説明

トルク伝達システムを作動させるための方法およびトルク伝達システム

トルク伝達システム(10)であって、当該トルク伝達システムが、入力側では駆動ユニット(12)の出力軸と、出力側では変速装置(14)の入力軸とそれぞれ連結されていて、駆動ユニット(12)から変速装置(14)へのトルク伝達経路が、当該トルク伝達システム(10)を経由して延びており、当該トルク伝達システムが、流体動力学的なトルクコンバータ(16)を有しており、該トルクコンバータ(16)を経由してトルク伝達経路のハイドロリック的な経路(22)が延びており、当該トルク伝達システムが、機能的に前記トルクコンバータ(16)に対して並列に配置されたロックアップクラッチ(18)を有しており、該ロックアップクラッチ(18)を経由してトルク伝達経路の機械的な経路(24)が延びており、当該トルク伝達システムが、ハイドロリック的な経路(22)と機械的な経路(24)とへのトルクの流れの分配を、変速装置(14)の入力軸に、予め規定された全トルク経過(112)が生じるように制御する制御ユニットを有している形式のトルク伝達システムを作動させるための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、トルク伝達システムであって、
−当該トルク伝達システムが、入力側では作動装置もしくは駆動ユニットの出力軸と、出力側では変速装置の入力軸とそれぞれ連結されていて、駆動ユニットから変速装置へのトルクの流れによるトルク伝達経路が、当該トルク伝達システムを経由して延びており、
−当該トルク伝達システムが:
−ハイドロダイナミック的もしくは流体動力学的なトルクコンバータを有しており、該トルクコンバータを経由してトルクの流れによるトルク伝達経路のハイドロリック的な経路が延びており、
−機能的に前記トルクコンバータに対して並列に配置されたロックアップクラッチを有しており、該ロックアップクラッチを経由してトルク伝達経路の機械的な経路が延びており、
−ハイドロリック的な経路と機械的な経路とへのトルクの流れの分配を、変速装置の入力軸に、予め規定された全トルク経過が生じるように制御する制御ユニットを有している、
形式のトルク伝達システムを作動させるための方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、トルク伝達システムであって、
−当該トルク伝達システムが、入力側では動力装置もしくは駆動ユニットの出力軸と、出力側では変速装置の入力軸とそれぞれ連結されていて、駆動ユニットから変速装置へのトルクの流れによるトルク伝達経路が、当該トルク伝達システムを経由して延びており、
−当該トルク伝達システムが:
−ハイドロダイナミック的もしくは流体動力学的なトルクコンバータを有しており、該トルクコンバータを経由してトルクの流れによるトルク伝達経路のハイドロリック的な経路が延びており、
−機能的に前記トルクコンバータに対して並列に配置されたロックアップクラッチを有しており、該ロックアップクラッチを経由してトルク伝達経路の機械的な経路が延びており、
−ハイドロリック的な経路と機械的な経路とへのトルクの流れの分配を、変速装置の入力軸に、予め規定された全トルク経過が生じるように制御する制御ユニットを有している、
形式のトルク伝達システムに関する。
【0003】
背景技術
このような形式の方法および装置は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19504935号明細書に基づき公知である。
【0004】
同ドイツ連邦共和国特許出願公開明細書には、前置された駆動ユニットと、後置された変速機との間の自動車のトルク伝達システムが開示されている。このトルク伝達システムは流体動力学的なトルクコンバータと、スリップ制御されたロックアップクラッチとを有している。
【0005】
駆動ユニットから変速機へトルクを伝達するために、ハイドロダイナミック式、つまり流体動力学的なトルクコンバータを使用することは、久しく以前より知られている。特に発進過程においては、このハイドロリック的な経路を介して全トルクを伝達することが知られている。しかし、変速機入力側における回転数が増大していくと、たいてい、純機械的な経路を経由したトルク伝達の方が好都合となる。したがって、流体動力学的なトルクコンバータは典型的には、たとえば摩擦クラッチとして形成されていてよいロックアップクラッチに対して並列に配置されている。その場合、クラシカルな発進過程においては、しばしばロックアップクラッチが開いた状態、つまり解放された状態でトルクコンバータを介して発進が行われ、そして十分な回転数が達成されると、ロックアップクラッチが閉じられる、つまり締結されるので、トルクは機械的な経路を介して伝達される。
