説明

トランジションピースインピンジメントスリーブ及びその組立方法

【課題】本明細書に開示するのは、ガスタービン燃焼トランジションピース(34)用のインピンジメントスリーブ(10)である。
【解決手段】本インピンジメントスリーブ(10)は、トランジションピース(34)の本体の第1の部分(46)に近接させて配置可能であって、その上に一体形に形成された2以上のフランジ(18)を有するハウジング(14)と、トランジションピース(34)本体の第2の部分(54)に近接させて配置可能であって、その上に一体形に形成された2以上のリップ(26)を有するカバー(22)とを含み、2以上のリップ(26)は、トランジションピース(34)本体の半径方向外側にインピンジメントスリーブ(10)を配置するように2以上のフランジ(18)に対して溶接せずに取付け可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジン用のインピンジメントスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるインピンジメントスリーブは一般的に、トランジションピースの周りに固定取付けされる。幾つかのトランジションピースの形状寸法は、インピンジメントスリーブが2以上の部分から製作されることを必要とし、それらの部分は、トランジションピースの周りに組立てられかつ互いに対して固定取付けされる。そのような用法では、インピンジメントスリーブの2以上の部分を互いに溶接するのが一般的実施法である。そのような溶接作業は、実行することが困難であり、また欠陥インピンジメントスリーブの現場での交換を時間が掛かりかつ困難なものとなりかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7010921号明細書
【特許文献2】米国特許第7082766号明細書
【特許文献3】米国特許第7310938号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、当技術分野においては、容易に組立てられかつ分解されるインピンジメントスリーブが、歓迎されているといえる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示するのは、ガスタービン燃焼トランジションピース用のインピンジメントスリーブである。本インピンジメントスリーブは、トランジションピースの本体の第1の部分に近接させて配置可能であってその上に一体形に形成された2以上のフランジを有するハウジングと、トランジションピース本体の第2の部分に近接させて配置可能であってその上に一体形に形成された2以上のリップを有するカバーとを含み、2以上のリップは、トランジションピース本体の半径方向外側にインピンジメントスリーブを配置するように2以上のフランジに対して溶接せずに取付け可能である。
【0006】
本明細書にさらに開示するのは、トランジションピース本体においてインピンジメントスリーブを組立てる方法である。本方法は、トランジションピース本体の第1の部分を覆ってインピンジメントスリーブのハウジングを配置するステップと、トランジションピース本体の第2の部分を覆ってインピンジメントスリーブのカバーを配置するステップと、インピンジメントスリーブカバーの1以上のリップに対してインピンジメントスリーブハウジングの1以上のフランジを溶接せずに取付けるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本明細書に開示したガスタービン燃焼トランジションピースに取り付けられたインピンジメントスリーブの斜視図。
【図2】図1のインピンジメントスリーブ及びトランジションピースの分解図。
【図3】図1のインピンジメントスリーブ及びトランジションピースの断面斜視図。
【図4】図1のインピンジメントスリーブ及びトランジションピースの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、決して本発明を限定するものと見なすべきではない。添付図面に関して、同様な要素には、同じ参照符号を付している。
【0009】
本明細書では、開示した装置及び方法の1以上の実施形態の詳細な説明は、図を参照して例示として示すものであって限定として示すものではない。
【0010】
