説明

ドーム屋根骨組施工方法

【課題】第3の梁材のような部品を無くすることで、部品点数を削減でき、また、このような部品を取り外す手間もかからないドーム屋根骨組施工方法を提供する。
【解決手段】躯体11の外周部に支持柱12を周方向に所定間隔で配置するとともに、支持柱12が起倒可能となるように躯体11に取り付ける工程と、頂部構造物2を躯体11の内側に配置したうえで梁状構造物3の先端部を頂部構造物2の外周部に連結するととも梁状構造物3の基端部を支持柱12の上端部に連結する工程と、頂部構造物2と梁状構造物3とを牽引ケーブル15で連結する工程と、牽引ケーブル15を牽引して梁状構造物3と頂部構造物2との距離を縮めることで、支持柱12を起立させるようにして、頂部構造物2を上昇させるとともに、支持柱12の上端部を支点として梁状構造物3をその先端部が上昇するように回動させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内球技場等の大型建築物のドーム屋根骨組を施工するドーム屋根骨組施工方法。
【背景技術】
【0002】
従来、大型建築物の屋根構造としては、例えばスポーツの屋内競技場にあっては、主に擂り鉢状に形成された壁構造物の上部にトラス構造の骨組みを水平に架設したものや、壁構造物の両端から梁材を側面視山形のトラス構造に組んだものが用いられている。前記トラスを水平に架設する屋根構造は、トラスを架設すべき壁構造物間の架設位置に構台を立設するとともに、トラスを構成する構成部材を揚重機で揚重して供給することにより順次これら壁構造物及び構台間に架設するようにトラスを形成して施工する。前記側面視山形のトラスを架設する屋根構造は、屋根を施工すべき建築物の床部からサポート材を組んでトラスの施工位置に達する支持構造物を構築し、この支持構造物を利用しながら揚重機で揚重したトラスの構成部材を組み立てて施工する。
【0003】
しかしながら、前記のような屋根構造及びその施工方法の場合、以下のような問題が生じていた。すなわち、トラスを水平に架設する屋根構造は、特にトラスの中央部に作用する自身の重量による曲げ力を支持する必要から構成部材が大型であって、構成部材を供給する揚重機も大型のものを用いる必要が生じて施工が大変であるといった問題が生じていた。
【0004】
一方、側面視山形のトラスを架設する屋根構造は、中央部の荷重がトラスの軸力で支持されて全体を前記トラスを水平に架設するものより小型の構成部材で施工することができるものの、構成部材が多数となって施工の作業能率に不満があるほか、前者の屋根構造のように剛に構成したトラスを部分的に架設することができず施工部分全体に支持構造物を構築する必要があるから、支持構造物の施工に手間取って工期が延長するといった問題点がある。
また、いずれの屋根構造においても、それぞれのトラスの構成部材の組立は主に施工位置で行って高所作業が多いから、作業に比較的危険が多い上、落下防止等の対策が大変であって施工コストの上昇の原因となっていた。
【0005】
そこで、本発明者は、施工が簡単かつ組立工数が少なく、施工上高所作業を減少して作業の安全性が向上する屋根構造及びその施工方法を提供している(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されている屋根構造は、屋内競技場などの大型建築物の屋根構造であって、屋根の外形を形成する概略弓型の梁構造物と、該梁構造物に囲まれて屋根の中央部を形成する頂部構造物と、該頂部構造物の下方に配置された牽引機構と、該牽引機構と前記梁構造物の外端部との間に設けられた牽引ケーブルと、該牽引ケーブルと前記梁構造物との間に介装されてこれらの間を所定距離に保持する介装部材とを備えてなり、前記梁構造物は、剛に形成された複数の梁体からなり、これら梁体間が互いに上下方向に回動可能となるように接続されて構成されるとともに、最外部に位置する梁体が屋根の基端部に対して上下方向に回動可能に取り付けられ、かつ、前記頂部構造物に連結する梁体が該頂部構造物に対して上下方向に回動可能に取り付けられ、前記牽引ケーブルは、前記牽引機構で牽引されたことによって該牽引機構と前記梁構造物の外端部との間に張設されていることを特徴としている。
【0006】
そして、このような屋根構造を施工するには、梁構造物の最外部に位置する梁体を屋根の基端部に対して上下方向に回動可能に取り付け、かつ別の梁体を頂部構造物に対して上下方向に回動可能に取り付けて梁構造体を組み立て、次いで、前記牽引機構によって牽引ケーブルを牽引し、梁体間を折曲させて屋根の基端部と頂部構造との間の距離を所定の距離に調整するとともに、前記介装部材で該牽引ケーブルと前記梁構造物との間を所定距離に保持するように該牽引ケーブルに張力を発揮させることによって行っている。
