説明

ナノセンサプラットフォームを使用および構築する方法

感知要素として異なるナノ材料を利用する、多様なセンサ構造が設計および製造されてきた。感知デバイスのうちの一部は、非常に特異的で、極めて敏感であり、かつ短い応答時間を有する。しかしながら、これらのデバイスのうちの多くは、表面結合現象を読み取り可能な信号に翻訳するために、光学的構成要素との統合化を必要とする。検出光学要素に対する必要性は、このようなデバイスの運用費用を大幅に増加させることが予想される。したがって、当技術分野では、代替の感知デバイスに対する必要性が存在する。本発明は、ナノワイヤ、ナノチューブ、およびナノセンサプラットフォームの使用に関する。一実施形態では、本発明は、ナノセンサプラットフォームを構築する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、疾病の検出のために、ナノセンサプラットフォーム上で複数のバイオマーカー信号を分析する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物工学の分野に関し、具体的には、ナノセンサプラットフォーム、ならびに疾患および状態の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
全ての刊行物および特許は、本明細書において各刊行物または特許が具体的かつ個別に組み込まれた場合と同程度に本明細書に組み込まれる。以下の説明は、本発明を理解する際に有用となり得る情報を含む。これは、本明細書に提供される情報のうちのいずれかが、先行技術であること、または現在特許請求されている発明と関連すること、あるいは、具体的または黙示的に参照されるいずれかの刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0003】
この10年で、感知要素(カンチレバー、量子ドット、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノベルト、ナノ間隙、およびナノスケール膜)として異なるナノ材料を利用する、多様なセンサ構造が設計および製造されてきた。カンチレバーおよび量子ドットに基づくもの等の、これらの感知デバイスのうちの一部は、非常に特異的で、極めて敏感であり、かつ短い応答時間を有する。しかしながら、これらのデバイスのうちの多くは、表面結合現象を読み取り可能な信号に翻訳するために、光学的構成要素との統合化を必要とする。検出光学要素に対する必要性は、このようなデバイスの運用費用を大幅に増加させることが予想される。したがって、当技術分野では、代替の感知デバイスに対する必要性が存在する。
【0004】
当技術分野で知られているように、患者における疾病の発症、細菌またはウイルス汚染、アレルギー反応等は、関連するバイオマーカーの存在ももたらし得る。その結果、これらの疾病および/または状態は、バイオマーカーの存在を追跡することによって、監視することができる。例えば、現在、複数の既知の癌のバイオマーカーが存在する。ここ2、3年の間に、癌について分子基礎がますます解明され、発癌の多重ステップ機構に関与する、共通の、ならびに相異なる遺伝的変化が理解され始めており、それによって、追加的な癌のマーカーを提供している。
【0005】
しかしながら、それらの診断および予後の有用性のために開発および検証されてきた分子検出技術の場合、効率は、日常的な研究室の臨床検査に対する感度、特異性、操作の容易さ、費用、速さ、および有効性の間の二律背反の結果である。これらは、長い時間をかけて有効性が証明された手動による技術、ならびに微細製造アレイおよび表面プラズモン共鳴システム等の、多数の自動化技術を含む。したがって、当技術分野では、効率的で、有効でもある、追加的な分子検出技術の必要性が存在する。
【0006】
同様に、当該分野では多重マーカーアッセイに対する必要性が存在する。血清は、タンパク質および核酸バイオマーカーの供給源であり、元来、臓器限局的な事象を反映することができる。単一のバイオマーカーの使用は、検出に対して限定された感度および特異性だけしか提供しない。例えば、前立腺癌スクリーニングのための前立腺特異的抗原(PSA)は、例えば、癌のスクリーニングに使用されてきた単一の癌マーカーの数少ない実施例のうちの1つであるが、その特異性が不十分であることから、問題を含むことが示されている。対照的に、多重マーカーアプローチの使用は、特異性および感度をスクリーニングに加えることが示されている。癌等の多くの疾病および状態は、多数の分子的変性によって特徴付けられ、また、多重マーカーアッセイを、疾病および/または状態の功を奏する早期発見にとって重要なものにする。マトリクス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析法、表面増強レーザ脱離イオン化、キャピラリ電気泳動、2D−GE、表面プラズモン共鳴等のような、定量的方法およびバイオマーカーの開発における最近の進歩により、ある状態に関する多重マーカーが多数発見されている。現在は、例えば血清試験を用いた、癌のスクリーニングの目標を達成するように、分子パターンマップを作り出すことが可能になった。したがって、感度が高く、特異的な高スループットの様態でマーカーを検出するために、安価なアッセイプラットフォームを利用できることが、非常に望ましい。
