説明

ドラフト装置を備えた繊維機械

本発明は、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つのドラフト装置(1)を備えた繊維機械であって、メインドラフトゾーンを形成する2つのメインドラフトローラ対(3a,3b;4a,4b)が設けられていて、該メインドラフトローラ対(3a,3b;4a,4b)がそれぞれ1つの上側ローラ及び下側ローラを備えており、繊維流れ方向において第1のメインドラフトローラ対(3a,3b)に、上側ローラ(3a)に巻き掛けられて案内される上側エプロン(8)と、下側ローラ(3b)に巻き掛けられて案内される下側エプロン(9)とを備えたエプロンガイドが、ドラフトされる繊維束(6)を案内するために配属されており、少なくとも一方のエプロン(9)に、複数部分から成る変向装置(10,30)が配属されていて、該変向装置(10,30)を介して前記少なくとも一方のエプロン(9)が、繊維案内方向から戻り方向に変向されるようになっており、変向装置(10,30)がベース体(32)と、該ベース体(32)に装着された変向ガイド(31)とを有している形式のものに関する。このような形式のドラフト装置において本発明では、変向装置が特別な構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラフト装置を備えた繊維機械であって、メインドラフトゾーンを形成する2つのメインドラフトローラ対が設けられていて、該メインドラフトローラ対がそれぞれ1つの上側ローラ及び下側ローラを備えており、繊維流れ方向において第1のメインドラフトローラ対に、上側ローラに巻き掛けられて案内される上側エプロンと、下側ローラに巻き掛けられて案内される下側エプロンとを備えたエプロンガイドが、ドラフトされる繊維束を案内するために配属されており、少なくとも一方のエプロンに、複数部分から成る変向装置が配属されていて、該変向装置を介して前記少なくとも一方のエプロンが、繊維案内方向から戻り方向に変向されるようになっており、変向装置がベース体と、該ベース体に装着された変向ガイドとを有している形式のものに関する。
【0002】
開示されているがしかしながら本願の枠内においては請求されていない別の発明は、さらに、ドラフト装置を備えた繊維機械であって、メインドラフトゾーンを形成する2つのメインドラフトローラ対が設けられていて、該メインドラフトローラ対がそれぞれ1つの上側ローラ及び下側ローラを備えており、繊維流れ方向において第1のメインドラフトローラ対に、上側ローラに巻き掛けられて案内される上側エプロンと、下側ローラに巻き掛けられて案内される下側エプロンとを備えたエプロンガイドが、ドラフトされる繊維束を案内するために配属されており、少なくとも一方のエプロンに、回転ポイントを中心にして回転可能なテンションアームを備えたエプロンテンション装置が配属されていて、該エプロンテンション装置を用いて緊張させられる形式のものに関する。
【0003】
ドラフト装置は、繊維技術において、紡績機もしくは精紡機(Spinnmaschine)、調整練条機(Regulierstrecke)及び粗紡機(Flyer)における繊維束のドラフトのために使用される。紡績機のドラフト装置においてドラフトされた繊維束は、ドラフト工程に続いて紡績法によって糸に紡がれる。汎用のドラフト装置は少なくとも2つのローラ対から、しかしながら有利には3つ又は4つのローラ対から成っている。2つのローラ対を通過する繊維束は、両ローラ対の間における回転数の相違によってドラフトされる。両方のニップラインは、いわゆるニップ距離を形成している。このニップ距離内にドラフトゾーンが位置している。ドラフト装置は通常少なくとも1つのメインドラフトゾーンを有しており、このメインドラフトゾーンにおいて繊維束は高いドラフト値で延伸される。プレドラフトゾーンと後置されたメインドラフトゾーンとを備えた3シリンダドラフト装置が、広く用いられている。
【0004】
繊維束の繊維はメインドラフトゾーンにおいて互いの結合を失い、いわば浮遊し始めるので、繊維束は両ドラフトローラ対の間におけるニップラインの間においてエプロンによって案内される。いわゆるダブルエプロン式ドラフト装置が最も広く使用されている。このダブルエプロン式ドラフト装置では、メインドラフトゾーンの第1の上側ローラと下側ローラとに各1つのエプロンが巻き掛けられ、各エプロンは第2のローラ対に向かって変向装置によって繊維案内方向から戻り方向に変向させられる。繊維束はその結果第1のニップラインと変向装置との間において上側エプロンと下側エプロンとによって案内される。
【0005】
通常、エプロン、特に下側エプロンは、無端のエプロンであり、少なくとも第1の下側ローラと変向装置と、場合によってはテンション装置とに巻き掛けられて案内される。エプロンは無端エプロンとして製造されていても、又は、無端エプロンに端部が接着されているエプロン条片から成っていてもよい。テンション装置によって下側エプロンは緊張させられる。下側エプロンは、複数のドラムもしくはシリンダ又はローラに巻き掛けられて案内されていてもよい。この場合ローラのうちの1つ、特に下側ローラが、下側エプロンを駆動し、上側エプロンもしくは上側ローラとの摩擦力結合によって、ローラからエプロンへの駆動モーメントの伝達が保証される。
【0006】
ダブルエプロンガイドを備えたダブルエプロン式ドラフト装置を有するリング精紡機では、繊維束は2つのエプロンの間でメインドラフト部において出口ローラ対に向かって案内される。下側エプロンは、下側の中間ローラを介して駆動され、次いで、有利な形式で構成されたガイドエレメント又は変向装置及びテンションユニットを介して、走行する。
【0007】
繊維束のドラフト品質もしくは繊維ガイドは、後における糸品質に対して決定的な意味がある。繊維束におけるドラフトが均一であればあるほど、そこから紡績される糸は均一になる。同じことは、飾り糸に対しても言える。コントロールされたドラフトバリエーションが、規定に相応する飾り糸を、不都合な作用なしに生ぜしめる。メインドラフトはダブルエプロン式ドラフト装置において行われるので、特別な注意が最適なエプロンガイドに対して向けられる。シングルエプロン式ドラフト装置では、特にダブルエプロン式ドラフト装置では、ゆえに、申し分のないエプロンガイドに決定的な意味がある。紡績材料と共に運動するエプロンは、定置の変向エレメントにおける変向が必要であること、及びこれに関連した大きな摩擦に基づいて、エプロンガイドは極めてしばしば停滞や急激な移動等によって妨げられ、これによって、ドラフト装置において処理される繊維材料のドラフト作業が、不都合な影響を加えられたり、又はほとんど中断されてしまう。
【0008】
ゆえに本発明の根底をなす解決すべき問題点としては、以下のことが挙げられる:すなわち、
a. エプロンのスリップ又は停滞のような現象は、ドラフトエラー、つまり欠陥のあるドラフト結果を生ぜしめるので、回避されねばならない。このことは特に、例えば入口ローラ対を備えたプレドラフトゾーンを省かれたドラフト装置に対して言える。
b. ドラフト装置において繊維の最適なガイド及び最適なドラフトを可能にするために、個々のドラフトゾーンのニップ距離を、処理される繊維のステープル長さに合わせられねばならない。すなわちドラフトゾーンは無段階式に又は段階的に、つまり所定のポジションにかつ大きな費用もしくは手間をかけることなしに、調節可能であることが望まれている。このことは、変向装置及び場合によってはエプロンテンション装置のフレキシブルな調節可能性を必要とする。さらに、処置される繊維材料に関連して、種々異なった特性を有する走行エプロンが使用されねばならない。
【0009】