前記梁構造物は、屋根構造物の基端部の位置に基端部が取り付けられた第1の梁材と、この第1の梁材の先端部に基端部が接続された第2の梁材と、この第2の梁材の先端部に基端部が接続された第3の梁材とを備えている。第1の梁材は取り付け部に固定されたポールの上端部に回動自在に連結されている。
また、第3の梁材は、第2の梁材に上下に回動自在に取り付けられている。さらに、この第3の梁材は、牽引支持部材に当接されて屋根構造物の中央部方向への移動が規制されているとともに、その先端部に牽引ケーブルが移動自在として遊挿されている。
【特許文献1】特許第3188499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような屋根構造では、梁構造物の第2の梁材を頂部構造物に直接連結すると、第1の梁材が連結されているポールが固定状態であるので、梁構造物がポールの先端部を支点として上下に回動することができないため、第2の梁材の先端部に第3の梁材を回動可能に連結し、この第3の梁材を、牽引支持部材に当接している。これによって、第2の梁材が頂部構造物から接離可能であるので、梁構造物がポールの先端部を支点として上下に回動することができる。
このため、上記のような屋根構造では、梁構造物を回動させるために、第3の梁材が必須であるが、屋根施工最終段階で、支柱と第3の梁材が一致したら、第2の梁材の屋根構造物1側の端部を頂部リングに取り付け、第3の梁材については、必要に応じてこれを取り外してもよい。したがって、この第3の梁材の分だけ、部品点数が多くなってしまい、また、第3の梁材を取り外す手間もかかることになる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、第3の梁材のような部品を無くすることで、部品点数を削減でき、また、このような部品を取り外す手間もかからないドーム屋根骨組施工方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図6に示すように、ドーム状のドーム屋根の屋根骨組1を施工するドーム屋根骨組施工方法であって、
前記屋根骨組1は、その中央部を構成する頂部構造物2と、この頂部構造物2の外周部から外側に延びるとともに、前記頂部構造物2に上下に回動可能に連結される複数の梁状構造物3とを備えており、
前記屋根骨組1を施工すべき躯体11の外周部に、複数の支持柱12を周方向に所定間隔で配置するとともに、該支持柱12が前記屋根骨組1の径方向に起倒可能となるように該支持柱12の下端部を前記躯体11に回動可能に取り付ける支持柱取付工程と、
前記頂部構造物2を前記躯体1の内側の地上部近傍に配置したうえで、前記梁状構造物3の先端部を前記頂部構造物2の外周部に回動可能に連結するとともに、前記梁状構造物3の基端部を前記支持柱12の上端部に回動可能に連結する梁状構造物連結工程と、
前記頂部構造物2と前記梁状構造物3とを、前記支持柱12が内側に倒れた状態で、牽引ケーブル15で連結するケーブル連結工程と、
前記牽引ケーブル15を牽引して、前記梁状構造物3と前記頂部構造物2との距離を縮めることによって、前記支持柱12を起立させるようにして、前記頂部構造物2を上昇させるとともに、前記支持柱12の上端部を支点として、前記梁状構造物3をその先端部が上昇するように回動させる屋根骨組上昇工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のドーム屋根骨組施工方法において、前記梁状構造物3は、前記屋根骨組1の周方向において、所定間隔を隔てて配置されており、
前記屋根骨組上昇工程後に、周方向に隣り合う前記梁状構造物3,3どうしを連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、屋根骨組を施工すべき躯体の外周部に、複数の支持柱を周方向に所定間隔で配置するとともに、該支持柱が前記屋根骨組の径方向に起倒可能となるように該支持柱の下端部を前記躯体に回動可能に取り付けており、梁状構造物の基端部を前記支持柱の上端部に回動可能に連結しているので、牽引ケーブルを牽引して、梁状構造物と頂部構造物との距離を縮めることによって、支持柱を起立させるようにして、頂部構造物を上昇させるとともに、梁状構造物を支持柱の上端部を支点として上方に回動させることができる。したがって、第3の梁材のような部品が無くても屋根骨組を容易に施工できるので、その分、部品点数を削減でき、また、このような部品を取り外す手間もかからない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5は、本発明に係るドーム屋根骨組施工方法を説明するための正断面図、図6はドーム屋根骨組の4分の1の平面図である。