【0007】
例えば、4つの検体(レプチン、プロラクチン、オステオポンチン、およびインスリン様成長因子−II)の同時定量化が、無病の患者と、第I期および第II期と診断された患者を含む上皮性卵巣癌の患者とを、高い(95%)効率で識別できることが示されている。単一タンパク質は、癌群と、健常対照群とを完全に区別しない場合があるが、4つの検体の組み合わせは、高感度の陽性的中率、特異性、および陰性的中率を呈した。この実施例は、多重バイオマーカー検出および定量化の有用性および有意性を実証する。個々の決定要素としての単一のマーカーが、スクリーニングについて限定された値を有する、またはいかなる値も有さない、例えば卵巣癌のような低罹患率の癌に対するスクリーニングと関連する問題点を解決する潜在性が存在する。また、ELISA等の現在の技術と関連する、高い費用および複数の面倒な介入ステップといった問題点を未然に回避することができる、多重マーカー検出のための単一プラットフォーム技術を開発する必要性も存在する。加えて、特異的な場合であっても法外な費用がかかる、単一の低罹患率の癌に対する試験等の、複数の異なる状態および疾病に対するスクリーンを開発する必要性が存在する。したがって、複数の癌に対するマーカーの検出のためのチップを伴う等の、単一で、費用のかからない試験が有利となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
種々の実施形態は、電気信号伝達のために構成されるナノ材料と、ナノ材料の表面に分配される1つ以上の捕捉剤とを含むナノセンサを提供し、該ナノセンサは、1つ以上の捕捉剤の一つへの標的分子の結合が電気信号伝達の変化を引き起こすように構成される。別の実施形態では、電気信号伝達の変化は、コンダクタンス、電流、相互コンダクタンス、静電容量、閾値電圧、またはそれらの組み合わせの変化である。別の実施形態では、捕捉剤は、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを含む。別の実施形態では、捕捉剤は、アプタマー、受容体、リガンド、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、ナノ材料は、カーボンナノチューブを含む。別の実施形態では、ナノ材料は、カーボンナノチューブのパターン化した成長によって製造される。ナノ材料は、Inナノワイヤも含み得る。別の実施形態では、相互コンダクタンスの変化は、液体ゲート測定によって較正される。別の実施形態では、標的分子は、検体を含む。別の実施形態では、標的分子は、生体分子を含む。別の実施形態では、生体分子の有無は、疾病と関連する分子特性を示す。
【0009】
他の実施形態は、基板によるナノ材料の直交機能化を含む、相補的検出システムを含む。別の実施形態では、ナノ材料は、カーボンナノチューブおよび/またはInナノワイヤを含む。別の実施形態では、基板は、Si/SiOを含む。
【0010】
他の実施形態は、疾病と関連する分子特性の存在を検出するように、バイオセンサを調製する方法であって、1対以上の相互に組み合ったソースおよびドレイン電極を備えるバイオセンサを提供するステップと、1対以上の相互に組み合ったソースおよびドレイン電極の上に複数のナノワイヤを製造するステップとを含む、方法を含む。他の実施形態では、ナノワイヤは、Inを含む。他の実施形態では、Inは、基板上で成長された。他の実施形態では、1つ以上の相互に組み合ったソースおよびドレイン電極は、それぞれ、1ミクロン〜100ミクロンのチャネル長、および100ミクロン〜1000ミクロンのチャネル幅を有する。他の実施形態では、相互に組み合ったソースおよびドレイン電極は、それぞれ、約2.5ミクロンのチャネル長、および約500、約780、および/または約2600ミクロンのチャネル幅を有する。
【0011】
他の実施形態は、バイオセンサアレイを調製する方法であって、絶縁基板上に、多量の多結晶シリコンおよび/または多量の非結晶シリコンを配置するステップと、バイオセンサアレイの構成要素として、多量の多結晶シリコンおよび/または多量の非結晶シリコンを組み込むステップとを含む、方法を含む。
【0012】
他の実施形態は、1つ以上のナノワイヤにパターン化された薄膜半導体を備える、バイオセンサアレイを含み得る。
【0013】
他の実施形態は、ナノセンサプラットフォームであって、複数の相互に組み合った電極およびナノワイヤを伴って構成される、電界効果トランジスタと、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータとを備え、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータは、電界効果トランジスタの構成要素である、ナノセンサプラットフォームを含む。別の実施形態では、ナノワイヤは、Inを含む。
【0014】
