説明

トレーニングメニュー作成システムおよびトレーニングメニュー作成方法

【課題】体脂肪率及びBMIの目標値を利用者が自由に且つ適切に設定でき、該目標に近づくためのトレーニングメニューを自動的に提供できるトレーニングメニュー作成システムおよびトレーニングメニュー作成方法を提供する。
【解決手段】トレーニングメニュー作成システム1は、利用者の体脂肪率及びBMIの実測値を含む実測データ、並びに体脂肪率及びBMIの目標値を含む目標データを入力し、利用者の体脂肪率及びBMIを目標値へ近づけるためのトレーニングメニューを作成するメニュー作成部10を備える。また、体型マップ上に、実測データに応じた第1のマーク21a、および目標データに応じた第2のマーク21bと、体型評価領域とを重ねて表示する表示部20を備える。体型評価領域の形状は、例えば長軸方向の傾きが正の楕円形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニングメニュー作成システムおよびトレーニングメニュー作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体脂肪率及びBMI(Body Mass Index、体格指数ともいう。体重÷身長)を座標軸に表し、その座標軸上の位置によって体型(肥満、筋肉質、正常など)を判定する体型マップが知られている。例えば、図14は、一般的に利用されている体型マップを示す図である。図14に示す体型マップでは、体脂肪率及びBMIからなる座標軸上の領域を複数の矩形領域に分割し、自身の体脂肪率及びBMIがどの区分に属するかによって自身の体型を把握する。また、これ以外にも、特許文献1や特許文献2には、FMI(Fat Mass Index、体脂肪量÷身長)またはLMI(Lean Mass Index、除脂肪量÷身長)とBMIとに基づいて体脂肪量および除脂肪量の多寡を判定する体型判定装置が開示されている。
【0003】
また、自身の体型を把握するだけでなく、トレーニングを行うことにより理想の体型に近づけることも望まれる。特許文献3には、図14に示した体型マップによって体型を判定し、該当する体型に適したダイエットプログラムメニューを提示する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−110962号公報
【特許文献2】特開2002−125947号公報
【特許文献3】特開2005−70853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、数千名の被験者の体組成データをもとに、体脂肪率及びBMIの座標軸上における分布状況を調べた。すると、各被験者の体脂肪率及びBMIは、座標軸上において正の傾きを有する斜め方向に沿って分布することが判明した。この結果によれば、図14に示した体型マップでは、実際には存在し得ない体型区分があることになる。例えば、図14において、現在の位置をX(やや肥満)とした場合、この図に基づいて単純に判断すると、目標位置Y(筋肉質)に達するためには体脂肪を減らせばよいと判断できる。しかし、目標位置Yは、現実には存在し得ない体型であるか、或いは存在したとしても、位置Xから目標位置Yへ移動するためには専門的且つ激しい特別なトレーニングメニューをこなす必要がある。このように、図14に示した従来の体型マップを用いると、利用者が誤った目標を設定することになりかねない。
【0005】
また、従来においては、各個人が目標とする体脂肪率及びBMIに近づくために必要なトレーニングの種類や量に関してはトレーナーの知識や経験に頼るしかなく、最適なトレーニングメニューを多数の人に提供することは難しかった。なお、特許文献1および2に記載された体型判定装置は、体型の判定を行うのみであり、トレーニングメニューを提供するものではない。また、特許文献3に記載されたダイエットプログラムのメニュー作成システムは、現在の体型から所定の体型(理想の体型は、生活習慣病のリスクが少ないBMI=22付近だといわれている)に近づくためのダイエットプログラムメニューを提示するのみであり、各個人が自由に設定した体脂肪率及びBMIの目標値に近づくためのトレーニングメニューを提供するものではない。