【0006】
特に最近の電気駆動装置またはハイブリッド駆動装置と関連して、伝達時におけるトルク分岐に課せられた要求は、著しく複雑性を増している。背景にある「できるだけ効率の良いエネルギ使用」を考慮して、最近の車両では、駆動ユニットをできるだけ常時、最も効率の良い運転モードで作動させるために、しばしば駆動ユニットの作動点を変えることが行われる。この場合、トルク伝達システムの出力側ではトルクジャンプ(トルクの飛躍的変化)が生じる恐れがあり、このようなトルクジャンプは自動車の運転者によって不快でかつ予測不能であると感じられる。
【0007】
上記ドイツ連邦共和国特許出願公開第19504935号明細書に記載の構成では、ロックアップクラッチのスリップ制御によってこの問題に対処している。このことは、エネルギの面で見ると不都合である。
【0008】
課題設定
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のトルク伝達システムおよびその作動方法を、一層効率良く形成することである。
【0009】
発明の開示
この課題は、本発明の方法では、請求項1の上位概念部に記載の方法において、前記制御ユニットを用いて実施される以下の方法ステップ:
−ロックアップクラッチにより目下伝達されたトルクを求め、
−求められたトルクを、予め規定された目標全トルクと比較し、かつ相応する差トルクを算出し、
−トルクコンバータの目下の出力回転数を求め、
−求められた出力回転数において前記差トルクをハイドロリック的な経路を介して伝達するために必要となる、トルクコンバータの目標入力回転数を算出し、
−算出された目標入力回転数または駆動ユニットとトルクコンバータとの間に中間接続された変速エレメントを考慮して前記目標入力回転数に相当する値に合わせて駆動ユニットの出力回転数を調節する、
を実施することを特徴とする、トルク伝達システムを作動させるための方法により解決される。
【0010】
さらに上記課題は、本発明のトルク伝達システムの構成では、請求項10の上位概念部に記載のトルク伝達システムにおいて、前記制御ユニットが、
−ロックアップクラッチにより目下伝達されたトルクを求め、
−求められたトルクを、予め規定された目標全トルクと比較し、かつ相応する差トルクを算出し、
−トルクコンバータの目下の出力回転数を求め、
−求められた出力回転数において前記差トルクをハイドロリック的な経路を介して伝達するために必要となる、トルクコンバータの目標入力回転数を算出し、
−算出された目標入力回転数または駆動ユニットとトルクコンバータとの間に中間接続された変速エレメントを考慮して前記目標入力回転数に相当する値に合わせて駆動ユニットの出力回転数を調節する、
ことを特徴とするトルク伝達システムにより解決される。
【0011】
本発明の有利な実施形態および改良形は請求項2〜請求項9に記載されている。
【0012】
本発明の本質的思想は、ロックアップクラッチのスリップ制御からの離脱であり、スリップ制御は流体動力学的なコンバータの入力側の回転数制御によって代えられる。たとえばハイブリッド車両を用いた発進過程中に、たとえば駆動ユニットを一層好都合な作動点で作動させるために、完全にまたは主として機械的な経路を介して伝達されたトルク流れから、主としてまたは完全にハイドロリック的な経路を介して伝達されたトルク流れへの切換が必要となると、ロックアップクラッチはほぼ付加的手段なしに(verfahrensfrei)、すなわちスリップ制御なしに、解放され得る。機械的な分岐路を介して伝達されたトルクの、このときに減少する量は連続的に求められる。このような検出は、ロックアップクラッチにおいて伝達されたトルクの直接的な測定によるか、または計算により行われ得る。計算の有利な事例は、その都度伝達されたトルクをクラッチ位置の関数として表すトルク特性線が既知であることを前提条件とする。クラッチ位置は測定され得るか、またはたとえば作動モータまたはステップモータを用いた制御に基づいて既知である。実際にロックアップクラッチを介して伝達されたトルクは、目標全トルクと比較される。目標全トルクとは、変速装置の入力側に印加されるべきトルクを意味する。このことは、たとえば運転者意志、たとえばアクセルペダル位置により表される運転者意志によるか、または制御ユニットにより決定され得る。念のため付言しておくと、このトルクは静的なトルクではなく、典型的には時間的に変化するトルク経過である。このトルク経過は、特別な実施形態では、適当なモデルにより予め設定され得るか、または外挿され得る。
【0013】
