説明

ドアの取付構造

【課題】ドア枠体を下地材と固定する構造において見込方向寸法を小さくすることのできるドアの取付構造を提供する。
【解決手段】躯体開口部の下辺には下部下地アングル30が、躯体開口部の上辺には上部下地アングル31が設けられ、縦枠12は上下端近傍にそれぞれ各下地アングルに対して締結固定される固定片20を備え、縦枠12の外周面より外側には外壁パネル3が設けられて各下地アングルに対して固定され、外壁パネル3は縦枠12の外周面と対向する面の室内側が縦枠12の外周面と離隔するように切り欠かれた段部3aを有し、固定片20は縦枠12に固定される枠固定面部20aと、各下地アングルに対して固定される室内側面部20bとが断面略L字状をなすように形成されると共に、室内側面部20bが外壁パネル3の室内面と略面一状とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア本体を開閉自在に納めるドア枠体をRC造またはSRC造の躯体開口部に取付けてなるドアの取付構造に関し、特にドア枠体の左右に外壁パネルを設けたドアの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の建物躯体に対するドアの取付構造は、躯体開口部の上下辺にそれぞれ下地材を設け、この下地材に対してドア枠体を固定するようにしていた。また、ドア枠体の周囲にはALCパネルやPCパネルからなる外壁パネルが設けられる。外壁パネルも下地材に対して固定される。躯体開口部に下地材を設け、この下地材に対して枠組みされた部材を固定するものとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平6−299758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ドア枠体を下地材に固定する際には、ドア枠体と下地材を連結する固定片が設けられる。固定片は、下地材とドア枠体の縦枠にそれぞれ固定されることにより、両者を連結する。ドア枠体の側方には、外壁パネルが近接して設けられるため、固定片によるドア枠体と下地材との固定は、ドア本体の位置よりも室内側寄りでなされていた。このため、取付構造全体の見込方向寸法が大きくなり、内壁材等と干渉する場合があった。また、固定片の位置において外壁パネルの室内面に設けられる断熱材を挿入しにくいという問題もあった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、ドア枠体を下地材と固定する構造において見込方向寸法を小さくすることのできるドアの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るドアの取付構造は、ドア本体を開閉自在に納めるドア枠体をRC造またはSRC造の躯体開口部に締結固定してなるドアの取付構造において、
前記躯体開口部の下辺には前記ドア枠体と略同幅の間隔を有して両側にそれぞれモルタルを介し下部下地アングルが設けられ、前記躯体開口部の上辺には前記ドア枠体と略同幅の間隔を有して両側にそれぞれ上部下地アングルが設けられ、
前記ドア枠体を構成する縦枠は上下端近傍にそれぞれ前記上部下地アングル及び下部下地アングルに対して締結固定される固定片を備え、前記縦枠の外周面より外側には外壁パネルが設けられて前記上部下地アングル及び下部下地アングルに対して固定され、
前記外壁パネルは前記縦枠の外周面と対向する面の室内側に切欠部を有し、前記固定片は前記縦枠に固定される枠固定面部と、前記上部下地アングル及び下部下地アングルに対して固定される室内側面部とが断面略L字状をなすように形成されると共に、前記室内側面部が前記外壁パネルの室内面と面一状とされることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係るドアの取付構造は、前記外壁パネルは前記切欠部として、前記縦枠の外周面と対向する面の室内側が前記縦枠の外周面と離隔するように切り欠かれた段部を有することを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係るドアの取付構造は、前記外壁パネルの切欠部は、前記縦枠の外周面と対向する面の室内側上下端部が切り欠かれてなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係るドアの取付構造は、前記下部下地アングル及び上部下地アングルはそれぞれ躯体開口部に対する固定面と、該固定面と直交する方向に延びる見付面とで断面略L字状に形成され、面一状とされる前記固定片の室内側面部及び外壁パネルは前記下部下地アングル及び上部下地アングルの見付面に対して固着されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るドアの取付構造によれば、外壁パネルは縦枠の外周面と対向する面の室内側に切欠部を有し、固定片の室内側面部が外壁パネルの室内面と略面一状とされることにより、固定片を外壁パネルの切り欠かれた部分に配置して、ドア枠体を下地材と固定する構造において見込方向寸法を小さくすることができる。