これに加えて、紡績される繊維材料もしくは紡績される糸及び使用されるエプロンに関連して、下側エプロンの変向装置のためのガイド面に種々様々なポジション及び構成を与えることも、必要である。
c. クリーニング目的のために、下側エプロン及びそのガイドを簡単かつ迅速に取り外せることも同様に必要である。それというのは下側エプロンガイドの領域には運転中に汚れの堆積することがあるからである。さらに、再組付け時に面倒な調節作業が不要であることが望まれている。
d. 下側エプロンのガイドもしくはテンションは、得られる糸の値にダイレクトに影響する。従って下側エプロンテンション装置を介したエプロンテンションの最適な調節は、糸品質を改善することになる。
【0010】
エプロン式ドラフト装置は従って2つの観点に関して改善されることが望まれている。すなわち本発明の第1の観点は、簡単に取付けもしくは組付け可能な変向ブリッジを提案することである。複数部分から成る変向ブリッジは、従来技術に基づいてそれ自体公知である。
【0011】
例えばCN2729111Yには、ベース体とガイド面を形成するガイド体との2部分から成る変向ブリッジが開示されている。ベース体とガイド体とはねじ結合部を介して互いに結合されている。
【0012】
DE4227490によればエプロン式ドラフト装置に、機械長手方向において複数の紡績箇所にわたって連続する金属薄板製の保持レールが配属されており、この保持レールには、複数の変向ガイドを有する下側エプロンホルダが取り付けられている。変向ガイドはT字形に形成されていて、その細い端部で保持レールの端部区分に取り付けられている。
【0013】
JP10158942には、金属薄板材料製のベース体と耐摩耗性材料製のカバーとから成る変向ブリッジが開示されている。ベース体はエプロンのための支持面を有しており、カバーは、このベース体の支持面を覆うように配置されている。
【0014】
本発明の第2の観点は、改善されたエプロンテンション装置を提案することである。エプロンテンション装置はそれ自体従来技術に基づいて公知である。
【0015】
例えば、DE4002050には、紡績機のドラフト装置の下側エプロン用のテンション装置のラチェットロック式のテンションエレメントが開示されている。このラチェットロック装置は、歯列を備えたロック歯車の機能を有するリングギヤと、このロック歯車の歯列に係合するラチェット部分とを有している。ラチェット歯は、自重によって又はばね負荷されて自動的に係合するようになっている。ラチェットロック装置を用いて、予負荷の容易になることが望まれている。テンション工程は汎用の工具によって紡績機の運転開始前に行われる。DE10218876A1に開示されたドラフト装置の下側エプロンは、テンション湾曲部材によって緊張させられ、この場合張力、つまりテンションはばねによって加えられる。
【0016】
本発明の課題は、ドラフト装置の構成(ジオメトリ、原材料)において高いフレキシビリティを有しているにもかかわらず、経済的な条件に対して最適なエプロンガイドを保証するエプロン式ドラフト装置を備えた、繊維機械、特に紡績機を提供することである。
【0017】
この課題を解決するために本発明の第1の観点によれば、ドラフト装置を備えた繊維機械において、ベース体が、機械長手方向において複数の紡績箇所にわたって連続していて保持ヘッドと保持頚部とを備えた保持レールであり、保持ヘッドが横断面で見て、頚部付加部を起点として両側に保持頚部に対して横方向に該保持頚部を越えて側方に延びる拡大部、特に突出部又は隆起部を有しており、保持ヘッドが変向ガイドの支持面を形成しており、変向ガイドが保持ヘッドに装着又は被せ嵌められていて、形状結合部、特にスナップ結合部を介して保持ヘッドと解離可能に結合されている。
【0018】
本発明はしかしながら単に、本発明による変向装置を有するドラフト装置を備えた繊維機械だけを対象にしているのではなく、例えば組付け部材セットとして存在することができる変向装置自体をも対象としている。相応に、以下において開示され、特に繊維機械との関連において従属請求項に開示された変向装置のすべての特徴的な構成は、本発明による変向装置にも当て嵌まる。
【0019】
保持体レールは有利には一体的に製造されている。ベース体もしくは保持レールは、有利はT字形の横断面輪郭を有している。保持レールは有利には、機械長手方向において複数のドラフト装置もしくは紡績箇所にわたって延びている。保持レールには、1つの(連続した)変向ガイド又は、単数又は複数の紡績箇所にわたって分配配置された複数の変向ガイドが、有利には紡績箇所毎に又は二連紡績箇所毎に、変向ガイドが形状結合部を用いて解離可能に装着又は被せ嵌められている。有利には、機械側面毎にかつ有利にはベース体毎に、複数の変向ガイドが設けられており、この場合変向ガイドはそれぞれ1つ、2つ又は3つ以上の紡績箇所のために働く。いわゆる二連紡績箇所(Zwillingsspinnstelle)は、二連ドラフト装置を備えた独立した2つの紡績箇所を有しており、その上側ローラは、1つの共通の負荷アームによって保持される。
【0020】
ベース体は例えばそれぞれ、2つのシリンダサポートの間を連続して延びていて、つまり一体に形成されており、複数の紡績箇所、例えば8つの紡績箇所にわたって延びている。
【0021】
保持レールはプラスチック又は金属から、特にアルミニウム又は鋼から成っていることができる。保持レールは金属薄板から形成されていることができる。保持レールはしかしながらまた押出成形品又は鋳造部品であってもよい。
【0022】
変向ガイドは主としてプラスチックから、特に押出成形されたプラスチック成形品から成っている。変向ガイドは有利には、PA6,PA11,PA12,PA46,PA−Gのようなポリアミド(PA)又は、共重合ナイロン又は共重合ポリアミドを有しているか又はそれから成っている。ポリアミドは、付加的に添加された固形潤滑剤もしくは潤滑剤添加物を含んでいても又は含んでいなくてもよく、又は二硫化モリブデン改質剤又はグラファイト改質剤を有していることができる。
【0023】
さらに次に挙げられたプラスチックも変向ガイドのために適している:
付加的に添加された固体潤滑剤、もしくは潤滑剤添加物を含む又は含まない、もしくは二硫化モリブデン改質剤又はグラファイト改質剤を含む、ポリオキシメチレン(POM,POM−H,POM−K)のようなポリアセタール樹脂;
ポリエチレン(PE)、PE−UHMW(超高分子)、PE−HMW(高分子);
付加的に添加された固体潤滑剤、もしくは潤滑剤添加物を含む又は含まない、もしくは二硫化モリブデン改質剤又はグラファイト改質剤を含む、PBT(ポリブチレンテレフタラート)又はPET(ポリエチレンテレフタレート)のような熱可塑性ポリエステル;
付加的に添加された固体潤滑剤、もしくは潤滑剤添加物を含む又は含まない、もしくは二硫化モリブデン改質剤又はグラファイト改質剤を含む、PI,PAI,PEEK,PAEKのような高性能プラスチック。
【0024】
さらに、PC,PMMA,PVC−U,ABS又はPSのような、潤滑剤添加物によって改質された非晶質プラスチックも、これらが必ずしもPA66の有利な潤滑特性及ぶ摩耗特性を有していない場合でも、適している。
【0025】
変向ガイドのプラスチックは、例えば、摩擦に基づいて生じる部材における静電気の帯電を阻止するための火炎抑制剤又は静電防止添加剤のような、別の添加剤を有することもある。さらに変向ガイドの表面は、相応に所望の滑り特性を有する材料によって被覆されていてもよい。さらにプラスチックは、例えばガラス球のような充填材を含んでいてもよい。
【0026】
変向ガイドは有利には、ばね弾性的に変形可能な接合部を有している。つまり弾性的な接合部は戻り特性を有している。変向ガイドは、このような接合部を介して保持ヘッドと、形状結合部、特にスナップ結合部もしくはクリップ結合部によって結合されている。スナップ結合部の場合には、プラスチック又はばね鋼から成る接合部の弾性度が、保持ヘッドとの結合のために利用される。スナップ結合部を形成する場合には、変向ガイドの接合部は男系変形し、この際に保持ヘッドにおける対応部と解離可能に引っ掛かる。対応部は通常、突出部、隆起部、ガイド条片又は突起であり、このような部分に、変向ガイド又は接合部における突起、突出部又は隆起状又はフック状に形成された付加部が弾性的に係合する。
【0027】
本発明の別の構成では、変向ガイドは、単数又は複数の弾性的な接合部を有しており、このような接合部は、保持ヘッドの支持面に設けられた溝、特にアンダカットされた溝に係合し、変向ガイドを形状結合式にかつ解離可能にべース体と結合するようになっている。接合部自体はそれぞれ、保持ヘッドにおける溝にスナップ係合する突出部もしくは突起を備えて形成されていてよい。さらに接合部は、鳩尾状の成形部であってもよい。
【0028】
変向ガイドはさらに、上に述べた接合部に加えて又は択一的に、両側において長手方向に延びている弾性的な屈曲区分を、別の接合部として有しており、これらの屈曲区分は、保持ヘッドにおける側部のガイド長手方向条片を取り囲むように、該ガイド長手方向条片にスナップ結合部において形状結合式に係合し、かつ変向ガイドを側部において保持ヘッド固定している。接合部もしくは屈曲区分は、有利には変向ガイドの一体の構成部分であう。屈曲区分はさらにスカートもしくはカラーを有していることができ、このスカートもしくはカラーは、ベース体の頚部領域内に延びていて、該頚部領域に接触している。変向ガイドがそれを介してドラフト装置に取り付けられている、保持頚部の下側区分は、しかしながら有利には自由なままである。変向ガイドがカラーもしくはスカートを備えた側部の屈曲区分を有している場合には、変向ガイドは有利には側部においてベース体に被せ嵌められている。
【0029】
変向ガイドはつまりスナップ結合部の代わりに、しかしながら形状結合部を形成しながら、側部においても保持レールに装着もしくは被せ嵌められている。
【0030】
変向ガイドは、その自由な表面がエプロンのためのガイドジオメトリを形成するようになっている。変向ガイドは完全なエプロン案内を有利に引き受けている。これに対して保持ヘッドのジオメトリは、変向ガイドによって形成される形状結合部のジオメトリに有利に合わせられている。
【0031】
ガイド面は、ドラフト装置の輪郭に応じて、例えば実質的に平らであっても、凸面状に湾曲していても又は段付けされていてもよい。変向ガイドはさらに変向スカートを有しており、この変向スカートはエプロンの変向ポイントに接続していて、特にガイド面における変向曲率半径を一緒に規定しており、変向スカートのところで、エプロンは第1の搬送方向(繊維案内方向)から第2の搬送方向(戻り方向)に変向させられる。変向スカートによってエプロンは、汎用の変向ガイドにおいて通常のように、変向ポイントにおいて案内される、つまり単に変向縁部を介して変向されるのみならず、エプロンは変向スカートを用いて、規定された変向半径を介してエプロンの戻り方向へと案内される。従って変向スカートはエプロンの戻り方向に延びている。変向スカートの目的は、エプロンの変向半径を増大することであり、これによってエプロンは新たな方向に急に変向されるのではなく、変向スカートによって一緒に規定された変向円弧に沿ってエプロンの戻り方向へと変向される。変向スカートは有利には、変向ガイドからエプロンの戻り方向に突出するスカートエレメントとして形成されている。つまり変向スカートは、支持されていない自由な端部区分を有している。変向スカートは弾性的であってよく、例えばばね弾性的な特性を有していることができ、これによって変向部におけるエプロンの振動を抑制することができる。しかしながらまた変向スカートがベース体に適宜な形式で支持されているような構成も可能である。
【0032】
このようにしてエプロンの変向が、縁部を介して急に行われることはなくなり、エプロンの変向は、変向スカートの変向半径によって均一に行われるようになる。変向半径は例えば2mm又はそれ以上、もしくは5mm又はそれ以上である。ガイド面は変向領域に、異なった曲率半径を有する2つ又はそれ以上の湾曲区分を備えることができる。有利な構成では、曲率半径は1つの湾曲区分から次の湾曲区分に向かってエプロン走行方向で増大している。つまり変向領域は、例えば2mmから連続的に30mm又はそれ以上にまで増大する曲率半径を有している。
【0033】
変向ガイドのガイド面は、滑らかであっても、又は規定された凹凸パターンもしくは粗面パターンを有していてもよい。つまりガイド面は、隆起部もしくは凸部と凹部とを有していて、これによって、摩擦にとって重要な、エプロンと変向ガイドとの間における全接触面積が減じられるようになっている。凸部は例えば、エプロンの搬送方向に対して横方向、長手方向又は斜め方向に延びている連続した又は中断されたリブの形、又は突起部又は湾曲部の形を有することができる。ガイド面はまたオレンジの皮のように形成されていてもよい。凹凸パターンは、厳密に幾何学的なパターンを有していても又はランダムなパターンを有していてもよい。
【0034】
凹部と凸部との間における高さは、例えば0.01mm又はそれ以上、有利には0.05mm又はそれ以上、特に0.1mm又はそれ以上である。凹部と凸部との間の高さは、さらに例えば0.5mm又はそれ未満、有利には0.3mm又はそれ未満である。凹部及び凸部の横方向長さは、例えば0.01mm又はそれ以上、有利には0.05mm又はそれ以上、特に0.1mm又はそれ以上である。凹部と凸部との間の横方向長さは、さらに0.5mm又はそれ未満、有利には0.3mm又はそれ未満である。
【0035】
本発明の別の実施形態では保持ヘッドの表面は、エプロンガイド面の輪郭を有している。保持ヘッドには、面状のフレキシブルなプラスチックから成る変向ガイドが被覆されており、これは横方向の曲げ区分を介しては保持ヘッド及び/又はキー溝クリップ結合によって、形状結合部を成している。変向ガイドはこの場合、保持ヘッドの表面に合わせられていて、その輪郭を有するようになっている。
【0036】
そのために変向ガイドは有利には、薄い壁厚を有するプラスチックから成るフレキシブルな帯状の被覆体として形成されており、この被覆体は保持ヘッドに被せられている。被覆体は有利には、押出成形されたプラスチック成形体から成っている。各紡績箇所のために、横方向長さを制限されて、つまりガイドエプロンの幅に合わせられた被覆体が設けられていてよい。しかしながらまた被覆体は、複数の紡績箇所の長さ又は保持レールの全長さにわたって延びていてもよい。
【0037】
本発明の別の実施形態では変向ガイドは、運転中に弾発する区分、つまり上で既に述べた変向エプロンを有していて、エプロンのばね弾性的に緩衝された案内が、反転レール、テーブル又は変向ガイドとの呼ばれる変向ブリッジを介して保証されるように、構成されている。
【0038】
本発明による変向装置には、ドラフト装置のジオメトリとは無関係に、統一されたもしくは画一的なベース体をすることができる、という利点がある。そして今や簡単に、紡績プロセス、もしくは繊維材料又は繊維長さに関連して、変向ガイドを所望のジオメトリを有する変向ガイドを、特に繊維走行方向における所望の長さと所望の表面特性とを備えた変向ガイドを、ベース体に装着することができる。同様に変向ガイドを、他のジオメトリ又は他の表面特性を備えた他の変向ガイドと、簡単に交換することも可能である。そのために孔を設ける必要も、特殊な取付け工具を必要とすることもない。種々様々に形成された変向ガイドの結合部はこの場合、ベース体における結合部に対して互換性がある。本発明による変向ブリッジによって、変向ブリッジから出口ローラへの移行部は、中間ローラと出口ローラとの間におけるローラ間隔が変化した場合でも、最適に調節されることができる。すなわち出口下側ローラと変向ブリッジとの間の間隙は、相応に小さく保たれることができる。同様に、下側エプロンを駆動する真ん中の下側ローラと変向ガイドとの間におけるジオメトリも、ベース体とは無関係に最適に調節されることができる。
【0039】
さらに、既に存在している変向ブリッジに本発明のように、新たな支持面(変向ガイド)を設けることによって、既に存在している繊維機械を簡単かつ安価に組み換えることも可能である。このような場合においても、支持面を固定するための孔は不要である。
【0040】
本発明による変向装置にはさらに次のような利点もある。すなわち本発明による変向装置では、金属レール(ベース体)の表面はもはや、従来のように、正確に加工されかつ特殊に被覆されている必要がない。むしろ単に、クリップ結合可能な変向ブリッジがプラスチックから相応な精度をもって製造されていればよく、これによってコストは著しく安価になる。
【0041】
この出願においては請求されない本発明の第2の観点によれば、エプロンテンション装置は下記の構成エレメントa,bを有している:すなわち、
a. エプロンテンション方向に向けられたフリーホイール回転方向(R)とエプロンテンション方向とは逆向きのロック方向(S)とを有していてテンションアームに連結されたフリーホイールと、
b. エプロンテンション装置をエプロンテンション方向(R)において押圧する負荷装置とを有している。
【0042】
上に述べたエプロンテンション装置はさらに、
c. テンションアームをエプロンテンション方向とは逆の方向及びフリーホイールのロック方向(S)において回転可能にする滑りクラッチを、有することが可能である。
【0043】
本発明によるエプロンテンション装置によって緊張させられるエプロンは、下側エプロン及び上側エプロンの両方であっても又はいずれか一方であってもよい。
【0044】
本発明によるエプロンテンション装置の別の実施形態では、繊維流れ方向で見てエプロンガイドの出口において、エプロンのうちの少なくとも1つに、変向装置が配属もしくは対応配置されていて、この変向装置を介してエプロンが繊維案内方向から戻り方向に変向されるようになっている。
【0045】
本発明によるエプロンテンション装置の別の実施形態では、繊維流れ方向で見てエプロンガイドの出口において、エプロンのうちの少なくとも1つに、変向装置、特に変向ブリッジが配属もしくは対応配置されていて、この変向装置もしくは変向ブリッジを介してエプロンが繊維案内方向から戻り方向に変向されるようになっており、この場合変向装置がエプロンテンション装置の構成部材である。前記変向装置は本発明の別の構成によれば、既に述べたような変向装置であってもよい。
【0046】
本発明によるエプロンテンション装置の別の構成では、繊維流れ方向で見てエプロンガイドの出口において、エプロンのうちの少なくとも1つに、変向装置、特に変向ブリッジが配属もしくは対応配置されていて、この変向装置もしくは変向ブリッジを介してエプロンが繊維案内方向から戻り方向に変向されるようになっており、この場合エプロンテンション装置は、変向ローラと下側ローラとの間においてルーズな伝導ベルト(Trumm)に接触している。
【0047】
本発明によるエプロンテンション装置の別の構成では、滑りクラッチはロック方向(S)においてフリーホイールをロックアップつまり固定するようになっている。前記滑りクラッチは、ロック方向(S)におけるフリーホイールのロックアップのためにフリーホイールの回転エレメント及びロックエレメントが一緒にフリーホイール回転方向(R)とは逆向きに回転可能であるように、フリーホイールと作用結合されていることができる。
【0048】
本発明によるエプロンテンション装置の別の構成では、フリーホイールはラチェット式、ロックローラ式又はロック体式フリーホイールである。
【0049】
本発明によるエプロンテンション装置の別の構成では、滑りクラッチが、互いに接触していて静止摩擦によって動きを止められる2つの部材を備えたセルフロック機構を有しており、この場合両方の部材は所定の回転モーメント以上において、静止摩擦を克服して相対的に移動可能である。
【0050】
本発明によるエプロンテンション装置の別の構成では、負荷装置が、テンションアームに戻し力を加える弾性的な、特にばね弾性的なエレメントを有している。この弾性的なエレメントは、例えばばね、有利にはトーションばね、板ばね又は渦巻ばねもしくはコイルばねである。
【0051】
以下においては、本発明によるエプロンテンション装置のための特殊な観点について詳しく述べる:
ラチェット式フリーホイールは、歯車と、軸線を中心にして回転可能に支承されたラチェットとを有していて、このラチェットは、ばね負荷されているか又は重力によって歯車に対して押圧される。歯の特殊な形状は、一方の回転方向への歯車もしくはラチェットの回転を可能にしているが、他方の回転方向への後方回転を阻止している。なお、ラチェット式フリーホイールの数多くの可能な他の構成は、従来技術に基づいて公知である。
【0052】
フリーホイールは、ロックローラ式フリーホイールであっても又はロック体式フリーホイールであってもよい。このような構成では、例えば「星形部材」又は外歯を備えた内側リングのような内側部分と、例えば外側リングのような外側部分との間に、ロックローラ又はロック体が支承されている。回転方向に応じてロックローラ又はロック体は外側部分と内側部分との間においてロックするか、又は両部分の相対回転を可能にする。このようなフリーホイールも従来技術に基づいて公知であるので、ここでは、詳細な説明を省く。
【0053】
基本的にフリーホイールは常に回転エレメントとロックエレメントとを有している。回転エレメントとロックエレメントとは互いに作用結合しており、この場合回転エレメントは自由回転方向ではロックエレメントに対して回転可能に支承されていて、自由回転方向とは逆方向、つまりロック方向では、ロックエレメントに対して回転不能であり、つまりロックされている。ロックエレメントは常に回動不能に保持装置に取り付けられているか、又は滑りクラッチの使用時に連結部分と回動不能に結合されている。
【0054】
負荷装置は有利には、テンションアームに対して戻し力を加える弾性的な、特にばね弾性的なエレメントを有している。戻し力は特に紡績機の運転中に、テンションアームに対して加えられる。これによって、エプロンを、種々異なった走行態様時においても常に最適に緊張させることが可能になる。エプロンテンション方向は、自由回転方向に位置している。
【0055】
弾性的なエレメントは、例えばばね、有利にはトーションばね、板ばね又は渦巻ばねもしくはコイルばねである。
【0056】
前記ポイントc. による滑りクラッチは有利には、互いに接触していて静止摩擦によって動きを止められる2つの連結体を備えたセルフロック機構であり、この場合両方の連結体は所定の回転モーメント以上において、静止摩擦を克服して相対的に移動可能である。しかしながらまた、公知の他の実施形態による滑りクラッチも使用することができる。
【0057】
滑りクラッチはこの場合フリーホイールを固定するために働く。滑りクラッチは有利にはクラッチ回転エレメント(第1のクラッチ体)とクラッチロックエレメント(第2のクラッチ体)とを有しており、両エレメントもしくはクラッチ体は、互いに接触していて、静止摩擦を生ぜしめる。クラッチ回転エレメントは静止摩擦の克服時にエプロンテンション方向とは逆向きに回転可能であるが、これに対してクラッチロックエレメントは装置に回動不能に固定されている。
【0058】
滑りクラッチは例えばフリーホイールと作用結合していて、フリーホイールを固定するために第1のクラッチ体はフリーホイールのロックエレメントと一緒にフリーホイール回転方向に対して逆向きに回転可能である。つまり第1のクラッチ体はフリーホイールロックエレメントと回転不能に結合されている。フリーホイールのロック作用のロックアップは、両クラッチ体の間における静止摩擦を克服する、自由に調節可能な特定の回転モーメント以上において行われる。
【0059】
テンションアームは端部側に、エプロンと接触しているエプロンガイドエレメントを有しており、このエプロンガイドエレメントを介してエプロンは案内もしくは変向される。エプロン式ドラフト装置の第1の実施形態によれば、エプロンにはエプロンガイドの出口において、変向装置、特に変向ブリッジが配属もしくは対応配置されており、この変向ブリッジを介してエプロンは繊維案内方向から戻し方向に変向される。エプロンテンション装置はこの場合、テンションアームに取り付けられたエプロンガイドエレメントで、変向装置と下側ローラとの間においてルーズなエプロン側に当て付けられている。
【0060】
変向装置はこの構成によれば、既に上において述べたように、変向ガイドとベース体との2部分から構成されていることができる。
【0061】
エプロン式ドラフト装置の第2の構成では、エプロンに、繊維流れ方向で見てエプロンガイドの出口において、変向装置、特に変向ブリッジが配属もしくは対応配置されており、この変向装置もしくは変向ブリッジを介してエプロンは、繊維ガイド方向から戻し方向に変向される。変向装置はこの構成では、エプロンテンション装置の構成部分でもあり、もしくはエプロンテンション装置を形成している。変向装置はテンションアームを介して負荷装置及びフリーホイール、並びに場合によっては滑りクラッチと結合されている。詳しくは、エプロンテンション装置の記載を参照のこと。
【0062】
変向装置はこの構成においても、既に上に述べたように、2部分から、つまり変向ガイドとベース体とから形成されていることができる。
【0063】
本発明が使用されるドラフト装置は、シングルエプロン式又はダブルエプロン式ドラフト装置である。本発明によるエプロンガイドは、ドラフト装置のメインドラフトゾーンにおいて使用される。ドラフト装置はメインドラフトゾーンの他に、プレドラフトゾーンを形成する単数又は複数のプレドラフト領域を有していてもよい。ドラフト装置は例えば、入口ローラ対、(エプロンガイドを備えた)中間ローラ対及び出口ローラ対を備えた2段階式ドラフト装置である。しかしながらまた、最適化されたエプロンガイドによって、プレドラフトゾーンつまりプレドラフト領域を省くことも可能である。プレドラフト・入口ローラ対の代わりに、エプロンの入口における第1のローラ対からメインドラフトゾーンへのスライバ供給時にプレドラフトなしに、均一なスライバテンションを得るために働くスライバテンション装置が設けられていてもよい。
【0064】
さらにメインドラフトゾーンには、特に従来技術から公知のように、集束装置、特にニューマチック式の集束装置が後置されていてもよい。
【0065】
本発明によるエプロンテンション装置は、下側エプロン及び/又は上側エプロンに、しかしながら有利には下側エプロンにおいて使用される。本発明による変向装置もまた同様に、下側エプロン及び/又は上側エプロンに、しかしながら有利には下側エプロンにおいて使用される。エプロンは例えば繊維材料から成っていることができる。
【0066】
本発明は有利には、リング精紡機、キャップ精紡機、遠心精紡機又はエアノズル精紡機のような、紡績機械のドラフト装置において使用される。さらに本発明は、調整練条機、コーミング機又は粗紡機のドラフト装置においても使用することができる。
【0067】
本発明による変向ブリッジは、ベース体をそのままにして変向ガイドを交換することによって、種々様々なエプロン型式、ローラ間隔及び種々異なったケージ長さに、エプロンガイドを迅速かつ安価に適合させることができる。
【0068】
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明によるダブルエプロン式ドラフト装置を示す横断面図である。
【図2a】本発明による変向ブリッジの1実施形態を示す横断面図である。
【図2b】本発明による変向ブリッジの別の実施形態を示す横断面図である。
【図2c】本発明による変向ブリッジのさらに別の実施形態を示す横断面図である。
【図2d】本発明による変向ブリッジの第4の実施形態を示す横断面図である。
【図3】本発明による変向ブリッジを上から見た平面図である。
【図4a】本発明による変向ブリッジの別の変化実施形態を示す斜視図である。
【図4b】図4aに示された変向ブリッジを単独で示す斜視図である。
【図5a】本発明による変向ブリッジのさらに別の変化実施形態を示す斜視図である。
【図5b】図5aに示された変向ブリッジを単独で示す斜視図である。
【図6】本発明による変向ブリッジの別の実施形態を示す横断面図である。
【図7a】本発明による変向ブリッジの別の実施形態を示す図である。
【図7b】本発明による変向ブリッジの別の実施形態を示す図である。
【図7c】本発明による変向ブリッジの別の実施形態を示す図である。
【図8】本発明によるエプロンテンション装置の負荷装置を示す図である。
【図9a】フリーホイールの1実施形態を示す図である。
【図9b】フリーホイールの別の実施形態を示す図である。
【図9c】フリーホイールのさらに別の実施形態を示す図である。
【図9d】フリーホイールのさらに別の実施形態を示す図である。
【図10】本発明によるダブルエプロン式ドラフト装置の別の実施形態を示す図である。
【0070】
図1には、例えばリング精紡機のダブルエプロン式ドラフト装置1が断面図で示されている。このドラフト装置は入口ローラ対2a,2bと中間ローラ対3a,3bと出口ローラ対4a,4bとを有している。中間ローラ対3a,3bの周囲にはエプロンガイドが形成されている。下側エプロン9は下側ローラ3bとエプロンテンション装置11と変向ブリッジ10とを介して案内される。上側エプロン8は、上側ローラ3aと変向装置5との回りを案内される。下側エプロン9は下側ローラ3bによって駆動される。上側エプロン8及び上側ローラ3aは直接又は間接的に下側ローラ3bを介して駆動される。
【0071】
粗糸6は入口ホッパ7を介して入口ローラ対2a,2bに供給され、そこから中間ローラ対3a,3bの間におけるエプロンガイドによって出口ローラ対4a,4bへと案内され、この出口ローラ対4a,4bから、ドラフトされかつ捩れていない繊維束(Faserverband)12が、直接又は、集束装置(Verdichtungseinrichtung)を介して紡績機に供給される。粗糸6は入口ローラ対2a,2bと中間ローラ対3a,3bとの間においてプレドラフトされる。そして中間ローラ対3a,3bと出口ローラ対4a,4bとの間において、エプロンガイドによって支持された繊維束12はメインドラフトされる。
【0072】
一定のエプロンテンションによる均一なエプロンガイドには、メインドラフトにおいて大きな意味がある。それというのは、エプロンは繊維束を中間ローラ対3a,3bから出口ローラ対4a,4bのクランプ部(Nipp)に導かれねばならないからである。エプロンは特に、変向ブリッジ10によって影響を与えられる。この変向ブリッジ10は本発明によれば2部分から構成されており、ガイドエレメント13と、保持ヘッド及び保持頚部を備えたベース体14とを有している。エプロンのテンション及び案内はエプロンテンション装置11によって制御される。このエプロンテンション装置11はテンションアーム15、ばね負荷された負荷装置16及び、フリーホイール回転方向Rとフリーホイールロック方向Sとを備えた本発明によるフリーホイール18を有している。このフリーホイール18にはさらに本発明による滑りクラッチ17が配属されている。ローラ2a,2b,3a,3b,4a,4bは保持装置において案内され、この場合下側ローラ2a,3b,4bはそれぞれ駆動される。上側ローラ2a,3a,4aは負荷アーム19の保持装置に配置されていて、押圧ローラとして下側ローラによって駆動される。
【0073】
図10には、例えばリング精紡機の別のダブルエプロン式ドラフト装置の一部が、エプロンガイドの領域において横断面図で示されている。ここには中間ローラ対133a,133bと出口ローラ対134a,134bとが示されている。中間ローラ対133a,133bの周囲にはエプロンガイドが形成されている。下側エプロン139は下側ローラ133bと変向装置140とを介して案内される。上側エプロン138は上側ローラ133aと変向装置135とに巻き掛けられている。下側エプロン139は下側ローラ133bによって駆動される。上側エプロン138及び上側ローラ133aは直接又は間接的に下側ローラ133aを介して駆動される。
【0074】
繊維束136は中間ローラ対133a,133bによって出口ローラ対134a,134bに供給され、その際にエプロンガイドを通過する。出口ローラ対のクランプ部からは、ドラフトされかつ捩れのない繊維束が直接又は間接的に集束装置を介して紡績機に供給される(図示せず)。繊維束136は、中間ローラ対133a,133bと出口ローラ対134a,134bとの間において、エプロンガイドによって支持されてメインドラフトされる。本発明によるエプロンテンション装置はここでは、エプロンが繊維案内方向から戻り方向に変向される変向装置に相当する。変向装置140は変向ブリッジ143を有しており、この変向ブリッジ143はテンションアーム149を介して、負荷装置148及びフリーホイール145並びに滑りクラッチ141と結合されている。負荷装置148とフリーホイール145と滑りクラッチ141との共働形式は、既に述べた構成に相当している。ローラの支承及び駆動も上に記載のように行われる。エプロンテンション及びエプロンガイドはここでは変向装置140によって制御される。別のエプロンガイドは設けられていない。つまりエプロンガイドは下側ローラと変向装置とによって保証される。下側ローラは例えば、大きな35mmの直径、有利には大きな40mmの直径、特に45mmの大きな直径を有する大きな下側ロータとして設けられていてもよい。下側エプロンは下側ローラに、180°を上回る角度、有利には200°を上回る角度、特に220°を上回る角度にわたって巻き掛けられている。
【0075】
変向ブリッジ143はこの実施例においても本発明によれば2部分から構成されており、上に述べたように、ガイドエレメントと、保持ヘッド及び保持頚部を備えたベース体とを有している。
【0076】
図2a〜図2dには本発明による変向ブリッジ30,40,50,60の種々異なった実施形態が横断面図で示されている。変向ブリッジはそれぞれ変向ガイド31,41,51,61とベース体32,42,52,62とから成っている。ベース体はまたそれぞれ保持ヘッド33,43,53,63と保持頚部34,44,54,64とを有しており、この保持頚部は、頚部付加部を介して保持ヘッドに移行している。保持ヘッドは、変向ガイド31,41,51,61がその上に載る支持面を形成している。保持ヘッドにはそれぞれアンダカットされた溝37,47,57,67が設けられており、この溝には、変向ガイド31,41,51,61のばね弾性的な接合部36a,36b,46a,46b,56a,56b,66a,66bが突出した突起でスナップ係合されている。さらに変向ガイドは側部に配置された屈曲区分35a,35b,45a,45b,55a,55b,65a,65bを有しており、これらの屈曲区分は側部において、保持ヘッドにおける突出部又はガイド条片39a,39bを囲むように係合しており、この保持ヘッドと共に形状結合部(Formschlussverbindung)を形成している。変向ガイドは種々様々なジオメトリのガイド面38,48,58,68を有している。
【0077】
図3には、例えば図2aに示された変向ブリッジ30が上から見た平面図で示されている。ベース体32は保持レールとして形成されており、この保持レールは複数の紡績箇所にわたって延びている。互いに間隔をおいてかつ個々の紡績箇所に対応配置されて、変向ガイド31a,31b,31cが保持レールに、特に、アンダカットされた連続した長手方向溝37に、例えば図2a〜図2dに示されているように、クリップ結合されている。通常は繊維材料から成っているエプロン(図示せず)は、変向ガイドの表面にわたって延びている。
【0078】
図4aには変向ブリッジ70が斜視図で示されている。この変向ブリッジはそれぞれ変向ガイド71と保持レール72とから成っている。保持レールは各1つの保持ヘッド73と保持頚部74とを有しており、この保持頚部は、頚部付加部を介して保持ヘッドに移行している。保持ヘッドは支持面を形成しており、この支持面には変向ガイド71が載設されている。変向ガイド(図4b)は側部に配置された屈曲区分75a,75bを有しており、これらの屈曲区分は保持ヘッドにその側部を取り囲むように係合していて、保持ヘッドと共に形状結合部を形成している。側部の屈曲区分75a,75bはカラー76a,76bを有していて、これらのカラーは保持頚部74にまで延びている。しかしながら、変向ブリッジ70を紡績機に固定する下側の頚部区分は、自由である。
【0079】
さらに図4a,図4bには変向スカート(Umlenkschuerze)96が示されており、このような変向スカートは、他の実施例においてもかつ一般的に使用されることができる。変向スカート96は、エプロンの変向ポイントに接続しており、エプロンが第1の搬送方向から第2の搬送方向に変向されるガイド面における変向半径を規定している。変向スカート96は、該変向スカート96がエプロンを規定の運動距離区分にわたって戻り方向に案内することによって、傑出している。
【0080】
図5aに示された変向ブリッジ80は、保持頚部84と保持ヘッド83とを備えた保持レール82を有している。保持ヘッド83の上面はエプロンガイド面の輪郭を有している。保持ヘッド83には、面状でフレキシブルなプラスチックから成る変向ガイド81が装着されており(図5b)、この変向ガイド81は側部の屈曲区分85a,85bを介して保持ヘッド83と共に形状結合部を形成する。フレキシブルな変向ガイドは、保持ヘッド83の上面に密着して、該上面の輪郭に従うようになっている。
【0081】
変向ブリッジが2部分から形成されていることによって、僅かな手間で、異なったガイド特性を有する変向ガイドを相互に交換することができる。ガイド特性は例えば、例えば図2a〜図2dに示されているように、ガイド面のジオメトリに関連している。ガイド特性はさらに、変向ガイドの表面粗さにも関係している。保持レール92の保持ヘッド93に装着されている変向ブリッジ90の変向ガイド91は、例えば図6に示されているように、そのガイド面に、波形の表面を有しており、その結果エプロンと変向ガイドとの間における接触面積は小さくなり、ひいては摩擦は低減する。
【0082】
図7a及び図7bに示された実施形態においても同様に、プラスチック製の変向ガイド203,223は、スナップロックとも呼ばれるクリップ結合を用いて、保持ヘッド202,222にクリップ結合されている。変向ガイド203,223はそのために繊維流れ方向で見て、保持ヘッド202,222の前端区分及び/又は後端区分に、係止突起もしくはクリップフック205,225を備えた単数又は複数の弾性的な舌片又は1つのばね弾性的な壁204,224を有しており、これらの壁もしくは舌片は、保持ヘッド202,222における凹設部207,227及び/又は突出部206,226にスナップ式に係合する。クリップ壁もしくはクリップ舌片204,224のばね弾性的な構成によって、クリップ結合部を繰り返し係合・解除することができる。クリップ結合部を解除するためには、ばね弾性的なエレメントを、力を加えて変位させて、クリップ突起もしくはクリップフック205,225が突出部206,226もしくは凹設部207,227との係合を解除できるようにする必要がある。基本的には変向ガイド203,223自体がばね弾性的な特性を有していてもよく、その結果、クリップ結合部の形成又は解除のために変向ガイド203,223及び/又はばね弾性的な壁もしくは舌片204,224は変向もしくは弾性変形される。
【0083】
クリップ結合部は前記端部区分の両方に設けられていることができる。有利にはしかしながら変向ガイド203,223は、両端部区分のうちの一方に、保持ヘッドに下から係合して、引っ掛けられ、クリップ結合部を介して保持ヘッドに解離可能に取り付けられる。
【0084】
変向ガイド203,223はさらに、保持ヘッド202,222に向けられたウェブ状の一体成形部208a,208b,208c;228a,228b,228cを有しており、これらの一体成形部を介して変向ガイド203,223は、組み付けられた状態において保持ヘッド202,222に接触している。このようなウェブ状の構造は、変向ガイドに、例えばその取付け・取外しのために必要であるある程度の弾性を与えると同時に、必要な剛性をも与える。さらに、ウェブ状の一体成形部と、組み立てられた状態においてこれによって生じる保持ヘッドと変向エレメントとの間における中空室によって、材料が節約される。それというのは、変向ガイドは中実の部材として形成されていないからである。
【0085】
図7cに示された実施形態では、プラスチック製の変向ガイド243がピン結合部を介して保持ヘッド(図示せず)と結合されている。変向ガイド243はそのために保持ヘッドに向けられた側に、単数又は複数の結合ピン242を有しており、このようにして結合ピン242は、保持ヘッドと変向ガイドとの間における結合部を形成している。有利にはこの場合の結合は形状結合式に行われる。ピンはそのために弾性的に圧縮もしくは変形されることができる。ピン242は中実ピンとして形成されていても又は中空ピンとして形成されていてもよい。ピン結合部は、上に述べたクリップ結合部の代わりに又はそれに加えて設けられていることができる。
【0086】
図8には、トーションばね123によって負荷された、エプロンテンション装置120のテンションアーム121が示されている。トーションばね123は、フリーホイール回転方向に向けられた戻し力をテンションアームに加える。これによって、テンションアーム121のエプロンガイド部分122に接触しているエプロンが緊張させられている(図示せず)。トーションばねはテンションアーム121の回転軸線に対して同心的に配置されている。図7に示された負荷装置は、例えば図9a〜図9dに示されているようなフリーホイールとの組合せにおいて使用することができる。
【0087】
図9aには、公知のロックローラ式フリーホイール(Klemmrollen-Freilauf)100が示されており、このフリーホイール100は、外側のリング102と内側に位置する星形部材103とを備えており、両部材102,103の間には複数のロックローラ101が配置されている。テンションアーム104は星形部材103と回動不能に結合されている。星形部材103は、フリーホイール回転方向Rにおいては自由回転可能に、かつ逆向きのフリーホイールロック方向Sにおいては、星形部材103と外側のリング102との間において食い込むロックローラ101によってロックされる。
【0088】
図9bには、公知のラチェット式フリーホイール110が示されており、このフリーホイール110は、歯車113と、回転点115を中心に旋回可能に支承されていてばね負荷されたラチェット112とを備えており、このラチェット112は、歯車113に向かって押圧される。この歯車113にはテンションアーム114が回動不能に結合されている。歯車113の歯117は、歯車113がフリーホイール回転方向Rに自由回転可能であり、かつそれとは逆向きの自由回転ロック方向Sにおいてはラチェット112によってロックされるように、形成されている。
【0089】
図9cには、ラチェット式フリーホイール160の特別な実施形態が示されており、このフリーホイール160は歯付円板163を備えており、この歯付円板163では歯167が歯付円板の一方の端面に周方向で配置されている。フリーホイール160は、ここには図示されていないラチェットエレメントを有しており、このラチェットエレメントは、この実施形態では歯列167の高さにおいてテンションアーム164に配置されていて、歯列167に係合する。テンションアーム164はラチェットエレメントと共に、軸168を中心にして自由回転可能である。ラチェットエレメントは相応な力によって、歯付円板163の歯列167に押し込まれ、この場合ラチェットエレメントは、歯の方向付けに基づいて、単に、フリーホイール回転方向Rへのテンションアーム164の回転だけを可能にする。歯付円板163は軸168に回動不能に固定されている。選択的に配置された滑りクラッチはフリーホイールのロックアップもしくは固定を保証し、この場合テンションアームは歯付円板と一緒に滑りクラッチを介してフリーホイールロック方向Sに逆回転可能である(図示せず)。
【0090】
図9dには、ロックローラ式フリーホイール170の特別な実施形態が示されており、このフリーホイール170は、外側リング172と、リングギヤ177を備えた内側に位置するリング173とを備えており、外側リング172と内側に位置するリング173との間には複数のロックローラ171が配置されている。テンションアーム174は外側リング172と回動不能に結合されていて、軸178を中心にして回転可能に支承されており、この場合フリーホイールは、歯177の方向付けに基づいて、単に、フリーホイール回転方向Rへのテンションアーム174の回転だけを可能にする。リングギヤ173は軸178に回動不能に固定されている。選択的に配置された滑りクラッチが、フリーホイールのロックアップもしくは固定を保証し、この場合テンションアーム174はリングギヤ173と一緒に滑りクラッチを介してフリーホイールロック方向Sに逆回転可能である(図示せず)。
【符号の説明】
【0091】
1 ドラフト装置、 2a,2b 入口ローラ対、 3a,3b 中間ローラ対、 4a,4b 出口ローラ対、 6 粗糸、 8 上側エプロン、 9 下側エプロン、 10 変向ブリッジ、 11 エプロンテンション装置、 13 ガイドエレメント、 14 ベース体、 15 テンションアーム、 16 負荷装置、 17 滑りクラッチ、 18 フリーホイール、 19 負荷アーム、 30,40,50,60 変向ブリッジ、 31,31a,31b,31c,41,51,61 変向ガイド、 32,42,52,62 ベース体、 33,43,53,63 保持ヘッド、 34,44,54,64 保持頚部、 35a,35b,45a,45b,55a,55b,65a,65b 屈曲区分、 36a,36b,46a,46b,56a,56b,66a,66b 接合部、 37,47,57,67 溝、 38,48,58,68 ガイド面、 70 変向ブリッジ、 71 変向ガイド、 72 保持レール、 73 保持ヘッド、 74 保持頚部、 75a,75b 屈曲区分、 76a,76b カラー、80 変向ブリッジ、 81 変向ガイド、 82 保持レール、 83 保持ヘッド、 84 保持頚部、 85a,85b 屈曲区分、 90 変向ブリッジ、 91 変向ガイド、 92 保持レール、 93 保持ヘッド、 96 変向スカート、 100 ロックローラ式フリーホイール、 101 ロックローラ、 102 リング、 103 星形部材、 104 テンションアーム、 110 ラチェット式フリーホイール、 112 ラチェット、 113 歯車、 114 テンションアーム、 115 回転点、 117 歯、 120 エプロンテンション装置、 121 テンションアーム、 122 エプロンガイド部分、 123 トーションばね、 133a,133b 中間ローラ対、 134a,134b 出口ローラ対、 135 変向装置、 136 繊維束、 138 上側エプロン、 139 下側エプロン、 140 変向装置、 141 滑りクラッチ、 143 変向ブリッジ、 145 フリーホイール、 148 負荷装置、 149 テンションアーム、 160 ラチェット式フリーホイール、 163 歯付円板、 164 テンションアーム、 167 歯、 168 軸、 170 ロックローラ式フリーホイール、 171 ロックローラ、 172 外側リング、 173 リング、 174 テンションアーム、 177 リングギヤ、 178 軸、 202,222 保持ヘッド、 203,223 変向ガイド、 204,224 クリップ壁、 205,225 クリップフック、 206,226 突出部、 207,227 凹設部、 208a,208b,208c,228a,228b,228c 一体成形部、 242 結合ピン、 243 変向ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラフト装置(1)を備えた繊維機械であって、メインドラフトゾーンを形成する2つのメインドラフトローラ対(3a,3b;4a,4b)が設けられていて、該メインドラフトローラ対(3a,3b;4a,4b)がそれぞれ1つの上側ローラ及び下側ローラを備えており、繊維流れ方向において第1のメインドラフトローラ対(3a,3b)に、上側ローラ(3a)に巻き掛けられて案内される上側エプロン(8)と、下側ローラ(3b)に巻き掛けられて案内される下側エプロン(9)とを備えたエプロンガイドが、ドラフトされる繊維束(6)を案内するために配属されており、少なくとも一方のエプロン(9)に、複数部分から成る変向装置(10,30)が配属されていて、該変向装置(10,30)を介して前記少なくとも一方のエプロン(9)が、繊維案内方向から戻り方向に変向されるようになっており、変向装置(10,30)がベース体(32)と、該ベース体(32)に装着された変向ガイド(31)とを有している形式のものにおいて、
ベース体(32)が、機械長手方向において複数の紡績箇所にわたって連続していて保持ヘッド(33)と保持頚部(34)とを備えた保持レールであり、保持ヘッド(33)が横断面で見て、頚部付加部を起点として両側に保持頚部(34)に対して横方向に該保持頚部(34)を越えて側方に延びる拡大部、特に突出部又は隆起部を有しており、保持ヘッド(33)が変向ガイド(31)の支持面を形成しており、変向ガイド(31)が保持ヘッド(34)に装着又は被せ嵌められていて、形状結合部、特にスナップ結合部(36a,36b,37)を介して保持ヘッド(34)と解離可能に結合されていることを特徴とする、ドラフト装置を備えた繊維機械。
【請求項2】
保持レール(32)がT字形の横断面輪郭を有している、請求項1記載の繊維機械。
【請求項3】
ベース体(32)が、機械長手方向において複数の紡績箇所にわたってドラフト装置に配属された連続した保持レールであり、該保持レールに、紡績箇所にわたって分配配置された複数の変向ガイド(31a,31b,31c)が、形状結合部を用いて解離可能に装着されている、請求項1又は2記載の繊維機械。
【請求項4】
変向ガイド(31)がほぼ又は完全にプラスチックから成っていて、弾性的に変形可能な部分もしくは接合部(35a,35b;36a,36b)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項5】
変向ガイド(81)が、保持ヘッド(83)にわたって被せられたフレキシブルな被覆体である、請求項1から4までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項6】
被覆体である変向ガイド(81)が、フレキシブルなプラスチック成形体から成っている、請求項5記載の繊維機械。
【請求項7】
変向ガイド(31)が弾性的な接合部(36a,36b)を有していて、該接合部(36a,36b)が、保持ヘッド(33)の支持面に設けられた凹部、有利には溝(37)、特にアンダカットされた溝に、クリップ結合部の形成下でスナップ式に係合し、変向ガイド(30)を形状結合式にかつ解離可能にベース体(32)と結合する、請求項4記載の繊維機械。
【請求項8】
変向ガイド(243)が単数又は複数のピン(242)を有していて、該ピン(242)が、保持ヘッドの支持面における凹部に係合し、変向ガイド(243)を解離可能にベース体と結合する、請求項1から7までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項9】
変向ガイド(31)が側部に、有利には長手方向に延びている弾性的な屈曲区分(35a,35b)を有しており、該屈曲区分(35a,35b)が、保持ヘッド(33)における側部のガイド長手方向条片を取り囲むように、該ガイド長手方向条片にスナップ結合部において形状結合式に係合し、かつ変向ガイド(31)を保持ヘッド(33)に解離可能に取り付ける、請求項1から8までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項10】
変向ガイド(223)が、保持ヘッド(222)の支持面に向かって延びていて該支持面に接触しているウェブ状の一体成形部(228a,228b)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項11】
変向ガイド(71)が、エプロンの変向ポイントに変向スカート(96)を有しており、該変向スカート(96)によってエプロンが、第1の搬送方向から第2の搬送方向への変向の枠内において、変向半径を介して第2の搬送方向に案内される、請求項1から10までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項12】
変向スカート(96)がエプロンの戻り方向に延びている、請求項11記載の繊維機械。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の繊維機械のドラフト装置用の変向装置であって、変向装置(10,30)が、ベース体(32)と、該ベース体(32)に装着された変向ガイド(31)とを有している形式のものにおいて、
ベース体(30)が、保持ヘッド(33)と保持頚部(34)とを備えた保持レールであり、保持ヘッド(33)が横断面で見て、頚部付加部を起点として両側に保持頚部(34)に対して横方向に該保持頚部(34)を越えて側方に延びる拡大部、特に突出部又は隆起部を有しており、保持ヘッド(33)が変向ガイド(31)の支持面を形成しており、変向ガイド(31)が保持ヘッド(34)に装着又は被せ嵌められていて、形状結合部、特にスナップ結合部(36a,36b,37)を介して保持ヘッド(34)と解離可能に結合されていることを特徴とする、繊維機械のドラフト装置用の変向装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−539339(P2010−539339A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524327(P2010−524327)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000373
【国際公開番号】WO2009/033303
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】