説明

トリメチレンカーボネートおよびポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを含むコポリマー

本発明は、非置換またはR置換トリメチレンカーボネートおよびポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを含む新規なコポリマーに関する。コポリマーの用途は、パーソナルケア、コーティングおよび潤滑油を含む分野である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非置換またはR置換トリメチレンカーボネート(TMC)およびポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを含む新規なコポリマーに関する。コポリマーの用途は、パーソナルケア、コーティング、潤滑油およびポリウレタンエラストマーを含む分野である。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,593,444号明細書には、エラストマー特性の得られた熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)におけるポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)ジオールの使用が開示されている。多価アルコール、例えば、1,3−プロパンジオールおよびトリメチロールプロパンを含むモノマーグリコールを用いていた。
【0003】
Hyunらによる非特許文献1には、ポリエチレングリコールの存在下でのTMCの重合により生体適合系を得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.44,2006,4235
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、非置換または置換ポリトリメチレンカーボネート系セグメントおよびポリ(トリメチレンエーテル)グリコール系セグメントを含むコポリマーを含む組成物であって、コポリマーは、
【化1】

の構造を有する。
【0006】
式中、各R置換基は、H、C〜C20アルキル、C〜C20環状アルキル、C〜C25アリール、C〜C20アルカリールおよびC〜C20アリールアルキルからなる群から独立に選択され、各R置換基は、近接するR置換基と共に環状構造基を任意で形成でき、典型的に、かかる環状構造基は、C〜C環状構造基、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタンであり、
mは、トリメチレンエーテル単位の数であり、5〜100の整数であり、かつnは、トリメチレンカーボネート単位の数であり、各nは1〜50(両端を含む)の整数から独立して選択される整数である。
【0007】
本発明の他の態様は、非置換または置換ポリトリメチレンカーボネート系セグメントおよびポリ(トリメチレンエーテル)グリコール系セグメントを含むコポリマーを製造する方法であって、
ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを、トリメチレンカーボネートまたはR置換トリメチレンカーボネートと、酸の存在下で接触させて、
【化2】

の構造を有するポリマーを形成することを含み、
【0008】
式中、mは、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール系セグメントの数であり、5〜100の整数であり、かつnは、トリメチレンカーボネート系セグメントの数であり、各nは、独立に1〜50の整数であり、各R置換基は、H、C〜C20アルキル、C〜C20環状アルキル、C〜C25アリール、C〜C20アルカリールおよびC〜C20アリールアルキルからなる群から独立に選択され、各R置換基は、近接するR置換基と共に環状構造基を任意で形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールおよび非置換または置換トリメチレンカーボネートに基づく新規なコポリマー組成物に関する。トリメチレンカーボネートはまた、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールから誘導することもできる。一般的な反応の代表例を以下に示す。
【化3】

【0010】
示したとおり、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEよりCerenol(商標)ポリオールとして入手可能なPO3Gとしても知られている)およびトリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)を、酸、例えば、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)リン酸(HPO)または有機酸、例えば、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメチル酢酸およびトリフルオロメタンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸(TFESA)、ならびに結果として得られる組成物を形成するのに用いられる反応物質と実質的に反応しない溶剤の存在下で、混合する。好適なかかる溶剤としては、ジエチルエーテルおよび塩化メチレンが例示される。