種々の実施形態は、ナノチューブバイオセンサを製造する方法であって、触媒を調製するステップと、調製した触媒を利用することによって、整列したナノチューブを成長させるステップと、整列したナノチューブによって分離される、金属電極を画定するステップとを含む、方法を含む。別の実施形態では、整列したナノチューブを成長させるステップは、原料としてメタン、エチレン、水素、および/またはCOを伴う、ナノチューブの化学蒸着成長を含む。別の実施形態では、整列したナノチューブを成長させるステップは、基板としてサファイアおよび/または石英を使用するステップを含む。
【0015】
他の実施形態は、エラストマーポリジメチルシロキサンを、シリコン/シリカ表面に付着させる方法であって、シリコン/シリカ表面をリンカー分子で処理するステップと、エラストマーポリメチルシロキサンを、シリコン/シリカ表面に付着させるステップとを含む、方法を含む。別の実施形態では、リンカー分子は、ケイ酸および/またはアルキルシランを含む。別の実施形態では、リンカー分子は、シリコン化合物を含む。
【0016】
種々の実施形態は、ナノセンサプラットフォームの応答を較正する方法であって、ナノセンサプラットフォームの1つ以上の電子特性を抽出するステップと、ナノセンサプラットフォームから抽出された1つ以上の電子特性から、応答を較正するステップとを含む、方法を含む。別の実施形態では、1つ以上の電子特性のうちの1つは、相互コンダクタンスを含む。別の実施形態では、相互コンダクタンスは、dIds/dVgで割ることによって定義される。別の実施形態では、相互コンダクタンスは、dlogIds/dVgで割ることによって定義される。
【0017】
種々の実施形態は、疾病を検出および/または監視するための装置であって、ナノ材料と、ナノ材料に結合される複数の捕捉分子とを含み、その複数の捕捉分子は、疾病の分子特性と関連する1つ以上の生体分子を認識するために構成される、装置を含む。別の実施形態では、捕捉分子は、ポリペプチドを含む。別の実施形態では、捕捉分子は、ポリヌクレオチドを含む。別の実施形態では、捕捉分子は、アプタマーを含む。別の実施形態では、捕捉分子は、ポリヌクレオチド複合体を含む。
【0018】
他の実施形態は、試料が採取される個体における疾病の存在を判定する方法であって、試料からバックグラウンドノイズを除去するステップと、疾病の多重マーカー特性の有無を検出するように構成される、ナノセンサデバイスを提供するステップと、疾病の多重マーカー特性の有無を検出するように、ナノセンサデバイスを試料と接触させるステップとを含み、多重マーカー特性の存在は、疾病を示す、方法を含む。他の実施形態は、非標的実体の結合を防止する1つ以上の分子によるナノセンサデバイスの機能化によって、バックグラウンドノイズを除去するステップを含む。他の実施形態は、ナノセンサデバイスの結合信号を増幅することによって、バックグラウンドノイズを除去するステップを含む。他の実施形態は、サンドイッチアッセイを用いて、ナノセンサデバイスの結合信号を増幅するステップを含む。他の実施形態は、主要な干渉成分を除去するように、試料を前処理することによって、バックグラウンドノイズを除去するステップを含む。
【0019】
他の実施形態は、疾病を治療する方法であって、疾病の分子特性の有無を検出するように構成される、ナノセンサデバイスを提供するステップと、疾病の分子特性の有無を判定するように、ナノセンサデバイスを試料と接触させるステップと、疾病を治療するステップとを含む、方法を含む。
【0020】
種々の実施形態は、ナノセンサの感度を向上させる方法であって、ナノセンサを提供するステップと、ナノセンサの感受性を向上させるように、液体ゲート電圧および/またはバックゲート電圧によって、バイオセンシング測定を実施するステップとを含む、方法も含む。
【0021】
他の実施形態は、バイオセンサアレイを調製する方法であって、多数の半導体膜を基板上に配置するステップと、バイオセンサアレイの構成要素として多数の半導体膜を組み込むステップとを含む、方法を含む。他の実施形態では、半導体膜は、単結晶シリコンを含む。別の実施形態では、半導体膜は、多結晶および/または非結晶シリコンを含む。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の種々の実施形態を一例として示す添付図面と関連させて取り込めば、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
例示的実施形態は、参照図面中に示される。本明細書に記載されている実施形態および図面は、限定するものではなく例示的なものとみなされるべきである。
【図1】本明細書で説明される一実施形態による、(a)完全な3インチウエハ上のデバイスの光学顕微鏡写真、(b)相互に組み合ったソースおよびドレイン電極を伴うチャネル領域の光学顕微鏡写真、(c)ソース電極とドレインとの間のInNWのSEM画像、(d)異なるゲート電圧(V)の下で、一群のソース−ドレイン電流(Ids)対ソース−ドレイン電圧(Vds)をプロットし、Vのステップを1Vとしたもの、および(e)線形グラフ(左)および対数グラフ(右)でプロットしたIds対V、を示す図である。
【図2a】本明細書で説明される一実施形態による、(a)高密度および(b)低密度のSi/SiO基板上に分散させたInナノワイヤのSEM画像、および(c)高密度ナノワイヤおよび(d)低密度ナノワイヤを伴うデバイス収率の統計分析を示す図である。
【図2b】本明細書で説明される一実施形態による、(a)高密度および(b)低密度のSi/SiO基板上に分散させたInナノワイヤのSEM画像、および(c)高密度ナノワイヤおよび(d)低密度ナノワイヤを伴うデバイス収率の統計分析を示す図である。
【図2c】本明細書で説明される一実施形態による、(a)高密度および(b)低密度のSi/SiO基板上に分散させたInナノワイヤのSEM画像、および(c)高密度ナノワイヤおよび(d)低密度ナノワイヤを伴うデバイス収率の統計分析を示す図である。
【図2d】本明細書で説明される一実施形態による、(a)高密度および(b)低密度のSi/SiO基板上に分散させたInナノワイヤのSEM画像、および(c)高密度ナノワイヤおよび(d)低密度ナノワイヤを伴うデバイス収率の統計分析を示す図である。
【図3】本明細書で説明される一実施形態による、50nmのSiOを冠着したSi基板上のInナノワイヤデバイスの閾値電圧のヒストグラムである。
【図4a】本明細書で説明される一実施形態による、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータを使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造を行うプロセスを示す図である。(a)誘電体101およびシリコン102等の適切な基板上に堆積させた多結晶シリコンまたは非結晶シリコン100を示す。(b)フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチング(RIE)を使用して画定される活性層メサを示す。(c)縮退した引込線およびドープ領域103を作成するために行われるイオン注入を示す。(d)ドープ領域103を活性化するために行われる焼鈍を示す。(e)所望の幅のナノワイヤを画定するために、電子ビーム描写およびRIEが使用されることを示す。(f)フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して作成される金属接点104を示す。
【図4b】本明細書で説明される一実施形態による、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータを使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造を行うプロセスを示す図である。(a)誘電体101およびシリコン102等の適切な基板上に堆積させた多結晶シリコンまたは非結晶シリコン100を示す。(b)フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチング(RIE)を使用して画定される活性層メサを示す。(c)縮退した引込線およびドープ領域103を作成するために行われるイオン注入を示す。(d)ドープ領域103を活性化するために行われる焼鈍を示す。(e)所望の幅のナノワイヤを画定するために、電子ビーム描写およびRIEが使用されることを示す。(f)フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して作成される金属接点104を示す。
【図4c】本明細書で説明される一実施形態による、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータを使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造を行うプロセスを示す図である。(a)誘電体101およびシリコン102等の適切な基板上に堆積させた多結晶シリコンまたは非結晶シリコン100を示す。(b)フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチング(RIE)を使用して画定される活性層メサを示す。(c)縮退した引込線およびドープ領域103を作成するために行われるイオン注入を示す。(d)ドープ領域103を活性化するために行われる焼鈍を示す。(e)所望の幅のナノワイヤを画定するために、電子ビーム描写およびRIEが使用されることを示す。(f)フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して作成される金属接点104を示す。
【図4d】本明細書で説明される一実施形態による、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータを使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造を行うプロセスを示す図である。(a)誘電体101およびシリコン102等の適切な基板上に堆積させた多結晶シリコンまたは非結晶シリコン100を示す。(b)フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチング(RIE)を使用して画定される活性層メサを示す。(c)縮退した引込線およびドープ領域103を作成するために行われるイオン注入を示す。(d)ドープ領域103を活性化するために行われる焼鈍を示す。(e)所望の幅のナノワイヤを画定するために、電子ビーム描写およびRIEが使用されることを示す。(f)フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して作成される金属接点104を示す。