【0013】
屋根骨組1は、頂部構造物2と多数の梁状構造物3・・・とを備えている。頂部構造物2は、屋根骨組1の中央部に位置するリング状構造物4と、このリング状構造物4の上部に設けられた頂部屋根部5とによって構成されている。
リング状構造物4は、上下に離間して対向配置された上下のリング4a,4bと、これら上下のリング4a,4bを連結する多数の連結材4cとによって構成されている。連結材4cは、上下のリング4a,4b間に鉛直に架設されたものと、斜めに交差するようにして架設されたものがある。
【0014】
前記梁状構造物3は、頂部構造物2を構成するリング状構造物4の外周部から外側に放射状に延びるとともに、リング状構造物4に上下に回動可能に連結されるものである。
梁状構造物3は、図1〜図5および図6に示すように、周方向に所定間隔で配置された一対の梁材7,7と、この梁材7に連結されて梁状構造物3を補強するトラス構造体8と、周方向に隣り合う梁材7,7どうしや、トラス構造体8,8どうしを周方向に連結する複数の連結材9とを備えている。
梁材7は、リング状構造物4の上リング4aから外側に向けて放射状に延びており、その一端部が、上リング4aにヒンジ部を介して上下に回動可能に連結されている。
連結材9は、周方向に隣り合う梁材7,7間において、径方向に所定間隔で複数配置され、連結材9の両端部がそれぞれ梁材7,7に連結されている。
【0015】
次に、上記のような屋根骨組1を施工するドーム屋根骨組施工方法について説明する。
本施工方法は、支持柱取付工程と、梁状構造物連結工程と、ケーブル連結工程と、屋根骨組上昇工程と、牽引ケーブル取外し工程と、梁状構造物連結工程とを経て施工される。
【0016】
(1)支持柱取付工程
この工程ではまず、図1に示すように、躯体11の外周部に多数本の支持柱12を周方向に所定間隔で取り付ける。躯体11は例えば、平面視略円状の競技場の外壁で構成され、この外壁の上端部に周方向に複数本の支持柱12を周方向に所定間隔で取り付ける。
支持柱12の下端部はヒンジ部を介して外壁に取り付けられており、これによって、支持柱12は、そのヒンジ部を支点として屋根骨組1の径方向に起倒可能となっている。支持柱12は、例えば周方向に一定間隔で44本配置されており、この支持柱12に、前記梁状構造物3の梁材7が連結されるようになっており。
【0017】
(2)梁状構造物連結工程
この工程ではまず、躯体11の内側の地盤に複数の支持部13を周方向に所定間隔で設置しておき、これら支持部13上に、前記頂部構造物2を設置することによって、頂部構造物2を躯体11の内側の地上部近傍に配置しておく。
なお、頂部構造物2を設置する場合、そのリング状構造物4の下リング4bを支持部13上に設置する。
また、頂部構造物2は、躯体11の内側においてクレーン等を使用して組み立てつつ支持部13上に設置するが、頂部構造物2が比較的小さく、クレーン等で吊り下げることが可能であるならば、頂部構造物2を別の場所で組み立てておき、その組立てた頂部構造物2をクレーン等で吊り下げて、支持部13上に設置してもよい。
【0018】
次に、梁状構造物3の先端部を頂部構造物2の外周部に回動可能に連結するとともに、梁状構造物3の基端部を支持柱の上端部に回動可能に連結する。
具体的には、梁状構造物3の梁材7,7の先端部を頂部構造物2を構成するリング状構造物4の上リング4aにヒンジ部を介して上下に回動可能に連結する。また、梁材7,7の基端部を前記支持柱12,12の上端部にヒンジ部を介して上下に回動可能に連結する。
なお、梁状構造物3を頂部構造物2や支持柱12に連結する場合、梁状構造物3を躯体11の内側で組み立てつつ連結してもよいし、組み立てが完了した梁状構造物3を頂部構造物2や支持柱12に連結してもよい。
【0019】
(3)ケーブル連結工程
この工程では、頂部構造物2と梁状構造物3とを、支持柱12が内側に倒れた状態で、牽引ケーブル15で連結する。
具体的には、頂部構造物2を構成するリング状構造物4の下リング4bと、梁状構造物2を構成するトラス構造体8の頂点部とを牽引ケーブル15で連結する。