通常、反応は、定量的(ABAブロックコポリマー(ポリカーボネート−ポリトリメチレン−ポリカーボネートセグメントの順番からなるポリマー組成物)への約95〜100パーセントの変換率)であるが、TMC対ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの比率が高く、一般に、100:1::TMC:ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールのモル比を超えるときは、約70〜80パーセントの変換率でもよい。この組成物は、構造1のものであり、ポリ(カーボネート−エーテル−カーボネート)のABAブロックコポリマーである。上記の構造1において、mは5〜100、特に5〜10(両端を含む)の整数である。上記の構造1において、nは整数であり、各nは、1〜50、特に1〜30、さらに1〜25、さらに1〜15の整数から独立して選択される。
【0011】
ある実施形態において、ABAブロックコポリマーは、熱可塑性エラストマーにおいてソフトセグメントとして用いられる。
【0012】
上記の構造において、各R置換基は、H、C〜C20アルキル、特に、C〜Cアルキル、C〜C20環状アルキル、C〜C環状アルキル、C〜C25アリール、特に、C〜C11アリール、C〜C20アルカリール、特に、C〜C11アルカリール、およびC〜C20アリールアルキル、特に、C〜C11アリールアルキルからなる群から独立に選択され、各R置換基は、近接するR置換基と共に環状構造基を任意で形成できる。典型的に、かかる環状構造基は、C〜C環状構造基、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタンである。
【0013】
ポリトリメチレンエーテルグリコール(PO3G)
本明細書で用いるPO3Gは、繰り返し単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位であるポリマーエーテルグリコールである。より好ましくは、繰り返し単位の約75%〜100%、さらにより好ましくは約90%〜100%、さらにより好ましくは約99%〜100%がトリメチレンエーテル単位である。
【0014】
PO3Gは、1,3−プロパンジオールを含むモノマーの重縮合により好ましくは調製され、−(CHCHCHO)−結合(例えば、トリメチレンエーテル繰り返し単位)を含有するポリマーまたはコポリマーが得られる。上述したとおり、繰り返し単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位である。
【0015】
トリメチレンエーテル単位に加えて、他の単位、その他のポリアルキレンエーテル繰り返し単位が存在してもよい。本開示内容において、「ポリトリメチレンエーテルグリコール」という用語には、実質的に純粋(すなわち、少なくとも99パーセント純粋)な1,3−プロパンジオール、および約50重量%までのコモノマーを含有するポリマー(後述するようなものを含む)からできたPO3Gが含まれる。ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)ができるPO3Gは新たな原料のものであるのが好ましい。
【0016】
PO3Gは、トリメチレンエーテル単位に加えて、その他のアルキレンエーテル繰り返し単位を含有していてよい。ポリトリメチレンエーテルグリコールを調製するのに用いるモノマーは、従って、50重量%まで(好ましくは約20重量%以下、より好ましくは約10重量%以下、さらにより好ましくは約2重量%以下)のコモノマーポリオールを、1,3−プロパンジオール反応物に加えて、含有することができる。プロセスに用いるのに好適なコモノマーポリオールとしては、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロ−1,12−ドデカンジオール、脂環式ジオール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルビド、ならびにポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールが挙げられる。好ましいコモノマージオールは、エチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、C〜C10ジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,10−デカンジオール)およびイソソルビドならびにこれらの混合物、およびC〜C10ジオールからなる群から選択される。特に好ましいジオールは、1,3−プロパンジオールおよびエチレングリコールである。
【0017】
