ドア枠体及びその取付工法
【課題】躯体の開口部の既設枠に装着して、開口部の広さを確保し、既設枠への装着作業の効率の向上を図るドア枠体及びその取付工法の提供を目的とする。
【解決手段】カバー下地材2の凹部2c同士が対向するようにそれぞれの既設枠6に装着する際に、既設枠8にカバー下地材2の一方の端面2aを当接させて、カバー下地材2の背面部25に設けられた小孔部25bと、既設枠6の取付面61に設けられた小孔部65と、を重なり合わせ防水性の固定具15、17を用いて、カバー下地材2を既設枠6に装着し、カバー下地材2の凹部20を覆うようにそれぞれの既設枠6にカバー枠体3が取り付けられ、カバー下地材2が固定された既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の他方の端面2b及びカバー下地材2に固定されたカバー枠体3の他方の端面3bと、既設枠9との間に排水用空隙Sを形成する。
【解決手段】カバー下地材2の凹部2c同士が対向するようにそれぞれの既設枠6に装着する際に、既設枠8にカバー下地材2の一方の端面2aを当接させて、カバー下地材2の背面部25に設けられた小孔部25bと、既設枠6の取付面61に設けられた小孔部65と、を重なり合わせ防水性の固定具15、17を用いて、カバー下地材2を既設枠6に装着し、カバー下地材2の凹部20を覆うようにそれぞれの既設枠6にカバー枠体3が取り付けられ、カバー下地材2が固定された既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の他方の端面2b及びカバー下地材2に固定されたカバー枠体3の他方の端面3bと、既設枠9との間に排水用空隙Sを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物等の躯体の開口部等に取り付けられるドアの改修等の際に用いるドア枠体及びその取付工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドア枠体に関しては、図16から図17に示す構造が開示されている。図16では、既設の枠体101(上枠102、左枠103、右枠104、下枠105)内に装着してドア107を支持できるように構成するものであり、上カバー枠111、左右両カバー枠(左カバー枠112、右カバー枠113)、下カバー枠114が内部に開口部115を有して矩形の枠体状に一体的に連結して形成されている。上カバー枠111と左右両カバー枠(左カバー枠112、右カバー枠113)は、断面形状が同一で上カバー枠111と左カバー枠112、上カバー枠111と右カバー枠113との連結部は、それぞれ45゜の傾斜面を有してお互いに当接され、溶接することによって一体的に組み付けられる。下カバー枠114は、左カバー枠112、右カバー枠113の下方から取り付けてねじで一体的に固着されている(特許文献1)。
【0003】
また、図17では、ドアの改修方法及びドアの改修構造が開示されている。具体的には、図17(a)に示すように、既存縦枠205の内部側角部に断面L字状の内側下地金具228が既存縦枠205の全長に亘って設けられ、前記既存縦枠205の段差部にはスペーサ229を介して断面L字状の外側下地金具231が設けられ、記内側下地金具228と外側下地金具231に掛渡って改修用縦枠232が設けられている。既存縦枠206に断面L字状の内側下地金具235が既存縦枠206の全長に亘って設けられ、前記内側下地金具235の側面部235bと前記既存縦枠206の外面部間に掛渡って改修用縦枠236が設けられる。
【0004】
図17(b)に示すように、既存上枠211の内面部に断面L字状の内側下地金具239が既存上枠211の全長に亘って設けられ、前記内側下地金具239の前記下面部239bと前記既存上枠211の外面部間に掛渡って改修用上枠241が設けられる。さらに、既存下枠212に改修用下枠244が既存下枠212の全長に亘りスペーサ242、243を介して固定される(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−184436(段落0015 図1)
【特許文献2】特開2004−11243(段落0022から0037 図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に示す従来のドア枠体(カバー枠、改修用枠)は躯体の開口部に設けられた既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)に当接(固定)する構造であるため、新たに当接(固定)するドア枠体(カバー枠、改修用枠)の分だけ、躯体の開口部を狭めてしまうことになる。また、従来のドア枠体(カバー枠、改修用枠)は、既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)の全てに取り付けていたので部品点数も多くなり、作業効率の低下を招き易い。
【0006】
さらに、従来のドア枠体(カバー枠、改修用枠)は実質的に一部材で構成されているものを固定具であるボルト、ナットを用いて既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)に取り付けるので、固定具が外部より見えることもあり、そうなると躯体全体の外観を損なう可能性も生じることになる。
【0007】
また、従来のドア枠体(カバー枠、改修用枠)と、既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)との接触させての固定では、金属製部材同士の固定となることが多いため、完全に隙間がない状態、水密性を確保することは難しい。そのため、躯体の開口部のドア枠体(カバー枠、改修用枠)近傍に雨水等がかかると躯体内に容易に雨水等が侵入してくる。つまり、雨水等がドア枠体(カバー枠、改修用枠)に侵入したり、ドア枠体(カバー枠、改修用枠)だけではなく、既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)へも侵入したりする場合もある。その結果、躯体自体に悪影響、例えば、躯体の劣化を早めるといったことが起こり易くなる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、躯体の開口部をできるだけ広くし、作業効率の向上を図り、躯体の外観の維持を図ることを可能にするとともに、躯体の開口部より躯体への雨水等の侵入を防止するとともに、ドア枠体(カバー枠、改修用枠)内に侵入した雨水等の排水を可能にするドア枠体及びその取付工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、躯体の開口部に沿って設けられた既設枠に固定される、前記開口部にドアを取り付けるためのドア枠体において、一方の竪方向の前記既設枠と、その既設枠に対向する他方の竪方向の前記既設枠とに、凹部同士が対向するようにそれぞれの竪方向の前記既設枠に固定されるカバー下地材と、該カバー下地材を覆うように、前記カバー下地材に固定されて、竪方向のそれぞれの前記既設枠に取り付けられるカバー枠体と、を備えることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1に記載の発明によれば、それぞれの竪方向の既設枠にカバー下地材及びカバー枠体を設けるだけであり、上方向及び下方向の既設枠には新たな枠体を設けていないために、躯体の開口部を出来るだけ狭くしないでドアの交換(改修等)を可能にするとともに、上方向及び下方向の既設枠には新たな枠体の施工の必要としないために、ドア枠体の取付の作業工程が少なくなり、作業効率の向上を図ることが可能になる。
【0011】
また、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定することになるので、竪方向の既設枠に改修等の前に既に設けられているドアを取り付けるための孔部を覆うことが可能になるとともに、竪方向の既設枠内に予め板状部材が設けられていても(カバー下地材を固定する側の竪方向の既設枠内に予め固定された板状部材が設けられていても)、その板状部材を避けてカバー下地材を固定するための孔部を竪方向の既設枠に設けることが可能になる。その結果、ドア枠体を施工する現場においてカバー下地材を固定する孔部を穿孔する位置の柔軟な変更が可能になる。なお、カバー枠体がカバー下地材を覆うので、使用しない孔部は外部から見えなくなり外観を損なうことがない。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、上方の前記既設枠に、前記カバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー下地材を竪方向の前記既設枠に重なり合わせ、竪方向の前記既設枠の取付面に前記カバー下地材の背面部を、防水性の固定具を用いて固定することを特徴とする。
【0013】
従って、請求項2に記載の発明によれば、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定するに際し、防水性の固定具を用いており、具体的には、カバー下地材の小孔部と竪方向の既設枠の小孔部とを防水性の固定具で固定するために、既設枠等を伝わってくる雨水等が小孔部より既設枠内への侵入を防止することで、躯体内への雨水等の侵入を防止することが可能になり水密性の確保を可能にする。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、上方の前記既設枠に、前記カバー下地材の一方の端面及び前記カバー枠体の一方の端面を対向し、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー枠体を固定する前記カバー下地材を竪方向の前記既設枠に固定すると、前記カバー下地材の他方の前記端面、及び前記カバー枠体の他方の前記端面と、下方の前記既設枠との間に排水用空隙が形成されることを特徴とする。
【0015】
従って、請求項3に記載の発明によれば、上方の既設枠に、カバー下地材の一方の端面及びカバー枠体の一方の端面を対向し、例えば、上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面及びカバー枠体の一方の端面を当接させることで(接触させることで)、カバー枠体を固定したカバー下地材を竪方向の既設枠に固定して、カバー下地材の他方の端面、及びカバー枠体の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成するために、カバー下地材とカバー枠体とで形成される空間及び既設枠、カバー下地材、及びカバー枠体で形成される空間に雨水等が入っても、カバー下地材及びカバー枠体の長手方向に沿って、雨水等がカバー下地材及びカバー枠体を伝わって、カバー下地材の他方の端面、及びカバー枠体の端面から排出され、その排水用空隙より雨水等の排水を行うことが可能になり、排水性の確保を図り躯体内への雨水等の侵入を防止することが可能になる。
【0016】
なお、カバー下地材の他方の端面と既設枠との間の排水用空隙と、カバー枠体の他方の端面と既設枠との間の排水用空隙とが異なる場合も可能であり、一方の排水用空隙が他方の排水用空隙より大きくなる場合であっても、小さくなる場合であってもよい。このような場合に雨水等が、カバー下地材とカバー枠体とで形成される空間(及び既設枠、カバー下地材、及びカバー枠体で形成される空間)に入っても、カバー下地材及びカバー枠体の長手方向に沿って、雨水等が流れることで、カバー下地材、或いはカバー枠体の他方の端面より流れ出て、排水用空隙より雨水等の排水を行うことが可能になる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の既設枠の長手方向に沿って、カバー下地材の背面部を竪方向の既設枠の取付面に当接させて、前記カバー下地材の前記背面部に基づき、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定するための位置決めを行う工程と、位置決めを行った、竪方向の前記既設枠と前記カバー下地材と、を固定するために防水性の固定具を用いて、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定する工程と、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定することで、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー下地材の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成する工程と、竪方向の前記既設枠の前記取付面上で、カバー枠体により前記カバー下地材を覆い、前記カバー枠体を前記カバー下地材に係合させることで、前記カバー下地材に前記カバー枠体を仮止めする工程と、前記カバー下地材の接合部と前記カバー枠体の接合部を固定具で固定することにより、前記カバー枠体を前記カバー下地材に固定し、竪方向の前記既設枠に前記カバー枠体を取り付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
