説明

トレーニングマシン

【課題】 アミューズメント性を取入れた下肢部のトレーニングマシンを提供する。
【解決手段】 筐体と、この筐体上のトレーニング者が立つ位置の回りに複数個設けた穴と、この穴から足で踏みつけ可能な標的を出没させる出没装置と、標的の出没位置を制御する制御装置と、標的が押されたことを検出する検出装置と、標的の出没情報、標的が押された回数等を表示する表示装置とを設け、前記制御装置が、標的の出現インターバル、出没速度、突出高さ、押し込み必要負荷の少なくとも一つを制御出来るようにしたトレーニングマシン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢機能の維持、強化をはかるためのトレーニングマシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
筋力強化や身体機能訓練に使用される従来のトレーニングマシンは、特定部位に負荷をかけながら行うものが多く、他の部位とのバランスを考慮してない。また、繰り返し単調な動作を行うため、飽きが生じやすく、継続して実施するのが望ましいにも関らず訓練を放棄してしまう事例も多い(例えば、特許文献1)。
一方、アミューズメント機器としてのモグラ叩きゲーム機は、複数の穴より任意に出没する標的をハンマーで叩くものとして知られているが、身体的トレーニングを考慮したものではない。
ところで、足を使ったアミューズメント機器としてダンスゲーム機があるが、これは音楽に合わせて画面に表示される箇所をタイミング良く踏むことで得点を競うものであり、平面シート上の指定箇所を単に踏めばよいだけであり、高さ方向、つまり、膝上げ動作の動作が必ずしも必要とされるものではない(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平5−317456号公報
【特許文献2】特開2000−37491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、主に下肢部をトレーニングするトレーニングマシンであって、モグラ叩きゲーム機のアミューズメント性を取入れ、また訓練結果を得点表示することによりトレーニング者に達成感を与えることで、トレーニングの放棄を防止し、かつ立位状態で身体全体のバランスを保ちながら前後左右への足の踏み込み運動を行うことで、他の部位とのバランスを考慮したトレーニングを可能とするトレーニングマシンを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるトレーニングマシンでは、筐体と、この筐体上のトレーニング者が立つ位置の回りに複数個設けた穴と、この穴から足で踏みつけ可能な標的を出没させる出没装置とを備えている。
従ってトレーニング者は、回りの穴から出没する標的を足で踏んで押し込むことを繰り返すことにより下肢機能を鍛えることができる。
【0005】
また、標的の出没位置を制御する制御装置を設けると、標的を任意の穴から出没させることが可能となり、楽しみながら下肢機能を鍛えることができる。
【0006】
また、標的が押されたことを検出する検出装置と、標的の出没情報、標的が押された回数等を表示する表示装置とを設けると、標的の出没位置、標的を押した回数等がわかり、さらに楽しみながら下肢機能を鍛えることができる。
【0007】
また、制御装置が、標的の出現インターバル、出没速度、突出高さ、押し込み必要負荷の少なくとも一つを制御出来るようにすると、トレーニング者のニーズに応じたトレーニングレベルを得ることができ、楽しみながら適切かつ効果的なトレーニングを行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
(1)楽しみながら下肢機能を鍛えることができる。
(2)立った状態で左右いずれかの足で前後左右に踏み込み動作を行うことで、バランス感覚を養うことができる。
(3)任意に出てくる標的にただちに反応する必要があるため、反射神経を養うことができる。
(4)標的の出現インターバル、出没速度、突出高さ、押し込み必要負荷等、トレーニング者のニーズに合わせてトレーニングレベルを変えることができるので、適切かつ効果的に下肢機能を鍛えることができる。
(5)高齢者の転倒の大きな原因の一つであるつまづきは、膝を持上げる力が落ちることによるすり足がその主な原因とされており、足を高く上げて歩く訓練が必要だと言われているが、本発明の踏み込み運動は膝を上げる動作を伴うものであるから、高齢者の転倒防止トレーニングとしても好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明に係るトレーニングマシンの一例を示した正面斜視図である。
筐体1の上面中央部には、トレーニング者が立つ位置を示すステップ4が設けられており、この回りには複数個の穴3が穿設され、この穴3から標的2が出没するよう構成されている。標的2は、トレーニング時の訓練者の安全性を考慮してその大きさが足裏サイズよりも十分に大きく、材質は軟質材(例えば、ゴム、発泡ウレタン等)とし、また踏みつけ部分には滑り止めを施すのが望ましい。
筐体1の正面には表示装置6が設けられており、また筐体1の左右には、トレーニング者がトレーニング中の不時の転倒を防止するための手すり5が設けられている。
【0010】
図2は、本発明に係るトレーニングマシンの構成を示した図である。
9は、本体制御装置10からの信号により作動される出没装置で、電動シリンダ、エアシリンダ、油圧シリンダ等の適宜のアクチュエータで標的2を出没させる装置である。
8は、感圧センサ、リミットスイッチ等で構成され、標的2に作用した負荷を検出する検出装置で、トレーニング者が標的2を足で踏みつけると、この検出装置8により標的2の踏み込みが検知され、その信号が本体制御装置10に出力される。このとき、検出装置8により検出された負荷情報が所定の値に達している場合には標的2が正確に踏み込まれたと判断し、所定の値に達していない場合には踏み込まれたとみなさないようにする。
6は、このトレーニングマシンに関する情報を入力したり、表示する表示装置で、本体制御装置10により制御される。