PO3Gを調製するのに用いる1,3−プロパンジオールは、様々な周知の化学的経路のいずれかにより、または生化学的変換経路により得られる。好ましい生化学的経路は、例えば、米国特許第7,169,588号明細書に記載されている。トリメチレンカーボネート(TMC)は、当業者に公知の様々な化学的または生化学的方法のいずれかにより調製される。TMCを調製する化学的な方法としては、これらに限られるものではないが、a)1,3−プロパンジオールとジエチルカーボネートの、亜鉛粉末、酸化亜鉛、錫粉末、ハロゲン化錫または有機錫の存在下での高温での反応、b)1,3−プロパンジオールおよびホスゲンまたはビス−クロロギ酸の反応による、後に、熱および、任意で、触媒を用いて解重合されるポリカーボネート中間体の生成、c)拭取り式膜蒸発器における真空下でのポリ(トリメチレンカーボネート)の解重合、d)1,3−プロパンジオールとウレアの、金属酸化物の存在下での反応、e)トリエチルアミンのTHF中1,3−プロパンジオールおよびエチルギ酸クロロの溶液への滴下による付加およびf)1,3−プロパンジオールとホスゲンまたはジエチルカーボネートの反応が挙げられる。TMC調製の生化学的方法としては、これらに限られるものではないが、a)ジエチルカーボネートまたはジメチルカーボネートと、1,3−プロパンジオールとの有機溶媒中でのリパーゼ触媒縮合、およびb)TMCを生成するポリ(トリメチレンカーボネート)のリパーゼ触媒解重合が挙げられる。
【0018】
好ましくは、反応物質として、または反応物質の成分として用いる1,3−プロパンジオールの純度は、ガスクロマトグラフィー分析により求めると、約99重量%を超える、より好ましくは、約99.9重量%を超える。
【0019】
1,3−プロパンジオールは以下の特徴を有するのが好ましい。
(1)紫外線吸収が、220nmで約0.200未満、250nmで約0.075nm未満、275nmで約0.075未満、および/または
(2)CIELAB「b」明度が、約0.15未満(ASTM D6290)、270nmでの吸光度が約0.075未満、および/または
(3)過酸化物組成物が、約10ppm未満、および/または
(4)合計有機不純物(1,3−プロパンジオール以外の有機化合物)の濃度が、ガスクロマトグラフィーにより測定すると、約400ppm未満、より好ましくは、約300ppm未満、さらにより好ましくは、約150ppm未満である。
【0020】
PO3Gを製造するための出発材料は、所望のPO3G、出発材料の利用可能性、触媒、設備等に応じて異なり、「1,3−プロパンジオール反応物質」を含む。「1,3−プロパンジオール反応物質」とは、1,3−プロパンジオール、および好ましくは、2〜9の重合度を有する1,3−プロパンジオールのオリゴマーおよびプレポリマー、ならびにこれらの混合物を意味する。場合によっては、利用可能であれば、10%まで、またはそれ以上の低分子量オリゴマーを用いるのが望ましい。このように、好ましくは、出発材料は、1,3−プロパンジオールおよびその二量体および三量体を含む。特に好ましい出発材料は、1,3−プロパンジオール反応物質の重量を基準として、約90重量%以上の1,3−プロパンジオール、より好ましくは、99重量%以上の1,3−プロパンジオールを含む。
【0021】
好ましいポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールは、50〜約99モル%(好ましくは約60〜約98モル%、より好ましくは約70〜約98モル%)の1,3−プロパンジオールおよび50まで〜約1モル%(好ましくは約40〜約2モル%、より好ましくは約30〜約2モル%)のエチレングリコールの酸触媒重縮合により調製される。
【0022】
本明細書に開示されるコポリマーの製造に用いるのに好ましいPO3GのMn(数平均分子量)は少なくとも約250、より好ましくは少なくとも約1000、さらにより好ましくは少なくとも約2000である。Mnは、好ましくは約10000未満、より好ましくは約5000未満、さらにより好ましくは約3500未満である。PO3Gのブレンドも用いることができる。例えば、PO3Gは、高および低分子量PO3Gのブレンドを含むことができ、好ましくは、高分子量PO3Gの数平均分子量は約1000〜約5000、低分子量PO3Gの数平均分子量は約200〜約950である。ブレンドPO3GのMnは、上述した範囲内に尚あるのが好ましい。
【0023】
本明細書で用いるのに好ましいPO3Gは、典型的に多分散で、好ましくは約1.0〜約2.2、より好ましくは約1.2〜約2.2、さらにより好ましくは約1.5〜約2.1の多分散性(すなわち、Mw/Mn)を有する。多分散性は、PO3Gのブレンドを用いることにより調節することができる。
【0024】
PO3Gは、好ましくは、約100未満のAPHA単位(American Public Health Administrationの単位)、より好ましくは、約50APHA未満の明度を有する。
【0025】
上述した反応により生成される組成物は、数多くの最終製品に利用される。これらの製品としては、これらに限られるものではないが、生体材料、工業用ポリマー、パーソナルケア材料、コーティング、潤滑剤およびポリカーボネート/ポリウレタンが挙げられる。式1のnが約20未満のときは、組成物は、通常、例えば、コーティングおよび潤滑剤に用いることのできる無色透明の粘性液体である。nが約20以上のときは、組成物は、通常、例えば、工業用ポリマーに用いることのできるろう様固体である。
【0026】
本実施形態のコポリマーは、トリメチレンカーボネートまたは置換トリメチレンカーボネートを、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールと、酸の存在下で反応させて(例えば、ジエチルエーテルの存在下でHCl)、所望のコポリマーを形成することにより生成される。
【0027】
本発明の方法では、1つ以上の溶剤を用いる。通常、反応物質および/または触媒と実質的に非反応性であれば、任意の溶剤を用いることができる。本明細書に記載した方法に有用な溶剤としては、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサンおよびトルエンが例示される。