従って、請求項4に記載の発明によれば、上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の既設枠の長手方向に沿って、カバー下地材の背面部を竪方向の既設枠の取付面に当接させて、カバー下地材の背面部に基づき、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定するための位置決めを行う。例えば、カバー下地材の背面部に予め設けられている小孔部に合わせて、カバー下地材の背面部と竪方向の既設枠とに小孔部を穿孔し固定するための位置決めを行うことが可能になる。
【0019】
つぎに、位置決めを行った、竪方向の前記既設枠と前記カバー下地材と、を固定するために防水性の固定具を用いて、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定する。例えば、上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面を合わせて、カバー下地材を竪方向の既設枠に重ねて、重なり合った、カバー下地材の背面部に設けられた小孔部と、竪方向の既設枠の取付面に設けられた小孔部とに、防水性の固定具を挿入し、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定することが可能になる。
【0020】
つぎに、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定することで、竪方向の既設枠の長手方向に沿って、カバー下地材の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成する。竪方向の既設枠よりカバー下地材は短いため、カバー下地材の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成することが可能になる。
【0021】
つぎに、竪方向の前記既設枠の前記取付面上で、カバー枠体により前記カバー下地材を覆い、前記カバー枠体を前記カバー下地材に係合させることで、前記カバー下地材に前記カバー枠体を仮止めする。具体的には、竪方向の既設枠の取付面上で、カバー枠体を移動させ、カバー下地材の窪み部と竪方向の既設枠の取付面とで形成される隙間にカバー枠体の背面部を組み込み、カバー下地材の端部を、カバー枠体の、背面部から延びる屈曲部と背面部とで挟み込むことでカバー下地材にカバー枠体を仮止めする。つまり、カバー下地材の窪み部と竪方向の既設枠の取付面とで形成される隙間にカバー枠体の背面部を組み込み、カバー下地材の端部をカバー枠体の背面部と屈曲部とで挟み込むことになるためカバー下地材にカバー枠体を仮止めすることが可能になる。
【0022】
つぎに、カバー下地材の接合部とカバー枠体の接合部を固定具で固定することにより、カバー枠体をカバー下地材に固定し、竪方向の既設枠に前記カバー枠体を取り付ける。カバー下地材は竪方向の既設枠に固定されているため、カバー枠体をカバー下地材に固定することでカバー枠体は竪方向の既設枠に取り付けが可能になる。
【0023】
さらに、カバー枠体の戸当たり部にさや部を組み込み、このさや部に水密材である戸当たりゴムを取り付け、上方及び下方の既設枠の戸当たり部にさや部を組み込み、このさや部に水密材である戸当たりゴムを取り付け、カバー下地材の凹部とカバー枠体の凹部とにより形成される空間を利用して丁番を取り付け、ドアを吊り込むことが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、それぞれの竪方向の既設枠にドア枠体(カバー下地材及びカバー枠体)を設けて固定しているだけなので躯体の開口部の上下方向の有効開口を狭めることもなくなり、ドアの交換(改修等)前と実質的に同様に使用できる。また、躯体の開口部に設けられている全ての既設枠にドア枠体(カバー下地材及びカバー枠体)を設けてはいないので、ドア枠体の取付の作業効率の向上を図れる。また、本発明のドア枠体の固定に際しては、固定具であるボルト、ナットをドアの側面に対向する位置に用いており、カバー枠体で覆われているので、固定具がドアを閉めた状態では外部から見えなくなり外観を損なうことがない。
【0025】
また、カバー下地材の小孔部と竪方向の既設枠の小孔部とを防水性の固定具で固定するために、金属製のカバー下地材と金属製の既設枠との固定であっても、既設枠内への雨水等の侵入を防止することができ、水密性の確保を図ることができる。また、雨水等がカバー下地材とカバー枠体とで形成される空間(及び既設枠、カバー下地材、及びカバー枠体で形成される空間)に入っても、カバー下地材の他方の端面及びカバー下地材に固定されたカバー枠体の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙が形成されているので、雨水等をカバー下地材の他方の端面、或いはカバー枠体の他方の端面)から排出することで、ドア枠体と既設枠との間に侵入した雨水等の排水性の確保を図ることができ、躯体内への雨水等の侵入を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
図1に本発明であるドア枠体1に組み込んだドア5が示されている。図1では、ドア5及び、ドア5を挟む竪方向の既設枠である既設枠6、6に設けられたドア枠体1を構成するカバー下地材2及びカバー枠体3を横断方向から示している。既設枠6、6は、図1に示すように、ドア5を挟むように、躯体の開口部10に設けられており、既設枠6、6内は中空になっている。既設枠6、6の屋内側の端部の連結部62、62がドア5方向へ延びて断面略コ字状の支持部(既設枠の戸当たり部)63、63が形成されている。そして、既設枠6、6には、図1に示すように、カバー下地材2、2の凹部2c、2c同士が対向するようにカバー下地材2、2が固定されている。また、カバー枠体3、3が、カバー下地材2、2を覆うようにカバー下地材2、2に固定されて、既設枠6、6に取り付けられている。
【0028】
カバー下地材2は、図2に示すように、凹部2cである断面略C字状部21と断面略コ字状部23とから構成されている。また、図示していないが、カバー下地材2は、カバー下地材2が固定される既設枠6の長手方向に沿って延びている。そして、カバー下地材2、2の凹部2cは、図1に示すように、ドア5の側面51に対向するように固定されることになる。より具体的には、既存枠6、6に取り付けられたカバー下地材2、2の、断面略C字状部21、21の開口22、22同士、断面略コ字状部23、23の開口24、24同士が対向することになる。
【0029】
カバー下地材2の背面部25は、既設枠6の取付面61に取り付けられるように、取付面61に接触可能な面をなしている。カバー下地材2の断面方向の両端は、図2(a)に示すように、背面部25に対して略直角方向で一方の側に、端部27、28が延びている。端部27、28は背面部25から略同一の長さに設定されている。端部27では先端が狭い平面状の形状(平面部27a)を形成している。
【0030】
また、端部28寄りに、背面部25に対して略直角方向で一方の側に、突出部29が延びており、端部27,28とほぼ同じ長さに設定されている。この突出部29の先端も狭い平面状の形状(平面部29a)に形成されている。突出部29の先端近傍からは端部27方向へ向けて、突出部29に対して略直角方向に接合部29bが延びて形成されている。接合部29bでは、図2に示すように、接合部29bの先端が突出部29の先端(平面部29a)と同一方向に狭い平面状の形状(平面部29c)が形成されている。
【0031】
また、端部27が形成されている背面部25の他方の側では、窪み部26が形成されており、カバー下地材2が既設枠6に固定されたときに(取り付けられたときに)、カバー下地材2と既設枠6との間で隙間が形成されるようになっている。この窪み部26は、図2に示すように、端部27近傍までは一定の深さの面押し部26aが形成されており、端部27近傍では傾斜面26bを形成し、面押し部26aと傾斜面26bとが連続している。傾斜面26bは、図2に示すように、面押し部26aから端部27に向かって既設枠6との隙間が大きくなるように(開くように)、傾斜して形成されている。さらに、端部28が形成されている背面部25の他方の側では、端部28近傍に突出部25cが形成されている。また、背面部25には、背面部25を貫通する小孔部25aが、カバー下地材2の長手方向に沿って、複数穿孔されている。
【0032】
本例で示すカバー下地材2は、押出し成形により形成したものであるが、この方法に限定されることはなく、他の方法で形成することも可能である。
【0033】
つぎに、このカバー下地材2を覆うことになるカバー枠体3について説明する。カバー枠体3は、図3に示すように、複数の断面略コ字状の部材を合わせたような形状をなしている。カバー枠体3の背面部31は既設枠6の取付面61に取り付けられるように、取付面61に接触可能な面をなしている。背面部31の一端からは端部32が、背面部31に対して略直角方向へ延びている。端部32が背面部31に対して略直角方向へ延びる長さは、カバー下地材2の端部27を覆うことのできる長さである。
【0034】
具体的には、カバー枠体3の端部32の先端部32aより、端部32に対して略直角方向に続く屈曲部33を形成した際に、カバー下地材2の端部27を背面部31と屈曲部33で挟み込むことができる長さに設定してある。また、端部32に対して略直角方向に続く屈曲部33を形成することで、背面部31、端部32、及び屈曲部33により断面略コ字状部が形成される。屈曲部33から背面部31に対して略平行方向に延び、屈曲部33の先端部33aより、図3に示すように、屈曲部33に対して略直角方向に、端部32に対して略平行方向に連結部34が延びている。
【0035】
そして、連結部34の先端部34aより、連結部34に対して略直角方向に、屈曲部33(背面部31)に対して略平行方向に平面部35が延びている。この平面部35は、カバー下地材2にカバー枠体3を組み込んだときに、カバー下地材2の接合部29b近傍まで延びている。平面部35が延びた先端部35aより、平面部35に対して略直角方向に、連結部34に対して略平行に連結部36が延びている。このようにして、平面部35及び連結部34、36により断面略コ字状部が形成され、カバー枠体3の凹部3cを形成している。
【0036】
連結部36の先端部36aより、連結部36に対して略直角方向に、平面部35に対して略平行方向に接合部37が延びている。接合部37は、カバー下地材2にカバー枠体3を組み込んだときに、接合部37が接合部29bと重なり合うことが可能になるように延びている。接合部37の先端部37aからは、接合部37に対して略直角方向に、連結部36に対して略平行方向に連結部38が延び、連結部38の先端部38aからは、連結部38に対して略直角方向に、接合部37に対して略平行方向に端部39が延びている。
【0037】
端部39の先端部39dからは、端部39に対して略直角方向に端面部39aが延びている。端面部39aは、カバー下地材2にカバー枠体3を組み込んだときに、カバー下地材2の端部28の先端部28aが近接するところまで延びている。そして、端面部39aから連結部39bが延びている。連結部39bには、断面略コ字状の戸当たり部39cが、設置されるドアに対向するように形成されている。
【0038】
本例で示すカバー枠体3は、押出し成形により形成したものであるが、この方法に限定されることはなく、他の方法で形成することも可能である。
【0039】
本例での、カバー下地材2及びカバー枠体3は上記に示す形状であるが、カバー下地材2及びカバー枠体3は、上記の形状に限定されることはない。カバー下地材2及びカバー枠体3は、基本的にカバー下地材の凹部2cとカバー枠体3の凹部3cとが重なり合って空間を形成し、既設枠6にカバー下地材2が固定されたときに、カバー下地材2と既設枠6とで形成される隙間でカバー枠体3を仮止めできる形状であればよい。
【0040】
図1では、既設枠6にカバー下地材2を固定し、カバー枠体3をカバー下地材2に固定し既設枠6に取り付けた状態が示してある。既設枠6の取付面61にカバー下地材2の背面部25が複数の防水性の固定具であるボルト17及びナット15で固定されている。このカバー下地材2に対してカバー枠体3は、カバー枠体3の背面部31が既設枠6の取付面61とカバー下地材2の面押し部26aとの間で形成される隙間に入り込んでおり、カバー下地材2の端部27の先端(平面部27a)、突出部29の先端(平面部29a)、及び平板部29cが、カバー枠体3の屈曲部33、接合部37に接触して支持している。また、カバー下地材2の端部28の先端がカバー枠体3の端面部39aの縁近傍に近接している。
【0041】
そして、図1に示すように、カバー下地材2とカバー枠体3との固定は、カバー下地材2の接合部29bとカバー枠体3の接合部37とをタッピングネジ13を用いることにより行われている。この固定により、カバー下地材2とカバー枠体3とが一体になり既設枠6の取付面61に固定されている。さらに、既設枠6の支持部(既設枠の戸当たり部)63には水密材64が取り付けられており、支持部(既設枠の戸当たり部)63には端部28の端面28bが当接している。
【0042】
図4には、躯体の、ドア5が取り付けられる開口部10が、既設枠6の長手方向より示してある。ドア枠体1の上方には、上方の既設枠である既設枠8が躯体の開口部10の上側に設置されており、ドア枠体1の下方には、下方の既設枠である既設枠9が躯体の開口部10の下側に設置されている。既設枠8の開口部10近傍では、連結部81が下方へカバー下地材2及びカバー枠体3と略平行方向に延びて、断面略コ字状の戸当たり部81aが形成されている。この戸当たり部81aには、さや部81bが組み込まれており、このさや部81bに戸当たりゴム81cが取り付けられている。
