サーバ装置20に対して、TXCIDを送信すると共に、トランザクションの実行を要求する(ステップS5)。
【0042】
ステップS5が実行されると、サーバ装置20においては、処理実行部21が、要求されたトランザクションを実行する。そして、処理実行部21は、トランザクションから得られた処理結果、例えば、トランザクションがデータベース40に対する検索であれば、検索結果情報を、管理装置10に送信する(ステップS6)。
【0043】
次に、管理装置10において、処理管理部13は、トランザクションから得られた処理結果を受信すると、サーバ措置20に対してコミットを要求する(ステップS7)。
【0044】
次に、管理装置10からコミットが要求されると、サーバ装置10において、処理実行部21は、コミット処理を実行し、更に、TXCID及びトランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納部22に格納させる(ステップS8)。
【0045】
続いて、処理実行部21は、ステップS1及びS2で設定された通信経路を介して、トランザクションの実行結果(コミット結果)を管理装置10に送信する(ステップS9)。
【0046】
ここで、ステップS9の実行後、ステップS1及びS2で設定された通信経路に何らかの障害が発生し、通信経路が切断されてしまったとする。この場合、従来であれば、管理装置10における処理と、サーバ装置20における処理との間で不整合が生じてしまう。
【0047】
これに対して、本実施の形態では、このような事態が生じた場合、管理装置10の処理管理部13は、新たな通信経路を設定するため、ステップS1と同様に、サーバ装置20に対して接続を要求する(ステップS10)。
【0048】
次に、サーバ装置20の通信部24は、接続要求を許可する場合は、そのことを管理装置10に通知する(ステップS11)。そして、通知を受けると、管理装置10の処理管理部13は、新たな通信経路を介して、サーバ装置20に、TXCIDを送信すると共に、トランザクションの実行結果(コミット結果)の送信を要求する(ステップS12)。
【0049】
次に、サーバ装置20において、実行結果送信部23は、ステップS12で送信されたTXCIDと格納部22が格納しているTXCIDとが一致するかどうかを判定する。そして、判定の結果、一致する場合は、実行結果送信部23は、ステップS10及びS11で設定された通信経路を介して、格納部22に格納されており、且つ、TXCIDと紐付けられている、トランザクションの実行結果(コミット結果)を、管理装置10に送信する(ステップS13)。
【0050】
ステップS13が実行されると、管理装置10は、通信経路での障害発生によって受け取ることができなかったトランザクションの実行結果(コミット結果)を、受け取ることができる。この結果、管理装置10における処理と、サーバ装置20における処理との間での不整合の発生は抑制される。本実施の形態によれば、トランザクションの実行中に通信障害が発生した場合であっても、トランザクションの実行結果を確定することが可能となる。
【0051】
また、本発明の実施の形態における第1のプログラムは、コンピュータに、図2に示すステップS1、S3、S4、S5、S8、S10、S12を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態における管理装置10を実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、処理要求部11、識別子設定部12、及び処理管理部13として機能し、処理を行なう。
【0052】
更に、本発明の実施の形態における第2のプログラムは、コンピュータに、図2に示すステップS2、S6、S7、S9、S11、S13を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態におけるサーバ装置20を実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、処理実行部21、実行結果送信部23、及び通信部24として機能し、処理を行なう。また、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置が、格納部22として機能する。
【0053】
ここで、本実施の形態における第1のプログラム及び第2のプログラムのいずれかを実行することによって、管理装置10又はサーバ装置20を実現するコンピュータについて図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態における管理装置又はサーバ装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0054】
図3に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0055】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0056】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0057】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash)及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明によれば、管理装置とサービスを提供するサーバ装置との間において、トランザクションの実行中に通信障害が発生した場合であっても、トランザクションの実行結果を確定することができる。本発明は、例えば、メインフレームとサーバ装置とが接続される環境において有効である。
【符号の説明】
【0059】
10 管理装置
11 処理要求部
12 識別子設定部
13 処理管理部
20 サーバ装置
21 処理実行部
22 格納部
23 実行結果送信部
24 通信部
25 識別子設定部
30 端末
40 データベース
100 トランザクション管理システム
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と、前記サーバ装置にトランザクションの実行を要求する管理装置とを備え、
前記管理装置は、
前記トランザクションに識別子を設定する、識別子設定部と、
前記サーバ装置に、設定された前記識別子を送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求する、処理要求部とを備え、
前記サーバ装置は、
前記識別子を受信すると、前記管理装置が要求した前記トランザクションを実行する処理実行部と、
前記識別子及び前記トランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する格納部と、
前記管理装置が、前記識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求めた場合に、用いられた前記識別子と前記格納部が格納している識別子とが一致することを条件として、前記識別子に紐付けられた前記トランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、実行結果送信部とを備えている、
ことを特徴とするトランザクション管理システム。
【請求項2】
前記管理装置が、前記サーバ装置との間に通信経路を設定する、処理管理部を更に備え、
前記処理要求部は、設定された前記通信経路を介して前記トランザクションの実行を要求し、
前記処理管理部は、前記トランザクションの完了前に、設定した前記通信経路が切断されると、新たな通信経路を設定し、前記新たな通信経路を介して、前記サーバ装置に、前記識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求める、
請求項1に記載のトランザクション管理システム。
【請求項3】