【0011】
図3は、本体制御装置10の構成を示す図である。
11は、本体制御装置10を司る中央制御装置(CPU)である。
12は、中継装置(I/F)を介して中央制御装置11に接続される外部記憶装置で、標的2の出没位置、出現インターバル、出没速度、突出高さ、押し込み必要負荷等の動作パターンプログラムや、点数計算プログラム、画像表示プログラム等が記憶されている。
中央制御装置11は、外部記憶装置12に記憶されている動作パターンプログラムに従って出没装置9を制御し、点数計算プログラム、画像表示プログラム等に従って表示装置6を駆動する。
13は、検出装置8からの信号に基き、トレーニング中及びトレーニング後の結果を記憶するメモリである。
なお、表示装置6は、タッチパネル式となっており、画面に触れることにより訓練プログラムの選択、訓練開始、終了等の信号を制御装置に送ることができるようになっている。
【0012】
次に、本発明に係るトレーニングマシンの作動を説明する(図4参照)。
トレーニング者はステップ4に立ち、表示装置6に表示される訓練コース選択画面により所定の訓練コースを選択し、訓練開始ボタンを押す。
訓練コースは、訓練時間の長さ、動作パターン等の違いによって、例えば初級コース、中級コース、上級コースと分けられている。
【0013】
標的2は、各訓練コース毎にプログラムされた出没位置、出現インターバル、出没速度、突出高さ、押し込み必要負荷で穴3から出没する。
表示装置6の画面には、標的2の出没位置、突出高さ等が表示されるので、トレーニング者はこれを目視で確認しながら標的2を足で踏みつける。
トレーニング者の能力に応じて、上手く踏みつけることが出来たり踏みつけることが出来なかったりする。
【0014】
検出装置8が標的2の踏みつけを検知した場合、その信号は中央制御装置11に送られ、この訓練コースにおいて予め決められていた条件を満たせば、表示装置6に成功のマーク(例えば○)が表示され得点が加算される。条件を満たさなかった場合には、表示装置6には失敗のマーク(例えば×)が表示され得点は加算されない。
検出装置8で標的2の踏みつけが検知された場合、あるいは規定時間内に踏みつけが検知されなかった場合には、中央制御装置11は出没装置9に信号を送り、それによりその標的2は穴3に没入し、次の標的2が出現しトレーニングは継続される。
【0015】
選択した訓練コースにおいて決められた訓練時間が経過した後、表示装置6に訓練結果が表示される。ここで訓練終了ボタンを押せばトレーニングは終了する。訓練終了ボタンを押さない場合、一定時間経過後再び訓練コース選択画面に戻る。
なお、トレーニング者は、トレーニング中は不時の転倒を防止するため、手すり5を把持しておくのが望ましい。。
【0016】
次に、トレーニング者が訓練コースとして例えば初級コースを選択した場合の例を説明する。
この場合、初級コースは、図5の(A)に示すように、訓練時間が2分(120秒)で、各標的2の出現インターバルが5秒で、所定の出没位置に順次出没するようプログラムされている。
表示装置6の表示画面には図5の(B)に示すように、標的2の出没位置に対応して標的2を示すマークが表示されており、出没する標的2に対応してそのマークが点灯するようになっている。
従って、トレーニング者は、表示装置6の表示画面に表示されるマークを見て出現した標的2を踏みつける。
この初級コースは訓練時間が2分(120秒)であるので、その間に標的2は24回出没し、訓練は終了する。
終了後は、例えば図5の(C)に示すように、踏みつけ成功回数が12回であり、踏みつけ成功度が50%等の訓練結果が表示装置6の表示画面に表示される。
【0017】
図6は、本発明の応用例を示すもので、トレーニングマシンの手すり5にトレーニング者の脈拍や血圧を検知するための生体センサー14を組込み、脈拍や血圧の変化をモニターしながらトレーニングを行ったり、訓練終了後には得られた生体センサー14のデータから算出される消費カロリーを表示装置6に表示できるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るトレーニングマシンの一例を示した正面斜視図である。
【図2】本発明に係るトレーニングマシンの構成を示した図である。
【図3】本発明に係るトレーニングマシンの本体制御装置10の構成を示す図である。
【図4】本発明に係るトレーニングマシンによるトレーニングのフローチャート図である。
【図5】本発明に係るトレーニングマシンによるトレーニングにおいて、初級コースを選択した場合の説明図である。
【図6】本発明に係るトレーニングマシンの応用例を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1 筐体
2 標的
3 穴
4 ステップ
5 手すり
6 表示装置
8 検出装置
9 出没装置
10 本体制御装置
11 CPU
12 外部記憶装置
13 メモリ
14 生体センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、この筐体上のトレーニング者が立つ位置の回りに複数個設けた穴と、この穴から足で踏みつけ可能な標的を出没させる出没装置とを設けたトレーニングマシン。
【請求項2】
標的の出没位置を制御する制御装置を設けた請求項1記載のトレーニングマシン。
【請求項3】
標的が押されたことを検出する検出装置と、標的の出没情報、標的が押された回数等を表示する表示装置とを設けた請求項1又は2記載のトレーニングマシン。
【請求項4】
制御装置が、標的の出現インターバル、出没速度、突出高さ、押し込み必要負荷の少なくとも一つを制御出来るようにした請求項2又は3記載のトレーニングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−115968(P2006−115968A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305060(P2004−305060)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)