【図4e】本明細書で説明される一実施形態による、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータを使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造を行うプロセスを示す図である。(a)誘電体101およびシリコン102等の適切な基板上に堆積させた多結晶シリコンまたは非結晶シリコン100を示す。(b)フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチング(RIE)を使用して画定される活性層メサを示す。(c)縮退した引込線およびドープ領域103を作成するために行われるイオン注入を示す。(d)ドープ領域103を活性化するために行われる焼鈍を示す。(e)所望の幅のナノワイヤを画定するために、電子ビーム描写およびRIEが使用されることを示す。(f)フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して作成される金属接点104を示す。
【図4f】本明細書で説明される一実施形態による、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータを使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造を行うプロセスを示す図である。(a)誘電体101およびシリコン102等の適切な基板上に堆積させた多結晶シリコンまたは非結晶シリコン100を示す。(b)フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチング(RIE)を使用して画定される活性層メサを示す。(c)縮退した引込線およびドープ領域103を作成するために行われるイオン注入を示す。(d)ドープ領域103を活性化するために行われる焼鈍を示す。(e)所望の幅のナノワイヤを画定するために、電子ビーム描写およびRIEが使用されることを示す。(f)フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して作成される金属接点104を示す。
【図5】本明細書で説明される一実施形態による、整列したカーボンナノチューブを使用した、バイオセンサアレイの製造の概略図である。(a)触媒105の調製を示す。(b)整列したカーボンナノチューブ106の成長を示し、(c)は、金属電極107の画定を示す。
【図6】本明細書で説明される一実施形態による、整列したカーボンナノチューブを使用したバイオセンサアレイの画像である。(a)接合パッドへの相互結合を伴うバイオセンサアレイの概略図である。(b)バイオセンサチップの光学顕微鏡写真である。(c)は、(b)でハイライトされている領域のSEM画像である。(d)デバイスの活性チャネル領域のSEM画像である。(e)ソース電極とドレイン電極との間の整列したナノチューブのSEM画像である。
【図7】本明細書で説明される一実施形態による、(a)整列したナノチューブデバイスの抵抗のヒストグラム、および(b)抗IgG抗体で修飾した、整列したナノチューブバイオセンサを使用したIgG検出を示す図であり、挿入画は、デバイス構造の概略図である。
【図8】本明細書で説明される一実施形態による、高オン/オフ比のデバイスを産生する、典型的な密度のCNTを示す図である。
【図9】本明細書で説明される一実施形態による、異なるゲート電圧(Vg)の下で、ソース−ドレイン電流(Ids)対ソース−ドレイン電圧(Vds)をプロットした、典型的な電気的特性を示す図である。I−VgfおよびI−Vdsfである。明確に分離された曲線は、デバイスの改良された感度に至った、ゲート電圧に対するデバイスの良好な感度を示す。(a)Vd(V)を示す。(b)Vg(V)を示す。
【図10】本明細書で説明される一実施形態による、半導電性ナノチューブネットワークを使用したデバイスを伴うSAの感知を示す図である。デバイスは、100pMのSAの溶液に露出した際に、1%以下のコンダクタンスの低下を示し、高濃度のSAの溶液のさらなる添加は、(a)に示されているように、大きいコンダクタンスの低下を与えた。一方で、(b)に示されるように、2nMのSAに露出した時に、混合ナノチューブを使用したデバイスは、ごくわずかな応答(≪1%)しか示さず、これは、混合ナノチューブネットワークデバイスの最低検出限界が、半導電性ナノチューブネットワークデバイスと比較して、少なくとも20倍低いことを示している。さらに、異なる濃度でのSAに対する応答の大きさの比較(c)は、強化した感度の半導電性ナノチューブネットワークデバイスが、混合ナノチューブネットワークデバイスに勝ることを明らかにし、バイオセンサとしての半導電性ナノチューブネットワークの使用の利点を確証している。
【図11】本明細書で説明される一実施形態による、二機能性分子の一般構造を示す図である。(a)は、本明細書で説明される、二機能性分子の一例を示す。同様に、(b)は、本明細書に説明される、二機能性分子の一例を示す。例えば、分子は、SiClであってもよく、または、例えば、分子は、RがアルキルまたはHである、Si(OR)であってもよい。
【図12】本明細書で説明される一実施形態による、(a)センサ応答を較正するために使用されるパラメータを抽出するために、液体ゲート測定を採用した、測定準備の概略図、および(b)典型的なIds−Vg曲線を示す。
【図13】本明細書で説明される一実施形態による、ビオチンで機能化したInナノワイヤによって捕捉した、10nmのAuナノ粒子でタグ付けしたストレプトアビジン分子を示すSEM画像の挿入画を伴う、ストレプトアビジンの溶液へのデバイスの露出前/後の典型的なIds−Vg曲線である。
【図14】本明細書で説明される一実施形態による、絶対応答および相対応答をそれぞれdIds/dVgおよびdlogIds/dVgで割ることによって、それらの功を奏する正規化を示す図である。(a)較正前の応答の平均とともに、デバイスの識別番号に対してプロットした絶対応答を示す。(a)と比較して、(b)に示されるように、正規化デバイス応答(絶対応答/dIds/dVg)は、較正を実施した後に、平均からのより小さい逸脱を示した。より小さい逸脱は、変動係数(CV)を用いることによって検証されたが、これは、平均で割った1つの標準偏差である。(c)それぞれ、ストレプトアビジンおよびアビジンに対する較正前/後の、絶対および相対応答に対するCVを示す。あらゆる応答について、較正後の減少したCVが示されている。
【図15】本明細書で説明される一実施形態による、(a)Vg=0.4Vである時の、ストレプトアビジン(SA)の感知を示す図である。デバイスを、10、100、および1,000nMのSAに露出した時に、デバイスは、それぞれ、1、2、および10%増加した正規化コンダクタンスを示した。一方で、(b)Vg=0.1Vである場合、デバイスは、それぞれ、4、24、および47%増加した正規化コンダクタンスを示し、増加した応答を示した。
【図16】(先行技術)いくつかの挿入分子の構造を示す図であり、(a)は、YOYO1を示し、(b)は、TOTO1を示し、(c)は、POPO1を示す。
【図17】本明細書で説明される一実施形態による、二本鎖DNAを標的化するための、ペプチド核酸の結合様式の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に引用されている全ての参考文献は、あたかも完全に記載しているかのごとく、参考として援用される。特に定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.,J.Wiley&Sons(New York,NY 2001)、March,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 5th ed.,J.Wiley&Sons(New York,NY 2001)、およびSambrook and Russel,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY 2001)は、本出願に使用される用語のうちの多くに対する一般的な指針を当業者に提供する。
【0025】
当業者は、本発明の実施に使用され得る、本明細書で説明されている方法および材料に類似または相当する、多数の方法および材料を認識するであろう。実際に、本発明は、説明されている方法および材料に一切限定されない。本発明の目的のために、以下の用語を下記に定義する。
【0026】
本明細書で使用する場合、「FET」は、電界効果トランジスタを意味する。
【0027】
本明細書で使用する場合、「NT」は、ナノチューブを意味する。
【0028】
本明細書で使用する場合、「NW」は、ナノワイヤを意味する。
【0029】
本明細書で使用する場合、「SOI」は、シリコンオンインシュレータを意味する。
【0030】
本明細書で使用する場合、「RIE」は、反応性イオンエッチングを意味する。
【0031】
本明細書で使用する場合、「CVD」は、化学蒸着を意味する。
【0032】
本明細書で使用する場合、「DI」は、脱イオン化を意味する。
【0033】
本明細書で使用する場合、「CNT」は、カーボンナノチューブを意味する。
【0034】
本明細書で使用する場合、「PMMA」は、ポリ(メチルメタクリレート)を意味する。
【0035】
本明細書で使用する場合、「PDMS」は、エラストマーポリジメチルシロキサンを意味する。
【0036】
本明細書で使用する場合、「CV」は、変動係数を意味する。
【0037】
本明細書で使用する場合、「SA」は、ストレプトアビジンを意味する。
【0038】
本明細書で使用する場合、「PNA」は、ペプチド核酸を意味する。
【0039】
本明細書で使用する場合、「アプタマー」とは、特異性を伴って標的分子に結合し得る分子である。
【0040】
本明細書で使用する場合、ナノワイヤ技術の「トップダウン」製造は、バルク材料から始まり、これらの材料を所望の幾何学形状および順序に切断、パターン化、エッチング、および成形するために、種々の技術を用いて、材料の寸法を減少させる。対照的に、「ボトムアップ」アプローチは、バルク半導体から始めるのではなく、分子前駆体からナノワイヤを調製するステップを伴う。
【0041】
本明細書で使用する場合、「バックグラウンドノイズ」とは、検体または対象の分子の有無を判定するためにアッセイを実施する時に受信される、擬似またはじゃまをする信号を指す。例えば、バックグラウンドノイズは、検体が低実効電荷を持つ時に生じ得る。または、例えば、検体が、血液、血清、または尿等の複合混合物中に痕跡レベルで存在する時に生じ得る。
【0042】
本明細書で使用する場合、「挿入する」とは、ポリヌクレオチド配列等の既存の構造内に挿入する能力を指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「処理(治療)」および「処理(治療)する」とは、治療的処理および予防的または防止的な対策の両方を指し、その目的は、処理(治療)が最終的に不成功であっても、有益な結果を達成することである。
【0044】
I.ナノセンサプラットフォーム
本明細書に開示されるように、発明者らは、ナノスケールFETに基づくナノバイオセンサを作製した。発明者らは、ソース電極とドレイン電極との間に所望のナノ材料を伴うFETを調製し、次いで、特異的生体分子または検体を結合するように設計される分子被覆によってナノ材料を被覆した。ナノバイオセンサへの標的生体分子および/または検体の結合は、ナノワイヤおよび/またはナノチューブを囲む環境の著しい変化をもたらし、デバイスの相互コンダクタンスの変化が検出される。デバイスに対する高い感度は、少量の生体分子または検体の結合が、ナノスケール半導体の電子特性の著しい変化をもたらす程度の、ナノワイヤおよびナノチューブのための高い表面対バルク比に起因する。
【0045】
本明細書にさらに開示されるように、発明者らは、2つの材料系、すなわちカーボンナノチューブおよびInナノワイヤに基づく、相補的検出を利用した。発明者らは、ナノ材料の発明者らの選択の基礎を、能動感知ナノ材料および支持基板の差別的機能化を達成する必要性に置いた。Si/SiO基板は、大部分のバイオセンシング応用に対する選択の基板であるので、シリコンナノワイヤを使用すると、異なる官能基によるSiナノワイヤおよびSi/SiO基板の選択的機能化を妨げ、しばしば高価で量が少ない検体および抗原を、ナノワイヤおよび基板の両方に結合するという望ましくない結果となる。対照的に、カーボンナノチューブ、Inナノワイヤ、およびSi/SiO基板の直交機能化は、容易に達成することができる。その結果、所望のプローブ分子を伴うカーボンナノチューブまたはInナノワイヤの選択的機能化を容易に得ることができ、一方で、基板は、非特異的結合を抑制するように、他の分子によって不活性化することができる。本発明の一側面は、癌の検出と関連しない血清試料中の高濃度タンパク質に結合することができる抗体およびアプタマーを伴うマイクロ流体チャネルの上流での、基板および周囲のチャネルの不活性化を含み、したがって、ナノセンサに到達する前の血清試料の濾過を有効に提供する。
【0046】
一実施形態では、本発明は、ナノ材料がソース電極とドレイン電極との間に配置される、ナノバイオセンサを提供する。別の実施形態では、ナノバイオセンサは、ナノスケールFETに基づく。別の実施形態では、ナノ材料は、ナノワイヤおよび/またはナノチューブである。別の実施形態では、ナノ材料は、カーボンナノチューブおよび/またはInである。別の実施形態では、ナノ材料は、分子被覆で被覆される。別の実施形態では、分子被覆は、特異的生体分子および/または検体を結合するように設計される。別の実施形態では、標的生体分子および/または検体の結合が、ナノ材料を囲む環境の変化を引き起こす。別の実施形態では、標的生体分子および/または検体の結合が、相互コンダクタンスの変化を引き起こす。別の実施形態では、標的生体分子および/または検体の結合が、ナノスケール半導体の電子特性の著しい転換を引き起こす。別の実施形態では、ナノバイオセンサは、相補的検出システムを利用する。別の実施形態では、相補的検出システムは、カーボンナノチューブ、Inナノワイヤ、および/またはSi/SiO基板の直交機能化を受ける。別の実施形態では、ナノセンサは、相互に組み合った電極を使用する。別の実施形態では、ナノセンサに到達する前の血清試料の濾過がある。
【0047】
当業者に直ちに明らかになるように、特異的生体分子または検体を結合するように設計される、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、PNA、アプタマー、受容体、リガンド、または任意の数のそれらの組み合わせ等の、任意の数の分子被覆が、本明細書に説明されている種々の実施形態と連動して使用され得る。例えば、アプタマーは、サイズが小さく、したがって、標的分子の結合による電荷分布の変化を、ナノバイオセンサの表面のより近くで生じさせることができ、したがって、信号強度を増加させる、という利点を提供する。抗体と比較して、アプタマーは、より厳しい環境の変化を許容し得、結果的に、より長い貯蔵寿命をもたらし、かつ多種多様な機能化手順を許容し得る。
【0048】
ナノセンサプラットフォーム−ナノワイヤセンサの製造