ロックアップクラッチにより伝達されたトルクと目標全トルクとの比較により、差トルクの算出がもたらされる。差トルクとは、変速機入力部に目標トルクが、機械的な経路とハイドロリック的な経路とを介して伝達された部分トルクの総和として印加されるようにするために、ロックアップクラッチにより伝達されたトルクに対して付加的にトルクコンバータにより伝達されなければならないトルクである。
【0014】
引き続き、前記システムは、差トルクを実際にも、トルクコンバータを介して伝達しようと努める。この場合、重要な観点は、このトルクを、目下変速機入力側に印加されている回転数において、すなわち実質的にトルクコンバータの目下の出力回転数において伝達することである。典型的なトルクコンバータは、その構造に基づいたパッシブな伝達特性を有している。このようなパッシブな伝達特性は、与えられた出力回転数において、伝達されたトルクをコンバータの入力回転数と関係付ける。すなわち、この伝達特性を知っていれば、トルクコンバータの目下の出力回転数において差トルクの伝達のために必要となるコンバータ入力回転数を算出することができる。この算出は、制御ユニットにおいて行われる。変換のために、駆動ユニットは相応する回転数に合わせて調節される。
【0015】
ロックアップクラッチを閉じる(締結する)ための逆の事例においても、同じ検出ステップ、算出ステップおよび調節ステップを有する、相応する方法が使用可能である。
【0016】
既に述べたように、トルクコンバータの目標入力回転数を算出するためには、トルクコンバータのパッシブな伝達特性を知ることが必要となる。本発明の有利な実施態様では、トルクコンバータの目標入力回転数の算出が、トルクコンバータのパッシブな伝達特性を考慮した、メモリされた計算法則を基礎として行われる。すなわち、目標入力回転数は、メモリされた数式およびアルゴリズムを用いて連続的に新しく計算される。択一的にまたは付加的に、トルクコンバータの目標入力回転数の算出は、メモリされた特性マップを基礎として行われ得る。すなわち、目標入力回転数の算出は、主として相応する表から読み取られる。上記両方法の組合せは、たとえば粗い特性線マップからの読取りによる粗い計算と、外挿または内挿による精密調整とを包含していてよい。
【0017】
駆動ユニットは1つまたは複数の電気モータおよび/または1つまたは複数の内燃機関を有していてよい。内燃機関の場合には、内燃機関が、イグニションスイッチオンされた状態では常に所定の最低回転数を必要とすることに注意しなければならない。このことは、本発明による方法の実施を内燃機関の最低出力回転数の境界条件下に行うことにより考慮され得る。ハイブリッド駆動装置の場合には、このことは、最低出力回転数を下回る危険が迫るやいなや、内燃機関がイグニションスイッチオフされることを意味し得る。択一的に、このような状況では、ロックアップクラッチの付加的なスリップ制御を投入することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】トルク伝達システムの構造を示す概略図である。
【図2】本発明による方法の枠内でのトルク・回転数曲線を示す線図である。
【0019】
有利な実施形態の説明
図1には、本発明を適用するために適したトルク伝達システム10が概略的に図示されている。このトルク伝達システム10は自動車の動力装置もしくは駆動ユニット12を、後置された、つまりトルク伝達経路で見て駆動ユニット12の下流側に接続された変速機14に結合する。変速機14は典型的にはパワートレーン(図示しない)の別のコンポーネントに結合されている。図示のトルク伝達システム10は、ハイドロダイナミック的もしくは流体動力学的なトルクコンバータ16と、このトルクコンバータ16に対して並列接続されたロックアップクラッチ18とを有している。ロックアップクラッチ18はこの場合、摩擦クラッチとして形成されている。トルク伝達システム10と駆動ユニット12との間のインタフェースを成す前側の分岐点20では、トルクフロー、つまりトルク伝達経路が、流体動力学的なトルクコンバータ16を介して案内されるハイドロリック的な経路22と、ロックアップクラッチ18を介して案内される機械的な経路24とに分岐される。トルク伝達システム10と変速機14との間のインタフェースを成す後側の分岐点26では、前記両経路22,24が再び合流される。システムの調節に応じて、駆動ユニット12により提供された全トルクは、完全にハイドロリック的な経路22を介して流れるか、または完全に機械的な経路24を介して流れるか、または一部はハイドロリッ的な経路22を介し、一部は機械的な経路24を介して流れることができる。
【0020】
