説明

ドア枠の床パンへの取付構造

【課題】ドア枠が載置される面が床パンの床面よりも下方に位置していて水が溜り難いドア枠の床パンへの取付構造を提供する。
【解決手段】床パン1は、上面が床面21となる床部2と、床部2の周端縁から外方に連設され上面が床面21よりも高く形成される被載置部3と、被載置部3の周端縁から上方に突設される起立片4とを備える。ドア枠5は、下枠51に長手方向に亘って下方に開口する起立片収容溝53が形成される。起立片収容溝に起立片4が収容されるように下枠51が被載置部3に載置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床パンの周縁にドア枠が載置されてなるドア枠の床パンへの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バリアフリー化が促進されており、ユニットバス等のユニットルームにおいてもバリアフリー化が促進されている。ユニットルームは、図2(a)に示すように、床パン91の床面96の周端縁に起立片92が設けられ、図示しないが起立片92の上端部に壁パネルが載設されると共に壁パネルの上端部に天井パネルが載設されて構成される。
【0003】
ドアが取り付けられるため、図2(a)中の破線部で切断されて床パン91の一部93が切除され、切欠部が形成される。そして図2(b)に示すように、床パン91の切欠部が形成された部分に設けられるドア受け部材94にドア枠95が載置されて、ドアが取付けられていた(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、他の従来例として、図3に示すように、床面96の周端縁にドア載せ部97が凹設され、このドア載せ部97の底面にドア枠95が載置されるものもあった。
【0005】
これら従来例にあっては、ドア枠95が載置されるドア受け部材94の被載置面98(図2参照)やドア載せ部97の底面は床面96よりも下方に位置していて、ドア枠95が低い位置に取り付けられることで、バリアフリー化に対応するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−146794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図2に示す従来例にあっては、床パン91の起立片92の一部が切除される必要があってこの工程が煩雑であると共に、ドア受け部材94の被載置面98が床面96よりも下方に位置していて、この部分に水が溜り易いものであった。また、図3に示す従来例にあっても、ドア載せ部97の底面が床面96よりも下方に位置していて、この部分に水が溜り易いものであった。
【0008】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、ドア枠が載置される面が床パンの床面よりも下方に位置していて水が溜り易い、ということのないドア枠の床パンへの取付構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、ドア枠の床パンへの取付構造であって、前記床パンは、上面が床面となる床部と、前記床部の周端縁から外方に連設され上面が前記床面よりも高く形成される被載置部と、前記被載置部の周端縁から上方に突設される起立片とを備え、前記ドア枠は、下枠に長手方向に亘って下方に開口する起立片収容溝が形成され、前記起立片収容溝に前記起立片が収容されるように前記下枠が前記被載置部に載置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、ドア枠が載置される被載置面が床パンの床面よりも上方に位置していて、被載置面に水が溜り難いものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の要部断面図である。
【図2】従来例の要部断面図である。
【図3】他の従来例の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図1に基いて説明する。
【0013】
ユニットルームは、建物の躯体の壁で囲まれたスペースに床パン1が設置され、この床パン1上に壁パネル(図示せず)が載置されるとともに壁パネル上に天井パネル(図示せず)が載置されて構成される。
【0014】
床パン1は、上面が床面21となる床部2と、床部2から外方に連設される被載置部3と、被載置部3から上方に突設される起立片4とを備えている。
【0015】
床部2は、通常は平面視略矩形状をしているが、特に形状は限定されない。床部2の周端縁からは下方に向けて脚部22が突設されている。
【0016】
被載置部3は、床部2の周端縁から外方に連設され、上面が壁パネル又はドア枠5が載置される被載置面31となるもので、後述する。この被載置面31は、床部2の床面21よりも若干高くなるように形成され、床部2からの水が溜り難く抜け易いようになっている。
【0017】
起立片4は、被載置部3の周端縁から上方に突設されるものであるが、被載置面31からの高さが、バリアフリー化のため、通常の高さ(20〜30mm程度)よりも短い高さ(5〜10mm程度)に形成されている。
【0018】
ドア枠5は、上枠(図示せず)と下枠51と左右の縦枠52とからなる正面視略矩形状をしたもので、別体の上枠、下枠51、左右の縦枠52が連結されて組み立てられてもよいし、一体に形成されてもよい。なお、前記左右は、便宜上、浴室内側から見た時の左右とする。
【0019】
下枠51は、浴室内側の下面と浴室外側の下面の高さが異なっており、浴室外側の下面の方が浴室内側の下面よりも高い位置になるように形成される。浴室内側の下面には、長手方向(左右方向)に亘って下方に開口する起立片収容溝53が形成されている。この起立片収容溝53の深さ(上下長さ)は、起立片4の被載置面31からの高さと同じかそれよりも若干長く形成されている。そして、下枠51の低く形成される浴室内側の下面のうち、起立片収容溝53よりも浴室内側の部分が、床パン1の被載置面31に載置される床パン載置面54となる。
【0020】
また、下枠51の浴室内側の端部の下面が、床パン1に隣接する床面6(ドア枠5を介してユニットルームと連通する脱衣室等の床面)に載置される隣接床載置面55となる。下枠51の隣接床載置面55となる部分には、上下に貫通する固着具挿通孔56が形成されている。
【0021】
床パン1は、その床面21が、床パン1に隣接する床面6よりも若干低く(10〜30mm程度)位置するように、建物の躯体の床面8に設置される。そして、ドア枠5の起立片収容溝53に起立片4が収容されるように、床パン載置面54が床パン1の被載置面31に載置され、隣接床載置面55が床パン1に隣接する床面6に載置される。なお、本実施形態では、床パン載置面54に形成されたリブ57が床パン1の被載置面31に載置され、隣接床載置面55に形成されたリブ58が床パン1に隣接する床面6に載置されているため、正確には、リブ57の下面が床パン載置面54となり、リブ58の下面が隣接床載置面55となっている。そして、固着具挿通孔56を介してビスからなる固着具7が床パン1に隣接する床面6に固着され、ドア枠5が固定される。
【0022】
本発明においては、被載置面31が床パン1の床面21よりも上方に位置していて、床面21を伝って水が浸入し難いため、被載置面31に水が溜り難く、また被載置面31に溜まった水が床面21側に抜けることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 床パン
2 床部
21 床面
22 脚部
3 被載置部
31 被載置面
4 起立片
5 ドア枠
51 下枠
52 縦枠
53 起立片収容溝
54 床パン載置面
55 隣接床載置面
56 固着具挿通孔
57 リブ
58 リブ
6 床パンに隣接する床面
7 固着具
8 躯体の床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア枠の床パンへの取付構造であって、前記床パンは、上面が床面となる床部と、前記床部の周端縁から外方に連設され上面が前記床面よりも高く形成される被載置部と、前記被載置部の周端縁から上方に突設される起立片とを備え、前記ドア枠は、下枠に長手方向に亘って下方に開口する起立片収容溝が形成され、前記起立片収容溝に前記起立片が収容されるように前記下枠が前記被載置部に載置されることを特徴とするドア枠の床パンへの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−197564(P2012−197564A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60864(P2011−60864)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】