【0006】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、体脂肪率及びBMIの目標値を利用者が自由に且つ適切に設定でき、該目標値に近づくためのトレーニングメニューを自動的に提供できるトレーニングメニュー作成システムおよびトレーニングメニュー作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明によるトレーニングメニュー作成システムは、利用者の体脂肪率及びBMIの実測値、並びに体脂肪率及びBMIの目標値を入力し、実測値及び目標値に基づいて、利用者の体脂肪率及びBMIを目標値へ近づけるためのトレーニングメニューを作成するメニュー作成部と、体脂肪率及びBMIを座標軸とするマップ上に、実測値に応じた第1のマーク、および目標値に応じた第2のマークと、体型評価を示す複数の領域とを重ね合わせて表示する表示部とを備え、複数の領域のうち少なくとも一つの領域の形状が、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有し、座標軸における該長手方向の傾きが0より大きいことを特徴とする。
【0008】
上記トレーニングメニュー作成システムでは、表示部において表示される体型評価を示す領域の少なくとも一つが、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有しており、座標軸における長手方向の傾きが0より大きい。これにより、体脂肪率およびBMIの実際の分布状況に即した体型マップを利用者に提示して、利用者にとって適切な体脂肪率及びBMIの範囲を分かり易く知らせることができる。また、メニュー作成部によって、目標とする体脂肪率及びBMIを利用者が自由に設定でき、該目標に近づくためのトレーニングメニューを自動的に提供できる。
【0009】
また、トレーニングメニュー作成システムは、上記少なくとも一つの領域の形状が略楕円形状であることを特徴としてもよい。これにより、体脂肪率およびBMIの実際の分布状況により近い体型マップを利用者に提示できる。
【0010】
また、トレーニングメニュー作成システムは、表示部が、第1のマークを中心とする変動可能領域を更に表示し、変動可能領域の形状が、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有し、座標軸における該長手方向の傾きが0より大きいことを特徴としてもよい。これにより、利用者の現在の体脂肪率及びBMIを起点として無理なく達成可能な体脂肪率及びBMIの範囲を利用者に分かり易く提示できるので、目標とする体脂肪率及びBMIを利用者がより適切に設定できる。
【0011】
また、トレーニングメニュー作成システムは、メニュー作成部が、目標値の変化に連動してトレーニングメニューを変化させるとともに、表示部がトレーニングメニューを表示することを特徴としてもよい。これにより、体脂肪率及びBMIの目標値の変更に応じてトレーニングメニュー表示を変化させることができるので、トレーニングの程度と、それにより達成できる体脂肪率およびBMIとの相関を分かり易い形で利用者に提供できる。また、この場合、表示部が、グラフ化されたトレーニングメニューを表示することが好ましい。これにより、体脂肪率及びBMIの目標値の変更によるトレーニングメニューの変化を、利用者により分かり易い形で提示できる。
【0012】
また、本発明によるトレーニングメニュー作成方法は、利用者の体脂肪率及びBMIの実測値を入力し、体脂肪率及びBMIを座標軸として表示部に表示されたマップ上に、実測値に応じた第1のマークと、体型評価を示す複数の領域とを重ね合わせて表示する第1のステップと、体脂肪率及びBMIの目標値を入力し、該目標値に応じた第2のマークを表示部のマップ上に表示する第2のステップと、実測値及び目標値に基づいて、利用者の体脂肪率及びBMIを目標値へ近づけるためのトレーニングメニューを作成する第3のステップとを備え、複数の領域のうち少なくとも一つの領域の形状が、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有し、座標軸における該長手方向の傾きが0より大きいことを特徴とする。このトレーニングメニュー作成方法によれば、第1のステップにおいて、体脂肪率およびBMIの実際の分布状況に即した体型マップを利用者に提示し、利用者にとって適切な体脂肪率及びBMIの範囲を分かり易く知らせることができる。また、第2のステップにおいて、目標とする体脂肪率及びBMIを利用者が自由に設定でき、第3のステップにおいて、該目標に近づくためのトレーニングメニューを自動的に提供できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるトレーニングメニュー作成システムおよびトレーニングメニュー作成方法によれば、体脂肪率及びBMIの目標値を利用者が自由に且つ適切に設定でき、該目標値に近づくためのトレーニングメニューを自動的に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明によるトレーニングメニュー作成システムおよびトレーニングメニュー作成方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