【0043】
また、既設枠9の開口部10近傍では、端部より連結部91が上方へカバー下地材2及びカバー枠体3と略平行方向に延びて、断面略コ字状の戸当たり部91aが形成されている。この戸当たり部91aには、さや部91bが組み込まれており、このさや部91bに戸当たりゴム91cが取り付けられている。以上のように、既設枠8、9の戸当たり部81a、91aにさや部81b、91bが組み込まれ、戸当たりゴム81c、91cが取り付けられ、躯体の開口部10の横断方向へ延びている。図4では、躯体の開口部10にドア5が取り付けられて開口部10を閉じた場合のドア5の屋内側の面部52に戸当たりゴム81c、91cが当接した状態が示してある。
【0044】
図4では、既設枠8に、カバー下地材2の一方の端面2a及びカバー枠体3の一方の端面3aを対向し、例えば、既設枠8にカバー下地材2の一方の端面2a(及びカバー枠体3の一方の端面3a)を当接させて(接触させて)、既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の背面部25を既設枠6の取付面61に当接させて(接触させて)固定してある。カバー下地材2及びカバー枠体3は、既設枠6より短いため、カバー下地材2の他方の端面2b(及びカバー枠体の他方の端面3b)と、既設枠9との間に排水用空隙Sが形成されることになる。
【0045】
本例では、カバー下地材2とカバー枠体3との長さを同じに設定してあるが、特に同じ長さに限定されるものではない。カバー下地材2がカバー枠体3より長くてもよく、カバー下地材2がカバー枠体3より短くてもよい。基本的には、既設枠9と、カバー下地材2、及びカバー枠体3とで排水用空隙を形成し、カバー下地材2とカバー枠体3とで形成される空間(及び既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3で形成される空間)に入り込んだ雨水等がカバー下地材2(或いはカバー枠体3)の長手方向に沿って流れることで、雨水等がカバー下地材2の他方の端面2b(或いは、カバー枠体3の他方の端面3b)より排水できればよい。
【0046】
以上のように、既設枠9と、カバー下地材2の他方の端面2b(及びカバー枠体3の他方の端面3b)との間に排水用空隙Sを設けることで、雨水等がカバー下地材2とカバー枠体3とで形成される空間(及び既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3で形成される空間)に入っても、カバー下地材2及びカバー枠体3の長手方向に沿って、雨水等が流れることで、カバー下地材2の他方の端面2b、或いはカバー枠体3の他方の端面3bより流れ出て、排水用空隙Sより雨水等の排水を行うことが可能になり、躯体内への雨水等の侵入を防止することが可能になっている。
【0047】
つぎに、本発明であるドア枠体1の取付方法を中心にドア交換方法について図5から図13までを主に用いて説明する。
【0048】
既設枠6、6の屋内側の端部の連結部62から延びている断面略コ字状の支持部(既設枠の戸当たり部)63、63に既に付いている図示しない戸当たり用の気密材を取り外す。気密材の取り外しに際しては、支持部(既設枠の戸当たり部)63に新たに水密材64の貼り付けを行うことや、支持部(既設枠の戸当たり部)63がカバー下地材2の端面28aに当接することを考慮して完全に気密材を取り除く。そして、気密材を取り除いた支持部(既設枠の戸当たり部)63には、断面略コ字状部の開口部63aを覆う水密材64を貼り付ける。水密材64は、図5に示すように、断面略コ字状部の開口部63aを覆うことになり、図示しない躯体の開口部10の長手方向に沿って形成されている支持部(既設枠の戸当たり部)63の断面略コ字状部の開口部63aを覆う。
【0049】
(既設枠6とカバー下地材2との位置決め工程)
つぎに、既設枠8に、カバー下地材2の一方の端面2a及びカバー枠体3の一方の端面3aを対向し、例えば、本例では、既設枠8の端面8aにカバー下地材2の一方の端面2aを当接させる(接触させる)(図4参照)。それと同時に、既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の背面部25を既設枠6の取付面61に当接させる(接触させる)。このカバー下地材2には、図6(b)に示すように、予め複数の小孔部25aが穿孔されている。この小孔部25aの大きさは、特に限定されていないが、カバー下地材2、2の小孔部25aより既設枠6、6が確認できればよい。
【0050】
そして、カバー下地材2に予め穿孔された小孔部25aから確認できる、既設枠6の取付面61の、小孔部25aに対応する位置に、図6(a)に示すように、矢印方向よりドリル100を用いて小孔部25aより大きい径の小孔部25b、65をカバー下地材2の背面部25と既設枠6の取付面61に穿孔する。つまり、カバー下地材2の背面部25に設けられている小孔部25aに合わせてカバー下地材2及び既設枠6を穿孔することにより、カバー下地材2の小孔部25aは拡径されて小孔部25bになり、既設枠6の取付面61には小孔部65が設けられる。本例では、ドリル100を用いて穿孔するカバー下地材2の小孔部25b及び既設枠6の取付面61の小孔部65の径は約4.5mmであるが、この約4.5mmに限定されるものではなく、防水性の固定具により径を決めればよい。以上のようにして、カバー下地材2の背面部25に基づき、既設枠6にカバー下地材2を固定するための位置決めが行われたことになる。
【0051】
なお、図6(b)で示す点線の矩形形状は丁番11の取付位置が示されており、穿孔に際してはこの部分を避けている。つまり、図6(b)に示すように、丁番11の取付位置(点線で示す位置)を挟み込むように穿孔し、その穿孔したところに将来固定具を取り付けることで、ドア5開閉時に負荷がかかる丁番11に対しての丁番11位置の強度を上げることを可能にしている。そして、穿孔後、カバー下地材2を既設枠6、8から外し、既設枠6の小孔部65の径を大きくするために図示しないドリル等により小孔部65を拡径する。この小孔部65は、本例では、図示しないドリル等により径を約8mmとしているが、約8mmに限定されるものではなく、防水性の固定具により径を決めればよい。
【0052】
(既設枠6にカバー下地材2固定する工程)
つぎに、既設枠6の取付面61に設けられた拡径された小孔部65に防水性の固定具を挿入する。具体的には、図7に示すように、拡径された小孔部65にシール効果のあるゴム製ナット15を差し込む。本例でのゴム製ナット15の用い方は、図9に示してある。図9(a)に示すように、小孔部65に差し込まれたゴム製ナット15は、小孔部65より径が大きいリング状部15bにより小孔部65で保持される。
【0053】
そして、既設枠8を基準に、本例では、カバー下地材2の一方の端面2aを既設枠8の端面8aに当接させる(接触させる)とともに、カバー下地材2の背面部25を既設枠6、6の取付面61、61に当接させる(接触させる)。その結果、図9(b)に示すように、既設枠6の小孔部65上に、カバー下地材2の小孔部25bより大きいリング状部15bを介してカバー下地材2の小孔部25bが重なる。カバー下地材2の小孔部25bから、図7及び図9(b)に示すように、図7に示す矢印方向よりボルト17を挿入し、ゴム製ナット15のナット部15cと螺合させる。
【0054】
図9(c)に示すように、ボルト17とゴム製ナット15のナット部15cとをドライバー101により、螺合させていくと、リング状部15bは、カバー下地材2の背面部25と既設枠6の取付面61に挟まれて挟圧されるため、小孔部25b、65の周りに吸着させられる。同時に、ナット部15cが小孔部65方向へ移動し、ナット部15cを覆っているゴム部15dも小孔部65方向へ移動しリング状部15aを形成する。
【0055】
その結果、図9(c)に示すように、ナットの頭部17aとリング状部15bとで小孔部25bの周りをきつく締め付け、小孔部65より大きい径の二段構造のリング状部15a、15bにより小孔部65の周りをきつく締め付ける。そのため、小孔部25b、65へのリング状部15a、15bの密着の度合いが大きくなる。つまり、リング状部15a、15bはゴム製であるため、小孔部25b、65の周りの水密性が確保される。従って、小孔部25b、65から既設枠6内への雨水等の侵入を防止することが可能になる。
【0056】
また、ドライバー101によりボルト17をゴム製ナット15のナット部15cに螺合させて螺進させると、カバー下地材2の背面部25と既設枠6の取付面61にゴム製ナット15のリング状部15bが挟まれた状態になり、カバー下地材2の背面部25より突出した状態になる。ただし、背面部25には突出部25cが形成されているため、既設枠6の取付面61にカバー下地材2の背面部25を当接させても(接触させても)、カバー下地材2の背面部25は既設枠6の取付面61と平行な状態になる。このようにして、既設枠8の端面8aにカバー下地材2の一方の端面2aが当接し(接触し)、カバー下地材2の背面部25が既設枠6、6の取付面61、61に当接した(接触した)状態で、カバー下地材2が既設枠6、6、8に固定される。
【0057】
本例では、一例として既設枠6の取付面61の小孔部にゴム製ナット15を差し込む例を示したが、特にこのゴム製ナット15を用いることに限定されない。このゴム製ナット15以外では、例えば、水密ワッシャを用いることも可能である。具体的には、ボルト17のボルトねじが設けられているところに水密ワッシャを通し、ボルト17と、既設枠6内に配置されたナットと螺合させ、カバー下地材2の背面部25と既設枠6の取付面61とで水密ワッシャを挟み込み水密性を確保するというものである。他の例としては、これは、例えば、ボルトの頭部に防水部材が設けられていて、ボルトとナットとの螺合が完了したときに、ボルトの頭部の防水部材を潰して背面部25の小孔部25aを覆い隠すことで水密性を確保するというものである。
【0058】
(カバー下地材2と、既設枠9との間に排水用空隙を形成する工程)
以上のように、既設枠8に、カバー下地材2の一方の端面2aを対向し、本例では、既設枠8の端面8aにカバー下地材2の一方の端面2aを当接させて(接触させて)、既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の背面部25を既設枠6の取付面61に当接させて(接触させて)、カバー下地材2の背面部25に設けられた小孔部25bと、既設枠6の取付面61に設けられた小孔部65とを重なり合わせた状態で固定し、カバー下地材2を固定した既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の他方の端面2bと、既設枠9との間に排水用空隙Sを形成する。
【0059】
(カバー下地材2にカバー枠体を仮止めする工程)
つぎに、既設枠6の取付面61上で、カバー枠体3によりカバー下地材2を覆い、カバー枠体3をカバー下地材2に係合させることで、カバー下地材2に前バー枠体3を仮止めする。具体的には、既設枠6の取付面61上で、カバー枠体3を移動させ(スライドさせ)、カバー下地材2の窪み部26と既設枠6の取付面61とで形成される隙間Vにカバー枠体3の背面部31を組み込み、カバー下地材2の接合部29bにカバー枠体3の接合部37を重なり合わせてカバー下地材2にカバー枠体3を仮止めする。
【0060】
つまり、まず、カバー枠体3の背面部31を既設枠6の取付面61に接触させる。接触に際しては、図10に示すように、カバー枠体3の背面部31が既設枠6の取付面61に沿うようにする。この状態で、背面部31を取付面61に沿って移動し、取付面61とカバー下地材2の傾斜面26bとで形成される隙間Vに到達する。背面部31に対して傾斜面26bは、図10に示すように、開いた状態になっているので容易にカバー下地材2の窪み部26と取付面61とで形成される隙間Vに入り易くなる。
【0061】
そして、図10に示す矢印方向に沿って、既設枠6の取付面61上で、カバー枠体3を移動させ、カバー下地材2の窪み部26と既設枠6の取付面61とで形成される隙間Vにカバー枠体3の背面部31を組み込むことで、カバー枠体3の接合部37がカバー下地材2の平面部27aを移動し、平面部29c及び平面部29aへ移動し、カバー枠体3の屈曲部33が平面部27aへ移動する。このとき、カバー下地材2の端部27を、カバー枠体3の、屈曲部33と背面部31とで挟み込むことでカバー下地材2にカバー枠体3が仮止めされた状態(取り付けられた状態)になる。このとき同時に、カバー枠体3の接合部37がカバー下地材2の接合部29bとが対向する。また、カバー下地材2の凹部2cとカバー枠体3の凹部3cとが重なり合って空間を形成する。この空間内は、ドア5を吊り込むための丁番11を取り付ける際に、丁番11を取り付けるための固定具が組み込まれることになる。
【0062】
(カバー枠体3をカバー下地材2に固定し、既設枠6にカバー枠体3を取り付ける工程)
このように仮止めされた状態では、カバー下地材2の平面部27aがカバー枠体3の屈曲部33と接触しており、カバー下地材2の平板部29c及び平板部29aがカバー枠体3の接合部37に接触している。そのため、本例では、カバー下地材2の接合部29bとカバー枠体3の接合部37とは接触せずに対向している。このように、接合部29bと接合部37と対向させた状態で、タッピングネジ13を用いて、図12に示すように、接合部29bと接合部37とを貫通して固定する。以上により、カバー枠体3をカバー下地材2に固定し、既設枠6にカバー枠体3を取り付ける。なお、本例においては、カバー下地材2の接合部29bとカバー枠体3の接合部37とは接触させていないが、カバー下地材2の接合部29bとカバー枠体3の接合部37とを接触させてタッピングネジ13で固定することも可能である。
