説明

ドアパネル

【課題】 採光部を有する断熱構造のドアパネルの製造コストを低減するとともに意匠性を向上する。
【解決手段】 外内の表面材1,2の間に断熱パネル3を挟んだ断熱構造を有する。表面材1,2および断熱パネル3には互いに連通する貫通開口1c、2c、31がそれぞれ形成されている。表面材1,2と断熱パネル3とを貼り合わせる際に、表面材1,2と断熱パネル3との間に、貫通開口1c、2c、31を閉塞するように、光を透過する透光板4を配置する。また、断熱パネル3には、透光板4が収納される凹部32が形成されている。また、表面材1,2の貫通開口には絞り加工が施され、絞り加工により裏側に突出する周囲部1d、2dが透光板4に形成された溝41内に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関ドア等の各種ドアに用いられるドアパネルに係り、特にドアの外側の光をドアの内側に採光可能なドアパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玄関ドアには、例えば、外面および内面を構成する二枚の表面材の間に断熱材を挟んだ断熱構造を有するドアパネルを使用したものが知られている。また、ドアパネルに開口部を設け、この開口部に曇りガラス(通常のガラス板もしくは断熱性の高い二重ガラス板)を嵌め込み、外側の光を内側に採光するドアパネルも知られている。
例えば、断熱構造を有するドア本体の開口部の外側から外側額縁を嵌め込み、内側から二重ガラス板を嵌め込むとともに内側額縁を嵌め込むことで、内側額縁と外側額縁との間に二重ガラス板を挟んだ状態で外側額縁と内側額縁とをドア本体に固定させる構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上述の例とほぼ同様に額縁を使用し、透明部材(半透明部材)としてガラスに変えてアクリルを用い、かつ、額縁部分に額縁内の開口部分を横切って遮蔽する桟を設け、一つの開口部を複数に分割した状態とすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、外枠と、その表裏面に配置される表板と、裏板と、を備え、合わせガラス板を外枠の内側に配置された内枠部分の係止部材により保持する構造とし、これらガラス板を保持した外枠、表板、裏板を重ね合わせて接着するとともに、加圧しながら所定温度に保持して接着剤を硬化させて扉を製造することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、上述のように額縁をもちいて二重ガラス板を保持するとともに、内側の額縁を二重ガラス板側から室内側に向けて順次拡がる構成とし、採光されて室内側に入射した光が広い範囲を照らす構造とすることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平7−217324号公報
【特許文献2】特許第2945509号公報
【特許文献3】特開平10−184210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の採光部を有するドアパネルにおいては、透明もしくは半透明部材として例えばガラス板を保持するのに、内外の額縁を用いたり、その他の取り付け部材を用いるものとなっている。すなわち、ガラス板をドアパネルに固定するために多くの部品を用いており、かつ、ガラス板を取り付けるのに多くの作業を必要としている。これらのことから、ガラス板等の透明もしくは半透明部材を用いた採光部を有するドアパネルの製造に高いコストがかかっていた。
また、従来のドアパネルにおいては、一度採光部の形状等のデザインを決めてしまうと、デザインを変更することが困難であり、ガラス板やドアパネルの表面材だけではなく、ガラス板の取り付け部材まで変更する必要があり、デザインの変更にも大きなコストがかかることになる。