説明

ナットウキナーゼ(酵素)を補った乾燥納豆加工食品

【課題】高温で揚げる過程でナットウキナーゼ(酵素)の活性が失活していた乾燥納豆にナットウキナーゼ粉末を調味液によって添着することで、ナットウキナーゼ酵素活性量(力価)を一定以上のレベルで上回る乾燥納豆を手軽に摂取でき、しかも生の納豆と比べ圧倒的に長い賞味期限を有する携帯用ポケットタイプの乾燥納豆加工食品を提供する。
【解決手段】減圧フライ工法で製造した乾燥納豆に、ナットウキナーゼ活性量(力価)が乾燥納豆10g当り2000FU以上になるようにナットウキナーゼの富化を乾燥納豆の粒の形状を壊すことなく、味付け調味工程と同時に行う。出来上がった乾燥納豆加工食品5g〜15gの範囲で用途に応じた分量を計量し、透明の特殊フィルム包材による小袋に窒素を充填しながら個包装することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥納豆製造過程で失われてしまうナットウキナーゼ(酵素)の成分量を均一に補った乾燥納豆加工食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、糸引き納豆を代表とする生の納豆にはアミノ酸バランスに優れた蛋白質、脂質、イソフラボンなど大豆の栄養成分の他に納豆特有の成分が含まれている。特有の成分としては、納豆菌が大豆に作用して初めて作り出されるナットウキナーゼ(酵素)、ビタミンK2の中のメナキノン−7などがある。
【0003】
また、糸引き納豆を乾燥させた干し納豆やフリーズドライ製法のドライ納豆も納豆加工食品として知られている。さらに、この干し納豆の特異臭やフリーズドライ製法のドライ納豆の食感を改善するために減圧フライ工法で製造した乾燥納豆が発明されている(特許文献1参照)。
【0004】
減圧フライ工法の利点は味が良くなるだけではなく、死滅しないで残っている納豆菌数が多いことである。しかし、生の納豆に特有の酵素であるナットウキナーゼの活性が製造過程で加熱により失われてしまうという課題が残っていた。納豆菌が大豆に作用して初めて作られるナットウキナーゼは納豆の機能性栄養素の一つであり血栓溶解酵素として解明されている(非特許文献1参照)ものの、生の納豆の一食分にはナットウキナーゼの成分量が少ない上、その成分量にもばらつきが多かった。
【特許文献1】特開2004−135536号公報
【非特許文献1】須見洋行著「血栓を防ぎ骨を強くする納豆のネバネバ効果」ハート出版平成10年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これは次のような欠点があった。
(イ)減圧フライ工法で製造した乾燥納豆は、香ばしくさっくりとおいしく食べやすいが、100℃近い高温で揚げるために生の納豆に含まれるナットウキナーゼ(酵素)の活性が失活していた。
(ロ)減圧フライ工法で製造した乾燥納豆は、酸素に触れると油臭くなる傾向にあった。
(ハ)乾燥納豆は水分が少なくポリポリとおいしいため、往々にして一度に多く食べてしまうので飽きられる傾向にあり、毎日少量ずつ続くものではなかった。
(ニ)ナットウキナーゼ(酵素)がその効用を発揮する含有量(2000FU以上/10g)保証の乾燥納豆はなかった。
(ホ)ナットウキナーゼ(酵素)を5g〜15gの少量パックで摂取できる上、賞味期限が圧倒的に長く、しかもいつでもどこでも手軽に食するようにポケットなどのような小さなところに入れて携帯するものはなかった。
本発明は、以上のような欠点をなくすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
減圧フライ工法で製造した乾燥納豆10g当りナットウキナーゼ酵素活性量(力価)が2000FU以上含有するようにナットウキナーゼの富化を乾燥納豆の粒の形状を壊すことなく、味付け調味工程に於いて一定の温度管理の下で行う。この工程によって出来上がった乾燥納豆加工食品を5g〜15gの範囲で用途に応じ計量し、酸化を防ぐために特殊フィルム包材による小袋に窒素を充填しながら中身が見える透明のポケットタイプに個包装する。
【発明の効果】
【0007】
乾燥納豆の中でも減圧フライ工法で製造された乾燥納豆加工食品は、納豆菌数がフライ加工前と後でも同程度維持されており、納豆の含有する栄養成分を全て含むので、納豆の一成分のみを抽出したり、また原材料の一部として製造された健康食品・医薬品とは違い、酵素以外の栄養成分の観点から生の納豆を食べることと同様に考えることができるので安心感がある。
【0008】
さらに、納豆特有の異臭が無く、食した時に歯につくようなネチネチ感がなく、柔らかくさくさく感があり、ポリポリとした格段においしい旨味と非常に香ばしい風味を有するものにできあがった。減圧フライ後の工程でナットウキナーゼを富化したことにより納豆の効用が凝縮されたポケットタイプの納豆ができた。
【0009】
ナットウキナーゼ単一の効能のみを訴求するために特定の成分を抽出させカプセル状に加工したものとは違い、乾燥納豆の粒を壊すことなく加工したことで、蛋白質・ビタミンK2・イソフラボン・ポリアミンなどの生の納豆に含有する栄養成分がバランスよく全て含まれている。バランスよく含まれながらも水分が生の納豆に比べて大幅に少ないので、賞味期限が製造後約1年間と大幅に改善された上、いつでもどこでも、毎日気軽に摂ることができる。
【0010】
減圧フライ工法の乾燥納豆は、一般的におやつ感覚のおいしさから往々にして一度に多く食べてしまうので飽きられる傾向にあり、毎日少量ずつ続くものではなかったが、ポケットタイプに個包装され、毎日少量を摂り続けられるように目安量を明確にすることによって、本品を食べるときに一度に多く食べるものではないことを自覚させることにつながった。
【0011】
さらに個包装は酸化を防止しながら商品の流通過程での粒の割れを防ぐこともできる。個包装の1包あたりの重量はナットウキナーゼ(酵素)を理想的に毎日摂ることができるように工夫しているため、飽きずに毎日一定量のナットウキナーゼ(酵素)を補うことのできる効用のある乾燥納豆加工食品となった。1包10g当り2000FU以上のナットウキナーゼ(酵素)は血栓を溶かす効果としては十分な力価である。毎日この乾燥納豆加工食品をいつでもどこでも摂ることができれば、病気予防にもつながる。
【0012】
また、切れ目のついた個包装により、握力の弱い人でも開けてお箸・食器など必要とせず、手を汚さずに食べることができる。さらに、1日に必要な量が瞬時にわかり、必要な袋の数を必要な時に必要な分だけ携帯することができるので、海外旅行などへも持って行くことができる。
【0013】
また、納豆のイメージを全く変えてこれだけ食べやすくしおいしくするとともに、栄養機能性としても意味のあるポケットサイズにまとめることによって、納豆を全く知らない海外諸国にも今後広く普及させていける可能性が開けていことになる。そして、完全栄養食に近い食品なので非常食としての保管もできる。
【発明を実施するための最良の形態・実施例】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態について説明する。
減圧フライ工法で製造した乾燥納豆にナットウキナーゼ酵素活性量(力価)が本品10g当り少なくとも2000FU以上になるように、ナットウキナーゼ酵素の粉末を特殊な回転釜で乾燥納豆の粒の形状を壊すことなく調味液によって添着する。富化するナットウキナーゼ酵素は粉末が好ましく、液状であっても好ましい。原料の大豆は、含有栄養成分量の一定化の為、原産国・品種が一定であることが特に好ましく、原産国が同じであることが好ましい。添着は減圧フライ後、放熱をして40度前後になったときに行う。本品5g〜15gを用途に応じて計量し、窒素を充填しながら個包装していく。その際使用する袋はビニール製やアルミ製を使用するが、窒素充填のためのOP・CPのラミネートフィルムなど特殊フィルム製の袋がより好ましい。その個包装には最低1箇所以の切れ目が入っていて握力の弱い人でもすぐに開封できるようにする。
【0015】
尚、上記ナットウキナーゼの含有量については、2007年3月28日付け株式会社日本生物科学研究所発行試験成績書No.OT07147の分析試験結果により証明されている。表1で分析結果を示す。すなわち、分析試験方法ナットウキナーゼ活性測定法により本品1gに含まれるナットウキナーゼ活性量(力価)が264FUであった。したがって、10g当りに換算すると2640FUとなり、確かに2000FU以上であることの証明ができた。
【0016】
【表1】