【0063】
図12では示していないが、タッピングネジ13を用いた接合部29bと接合部37との連結は、カバー下地材2及びカバー枠体3の長手方向に沿って行われる。そして、連結に用いられるタッピングネジ13同士の間隔はカバー下地材2及びカバー枠体3の強度等を考慮して決定される。このように、接合部29bと接合部37とを連結することで、カバー枠体3をカバー下地材2に固定することができ、カバー枠体3を固定したカバー下地材2の既設枠6への固定が完了する。
【0064】
なお、本例では、カバー枠体3を固定したカバー下地材2の、既設枠6の長手方向に沿って、既設枠6への固定が完了したときには、カバー下地材2を固定した既設枠6の長手方向に沿って、カバー枠体3の他方の端面3bと、既設枠9との間にも排水用空隙Sを形成している。ただし、本例のように、カバー下地材2の他方の端面2b及びカバー枠体3の他方の端面3bと既設枠9との間に同じ排水用空隙Sを形成する必要はなく、カバー下地材2の他方の端面2bと既設枠9との間の排水用空隙の大きさと、カバー枠体3の他方の端面3bと既設枠9との間の排水用空隙の大きさとが異なる場合であってもよい。つまり、いずれか一方の排水用空隙が他方の排水用空隙より大きくなってもよいし、小さくなってもよい。
【0065】
本例においては、カバー枠体3をカバー下地材2に固定する前に、カバー枠体3の戸当たり部39cにさや部39c1を組み込み、このさや部39c1に戸当たりゴム39c2を組み込んでいるが、カバー枠体3をカバー下地材2に組み込んだ後に戸当たり部39cにさや部39c1を組み込み、このさや部39c1に戸当たりゴム39c2を組み込むことも可能である。
【0066】
既設枠8については、図13に示すように、連結部81より延びる戸当たり部81aにさや部81bを組み込み、このさや部81bに戸当たりゴムである水密材81cを組み込み、既設枠9については、図13に示すように、連結部91より延びる戸当たり部91aにさや部91bを組み込み、このさや部91bに戸当たりゴムである水密材91cを組み込む。以上のように、既設枠6、6にカバー下地材2及びカバー枠体3を固定し、既設枠8、9の戸当たり部81a、91aにさや部81b、91b及び水密材81c、91cを組み込むことで躯体の開口部10の既設枠6、6、8、9にドア5を取り付ける施工が完了する。なお、予め水密材81c、91cをさや部81b、91bに組み込んでおくことも可能である。
【0067】
そして、最後にカバー下地材2及びカバー枠体3の図示しない長手方向の丁番11を取り付ける位置に丁番11を、カバー下地材2及びカバー枠体3により形成される空間を利用して丁番11を取り付け、図1に示すように、ドア5を吊り込む。ドア5の錠等の調整を行ってドア5の取り付けが完了する。
【0068】
つぎに、本発明であるドア枠体1を用いて躯体の開口部10に吊り込まれたドア5の特徴な機構を簡単に説明する。
【0069】
改修等により躯体の開口部10に吊り込まれたドア5は、改修等の前のドアと同様に、開閉等の動作を行う。ただし、このドア5(躯体の開口部10)に雨水等が降りかかると本発明であるドア枠体1がドア枠体1の水密装置としての働きを発揮する。具体的には、ドア5に雨水等が降りかかると、ドア5全面に雨水等がかかるだけではなく、ドア5の周りに設けられている既設枠6、6、8、9やカバー下地材2やカバー枠体3にも雨水等がかかる。このように躯体の開口部10全面に雨水等がかかると躯体の開口部10の隙間に雨水等が侵入してくる。
【0070】
そのような場合、特に、メタルタッチ部(金属製部材同士の接触部)に雨水等は侵入し易い。本例でのカバー下地材2、カバー枠体3、及び既設枠6、8、9は金属製部材であり、図14で示すように、既設枠6とカバー枠体3との接触位置はメタルタッチ部であるため、隙間ができ易く、金属製部材と防水性の固定具(ゴム製ナット15)と接触している位置に比べ雨水等の侵入は避けられない。
【0071】
つまり、ドア5(躯体の開口部10)に雨水等が降りかかると、矢印A方向より雨水等が既設枠6とカバー枠体3との接触位置へ入ってくる。既設枠6とカバー枠体3との接触位置へ入ってきた雨水等は、矢印B方向へ流れ、ゴム製ナット15が挿入されているカバー下地材2の小孔部25bと既設枠6の小孔部65へ向かって流れる。
【0072】
ゴム製ナット15が挿入されているカバー下地材2の小孔部25bと既設枠6の小孔部65へ流れてきても、ここではゴム製ナット15が小孔部25b、65をシールしているために水密性が確保され、基本的には、雨水等は既設枠6内には入らない。しかしながら、図14に示すように、矢印B方向へ流れることで小孔部25b、65までの途中にあるカバー枠体3の背面部31の先端とカバー下地材2の面押し部26aとの間の隙間Rに雨水等が入り込むことはある。そのような場合、さらに、矢印C方向に沿って雨水等が流れカバー枠体3の端部32とカバー下地材2の端部27とにより形成される隙間Tに流れ込み、さらに、矢印D方向に沿って、平板部27aと屈曲部33とのメタルタッチ部からカバー下地材2とカバー枠材3とにより形成される空間に流れ込む。また、丁番11の取付ねじ19周りからもカバー下地材2とカバー枠材3とにより形成される空間に雨水等が流れ込む。
【0073】
このように、既設枠6と、カバー下地材2及びカバー枠体3との間の隙間Rや、カバー下地材2とカバー枠体3に形成される空間に流れ込んだ雨水等は、図15に示すように、矢印E方向に沿って、既設枠9方向へ流れる。つまり、雨水等は、既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3の長手方向に沿って既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3を流れる。カバー下地材2の他方の端面2b(及びカバー枠体3の他方の端面3b)と既設枠9との間には排水用空隙Sが設けられているため、雨水等はカバー下地材2及びカバー枠体3から流れ出て、矢印F方向に沿って流れ、既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3から排水される。
【0074】
本発明のドア枠体1は、単に躯体の開口部10の改修等に際して、躯体の開口部10を狭めないという構成だけではない。躯体の開口部10に雨水等が降りかかった場合において、その雨水等に対しての水密性を確保するとともに、ドア枠体1を通じて雨水等を外部へ排水するドア枠体1の水密装置としての機能も備えている。従って、本発明であるドア枠体1をドア枠体の水密装置として捉えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明であるドア枠体を用いてドアを組み付けた状態を横断面方向から示す説明図である。
【図2】本発明であるドア枠体を構成するカバー下地材の断面方向から示す説明図である。
【図3】本発明であるドア枠体を構成するカバー枠体の断面方向から示す説明図である。
【図4】本発明であるドア枠体を用いてドアを組み付けた状態を躯体の竪方向の既設枠の長手方向から示す説明図である。
【図5】本発明であるドア枠体の取付工法における、竪方向の既設枠に水密材を取り付ける工程を示す説明図である。
【図6】本発明であるドア枠体の取付工法における、カバー下地材及び竪方向の既設枠に小孔部を穿孔する工程を示す説明図である。 (a)は、カバー下地材と竪方向の既設枠とを重ね合わせてドリルを小孔部を形成する状況を示す説明図である。 (b)は、カバー下地材に穿孔した小孔部と予め設けられていた小孔部との比較できるように示した説明図である。
【図7】本発明であるドア枠体の取付工法における、カバー下地材を竪方向の既設枠にゴム製ナットとボルトで固定する工程を示す説明図である。
【図8】本発明であるドア枠体の取付工法における、カバー下地材を竪方向の既設枠に防水性の固定具で固定する工程を示す説明図である。
【図9】本発明であるドア枠体の取付工法における、防水性の固定具の一例を示す説明図である。(a)は、一例の防水性の固定具を竪方向の既設枠の小孔部へ配置する工程を示す説明図である。(b)は、竪方向の既設枠の小孔部へカバー下地材2の小孔部を重なり合わせ、一例の防水性の固定具を固定する工程を示す説明図である。(c)は、竪方向の既設枠の小孔部へカバー下地材2の小孔部を重なり合わせ、一例の防水性の固定具を固定している工程を示す説明図である。
【図10】本発明であるドア枠体の取付工法における、竪方向の既設枠にカバー枠体を取り付ける(カバー下地材にカバー枠体を固定する)工程を示す説明図である。
【図11】本発明であるドア枠体の取付工法における、竪方向の既設枠にカバー枠体を取り付ける(カバー下地材にカバー枠体を固定する)工程を示す説明図である。
【図12】本発明であるドア枠体の取付工法における、竪方向の既設枠にカバー枠体を取り付ける(カバー下地材にカバー枠体を固定する)工程を示す説明図である。
【図13】本発明であるドア枠体の取付工法における、上方及び下方の既設枠の戸当たり部に水密材を取り付ける工程を示す説明図である。
【図14】躯体の開口部に雨水等が降りかかった際に、躯体内での雨水等の流れを示す説明図である。
【図15】躯体の開口部に雨水等が降りかかった際に、躯体内での雨水等の流れを示す説明図である。
【図16】従来の取替えカバーを既設の枠に装着した状態を示す正面図である。
【図17】従来のドアの改修構造を示す説明図である。(a)は、従来のドアの改修構造を示す横断面図である。(b)は、従来のドアの改修構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1…ドア枠体
2…カバー下地材、2a…一方の端面、2b…他方の端面、2c…凹部、21…断面略C字状部、22、24…開口、23…断面略コ字状部、25…背面部、25a、25b…小孔部、25c…突出部、26…窪み部、26a…面押し部、26b…傾斜面、27、28…端部、27a…平面部、28a…先端部、29…突出部、29a…平面部、29b…接合部、29c…平面部、
3…カバー枠体、3a…一方の端面、3b…他方の端面、3c…凹部、31…背面部、32…端部、32a…先端部、33…屈曲部、33a…先端部、34…連結部、34a…先端部、35…平面部、35a…先端部、36…連結部、36a…先端部、37…接合部、37a…先端部、38…連結部、38a…先端部、39…端部、39a…端面部、39b…連結部、39c…戸当たり部、39d…先端部、39c1…さや部、39c2…戸当たりゴム、
5…ドア、51…側面、52…面部、
6…既設枠、61…取付面、62…連結部、63…(略コ字状部の)支持部(既設枠の戸当たり部)、63a…略コ字状部の開口部、64…水密材、65…小孔部、8、9…既設枠、81a、91a…戸当たり部、81b、91b…さや部、81c、91c…戸当たりゴム(水密材)
10…(躯体の)開口部
11…丁番
13…タッピングネジ
15…ゴム製ナット、15a、15b…リング状部、15c…ナット部、15d…ゴム部分、
17…ボルト
19…取付ねじ
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物等の躯体の開口部等に取り付けられるドアの改修等の際に用いるドア枠体及びその取付工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドア枠体に関しては、図16から図17に示す構造が開示されている。図16では、既設の枠体101(上枠102、左枠103、右枠104、下枠105)内に装着してドア107を支持できるように構成するものであり、上カバー枠111、左右両カバー枠(左カバー枠112、右カバー枠113)、下カバー枠114が内部に開口部115を有して矩形の枠体状に一体的に連結して形成されている。上カバー枠111と左右両カバー枠(左カバー枠112、右カバー枠113)は、断面形状が同一で上カバー枠111と左カバー枠112、上カバー枠111と右カバー枠113との連結部は、それぞれ45゜の傾斜面を有してお互いに当接され、溶接することによって一体的に組み付けられる。下カバー枠114は、左カバー枠112、右カバー枠113の下方から取り付けてねじで一体的に固着されている(特許文献1)。
【0003】
また、図17では、ドアの改修方法及びドアの改修構造が開示されている。具体的には、図17(a)に示すように、既存縦枠205の内部側角部に断面L字状の内側下地金具228が既存縦枠205の全長に亘って設けられ、前記既存縦枠205の段差部にはスペーサ229を介して断面L字状の外側下地金具231が設けられ、記内側下地金具228と外側下地金具231に掛渡って改修用縦枠232が設けられている。既存縦枠206に断面L字状の内側下地金具235が既存縦枠206の全長に亘って設けられ、前記内側下地金具235の側面部235bと前記既存縦枠206の外面部間に掛渡って改修用縦枠236が設けられる。
【0004】