前記サーバ装置が、前記管理装置から接続が要求された場合に第2の識別子を設定する識別子設定部を、更に備え、
前記管理装置の前記識別子設定部が、それが設定した前記識別子と前記第2の識別子とから新たな識別子を生成し、
前記処理要求部が、前記サーバ装置に、前記新たな識別子を送信し、
前記サーバ装置の前記処理実行部が、前記新たな識別子を受信すると、前記トランザクションを実行し、
前記サーバ装置の前記格納部が、前記新たな識別子を前記トランザクションの実行結果と紐付けて格納し、
前記サーバ装置の前記実行結果送信部は、前記管理装置が、前記新たな識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求めた場合に、用いられた前記新たな識別子と前記格納部が格納している前記新たな識別子とが一致することを条件として、前記新たな識別子に紐付けられた前記トランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、
請求項1または2に記載のトランザクション管理システム。
【請求項4】
管理装置が要求したトランザクションを実行するサーバ装置であって、
前記管理装置が、前記トランザクションに識別子を設定し、設定した前記識別子を当該サーバ装置に送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求した場合に、前記トランザクションを実行する処理実行部と、
前記識別子及び前記トランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する格納部と、
前記管理装置が、前記識別子を用いて、前記識別子によって特定されるトランザクションの実行結果の送信を求めた場合に、用いられた前記識別子と前記格納部が格納している識別子とが一致することを条件として、前記識別子に紐付けられた前記トランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、実行結果送信部と、
を備えている、ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
サーバ装置にトランザクションの実行を要求するための管理装置であって、
前記トランザクションに識別子を設定する、識別子設定部と、
前記サーバ装置に、設定された前記識別子を送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求する処理要求部と、
を備えている、ことを特徴とする管理装置。
【請求項6】
サーバ装置と、前記サーバ装置にトランザクションの実行を要求する管理装置とを用いたトランザクション管理方法であって、
(a)前記管理装置によって、前記トランザクションに識別子を設定し、設定した前記識別子を前記サーバ装置に送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求する、ステップと、
(b)前記サーバ装置によって、前記識別子を受信し、前記管理装置が要求した前記トランザクションを実行する、ステップと、
(c)前記サーバ装置によって、前記識別子及び前記トランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する、ステップと、
(d)前記管理装置によって、前記識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求める、ステップと、
(e)前記(d)のステップで用いられた前記識別子と前記サーバ装置が前記(c)のステップで格納した識別子とが一致することを条件として、前記サーバ装置によって、前記識別子に紐付けられた前記トランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、ステップと、
を有する、ことを特徴とするトランザクション管理方法。
【請求項7】
(f)前記管理装置によって、前記サーバ装置との間に通信経路を設定する、ステップを更に有し、
前記(a)のステップにおいて、前記(f)のステップで設定された前記通信経路を介して前記トランザクションの実行を要求し、
前記トランザクションの完了前に、前記(f)のステップで設定された前記通信経路が切断された場合に、前記(d)のステップが実行され、
前記(d)のステップにおいて、前記管理装置によって、新たな通信経路を設定し、前記新たな通信経路を介して、前記サーバ装置に、前記識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求める、
請求項6に記載のトランザクション管理方法。
【請求項8】
(g)前記管理装置から前記サーバ装置に対して接続が要求された場合に、前記サーバ装置によって、第2の識別子を設定する、ステップを、更に有し、
前記(a)のステップにおいて、前記管理装置が、それが設定した前記識別子と前記第2の識別子とから新たな識別子を生成し、更に、前記サーバ装置に、前記新たな識別子を送信し、
前記(b)のステップにおいて、前記サーバ装置が、前記新たな識別子を受信して、前記トランザクションを実行し、
前記(c)のステップにおいて、前記サーバ装置が、前記新たな識別子を前記トランザクションの実行結果と紐付けて格納し、
前記(d)のステップにおいて、前記管理装置が、前記新たな識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求め、
前記(e)のステップにおいて、前記サーバ装置が、前記(d)のステップで用いられた前記新たな識別子と前記(c)のステップで格納した前記新たな識別子とが一致することを条件として、前記新たな識別子に紐付けられた前記トランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、
請求項6または7に記載のトランザクション管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、管理装置が要求したトランザクションを実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記管理装置が、前記トランザクションに識別子を設定し、設定した前記識別子を前記コンピュータに送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求した場合に、前記トランザクションを実行する、ステップと、
(b)前記識別子及び前記トランザクションの実行結果を互いに紐付けて格納する、ステップと、
(c)前記管理装置が、前記識別子を用いて、前記トランザクションの実行結果の送信を求めた場合に、用いられた前記識別子と前記(b)のステップで格納した識別子とが一致することを条件として、前記識別子に紐付けられたトランザクションの実行結果を前記管理装置に送信する、ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項10】
コンピュータによって、サーバ装置にトランザクションの実行を要求するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記トランザクションに識別子を設定する、ステップと、
(b)前記サーバ装置に、設定された前記識別子を送信すると共に、前記トランザクションの実行を要求する、ステップと、
を実行させる、プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−181803(P2012−181803A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45983(P2011−45983)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000164449)九州日本電気ソフトウェア株式会社 (67)
【Fターム(参考)】