【0017】
乾燥納豆の中でも減圧フライ工法で製造された乾燥納豆加工食品は、納豆菌数がフライ加工前と後でも同程度維持されており、納豆の含有する栄養成分を全て含むので、納豆の一成分を抽出したり原材料の一部として製造された健康食品や医薬品とは違い、生の納豆を食べることと同様に考えることができるので、食品としての素材感がある。表2は本品についての2007年8月13日付け財団法人食品分析開発センター発行検査成績書No.070726005−001−01検体検査成績である。すなわち、本品100g当たりエネルギー465kcal、水分2.7g、たんぱく質38.1g、脂質25.5g、糖質12.1g、食物繊維17.2g、灰分4.4gという結果であった。表3は生の納豆のうち、糸引き納豆について科学技術庁資源調査会・編<五訂日本食品標準成分表>による五訂食品成分表のうち表2中にある8項目の栄養分析表である。表4は栄養成分ごとに表2と表3を用いながら含有比率を比較したものである。比較した結果、本品乾燥納豆加工食品は、水分は22分の1に減るものの他の栄養成分については2倍以上に増加することが証明された。したがって、水分活性が抑えられることと窒素充填によって賞味期限が1年間保証できる製品となった。主食のご飯と一緒に毎日納豆を食事の副食としての食べることは満腹感のために続けることは難しいが、生の納豆1人前30g同等の栄養成分を本品10g入りの場合は1個を目安に手軽に食べることによって毎日少量を摂り続けることが可能となった。
【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【0020】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 本発明に係る乾燥納豆加工食品の概観図である。
【符号の説明】
【0022】
1 包材
2 乾燥納豆加工食品
3 窒素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒の形状のままの乾燥納豆にナットウキナーゼ富化をしたことを特徴とする乾燥納豆加工食品。
【請求項2】
上記ナットウキナーゼの成分量がナットウキナーゼ協会の測定値で乾燥納豆10g当りナットウキナーゼ活性量(力価)2000FU以上含まれることを特徴とする特許請求項1に記載の乾燥納豆加工食品。
【請求項3】
ポケットサイズ(5g〜15g)に個包装されていることを特徴とする特許請求項1または特許請求項2に記載の乾燥納豆加工食品。

【図1】
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【公開番号】特開2009−89701(P2009−89701A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284354(P2007−284354)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(303001612)株式会社リブレライフ (2)
【Fターム(参考)】