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、極めて簡単に製造することができ、特に採光のための透光板を容易に取り付けることができ、かつ、極めて簡単に採光部の形状、数、配置等を変更できるドアパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のドアパネルは、外の表面材と、内の表面材と、これら外内の表面材の間に配置される断熱パネルと、を備え、前記外内の表面材および断熱パネルにそれぞれ互いに連通するように貫通開口が形成され、光を透過する透光板が前記断熱パネルと外内の表面材とのそれぞれの間に前記貫通開口を閉塞するように配置され、前記断熱パネルの表裏面の前記貫通開口の周囲に前記透光板を収容する凹部が形成され、前記外内の表面材とこれら外内の表面材の間に配置される前記断熱パネルとが前記貫通開口部分に前記透光板を挟んだ状態で接着されていることを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載の発明においては、前記貫通開口と透明部材とにより外部からの光を内部に採光可能な採光部が形成されることになるが、透光板は、外の表面材と断熱パネルとの間に固定されるとともに、内の表面材と断熱パネルとの間に固定されているので、透光板の固定に取り付け用の部材を必要とせず、採光部を有するドアパネルにおいて、部品点数を減らせるとともに、製造時の作業の工程数を減らすことができる。従って、採光部を有し、かつ、断熱構造を有し、玄関ドアに好適なドアパネルを安価に製造することができる。
また、基本的に貫通開口の形状、数、配置を変え、かつ、貫通開口に対応する大きさの透光板の配置を変えるだけで、容易にデザインを変更することができる。すなわち、本発明では、透光板用の取り付け部材が無いことから、外内の表面材や断熱パネルに穴あけ加工する際に、穴の形状や配置や数を変更しても、穴の位置に対応して透光板を配置するだけで対応することができ、透光板の取り付け部材を変更する必要がなく、デザインの変更が容易なものとなる。
【0009】
なお、デザインの変更の容易さや、採光部の強度等を考慮した場合に、貫通開口の径は、例えば、ドアパネルの面積の1/20以下等の小さいものであることが好ましい。これにより、貫通開口の数や配置で容易にデザインを大きく変更可能となる。また、多数の小さな貫通開口を配置することで、斬新なデザインのドアパネルを製造することができる。
また、透光板は、断熱パネルとともに、表面材の裏面に接着して固定されていることが好ましい。これにより、表面材の貫通開口を透光板で完全に閉塞した状態とするこができ、水密性を付与することができる。
【0010】
請求項2に記載のドアパネルは、請求項1に記載の発明において、前記断熱パネルが、複数の分割体に分割され、前記貫通開口が形成された分割体が外内の表面材の貫通開口に対応する位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、デザインを変更する際、特に貫通開口の配置を変更する場合に、貫通開口の配置が異なる断熱パネルを作成する必要はなく、複数の分割体から構成される断熱パネルにおいて、貫通開口が形成された分割体の位置を変更することで、貫通開口の配置を変更することができ、デザインの変更をより容易に行うことができる。
また、貫通開口が形成された分割体の数を変更することで、貫通開口の数の変更によるデザインの変更にも容易に対応できる。また、別の形状の貫通開口が形成された分割体が必要となるが、異なる形状の貫通開口を有する分割体を用いることにより、貫通開口の形状の変更も容易となる。
【0012】
請求項3に記載のドアパネルは、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記外内の表面材の貫通開口部分に、当該表面材の貫通開口の周囲部を裏側に突出させる絞り加工が施され、前記透光板の外もしくは内の表面材に向かう面に、前記表面材の裏側に突出する周囲部に沿って、当該周囲部が挿入される溝が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、外内の表面材の貫通開口部分において、透光板の溝に貫通開口の周囲部が入り込んだ形状となっているので、透光板の取り付け部材を用いなくても、表面部材の貫通開口の内周面が見えず、また、絞り加工された周囲部の先端縁部分も溝内に入り込むことで見えなくなり、デザイン的に優れたものとなる。
また、透光板の取り付けに額縁を用いた場合に対して斬新なデザインとなり、かつ、ガラス板の固定にシール材等を用いた場合に対して、シール材等が見えることながなく、より優れたデザインとなる。すなわち、極めて簡単な構造で、かつ、安価に製造できるドアパネルにおいて、斬新なデザインを形成することができる。
【0014】
また、表面材を金属板とした場合に、穴あけ加工した際の小口部分をさらに絞り加工し、かつ、絞り加工により形成された前記周囲部の先端部が透光板に形成された溝内に入り、見えない状態でかつ触れない状態となるので、穴あけ加工された小口部分を面取りや研磨加工しなくても良い。
【0015】
また、表面材の裏面側に透光板を取り付ける際に、表面材の裏側に突出する周囲部と、透光板の溝を合わせることで、表面材に対して透光板を容易に位置決めすることができる。すなわち、位置出しができる。また、透光板の溝に表面材の周囲部が嵌合した状態となることで、透光板の表面材の面方向へのずれを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のドアパネルによれば、断熱構造を有し、かつ、採光部を有する玄関ドアに最適で、さらに今までに無い斬新でかつ多様なデザインを可能とするドアパネルを製造が容易な簡単な構造とし、かつ、このようなドアパネルを安価に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図6は、本発明の実施の形態に係るドアパネルを示す図であって、図1は正面図であり、図2は背面図であり、図3は横断面であり、図4は縦断面であり、図5は要部の拡大断面図であり、図6はドアパネルの製造工程を示す斜視図である。
これらの図に示すように、この実施形態のドアパネルは、玄関ドア用のドアパネルであり、外の表面材1と、内の表面材2と、これら外内の表面材1,2の間に配置される断熱パネル3と、透光板4とを備えるものである。
【0018】
外の表面材1は、ドアが設けられる部分(例えば、住宅や部屋)に対して外側となる外面を構成する部材であり、内の表面材2は、ドアが設けられる部分に対して内側となる内面を構成する部材である。そして、この実施形態においては、外の表面材1と内の表面材2とは、左右が逆となっているが、ほぼ同様の形状となっている。また、外内の表面材1,2は、鋼板製となっている。なお、鋼板としては、例えば、耐食性の高い溶融めっき鋼板等を使用している。
【0019】
外内の表面材1、2は、上述の外面もしくは内面を構成する板体1a、2aが上下に長尺な矩形状に形成され、この板体1a、2aの周囲を構成する4辺のうちのドアの開放端となる長辺を除く辺には、図6に示すように、板体1a、2aを裏側に向かって直角に折った状態の折辺1b、2bが設けられている。なお、折辺1b、2bの高さは、ドアパネルの厚みの約半分となっている。
また、表面材1、2には、その板体1a、2aに、貫通開口1c、2cが複数形成されている。この例では、表面材1,2の左右方向の中央部に左右に2個並んだ対となる貫通開口1c、2cが上下に9箇所設けられている。なお、貫通開口1c、2cの配置位置と、数とは、デザイン上の問題であり、図示されるような配列に限定されるものではなく、様々な配列とすることが可能である。
【0020】
また、各貫通開口1c、2cの形状は、円とされ、その径は、例えば、10〜60mmとされ、この例では50mmとされている。なお、貫通開口1c、2cの形状や径もデザイン上の問題であり、形状は円に限定されるものではなく、三角、四角といった多角形状であっても良いし、円以外の曲線を用いた楕円や水滴状の形状などであっても良いし、穴として形成できるものならどのような形状でも良い。
また、貫通開口1c、2cの大きさも、上述の径に限定されるものではないが、上述のような径の範囲とすることで、デザインの多様性や、ドアの強度を確保できるとともに、後述するように透光板4として用いられるアクリル板の露出面の範囲を制限して、アクリル板表面への傷の発生を防止している。また、上述の径の範囲とすることで、後述のタレパン加工機での穴あけ加工および絞り加工を可能とすることができる。
【0021】
また、貫通開口1c、2cには、図5に示すように、絞り加工が施されており、表面材1、2の板体1a、2aの貫通開口1c、2cの周囲部1d、2dが貫通開口1c、2cの周囲に沿った状態で裏側に突出している。
なお、この絞り加工が施された貫通開口1c、2cの穴あけ加工および絞り加工は、例えば、ターレットパンチプレス(タレパン)加工機が用いられる。タレパン加工機を用いることにより、同じ形状の貫通開口1c、2cを任意の数で、任意の配置に形成することができる。すなわち、貫通開口1c、2cの金型があれば、貫通開口1c、2cの配置や、数は容易に変更可能であり、1種の金型でも多様なデザインとすることができる。なお、金型を2種以上用いても良い。また、外の表面材1の貫通開口1c、…と、内の表面材2の貫通開口2c、…とは、外の表面材1と内の表面材2とをドアパネルの外面、内面として貼り合わせた状態とした際に、前後に完全に重なる位置に配置され、後述の断熱パネル3の貫通開口31を含めて互いに連通するようになっている。
すなわち、外内の表面材1,2および断熱パネル3にそれぞれ互いに連通するように貫通開口1c、2c、31が形成されている。
【0022】
なお、外の表面材1、内の表面材2、断熱パネル3の貫通開口1c、2c、31は互いに連通していれば、形状を異なるものとしてもよく、例えば、外の表面材1と内の表面材とで貫通開口1c、2cの形状を変更して異なるデザインとしても良い。なお、図1,2に示すようにドアパネルには、例えば、上下二つの錠6,6と、これら錠6,6の間に設けられたプッシュプル式のハンドル7と、蝶番8とが設けられている。
【0023】
断熱パネル3は、外内の表面材1、2の間に配置されるもので、その表側の面に外の表面材1が接着され、その裏側の面に内の表面材2が接着される。なお、断熱パネルの表裏面は、ほぼ同様の形状となっている。また、断熱パネル3は、例えば、発泡ポリスチレンなどからなるものである。
また、断熱パネル3は、図6に示すように、複数の分割体3a、3b、3cからなっている。そして、分割体3a、3b、3cには、表面材1,2の貫通開口1c、2cに対応する貫通開口31が形成された分割体3aと、ドアの左右側縁部をそれぞれ構成する二つの分割体3b、3bと、上下に並んで配置される分割体3a同士の間と、最上部の分割体3aの上と、最下部の分割体3aの下とに配置され、スペーサとして機能する分割体3cとがある。すなわち、断熱パネル3が、複数(複数種)の分割体3a、3b、3cに分割され、前記貫通開口31が形成された分割体3aが外内の表面材1,2の貫通開口1c、2cに対応する位置に配置されている。
これにより、例えば、貫通開口31を有する分割体3aの数と位置を変更し、さらにスペーサとして機能する分割体3cを変更することで、上述の対となる貫通開口31の上下配置の間隔や数を容易に変更することができる。なお、主要な分割体3a、3b、3cの外形を同様の形状として、各分割体3a、3b、3cの位置を自由に入れ替えられるような構成としても良い。
【0024】
また、貫通開口31が形成された断熱パネル3の分割体3aの貫通開口31の周囲には、透光板4を収納可能な凹部32が形成されている。この凹部32は、正面から見て透光板4の形状に対応した形状を有するもので、ここでは矩形状に形成されている。また、凹部32の深さは、透光板4の厚みに対応したものとなっている。すなわち、断熱パネル3の表裏面の貫通開口31の周囲に前記透光板を収容する凹部32が形成されている。
【0025】
透光板4は、例えば、アクリル系樹脂などからなるものであり、例えばマット加工されたキャスト板を用いているが、押し出し板を用いても良いし、マット加工されていないものを用いても良い。
また、透光板4は、基本的に光を透過するものならば良く、アクリル系以外の透明樹脂を用いても良いし、ガラスを用いても良い。なお、本発明では、透光板4の交換が困難なことから、耐衝撃性に優れ割れにくいアクリル板を用いるものとしている。
また、透光板4は、透明であっても半透明であっても良いし、無色であっても、白色、緑色、青色、赤色、黄色等の有色であっても良い。
【0026】
また、透光板4は、前記外内の表面材1,2と断熱パネル3との間に配置されるとともに、表面材1,2の貫通開口1c、2cおよび断熱パネル3の貫通開口31を閉塞するように配置される。すなわち、断熱パネル3の一方の面側において、貫通開口31と外の表面材1の貫通開口1cを透光板4が閉塞し、断熱パネル3の他方の面側において、貫通開口31と内の表面材2の貫通開口2cを透光板4が閉塞することになる。
【0027】
従って、透光板4は、貫通開口1c、2cおよび貫通開口31より広い面積を有し、貫通開口1c、2cおよび貫通開口31を完全に覆う形状となっている。ここでは、貫通開口1c、2cおよび貫通開口31が同じ径の円形で互いにほぼ完全に重なるように配置されるので、透光板4は、貫通開口1c、2cおよび貫通開口31の径より一辺の長さが長い矩形状となっている。
以上のことから、光を透過する透光板4が前記断熱パネル3と外内の表面材1,2とのそれぞれの間に貫通開口1c、2c、31を閉塞するように配置されている。
【0028】
なお、図3,4においては、1枚の透光板4が上述のように対となった近接する二つの貫通開口1c、2c、31を覆う構成としているが、図6に示すように1枚の透光板が貫通開口1c、2c、31を覆う構成としても良い。すなわち、複数の貫通開口1c、2c、31が互いに近接して形成されている場合は、一枚の透光板4で複数の貫通開口1c、2c、31を閉塞する構成としても良いし、それぞれの貫通開口1c、2c、31を異なる透光板4で閉塞するようにしても良い。
【0029】
また、透光板4は、表面材1,2の裏面側に接着により取り付けられるようになっているが、表面材1,2の貫通開口1c、2cの裏面側には、絞り加工により周囲部1d、2dが突出している。それに対応して透光板4には、周囲部1d、2dに対応する形状の溝41が形成されている。すなわち、透光板4の外もしくは内の表面材1,2に向かう面に、前記表面材1,2の裏側に突出する周囲部1d、2dに沿って、当該周囲部1d、2dが挿入される溝41が形成されている。
【0030】
この例では、円環状の周囲部1d、2dに対応して透光板4の表面材1,2に向かう面に図5に示すように溝41が形成されている。また、溝41の幅は、周囲部1d、2dを挿入可能とするように周囲部1d、2dの厚みより広いものとなっており、多少の形状の誤差を吸収できるようになっている。また、実際には、溝41の幅は、周囲部1d、2dの厚みの数倍の広さとなっているが、溝41の内周よりに周囲部1d、2dが配置されることにより、溝41の外周側が表面材1,2に覆われ、溝41の表面材1,2の貫通開口1c、2cからの露出部分は僅かなものとなっている。
【0031】
そして、表面材1,2の裏面側の貫通開口1c、2cの位置に透光板4を接着した状態では、表面材1,2の表面と、透光板4の貫通開口1c、2cから露出する表面とは、表面材1,2の厚み分だけ位置がずれ、貫通開口1c、2cの外周部分で僅かに段差が生じることになる。しかし、これは僅かな段差のため見た目は、ほとんど段差の無い面一の状態となる。また、表面材1,2の周囲部1d、2dが透光板4の溝41に入り込むことで、表面材1,2の貫通開口1c、2cの内周縁となる部分が隠された状態となり、特に額縁等の部材を用いなくても表面材1,2と透光板4との見切り部分(貫通開口1c、2cの外周縁)をすっきりした斬新な意匠とすることができる。
また、表面材1,2の周囲部1d、2dが透光板4の溝41に入り込むことで、周囲部1d、2dの先端部分が他のものに触れることがなく、穴あけ加工された際の切り口となる周囲部1d、2dの先端部分を面取りしたり研磨したりする必要がなくなり、コストを低減できる。
【0032】
また、表面材1,2の裏面において、貫通開口1c、2cの外側で、貫通開口1c、2cを囲む部分に透光板4が接着された状態となるので、透光板4は表面材1,2の貫通開口1c、2cを水密に閉塞した状態となり、台風時等において風雨がドアパネルに吹き付けるようなことがあっても、外の表面材1の貫通開口1cからドアパネル内に雨水が浸入したり、外の表面材1、断熱パネル3、内の表面材2の連通する貫通開口1c、2c、31を雨水が通りぬけ、雨水がドアの外側から内側に侵入したりするのを確実に防止できる。
【0033】
以上のように、外内の表面材1,2とこれら外内の表面材1,2の間に配置される断熱パネルと3が貫通開口1c、2c、31部分に透光板4を挟んだ状態で接着されることでドアパネルが構成される。
【0034】
次に、以上のような構成のドアパネルの組み立て方法を説明する。
まず、表面材1,2には、予めタレパン加工機により貫通開口1c、2cを形成しておく。この際には、表面材1,2毎に、タレパン加工機のプログラム(データ)を変更することで、貫通開口1c、2cの配置、数を変えることができる。さらに、金型を変更することで貫通開口1c、2cの形状を変えることもできる。
【0035】
また、断熱パネル3は、上述のように複数の分割体3a、3b、3cからなるので、例えば、貫通開口31が設けられた分割体3aの配置位置や数を変えることで、上述の表面材1c、2cの貫通開口1c、2cの配置、数の変更に容易に対応することができる。
また、予め異なる形状の貫通開口31を有する分割体3aを在庫しておくことにより、表面材1,2の貫通開口1c、2cの形状の変更にも容易に対応することができる。
従って、ドアパネルのデザインを一枚ごとにオーダーメードで受注して生産することも可能となる。
【0036】