図17(b)に示すように、既存上枠211の内面部に断面L字状の内側下地金具239が既存上枠211の全長に亘って設けられ、前記内側下地金具239の前記下面部239bと前記既存上枠211の外面部間に掛渡って改修用上枠241が設けられる。さらに、既存下枠212に改修用下枠244が既存下枠212の全長に亘りスペーサ242、243を介して固定される(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−184436(段落0015 図1)
【特許文献2】特開2004−11243(段落0022から0037 図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に示す従来のドア枠体(カバー枠、改修用枠)は躯体の開口部に設けられた既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)に当接(固定)する構造であるため、新たに当接(固定)するドア枠体(カバー枠、改修用枠)の分だけ、躯体の開口部を狭めてしまうことになる。また、従来のドア枠体(カバー枠、改修用枠)は、既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)の全てに取り付けていたので部品点数も多くなり、作業効率の低下を招き易い。
【0006】
さらに、従来のドア枠体(カバー枠、改修用枠)は実質的に一部材で構成されているものを固定具であるボルト、ナットを用いて既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)に取り付けるので、固定具が外部より見えることもあり、そうなると躯体全体の外観を損なう可能性も生じることになる。
【0007】
また、従来のドア枠体(カバー枠、改修用枠)と、既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)との接触させての固定では、金属製部材同士の固定となることが多いため、完全に隙間がない状態、水密性を確保することは難しい。そのため、躯体の開口部のドア枠体(カバー枠、改修用枠)近傍に雨水等がかかると躯体内に容易に雨水等が侵入してくる。つまり、雨水等がドア枠体(カバー枠、改修用枠)に侵入したり、ドア枠体(カバー枠、改修用枠)だけではなく、既設の上下枠(既存上下枠)、既設の左右枠(既存縦枠)へも侵入したりする場合もある。その結果、躯体自体に悪影響、例えば、躯体の劣化を早めるといったことが起こり易くなる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、躯体の開口部をできるだけ広くし、作業効率の向上を図り、躯体の外観の維持を図ることを可能にするとともに、躯体の開口部より躯体への雨水等の侵入を防止するとともに、ドア枠体(カバー枠、改修用枠)内に侵入した雨水等の排水を可能にするドア枠体及びその取付工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、躯体の開口部に沿って設けられた既設枠に固定される、前記開口部にドアを取り付けるためのドア枠体において、一方の竪方向の前記既設枠と、その既設枠に対向する他方の竪方向の前記既設枠とに、凹部同士が対向するようにそれぞれの竪方向の前記既設枠に固定されるカバー下地材と、該カバー下地材を覆うように、前記カバー下地材に固定されて、竪方向のそれぞれの前記既設枠に取り付けられるカバー枠体と、を備えることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1に記載の発明によれば、それぞれの竪方向の既設枠にカバー下地材及びカバー枠体を設けるだけであり、上方向及び下方向の既設枠には新たな枠体を設けていないために、躯体の開口部を出来るだけ狭くしないでドアの交換(改修等)を可能にするとともに、上方向及び下方向の既設枠には新たな枠体の施工の必要としないために、ドア枠体の取付の作業工程が少なくなり、作業効率の向上を図ることが可能になる。
【0011】
また、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定することになるので、竪方向の既設枠に改修等の前に既に設けられているドアを取り付けるための孔部を覆うことが可能になるとともに、竪方向の既設枠内に予め板状部材が設けられていても(カバー下地材を固定する側の竪方向の既設枠内に予め固定された板状部材が設けられていても)、その板状部材を避けてカバー下地材を固定するための孔部を竪方向の既設枠に設けることが可能になる。その結果、ドア枠体を施工する現場においてカバー下地材を固定する孔部を穿孔する位置の柔軟な変更が可能になる。なお、カバー枠体がカバー下地材を覆うので、使用しない孔部は外部から見えなくなり外観を損なうことがない。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、上方の前記既設枠に、前記カバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー下地材を竪方向の前記既設枠に重なり合わせ、竪方向の前記既設枠の取付面に前記カバー下地材の背面部を、防水性の固定具を用いて固定することを特徴とする。
【0013】
従って、請求項2に記載の発明によれば、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定するに際し、防水性の固定具を用いており、具体的には、カバー下地材の小孔部と竪方向の既設枠の小孔部とを防水性の固定具で固定するために、既設枠等を伝わってくる雨水等が小孔部より既設枠内への侵入を防止することで、躯体内への雨水等の侵入を防止することが可能になり水密性の確保を可能にする。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、上方の前記既設枠に、前記カバー下地材の一方の端面及び前記カバー枠体の一方の端面を対向し、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー枠体を固定する前記カバー下地材を竪方向の前記既設枠に固定すると、前記カバー下地材の他方の前記端面、及び前記カバー枠体の他方の前記端面と、下方の前記既設枠との間に排水用空隙が形成されることを特徴とする。
【0015】
従って、請求項3に記載の発明によれば、上方の既設枠に、カバー下地材の一方の端面及びカバー枠体の一方の端面を対向し、例えば、上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面及びカバー枠体の一方の端面を当接させることで(接触させることで)、カバー枠体を固定したカバー下地材を竪方向の既設枠に固定して、カバー下地材の他方の端面、及びカバー枠体の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成するために、カバー下地材とカバー枠体とで形成される空間及び既設枠、カバー下地材、及びカバー枠体で形成される空間に雨水等が入っても、カバー下地材及びカバー枠体の長手方向に沿って、雨水等がカバー下地材及びカバー枠体を伝わって、カバー下地材の他方の端面、及びカバー枠体の端面から排出され、その排水用空隙より雨水等の排水を行うことが可能になり、排水性の確保を図り躯体内への雨水等の侵入を防止することが可能になる。
【0016】
なお、カバー下地材の他方の端面と既設枠との間の排水用空隙と、カバー枠体の他方の端面と既設枠との間の排水用空隙とが異なる場合も可能であり、一方の排水用空隙が他方の排水用空隙より大きくなる場合であっても、小さくなる場合であってもよい。このような場合に雨水等が、カバー下地材とカバー枠体とで形成される空間(及び既設枠、カバー下地材、及びカバー枠体で形成される空間)に入っても、カバー下地材及びカバー枠体の長手方向に沿って、雨水等が流れることで、カバー下地材、或いはカバー枠体の他方の端面より流れ出て、排水用空隙より雨水等の排水を行うことが可能になる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の既設枠の長手方向に沿って、カバー下地材の背面部を竪方向の既設枠の取付面に当接させて、前記カバー下地材の前記背面部に基づき、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定するための位置決めを行う工程と、位置決めを行った、竪方向の前記既設枠と前記カバー下地材と、を固定するために防水性の固定具を用いて、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定する工程と、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定することで、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー下地材の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成する工程と、竪方向の前記既設枠の前記取付面上で、カバー枠体により前記カバー下地材を覆い、前記カバー枠体を前記カバー下地材に係合させることで、前記カバー下地材に前記カバー枠体を仮止めする工程と、前記カバー下地材の接合部と前記カバー枠体の接合部を固定具で固定することにより、前記カバー枠体を前記カバー下地材に固定し、竪方向の前記既設枠に前記カバー枠体を取り付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
従って、請求項4に記載の発明によれば、上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の既設枠の長手方向に沿って、カバー下地材の背面部を竪方向の既設枠の取付面に当接させて、カバー下地材の背面部に基づき、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定するための位置決めを行う。例えば、カバー下地材の背面部に予め設けられている小孔部に合わせて、カバー下地材の背面部と竪方向の既設枠とに小孔部を穿孔し固定するための位置決めを行うことが可能になる。
【0019】
つぎに、位置決めを行った、竪方向の前記既設枠と前記カバー下地材と、を固定するために防水性の固定具を用いて、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定する。例えば、上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面を合わせて、カバー下地材を竪方向の既設枠に重ねて、重なり合った、カバー下地材の背面部に設けられた小孔部と、竪方向の既設枠の取付面に設けられた小孔部とに、防水性の固定具を挿入し、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定することが可能になる。
【0020】
つぎに、竪方向の既設枠にカバー下地材を固定することで、竪方向の既設枠の長手方向に沿って、カバー下地材の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成する。竪方向の既設枠よりカバー下地材は短いため、カバー下地材の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成することが可能になる。
【0021】
つぎに、竪方向の前記既設枠の前記取付面上で、カバー枠体により前記カバー下地材を覆い、前記カバー枠体を前記カバー下地材に係合させることで、前記カバー下地材に前記カバー枠体を仮止めする。具体的には、竪方向の既設枠の取付面上で、カバー枠体を移動させ、カバー下地材の窪み部と竪方向の既設枠の取付面とで形成される隙間にカバー枠体の背面部を組み込み、カバー下地材の端部を、カバー枠体の、背面部から延びる屈曲部と背面部とで挟み込むことでカバー下地材にカバー枠体を仮止めする。つまり、カバー下地材の窪み部と竪方向の既設枠の取付面とで形成される隙間にカバー枠体の背面部を組み込み、カバー下地材の端部をカバー枠体の背面部と屈曲部とで挟み込むことになるためカバー下地材にカバー枠体を仮止めすることが可能になる。
【0022】
つぎに、カバー下地材の接合部とカバー枠体の接合部を固定具で固定することにより、カバー枠体をカバー下地材に固定し、竪方向の既設枠に前記カバー枠体を取り付ける。カバー下地材は竪方向の既設枠に固定されているため、カバー枠体をカバー下地材に固定することでカバー枠体は竪方向の既設枠に取り付けが可能になる。
【0023】
さらに、カバー枠体の戸当たり部にさや部を組み込み、このさや部に水密材である戸当たりゴムを取り付け、上方及び下方の既設枠の戸当たり部にさや部を組み込み、このさや部に水密材である戸当たりゴムを取り付け、カバー下地材の凹部とカバー枠体の凹部とにより形成される空間を利用して丁番を取り付け、ドアを吊り込むことが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、それぞれの竪方向の既設枠にドア枠体(カバー下地材及びカバー枠体)を設けて固定しているだけなので躯体の開口部の上下方向の有効開口を狭めることもなくなり、ドアの交換(改修等)前と実質的に同様に使用できる。また、躯体の開口部に設けられている全ての既設枠にドア枠体(カバー下地材及びカバー枠体)を設けてはいないので、ドア枠体の取付の作業効率の向上を図れる。また、本発明のドア枠体の固定に際しては、固定具であるボルト、ナットをドアの側面に対向する位置に用いており、カバー枠体で覆われているので、固定具がドアを閉めた状態では外部から見えなくなり外観を損なうことがない。
【0025】
また、カバー下地材の小孔部と竪方向の既設枠の小孔部とを防水性の固定具で固定するために、金属製のカバー下地材と金属製の既設枠との固定であっても、既設枠内への雨水等の侵入を防止することができ、水密性の確保を図ることができる。また、雨水等がカバー下地材とカバー枠体とで形成される空間(及び既設枠、カバー下地材、及びカバー枠体で形成される空間)に入っても、カバー下地材の他方の端面及びカバー下地材に固定されたカバー枠体の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙が形成されているので、雨水等をカバー下地材の他方の端面、或いはカバー枠体の他方の端面)から排出することで、ドア枠体と既設枠との間に侵入した雨水等の排水性の確保を図ることができ、躯体内への雨水等の侵入を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
図1に本発明であるドア枠体1に組み込んだドア5が示されている。図1では、ドア5及び、ドア5を挟む竪方向の既設枠である既設枠6、6に設けられたドア枠体1を構成するカバー下地材2及びカバー枠体3を横断方向から示している。既設枠6、6は、図1に示すように、ドア5を挟むように、躯体の開口部10に設けられており、既設枠6、6内は中空になっている。既設枠6、6の屋内側の端部の連結部62、62がドア5方向へ延びて断面略コ字状の支持部(既設枠の戸当たり部)63、63が形成されている。そして、既設枠6、6には、図1に示すように、カバー下地材2、2の凹部2c、2c同士が対向するようにカバー下地材2、2が固定されている。また、カバー枠体3、3が、カバー下地材2、2を覆うようにカバー下地材2、2に固定されて、既設枠6、6に取り付けられている。
【0028】
カバー下地材2は、図2に示すように、凹部2cである断面略C字状部21と断面略コ字状部23とから構成されている。また、図示していないが、カバー下地材2は、カバー下地材2が固定される既設枠6の長手方向に沿って延びている。そして、カバー下地材2、2の凹部2cは、図1に示すように、ドア5の側面51に対向するように固定されることになる。より具体的には、既存枠6、6に取り付けられたカバー下地材2、2の、断面略C字状部21、21の開口22、22同士、断面略コ字状部23、23の開口24、24同士が対向することになる。
【0029】
カバー下地材2の背面部25は、既設枠6の取付面61に取り付けられるように、取付面61に接触可能な面をなしている。カバー下地材2の断面方向の両端は、図2(a)に示すように、背面部25に対して略直角方向で一方の側に、端部27、28が延びている。端部27、28は背面部25から略同一の長さに設定されている。端部27では先端が狭い平面状の形状(平面部27a)を形成している。
【0030】
また、端部28寄りに、背面部25に対して略直角方向で一方の側に、突出部29が延びており、端部27,28とほぼ同じ長さに設定されている。この突出部29の先端も狭い平面状の形状(平面部29a)に形成されている。突出部29の先端近傍からは端部27方向へ向けて、突出部29に対して略直角方向に接合部29bが延びて形成されている。接合部29bでは、図2に示すように、接合部29bの先端が突出部29の先端(平面部29a)と同一方向に狭い平面状の形状(平面部29c)が形成されている。
【0031】
また、端部27が形成されている背面部25の他方の側では、窪み部26が形成されており、カバー下地材2が既設枠6に固定されたときに(取り付けられたときに)、カバー下地材2と既設枠6との間で隙間が形成されるようになっている。この窪み部26は、図2に示すように、端部27近傍までは一定の深さの面押し部26aが形成されており、端部27近傍では傾斜面26bを形成し、面押し部26aと傾斜面26bとが連続している。傾斜面26bは、図2に示すように、面押し部26aから端部27に向かって既設枠6との隙間が大きくなるように(開くように)、傾斜して形成されている。さらに、端部28が形成されている背面部25の他方の側では、端部28近傍に突出部25cが形成されている。また、背面部25には、背面部25を貫通する小孔部25aが、カバー下地材2の長手方向に沿って、複数穿孔されている。
【0032】
本例で示すカバー下地材2は、押出し成形により形成したものであるが、この方法に限定されることはなく、他の方法で形成することも可能である。
【0033】
つぎに、このカバー下地材2を覆うことになるカバー枠体3について説明する。カバー枠体3は、図3に示すように、複数の断面略コ字状の部材を合わせたような形状をなしている。カバー枠体3の背面部31は既設枠6の取付面61に取り付けられるように、取付面61に接触可能な面をなしている。背面部31の一端からは端部32が、背面部31に対して略直角方向へ延びている。端部32が背面部31に対して略直角方向へ延びる長さは、カバー下地材2の端部27を覆うことのできる長さである。
【0034】
具体的には、カバー枠体3の端部32の先端部32aより、端部32に対して略直角方向に続く屈曲部33を形成した際に、カバー下地材2の端部27を背面部31と屈曲部33で挟み込むことができる長さに設定してある。また、端部32に対して略直角方向に続く屈曲部33を形成することで、背面部31、端部32、及び屈曲部33により断面略コ字状部が形成される。屈曲部33から背面部31に対して略平行方向に延び、屈曲部33の先端部33aより、図3に示すように、屈曲部33に対して略直角方向に、端部32に対して略平行方向に連結部34が延びている。
【0035】
そして、連結部34の先端部34aより、連結部34に対して略直角方向に、屈曲部33(背面部31)に対して略平行方向に平面部35が延びている。この平面部35は、カバー下地材2にカバー枠体3を組み込んだときに、カバー下地材2の接合部29b近傍まで延びている。平面部35が延びた先端部35aより、平面部35に対して略直角方向に、連結部34に対して略平行に連結部36が延びている。このようにして、平面部35及び連結部34、36により断面略コ字状部が形成され、カバー枠体3の凹部3cを形成している。
【0036】
連結部36の先端部36aより、連結部36に対して略直角方向に、平面部35に対して略平行方向に接合部37が延びている。接合部37は、カバー下地材2にカバー枠体3を組み込んだときに、接合部37が接合部29bと重なり合うことが可能になるように延びている。接合部37の先端部37aからは、接合部37に対して略直角方向に、連結部36に対して略平行方向に連結部38が延び、連結部38の先端部38aからは、連結部38に対して略直角方向に、接合部37に対して略平行方向に端部39が延びている。
【0037】
端部39の先端部39dからは、端部39に対して略直角方向に端面部39aが延びている。端面部39aは、カバー下地材2にカバー枠体3を組み込んだときに、カバー下地材2の端部28の先端部28aが近接するところまで延びている。そして、端面部39aから連結部39bが延びている。連結部39bには、断面略コ字状の戸当たり部39cが、設置されるドアに対向するように形成されている。
【0038】
本例で示すカバー枠体3は、押出し成形により形成したものであるが、この方法に限定されることはなく、他の方法で形成することも可能である。
【0039】
本例での、カバー下地材2及びカバー枠体3は上記に示す形状であるが、カバー下地材2及びカバー枠体3は、上記の形状に限定されることはない。カバー下地材2及びカバー枠体3は、基本的にカバー下地材の凹部2cとカバー枠体3の凹部3cとが重なり合って空間を形成し、既設枠6にカバー下地材2が固定されたときに、カバー下地材2と既設枠6とで形成される隙間でカバー枠体3を仮止めできる形状であればよい。
【0040】
図1では、既設枠6にカバー下地材2を固定し、カバー枠体3をカバー下地材2に固定し既設枠6に取り付けた状態が示してある。既設枠6の取付面61にカバー下地材2の背面部25が複数の防水性の固定具であるボルト17及びナット15で固定されている。このカバー下地材2に対してカバー枠体3は、カバー枠体3の背面部31が既設枠6の取付面61とカバー下地材2の面押し部26aとの間で形成される隙間に入り込んでおり、カバー下地材2の端部27の先端(平面部27a)、突出部29の先端(平面部29a)、及び平板部29cが、カバー枠体3の屈曲部33、接合部37に接触して支持している。また、カバー下地材2の端部28の先端がカバー枠体3の端面部39aの縁近傍に近接している。
【0041】
そして、図1に示すように、カバー下地材2とカバー枠体3との固定は、カバー下地材2の接合部29bとカバー枠体3の接合部37とをタッピングネジ13を用いることにより行われている。この固定により、カバー下地材2とカバー枠体3とが一体になり既設枠6の取付面61に固定されている。さらに、既設枠6の支持部(既設枠の戸当たり部)63には水密材64が取り付けられており、支持部(既設枠の戸当たり部)63には端部28の端面28bが当接している。
【0042】
図4には、躯体の、ドア5が取り付けられる開口部10が、既設枠6の長手方向より示してある。ドア枠体1の上方には、上方の既設枠である既設枠8が躯体の開口部10の上側に設置されており、ドア枠体1の下方には、下方の既設枠である既設枠9が躯体の開口部10の下側に設置されている。既設枠8の開口部10近傍では、連結部81が下方へカバー下地材2及びカバー枠体3と略平行方向に延びて、断面略コ字状の戸当たり部81aが形成されている。この戸当たり部81aには、さや部81bが組み込まれており、このさや部81bに戸当たりゴム81cが取り付けられている。
【0043】
また、既設枠9の開口部10近傍では、端部より連結部91が上方へカバー下地材2及びカバー枠体3と略平行方向に延びて、断面略コ字状の戸当たり部91aが形成されている。この戸当たり部91aには、さや部91bが組み込まれており、このさや部91bに戸当たりゴム91cが取り付けられている。以上のように、既設枠8、9の戸当たり部81a、91aにさや部81b、91bが組み込まれ、戸当たりゴム81c、91cが取り付けられ、躯体の開口部10の横断方向へ延びている。図4では、躯体の開口部10にドア5が取り付けられて開口部10を閉じた場合のドア5の屋内側の面部52に戸当たりゴム81c、91cが当接した状態が示してある。
【0044】
図4では、既設枠8に、カバー下地材2の一方の端面2a及びカバー枠体3の一方の端面3aを対向し、例えば、既設枠8にカバー下地材2の一方の端面2a(及びカバー枠体3の一方の端面3a)を当接させて(接触させて)、既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の背面部25を既設枠6の取付面61に当接させて(接触させて)固定してある。カバー下地材2及びカバー枠体3は、既設枠6より短いため、カバー下地材2の他方の端面2b(及びカバー枠体の他方の端面3b)と、既設枠9との間に排水用空隙Sが形成されることになる。
【0045】
本例では、カバー下地材2とカバー枠体3との長さを同じに設定してあるが、特に同じ長さに限定されるものではない。カバー下地材2がカバー枠体3より長くてもよく、カバー下地材2がカバー枠体3より短くてもよい。基本的には、既設枠9と、カバー下地材2、及びカバー枠体3とで排水用空隙を形成し、カバー下地材2とカバー枠体3とで形成される空間(及び既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3で形成される空間)に入り込んだ雨水等がカバー下地材2(或いはカバー枠体3)の長手方向に沿って流れることで、雨水等がカバー下地材2の他方の端面2b(或いは、カバー枠体3の他方の端面3b)より排水できればよい。
【0046】
以上のように、既設枠9と、カバー下地材2の他方の端面2b(及びカバー枠体3の他方の端面3b)との間に排水用空隙Sを設けることで、雨水等がカバー下地材2とカバー枠体3とで形成される空間(及び既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3で形成される空間)に入っても、カバー下地材2及びカバー枠体3の長手方向に沿って、雨水等が流れることで、カバー下地材2の他方の端面2b、或いはカバー枠体3の他方の端面3bより流れ出て、排水用空隙Sより雨水等の排水を行うことが可能になり、躯体内への雨水等の侵入を防止することが可能になっている。
【0047】
つぎに、本発明であるドア枠体1の取付方法を中心にドア交換方法について図5から図13までを主に用いて説明する。
【0048】
既設枠6、6の屋内側の端部の連結部62から延びている断面略コ字状の支持部(既設枠の戸当たり部)63、63に既に付いている図示しない戸当たり用の気密材を取り外す。気密材の取り外しに際しては、支持部(既設枠の戸当たり部)63に新たに水密材64の貼り付けを行うことや、支持部(既設枠の戸当たり部)63がカバー下地材2の端面28aに当接することを考慮して完全に気密材を取り除く。そして、気密材を取り除いた支持部(既設枠の戸当たり部)63には、断面略コ字状部の開口部63aを覆う水密材64を貼り付ける。水密材64は、図5に示すように、断面略コ字状部の開口部63aを覆うことになり、図示しない躯体の開口部10の長手方向に沿って形成されている支持部(既設枠の戸当たり部)63の断面略コ字状部の開口部63aを覆う。
【0049】
(既設枠6とカバー下地材2との位置決め工程)