図1及び図2を参照すると、これらの図には本明細書に開示したインピンジメントスリーブ10の実施形態を示している。インピンジメントスリーブ10は、取付けフランジ18を有するインピンジメントスリーブハウジング14と、取付けリップ26を有するインピンジメントスリーブカバー22と、本明細書ではネジとして示した複数のファスナ30とを含む。図1に示すような組立てた構成では、インピンジメントスリーブ10は、外表面42を有するガスタービン燃焼トランジションピース34の半径方向外側に配置される。ハウジング14及びカバー22の両方は、それらを通して空気のような冷却流体を流すのを可能にする、該ハウジング14及びカバー22を貫通した複数の孔38を有する。
【0011】
図3及び図4を参照すると、ハウジング14は、それに対して該ハウジング14が近接近して配置されるトランジションピース34の部分46の形状に近似するように形成される。従って、ハウジング14と部分46との間には、制御ギャップ50が形成される。同様に、カバー22は、それに対して該カバー22が近接近して配置されるトランジションピース34の部分54の形状に近似するように形成される。従って、カバー22と部分54との間には、制御ギャップ58が形成される。作動時に、冷却流体は、ハウジング14及びカバー22内の孔38を通りギャップ50及び58を横切って流れ、それぞれ部分46及び54の外表面42に衝突し、それによってトランジションピース34を冷却する。
【0012】
ハウジング14及びカバー22は、該ハウジング14及びカバー22がトランジションピース34の周りに包込み構成として配置された時に、フランジ18及びリップ26が互いに略平行になるように構成される。この位置にある時、フランジ18内の複数の孔62は、リップ26内の複数の孔66と整列し、それらの孔を通して複数のファスナ30が締結される。この実施形態では、ファスナ30は、プレート6のネジ孔内にねじ込まれたネジであるが、別の実施形態では、リップ26に対してフランジ18を取付けるためにリベット、ピン又はその他のファスナを使用することができる。さらにその他の実施形態では、フランジ18は、該フランジ18及びリップ26の一方を該フランジ18及びリップ26の他方に対したかしめること、或いは例えば接着剤を用いてリップ26に対して該フランジ18を取り付けることなどによる溶接を含まないその他の方法によってリップ26に対して取り付けることができる。
【0013】
1対の支持ブラケット70の各々の第1の端部68は、ハウジング14又はカバー22のいずれかの側面上のフランジ18の1つ及びリップ26の1つに対して1対のファスナ30によって取り付けられる。支持ブラケット70の各々の第2の端部74は、トランジションピース34の第1の端部82からの1対の突出部78の1つに対して取り付けられる。ブラケット70は、トランジションピース34の第1の端部82に対してハウジング14及びカバー22を所定の位置に支持する。ハウジング14とトランジションピース34の第1の端部82との間の付加的支持は、第1の端部82のスロット90内に延びるハウジング14の端縁部86によって与えられる。同様に、カバー22とトランジションピース34の第1の端部82との間の付加的支持は、第1の端部82のスロット90内に延びるカバー22の端縁部94によって与えられる。ハウジング14及びカバー22を支持することに加えて、スロット90との端縁部86、94の係合により、冷却流体がこの接合面を通してギャップ50、58内に流入するのを阻止する流体シールが形成される。
【0014】
ハウジング14及びカバー22は、トランジションピース34の第2の端部102付近に設置された導管98に対して支持されかつ密封(シール)される。ハウジング14の端縁部106は、導管98との間で重ね継手110を形成し、またカバー22の端縁部114は、導管98との間で重ね継手118を形成する。ハウジング14のカバー22との組立てによって生じたフープ強度は、端縁部106及び114を導管98と接触状態に維持して、該導管に対する支持及び該導管との間の密封を保証する。
【0015】
1つ又は複数の例示的な実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱することなくそれらの要素に対して様々な変更を加えることできまた均等物で置き換えることができることは、当業者には解るであろう。加えて、本発明の本質的な技術的範囲から逸脱することなく、特定の状況又は物的要件を本発明の教示に適合させるように、多くの変更を行うことができる。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲内に属する全ての実施形態を含むことになることを意図している。また、図面及び説明では、本発明の例示的な実施形態を開示しており、また特定の用語を使用してきたが、それらは、特に断わらない限り、限定するためではなくて一般的かつ説明的な意味でのみ使用しており、従って本発明の技術的範囲は、そのように限定されるものではない。さらに、「第1の」、「第2の」などの用語の使用は、いかなる序列又は重要度も意味するものではなく、むしろそれらの用語は、1つの要素を他の要素から区別するために使用している。さらに、数詞のない用語の使用は、数量の限定を意味するものではなく、むしろ記載したアイテムの少なくとも1つが存在することを意味している。