まず、本実施形態によるトレーニングメニュー作成システムおよび作成方法に用いられる体型マップについて説明する。既述したように、本発明者らは、数千名の被験者の体組成データをもとに、体脂肪率及びBMIの座標軸上における分布状況を実際に調べた。図1は、その結果を示すグラフである。図1において、点P1は女性、点P2は男性の、体脂肪率およびBMIの値を示している。図1を参照すると、各被験者の体脂肪率及びBMIは、各性別毎に、座標軸上において正の傾きを有する軸線A,Bに沿って斜め方向に分布していることがわかる。そして、各性別毎の分布は、座標軸上の領域C1およびC2によって概ね表すことができる。領域C1およびC2の形状は、座標軸上において正の傾きを有する(すなわち、傾きが0より大きい)長手方向と、該長手方向と直交する短手方向とを有する形状であり、例えば上記長手方向および短手方向をそれぞれ長軸方向、短軸方向とする略楕円形状となっている。
【0016】
そして、この分布を更に詳しく調べてみると、標準体型、肥満、筋肉質、隠れ肥満、痩せ型といった体型毎に分布が分かれることが判明した。このような体型毎の分布状況(体型マップ)を図2に示す。図2において、領域C3〜C7は、それぞれ標準体型、肥満、筋肉質、隠れ肥満、および痩せ型の各分布領域を表している。これらのうち、領域C3〜C6の形状もまた、座標軸上において正の傾きを有する長手方向と、該長手方向と直交する短手方向とを有する形状(略楕円形状)である。
【0017】
また、図3は、被験者を健康女性、健康男性、肥満、隠れ肥満、スポーツ選手、および寝たきりといった区分に分けた場合の、体脂肪率及びBMIの分布状況を示す体型マップである。図3において、領域C8〜C13は、それぞれ健康女性、健康男性、肥満、隠れ肥満、スポーツ選手、および寝たきりの各分布領域を表している。被験者をこのように区分した場合でも、分布領域C8〜C13の形状は、座標軸上において正の傾きを有する長手方向と、該長手方向と直交する短手方向とを有する形状(略楕円形状)となっていることがわかる。
【0018】
これらのことから、図14に示した従来の体型マップでは、人間の体型として存在し得ない領域が表示されていることが容易に理解できる。図2、図3に示す体型マップは、人間として存在し得る体型の範囲があるということ、並びに、自身が該当する領域とは異なる領域への移動は体組成を大幅に変更しないと実現不可能であり、現実に可能な運動量や栄養処方を考慮すれば、実現可能な体脂肪率およびBMIが自ずと定まることを示している。
【0019】
また、歩行や速歩などの有酸素運動をすることにより体脂肪を効果的に減少させ得ることはよく知られている。しかし、このとき、図4に示す矢印D1のような変化(体脂肪率のみを減少させる変化)を想定していたとしても、実際には、矢印D2のように領域Cの長軸方向に沿って変化しており、体脂肪率が減少するのと同時にBMIも減少している。このことは、有酸素運動によって体脂肪が減少する一方、運動負荷が低いと筋肉量も減少することを示している。
【0020】
図14に示したような従来の体型マップでは、上述したような体脂肪率およびBMIの変化の方向性がわからないので、利用者は、適切ではない目標設定を行ってしまうおそれがある。その結果、無理な運動のために体の故障を引き起こしたり、実現不可能な目標を設定してしまうといった問題が生じる。また、図4において矢印D1の方向へ体型を変化させるためには、有酸素運動に加えて筋力トレーニングを行う必要があるが、従来の体型マップでは、そのような情報を読みとることもできない。
【0021】
以下に説明する本実施形態のトレーニングメニュー作成システムおよびトレーニングメニュー作成方法は、目標とする体脂肪率およびBMIを設定する際に、図1〜図3に示した領域C1〜C13のような形状、すなわち正の傾きを有する長手方向と、該長手方向と直交する短手方向とを有する形状(好ましくは、略楕円形状)の体型評価領域を表示することにより、実際の体脂肪率およびBMIの分布状況に即した適切な目標設定が可能な環境を提供するものである。また、運動処方に応じた体脂肪率およびBMIの変化に関する情報に基づいて、運動処方(トレーニングメニュー)を自動的に提供するものである。
【0022】