つぎに、既設枠8に、カバー下地材2の一方の端面2a及びカバー枠体3の一方の端面3aを対向し、例えば、本例では、既設枠8の端面8aにカバー下地材2の一方の端面2aを当接させる(接触させる)(図4参照)。それと同時に、既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の背面部25を既設枠6の取付面61に当接させる(接触させる)。このカバー下地材2には、図6(b)に示すように、予め複数の小孔部25aが穿孔されている。この小孔部25aの大きさは、特に限定されていないが、カバー下地材2、2の小孔部25aより既設枠6、6が確認できればよい。
【0050】
そして、カバー下地材2に予め穿孔された小孔部25aから確認できる、既設枠6の取付面61の、小孔部25aに対応する位置に、図6(a)に示すように、矢印方向よりドリル100を用いて小孔部25aより大きい径の小孔部25b、65をカバー下地材2の背面部25と既設枠6の取付面61に穿孔する。つまり、カバー下地材2の背面部25に設けられている小孔部25aに合わせてカバー下地材2及び既設枠6を穿孔することにより、カバー下地材2の小孔部25aは拡径されて小孔部25bになり、既設枠6の取付面61には小孔部65が設けられる。本例では、ドリル100を用いて穿孔するカバー下地材2の小孔部25b及び既設枠6の取付面61の小孔部65の径は約4.5mmであるが、この約4.5mmに限定されるものではなく、防水性の固定具により径を決めればよい。以上のようにして、カバー下地材2の背面部25に基づき、既設枠6にカバー下地材2を固定するための位置決めが行われたことになる。
【0051】
なお、図6(b)で示す点線の矩形形状は丁番11の取付位置が示されており、穿孔に際してはこの部分を避けている。つまり、図6(b)に示すように、丁番11の取付位置(点線で示す位置)を挟み込むように穿孔し、その穿孔したところに将来固定具を取り付けることで、ドア5開閉時に負荷がかかる丁番11に対しての丁番11位置の強度を上げることを可能にしている。そして、穿孔後、カバー下地材2を既設枠6、8から外し、既設枠6の小孔部65の径を大きくするために図示しないドリル等により小孔部65を拡径する。この小孔部65は、本例では、図示しないドリル等により径を約8mmとしているが、約8mmに限定されるものではなく、防水性の固定具により径を決めればよい。
【0052】
(既設枠6にカバー下地材2固定する工程)
つぎに、既設枠6の取付面61に設けられた拡径された小孔部65に防水性の固定具を挿入する。具体的には、図7に示すように、拡径された小孔部65にシール効果のあるゴム製ナット15を差し込む。本例でのゴム製ナット15の用い方は、図9に示してある。図9(a)に示すように、小孔部65に差し込まれたゴム製ナット15は、小孔部65より径が大きいリング状部15bにより小孔部65で保持される。
【0053】
そして、既設枠8を基準に、本例では、カバー下地材2の一方の端面2aを既設枠8の端面8aに当接させる(接触させる)とともに、カバー下地材2の背面部25を既設枠6、6の取付面61、61に当接させる(接触させる)。その結果、図9(b)に示すように、既設枠6の小孔部65上に、カバー下地材2の小孔部25bより大きいリング状部15bを介してカバー下地材2の小孔部25bが重なる。カバー下地材2の小孔部25bから、図7及び図9(b)に示すように、図7に示す矢印方向よりボルト17を挿入し、ゴム製ナット15のナット部15cと螺合させる。
【0054】
図9(c)に示すように、ボルト17とゴム製ナット15のナット部15cとをドライバー101により、螺合させていくと、リング状部15bは、カバー下地材2の背面部25と既設枠6の取付面61に挟まれて挟圧されるため、小孔部25b、65の周りに吸着させられる。同時に、ナット部15cが小孔部65方向へ移動し、ナット部15cを覆っているゴム部15dも小孔部65方向へ移動しリング状部15aを形成する。
【0055】
その結果、図9(c)に示すように、ナットの頭部17aとリング状部15bとで小孔部25bの周りをきつく締め付け、小孔部65より大きい径の二段構造のリング状部15a、15bにより小孔部65の周りをきつく締め付ける。そのため、小孔部25b、65へのリング状部15a、15bの密着の度合いが大きくなる。つまり、リング状部15a、15bはゴム製であるため、小孔部25b、65の周りの水密性が確保される。従って、小孔部25b、65から既設枠6内への雨水等の侵入を防止することが可能になる。
【0056】
また、ドライバー101によりボルト17をゴム製ナット15のナット部15cに螺合させて螺進させると、カバー下地材2の背面部25と既設枠6の取付面61にゴム製ナット15のリング状部15bが挟まれた状態になり、カバー下地材2の背面部25より突出した状態になる。ただし、背面部25には突出部25cが形成されているため、既設枠6の取付面61にカバー下地材2の背面部25を当接させても(接触させても)、カバー下地材2の背面部25は既設枠6の取付面61と平行な状態になる。このようにして、既設枠8の端面8aにカバー下地材2の一方の端面2aが当接し(接触し)、カバー下地材2の背面部25が既設枠6、6の取付面61、61に当接した(接触した)状態で、カバー下地材2が既設枠6、6、8に固定される。
【0057】
本例では、一例として既設枠6の取付面61の小孔部にゴム製ナット15を差し込む例を示したが、特にこのゴム製ナット15を用いることに限定されない。このゴム製ナット15以外では、例えば、水密ワッシャを用いることも可能である。具体的には、ボルト17のボルトねじが設けられているところに水密ワッシャを通し、ボルト17と、既設枠6内に配置されたナットと螺合させ、カバー下地材2の背面部25と既設枠6の取付面61とで水密ワッシャを挟み込み水密性を確保するというものである。他の例としては、これは、例えば、ボルトの頭部に防水部材が設けられていて、ボルトとナットとの螺合が完了したときに、ボルトの頭部の防水部材を潰して背面部25の小孔部25aを覆い隠すことで水密性を確保するというものである。
【0058】
(カバー下地材2と、既設枠9との間に排水用空隙を形成する工程)
以上のように、既設枠8に、カバー下地材2の一方の端面2aを対向し、本例では、既設枠8の端面8aにカバー下地材2の一方の端面2aを当接させて(接触させて)、既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の背面部25を既設枠6の取付面61に当接させて(接触させて)、カバー下地材2の背面部25に設けられた小孔部25bと、既設枠6の取付面61に設けられた小孔部65とを重なり合わせた状態で固定し、カバー下地材2を固定した既設枠6の長手方向に沿って、カバー下地材2の他方の端面2bと、既設枠9との間に排水用空隙Sを形成する。
【0059】
(カバー下地材2にカバー枠体を仮止めする工程)
つぎに、既設枠6の取付面61上で、カバー枠体3によりカバー下地材2を覆い、カバー枠体3をカバー下地材2に係合させることで、カバー下地材2に前バー枠体3を仮止めする。具体的には、既設枠6の取付面61上で、カバー枠体3を移動させ(スライドさせ)、カバー下地材2の窪み部26と既設枠6の取付面61とで形成される隙間Vにカバー枠体3の背面部31を組み込み、カバー下地材2の接合部29bにカバー枠体3の接合部37を重なり合わせてカバー下地材2にカバー枠体3を仮止めする。
【0060】
つまり、まず、カバー枠体3の背面部31を既設枠6の取付面61に接触させる。接触に際しては、図10に示すように、カバー枠体3の背面部31が既設枠6の取付面61に沿うようにする。この状態で、背面部31を取付面61に沿って移動し、取付面61とカバー下地材2の傾斜面26bとで形成される隙間Vに到達する。背面部31に対して傾斜面26bは、図10に示すように、開いた状態になっているので容易にカバー下地材2の窪み部26と取付面61とで形成される隙間Vに入り易くなる。
【0061】
そして、図10に示す矢印方向に沿って、既設枠6の取付面61上で、カバー枠体3を移動させ、カバー下地材2の窪み部26と既設枠6の取付面61とで形成される隙間Vにカバー枠体3の背面部31を組み込むことで、カバー枠体3の接合部37がカバー下地材2の平面部27aを移動し、平面部29c及び平面部29aへ移動し、カバー枠体3の屈曲部33が平面部27aへ移動する。このとき、カバー下地材2の端部27を、カバー枠体3の、屈曲部33と背面部31とで挟み込むことでカバー下地材2にカバー枠体3が仮止めされた状態(取り付けられた状態)になる。このとき同時に、カバー枠体3の接合部37がカバー下地材2の接合部29bとが対向する。また、カバー下地材2の凹部2cとカバー枠体3の凹部3cとが重なり合って空間を形成する。この空間内は、ドア5を吊り込むための丁番11を取り付ける際に、丁番11を取り付けるための固定具が組み込まれることになる。
【0062】
(カバー枠体3をカバー下地材2に固定し、既設枠6にカバー枠体3を取り付ける工程)
このように仮止めされた状態では、カバー下地材2の平面部27aがカバー枠体3の屈曲部33と接触しており、カバー下地材2の平板部29c及び平板部29aがカバー枠体3の接合部37に接触している。そのため、本例では、カバー下地材2の接合部29bとカバー枠体3の接合部37とは接触せずに対向している。このように、接合部29bと接合部37と対向させた状態で、タッピングネジ13を用いて、図12に示すように、接合部29bと接合部37とを貫通して固定する。以上により、カバー枠体3をカバー下地材2に固定し、既設枠6にカバー枠体3を取り付ける。なお、本例においては、カバー下地材2の接合部29bとカバー枠体3の接合部37とは接触させていないが、カバー下地材2の接合部29bとカバー枠体3の接合部37とを接触させてタッピングネジ13で固定することも可能である。
【0063】
図12では示していないが、タッピングネジ13を用いた接合部29bと接合部37との連結は、カバー下地材2及びカバー枠体3の長手方向に沿って行われる。そして、連結に用いられるタッピングネジ13同士の間隔はカバー下地材2及びカバー枠体3の強度等を考慮して決定される。このように、接合部29bと接合部37とを連結することで、カバー枠体3をカバー下地材2に固定することができ、カバー枠体3を固定したカバー下地材2の既設枠6への固定が完了する。
【0064】
なお、本例では、カバー枠体3を固定したカバー下地材2の、既設枠6の長手方向に沿って、既設枠6への固定が完了したときには、カバー下地材2を固定した既設枠6の長手方向に沿って、カバー枠体3の他方の端面3bと、既設枠9との間にも排水用空隙Sを形成している。ただし、本例のように、カバー下地材2の他方の端面2b及びカバー枠体3の他方の端面3bと既設枠9との間に同じ排水用空隙Sを形成する必要はなく、カバー下地材2の他方の端面2bと既設枠9との間の排水用空隙の大きさと、カバー枠体3の他方の端面3bと既設枠9との間の排水用空隙の大きさとが異なる場合であってもよい。つまり、いずれか一方の排水用空隙が他方の排水用空隙より大きくなってもよいし、小さくなってもよい。
【0065】
本例においては、カバー枠体3をカバー下地材2に固定する前に、カバー枠体3の戸当たり部39cにさや部39c1を組み込み、このさや部39c1に戸当たりゴム39c2を組み込んでいるが、カバー枠体3をカバー下地材2に組み込んだ後に戸当たり部39cにさや部39c1を組み込み、このさや部39c1に戸当たりゴム39c2を組み込むことも可能である。
【0066】
既設枠8については、図13に示すように、連結部81より延びる戸当たり部81aにさや部81bを組み込み、このさや部81bに戸当たりゴムである水密材81cを組み込み、既設枠9については、図13に示すように、連結部91より延びる戸当たり部91aにさや部91bを組み込み、このさや部91bに戸当たりゴムである水密材91cを組み込む。以上のように、既設枠6、6にカバー下地材2及びカバー枠体3を固定し、既設枠8、9の戸当たり部81a、91aにさや部81b、91b及び水密材81c、91cを組み込むことで躯体の開口部10の既設枠6、6、8、9にドア5を取り付ける施工が完了する。なお、予め水密材81c、91cをさや部81b、91bに組み込んでおくことも可能である。
【0067】
そして、最後にカバー下地材2及びカバー枠体3の図示しない長手方向の丁番11を取り付ける位置に丁番11を、カバー下地材2及びカバー枠体3により形成される空間を利用して丁番11を取り付け、図1に示すように、ドア5を吊り込む。ドア5の錠等の調整を行ってドア5の取り付けが完了する。
【0068】
つぎに、本発明であるドア枠体1を用いて躯体の開口部10に吊り込まれたドア5の特徴な機構を簡単に説明する。
【0069】
改修等により躯体の開口部10に吊り込まれたドア5は、改修等の前のドアと同様に、開閉等の動作を行う。ただし、このドア5(躯体の開口部10)に雨水等が降りかかると本発明であるドア枠体1がドア枠体1の水密装置としての働きを発揮する。具体的には、ドア5に雨水等が降りかかると、ドア5全面に雨水等がかかるだけではなく、ドア5の周りに設けられている既設枠6、6、8、9やカバー下地材2やカバー枠体3にも雨水等がかかる。このように躯体の開口部10全面に雨水等がかかると躯体の開口部10の隙間に雨水等が侵入してくる。
【0070】
