トンネル作業車

【課題】異なる高さ位置でのトンネル覆工の保守点検作業などを効率良く行うことのできるトンネル作業車を提案すること。
【解決手段】トンネル作業車1をトンネル10内の作業場所で止め、昇降式作業床9を上昇位置9Bまで上昇させ、左右にスライド式拡張床11、12を張り出す。しかる後に、昇降式作業床9および一方のスライド式拡張床11の上に三段の階段状組立足場13を組む。作業員Pは、昇降式作業床9およびスライド式拡張床11に乗って作業を行うことができると共に、昇降式作業床9、スライド式拡張床12の上に設置した階段状組立足場13の各高さの足場床13a、13b、13cに乗って作業を行うことができる。したがって、トンネル10の内周面10aにおける上下方向の広い作業領域を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道用のトンネルの内周面の保守・点検作業などを行うのに適したトンネル作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル覆工コンクリートなどの保守点検作業、トンネル内の天井に設置されている換気設備、照明設備などの保守点検作業、清掃作業などを行うために、高所作業車が利用されている。トンネルの天井に作業員の手が届くように、昇降式作業台が搭載された高所作業車が提案されている。また、特許文献1においては、昇降式作業台に乗った作業員による作業範囲が広がるように、昇降式作業台から左右に張り出し可能なスライド作業台を備えた高所作業車が提案されている。この高所作業車は、昇降式作業台を上昇させることにより、トンネル内の天井に近い高い位置にある換気装置の点検、清掃作業を行うのに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−67493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、トンネル覆工の保守点検作業などを行う場合には、トンネル内周面に沿って、その地盤側の低い側面位置から高い天井位置までの広範囲に亘って作業を行う必要がある。特許文献1に開示の高所作業車では、昇降式作業台に乗った作業員が作業できる上下方向の作業範囲が限られている。このために、低い位置から高い位置に亘ってトンネル内周面の作業を行うためには、昇降式作業台の高さ位置を変更して異なる高さ位置で作業を行うという動作を繰り返す必要があり、作業効率が悪い。
【0005】
本発明の課題は、この点に鑑みて、トンネル覆工の保守点検作業などを効率良く行うことのできるトンネル作業車を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のトンネル作業車は、
鉄道のレールを走行可能な台車と、
前記台車に搭載されており、降下位置および上昇位置の間を昇降可能な昇降式作業床と、
前記昇降式作業床の幅方向の両側から横方に水平に張り出し可能なスライド式拡張床と、
前記昇降式作業床および前記スライド式拡張床の上に設置可能な組立足場とを有し、
前記昇降式作業床の床面および前記スライド式拡張床の床面には、複数の箇所に、前記組立足場設置用の足場支柱の着脱部が形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明のトンネル作業車をトンネル内の作業場所で止め、その昇降式作業床を上昇させて所定高さ位置に位置決めし、左右にスライド式拡張床を張り出す。しかる後に、昇降式作業床およびスライド式拡張床の上に所定高さの組立足場を組む。作業員は、昇降式作業床およびスライド式拡張床に乗って作業を行うことができると共に、これらの上に設置した所定高さの組立足場に乗って作業を行うことができる。したがって、トンネル内周面における上下方向の広い作業領域を確保できる。
【0008】
特に、前記組立足場が、前記昇降式作業床よりも高い位置に配置される第1足場床と、当該第1足場床よりも高い位置に配置される第2足場床との少なくとも二段の階段状組立足場の場合には、トンネル内周面における上下方向において、より広い作業領域が得られる。また、複数の作業員が異なる高さ位置において並行して作業を行うことができる。
【0009】