【0028】
本明細書に記載した方法は、周囲温度、通常、摂氏約20〜30度で実施されるが、低くは用いる溶剤の凝固点、または高くは用いる溶剤の還流温度で行うことができる。本明細書に記載した方法は、大気圧で実施されるが、必要な温度になるまで調整した高い圧力で行うことができる。反応物質を併せて添加したら、任意の通常の方法により混合してよい。本方法は、バッチ、半バッチまたは連続モードで行うことができ、通常、不活性雰囲気中で実施される(例えば、窒素等の不活性ガス下)。
【0029】
反応物質を、触媒と、1つ以上の溶剤の存在下で接触させたら、反応を所望の時間続ける。以下の実施例に示すとおり、酸および溶剤ならびにその量を適切に選択することにより、100パーセントの変換率を達成することができる。また、所望の重合度nを、これらの選択により達成することができる。
【0030】
生成した組成物は、カーボネートおよびエーテル官能基を含み、カーボネート官能基は、材料の紫外線(UV)安定性を増大し、エーテル官能基は、可撓性および低温特性を増大することが知られている。また、形成されたポリマーは、通常、ポリ(トリメチレンカーボネート)ジオールに比べて低い粘度を有する。
【0031】
形成したABAブロックポリマーの粘度等の物理特性は、ある程度、ブロック中のTMC単位の数に応じて異なる。nが約20を超えると、ABAブロックポリマーは、ろう様固体であり、かつ比較的短い(nが約20未満)と、得られる材料は、通常、無色透明の粘性液体である。
【0032】
以下の実施例に示すとおり、形成されたABAブロックポリマーの粘度は、材料のTMC単位(n)の数により変わる。nを変えることにより、粘度を最適化して、特定の最終用途に最適な粘度を有する材料とすることができる。例えば、低めの粘度の材料は、処理コストを減じ、かつ、最終用途(例えば、コーティング)に望ましい。
【実施例】
【0033】
以下の実施例で得られた結果を表1にまとめてある。
【0034】
エチレンカーボネートおよびポリトリメチレンエーテルグリコールからのABAブロックコポリマーの生成は、以下の比較例に示すとおり、反応を室温で18時間実施すると失敗した。
【0035】
別記しない限り、化学物質および試薬は全て、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)より受け取ったまま用いた。
【0036】
ポリ(1,6−ヘキサンカーボネート)ジオールオリゴマー(DESMOPHEN C−200)は、Bayerより市販されている。
【0037】
Cerenol(商標)H1400ポリオールは、DuPont Co.(Wilmington,DE)より入手可能である。
【0038】
実施例1
1,3−プロパンジオールホモポリマー、Cerenol(商標)H1400(2.80g、0.002モル)およびトリメチレンカーボネート(20.40g、0.20モル)およびジクロロメタン(80.0g)を、攪拌バーおよびゴム隔膜を備えた、オーブン乾燥した丸底(RB)フラスコに入れた。反応を窒素下で行い、ジエチルエーテル中1MのHCl溶液8.0mLを全て一度でシリンジを介して添加した。得られた溶液を、室温で、18時間攪拌した。少量の一定分量を採り、ジクロロメタン除去後のNMRスペクトル(プロトンおよびカーボン)によれば、反応が約77%完了したことを示した。反応混合物を、約400mLメタノールに注ぎ、メタノールの上澄みを移し、得られた材料を追加の200mLメタノールで洗った。メタノールの上澄みを移し、ポリマーを真空下で乾燥したところ、18.96gのポリマー、計算分子量(MW):約10,310、n=約44が得られた。
【0039】
実施例2
1,3−プロパンジオールホモポリマー、Cerenol(商標)H1400(3.03g、0.0022モル)およびトリメチレンカーボネート(20.80g、0.204モル)およびジクロロメタン(100.0g)を、攪拌バーおよびゴム隔膜を備えた、オーブン乾燥したRBフラスコに入れた。反応を窒素下で行い、ジエチルエーテル中1MのHCl溶液10.0mLを全て一度でシリンジを介して添加した。得られた溶液を、室温で、18時間攪拌した。少量の一定分量を採り、ジクロロメタン除去後のNMRスペクトル(プロトンおよびカーボン)によれば、反応が約69%完了したことを示した。反応混合物を、約400mLメタノールに注ぎ、メタノールの上澄みを移し、得られた材料を追加の200mLメタノールで洗った。メタノールの上澄みを移し、ポリマーを真空下で乾燥したところ、13.23gのポリマー、計算MW:約10,578、n=約44が得られた。
【0040】
実施例3
1,3−プロパンジオールホモポリマー、Cerenol(商標)H1400(6.03g、0.0043モル)およびトリメチレンカーボネート(20.80g、0.204モル)およびジクロロメタン(112g)を、攪拌バーおよびゴム隔膜を備えた、オーブン乾燥したRBフラスコに入れた。反応を窒素下で行い、ジエチルエーテル中1MのHCl溶液10.0mLを全て一度でシリンジを介して添加した。得られた溶液を、室温で、18時間攪拌した。少量の一定分量を採り、ジクロロメタン除去後のNMRスペクトル(プロトンおよびカーボン)によれば、反応が約82%完了したことを示した。反応混合物を、約400mLメタノールに注ぎ、メタノールの上澄みを移し、得られた材料を追加の200mLメタノールで洗った。メタノールの上澄みを移し、ポリマーを真空下で乾燥したところ、15.90gのポリマー、計算MW:約7450、n=約30が得られた。