そのような場合、特に、メタルタッチ部(金属製部材同士の接触部)に雨水等は侵入し易い。本例でのカバー下地材2、カバー枠体3、及び既設枠6、8、9は金属製部材であり、図14で示すように、既設枠6とカバー枠体3との接触位置はメタルタッチ部であるため、隙間ができ易く、金属製部材と防水性の固定具(ゴム製ナット15)と接触している位置に比べ雨水等の侵入は避けられない。
【0071】
つまり、ドア5(躯体の開口部10)に雨水等が降りかかると、矢印A方向より雨水等が既設枠6とカバー枠体3との接触位置へ入ってくる。既設枠6とカバー枠体3との接触位置へ入ってきた雨水等は、矢印B方向へ流れ、ゴム製ナット15が挿入されているカバー下地材2の小孔部25bと既設枠6の小孔部65へ向かって流れる。
【0072】
ゴム製ナット15が挿入されているカバー下地材2の小孔部25bと既設枠6の小孔部65へ流れてきても、ここではゴム製ナット15が小孔部25b、65をシールしているために水密性が確保され、基本的には、雨水等は既設枠6内には入らない。しかしながら、図14に示すように、矢印B方向へ流れることで小孔部25b、65までの途中にあるカバー枠体3の背面部31の先端とカバー下地材2の面押し部26aとの間の隙間Rに雨水等が入り込むことはある。そのような場合、さらに、矢印C方向に沿って雨水等が流れカバー枠体3の端部32とカバー下地材2の端部27とにより形成される隙間Tに流れ込み、さらに、矢印D方向に沿って、平板部27aと屈曲部33とのメタルタッチ部からカバー下地材2とカバー枠材3とにより形成される空間に流れ込む。また、丁番11の取付ねじ19周りからもカバー下地材2とカバー枠材3とにより形成される空間に雨水等が流れ込む。
【0073】
このように、既設枠6と、カバー下地材2及びカバー枠体3との間の隙間Rや、カバー下地材2とカバー枠体3に形成される空間に流れ込んだ雨水等は、図15に示すように、矢印E方向に沿って、既設枠9方向へ流れる。つまり、雨水等は、既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3の長手方向に沿って既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3を流れる。カバー下地材2の他方の端面2b(及びカバー枠体3の他方の端面3b)と既設枠9との間には排水用空隙Sが設けられているため、雨水等はカバー下地材2及びカバー枠体3から流れ出て、矢印F方向に沿って流れ、既設枠6、カバー下地材2、及びカバー枠体3から排水される。
【0074】
本発明のドア枠体1は、単に躯体の開口部10の改修等に際して、躯体の開口部10を狭めないという構成だけではない。躯体の開口部10に雨水等が降りかかった場合において、その雨水等に対しての水密性を確保するとともに、ドア枠体1を通じて雨水等を外部へ排水するドア枠体1の水密装置としての機能も備えている。従って、本発明であるドア枠体1をドア枠体の水密装置として捉えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明であるドア枠体を用いてドアを組み付けた状態を横断面方向から示す説明図である。
【図2】本発明であるドア枠体を構成するカバー下地材の断面方向から示す説明図である。
【図3】本発明であるドア枠体を構成するカバー枠体の断面方向から示す説明図である。
【図4】本発明であるドア枠体を用いてドアを組み付けた状態を躯体の竪方向の既設枠の長手方向から示す説明図である。
【図5】本発明であるドア枠体の取付工法における、竪方向の既設枠に水密材を取り付ける工程を示す説明図である。
【図6】本発明であるドア枠体の取付工法における、カバー下地材及び竪方向の既設枠に小孔部を穿孔する工程を示す説明図である。 (a)は、カバー下地材と竪方向の既設枠とを重ね合わせてドリルを小孔部を形成する状況を示す説明図である。 (b)は、カバー下地材に穿孔した小孔部と予め設けられていた小孔部との比較できるように示した説明図である。
【図7】本発明であるドア枠体の取付工法における、カバー下地材を竪方向の既設枠にゴム製ナットとボルトで固定する工程を示す説明図である。
【図8】本発明であるドア枠体の取付工法における、カバー下地材を竪方向の既設枠に防水性の固定具で固定する工程を示す説明図である。
【図9】本発明であるドア枠体の取付工法における、防水性の固定具の一例を示す説明図である。(a)は、一例の防水性の固定具を竪方向の既設枠の小孔部へ配置する工程を示す説明図である。(b)は、竪方向の既設枠の小孔部へカバー下地材2の小孔部を重なり合わせ、一例の防水性の固定具を固定する工程を示す説明図である。(c)は、竪方向の既設枠の小孔部へカバー下地材2の小孔部を重なり合わせ、一例の防水性の固定具を固定している工程を示す説明図である。
【図10】本発明であるドア枠体の取付工法における、竪方向の既設枠にカバー枠体を取り付ける(カバー下地材にカバー枠体を固定する)工程を示す説明図である。
【図11】本発明であるドア枠体の取付工法における、竪方向の既設枠にカバー枠体を取り付ける(カバー下地材にカバー枠体を固定する)工程を示す説明図である。
【図12】本発明であるドア枠体の取付工法における、竪方向の既設枠にカバー枠体を取り付ける(カバー下地材にカバー枠体を固定する)工程を示す説明図である。
【図13】本発明であるドア枠体の取付工法における、上方及び下方の既設枠の戸当たり部に水密材を取り付ける工程を示す説明図である。
【図14】躯体の開口部に雨水等が降りかかった際に、躯体内での雨水等の流れを示す説明図である。
【図15】躯体の開口部に雨水等が降りかかった際に、躯体内での雨水等の流れを示す説明図である。
【図16】従来の取替えカバーを既設の枠に装着した状態を示す正面図である。
【図17】従来のドアの改修構造を示す説明図である。(a)は、従来のドアの改修構造を示す横断面図である。(b)は、従来のドアの改修構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1…ドア枠体
2…カバー下地材、2a…一方の端面、2b…他方の端面、2c…凹部、21…断面略C字状部、22、24…開口、23…断面略コ字状部、25…背面部、25a、25b…小孔部、25c…突出部、26…窪み部、26a…面押し部、26b…傾斜面、27、28…端部、27a…平面部、28a…先端部、29…突出部、29a…平面部、29b…接合部、29c…平面部、
3…カバー枠体、3a…一方の端面、3b…他方の端面、3c…凹部、31…背面部、32…端部、32a…先端部、33…屈曲部、33a…先端部、34…連結部、34a…先端部、35…平面部、35a…先端部、36…連結部、36a…先端部、37…接合部、37a…先端部、38…連結部、38a…先端部、39…端部、39a…端面部、39b…連結部、39c…戸当たり部、39d…先端部、39c1…さや部、39c2…戸当たりゴム、
5…ドア、51…側面、52…面部、
6…既設枠、61…取付面、62…連結部、63…(略コ字状部の)支持部(既設枠の戸当たり部)、63a…略コ字状部の開口部、64…水密材、65…小孔部、8、9…既設枠、81a、91a…戸当たり部、81b、91b…さや部、81c、91c…戸当たりゴム(水密材)
10…(躯体の)開口部
11…丁番
13…タッピングネジ
15…ゴム製ナット、15a、15b…リング状部、15c…ナット部、15d…ゴム部分、
17…ボルト
19…取付ねじ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体の開口部に沿って設けられた既設枠に固定される、前記開口部にドアを取り付けるためのドア枠体において、
一方の竪方向の前記既設枠と、その既設枠に対向する他方の竪方向の前記既設枠とに、凹部同士が対向するようにそれぞれの竪方向の前記既設枠に固定されるカバー下地材と、 該カバー下地材を覆うように、前記カバー下地材に固定されて、竪方向のそれぞれの前記既設枠に取り付けられるカバー枠体と、を備えることを特徴とするドア枠体。
【請求項2】
上方の前記既設枠に、前記カバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー下地材を竪方向の前記既設枠に重なり合わせ、竪方向の前記既設枠の取付面に前記カバー下地材の背面部を、防水性の固定具を用いて固定することを特徴とする請求項1に記載のドア枠体。
【請求項3】
上方の前記既設枠に、前記カバー下地材の一方の端面及び前記カバー枠体の一方の端面を対向し、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー枠体を固定する前記カバー下地材を竪方向の前記既設枠に固定すると、前記カバー下地材の他方の前記端面、及び前記カバー枠体の他方の前記端面と、下方の前記既設枠との間に排水用空隙が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のドア枠体。
【請求項4】
上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の既設枠の長手方向に沿って、カバー下地材の背面部を竪方向の既設枠の取付面に当接させて、前記カバー下地材の前記背面部に基づき、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定するための位置決めを行う工程と、
位置決めを行った、竪方向の前記既設枠と前記カバー下地材と、を固定するために防水性の固定具を用いて、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定する工程と、
竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定することで、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー下地材の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成する工程と、
竪方向の前記既設枠の前記取付面上で、カバー枠体により前記カバー下地材を覆い、前記カバー枠体を前記カバー下地材に係合させることで、前記カバー下地材に前記カバー枠体を仮止めする工程と、
前記カバー下地材の接合部と前記カバー枠体の接合部を固定具で固定することにより、前記カバー枠体を前記カバー下地材に固定し、竪方向の前記既設枠に前記カバー枠体を取り付ける工程と、を備えることを特徴とするドア枠体の取付工法。
【請求項1】
躯体の開口部に沿って設けられた既設枠に固定される、前記開口部にドアを取り付けるためのドア枠体において、
一方の竪方向の前記既設枠と、その既設枠に対向する他方の竪方向の前記既設枠とに、凹部同士が対向するようにそれぞれの竪方向の前記既設枠に固定されるカバー下地材と、 該カバー下地材を覆うように、前記カバー下地材に固定されて、竪方向のそれぞれの前記既設枠に取り付けられるカバー枠体と、を備えることを特徴とするドア枠体。
【請求項2】
上方の前記既設枠に、前記カバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー下地材を竪方向の前記既設枠に重なり合わせ、竪方向の前記既設枠の取付面に前記カバー下地材の背面部を、防水性の固定具を用いて固定することを特徴とする請求項1に記載のドア枠体。
【請求項3】
上方の前記既設枠に、前記カバー下地材の一方の端面及び前記カバー枠体の一方の端面を対向し、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー枠体を固定する前記カバー下地材を竪方向の前記既設枠に固定すると、前記カバー下地材の他方の前記端面、及び前記カバー枠体の他方の前記端面と、下方の前記既設枠との間に排水用空隙が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のドア枠体。
【請求項4】
上方の既設枠にカバー下地材の一方の端面を対向し、竪方向の既設枠の長手方向に沿って、カバー下地材の背面部を竪方向の既設枠の取付面に当接させて、前記カバー下地材の前記背面部に基づき、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定するための位置決めを行う工程と、
位置決めを行った、竪方向の前記既設枠と前記カバー下地材と、を固定するために防水性の固定具を用いて、竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定する工程と、
竪方向の前記既設枠に前記カバー下地材を固定することで、竪方向の前記既設枠の長手方向に沿って、前記カバー下地材の他方の端面と、下方の既設枠との間に排水用空隙を形成する工程と、
竪方向の前記既設枠の前記取付面上で、カバー枠体により前記カバー下地材を覆い、前記カバー枠体を前記カバー下地材に係合させることで、前記カバー下地材に前記カバー枠体を仮止めする工程と、
前記カバー下地材の接合部と前記カバー枠体の接合部を固定具で固定することにより、前記カバー枠体を前記カバー下地材に固定し、竪方向の前記既設枠に前記カバー枠体を取り付ける工程と、を備えることを特徴とするドア枠体の取付工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−277844(P2007−277844A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102729(P2006−102729)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]