ここで、トンネル内は一般に上り、下りの路線が敷設されており、双方の路線の幅方向の中央部分にトンネル天井面の頂点が位置するように、かまぼこ状のトンネル内周面が形成されている。したがって、本発明のトンネル作業車を一方の路線に止め、昇降式作業床を上昇させていくと、トンネル天井の頂点とは反対側に張り出しているスライド式拡張床の側が先にトンネル内周面に当たり、それ以上、上昇させることができなくなる。この状態では、トンネル天井面側に張り出しているスライド式拡張床からトンネル天井面までの距離が大きく、スライド式拡張床に乗った作業員がトンネル天井面に届かない場合がある。
【0010】
そこで、左右の前記スライド式拡張床には、それぞれ、取り外し可能な状態で、矩形枠手摺、および、上側が幅方向の内方にセットバックしている形状の台形枠手摺の一方を取り付け可能としておくことが望ましい。トンネル内周面に先に当たる側に、台形枠手摺を取り付け、反対側に矩形枠手摺を取り付けておけば、トンネル天井側のスライド式拡張床をトンネル天井面の頂点部分に対して十分に近い位置(ここに乗った作業員が頂点部分に届く位置)まで上昇させることができる。また、左右が同一の状態のままで反対側の路線に移る場合には、台形枠手摺および矩形枠手摺を取り外して、反対側にそれぞれ取り付けるという簡単な操作を行うのみで対応可能である。
【0011】
次に、トンネル内周面における下側部分の作業を並行して行うようにするためには、前記昇降式作業床よりも下側の定まった高さ位置に水平な中段作業床を配置し、この中段作業床には、その幅方向の両側から横方に水平に張り出し可能な折り畳み式中段拡張床を取り付け、これら折り畳み式中段拡張床を、前記中段作業床の両側に連結されている連結部を中心として、予め定めた折り畳み位置および水平に張り出した張り出し位置に移動させる移動機構を配置することが望ましい。
【0012】
トンネル作業車の走行時には、左右の折り畳み式中段拡張床が邪魔にならないように折り畳み位置に退避させておき、作業時には、これらを張り出し位置に張り出せば、作業員は、昇降式作業床、スライド式拡張床よりも一段低い中段作業床、折り畳み式中段拡張床に乗って、トンネル内周面における下側部分の作業を行うことができる。
【0013】
ここで、前記移動機構としては、前記昇降式作業床の昇降動作に連動して前記折り畳み式中段拡張床を移動させるリンク部材を用いて、前記昇降式作業床が前記降下位置にあるときには前記折り畳み式中段拡張床を前記折り畳み位置に保持し、前記昇降式作業床が前記上昇位置に移動すると前記折り畳み式中段拡張床を前記張り出し位置に張り出すようにすることができる。
【0014】
次に、本発明のトンネル作業車において、上記構成に加えて、前記中段作業床の下側の定まった高さ位置にある水平な下段作業床と、この下段作業床の幅方向の両側から横方に水平に張り出し可能な折り畳み式下段拡張床と、これら折り畳み式下段拡張床を、前記下段作業床の両側に連結されている連結部を中心として、起立した折り畳み位置および水平に張り出した張り出し位置に移動させる巻上式ウインチとを配置することが望ましい。このようにすれば、作業員は、異なる三か所の高さ位置において作業を行うことができるので、背伸び、あるいは、腰を曲げるなどの無理な姿勢をとることなく、トンネル内周面の各高さ位置の部位について作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトンネル作業車は、昇降式作業台に左右に張り出し可能なスライド式拡張床を設けると共に、これらの上に組立足場を設置可能としてある。組立足場の高さを適切に設定することにより、作業員は、無理な作業姿勢をとることなく、トンネル内周面における上下方向に広範囲な領域についての作業を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)、(b)および(c)は、本発明を適用したトンネル作業車の走行時の状態を示す平面図、側面図および端面図である。
【図2】(a)、(b)および(c)は、図1のトンネル作業車の作業時の状態を示す平面図、側面図および端面図である。
【図3】(a)、(b)および(c)は、図1のトンネル作業車の昇降式作業床を示す平面図、側面図および端面図である。
【図4】(a)、(b)および(c)は、図1のトンネル作業車の組立足場を示す平面図、側面図および端面図である。
【図5】(a)、(b)および(c)は、図1のトンネル作業車の昇降式作業床の内部構造を示す平面図、縦断面図および横断面図である。