【0041】
実施例4
1,3−プロパンジオールホモポリマー、Cerenol(商標)H1400(20.40g、0.0146モル)およびトリメチレンカーボネート(20.80g、0.204モル)およびジクロロメタン(50.0g)を、攪拌バーおよびゴム隔膜を備えた、オーブン乾燥したRBフラスコに入れた。反応を窒素下で行い、ジエチルエーテル中1MのHCl溶液10.0mLを全て一度でシリンジを介して添加した。得られた溶液を、室温で、22時間攪拌した。少量の一定分量を採り、ジクロロメタン除去後のNMRスペクトル(プロトンおよびカーボン)によれば、反応が定量的であることを示した。固体炭酸ナトリウムを添加し(15g)、反応物を1時間攪拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(約50mL)で希釈し、炭酸ナトリウムをろ過した。得られたろ液を室温で濃縮してから、真空下で乾燥した。反応混合物をメタノール(約400mL)に注いだが、ポリマーは沈殿しなかった。この溶液を減圧で濃縮し、ジクロロメタンに吸い上げ、10%NaOH(2×50mL)、次に水(2×100mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥したところ、MW(計算):2838、n=7の無色透明な粘性材料が得られた。
【0042】
実施例5
1,3−プロパンジオールホモポリマー、Cerenol(商標)H1400(20.40g、0.0146モル)およびトリメチレンカーボネート(20.40g、0.20モル)およびジクロロメタン(50.0g)を、攪拌バーおよびゴム隔膜を備えた、オーブン乾燥したRBフラスコに入れた。反応を窒素下で行い、ジエチルエーテル中1MのHCl溶液10.0mLを全て一度でシリンジを介して添加した。得られた溶液を、室温で、22時間攪拌した。少量の一定分量を採り、ジクロロメタン除去後のNMRスペクトル(プロトンおよびカーボン)によれば、定量的であることを示した。固体炭酸ナトリウムを添加し(15g)、反応物を1時間攪拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(約50mL)で希釈し、炭酸ナトリウムをろ過した。得られたろ液を室温で濃縮してから、真空下で乾燥した。
【0043】
NMRにより、分子量を計算したところ2816、n=約7であった。粘度(ブルックフィールドDV11+Pro,Cone and Plate)、摂氏25度で6802cps(0.1rpmで59.1%)および摂氏50度で1255cps(0.1rpmで10.9%)。
【0044】
実施例6
1,3−プロパンジオールホモポリマー、Cerenol(商標)H1400(30.00g、0.0214モル)およびトリメチレンカーボネート(20.40g、0.20モル)およびジクロロメタン(50.0g)を、攪拌バーおよびゴム隔膜を備えた、オーブン乾燥したRBフラスコに入れた。反応を窒素下で行い、ジエチルエーテル中1MのHCl溶液10.0mLを全て一度でシリンジを介して添加した。得られた溶液を、室温で、22時間攪拌した。少量の一定分量を採り、ジクロロメタン除去後のNMRスペクトル(プロトンおよびカーボン)によれば、定量的であることを示した。固体炭酸ナトリウムを添加し(15g)、反応物を1時間攪拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(約50mL)で希釈し、炭酸ナトリウムをろ過した。得られたろ液を室温で濃縮してから、真空下で乾燥した。
【0045】
NMRにより分子量を計算したところ、約2400,n=約7であった。
【0046】
【表1】

【0047】
比較例A
1,3−プロパンジオールホモポリマー、Cerenol(商標)H1400(10.00g、0.0071モル)およびエチレンカーボネート(10.00g、0.114モル)およびジクロロメタン(25.0g)を、攪拌バーおよびゴム隔膜を備えた、オーブン乾燥したRBフラスコに入れた。反応を窒素下で行い、ジエチルエーテル中1MのHCl溶液5.0mLを全て一度でシリンジを介して添加した。得られた溶液を、室温で、18時間攪拌した。少量の一定分量を採り、ジクロロメタン除去後のNMRスペクトル(プロトンおよびカーボン)によれば、反応が生じなかったことを示した。
【0048】
液体であった以下の実施例の粘度を、40mm平行板およびペルチェ加熱システムで構成されたTA Instruments AR−G2制御−応力回転レオメータを用いて測定した。粘度は、20〜1000s−1の剪断速度範囲にわたって、3つの温度(摂氏40、60および80度)で測定した。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
1 ポリ(1,6−ヘキサンジオールカーボネート)グリコール−Bayer
2 ポリ(1,3−プロパンジオールカーボネート)グリコール(当量重量約900)
3 計算分子量約2800
4 計算分子量約2400
5 摂氏77度での粘度
6 摂氏84度での粘度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非置換またはR置換ポリトリメチレンカーボネート系セグメントおよびポリ(トリメチレンエーテル)グリコール系セグメントを含むコポリマーを含む組成物であって、コポリマーが、
【化1】