【0010】
また、本発明に係るドアの取付構造によれば、外壁パネルは切欠部として、縦枠の外周面と対向する面の室内側が縦枠の外周面と離隔するように切り欠かれた段部を有することにより、固定片を室内側に張り出させる必要がなく、また外壁パネルの室内面を覆うように断熱材を設ける場合に、これを容易に取付けることができる。
【0011】
さらに、本発明に係るドアの取付構造によれば、外壁パネルの切欠部は、縦枠の外周面と対向する面の室内側上下端部が切り欠かれてなることにより、外壁パネルの加工を最低限としつつ、固定片を室内側に張り出させる必要がないようにすることができる。
【0012】
さらにまた、本発明に係るドアの取付構造によれば、各下地アングルはそれぞれ躯体開口部に対する固定面と、固定面と直交する方向に延びる見付面とで断面略L字状に形成され、面一状とされる固定片の室内側面部及び外壁パネルは各下地アングルの見付面に対して固着されることにより、下地アングルを一直線状に形成して外壁パネルと固定片を固定することができるので、簡易な構造でドア枠体と下地材を固定することができる。ででとを特徴クリートパネルは前記される前記
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態におけるドアが取付けられた躯体開口部Aの正面図を示している。この図は、躯体開口部Aを室外側から見た図である。図1に示すように、本実施形態のドアは、躯体開口部Aに取付けられるドア枠体1内にドア本体2を開閉自在に納めてなるものであり、ドア枠体1の左右両側には、それぞれ外壁パネルとしてALCパネル3が配置される。ドア枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成されている。
【0014】
図2には、ドアが取付けられた躯体開口部の背面図を示している。すなわち、図2は躯体開口部Aを室内側から見た図である。図2に示すように、躯体開口部Aの上辺と下辺には、それぞれ上部下地アングル31と下部下地アングル30が取付けられており、この上部下地アングル31及び下部下地アングル30に対してドア枠体1が固定されている。また、ALCパネル3も上部下地アングル31及び下部下地アングル30に対して固定されている。
【0015】
躯体開口部Aに取付けられている下部下地アングル30は、躯体開口部Aの下辺に沿って、ドア枠体1と略同幅の間隔を有して両側にそれぞれ設けられており、ドア枠体1の周囲に設けられるALCパネル3の長さと略同じ長さを有するように形成されている。上部下地アングル31は、躯体開口部Aの上辺に沿って、ドア枠体1と略同幅の間隔を有して両側にそれぞれ設けられており、ドア枠体1の周囲に設けられるALCパネル3の長さと略同じ長さを有するように形成されている。
【0016】
ドア枠体1の取付構造について更に詳細に説明する。図3にはドア枠体1の固定部分の拡大背面図を、図4にはA−A断面図を、それぞれ示している。図3に示すように、ドア枠体1の縦枠12には、上端部と下端部近傍にそれぞれ固定片20が固定されており、各固定片20がそれぞれ上部下地アングル31と下部下地アングル30に締結固定されることにより、ドア枠体1が躯体開口部Aに対して固定されるようにしている。
【0017】
図4に示すように、上部下地アングル31は、躯体開口部Aの内周面に当接する躯体固定面31aと、躯体固定面31aの室内端部から下方に垂下された見付面31bとで断面略L字状をなすように形成されている。躯体固定面31aは、締結具により躯体開口部Aに固定される。下部下地アングル30は、躯体開口部Aの内周面と対向する固定面30aと、固定面30aの室内端部から上方に延出された見付面30bとで断面略L字状をなすように形成されている。固定面30aと躯体開口部Aの間には、モルタル41が設けられ、締結具により固定面30aはモルタル41を介して躯体開口部Aに対して固定される。
【0018】
固定片20は、縦枠12の外周面に当接してネジ止め固定される枠固定面部20aと、上部下地アングル31または下部下地アングル30に当接して締結固定される室内側面部20bとで断面略L字状をなすように形成されている。縦枠12の上端部に取付けられた固定片20は、室内側面部20bが上部下地アングル31の見付面31bに当接し、ボルトとナットからなる締結具33により固定される。縦枠12の下端部近傍に取付けられた固定片20も、室内側面部20bが下部下地アングル30の見付面30bに当接し、ボルトとナットからなる締結具33により固定される。
【0019】
図5には、ALCパネル3が取付けられている部分の縦断面図を示している。この図に示すように、ALCパネル3は上端部において室内面が上部下地アングル31の見付面31bに当接し、ALCパネル3にボルト止めされる取付金具35が上部下地アングル31の見付面31bに重なり合うことで、ALCパネル3が上部下地アングル31に対して固定される。また、ALCパネル3は下端部において室内面が下部下地アングル30の見付面30bに当接し、ALCパネル3にボルト止めされる取付金具35が下部下地アングル30の見付面30bに重なり合うことで、ALCパネル3が下部下地アングル30に対して固定されると共に、ALCパネル3の下面はスペーサ34を介して下部下地アングル30の固定面30aに支持され、締結具により締結固定されている。
【0020】
図6にはドア枠体1を躯体開口部Aに取付けた縦断面図を、図7にはドア枠体1を躯体開口部Aに取付けた横断面図を、それぞれ示している。図6に示すように、ドア枠体1の上枠10は、躯体開口部Aの内周面と所定間隔を有して対向し、その間の隙間は目地材40によって埋められている。目地材40の室外側には、上枠10と躯体開口部Aの間にシール材46が設けられ、さらに躯体開口部Aを覆うように外壁材44が取付けられる。また、上枠10の室内側には額縁材43と内壁材45が設けられて躯体開口部Aの内周面を覆っている。また、上枠10の室内面から躯体開口部Aの内周面に沿うように断熱材42が設けられる。
【0021】
ドア枠体1の下枠11は、躯体開口部Aの内周面と所定間隔を有して対向し、その間の隙間はモルタル41で埋められている。下枠11の下面にはボルトとナットからなる締結具32が設けられ、その下面は躯体開口部Aに当接している。これによってドア枠体1の取付時に躯体開口部Aに対する上下方向のレベル調整を行うことができる。下枠11と躯体開口部Aの間に生じる隙間の室外端部には、シール材46が設けられており、下枠11の室内側には床材47が設けられて躯体開口部Aの内周面を覆っている。
【0022】
図7に示すように、ドア枠体1の縦枠12の外周側には、ALCパネル3が配置されている。ALCパネル3の縦枠12に対向する面には、室内側が縦枠12の外周面と離隔するように切り欠かれた段部3aが長手方向略全長に渡って形成されており、室外側部分が縦枠12側に近接するようにされている。ALCパネル3の縦枠12に近接した部分と縦枠12との間には、目地材40が設けられる。
【0023】
ALCパネル3の室外側は外壁材44で覆われており、この外壁材44と縦枠12の外周面との間には、シール材46が設けられる。目地材40より室内側には、ALCパネル3の室内面を覆うように断熱材42が設けられる。また、縦枠12の室内側には、額縁材43及び内壁材45が設けられる。
【0024】
縦枠12に固定される固定片20は、図7に示すように枠固定面部20aが縦枠12の外周面にネジ止め固定され、枠固定面部20aと直交する室内側面部20bがALCパネル3の段部3a内に配置されてALCパネル3の室内面と面一状となっている。そして、固定片20の室内側面部20bはALCパネル3の室内面が固着される下部下地アングル30の見付面30bに対して締結固定される。
【0025】
ALCパネル3に段部3aが形成されてALCパネル3の室内部が縦枠12と離隔するように形成されているので、このように固定片20をALCパネル3の室内面と面一状として固定することができる。したがって、固定片20を室内側に張り出させる必要がなく、簡易な構造でドア枠体1を躯体開口部Aに対して固定することができる。また、ALCパネル3の室内面を覆うように設けられる断熱材42も、固定片20近傍に関して容易に取付が可能となる。
【0026】
なお、図7では下部下地アングル30と固定片20との固定部分が示されているが、上部下地アングル31と固定片20との固定構造も同様であり、上部においても固定片20の室内側面部20bはALCパネル3の室内面と面一状となるようにされている。
【0027】
本実施形態では外壁パネルとしてALCパネルを用いているが、PCパネルであってもよい。この場合におけるドア枠体1を躯体開口部Aに取付けた横断面図を図8に示している。図8に示すように、外壁パネルとしてPCパネル3を用いた場合、縦枠12に対向する面には段部は形成されない。一方で、PCパネル3の上下端部には、縦枠12に対向する面の室内側端部が切り欠かれた切欠部3bが形成されている。切欠部3bは、固定片20と下部下地アングル30または上部下地アングル31との連結部分を納めることのできる大きさに形成される。このように、縦枠12に対向する面の上下端部に切欠部3bを形成することによっても、固定片20をPCパネル3の室内面と面一状として固定することができる。したがって、固定片20を室内側に張り出させる必要がなく、簡易な構造でドア枠体1を躯体開口部Aに対して固定することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこれら実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態におけるドアが取付けられた躯体開口部の正面図である。
【図2】ドアが取付けられた躯体開口部の背面図である。
【図3】ドア枠体の固定部分の拡大背面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】ALCパネルが取付けられている部分の縦断面図である。
【図6】ドア枠体を躯体開口部に取付けた縦断面図である。
【図7】ドア枠体を躯体開口部に取付けた横断面図である。
【図8】外壁パネルとしてPCパネルを用いた場合におけるドア枠体を躯体開口部に取付けた横断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ドア枠体
2 ドア本体
3 ALCパネル
3a 段部
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
20 固定片
20a 枠固定面部
20b 室内側面部
30 下部下地アングル
31 上部下地アングル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア本体を開閉自在に納めるドア枠体をRC造またはSRC造の躯体開口部に締結固定してなるドアの取付構造において、
前記躯体開口部の下辺には前記ドア枠体と略同幅の間隔を有して両側にそれぞれモルタルを介し下部下地アングルが設けられ、前記躯体開口部の上辺には前記ドア枠体と略同幅の間隔を有して両側にそれぞれ上部下地アングルが設けられ、
前記ドア枠体を構成する縦枠は上下端近傍にそれぞれ前記上部下地アングル及び下部下地アングルに対して締結固定される固定片を備え、前記縦枠の外周面より外側には外壁パネルが設けられて前記上部下地アングル及び下部下地アングルに対して固定され、
前記外壁パネルは前記縦枠の外周面と対向する面の室内側に切欠部を有し、前記固定片は前記縦枠に固定される枠固定面部と、前記上部下地アングル及び下部下地アングルに対して固定される室内側面部とが断面略L字状をなすように形成されると共に、前記室内側面部が前記外壁パネルの室内面と面一状とされることを特徴とするドアの取付構造。
【請求項2】
前記外壁パネルは前記切欠部として、前記縦枠の外周面と対向する面の室内側が前記縦枠の外周面と離隔するように切り欠かれた段部を有することを特徴とする請求項1記載のドアの取付構造。
【請求項3】
前記外壁パネルの切欠部は、前記縦枠の外周面と対向する面の室内側上下端部が切り欠かれてなることを特徴とする請求項1記載のドアの取付構造。
【請求項4】
前記下部下地アングル及び上部下地アングルはそれぞれ躯体開口部に対する固定面と、該固定面と直交する方向に延びる見付面とで断面略L字状に形成され、面一状とされる前記固定片の室内側面部及び外壁パネルは前記下部下地アングル及び上部下地アングルの見付面に対して固着されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドアの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−243188(P2009−243188A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92199(P2008−92199)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】