また、下リング4bには油圧式のジャッキ16を取り付け、このジャッキ16によって牽引ケーブル15を牽引可能とする。牽引ケーブル15は、屋根骨組1の周方向に所定間隔で多数(例えば44本)配置し、各牽引ケーブル15によって、下リング4bの外周部の各部位と、各梁材7に設けられたトラス構造体8の頂点部とを連結する。また、ジャッキ16は牽引ケーブル15の本数に対応した個数(例えば44個)を下リング4bに周方向に所定間隔で取り付ける。
なお、多数の油圧ジャッキ16は、図示しない油圧制御ユニットに接続されており、全油圧ジャッキ16を同期して作動させることがき、また、所望の油圧ジャッキ16を作動させることができるようになっている。
【0020】
(4)屋根骨組上昇工程
この工程では、牽引ケーブル15をジャッキ16によって牽引して、梁状構造物3と頂部構造物2との距離を縮めることによって、支持柱16を起立させるようにして、頂部構造物2を上昇させるとともに、支持柱12の上端部を支点として、梁状構造物2をその先端部が上昇するように回動させる。
具体的には、図1に示す状態において、全てのジャッキ16を同期作動させて、全ての牽引ケーブル15を牽引すると、図2に示すように、下リング4bとトラス構造体8の頂点部との距離が縮まっていき、これに伴って、梁状構造物3が支持柱12の上端部を支点として、梁状構造物3の先端部が上昇するようにして、上方に回動するとともに、支持柱12がその下端部を支点として起立するようにして回動する。
また、梁状構造物3の先端部が上昇するに伴って、該梁状構造物3の先端部に連結されているリング状構造物4が上昇していく。
なお、リング状構造物4がほぼ真っ直ぐに上昇していくように、全ジャッキ16を油圧製制御ユニットによって制御する。
【0021】
さらに、全ての牽引ケーブル15を牽引すると、図3に示すように、梁状構造物3が支持柱12の上端部を支点として、さらに回動するとともに、支持柱12がその下端部を支点として起立するようにして回動し、さらに真っ直ぐな起立状態を越えて、外側に若干傾斜した起立状態となる。このとき、梁状構造物3の梁材7がほぼ水平状態となる。
【0022】
さらに、全ての牽引ケーブル15を牽引すると、図4に示すように、梁状構造物3が支持柱12の上端部を支点として、さらに回動するとともに、支持柱12がその下端部を支点として内側に回動して起立状態となる。このとき、梁状構造物3の梁材7が、その先端部が基端部より高くなるように傾斜する。これによって、梁状構造物3に適宜の雨勾配を付与できる。
【0023】
(5)牽引ケーブル取外し工程
この工程では、牽引ケーブル15や油圧式のジャッキ16を取り外す。
すなわち、図4で示した状態が、頂部構造物2と梁状構造物3の最終的な完成位置であるので、この状態を維持するために、図5に示すように、頂部構造物2の下リング4bと、梁状構造物3のトラス構造体8の頂点部との間に、トラス材17を架設し、その後、牽引ケーブル15とジャッキ16を取り外す。つまり、牽引ケーブル15とトラス材17とを盛り替える。また、前記支持部13を撤去する。
【0024】
(6)梁状構造物連結工程
上記のような工程を経て施工された多数の梁状構造物3は、屋根骨組1の周方向において、所定間隔を隔てて配置されているので、図6に示すように、周方向に隣り合う梁状構造物3,3どうしを連結材18によって連結する。
連結材18は、周方向に隣り合う梁材7,7間において、径方向に所定間隔で複数配置され、連結材18の両端部をそれぞれ梁材7,7に連結して、屋根骨組1の施工を終了する。
【0025】
本実施の形態によれば、躯体11の外周部に、多数(例えば44本)の支持柱12を周方向に所定間隔で配置するとともに、該支持柱12が屋根骨組1の径方向に起倒可能となるように該支持柱12の下端部を躯体11に回動可能に取り付けており、梁状構造物3の基端部を支持柱12の上端部に回動可能に連結しているので、牽引ケーブル15をジャッキ16によって牽引して、梁状構造物3と頂部構造物2との距離を縮めることによって、支持柱12を起立させるようにして、頂部構造物2を上昇させるとともに、梁状構造物3を支持柱12の上端部を支点として上方に回動させることができる。したがって、従来のような第3の梁材のような部品が無くても屋根骨組1を容易に施工できるので、その分、部品点数を削減でき、また、このような部品を取り外す手間もかからない。
【0026】
また、梁状構造物3は、屋根骨組1の周方向において、所定間隔を隔てて配置されているので、梁状構造物3を支持柱3の上端部を支点として回動させる際に、隣り合う梁状構造物3,3を互いに干渉させることなく、スムーズに回動させることができる。したがって、屋根骨組1をスムーズに上昇させることができる。
そして、屋根骨組上昇工程後に、周方向に隣り合う梁状構造物3,3どうしを連結材18によって連結するので、屋根骨組1を強固な構造体とすることができる。
さらに、頂部構造物3がリング状構造物4を備えており、このリング状構造物4の内側は中空であるので、屋根骨組1の中央部の天井高を高くすることができる。
【0027】
なお、本実施の形態では、頂部構造物2と梁状構造物3とを、牽引ケーブルで15連結する場合に、頂部構造物2を構成するリング状構造物4と、梁状構造物3を構成するトラス構造体8とを連結したがこれに限ることはない。
例えば、リング状構造物4の代わりに、多数の鉄骨材を放射状に配置した構造物を設け、この構造物と、梁状構造物3とを連結してもよい。
また、本実施の形態では、頂部屋根部5を取り付けた状態で、頂部構造物2を上昇させたが、頂部屋根部5を設けない状態で頂部構造物2を構成するリング状構造物4を上昇させてもよい。この場合、頂部屋根部5の取り付けは前記梁状構造物連結工程の後に行えばよい。
さらに、本実施の形態では、平面視円形状の屋根骨組を施工する方法を例にとって説明したが、本発明の屋根骨組は、平面視円形状に限ることはない。本発明は、例えば、平面視、長円形状、楕円形状、多角形状、矩形状等ドーム型のあらゆる形状の屋根骨組を施工する場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るドーム屋根骨組施工方法を説明するためのもので、頂部構造物を躯体の内側に設置した状態を示す正断面図である。
【図2】同、頂部構造物を上昇させている状態を示す正断面図である。
【図3】同、頂部構造物が上昇して梁状構造物の梁材がほぼ水平となった状態を示す正断面図である。
【図4】同、頂部構造物と梁状構造物の最終的な完成位置を示す正断面図である。
【図5】同、屋根骨組の施工完成状態を示す正断面図である。
【図6】本発明に係るドーム屋根骨組施工方法によって施工されたドーム屋根骨組の4分の1の平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 屋根骨組
2 頂部構造物
3 梁状構造物
4 リング状構造物
7 梁材
9,18 連結材
11 躯体
12 支持柱
15 牽引ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状のドーム屋根の屋根骨組を施工するドーム屋根骨組施工方法であって、
前記屋根骨組は、その中央部を構成する頂部構造物と、この頂部構造物の外周部から外側に延びるとともに、前記頂部構造物に上下に回動可能に連結される複数の梁状構造物とを備えており、
前記屋根骨組を施工すべき躯体の外周部に、複数の支持柱を周方向に所定間隔で配置するとともに、該支持柱が前記屋根骨組の径方向に起倒可能となるように該支持柱の下端部を前記躯体に回動可能に取り付ける支持柱取付工程と、
前記頂部構造物を前記躯体の内側の地上部近傍に配置したうえで、前記梁状構造物の先端部を前記頂部構造物の外周部に回動可能に連結するとともに、前記梁状構造物の基端部を前記支持柱の上端部に回動可能に連結する梁状構造物連結工程と、
前記頂部構造物と前記梁状構造物とを、前記支持柱が内側に倒れた状態で、牽引ケーブルで連結するケーブル連結工程と、
前記牽引ケーブルを牽引して、前記梁状構造物と前記頂部構造物との距離を縮めることによって、前記支持柱を起立させるようにして、前記頂部構造物を上昇させるとともに、前記支持柱の上端部を支点として、前記梁状構造物をその先端部が上昇するように回動させる屋根骨組上昇工程とを含むことを特徴とするドーム屋根骨組施工方法。
【請求項2】
前記梁状構造物は、前記屋根骨組の周方向において、所定間隔を隔てて配置されており、
前記屋根骨組上昇工程後に、周方向に隣り合う前記梁状構造物どうしを連結することを特徴とする請求項1に記載のドーム屋根骨組施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−261181(P2008−261181A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106168(P2007−106168)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(593193044)