【図6】(a)、(b)および(c)は、図1のトンネル作業車の中段作業床を示す平面図、側面図および端面図である。
【図7】(a)、(b)および(c)は、図1のトンネル作業車の下段作業床を示す平面図、側面図および端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したトンネル作業車の実施の形態を説明する。
【0018】
図1(a)、(b)および(c)は、本実施の形態に係るトンネル作業車の走行時の状態を示す平面図、側面図および端面図である。トンネル作業車1は、鉄道レール2を走行可能な前後の車輪3を備えた長方形の台車4を備えており、台車4の前後の端には連結具5が取り付けられている。
【0019】
台車4の長方形の上面は床板が張られた下段作業床6となっている。この下段作業床6は、その四周縁に立設した所定高さの下段手摺7によって取り囲まれている。下段作業床6から所定の高さ位置には、一周り小さな長方形輪郭の中段作業床8が水平に配置されている。この中段作業床8の上側には、台車4よりも一回り大きな長方形輪郭の昇降式作業床9が重なった状態で配置されている。昇降式作業床9は、中段作業床8に重なった降下位置9Aから所定の距離だけ上方の上昇位置9B(図2参照)までの間を昇降可能である。
【0020】
図2(a)、(b)および(c)は、トンネル10内でのトンネル作業車1の作業時の状態を示す平面図、側面図および端面図である。図2(c)には、左半分に走行状態を示し、右半分には作業状態を示してある。作業時のトンネル作業車1においては、昇降式作業床9が上昇位置9Bまで持ち上げられる。また、昇降式作業床9の両側からは横方にスライド式拡張床11、12が引き込み位置から張り出し位置11B、12Bに張り出され、当該昇降式作業床9の上には、三段の階段状組立足場13が組み立てられる。
【0021】
階段状組立足場13は、トンネル10の内周面10aにおける天井頂点10bに近い側のスライド式拡張床12から昇降式作業床9に掛けて配置されている。また、階段状組立足場13における最も高い足場床13aがスライド式拡張床12上に位置し、その次に高い足場床13bが昇降式作業床9におけるスライド式拡張床12の側に位置し、最も低い足場床13cが昇降式作業床9における幅方向の中央に位置している。
【0022】
昇降式作業床9の下方に位置する中段作業床8においては、その両側に折り畳まれている折り畳み式中段拡張床14、15のうち、トンネル10の内周面10aに近い側の折り畳み式中段拡張床14が下方に折り畳まれた折り畳み位置14Aから水平に張り出されて張り出し位置14Bに位置決めされており、反対側の折り畳み式中段拡張床15は下方に折り畳まれた折り畳み位置15Aに保持されている。
【0023】
同様に、下段作業床6においても、その両側に折り畳まれている折り畳み式下段拡張床16、17のうち、トンネル10の内周面10aに近い側の折り畳み式下段拡張床16が上方に折り畳まれた折り畳み位置16Aから水平に張り出されて張り出し位置16Bに位置決めされており、反対側の折り畳み式下段拡張床17は上方に折り畳まれた折り畳み位置17Aに保持されている。
【0024】
作業状態のトンネル作業車1においては、図2(c)に示すように、作業員Pは、昇降式作業床9の階段状組立足場13の各高さ位置の足場床13a、13b、13c、および昇降式作業床9の上面に乗ることにより、異なる高さ位置で作業を行うことができる。また、これらの下側においては、中段作業床8から張り出されている折り畳み式中段拡張床14および下段作業床6から張り出されている折り畳み式下段拡張床16に乗って、異なる高さ位置で作業を行うことができる。したがって、図に示すように、もっとも作業し易い立ち姿勢で、トンネル10の内周面10aにおける天井頂点10bの高さ位置から地盤に近い下側近傍位置までの上下方向の広範囲に亘って作業を行うことができる。
【0025】
なお、作業状態において、下段作業床6から中段作業床8へは階段18が使用され、中段作業床8から上昇位置9Bにある昇降式作業床9へは、昇降式作業床9を上昇させた後に取り付けた梯子19が使用される。
【0026】