そして、ドアパネルの組み立てにおいては、一方の表面材1,2として、例えば、外の表面材1(内の表面材2でも良い)の裏面のほぼ全面に接着剤を塗布する。次いで、表面材1の裏面の各貫通開口1cの位置に透光板4を貼り付ける。この際には、表面材1の貫通開口1cの絞り加工により形成された周囲部1dが透光板4の溝41に入り込むようにすることで、容易に表面材1の貫通開口1cの位置に透光板4を位置合わせすることができる。
【0037】
そして、表面材1の全ての貫通開口1c部分に透光板4を接着した後に、表面材1の裏面上に断熱パネル3を接着する。この際には、断熱パネル3の各分割体3a、3b、3cを貼り付けていくことになるが、貫通開口31を有する分割体3aには、上述のように透光板4を収容する凹部32が形成されているので、透光板4を凹部32に入れるように分割体3aを表面材1に貼り付けることで、容易に表面材1の貫通開口1cに分割体3aの貫通開口31を連通するように位置合わせすることができる。
また、表面材1の裏面に断熱パネル3を貼り付ける際に、断熱パネル3の周囲を囲むように矩形枠上の外枠5(図3,4に図示)を配置する。なお、外枠5は、チャネル状の鋼材を枠状に形成したものである。
【0038】
また、他方の表面材2の裏面にも接着材を塗布し、一方の表面材1と同様に透光板4を貼り付ける。そして、上述のように一方の表面材1の上に貼り付けられた断熱パネル3と他方の表面材2とを張り合わせて一枚のドアパネルとする。
その後、張り合わせられたドアパネルを所定温度で加圧した状態に保持して接着剤を硬化させる。
また、上述の錠6,6、ハンドル7、蝶番8等を取り付ける。
【0039】
以上のようなドアパネルによれば、玄関ドアとして最適な採光部を有する断熱構造のドアパネルを極めて低コストで容易に製造することができる。特に採光部を形成する透光板の取り付けに、額縁等の取り付け部材を使用せず、接着するだけで容易に取り付けることができる。また、ドアパネルを斬新なデザインとすることができるとともに容易にデザインを変更してドアパネルを製造することができるので、オーダーメードでドアパネルを提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、建築物の各種ドアに適用することができ、かつ、住宅の玄関ドアに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係るドアパネルを示す図であって、正面図である。
【図2】同、背面図である。
【図3】同、横断面図である。
【図4】同、縦断面図である。
【図5】同、要部の拡大断面図である。
【図6】ドアパネルの製造工程を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1 外の表面材
1c 貫通開口
1d 周囲部
2 内の表面材
2c 貫通開口
2d 周囲部
3 断熱パネル
31 貫通開口
32 凹部
3a 分割体
3b 分割体
3c 分割体
4 透光板
41 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外の表面材と、
内の表面材と、
これら外内の表面材の間に配置される断熱パネルと、を備え、
前記外内の表面材および断熱パネルにそれぞれ互いに連通するように貫通開口が形成され、
光を透過する透光板が前記断熱パネルと外内の表面材とのそれぞれの間に前記貫通開口を閉塞するように配置され、
前記断熱パネルの表裏面の前記貫通開口の周囲に前記透光板を収容する凹部が形成され、
前記外内の表面材とこれら外内の表面材の間に配置される前記断熱パネルとが前記貫通開口部分に前記透光板を挟んだ状態で接着されていることを特徴とするドアパネル。
【請求項2】
前記断熱パネルが、複数の分割体に分割され、前記貫通開口が形成された分割体が外内の表面材の貫通開口に対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のドアパネル。
【請求項3】
前記外内の表面材の貫通開口部分に、当該表面材の貫通開口の周囲部を裏側に突出させる絞り加工が施され、
前記透光板の外もしくは内の表面材に向かう面に、前記表面材の裏側に突出する周囲部に沿って、当該周囲部が挿入される溝が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドアパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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