(式中、各R置換基は、H、C〜C20アルキル、C〜C20環状アルキル、C〜C25アリール、C〜C20アルカリールおよびC〜C20アリールアルキルからなる群から独立に選択され、そしてここで各R置換基は、隣接するR置換基と共に環状構造基を任意で形成でき、
mは、トリメチレンエーテル単位の数であり、5〜100(両端を含む)の整数であり、かつnは、トリメチレンカーボネート単位の数であり、各nは1〜50(両端を含む)の整数から独立して選択される整数である)の構造を有する、上記組成物。
【請求項2】
各nは、選択される最終用途に適切な粘度を有するコポリマーを提供するよう独立して選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
nが1〜20である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
nが20を超える請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
mが3〜100の整数であり、各nが独立して1〜30(両端を含む)の整数である請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
コポリマーがABAブロックコポリマーであり、ここでAが非置換またはR置換ポリ(トリメチレンカーボネート)であり、そしてBがポリ(トリメチレンエーテル)である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
数平均分子量が250〜10,000である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
トリメチレンカーボネート系セグメントおよびポリ(トリメチレンエーテル)グリコール系セグメントの1つ以上のセグメントが、再生可能に供給されるモノマーから生成される請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
非置換またはR置換ポリトリメチレンカーボネート系セグメントおよびポリ(トリメチレンエーテル)グリコール系セグメントを含むコポリマーを製造する方法であって、
ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを、トリメチレンカーボネートまたはR置換トリメチレンカーボネートと、酸の存在下で接触させて、
【化2】

(式中、各R置換基は、H、C〜C20アルキル、C〜C20環状アルキル、C〜C25アリール、C〜C20アルカリールおよびC〜C20アリールアルキルからなる群から独立に選択され、そしてここで各R置換基は、隣接するR置換基と共に環状構造
基を任意で形成でき、
mは、トリメチレンエーテル単位の数であり、5〜100(両端を含む)の整数であり、かつnは、トリメチレンカーボネート単位の数であり、各nは1〜50(両端を含む)の整数から独立して選択される整数である)の構造を有するポリマーを形成させることを含む、上記方法。
【請求項10】
酸が鉱酸である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
酸が、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメチル酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸および1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸からなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
バッチ、半連続または連続である請求項9に記載の方法。
【請求項13】
形成されるポリマーがABAブロックコポリマーであり、ここでAは非置換またはR置換ポリ(トリメチレンカーボネート)であり、そしてBはポリ(トリメチレンエーテル)である請求項9に記載の方法。
【請求項14】
各nは、選択される最終用途に適切な粘度を有するコポリマーを提供するよう独立して選択される請求項9に記載の方法。
【請求項15】
nが20以下である請求項9に記載の方法。
【請求項16】
nが20を超える請求項9に記載の方法。
【請求項17】
粘度が摂氏40度で2000cps〜5000cpsである請求項14に記載の方法。
【請求項18】
ソフトセグメントとして、請求項4に記載のABAブロックコポリマーを含む熱可塑性エラストマー。
【請求項19】
選択される最終用途が、コーティング剤、潤滑剤およびパーソナルケア製品からなる群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項20】
請求項9に記載の方法により製造されるコポリマー。
【請求項21】
請求項3に記載の組成物を含む最終製品。
【請求項22】
請求項4に記載の組成物を含む最終製品。

【公表番号】特表2011−505466(P2011−505466A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536124(P2010−536124)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/084677
【国際公開番号】WO2009/070578
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】