図3(a)、(b)および(c)は、トンネル作業車1の昇降式作業床9を示す平面図、側面図および端面図であり、左右のスライド式拡張床11、12を張り出し位置11B、12Bに張り出した状態を示してある。昇降式作業床9は、鋼製の角材などから形成した床組の上に床板を張った構成となっている。左右のスライド式拡張床11、12は、昇降式作業床9の左右の縁部分の裏面にスライド可能な状態で取り付けられている。また、昇降式作業床9には、階段状組立足場13の足場支柱を垂直に取り外し可能に立設するための支柱差し込み穴9aが一定の間隔で格子状に形成されている。同様に、左右のスライド式拡張床11、12にも、それらの左右の先端縁に沿って一定の間隔で支柱差し込み穴11a、12aが形成されている。
【0027】
一方、昇降式作業床9における走行方向の両側の端には、それぞれ、2組の枠状手摺9b、9cが着脱可能な状態で垂直に取り付けられている。枠状手摺9bは、昇降式作業床9の幅方向の側縁の側から後退するように上半部分が台形枠状となっており、他方の枠状手摺9cは一定幅の矩形枠状のものである。双方の枠状手摺9b、9cの下端部分は同一幅であり、枠状手摺9bを枠状手摺9cの側に取り付け可能であり、その逆も可能である。
【0028】
左右のスライド式拡張床11、12における一方のスライド式拡張床11には、その走行方向の両側の端に台形状の枠状手摺11bが垂直に取り外し可能な状態で取り付けられている。他方のスライド式拡張床12には、その両側の端に矩形の枠状手摺12bが着脱可能に取り付けられていると共に、その幅方向の縁に沿って4枚の矩形の枠状手摺12cが着脱可能に取り付けられている。台形状の枠状手摺11bを、矩形の枠状手摺12bの代わりに取り付けることができ、その逆も可能となっている。また、4枚の矩形の枠状手摺12cは、スライド式拡張床11の幅方向の縁に沿って取り付けることができるようになっている。
【0029】
図4(a)、(b)および(c)は、トンネル作業車1の着脱式の階段状組立足場を示す平面図、側面図および端面図である。三段の階段状組立足場13は、各段の足場床13a、13b、13cを形成するための複数枚の鋼製布板131、異なる長さの複数本の足場支柱用のパイプ132、足場支柱用のパイプ132を連結する複数本の連結パイプ133、上段および中段の足場床13a、13bの両端縁および幅方向の縁に沿って配置する手摺用の複数本のパイプ134、パイプ連結用の複数個の連結金具135などから構成されている。
【0030】
次に、図5(a)、(b)および(c)は、スライド式拡張床11のスライド機構を示す平面図、側面図およびA−A矢視図である。スライド機構20は、昇降式作業床9の裏面側に搭載されており、ギヤ付きモータ21と、ギヤ付きモータ21によって回転するピニオン22と、ピニオン22に噛み合っているラック23とを備えている。ラック23は、スライド式拡張床11に固定されており、スライド式拡張床11は昇降式作業床9によってその幅方向にスライド可能な状態で支持されている。スライド機構20としては一般的な構成を採用することができ、また、ラック、ピニオン式以外のスライド機構を採用することもできるので、詳細な説明は省略する。
【0031】
図6(a)、(b)および(c)は中段作業床8を示す平面図、側面図および端面図であり、折り畳み式中段拡張床14を張り出した状態を示してある。中段作業床8は、台車4に立設した4本の支柱31を備えた支持枠よって所定の高さ位置に水平に支持されている。中段作業床8には昇降機構、たとえば、4台のスクリュージャッキ32が組み込まれており、これらのスクリュージャッキ32によって昇降式作業床9を昇降させるようになっている。各スクリュージャッキ32は、中段作業床8に取り付けたギヤ付きモータ33によって駆動されるようになっている。たとえば、スクリュージャッキ32は日本ギア工業株式会社製のものを用いることができる。
【0032】
ここで、図6(c)から分かるように、左右の折り畳み式中段拡張床14、15は、それらの幅方向の内側の端部が中段作業床8の左右の端部に対して、上下方向に旋回自在の状態で連結部14a、15aを介して連結されている。したがって、左右の折り畳み式中段拡張床14、15は、それらの自重によって連結部14a、15aから下方に吊り下げられた折り畳み位置14A、15Bの状態となっている。走行状態においては、これら折り畳み式中段拡張床14、15が移動しないように、各支柱31に取り付けた固定プレート34に固定されている。
【0033】