【符号の説明】
【0016】
10 インピンジメントスリーブ
14 ハウジング
18 フランジ
22 カバー
26 リップ
30 ファスナ
34 トランジションピース
38 孔
42 外表面
46 部分
50 ギャップ
54 部分
58 ギャップ
62、66 孔
68 第1の端部
69 プレート
70 ブラケット
74 第2の端部
78 突出部
82 第1の端部
86 端縁部
90 スロット
94 端縁部
98 導管
102 第2の端部
106 端縁部
110 重ね継手
114 端縁部
118 重ね継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン燃焼トランジションピース(34)用のインピンジメントスリーブ(10)であって、
前記トランジションピース(34)の本体の第1の部分(46)に近接させて配置可能であって、その上に形成された2以上のフランジ(18)を有するハウジング(14)と、
前記トランジションピース(34)本体の第2の部分(54)に近接させて配置可能であって、その上に形成された2以上のリップ(26)を有するカバー(22)と、を含み、
前記2以上のリップ(26)が、前記トランジションピース(34)本体の半径方向外側に前記インピンジメントスリーブ(10)を配置するように前記2以上のフランジ(18)に対して溶接せずに取付け可能である、
インピンジメントスリーブ(10)。
【請求項2】
前記2以上のフランジ(18)及び2以上のリップ(26)が、ファスナ(30)を受ける複数の孔(38)を有する、請求項1記載のインピンジメントスリーブ(10)。
【請求項3】
前記ファスナ(30)が、ネジである、請求項2記載のインピンジメントスリーブ(10)。
【請求項4】
複数の前記ネジ(30)が、プレート(69)内の複数のネジ孔と螺合する、請求項3記載のインピンジメントスリーブ(10)。
【請求項5】
前記ファスナ(30)が、リベットである、請求項2記載のインピンジメントスリーブ(10)。
【請求項6】
前記2以上のフランジ(18)及び2以上のリップ(26)の少なくとも一方が、1以上のブラケット(70)に対して取付け可能である、請求項1記載のインピンジメントスリーブ(10)。
【請求項7】
前記ハウジング(14)及びカバー(22)の少なくとも一方が、冷却流体を流すためのそれを貫通した複数の孔(38)を有する、請求項1記載のインピンジメントスリーブ(10)。
【請求項8】
前記ハウジング(14)が第1の端縁部(86)をさらに含みまた前記カバー(22)が第2の端縁部(94)をさらに含んで、該第1の端縁部(86)及び第2の端縁部(94)が、前記トランジションピース(34)の端部部分(82)と係合可能であるカラーを形成する、請求項1記載のインピンジメントスリーブ(10)。
【請求項9】
前記ハウジング(14)が第1のリムをさらに含みまた前記カバー(22)が第2のリムをさらに含み、
前記第1のリム及び第2のリムが、前記トランジションピース(34)の第2の端部102において導管(98)と密封可能に係合可能である、
請求項1記載のインピンジメントスリーブ(10)。
【請求項10】
トランジションピース(34)本体においてインピンジメントスリーブ(10)を組立てる方法であって、
前記トランジションピース(34)本体の第1の部分(46)を覆って前記インピンジメントスリーブ(10)のハウジング(14)を配置するステップと、
前記トランジションピース(34)本体の第2の部分(54)を覆って前記インピンジメントスリーブ(10)のカバー(22)を配置するステップと、
前記インピンジメントスリーブカバー(22)の1以上のリップ(26)に対して前記インピンジメントスリーブ(10)ハウジング(14)の1以上のフランジ(18)を溶接せずに取付けるステップと、を含む、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−250606(P2009−250606A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77939(P2009−77939)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY