ドレンホース接続具
【課題】ドレンホースが太くても細くても接続でき、嵩張らないのでスペースが小さい場所での施工に有利であり、抜止め部材を取付ければドレンホースを抜け出さないように固定することもできるドレンホース接続具を提供する。
【解決手段】ドレン排水溝3の上流側端部にドレンホースを接続するためのドレンホース接続具10であって、ドレン排水溝3の上流側端部の上面開口部を覆う基板部1と、この基板部1に形成されたドレンホース差込部2とから成り、このドレンホース差込部2は、太いドレンホース4を差し込む内径の大きい大径部2aと、細いドレンホース40を差し込む内径の小さい小径部2bとが、直列に一体形成されている構成とする。好ましくは、ドレンホース差込部2の外周面にドレンホース抜止め部材固定用の凸リブ又は凹溝を形成する。
【解決手段】ドレン排水溝3の上流側端部にドレンホースを接続するためのドレンホース接続具10であって、ドレン排水溝3の上流側端部の上面開口部を覆う基板部1と、この基板部1に形成されたドレンホース差込部2とから成り、このドレンホース差込部2は、太いドレンホース4を差し込む内径の大きい大径部2aと、細いドレンホース40を差し込む内径の小さい小径部2bとが、直列に一体形成されている構成とする。好ましくは、ドレンホース差込部2の外周面にドレンホース抜止め部材固定用の凸リブ又は凹溝を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン排水溝の上流側端部にドレンホースの先端部を接続するためのドレンホース接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷房器や空調器から出るドレン水は、冷房器や空調器から引き出したドレンホースを、屋外のベランダや廊下などの床面に設けたドレン排水溝の上流側端部に接続することによって、ドレン排水溝を通じて排水することが多くなってきた。
【0003】
このようにドレンホースをドレン排水溝に接続する接続(連結)具として、ドレンホースの出口端部が差し込まれドレン水をドレン排水溝部材の排水路に向けて流すようになっているホース差込孔部と、ドレン排水溝部材に直接取り付けられドレン排水溝部材の排水路を上方から塞ぐ蓋体を構成する取付部とからなるドレン連結具が提案されている(特許文献1)。このドレン連結具には、ホース差込孔部が一つのものと、大小二つのホース差込孔部を二股状に分岐させて形成したものとがある。
【特許文献1】特開2007−113355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のドレン連結具のうち、大小二つのホース差込孔部を二股状に分岐させて形成したものは、太いドレンホースでも細いドレンホースでも差し込むことができるという利点を有する反面、大小二つのホース差込孔部が二股状に分岐しているため嵩高となり、スペースの小さい場所での施工には適さないという問題があった。しかも、二股状に分岐した大小二つのホース差込孔部は、ドレンホースの差込み方向が互いに異なり、ドレンホースを2本とも真下方向に差し込むことができないという問題もあった。
【0005】
また、上記のドレン連結具は、ホース差込孔部にドレンホースを差し込むだけであるため、ドレンホースがホース差込孔部から抜け出しやすいという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記の問題に対処すべくなされたもので、その解決しようとする課題は、太いドレンホースでも細いドレンホースでも同じ方向、好ましくは真下方向に差し込むことができ、嵩張らないのでスペースが小さい場所での施工にも有利であり、抜止め部材を取付ければドレンホースの先端部を抜け出さないように固定することもできる、優れたドレンホース接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るドレンホース接続具は、ドレン排水溝の上流側端部にドレンホースの先端部を接続するためのドレンホース接続具であって、ドレン排水溝の上流側端部に取付けられて該上流側端部の上面開口部を覆う基板部と、この基板部に形成されたドレンホース差込部とから成り、このドレンホース差込部は、太いドレンホースを差し込む内径の大きい大径部と、細いドレンホースを差し込む内径の小さい小径部とが、直列に一体形成されたものであることを特徴としている。
【0008】
本発明のドレンホース接続具は、(1)ドレンホース差込部の上部が大径部に形成され、下部が小径部に形成されているタイプと、(2)ドレンホース差込部の上部が小径部に形成され、下部が大径部に形成されると共に、この大径部の上端近傍の外周面に切断用溝部が周設されているタイプに大別される。(1)のタイプのドレンホース接続具は、ドレンホース差込部の外周面に、ドレンホース抜止め部材を固定するための凸リブ又は凹溝が周設されていることが望ましく、(2)のタイプのドレンホース接続具は、ドレンホース差込部の大径部の外周面と小径部の外周面に、ドレンホース抜止め部材を固定するための凸リブ又は凹溝が周設されていることが望ましい。
【0009】
また、本発明のドレンホース接続具では、ドレンホース差込部の大径部に対して小径部が内接する位置関係となるように偏心して形成されていることが望ましく、更に、基板部の一端にドレン排水溝の上流側の端面開口部を閉塞する端板部が形成され、他端に接合用の重ね縁部が形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドレンホース接続具のように、ドレンホース差込部が、太いドレンホースを差し込む内径の大きい大径部と、細いドレンホースを差し込む内径の小さい小径部とを、直列に一体形成したものであると、太いドレンホースも細いドレンホースも同じ方向(直列方向)に差し込むことができる。しかも、大径部と小径部を直列に一体形成したドレンホース差込部は、前記特許文献1の二股状に分岐した大小二つのホース差込孔部ほど嵩張らないので、スペースが小さい場所での施工に有利である。
【0011】
そして、上記(1)のタイプのドレンホース接続具は、ドレンホースが太ければドレンホース差込部の上部の大径部に真下方向に差し込むことができ、ドレンホースが細ければ大径部を通って下部の小径部に真下方向に差し込むことができる。
一方、上記(2)のタイプのドレンホース接続具は、ドレンホースが細ければドレンホース差込部の上部の小径部に真下方向に差し込むことができ、ドレンホースが細ければ、下部の大径部を切断用溝部で切断して上部の小径部を切除し、下部の大径部にドレンホースを真下方向に差し込むことができる。
【0012】
また、上記(1)のタイプのドレンホース接続具であって、ドレンホース差込部の外周面にドレンホース抜止め部材固定用の凸リブ又は凹溝が周設されたものは、この凸リブ又は凹溝に太いドレンホースの抜止め部材もしくは細いドレンホースの抜止め部材を取付固定し、ドレンホース差込部の大径部に差し込まれた太いドレンホース、又は、ドレンホース差込部の小径部に差し込まれた細いドレンホースを、上記のドレンホース抜止め部材によって抜け出さないように固定することができる。
一方、上記(2)のタイプのドレンホース接続具であって、ドレンホース差込部の大径部の外周面と小径部の外周面にドレンホース抜止め部材固定用の凸リブ又は凹溝が周設されたものは、細いドレンホースを差し込む場合には、ドレンホース差込部の小径部の凸リブ又は凹溝に細いドレンホースの抜止め部材を取付固定して、ドレンホース差込部の小径部に差し込まれた細いドレンホースを抜け出さないように固定することができ、太いドレンホースを差し込む場合には、小径部を切除したドレンホース差込部の大径部の凸リブ又は凹溝に太いドレンホースの抜止め部材を取付固定して、ドレンホース差込部の大径部に差し込まれた太いドレンホースを抜け出さないように固定することができる。
【0013】
更に、ドレンホース差込部の大径部に対して小径部が内接する位置関係となるように偏心して形成されたドレンホース接続具は、その内接部分を家屋外壁面側にしてドレン排水溝の上流側端部に取付けると、ドレンホース差込部に太いドレンホースを差し込んだ場合でも、細いドレンホースを差し込んだ場合でも、家屋外壁面とドレンホースとの間隔を同一にすることができ、大径部に対して小径部が同心的な位置関係にあるものに比べると、細いドレンホースを家屋外壁面に近づけることができる。
【0014】
また、基板部の一端にドレン排水溝の上流側の端面開口部を閉塞する端板部が形成され、他端に接合用の重ね縁部が形成されたドレンホース接続具は、その基板部をドレン排水溝の上流側端部に取付けて上面開口部を覆ったときに、同時に上流側の端面開口部も端板部で閉塞されるため、ドレンホースからドレン排水溝に流入したドレン水がドレン排水溝の上流側の端面開口部から流出するのを防止することができ、しかも、重ね縁部をドレン排水溝の蓋部材の端縁に重ねるだけで、ドレンホース接続具の基板部と蓋部材を隙間なく接合できるので、接合作業が簡単になり施工性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は同ドレンホース接続具の一使用例を示す斜視図、図5は同ドレンホース接続具の一使用例をドレンホースを省略して示す平面図、図6は図5のC−D−E−F線断面図、図7は図5のG−G線断面図、図8の(a)及び(b)はドレン排水溝の溝部材の平面図及び端面図、図8の(c)(d)はドレン排水溝の蓋部材の平面図及び端面図、図9は同ドレンホース接続具の他の使用例をドレンホースを省略して示す平面図、図10は図9のH−I−J−K線断面図である。
【0017】
このドレンホース接続具10は、図1〜図3に示すように、ドレン排水溝の上流側端部に取付けられて該上流側端部の上面開口部を覆う基板部1と、この基板部1の中央に形成された円筒状のドレンホース差込部2とを、熱可塑性合成樹脂にて一体に射出成形したものである。
【0018】
図3に示すように、基板部1は偏平なハット形状とされ、その両側端には一段低いフランジ部1a,1aが形成されている。そして、基板部1の表面には、図1に示すように、複数本(3本)の細帯状リブ1bが形成されている。この細帯状リブ1bは、図8の(c)(d)に示すドレン排水溝の蓋部材31の表面に形成された細帯状リブ31bに対応して形成されたものであって、基板部1の補強効果と意匠効果が得られるようにしたものである。
【0019】
基板部1の一端には、図1、図2、図6に示すように、端板部1cが形成されており、後述するようにドレンホース接続具10をドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部に取付けると、ドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部の上面開口部がドレンホース接続具10の基板部1によって覆われると共に、ドレン排水溝3(溝部材32)の上流側の端面開口部が端板部1cによって閉塞されるようになっている。この実施形態の端板部1cは、基板部1の両側のフランジ部1a,1aよりも、ドレン排水溝3の溝部材32の底板32aの厚さ分だけ下方へ突き出すように形成されているが、端板部1cの下面とフランジ部1a,1aの下面が面一に揃うように形成してもよい。その場合は、端板部1cの下面が溝部材32の底板32aの上面に当接して上流側の端面開口部を閉塞することになるので、図8の(a)(b)に示すように溝部材32の底板32aに細溝部32dが形成されているときには、該細溝部32dに嵌まり込む小凸部を端板部1cの下面に設けることが好ましい。
【0020】
図1、図2に示すように、基板部1の上記端板部1cと反対側端には、一段高い接合用の重ね縁部1dが形成されており、図6に示すように、ドレンホース接続具10をドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部に取付けるときに、この重ね縁部1dをドレン排水溝3の蓋部材31の端縁部に重ねるだけで、ドレンホース接続具10と蓋部材31との接合を簡単に行うことができるようになっている。尚、この重ね縁部1dを基板部1の両側面まで形成すると、重ね縁部1dが溝部材32の両側の堤部32c,32c[図8の(b)を参照]に当たって、ドレンホース接続具10をドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部に取付けることができないため、基板部1の上面のみに重ね縁部1cを形成しているが、場合によっては、堤部32c,32cを覆うように重ね縁部1dの両端を延設してもよい。また、この重ね縁部1dの下面には、蓋部材31の細帯状リブ31bが嵌まり込む凹部や、後述するようにドレンホース接続具を連結する際にコーキング剤溜まりとなる凹部を形成してもよい。
【0021】
また、基板部1のドレンホース差込部2と端板部1cとの間には、後述するようにドレンホース接続具10を複数連結してドレン排水溝3の上流側端部に取付ける場合に、端板部1cを切除しやすくするための薄肉部1eが基板部1の全幅に亘って端板部1cと平行に形成されている。この薄肉部1eは、カッターなどによる切断作業性を向上させる観点から、図1、図2に示すように薄肉部1eの全長に亘ってV字形もしくはU字形の断面を有する溝状に形成することが望ましいが、薄肉部1eの両端部(基板部1の両側面からフランジ部1aに形成された部分)のみをV字形もしくはU字形の断面を有する溝状に形成してもよい。
【0022】
図1〜図3に示すように、基板部1の中央のドレンホース差込部2は円筒形に形成されており、その上部が、太いドレンホース4を差し込む内径の大きい大径部2aとなっている。そして、ドレンホース差込部2の下部には、細いドレンホース40を差し込む小径部2bとして内径の小さい内筒部2bが大径部2aと同心的に一体形成されている。
【0023】
上記のように、ドレンホース差込部2が大径部2aと小径部2bを上下に直列させて一体形成したものであると、太いドレンホース4も細いドレンホース40も真下方向に差し込むことができ、しかも、大小二つのホース差込孔部が二股状に分岐したものほど嵩張らないので、スペースの小さい場所で施工する場合に有利である。また、太いドレンホース4を差し込んだときは、該ホースの下端が大径部2aと小径部2bの段差部に当止され、ドレン排水溝3の溝底に当たるまで挿入されることが防止されるので、ドレンホースの下端開口が溝底で閉塞されてドレン水の流入が妨げられる心配をなくすことができる。同様に、小径部2bの下端内周面に内鍔部(不図示)を形成すると、細いドレンホース40の下端が該内鍔部によって当止され、ドレン排水溝3の溝底に当たらなくなるので、ドレン水の流入が妨げられる心配をなくすことができる。
【0024】
ドレンホース接続具10を取付けるドレン排水溝4は、図8の(a)(b)に示すような合成樹脂製の溝部材32と、図8の(c)(d)に示すような合成樹脂製の蓋部材31からなるものである。溝部材32は、縦長の底板32aの左右両側に全長に亘って堤部32a,32aを形成したものであって、この堤部32a,32aの相対向する内側面の下端には、蓋部材31の左右両側のフランジ部31a,31aを挿入する凹条32b,32bが形成されており、また、底板32aの上面には、少量のドレン水でもスムーズに流れるように、多数の細溝部32dが形成されている。一方、蓋部材31は、ドレンホース接続具10の基板部1と同様の偏平なハット形状の断面を有するもので、左右両側には一段低いフランジ部31a,31aが形成されており、上面には補強効果、意匠効果、排水効果等を発揮する3本の細帯状リブ31bが形成されている。そして、蓋部材31の裏面には、耐荷重を向上させるための3つの支持片31cが形成されている。
【0025】
次に、上記のドレンホース接続具10、溝部材32、蓋部材31を用いて、図4に示すようなドレン排水設備を屋外のベランダ等に施工する場合について説明する。
【0026】
まず、上記溝部材32の凹条32b,32bに上記蓋部材31のフランジ部31a,31aを挿入し、ドレンホース接続具10が取付けられる上流側端部を残して、溝部材32の上面開口部(両側の堤部32c,32cの相互間の開口部)を蓋部材31で覆うことにより、ドレン排水溝3を組み立てる。次いで、ドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部の凹条32b,32bに、ドレンホース接続具10のフランジ部1a,1aを挿入することによって、図5〜図7に示すようにドレンホース接続具10を溝部材32の上流側端部に取付け、ドレンホース接続具10の基板部1で溝部材32の上流側端部の上面開口部を覆うと共に、ドレンホース接続具10の端板部1cで溝部材32の上流側の端面開口部を閉塞する。そして、図6に示すように、ドレンホース接続具10の重ね縁部1dを蓋部材31の端縁に重ねて、ドレンホース接続具10と蓋部材31を接合し、このドレンホース接続具10を取付けたドレン排水溝3を、図4,図6に示すようにベランダ床面5の片側の一辺沿いに敷設して、ドレン排水溝3の下流側の端面開口部をベランダの排水溝5aに臨ませる。そして、図4、図6、図7に示すように屋内の冷房機や空調器から引き出した細いドレンホース40の先端をドレンホース接続具10のドレンホース差込部2の小径部2bに差し込むか、又は、仮想線で示すように太いドレンホース4をドレンホース差込部2の大径部2aに差し込んで、ドレン排水設備の施工を完了する。
【0027】
尚、ドレンホース接続具10の端板部1cと溝部材32の上流側の端面は接着剤等で水密的に接着することが望ましく、また、ドレンホース接続具10の端板部1cと家屋外壁面7との間にはコーキング剤等を詰めることが望ましい。
【0028】
上記のように本発明のドレンホース接続具10を用いて施工すると、太いドレンホース4でも細いドレンホース40でも差込み接続することができ、しかも、ドレンホース差込部2が円筒形で嵩張らないため、図4に示すようにベランダのスペースの小さい片隅においてドレン排水溝3の上流側端部にドレンホース接続具10を取付けるような場合に施工がし易くなる利点がある。また、ドレン排水溝3(溝部材32)の上流側の端面開口部がドレンホース接続具10の端板部1cで閉塞されるため、ドレンホース4又は40から流入したドレン水はドレン排水溝3(溝部材32)の端面開口部から流出することなく、ドレン排水溝3を下流側に流れてベランダの排水溝5aへ排水される。その場合、ドレン水が少量でも、溝部材32の細溝32dをスムーズに流れて排水される。また、ドレンホース接続具10の重ね縁部1dを蓋部材31の端縁に重ねるだけで簡単に接合できるので、この点からも施工性が向上する。
【0029】
上記の施工例は、ドレン排水溝3にドレンホース接続具10を一つだけ取付けたものであるが、例えば太いドレンホース4と細いドレンホース40が2本引き出されているような場合には、二つのドレンホース接続具10を連結してドレン排水溝3の上流側端部に取付ける必要がある。そのような場合は、二番目のドレンホース接続具10の基板部1を、V字形の断面を有する溝状の薄肉部1e沿いにカッター等で切断して端板部2を切除し、図9、図10に示すように、この二番目のドレンホース接続具10の基板部1の切断端部に、一番目のドレンホース接続具10の重ね縁部1dを重ねて、双方のドレンホース接続具10,10を連結すると共に、二番目のドレンホース接続具10の重ね縁部1dをドレン排水溝3の蓋部材31の端縁部に重ねて接合し、一方のドレンホース接続具10のドレンホース差込部2の大径部2aに太いドレンホース4を、また、他方のドレンホース接続具10のドレンホース差込部2の小径部2bに細いドレンホース40を、それぞれ差し込んで接続すればよい。このようにドレンホース接続具10を複数連結する場合、前述したように接合用の重ね縁部1dの下面にコーキング剤溜まりとなる凹部が形成されていると、コーキング剤を詰めて水密的に連結することができる。
【0030】
更に、3本以上のドレンホースが引き出されている場合は、二番目以降のドレンホース接続具10の端板部1cを全て切除し、上記と同様に連結して3個以上のドレンホース接続具10をドレン排水溝3に取付け、それぞれのドレンホース接続具10のドレンホース差込部2の大径部2a又は小径部2bに、太いドレンホース4又は細いドレンホース40を1本ずつ差し込んで接続すればよい。
【0031】
図11は、本発明の他の実施形態に係るドレンホース接続具11の一使用例をドレンホースを省略して示す平面図である。
【0032】
このドレンホース接続具11は、ドレンホース差込部2の大径部2aに対して小径部2bが内接する位置関係となるように、小径部2bを一端側に偏心させて形成したものである。このドレンホース接続具11の他の構成は、前記ドレンホース接続具10と同様であるので、図11において同一部材に同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0033】
このようなドレンホース接続具11は、図11に示すように、大径部2aに対する小径部2bの内接部分を家屋外壁面6側にしてドレン排水溝3の上流側端部に取付けると、ドレンホース差込部2の大径部2aに太いドレンホースを差し込んだ場合でも、小径部2bに細いドレンホースを差し込んだ場合でも、家屋外壁面7とドレンホースとの間隔を同一にすることができ、大径部2aに対して小径部2bが同心的な位置関係にあるものに比べると、細いドレンホースを家屋外壁面7に近づけることができる。
【0034】
図12は本発明の更に他の実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図、図13は同ドレンホース接続具にドレンホース抜止め部材を用いて太いドレンホース又は細いドレンホースを接続する場合の分解断面図、図14は同ドレンホース接続具にドレンホース抜止め部材を用いて太いドレンホースを接続したところを示す断面図、図15はドレンホース抜止め部材の平面図である。
【0035】
このドレンホース接続具12は、円筒状のドレンホース差込部2の大径部の外周面に、ドレンホース抜止め部材7又は70を固定するための、半円形断面を有する複数(2つ)の凸リブ2cが周設されたものであり、その他の構成は前記のドレンホース接続具10と同様とされている。
【0036】
太いドレンホース4を抜け出さないように固定するドレンホース抜止め部材7は、図13、図14に示すように、ドレンホース接続具12のドレンホース差込部2に外嵌合させる大径筒部7aと、コルゲート管からなる太いドレンホース4をねじ込む小径筒部7bとを熱可塑性合成樹脂にて一体成形したものであって、図15に示すように大径筒部7aも小径筒部7bも開環筒状に形成されており、図13に示すように、大径筒部7aの内面には、ドレンホース差込部2の凸リブ2cを嵌め込む複数(2つ)の凹溝7c,7cが、また、小径筒部7bの内面には、ドレンホース4の螺旋状山部4aを螺入する不連続な螺旋状の溝部7dが形成されている。
【0037】
また、細いドレンホース40を抜け出さないように固定するドレンホース抜止め部材70は、図13に示すように、ドレンホース接続具12のドレンホース差込部2に外嵌合させる大径筒部7aと、コルゲート管からなる細いドレンホース40をねじ込む小径筒部70bとを熱可塑性合成樹脂にて一体成形したものであって、上記のドレンホース抜止め部材7と同様に大径筒部7aも小径筒部70bも開環筒状に形成されており、図13に示すように、大径筒部7aの内面には、ドレンホース差込部2の凸リブ2cを嵌め込む複数(2つ)の凹溝7c,7cが、また、小径筒部70bの内面には、ドレンホース40の螺旋状山部40aを螺入する不連続な螺旋状の溝部70dが形成されている。
【0038】
上記のドレンホース抜止め部材7又は70を併用するドレンホース接続具12は、次の要領でドレンホース4又は40を抜けないようにドレンホース差込部2に差し込んで固定することができる。まず、太いドレンホース4を接続する場合は、ドレンホース抜止め部材7を回しながら、ドレンホース4の螺旋状山部4aをドレンホース抜止め部材7の小径筒部7bの不連続な螺旋状溝部7dに螺入し、ドレンホース4の下端がドレンホース抜止め部材7の大径筒部7aの下端開口付近に達するまでドレンホース4をねじ込む。そして、ドレンホース4の下端部をドレンホース差込部2の大径部2aに挿入しながら、ドレンホース抜止め部材7の大径筒部7aを少し弾性拡開してドレンホース差込部2の大径部2aに外嵌合させ、ドレンホース差込部2の凸リブ2c,2cを大径筒部7aの凹溝7c,7cに嵌め込んで固定する。このようにすると、ドレンホース抜止め部材7はドレンホース差込部2から外れることがなく、ドレンホース4はドレンホース抜止め部材7の小径筒部7bから抜け出すことがないので、ドレンホース4をドレンホース差込部2の大径部2aに抜け出し不能に差込み固定することができる。
【0039】
また、細いドレンホース70を接続する場合は、ドレンホース抜止め部材70を使用し、上記と同じ要領でドレンホース70をドレンホース差込部2の小径部2bに抜け出し不能に差込み固定することができる。
【0040】
このドレンホース接続具12では、ドレンホース差込部2の外周面に2つの凸リブ2c,2cを形成し、ドレンホース抜止め部材7,70の大径筒部7aの内面に2つの凹溝7c,7cを形成しているが、凸リブ2cと凹溝7cの数は1つでも3つ以上でもよい。また、ドレンホース差込部2の外周面に凹溝を形成し、大径筒部7aの内面に凸リブを形成してもよい。尚、ドレンホース4,40が、リング状の山部と谷部を交互に連成したコルゲート管からなる場合は、ドレンホース抜止め部材7,70の小径筒部7b,70bの内面に、不連続な螺旋状溝部7d,70dに替えて開環状の溝部を形成し、小径筒部7b,70bを少し弾性拡開してドレンホース4,40に外嵌着させることにより、ドレンホース4,40のリング状山部を小径筒部7b,70bの開環状溝部に嵌め込んで抜けないようにドレンホース4,40を取付ければよい。
【0041】
このドレンホース接続具12の他の構成及び作用効果は、前述のドレンホース接続具10と同様であるので、図12〜図14において、同一部分に同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0042】
尚、ドレンホース4,40が、リング状の山部と谷部を交互に連成したコルゲート管からなる場合は、ドレンホース抜止め部材7,70の小径筒部7b,70bの内面に、不連続な螺旋状溝部7d,70dに替えて開環状の溝部を形成し、小径筒部7b,70bを少し弾性拡開してドレンホース4,40に外嵌着させることにより、ドレンホース4,40のリング状山部を小径筒部7b,70bの開環状溝部に嵌め込んで抜けないようにドレンホース4,40を取付ければよい。
【0043】
図16は本発明の更に他の実施形態に係るドレンホース接続具の断面図、図17はドレンホース差込部の小径部を切除した同ドレンホース接続具の断面図である。
【0044】
このドレンホース接続具13は、ドレンホース差込部2の上部が細いドレンホース40を差し込む小径部2bに形成され、ドレンホース差込部2の下部が太いドレンホース4を差し込む大径部2aに形成されたものであって、図16に示すように、大径部2aの上端近傍の外周面には切断用溝部2dが周設されており、また、大径部2aと小径部2bの外周面には、ドレンホース抜止め部材7,71を固定するための、半円形断面を有する凸リブ2cが複数本(2本)ずつ形成されている。けれども、この偏平なハット形の基板部1には、前記の端板部1cや接合用の重ね縁部1dや薄肉部1eが形成されていない。
【0045】
このようなドレンホース接続具13は、前記のドレンホース接続具10と同様に、基板部1の両側端のフランジ部1a,1aをドレン排水溝3の溝部材32の凹条32b,32bに挿入して、溝部材32の上流側端部に取付けられ、基板部1とドレン排水溝3の蓋部材31が接着剤等で接合されると共に、溝部材32の上流側の端面開口部がコーキング剤やシーリング剤で閉塞される。そして、図16に仮想線で示すドレンホース抜止め部材7又は71を用いて、以下の要領で太いドレンホース4又は細いドレンホース40が抜け出さないように接続される。尚、ドレンホース抜止め部材7,71は、前記と同様、開環筒状の大径筒部7a,71aと小径筒部7b,71bを一体形成すると共に、大径筒部7a,71aの内面に凸リブ2cが嵌まり込む凹溝を形成し、小径筒部7b,71bの内面にドレンホース4,40の螺旋状山部4a,40aを螺入する不連続な螺旋状の溝部を形成したものである。
【0046】
まず、細いコルゲート管からなるドレンホース40を接続する場合は、図16に仮想線で示すように、細いドレンホース40をドレンホース抜止め部材71の小径筒部71bにねじ込み、細いドレンホース40の先端部をドレンホース差込部2の小径部2bに挿入しながら、ドレンホース抜止め部材71の大径筒部71aを少し弾性拡開してドレンホース差込部2の小径部2bに外嵌合させ、小径部2bの外周面の凸リブ2c,2cを大径筒部71aの凹溝に嵌め込んで、細いドレンホース40を抜け出さないように固定する。
【0047】
一方、太いコルゲート管からなるドレンホース4を接続する場合は、予め、ドレンホース差込部2を切断用溝部2dに沿って切断することにより、図17に示すように小径筒部を切除する。そして、図17に仮想線で示すように、太いドレンホース4をドレンホース抜止め部材7の小径筒部7bにねじ込み、太いドレンホース4の先端部をドレンホース差込部2の大径部2aに挿入しながら、ドレンホース抜止め部材7の大径筒部7aを少し弾性拡開してドレンホース差込部2の大径部2aに外嵌合させ、大径部2aの外周面の凸リブ2c,2cを大径筒部7aの凹溝に嵌め込んで、太いドレンホース4を抜け出さないように固定する。
【0048】
このドレンホース接続具13の他の構成及び作用効果は、前述のドレンホース接続具10と同様であるので、図16,図17において、同一部分に同一符号を付し、重複説明を省略する。尚、このドレンホース接続具13では、ドレンホース差込部2の大径部2aと小径部2bの外周面に凸リブ2c,2cを2本ずつ形成し、ドレンホース抜止め部材7,71の大径筒部7a,71aの内面に2つの凹溝を形成しているが、凸リブ2cと凹溝の数は1つでも3つ以上でもよく、また、ドレンホース差込部2の大径部2aと小径部2bの外周面に凹溝を形成し、大径筒部7a,71aの内面に凸リブを形成するようにしても勿論よい。また、
ドレンホース4,40が、リング状の山部と谷部を交互に連成したコルゲート管からなる場合は、ドレンホース抜止め部材7,71の小径筒部7b,71bの内面に、不連続な螺旋状溝部に替えて開環状の溝部を形成し、小径筒部7b,71bを少し弾性拡開してドレンホース4,40に外嵌着させることにより、ドレンホース4,40のリング状山部を小径筒部7b,71bの開環状溝部に嵌め込んで抜けないようにドレンホース4,40を取付ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】同ドレンホース接続具の一使用例を示す斜視図である。
【図5】同ドレンホース接続具の一使用例をドレンホースを省略して示す平面図である。
【図6】図5のC−D−E−F線断面図である。
【図7】図5のG−G線断面図である。
【図8】(a)及び(b)はドレン排水溝の溝部材の平面図及び端面図、(c)(d)はドレン排水溝の蓋部材の平面図及び端面図である。
【図9】同ドレンホース接続具の他の使用例をドレンホースを省略して示す平面図である。
【図10】図9のH−I−J−K線断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るドレンホース接続具の一使用例をドレンホースを省略して示す平面図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図である。
【図13】同ドレンホース接続具にドレンホース抜止め部材を用いて太いドレンホース又は細いドレンホースを接続する場合の分解断面図である。
【図14】同ドレンホース接続具にドレンホース抜止め部材を用いて太いドレンホースを接続したところを示す断面図である。
【図15】ドレンホース抜止め部材の平面図である。
【図16】本発明の更に他の実施形態に係るドレンホース接続具の断面図である。
【図17】ドレンホース差込部の小径部を切除した同ドレンホース接続具の断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 基板部
1c 端板部
1d 接合用の重ね縁部
2 ドレンホース差込部
2a 大径部
2b 小径部
2c 凸リブ
2d 切断用溝部
3 ドレン排水溝
31 蓋部材
32 溝部材
4 太いドレンホース
40 細いドレンホース
5 ベランダ床面
7,70,71 ドレンホース抜止め部材
10,11,12,13 ドレンホース接続具
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン排水溝の上流側端部にドレンホースの先端部を接続するためのドレンホース接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷房器や空調器から出るドレン水は、冷房器や空調器から引き出したドレンホースを、屋外のベランダや廊下などの床面に設けたドレン排水溝の上流側端部に接続することによって、ドレン排水溝を通じて排水することが多くなってきた。
【0003】
このようにドレンホースをドレン排水溝に接続する接続(連結)具として、ドレンホースの出口端部が差し込まれドレン水をドレン排水溝部材の排水路に向けて流すようになっているホース差込孔部と、ドレン排水溝部材に直接取り付けられドレン排水溝部材の排水路を上方から塞ぐ蓋体を構成する取付部とからなるドレン連結具が提案されている(特許文献1)。このドレン連結具には、ホース差込孔部が一つのものと、大小二つのホース差込孔部を二股状に分岐させて形成したものとがある。
【特許文献1】特開2007−113355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のドレン連結具のうち、大小二つのホース差込孔部を二股状に分岐させて形成したものは、太いドレンホースでも細いドレンホースでも差し込むことができるという利点を有する反面、大小二つのホース差込孔部が二股状に分岐しているため嵩高となり、スペースの小さい場所での施工には適さないという問題があった。しかも、二股状に分岐した大小二つのホース差込孔部は、ドレンホースの差込み方向が互いに異なり、ドレンホースを2本とも真下方向に差し込むことができないという問題もあった。
【0005】
また、上記のドレン連結具は、ホース差込孔部にドレンホースを差し込むだけであるため、ドレンホースがホース差込孔部から抜け出しやすいという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記の問題に対処すべくなされたもので、その解決しようとする課題は、太いドレンホースでも細いドレンホースでも同じ方向、好ましくは真下方向に差し込むことができ、嵩張らないのでスペースが小さい場所での施工にも有利であり、抜止め部材を取付ければドレンホースの先端部を抜け出さないように固定することもできる、優れたドレンホース接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るドレンホース接続具は、ドレン排水溝の上流側端部にドレンホースの先端部を接続するためのドレンホース接続具であって、ドレン排水溝の上流側端部に取付けられて該上流側端部の上面開口部を覆う基板部と、この基板部に形成されたドレンホース差込部とから成り、このドレンホース差込部は、太いドレンホースを差し込む内径の大きい大径部と、細いドレンホースを差し込む内径の小さい小径部とが、直列に一体形成されたものであることを特徴としている。
【0008】
本発明のドレンホース接続具は、(1)ドレンホース差込部の上部が大径部に形成され、下部が小径部に形成されているタイプと、(2)ドレンホース差込部の上部が小径部に形成され、下部が大径部に形成されると共に、この大径部の上端近傍の外周面に切断用溝部が周設されているタイプに大別される。(1)のタイプのドレンホース接続具は、ドレンホース差込部の外周面に、ドレンホース抜止め部材を固定するための凸リブ又は凹溝が周設されていることが望ましく、(2)のタイプのドレンホース接続具は、ドレンホース差込部の大径部の外周面と小径部の外周面に、ドレンホース抜止め部材を固定するための凸リブ又は凹溝が周設されていることが望ましい。
【0009】
また、本発明のドレンホース接続具では、ドレンホース差込部の大径部に対して小径部が内接する位置関係となるように偏心して形成されていることが望ましく、更に、基板部の一端にドレン排水溝の上流側の端面開口部を閉塞する端板部が形成され、他端に接合用の重ね縁部が形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドレンホース接続具のように、ドレンホース差込部が、太いドレンホースを差し込む内径の大きい大径部と、細いドレンホースを差し込む内径の小さい小径部とを、直列に一体形成したものであると、太いドレンホースも細いドレンホースも同じ方向(直列方向)に差し込むことができる。しかも、大径部と小径部を直列に一体形成したドレンホース差込部は、前記特許文献1の二股状に分岐した大小二つのホース差込孔部ほど嵩張らないので、スペースが小さい場所での施工に有利である。
【0011】
そして、上記(1)のタイプのドレンホース接続具は、ドレンホースが太ければドレンホース差込部の上部の大径部に真下方向に差し込むことができ、ドレンホースが細ければ大径部を通って下部の小径部に真下方向に差し込むことができる。
一方、上記(2)のタイプのドレンホース接続具は、ドレンホースが細ければドレンホース差込部の上部の小径部に真下方向に差し込むことができ、ドレンホースが細ければ、下部の大径部を切断用溝部で切断して上部の小径部を切除し、下部の大径部にドレンホースを真下方向に差し込むことができる。
【0012】
また、上記(1)のタイプのドレンホース接続具であって、ドレンホース差込部の外周面にドレンホース抜止め部材固定用の凸リブ又は凹溝が周設されたものは、この凸リブ又は凹溝に太いドレンホースの抜止め部材もしくは細いドレンホースの抜止め部材を取付固定し、ドレンホース差込部の大径部に差し込まれた太いドレンホース、又は、ドレンホース差込部の小径部に差し込まれた細いドレンホースを、上記のドレンホース抜止め部材によって抜け出さないように固定することができる。
一方、上記(2)のタイプのドレンホース接続具であって、ドレンホース差込部の大径部の外周面と小径部の外周面にドレンホース抜止め部材固定用の凸リブ又は凹溝が周設されたものは、細いドレンホースを差し込む場合には、ドレンホース差込部の小径部の凸リブ又は凹溝に細いドレンホースの抜止め部材を取付固定して、ドレンホース差込部の小径部に差し込まれた細いドレンホースを抜け出さないように固定することができ、太いドレンホースを差し込む場合には、小径部を切除したドレンホース差込部の大径部の凸リブ又は凹溝に太いドレンホースの抜止め部材を取付固定して、ドレンホース差込部の大径部に差し込まれた太いドレンホースを抜け出さないように固定することができる。
【0013】
更に、ドレンホース差込部の大径部に対して小径部が内接する位置関係となるように偏心して形成されたドレンホース接続具は、その内接部分を家屋外壁面側にしてドレン排水溝の上流側端部に取付けると、ドレンホース差込部に太いドレンホースを差し込んだ場合でも、細いドレンホースを差し込んだ場合でも、家屋外壁面とドレンホースとの間隔を同一にすることができ、大径部に対して小径部が同心的な位置関係にあるものに比べると、細いドレンホースを家屋外壁面に近づけることができる。
【0014】
また、基板部の一端にドレン排水溝の上流側の端面開口部を閉塞する端板部が形成され、他端に接合用の重ね縁部が形成されたドレンホース接続具は、その基板部をドレン排水溝の上流側端部に取付けて上面開口部を覆ったときに、同時に上流側の端面開口部も端板部で閉塞されるため、ドレンホースからドレン排水溝に流入したドレン水がドレン排水溝の上流側の端面開口部から流出するのを防止することができ、しかも、重ね縁部をドレン排水溝の蓋部材の端縁に重ねるだけで、ドレンホース接続具の基板部と蓋部材を隙間なく接合できるので、接合作業が簡単になり施工性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は同ドレンホース接続具の一使用例を示す斜視図、図5は同ドレンホース接続具の一使用例をドレンホースを省略して示す平面図、図6は図5のC−D−E−F線断面図、図7は図5のG−G線断面図、図8の(a)及び(b)はドレン排水溝の溝部材の平面図及び端面図、図8の(c)(d)はドレン排水溝の蓋部材の平面図及び端面図、図9は同ドレンホース接続具の他の使用例をドレンホースを省略して示す平面図、図10は図9のH−I−J−K線断面図である。
【0017】
このドレンホース接続具10は、図1〜図3に示すように、ドレン排水溝の上流側端部に取付けられて該上流側端部の上面開口部を覆う基板部1と、この基板部1の中央に形成された円筒状のドレンホース差込部2とを、熱可塑性合成樹脂にて一体に射出成形したものである。
【0018】
図3に示すように、基板部1は偏平なハット形状とされ、その両側端には一段低いフランジ部1a,1aが形成されている。そして、基板部1の表面には、図1に示すように、複数本(3本)の細帯状リブ1bが形成されている。この細帯状リブ1bは、図8の(c)(d)に示すドレン排水溝の蓋部材31の表面に形成された細帯状リブ31bに対応して形成されたものであって、基板部1の補強効果と意匠効果が得られるようにしたものである。
【0019】
基板部1の一端には、図1、図2、図6に示すように、端板部1cが形成されており、後述するようにドレンホース接続具10をドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部に取付けると、ドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部の上面開口部がドレンホース接続具10の基板部1によって覆われると共に、ドレン排水溝3(溝部材32)の上流側の端面開口部が端板部1cによって閉塞されるようになっている。この実施形態の端板部1cは、基板部1の両側のフランジ部1a,1aよりも、ドレン排水溝3の溝部材32の底板32aの厚さ分だけ下方へ突き出すように形成されているが、端板部1cの下面とフランジ部1a,1aの下面が面一に揃うように形成してもよい。その場合は、端板部1cの下面が溝部材32の底板32aの上面に当接して上流側の端面開口部を閉塞することになるので、図8の(a)(b)に示すように溝部材32の底板32aに細溝部32dが形成されているときには、該細溝部32dに嵌まり込む小凸部を端板部1cの下面に設けることが好ましい。
【0020】
図1、図2に示すように、基板部1の上記端板部1cと反対側端には、一段高い接合用の重ね縁部1dが形成されており、図6に示すように、ドレンホース接続具10をドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部に取付けるときに、この重ね縁部1dをドレン排水溝3の蓋部材31の端縁部に重ねるだけで、ドレンホース接続具10と蓋部材31との接合を簡単に行うことができるようになっている。尚、この重ね縁部1dを基板部1の両側面まで形成すると、重ね縁部1dが溝部材32の両側の堤部32c,32c[図8の(b)を参照]に当たって、ドレンホース接続具10をドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部に取付けることができないため、基板部1の上面のみに重ね縁部1cを形成しているが、場合によっては、堤部32c,32cを覆うように重ね縁部1dの両端を延設してもよい。また、この重ね縁部1dの下面には、蓋部材31の細帯状リブ31bが嵌まり込む凹部や、後述するようにドレンホース接続具を連結する際にコーキング剤溜まりとなる凹部を形成してもよい。
【0021】
また、基板部1のドレンホース差込部2と端板部1cとの間には、後述するようにドレンホース接続具10を複数連結してドレン排水溝3の上流側端部に取付ける場合に、端板部1cを切除しやすくするための薄肉部1eが基板部1の全幅に亘って端板部1cと平行に形成されている。この薄肉部1eは、カッターなどによる切断作業性を向上させる観点から、図1、図2に示すように薄肉部1eの全長に亘ってV字形もしくはU字形の断面を有する溝状に形成することが望ましいが、薄肉部1eの両端部(基板部1の両側面からフランジ部1aに形成された部分)のみをV字形もしくはU字形の断面を有する溝状に形成してもよい。
【0022】
図1〜図3に示すように、基板部1の中央のドレンホース差込部2は円筒形に形成されており、その上部が、太いドレンホース4を差し込む内径の大きい大径部2aとなっている。そして、ドレンホース差込部2の下部には、細いドレンホース40を差し込む小径部2bとして内径の小さい内筒部2bが大径部2aと同心的に一体形成されている。
【0023】
上記のように、ドレンホース差込部2が大径部2aと小径部2bを上下に直列させて一体形成したものであると、太いドレンホース4も細いドレンホース40も真下方向に差し込むことができ、しかも、大小二つのホース差込孔部が二股状に分岐したものほど嵩張らないので、スペースの小さい場所で施工する場合に有利である。また、太いドレンホース4を差し込んだときは、該ホースの下端が大径部2aと小径部2bの段差部に当止され、ドレン排水溝3の溝底に当たるまで挿入されることが防止されるので、ドレンホースの下端開口が溝底で閉塞されてドレン水の流入が妨げられる心配をなくすことができる。同様に、小径部2bの下端内周面に内鍔部(不図示)を形成すると、細いドレンホース40の下端が該内鍔部によって当止され、ドレン排水溝3の溝底に当たらなくなるので、ドレン水の流入が妨げられる心配をなくすことができる。
【0024】
ドレンホース接続具10を取付けるドレン排水溝4は、図8の(a)(b)に示すような合成樹脂製の溝部材32と、図8の(c)(d)に示すような合成樹脂製の蓋部材31からなるものである。溝部材32は、縦長の底板32aの左右両側に全長に亘って堤部32a,32aを形成したものであって、この堤部32a,32aの相対向する内側面の下端には、蓋部材31の左右両側のフランジ部31a,31aを挿入する凹条32b,32bが形成されており、また、底板32aの上面には、少量のドレン水でもスムーズに流れるように、多数の細溝部32dが形成されている。一方、蓋部材31は、ドレンホース接続具10の基板部1と同様の偏平なハット形状の断面を有するもので、左右両側には一段低いフランジ部31a,31aが形成されており、上面には補強効果、意匠効果、排水効果等を発揮する3本の細帯状リブ31bが形成されている。そして、蓋部材31の裏面には、耐荷重を向上させるための3つの支持片31cが形成されている。
【0025】
次に、上記のドレンホース接続具10、溝部材32、蓋部材31を用いて、図4に示すようなドレン排水設備を屋外のベランダ等に施工する場合について説明する。
【0026】
まず、上記溝部材32の凹条32b,32bに上記蓋部材31のフランジ部31a,31aを挿入し、ドレンホース接続具10が取付けられる上流側端部を残して、溝部材32の上面開口部(両側の堤部32c,32cの相互間の開口部)を蓋部材31で覆うことにより、ドレン排水溝3を組み立てる。次いで、ドレン排水溝3(溝部材32)の上流側端部の凹条32b,32bに、ドレンホース接続具10のフランジ部1a,1aを挿入することによって、図5〜図7に示すようにドレンホース接続具10を溝部材32の上流側端部に取付け、ドレンホース接続具10の基板部1で溝部材32の上流側端部の上面開口部を覆うと共に、ドレンホース接続具10の端板部1cで溝部材32の上流側の端面開口部を閉塞する。そして、図6に示すように、ドレンホース接続具10の重ね縁部1dを蓋部材31の端縁に重ねて、ドレンホース接続具10と蓋部材31を接合し、このドレンホース接続具10を取付けたドレン排水溝3を、図4,図6に示すようにベランダ床面5の片側の一辺沿いに敷設して、ドレン排水溝3の下流側の端面開口部をベランダの排水溝5aに臨ませる。そして、図4、図6、図7に示すように屋内の冷房機や空調器から引き出した細いドレンホース40の先端をドレンホース接続具10のドレンホース差込部2の小径部2bに差し込むか、又は、仮想線で示すように太いドレンホース4をドレンホース差込部2の大径部2aに差し込んで、ドレン排水設備の施工を完了する。
【0027】
尚、ドレンホース接続具10の端板部1cと溝部材32の上流側の端面は接着剤等で水密的に接着することが望ましく、また、ドレンホース接続具10の端板部1cと家屋外壁面7との間にはコーキング剤等を詰めることが望ましい。
【0028】
上記のように本発明のドレンホース接続具10を用いて施工すると、太いドレンホース4でも細いドレンホース40でも差込み接続することができ、しかも、ドレンホース差込部2が円筒形で嵩張らないため、図4に示すようにベランダのスペースの小さい片隅においてドレン排水溝3の上流側端部にドレンホース接続具10を取付けるような場合に施工がし易くなる利点がある。また、ドレン排水溝3(溝部材32)の上流側の端面開口部がドレンホース接続具10の端板部1cで閉塞されるため、ドレンホース4又は40から流入したドレン水はドレン排水溝3(溝部材32)の端面開口部から流出することなく、ドレン排水溝3を下流側に流れてベランダの排水溝5aへ排水される。その場合、ドレン水が少量でも、溝部材32の細溝32dをスムーズに流れて排水される。また、ドレンホース接続具10の重ね縁部1dを蓋部材31の端縁に重ねるだけで簡単に接合できるので、この点からも施工性が向上する。
【0029】
上記の施工例は、ドレン排水溝3にドレンホース接続具10を一つだけ取付けたものであるが、例えば太いドレンホース4と細いドレンホース40が2本引き出されているような場合には、二つのドレンホース接続具10を連結してドレン排水溝3の上流側端部に取付ける必要がある。そのような場合は、二番目のドレンホース接続具10の基板部1を、V字形の断面を有する溝状の薄肉部1e沿いにカッター等で切断して端板部2を切除し、図9、図10に示すように、この二番目のドレンホース接続具10の基板部1の切断端部に、一番目のドレンホース接続具10の重ね縁部1dを重ねて、双方のドレンホース接続具10,10を連結すると共に、二番目のドレンホース接続具10の重ね縁部1dをドレン排水溝3の蓋部材31の端縁部に重ねて接合し、一方のドレンホース接続具10のドレンホース差込部2の大径部2aに太いドレンホース4を、また、他方のドレンホース接続具10のドレンホース差込部2の小径部2bに細いドレンホース40を、それぞれ差し込んで接続すればよい。このようにドレンホース接続具10を複数連結する場合、前述したように接合用の重ね縁部1dの下面にコーキング剤溜まりとなる凹部が形成されていると、コーキング剤を詰めて水密的に連結することができる。
【0030】
更に、3本以上のドレンホースが引き出されている場合は、二番目以降のドレンホース接続具10の端板部1cを全て切除し、上記と同様に連結して3個以上のドレンホース接続具10をドレン排水溝3に取付け、それぞれのドレンホース接続具10のドレンホース差込部2の大径部2a又は小径部2bに、太いドレンホース4又は細いドレンホース40を1本ずつ差し込んで接続すればよい。
【0031】
図11は、本発明の他の実施形態に係るドレンホース接続具11の一使用例をドレンホースを省略して示す平面図である。
【0032】
このドレンホース接続具11は、ドレンホース差込部2の大径部2aに対して小径部2bが内接する位置関係となるように、小径部2bを一端側に偏心させて形成したものである。このドレンホース接続具11の他の構成は、前記ドレンホース接続具10と同様であるので、図11において同一部材に同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0033】
このようなドレンホース接続具11は、図11に示すように、大径部2aに対する小径部2bの内接部分を家屋外壁面6側にしてドレン排水溝3の上流側端部に取付けると、ドレンホース差込部2の大径部2aに太いドレンホースを差し込んだ場合でも、小径部2bに細いドレンホースを差し込んだ場合でも、家屋外壁面7とドレンホースとの間隔を同一にすることができ、大径部2aに対して小径部2bが同心的な位置関係にあるものに比べると、細いドレンホースを家屋外壁面7に近づけることができる。
【0034】
図12は本発明の更に他の実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図、図13は同ドレンホース接続具にドレンホース抜止め部材を用いて太いドレンホース又は細いドレンホースを接続する場合の分解断面図、図14は同ドレンホース接続具にドレンホース抜止め部材を用いて太いドレンホースを接続したところを示す断面図、図15はドレンホース抜止め部材の平面図である。
【0035】
このドレンホース接続具12は、円筒状のドレンホース差込部2の大径部の外周面に、ドレンホース抜止め部材7又は70を固定するための、半円形断面を有する複数(2つ)の凸リブ2cが周設されたものであり、その他の構成は前記のドレンホース接続具10と同様とされている。
【0036】
太いドレンホース4を抜け出さないように固定するドレンホース抜止め部材7は、図13、図14に示すように、ドレンホース接続具12のドレンホース差込部2に外嵌合させる大径筒部7aと、コルゲート管からなる太いドレンホース4をねじ込む小径筒部7bとを熱可塑性合成樹脂にて一体成形したものであって、図15に示すように大径筒部7aも小径筒部7bも開環筒状に形成されており、図13に示すように、大径筒部7aの内面には、ドレンホース差込部2の凸リブ2cを嵌め込む複数(2つ)の凹溝7c,7cが、また、小径筒部7bの内面には、ドレンホース4の螺旋状山部4aを螺入する不連続な螺旋状の溝部7dが形成されている。
【0037】
また、細いドレンホース40を抜け出さないように固定するドレンホース抜止め部材70は、図13に示すように、ドレンホース接続具12のドレンホース差込部2に外嵌合させる大径筒部7aと、コルゲート管からなる細いドレンホース40をねじ込む小径筒部70bとを熱可塑性合成樹脂にて一体成形したものであって、上記のドレンホース抜止め部材7と同様に大径筒部7aも小径筒部70bも開環筒状に形成されており、図13に示すように、大径筒部7aの内面には、ドレンホース差込部2の凸リブ2cを嵌め込む複数(2つ)の凹溝7c,7cが、また、小径筒部70bの内面には、ドレンホース40の螺旋状山部40aを螺入する不連続な螺旋状の溝部70dが形成されている。
【0038】
上記のドレンホース抜止め部材7又は70を併用するドレンホース接続具12は、次の要領でドレンホース4又は40を抜けないようにドレンホース差込部2に差し込んで固定することができる。まず、太いドレンホース4を接続する場合は、ドレンホース抜止め部材7を回しながら、ドレンホース4の螺旋状山部4aをドレンホース抜止め部材7の小径筒部7bの不連続な螺旋状溝部7dに螺入し、ドレンホース4の下端がドレンホース抜止め部材7の大径筒部7aの下端開口付近に達するまでドレンホース4をねじ込む。そして、ドレンホース4の下端部をドレンホース差込部2の大径部2aに挿入しながら、ドレンホース抜止め部材7の大径筒部7aを少し弾性拡開してドレンホース差込部2の大径部2aに外嵌合させ、ドレンホース差込部2の凸リブ2c,2cを大径筒部7aの凹溝7c,7cに嵌め込んで固定する。このようにすると、ドレンホース抜止め部材7はドレンホース差込部2から外れることがなく、ドレンホース4はドレンホース抜止め部材7の小径筒部7bから抜け出すことがないので、ドレンホース4をドレンホース差込部2の大径部2aに抜け出し不能に差込み固定することができる。
【0039】
また、細いドレンホース70を接続する場合は、ドレンホース抜止め部材70を使用し、上記と同じ要領でドレンホース70をドレンホース差込部2の小径部2bに抜け出し不能に差込み固定することができる。
【0040】
このドレンホース接続具12では、ドレンホース差込部2の外周面に2つの凸リブ2c,2cを形成し、ドレンホース抜止め部材7,70の大径筒部7aの内面に2つの凹溝7c,7cを形成しているが、凸リブ2cと凹溝7cの数は1つでも3つ以上でもよい。また、ドレンホース差込部2の外周面に凹溝を形成し、大径筒部7aの内面に凸リブを形成してもよい。尚、ドレンホース4,40が、リング状の山部と谷部を交互に連成したコルゲート管からなる場合は、ドレンホース抜止め部材7,70の小径筒部7b,70bの内面に、不連続な螺旋状溝部7d,70dに替えて開環状の溝部を形成し、小径筒部7b,70bを少し弾性拡開してドレンホース4,40に外嵌着させることにより、ドレンホース4,40のリング状山部を小径筒部7b,70bの開環状溝部に嵌め込んで抜けないようにドレンホース4,40を取付ければよい。
【0041】
このドレンホース接続具12の他の構成及び作用効果は、前述のドレンホース接続具10と同様であるので、図12〜図14において、同一部分に同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0042】
尚、ドレンホース4,40が、リング状の山部と谷部を交互に連成したコルゲート管からなる場合は、ドレンホース抜止め部材7,70の小径筒部7b,70bの内面に、不連続な螺旋状溝部7d,70dに替えて開環状の溝部を形成し、小径筒部7b,70bを少し弾性拡開してドレンホース4,40に外嵌着させることにより、ドレンホース4,40のリング状山部を小径筒部7b,70bの開環状溝部に嵌め込んで抜けないようにドレンホース4,40を取付ければよい。
【0043】
図16は本発明の更に他の実施形態に係るドレンホース接続具の断面図、図17はドレンホース差込部の小径部を切除した同ドレンホース接続具の断面図である。
【0044】
このドレンホース接続具13は、ドレンホース差込部2の上部が細いドレンホース40を差し込む小径部2bに形成され、ドレンホース差込部2の下部が太いドレンホース4を差し込む大径部2aに形成されたものであって、図16に示すように、大径部2aの上端近傍の外周面には切断用溝部2dが周設されており、また、大径部2aと小径部2bの外周面には、ドレンホース抜止め部材7,71を固定するための、半円形断面を有する凸リブ2cが複数本(2本)ずつ形成されている。けれども、この偏平なハット形の基板部1には、前記の端板部1cや接合用の重ね縁部1dや薄肉部1eが形成されていない。
【0045】
このようなドレンホース接続具13は、前記のドレンホース接続具10と同様に、基板部1の両側端のフランジ部1a,1aをドレン排水溝3の溝部材32の凹条32b,32bに挿入して、溝部材32の上流側端部に取付けられ、基板部1とドレン排水溝3の蓋部材31が接着剤等で接合されると共に、溝部材32の上流側の端面開口部がコーキング剤やシーリング剤で閉塞される。そして、図16に仮想線で示すドレンホース抜止め部材7又は71を用いて、以下の要領で太いドレンホース4又は細いドレンホース40が抜け出さないように接続される。尚、ドレンホース抜止め部材7,71は、前記と同様、開環筒状の大径筒部7a,71aと小径筒部7b,71bを一体形成すると共に、大径筒部7a,71aの内面に凸リブ2cが嵌まり込む凹溝を形成し、小径筒部7b,71bの内面にドレンホース4,40の螺旋状山部4a,40aを螺入する不連続な螺旋状の溝部を形成したものである。
【0046】
まず、細いコルゲート管からなるドレンホース40を接続する場合は、図16に仮想線で示すように、細いドレンホース40をドレンホース抜止め部材71の小径筒部71bにねじ込み、細いドレンホース40の先端部をドレンホース差込部2の小径部2bに挿入しながら、ドレンホース抜止め部材71の大径筒部71aを少し弾性拡開してドレンホース差込部2の小径部2bに外嵌合させ、小径部2bの外周面の凸リブ2c,2cを大径筒部71aの凹溝に嵌め込んで、細いドレンホース40を抜け出さないように固定する。
【0047】
一方、太いコルゲート管からなるドレンホース4を接続する場合は、予め、ドレンホース差込部2を切断用溝部2dに沿って切断することにより、図17に示すように小径筒部を切除する。そして、図17に仮想線で示すように、太いドレンホース4をドレンホース抜止め部材7の小径筒部7bにねじ込み、太いドレンホース4の先端部をドレンホース差込部2の大径部2aに挿入しながら、ドレンホース抜止め部材7の大径筒部7aを少し弾性拡開してドレンホース差込部2の大径部2aに外嵌合させ、大径部2aの外周面の凸リブ2c,2cを大径筒部7aの凹溝に嵌め込んで、太いドレンホース4を抜け出さないように固定する。
【0048】
このドレンホース接続具13の他の構成及び作用効果は、前述のドレンホース接続具10と同様であるので、図16,図17において、同一部分に同一符号を付し、重複説明を省略する。尚、このドレンホース接続具13では、ドレンホース差込部2の大径部2aと小径部2bの外周面に凸リブ2c,2cを2本ずつ形成し、ドレンホース抜止め部材7,71の大径筒部7a,71aの内面に2つの凹溝を形成しているが、凸リブ2cと凹溝の数は1つでも3つ以上でもよく、また、ドレンホース差込部2の大径部2aと小径部2bの外周面に凹溝を形成し、大径筒部7a,71aの内面に凸リブを形成するようにしても勿論よい。また、
ドレンホース4,40が、リング状の山部と谷部を交互に連成したコルゲート管からなる場合は、ドレンホース抜止め部材7,71の小径筒部7b,71bの内面に、不連続な螺旋状溝部に替えて開環状の溝部を形成し、小径筒部7b,71bを少し弾性拡開してドレンホース4,40に外嵌着させることにより、ドレンホース4,40のリング状山部を小径筒部7b,71bの開環状溝部に嵌め込んで抜けないようにドレンホース4,40を取付ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】同ドレンホース接続具の一使用例を示す斜視図である。
【図5】同ドレンホース接続具の一使用例をドレンホースを省略して示す平面図である。
【図6】図5のC−D−E−F線断面図である。
【図7】図5のG−G線断面図である。
【図8】(a)及び(b)はドレン排水溝の溝部材の平面図及び端面図、(c)(d)はドレン排水溝の蓋部材の平面図及び端面図である。
【図9】同ドレンホース接続具の他の使用例をドレンホースを省略して示す平面図である。
【図10】図9のH−I−J−K線断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るドレンホース接続具の一使用例をドレンホースを省略して示す平面図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図である。
【図13】同ドレンホース接続具にドレンホース抜止め部材を用いて太いドレンホース又は細いドレンホースを接続する場合の分解断面図である。
【図14】同ドレンホース接続具にドレンホース抜止め部材を用いて太いドレンホースを接続したところを示す断面図である。
【図15】ドレンホース抜止め部材の平面図である。
【図16】本発明の更に他の実施形態に係るドレンホース接続具の断面図である。
【図17】ドレンホース差込部の小径部を切除した同ドレンホース接続具の断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 基板部
1c 端板部
1d 接合用の重ね縁部
2 ドレンホース差込部
2a 大径部
2b 小径部
2c 凸リブ
2d 切断用溝部
3 ドレン排水溝
31 蓋部材
32 溝部材
4 太いドレンホース
40 細いドレンホース
5 ベランダ床面
7,70,71 ドレンホース抜止め部材
10,11,12,13 ドレンホース接続具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレン排水溝の上流側端部にドレンホースの先端部を接続するためのドレンホース接続具であって、ドレン排水溝の上流側端部に取付けられて該上流側端部の上面開口部を覆う基板部と、この基板部に形成されたドレンホース差込部とから成り、このドレンホース差込部は、太いドレンホースを差し込む内径の大きい大径部と、細いドレンホースを差し込む内径の小さい小径部とが、直列に一体形成されたものであることを特徴とするドレンホース接続具。
【請求項2】
ドレンホース差込部の上部が大径部に形成され、下部が小径部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドレンホース接続具。
【請求項3】
ドレンホース差込部の上部が小径部に形成され、下部が大径部に形成されると共に、この大径部の上端近傍の外周面に切断用溝部が周設されていることを特徴とする請求項1に記載のドレンホース接続具。
【請求項4】
ドレンホース差込部の外周面に、ドレンホース抜止め部材を固定するための凸リブ又は凹溝が周設されていることを特徴とする請求項2に記載のドレンホース接続具。
【請求項5】
ドレンホース差込部の大径部の外周面と小径部の外周面に、ドレンホース抜止め部材を固定するための凸リブ又は凹溝が周設されていることを特徴とする請求項3に記載のドレンホース接続具。
【請求項6】
ドレンホース差込部の大径部に対して小径部が内接する位置関係となるように偏心して形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のドレンホース接続具。
【請求項7】
基板部の一端にドレン排水溝の上流側の端面開口部を閉塞する端板部が形成され、他端に接合用の重ね縁部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のドレンホース接続具。
【請求項1】
ドレン排水溝の上流側端部にドレンホースの先端部を接続するためのドレンホース接続具であって、ドレン排水溝の上流側端部に取付けられて該上流側端部の上面開口部を覆う基板部と、この基板部に形成されたドレンホース差込部とから成り、このドレンホース差込部は、太いドレンホースを差し込む内径の大きい大径部と、細いドレンホースを差し込む内径の小さい小径部とが、直列に一体形成されたものであることを特徴とするドレンホース接続具。
【請求項2】
ドレンホース差込部の上部が大径部に形成され、下部が小径部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドレンホース接続具。
【請求項3】
ドレンホース差込部の上部が小径部に形成され、下部が大径部に形成されると共に、この大径部の上端近傍の外周面に切断用溝部が周設されていることを特徴とする請求項1に記載のドレンホース接続具。
【請求項4】
ドレンホース差込部の外周面に、ドレンホース抜止め部材を固定するための凸リブ又は凹溝が周設されていることを特徴とする請求項2に記載のドレンホース接続具。
【請求項5】
ドレンホース差込部の大径部の外周面と小径部の外周面に、ドレンホース抜止め部材を固定するための凸リブ又は凹溝が周設されていることを特徴とする請求項3に記載のドレンホース接続具。
【請求項6】
ドレンホース差込部の大径部に対して小径部が内接する位置関係となるように偏心して形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のドレンホース接続具。
【請求項7】
基板部の一端にドレン排水溝の上流側の端面開口部を閉塞する端板部が形成され、他端に接合用の重ね縁部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のドレンホース接続具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−30392(P2009−30392A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197115(P2007−197115)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】
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