また、これら折り畳み式中段拡張床14、15の幅方向の外側端には、リンクシリンダー35の下端35aに連結されている。リンクシリンダー35の上端35bは、昇降式作業床9の連結部36に取り外し可能な状態で連結されている。昇降式作業床9が降下位置9Aにある状態では、左右の折り畳み式中段拡張床14、15は、固定プレート34に固定されて、折り畳み位置14A、15Aに保持されている。
【0034】
折り畳み式中段拡張床14を固定プレート34から外し、そこに連結されているリンクシリンダー35の上端35bを昇降式作業床9の連結部36に連結する。他方の折り畳み式中段拡張床15は折り畳み位置15Aに固定したままとし、そのリンクシリンダー35の上端35bも昇降式作業床9の連結部36には連結しないようにする。この状態で昇降式作業床9を上昇位置9Bまで上昇させると、これに伴ってリンクシリンダー35が引き上げられ、図6(c)において実線で示すように、折り畳み式中段拡張床14は水平に張り出した張り出し位置14Bまで引き上げられて、その状態に保持される。他方の折り畳み式中段拡張床15はリンクシリンダー35と共に折り畳み位置15Aに保持されたままになる。逆に、昇降式作業床9を上昇位置9Bから降下位置9Aに戻すと、再び、折り畳み状態が形成される。このように、本例では、折り畳み式中段拡張床14、15を張り出すための移動機構として昇降式作業床9の昇降動作を利用しているので、当該移動機構をリンクシリンダー35を用いるだけの簡単な機構にすることができる。
【0035】
なお、中段作業床8の四周には、着脱可能な状態で、枠状手摺8aが取り付けられている。また、折り畳み式中段拡張床14、15の長辺方向の両端にも、着脱可能な状態で同一形状の枠状手摺14a、15a(図において枠状手摺14aのみを示す。)を取り付け可能となっている。
【0036】
次に、図7(a)、(b)および(c)は下段作業床6を示す平面図、側面図および端面図であり、折り畳み式下段拡張床16を張り出した状態を示してある。左右の折り畳み式下段拡張床16、17を折り畳み位置16A、17Aから張り出し位置16B、17Bに移動させるための移動機構として、ウインチ36を用いている。本例では、4本の支柱31の側面に、1台ずつのウインチ36が取り付けられている。各ウインチ36から引き出されているワイヤー37の先が、それぞれ、折り畳み式下段拡張床16、17の幅方向の外側の端に連結されている。各折り畳み式下段拡張床16、17の幅方向の内側の端は、上下に旋回可能な状態で、連結部16a、17aを介して、下段作業床6の端に取り付けられている。
【0037】
走行状態では、ウインチ36によってワイヤー37が巻きあげられており、そこに連結されている左右の折り畳み式下段拡張床16、17は起立した折り畳み位置16A、17Aに保持されている。ウインチ36によってワイヤー37を繰り出すと、各折り畳み式下段拡張床16、17が折り畳み位置16A、17Aから外方に倒れて、水平に張り出した張り出し位置16B、17Bに移動する。
【0038】
なお、本例では、中段作業床8の側の折り畳み式中段拡張床14、15が下側に折り畳まれる。起立状態に折り畳まれている下側の折り畳み式下段拡張床16、17の上に、下側に折り畳まれた上側の折り畳み式中段拡張床14、15が重なるようになっている。
【0039】
このように構成したトンネル作業車1では、図2に示す作業状態が形成される。この図から分かるように、作業員は、トンネル10の内周面10aにおける上下方向の各高さ位置の部分の作業を、最も作業のし易い立ち姿勢で行うことができる。したがって、昇降式作業床を作業毎に上下させて作業高さを変更するなどの操作が不要であり、効率良く、トンネル10の内周面の保守点検作業、清掃作業などを行うことができる。
【0040】
また、トンネル作業車1をトンネル10内の反対側の路線に移して作業を行う場合には、図2の場合とは左右対称の状態を形成することができる。したがって、手摺がトンネル10の内周面10aに干渉することなく、昇降式作業床9を上昇位置9Bまで上昇させて、トンネル天井部分の作業を行うことができる。
【0041】
(その他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態では、作業床を、昇降式作業床9(上段作業床)、中段作業床8および下段作業床6の三段構成としてある。場合によっては、昇降式作業床9のみを配置することもできる。また、昇降式作業床9と、中段作業床8あるいは下段作業床6とのに段構成とすることもできる。
【0042】