図5は、本実施形態によるトレーニングメニュー作成システム1の全体構成を示す図である。トレーニングメニュー作成システム1は、体組成計3と、タブレット型PC(液晶ディスプレイを持ち運び可能にした薄型のペン入力式パーソナルコンピュータ)5と、個人認証部7とを備える。体組成計3は、利用者(被測定者)の体重、脂肪量、除脂肪量、腕筋肉量、腕脂肪量、脚筋肉量、および脚脂肪量を測定し、所定の演算を行うことにより、利用者(被測定者)の体脂肪率およびBMIを算出する装置である。体組成計3はタブレット型PC5と電気的に接続されており、算出した体脂肪率およびBMIをタブレット型PC5へ提供する。
【0023】
個人認証部7は、利用者を認証するための部分である。個人認証部7は、各利用者が所有している認証カード等の内容を読み取り、利用者を認証・特定する。
【0024】
図6は、タブレット型PC5の機能ブロック構成を示す図である。タブレット型PC5は、メニュー作成部10および表示部20を含んで構成されている。メニュー作成部10は、利用者の体脂肪率及びBMIの実測値を含む実測データを体組成計3から入力するとともに、体脂肪率及びBMIの目標値を含む目標データを入力装置9から入力する。なお、この入力装置9は、例えばタブレット型PC5に接続されたポインタデバイス等である。そして、メニュー作成部10は、これらの実測値及び目標値に基づいて、利用者の体脂肪率及びBMIを目標値へ近づけるためのトレーニングメニューを作成する。表示部20は、図2または図3に示したような体型マップ上に実測値および目標値を重ね合わせて表示するとともに、メニュー作成部10において作成されたトレーニングメニューを表示する。
【0025】
図7は、表示部20において表示される画面の一例を示す図である。また、図8は、表示部20の表示画面のうち、体型マップ表示領域21を拡大して示す図である。図7を参照すると、表示部20の表示画面には、図2または図3に示した体型マップを示す体型マップ表示領域21、利用者の体組成を示す体組成表示領域22、およびトレーニングメニューを示すメニュー表示領域23が含まれる。
【0026】
表示部20は、体型マップ表示領域21において、現在の利用者の体脂肪率及びBMIを示す実測値に応じた第1のマーク21aと、利用者が入力した体脂肪率及びBMIの目標値に応じた第2のマーク21bと、体型評価領域(例えば、図3の領域C8〜C12)とを、互いに重ね合わせて表示する。なお、第2のマーク21bは、利用者が入力した目標値の変更に追随して移動する。
【0027】
また、表示部20は、体型マップ表示領域21において、第1のマーク21aを中心とする変動可能領域21cを更に表示する。変動可能領域21cは、利用者の現在の体脂肪率及びBMIを起点として無理なく達成可能な体脂肪率及びBMIの範囲を示しており、その形状は、図2、図3に示した各領域と同様、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有し、座標軸における該長手方向の傾きが0より大きい、例えば略楕円形状となっている。
【0028】
また、表示部20は、体組成表示領域22において、利用者の現在および目標達成時の体組成(例えば、体重、BMI、体脂肪率、脂肪量、及び除脂肪量)を表示する。なお、これらの体組成値は、図7に示すように棒グラフで表示され、現在の数値と目標達成時の数値とを視覚的に比較できることが好ましい。また、目標達成時の体組成の数値(および棒グラフ)は、利用者が入力する体脂肪率及びBMIの目標値の変化(すなわち、体型マップ表示領域21の第2のマーク21bの移動)と連動して変化することが好ましい。
【0029】
また、表示部20は、メニュー表示領域23において、目標とする体脂肪率およびBMIへ近づくためのトレーニングメニュー(例えば、トレーニング種目、負荷、および回数など)を表示する。このトレーニングメニューは、後述するメニュー作成部10において作成される。このトレーニングメニューもまた、利用者が入力した体脂肪率及びBMIの目標値の変化と連動して変化することが好ましい。
【0030】
図9および図10は、表示部20において表示される画面の他の例を示す図である。これらの例に示すように、表示部20は、メニュー表示領域23において、グラフ化されたトレーニングメニューを表示してもよい。例えば図9では、メニュー表示領域23aにおいて、トレーニングメニューに含まれる各トレーニング項目毎の運動量が棒グラフ形式で表示されている。また図10では、メニュー表示領域23bにおいて、トレーニングメニューに含まれる有酸素運動の運動量と、無酸素運動の運動量とが棒グラフ形式で表示されている。また、これらのグラフ化されたトレーニングメニューもまた、利用者が入力した体脂肪率及びBMIの目標値の変化と連動して変化することが好ましい。
【0031】
