説明

トレイ搬送時の位置規制手段を備えたディスク装置

【課題】 ディスクをセットして出し入れするトレイを備えたディスク装置であって、水平方向並びに高さ方向のトレイの位置規制を簡単に行うことが出来るディスク装置の提供。
【解決手段】 フレーム2の両外側壁4,4には内側へ水平に延びる支持部6と支持部先端には垂直下方へ延びるガイドリブ7から成る概略L型のガイド部3を複数箇所に設けている。外側壁4と所定の間隔を隔てて設けた内側壁9とを繋ぐ連結部10の一部には水平な底面11を形成すると共に、上記ガイド部3が位置する連結部10の一部には開口穴12を形成している。そしてトレイ1の両外側部には先端に位置規制リブ15を形成したスライド部13を設け、スライド部13の上面にはガイド溝14を形成し、該ガイド溝14には上記ガイド部3のガイドリブ7の下端を嵌め、位置規制リブ15は支持部6と底面11との間に挟み込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトレイがスライド搬送する際の位置規制手段を備えたディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CD、DVD等のディスクを再生する為のディスク装置は、ディスクを載せて出し入れするトレイ、ディスクをターンテーブルに載せて回転させる駆動部、そしてディスクに記録されている情報を再生するピックアップ、及び該ピックアップを移動させる送り装置等を備えたトラバースユニットから成っている。そして、これら各構成部の動きに必要なモータが備わって制御され、各モータを介してそれぞれ必要な動作を行なうことが出来る。
【0003】
ディスクを載置して装置本体から搬出・搬入するトレイの場合も同じく、該トレイはモータにて駆動されるが、その為にトレイの底面側部に設けているラックにはギアが噛み合い、ギアはモータにて回転駆動される。従って、ギアが回転するならば、噛合っているラックが移動することでトレイをスライドして搬送することが出来る。
【0004】
ところで、上記トレイがスライド搬送される場合、横方向(水平方向)及び高さ方向(上下方向)の位置を規制する為のガイド部が設けられているが、基本的には凹部と凸部の組合せで構成され、その形態には色々ある。しかし、ガイド部の配置スペースを最小限に抑えてディスク装置全体の小型化及び薄型化を図り、又ガイド部形状の簡略化に基づく成形金型の簡略化が求められる。
【0005】
特開2001−155402号に係る「ディスクローディング機構」は、トレイを移動する負荷を増やすことなく、また外形形状も殆ど変えることなく、且つ左側から右側に激しく振られる状態が発生することもなくディスクを取り込むことが出来るディスクローディング機構であり、同公報の図4に示しているように、トレイの両側端側上部を押さえるフック形状のガイド部1cの他にフレームの底面からトレイ底面のガイド溝に嵌るガイド部1a,1bをフレームの両側端部より内側に形成している。その為に、ディスク装置の幅方向においてガイド部を形成するスペースを必要としている。
【0006】
トレイの横方向及び高さ方向を正確に位置規制する場合、フレーム及びトレイ側に設けた凹部と凸部を完全嵌合状態として噛合わせるならば、該凹部及び凸部の寸法誤差に基づいてトレイのスライド搬送に支障を来たすこともある。
【特許文献1】特開2001−155402号に係る「ディスクローディング機構」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、従来のディスク装置においてトレイをスライド搬送する為の位置規制手段には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、至って簡単な形状にてトレイ搬送時の位置規制を行うことが出来、しかもフレーム側に設けたガイド部の配置スペースを最小限に抑えて小型化及び薄型化を図ることが出来るトレイ搬送時の位置規制手段を備えたディスク装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のディスク装置では、トレイの両側部にはスライド部を設け、該スライド部上面には凹状のガイド溝が形成され、スライド部先端には上下方向へ延びる位置規制リブを設けている。一方、トレイを収容するフレーム側には、その両側にガイド部を複数箇所に部分的に設け、該ガイド部は内側へ水平に延びる支持部と該支持部先端には下方へ垂直に延びるガイドリブを形成している。すなわち、概略L型形状のガイド部と成っている。
【0009】
フレームに形成したガイド部のガイドリブが上記トレイのスライド部上面に形成したガイド溝に嵌ることで、トレイの横方向の位置規制が行われる。そして、フレームの底面とガイド部の支持部との間にトレイの位置規制リブが嵌ることでトレイの高さ方向の位置規制を行うことが出来る。ここで、上記底面とはフレームの外側壁と内側壁を繋ぐ連結部の一部に水平を成して形成される面である。
【0010】
ところで、上記位置規制手段をフレーム及びトレイの両側に設けることも出来るが、反対側には上下方向を規制するガイド部を設けるだけとすることも可能である。上下方向の位置規制手段としては、例えば水平方向に開口した凹溝と該凹溝に嵌る為に水平方向へ延びる凸部との簡単な組み合わせ構造とされ、横方向の位置規制は行わない。
【0011】
そして、フレームに設けられるガイド部は該フレームと共に金型にて一体成形される為に、外側壁と内側壁を繋ぐ連結部には上記底面が形成されると共に、該ガイド部の位置に連結部を切欠いた開口穴が設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るディスク装置では、フレームの複数箇所に設けるガイド部のガイドリブ及び支持部によってトレイの左右方向及び高さ方向の位置規制が確実に出来、そのガイド部構造は簡単である。すなわち、フレームの両外側壁から延出する支持部及び支持部先端から下方へ延びるガイドリブを形成するだけでトレイの位置規制が行われる為に、ディスク装置の幅方向の寸法が小さくなって小型化できる。
【0013】
又、ガイド部は複数箇所に部分的に設けられるために、幅方向寸法を同一にするならば、フレーム内部における部品配置の変更によってディスク装置の薄型化も可能になる。一方、ガイド部の位置では外側壁と内側壁を繋ぐ連結部が切欠かれた開口穴を形成することでフレームと一体的に成形出来、該フレームを成形する金型の簡略化が可能となり、金型の製作費用は安くなる。
【実施例】
【0014】
図1、図2は本発明に係るトレイ搬送時の位置規制手段を備えたディスク装置の平面図を示し、図1はトレイが装置内部に収納されている場合、図2はトレイが搬出されている場合である。そして、同図の1はトレイ、2はフレームを表しているが、ディスク装置として一般に装着されるトラバースユニットなど、本発明の対象外の部分は省略している。トレイ1の上面にはディスクがセットされる円形凹部が形成され、モータにて回転駆動されるギアが下面に設けているラックに噛合って該トレイは搬送スライドすることが出来る。
【0015】
ところで、フレーム2の外側端には片側3箇所にガイド部3,3・・が設けられ、このガイド部3,3・・に位置規制された状態でトレイ1は搬送スライドすることが出来る。図3にはトレイ1を取外したフレーム2を単独で表しているが、該フレーム2は樹脂を材質とした成形品である。そして、両側端に形成されているガイド部3,3・・もフレーム2と共に一体に成形される。
【0016】
図4はフレーム2の側端に設けられているガイド部3、3を示している部分拡大斜視図であり、外側壁4の内面5から概略L型を成して突出している。すなわち、内面5から水平に支持部6を延ばし、該支持部先端から垂直下方へガイドリブ7が延びている。そして、内面5と支持部6とのコーナーには補強リブ8,8を設けてガイド部3の強度を補強した構造と成っている。
【0017】
外側壁4に対して、所定の間隔をおいて内側壁9を平行に設け、外側壁4の内面5から延びる連結部10にて上記内側壁9が繋がれ、連結部10は段差をもって形成されているが、その一部には水平な底面11を設けている。この連結部10の一部に開口穴12を設け、上記ガイド部3はこの開口穴12の位置に形成されている。ガイド部3は上記の通り概略L型をした形状であるが、上記開口穴12の位置に設けることでフレーム2と共に一体成形することが可能である。
【0018】
ところで、図5は上記ガイド部3にトレイ1を取付けた場合の断面を示している。トレイ1の外側部には概略T型断面のスライド部13を設けている。このスライド部13は上面にガイド溝14を形成し、先端には位置規制リブ15を有している。そして上記ガイド溝14にはガイド部3のガイドリブ7の下端が嵌り、位置規制リブ15の上端は支持部6の下面に接すると共に下端は底面11に接している。すなわち、位置規制リブ15はガイド部3の支持部6と底面11との間に挟まれて拘束されている為に、トレイ1の高さ方向の位置が規制され、スライド部13のガイド溝14にガイドリブ7が嵌ることでトレイ1の水平方向の位置が規制される。
【0019】
図6は図5の斜視図であり、トレイ1のスライド部13はフレームに設けたガイド部3にその水平方向並びに高さ方向の位置規制がされて、正しくスライドすることが出来る。そして、ガイド部3は連続することなく、フレームの外側壁の適当な3箇所に設けられる為にガイド部3,3・・間には空間が形成され、この空間部分を他の電子部品を取付ける場所として利用することが出来る。
【0020】
図7はトレイ1の反対側端の位置規制手段を示している。フレーム2の外側壁4の内面5からリブ16が水平に延び、一方のトレイ1の側端にはコ型断面のスライド部17が形成され、このスライド部17が上記リブ16を挟むように位置規制されている。このリブ16によってトレイ1の上下方向の位置は規制され、水平方向の位置は前記図4、図5に示したガイド部3によって行われる。勿論、フレーム2の両外側壁4,4に図4に示すガイド部3,3・・を設け、トレイ1の両側には図5に示すスライド部13を設けることで、図5に示す位置規制構造とすることは自由である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】トレイがフレーム内に収納されている状態のディスク装置の平面図。
【図2】トレイがフレームから搬出されている状態のディスク装置の平面図。
【図3】トレイが取外されたフレームの平面図。
【図4】フレーム側端に設けているガイド部構造を示す部分拡大斜視図。
【図5】ガイド部に位置規制されたトレイを示す縦断面図。
【図6】ガイド部にトレイが位置規制された状態を示す部分拡大斜視図。
【図7】トレイの反対側に設けられるガイド部の実施形状を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0022】
1 トレイ
2 フレーム
3 ガイド部
4 外側壁
5 内面
6 支持部
7 ガイドリブ
8 補強リブ
9 内側壁
10 連結部
11 底面
12 開口穴
13 スライド部
14 ガイド溝
15 位置規制リブ
16 リブ
17 スライド部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクをセットして出し入れするトレイを備えたディスク装置において、フレームの両方又は一方の外側壁には内側へ水平に延びる支持部と支持部先端には垂直下方へ延びるガイドリブから成る概略L型のガイド部を複数箇所に設け、外側壁と所定の間隔を隔てて設けた内側壁とを繋ぐ連結部の一部には水平な底面を形成すると共に、上記ガイド部が位置する該連結部の一部には開口穴を形成し、そしてトレイの両外側部には先端に位置規制リブを形成したスライド部を設け、スライド部の上面にはガイド溝を形成し、該ガイド溝には上記ガイド部のガイドリブ下端を嵌め、位置規制リブは支持部と底面との間に挟み込んだことを特徴とするトレイ搬送時の位置規制手段を備えたディスク装置。
【請求項2】
ディスクをセットして出し入れするトレイを備えたディスク装置において、フレームの一方外側壁には内側へ水平に延びる支持部と支持部先端には垂直下方へ延びるガイドリブから成る概略L型のガイド部を複数箇所に設け、外側壁と所定の間隔を隔てて設けた内側壁とを繋ぐ連結部の一部には水平な底面を形成すると共に、上記ガイド部が位置する連結部の一部には開口穴を形成し、そしてトレイの一方外側部には先端に位置規制リブを形成したスライド部を設け、スライド部の上面にはガイド溝を形成し、該ガイド溝には上記ガイド部のガイドリブ下端を嵌め、位置規制リブは支持部と底面との間に挟み込み、一方、フレームの他方外側壁から内側へリブを水平に延ばすと共にトレイ外側端には凹溝を形成したスライド部を形成し、そして上記凹溝に上記リブを嵌めたことを特徴とするトレイ搬送時の位置規制手段を備えたディスク装置。
【請求項3】
ディスクをセットして出し入れするトレイを備えたディスク装置において、フレームの一方外側壁には内側へ水平に延びる支持部と支持部先端には垂直下方へ延びるガイドリブから成る概略L型のガイド部を複数箇所に設け、外側壁と所定の間隔を隔てて設けた内側壁とを繋ぐ連結部の一部には水平な底面を形成すると共に、上記ガイド部が位置する連結部の一部には開口穴を形成し、そしてトレイの一方外側部には先端に位置規制リブを形成したスライド部を設け、スライド部の上面にはガイド溝を形成し、該ガイド溝には上記ガイド部のガイドリブ下端を嵌め、位置規制リブは支持部と底面との間に挟み込み、一方、フレームの他方外側壁の内面に凹溝を形成したガイド部を複数箇所に設け、トレイ外側端には水平に延びるリブを形成したスライド部を設け、そして上記凹溝に上記リブを嵌めたことを特徴とするトレイ搬送時の位置規制手段を備えたディスク装置。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−127658(P2006−127658A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315781(P2004−315781)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】