また、上記の実施の形態では、昇降式作業床9の上に着脱可能に設置される階段状組立足場13は三段であるが、一段あるいは二段としてもよく、場合によっては四段以上にすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 トンネル作業車
2 鉄道レール
4 台車
6 下段作業床
8 中段作業床
9 昇降式作業床
9A 降下位置
9B 上昇位置
9a、11a、12a 支柱差し込み穴
11、12 スライド式拡張床
11b 台形枠状手摺
12b 矩形枠状手摺
13 階段状組立足場
13a、13b、13c 足場床
14、15 折り畳み式中段拡張床
14A、15A 折り畳み位置
14B、15B 張り出し位置
16、17 折り畳み式下段拡張床
16A、16B 折り畳み位置
16B、17B 張り出し位置
35 リンクシリンダー
36 ウインチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道レール(2)を走行可能な台車(4)と、
前記台車(4)に搭載されており、降下位置(9A)および上昇位置(9B)の間を昇降可能な昇降式作業床(9)と、
前記昇降式作業床(9)の幅方向の両側から横方に水平に張り出し可能なスライド式拡張床(11、12)と、
前記昇降式作業床(9)および前記スライド式拡張床(11、12)の上に設置可能な組立足場(13)とを有し、
前記昇降式作業床(9)の床面および前記スライド式拡張床(11、12)の床面には、複数の箇所に、前記組立足場(13)の足場支柱を着脱可能な着脱部(9a、11a、12a)が形成されていることを特徴とするトンネル作業車(1)。
【請求項2】
前記組立足場(13)は、前記昇降式作業床(9)よりも高い位置に配置される第1足場床(13c)と、当該第1足場床(13c)よりも高い位置に配置される第2足場床(13b、13a)との少なくとも二段の階段状組立足場であることを特徴とする請求項1に記載のトンネル作業車(1)。
【請求項3】
左右の前記スライド式拡張床(11、12)には、それぞれ、取り外し可能な状態で、台形枠状手摺(11b)および矩形枠状手摺(12b)の一方を着脱可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のトンネル作業車(1)。
【請求項4】
前記台車(4)に搭載されており、前記昇降式作業床(9)よりも下側の定まった高さ位置にある中段作業床(8)と、
この中段作業床(8)の幅方向の両側から横方に水平に張り出し可能な折り畳み式中段拡張床(14、15)と、
これら折り畳み式中段拡張床(14、15)を、前記中段作業床(8)の両側に連結されている連結部(14a、15a)を中心として、予め定めた折り畳み位置(14A、15A)および水平に張り出した張り出し位置(14B、15B)に移動させる移動機構とを有していることを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載のトンネル作業車(1)。
【請求項5】
前記移動機構は、前記昇降式作業床(9)の昇降動作に連動して前記折り畳み式中段拡張床(14、15)を移動させるリンク部材(35)を備えており、前記昇降式作業床(9)が前記降下位置(9A)にあるときには前記折り畳み式中段拡張床(14、15)が前記折り畳み位置(14A、15A)に保持され、前記昇降式作業床(9)が前記上昇位置(9B)に移動すると前記折り畳み式中段拡張床(14、15)が前記張り出し位置(14B、15B)に張り出されることを特徴とする請求項4に記載のトンネル作業車(1)。
【請求項6】
前記台車(4)に搭載されており、前記中段作業床(8)の下側の定まった高さ位置にある下段作業床(6)と、
この下段作業床(6)の幅方向の両側から横方に水平に張り出し可能な折り畳み式下段拡張床(16、17)と、
これら折り畳み式下段拡張床(16、17)を、前記下段作業床(6)の両側に連結されている連結部(16a、17a)を中心として、起立した折り畳み位置(16A、17A)および水平に張り出した張り出し位置(16B、17B)に移動させるウインチ(36)とを有していることを特徴とする請求項4または5に記載のトンネル作業車(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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