図11は、トレーニングメニュー作成システム1の機能ブロックを示す図である。図11に示すように、トレーニングメニュー作成システム1は、体型目標決定部11と、トレーニングメニュー決定部12とを有する。体型目標決定部11は、利用者が目標とする体型に必要な体組成(体重、脂肪量、除脂肪量、腕筋肉量、腕脂肪量、脚筋肉量、および脚脂肪量など)を決定するための部分である。トレーニングメニュー決定部12は、体型目標決定部11により決定された体組成に応じて、必要なトレーニングメニューを決定するための部分である。
【0032】
体型目標決定部11は、体組成計測部11a、現在体型計算部11b、体型マップ部11c、目標値指示部11d、体組成目標値算出部11e、および体組成目標値表示部11fを含む。体組成計測部11aおよび現在体型計算部11bは、本実施形態では体組成計3(図5)によって実現される機能であり、利用者の体組成(体重、脂肪量、除脂肪量、腕筋肉量、腕脂肪量、脚筋肉量、および脚脂肪量)を体組成計測部11aで測定し、現在体型計算部11bで所定の演算を行うことにより、利用者の体脂肪率およびBMIを算出する。
【0033】
体型マップ部11c、目標値指示部11d、および体組成目標値算出部11eは、本実施形態ではメニュー作成部10(図6)によって実現される機能である。体型マップ部11cは、図2または図3に示した体型マップを記憶しておく部分である。表示部20の体型マップ表示領域21には、この体型マップ部11cに記憶された体型マップが表示される。目標値指示部11dは、体脂肪率およびBMIの目標値に関する利用者からの入力を受け付ける。体組成目標値算出部11eは、体脂肪率およびBMIの目標値に応じた体組成を計算する。
【0034】
体組成目標値表示部11fは、本実施形態では表示部20によって実現される。体組成目標値表示部11fは、体組成目標値算出部11eにおいて算出された体組成と、現在の体組成とを比較する形で体組成表示領域22(図7)に表示する。
【0035】
また、トレーニングメニュー決定部12は、強度−反復回数マップ部12a、トレーニング目的指示部12b、トレーニングメニュー表示部12c、およびトレーニングメニュー印刷部12dを含む。強度−反復回数マップ部12aおよびトレーニング目的指示部12bは、本実施形態ではメニュー作成部10(図6)によって実現される。強度−反復回数マップ部12aは、或る体組成を達成するために必要なトレーニングメニュー(トレーニング種目、負荷、および回数など)を記憶しておく部分である。トレーニング目的指示部12bは、利用者のトレーニング目的(ダイエット、筋力強化など)を受け付ける。強度−反復回数マップ部12aは、体組成目標値算出部11eから入力された体組成値と、利用者のトレーニング目的とに応じて、最適なトレーニングメニューを出力する。
【0036】
トレーニングメニュー表示部12cは、本実施形態では表示部20によって実現される。トレーニングメニュー表示部12cは、強度−反復回数マップ部12aから出力されたトレーニングメニューをメニュー表示領域23(図7)に表示する。また、トレーニングメニュー印刷部12dは、表示部20に示された表示内容(体型マップ、体組成、およびトレーニングメニュー)等の印刷物を作成して利用者に提供する。なお、印刷物の内容の一例を図12に示す。
【0037】
なお、上述した体型目標決定部11およびトレーニングメニュー決定部12は常に処理を継続しており、体脂肪率およびBMIの目標値に関する目標値指示部11dへの入力の変化に連動して、目標達成時の体組成値およびトレーニングメニューを変化させる。
【0038】
次に、このトレーニングメニュー作成システムを用いたトレーニングメニュー作成方法について、図13を参照しながら説明する。図13は、本実施形態のトレーニングメニュー作成方法を示すフローチャートである。
【0039】
まず、体組成計3を用いて体組成を実測し、該体組成に基づいて体脂肪率およびBMIを算出する(ステップS1)。次に、体脂肪率及びBMIの実測値を含む実測データをメニュー作成部10に入力する。この後、表示部20の体型マップ表示領域21に、体脂肪率およびBMIの実測値に応じた第1のマーク21aと、図2または図3に示した複数の体型評価領域とが重ね合わせて表示される(ステップS2、第1のステップ)。なお、このとき、体脂肪率及びBMIの実測値に基づく体組成値を体組成表示領域22に表示するとよい。
【0040】
続いて、体脂肪率及びBMIの目標値を含む目標データをメニュー作成部10に入力する(ステップS3)。この後、表示部20の体型マップ表示領域21に、体脂肪率及びBMIの目標値に応じた第2のマーク21bが更に表示される(ステップS4、第2のステップ)。このとき、目標達成時の体組成値を体組成表示領域22に表示するとよい。続いて、体脂肪率及びBMIの実測値及び目標値に基づいて、利用者の体脂肪率及びBMIを目標値へ近づけるためのトレーニングメニューがメニュー作成部10において作成される(ステップS5、第3のステップ)。最後に、作成されたトレーニングメニューが表示部20のメニュー表示領域23に表示され、必要に応じて印刷される(ステップS6)。
【0041】
なお、表示部20の表示内容を目標値入力の変化に連動させる場合には、図の破線に示すように、ステップS3〜S6を繰り返し実行するとよい。
【0042】
以上に説明した、本実施形態のトレーニングメニュー作成システム1およびトレーニングメニュー作成方法による効果について述べる。本実施形態では、表示部20において表示される体型評価領域(図2の領域C3〜C7、或いは図3の領域C8〜C13)が、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有しており、座標軸における長手方向の傾きが0より大きい。このように、体脂肪率およびBMIの実際の分布状況に即した形状の体型評価領域を含む体型マップを利用者に提示することにより、利用者にとって適切な体脂肪率及びBMIの範囲を利用者に分かり易く知らせることができる。このため、体脂肪率およびBMIの目標設定が適切か否かの判断が容易となる。
【0043】
また、メニュー作成部10によって、目標とする体脂肪率及びBMIを利用者が自由に設定でき、該目標に近づくためのトレーニングメニューを自動的に提供できる。特に、本実施形態においては、トレーニング後の体脂肪率およびBMIの目標値を上記体型マップ上で設定することができるので、トレーニング後の体重、脂肪量、除脂肪量をトレーニング前と比較することにより、体脂肪率およびBMIの目標設定が適切か否かの判断が更に容易となる。また、目標値を達成するためのトレーニングメニューが自動的に提供されるので、そのメニューを併せて確認することにより、体脂肪率およびBMIの目標設定やトレーニングメニューが利用者にとって無理なく妥当なものであるかの判断が容易となる。また、スポーツ健康監視施設等のスタッフが、本実施形態のトレーニングメニュー作成システム1を用いて施設利用者と一緒に目標値を設定することで、経験が浅いスタッフでも質の高いサービスを提供できる。また、施設利用者が単独で目標値を設定することもできるので、効率のよいトレーニングを単独で行うことができ、体の形状や体組成とトレーニングメニューとの関係について学習することもできる。
【0044】
また、表示部20の体型マップ表示領域21に表示される体型マップ上の体型評価領域は、本実施形態のように略楕円形状であることが好ましい。これにより、体脂肪率およびBMIの実際の分布状況により近い体型マップを利用者に提示できる。
【0045】
また、表示部20は、第1のマーク21aを中心とする変動可能領域21cを表示することが好ましい。また、この変動可能領域21cの形状は、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有し、座標軸における該長手方向の傾きが0より大きいことが尚好ましい。これにより、利用者が無理なく達成可能な体脂肪率及びBMIの範囲を利用者に分かり易く提示できるので、目標とする体脂肪率及びBMIを利用者がより適切に設定できる。
【0046】
また、本実施形態のように、メニュー作成部10が目標値の変化に連動してトレーニングメニューを変化させ、表示部20がそのトレーニングメニューを表示することが好ましい。これにより、体脂肪率及びBMIの目標値の変更に応じてトレーニングメニュー表示を変化させることができるので、トレーニングの程度と、それにより達成できる体脂肪率およびBMIとの相関を分かり易い形で利用者に提供できる。また、この場合、表示部20は、図9および図10に示したように、グラフ化されたトレーニングメニューを表示することが尚好ましい。これにより、体脂肪率及びBMIの目標値の変更によるトレーニングメニューの変化を利用者により分かり易い形で提示できる。
【0047】
本発明によるトレーニングメニュー作成システムおよびトレーニングメニュー作成方法は、上記した実施形態に限られるものではなく、他にも様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態ではメニュー作成部および表示部を一つのタブレット型PCによって実現しているが、これらは別個の装置によって実現されてもよい。或いは、体組成計を含め、全ての構成が一つの装置によって実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】体脂肪率及びBMIの座標軸上における分布状況を実際に調べた結果を示すグラフである。
【図2】体脂肪率及びBMIの体型毎の分布状況を示す図である。