図1には、破線により、別の駆動ユニット12´と、別のトルク伝達エレメント16´,16´´;18´,18´´が示されている。これによって判るように、本発明は1つの原動機もしくは駆動ユニット12と、1つの流体動力学的なトルクコンバータ16と、1つのロックアップクラッチ18とを備えたシステムに限定されるものではない。それどころか、本発明は、基本的に任意の数の原動機と、任意の数のトルク伝達エレメントとを備えた、拡張されたシステムに対しても適用可能である。
【0021】
図2には、図1に装置において本発明による方法を適用した場合のトルクおよび回転数の経過を表す線図が純例示的に示されている。グラフ112は、パワートレーンへ送出された全トルクを示している。本実施形態において、全トルク112は運転者の意志によるか、または上位の制御装置の設定により、一定に保持されるものとする。グラフ113は駆動ユニットにより発生された駆動トルクを示している。グラフ122は、ハイドロリック的な経路22を介して伝達された部分トルクを示している。グラフ124は、機械的な経路を介して伝達された部分トルクを示している。
【0022】
グラフ116は、トルクコンバータ16の入力側に印加された回転数を示している。この回転数は図1に示した装置においては、駆動ユニット12の出力回転数に相当している。別の実施形態では、基本的に、駆動ユニット12の出力側とトルクコンバータ16の入力側との間に変速段が配置されていることが考えられる。この変速段は本発明による方法を実現する際に考慮されなければならない。しかし、本発明の重要なコンセプトは、当業者にとっては、図面に図示された単純化された事例を参照した方が判り易い。
【0023】
図2に示したシナリオでは、まず原動機トルク113が完全に機械的な経路24を介して伝達される。言い換えれば、ロックアップクラッチ18が締結された状態で駆動が行われる。したがって、伝達された全トルク112は最初は、機械的な経路24を介して伝達された部分トルク124に等しく、かつ原動機トルク113に等しい。ハイドロリック的な経路22を介して伝達された部分トルク122は、ほぼゼロである。駆動ユニット12はこの状態では比較的低い回転数レベル116で作動する。
【0024】
駆動ユニット12が、たとえば電気モータである場合、低い回転数116において高い全トルク112を付与するためには、不都合に高い電流が流れなければならない恐れがある。それに対して、駆動ユニット12が内燃機関であると、たとえば、要求された全トルク112をもたらすためには、印加された低い回転数116では不十分となるか、または内燃機関が、消費量の点で見て不都合な作動点で運転することになる恐れがある。このような理由または別の理由から、制御ユニット(図示しない)によって、駆動ユニット12の目下の作動点を、より高い回転数に向かってシフトするという決定を下すことができる。しかし、このことは、運転者のための乗り心地損失なしに、特に変速機14の入力側におけるトルクジャンプまたは回転数ジャンプなしに行われることが望まれる。
【0025】
したがって、時点t1において、本発明による方法を適用して、作動点チェンジが導入される。この作動点チェンジは時点t2において終了されている。作動点チェンジの間、ロックアップクラッチ18は解放される。ロックアップクラッチ18の解放は、ほぼ付加的手段なしに(verfahrensfrei)、つまり直接的な制御により、かつ制御メカニズム、たとえばスリップコントロールなしに行われる。ロックアップクラッチ18の解放は、機械的な経路24を介して伝達された部分トルク124を、ロックアップクラッチ18が完全に解放された状態でゼロにまで減少させる。念のため付言しておくと、ロックアップクラッチ18の完全な解放は必ずしも必要であるとは限らず、単に説明を分かり易くするために仮定したに過ぎない。部分トルク124のこの減少は、制御ユニットによって記録される。このことは、制御ユニットのメモリにファイルされた既知のトルク特性線につき行われると好都合である。このトルク特性線を介して、クラッチ位置に関連した最大伝達可能なトルクが既知である。さらに、制御ユニットには、要求された全トルク112が知られている。要求された全トルク112を測定するためには、任意の方法を使用することができる。これらの方法は、たとえばアクセルペダル位置を運転者の意志として解釈することや、時間的なトルク経過の内挿(Interpolation)または外挿(Extrapolation)を有するか、または有しない自動的な制御を設定することを包含していてよい。要求された全トルク112と、移行時に低下する機械的に伝達された部分トルク124とから、制御ユニットは差トルクを求める。この差トルクは、全トルク112を提供するために、機械的な経路24を介して伝達された部分トルク124に対して付加的に、ハイドロリック的な経路22を介して伝達されなければならず、したがってこの差トルクは、トルクコンバータ16を介して伝達された部分トルク122に相当しており、この部分トルク122はt1とt2との間の移行時に相応して増大されなければならない。
【0026】
ハイドロリック的な分岐経路22を介して伝達された部分トルク122の増大は、駆動ユニット12の回転数制御下に行われる。このためには、トルクコンバータ16のパッシブな特性が、たとえばメモリされた特性マップの形で、制御ユニットに既知でなければならない。したがって、この制御ユニットは、トルクコンバータ16がその出力側において目下の出力回転数で、要求されたトルクを提供するようにするためには、どれ程の入力回転数がトルクコンバータ16に印加されなければならないのかを算出することができる。算出されたこの回転数は次いで駆動ユニットにおいて調節され、この場合、場合によっては駆動ユニットとトルクコンバータ16との間に中間接続された変速段が考慮される。この場合、コンバータ過剰増大117が考慮されるので、t2の後で原動機トルク113はt1前よりも低くなる。さらに、t1とt2との間の移行時には、静的な成分114と動的な成分115とからのトルクの構成が考慮される。
【0027】
その結果、図示の実施形態では、出力部における全トルク曲線112の経過が一定のままとなり、それに対して、トルク伝達は機械的な経路24からハイドロリック的な経路22へ移行し、しかもこの移行は駆動ユニット12の回転数制御下に行われる。ロックアップクラッチ18は、ほぼ付加的手段なしに解放され得る。
【0028】
もちろん、発明の詳細な説明中で述べた図示の実施形態は、本発明を例示的に説明するための実施例であるに過ぎない。当業者にとっては、前記実施例に基づき、広い幅のバリエーション可能性が与えられている。特に、トルク伝達エレメント16,16´,16´´,...および18,18´,18´´,...の構造および個数ならびに駆動ユニット12,12´,...の個数および構造は各個別事例に合わせて当業者によって自由に選択され得る。
【符号の説明】
【0029】
10 トルク伝達システム
12 駆動ユニット
12´ 駆動ユニット
14 変速機
16 トルクコンバータ
16´ 別のトルク伝達エレメント
16´´ 別のトルク伝達エレメント
18 ロックアップクラッチ
18´ 別のトルク伝達エレメント
18´´ 別のトルク伝達エレメント
20 前側の分岐点
22 ハイドロリック的な経路
24 機械的な経路
26 後側の分岐点
112 全トルクのグラフ
113 原動機トルク
114 原動機トルクの静的な成分
115 原動機トルクの動的な成分
116 トルクコンバータの入力側における回転数のグラフ
117 コンバータ過剰増大
122 ハイドロリック的な経路22を介して伝達する部分トルク
124 機械的な経路24を介して伝達する部分トルク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク伝達システム(10)であって、
−当該トルク伝達システム(10)が、入力側では駆動ユニット(12)の出力軸と、出力側では変速装置(14)の入力軸とそれぞれ連結されていて、駆動ユニット(12)から変速装置(14)へのトルク伝達経路が、当該トルク伝達システム(10)を経由して延びており、
−当該トルク伝達システムが:
−流体動力学的なトルクコンバータ(16)を有しており、該トルクコンバータ(16)を経由してトルク伝達経路のハイドロリック的な経路(22)が延びており、
−機能的に前記トルクコンバータ(16)に対して並列に配置されたロックアップクラッチ(18)を有しており、該ロックアップクラッチ(18)を経由してトルク伝達経路の機械的な経路(24)が延びており、
−ハイドロリック的な経路(22)と機械的な経路(24)とへのトルクの流れの分配を、変速装置(14)の入力軸に、予め規定された全トルク経過(112)が生じるように制御する制御ユニットを有している、
形式のトルク伝達システムを作動させるための方法において、
前記制御ユニットを用いて実施される以下の方法ステップ:
−ロックアップクラッチ(18)により目下伝達されたトルク(124)を求め、
−求められたトルクを、予め規定された目標全トルク(112)と比較し、かつ相応する差トルク(122)を算出し、
−トルクコンバータ(16)の目下の出力回転数を求め、
−求められた出力回転数において前記差トルク(122)をハイドロリック的な経路(22)を介して伝達するために必要となる、トルクコンバータ(16)の目標入力回転数(116)を算出し、
−算出された目標入力回転数または中間接続された変速エレメントを考慮して前記目標入力回転数に相当する値に合わせて駆動ユニット(12)の出力回転数を調節する、
を実施することを特徴とする、トルク伝達システムを作動させるための方法。
【請求項2】
ロックアップクラッチ(18)により目下伝達されたトルク(124)を、目下のクラッチ位置から、メモリされたトルク特性線と関連して求める、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ロックアップクラッチ(18)により目下伝達されたトルク(124)を、トルク測定装置によって直接に測定する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
トルクコンバータ(16)の目標入力回転数(116)の算出を、トルクコンバータ(16)のパッシブな伝達特性を考慮する、メモリされた計算法則を基礎として行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
トルクコンバータ(16)の目標入力回転数(116)の算出を、メモリされた特性マップを基礎として行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
駆動ユニット(12)が電気モータである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
駆動ユニット(12)が内燃機関である、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
当該方法の実施を、内燃機関の最低出力回転数の境界条件下に行う、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記境界条件が維持され得ない場合には、ロックアップクラッチのスリップ制御を作動させる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
トルク伝達システムであって、
−当該トルク伝達システムが、入力側では駆動ユニット(12)の出力軸と、出力側では変速装置(14)の入力軸とそれぞれ連結されていて、駆動ユニット(12)から変速装置(14)へのトルク伝達経路が、当該トルク伝達システムを経由して延びており、
−当該トルク伝達システムが:
−流体動力学的なトルクコンバータ(16)を有しており、該トルクコンバータ(16)を経由してトルク伝達経路のハイドロリック的な経路(22)が延びており、
−機能的に前記トルクコンバータ(16)に対して並列に配置されたロックアップクラッチ(18)を有しており、該ロックアップクラッチ(18)を経由してトルク伝達経路の機械的な経路(24)が延びており、
−ハイドロリック的な経路(22)と機械的な経路(24)とへのトルクの流れの分配を、変速装置(14)の入力軸に、予め規定された全トルク経過(112)が生じるように制御する制御ユニットを有している、
形式のトルク伝達システムにおいて、
前記制御ユニットが、
−ロックアップクラッチ(18)により目下伝達されたトルク(124)を求め、
−求められたトルク(124)を、予め規定された目標全トルク(112)と比較し、かつ相応する差トルク(122)を算出し、
−トルクコンバータ(16)の目下の出力回転数を求め、
−求められた出力回転数において前記差トルク(122)をハイドロリック的な経路(22)を介して伝達するために必要となる、トルクコンバータ(16)の目標入力回転数(116)を算出し、
−算出された目標入力回転数または中間接続された変速エレメントを考慮して前記目標入力回転数に相当する値に合わせて駆動ユニット(12)の出力回転数を調節する、
ことを特徴とするトルク伝達システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−521178(P2011−521178A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508843(P2011−508843)
【出願日】平成21年5月30日(2009.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003900
【国際公開番号】WO2010/003486
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(596107062)フオルクスヴアーゲン アクチエンゲゼルシヤフト (34)
【氏名又は名称原語表記】Volkswagen AG
【住所又は居所原語表記】Wolfsburg,Germany
【Fターム(参考)】