【図3】健康女性、健康男性、肥満、隠れ肥満、スポーツ選手、および寝たきりといった各区分の体脂肪率及びBMIの分布状況を示す図である。
【図4】有酸素運動による体脂肪率及びBMIの変化を説明するための図である。
【図5】トレーニングメニュー作成システムの全体構成を示す図である。
【図6】タブレット型PCの機能ブロック構成を示す図である。
【図7】表示部において表示される画面の一例を示す図である。
【図8】表示部の表示画面のうち、体型マップ表示領域を拡大して示す図である。
【図9】表示部において表示される画面の他の例を示す図である。
【図10】表示部において表示される画面の他の例を示す図である。
【図11】トレーニングメニュー作成システムの機能ブロックを示す図である。
【図12】トレーニングメニュー印刷部の印刷内容の一例を示す図である。
【図13】トレーニングメニュー作成方法を示すフローチャートである。
【図14】一般的に利用されている従来の体型マップを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…トレーニングメニュー作成システム、3…体組成計、5…タブレット型PC、7…個人認証部、10…メニュー作成部、20…表示部、21…体型マップ表示領域、21a…第1のマーク、21b…第2のマーク、21c…変動可能領域、22…体組成表示領域、23,23a,23b…メニュー表示領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の体脂肪率及びBMIの実測値、並びに体脂肪率及びBMIの目標値を入力し、前記実測値及び前記目標値に基づいて、前記利用者の体脂肪率及びBMIを前記目標値へ近づけるためのトレーニングメニューを作成するメニュー作成部と、
体脂肪率及びBMIを座標軸とするマップ上に、前記実測値に応じた第1のマーク、および前記目標値に応じた第2のマークと、体型評価を示す複数の領域とを重ね合わせて表示する表示部と
を備え、
前記複数の領域のうち少なくとも一つの領域の形状が、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有し、前記座標軸における該長手方向の傾きが0より大きいことを特徴とする、トレーニングメニュー作成システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの領域の形状が略楕円形状であることを特徴とする、請求項1に記載のトレーニングメニュー作成システム。
【請求項3】
前記表示部が、前記第1のマークを中心とする変動可能領域を更に表示し、
前記変動可能領域の形状が、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有し、前記座標軸における該長手方向の傾きが0より大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載のトレーニングメニュー作成システム。
【請求項4】
メニュー作成部が、前記目標値の変化に連動して前記トレーニングメニューを変化させるとともに、
前記表示部が前記トレーニングメニューを表示することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトレーニングメニュー作成システム。
【請求項5】
前記表示部が、グラフ化された前記トレーニングメニューを表示することを特徴とする、請求項4に記載のトレーニングメニュー作成システム。
【請求項6】
利用者の体脂肪率及びBMIの実測値を入力し、体脂肪率及びBMIを座標軸として前記表示部に表示されたマップ上に、前記実測値に応じた第1のマークと、体型評価を示す複数の領域とを重ね合わせて表示する第1のステップと、
体脂肪率及びBMIの目標値を入力し、該目標値に応じた第2のマークを前記表示部の前記マップ上に表示する第2のステップと、
前記実測値及び前記目標値に基づいて、前記利用者の体脂肪率及びBMIを前記目標値へ近づけるためのトレーニングメニューを作成する第3のステップと
を備え、
前記複数の領域のうち少なくとも一つの領域の形状が、長手方向および該長手方向と直交する短手方向を有し、前記座標軸における該長手方向の傾きが0より大きいことを特徴とする、トレーニングメニュー作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−6216(P2008−6216A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182389(P2006−182389)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】