本明細書に説明されるように、発明者らは、相互に組み合っていない電極によって製造されるデバイスと比較して、向上した一様性および収率を伴うナノワイヤ電界効果トランジスタバイオセンサの簡単で信頼性のある製造を達成するために、相互に組み合った電極を使用した。当業者に知られているように、多数の疾病の進行と関連するバイオマーカーの濃度の監視に必要な分析である、定量分析を実施するためには、高収率の許容可能な実施デバイスおよび一様なデバイス性能(デバイス間の変動がほとんど無い)の存在が必須である。ここで、発明者らは、ボトムアップアプローチを用いたナノバイオセンサの製造について、有効チャネル幅を増加させるために、相互に組み合った電極を採用した。一実施例を図1、2、および3に示す。これらの相互に組み合った電極は、ランダムに分散したナノワイヤがソースとドレインとの間をブリッジする可能性/数を増加させ、一方で、同じ設置面積を保った。結論的には、相互に組み合った電極を伴って製造されるデバイスは、相互に組み合っていない電極を伴うデバイスと比較して、より一様な性能を有し、デバイスの収率および一様性は、組み立て支援技術によって達成されるものに匹敵する。この方法は、簡単さ、拡張可能性、再現性、高スループット、および室温処理等の、既存の先行技術に勝る、数多くの利点を有する。
【0049】
一実施形態では、本発明は、相互に組み合った電極を伴うナノワイヤバイオセンサを提供する。別の実施形態では、相互に組み合った電極は、ナノワイヤがソースとドレインとの間をブリッジする可能性および/または数を増加させる。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、以下のステップまたはそれらの任意の組み合わせによって、ナノワイヤバイオセンサを製造する方法を提供する。(1)Inナノワイヤを、超音波処理によってイソプロパノール中に懸濁する。(2)溶液を、完全な3インチのSi/SiO基板上に分散させ、その後に、フォトリソグラフィによってTi/Auのソースおよびドレイン電極を画定する。別の実施形態では、Inナノワイヤを、レーザアブレーションプロセスを介して、Si/SiO基板上に前もって成長させる。別の実施形態では、相互に組み合った電極は、1ミクロン〜20ミクロンのチャネル長、好ましくは約2.5ミクロンのチャネル長を有する。別の実施形態では、相互に組み合った電極は、10ミクロン〜5000ミクロンの有効チャネル幅を有する。別の実施形態では、相互に組み合った電極は、約500ミクロン、780ミクロン、および/または2600ミクロンの有効チャネル幅を有する。
【0051】
本明細書にさらに開示されるように、発明者らは、多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータを使用する、シリコンナノワイヤのトップダウン製造を用いた。一実施例を図4に示す。SOIウエハの単結晶シリコンを、多結晶シリコンおよび非結晶シリコンに置き換えることによって、発明者らは、費用を大幅に低減することができ、一方で、高収率および小さいデバイス間の変動をもたらす、製造工場互換性の製造である、トップダウンの利点を保つ。さらに、アモルファスシリコンは、ガラスおよびPET等の非従来型の剛性/可撓性基板上に堆積させることができ、生産コストをさらに低減する。
【0052】
一実施形態では、本発明は、シリコンオンインシュレータウエハ内に多結晶シリコンおよび/または非結晶シリコンを伴う、ナノワイヤバイオセンサを提供する。別の実施形態では、アモルファスシリコンは、非従来型の基板上に堆積される。別の実施形態では、非従来型の基板は、ガラスおよび/またはPETである。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、3種類の試料、すなわち単結晶のシリコンオンインシュレータ、基板上に堆積される多結晶シリコン膜、および基板上に堆積される非結晶シリコン膜を使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造を提供する。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、以下のステップまたはそれらの任意の組み合わせによって、ナノワイヤバイオセンサを製造する方法を提供する。(1)多結晶シリコンおよび/または非結晶シリコンを、適切な基板上に堆積させる、または単結晶のシリコンオンインシュレータウエハを、出発基板として使用する。(2)フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチングを使用して、活性層メサを画定する。(3)縮退した引込線を作成するために、イオン注入を行う。(4)ドープ剤を活性化するために、焼鈍を実施する。(5)所望の幅を伴うナノワイヤを画定するために、電子ビーム描写および反応性イオンエッチングを使用する。(6)フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して、金属接点を作成する。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、パターン化およびエッチングを介して、基板上に堆積させた半導体膜をナノワイヤにパターン化することによって、ナノワイヤバイオセンサを製造する方法を提供する。別の実施形態では、半導体膜は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非結晶シリコン、またはGaAs、InP、および/またはGaN等の材料を含み得る。
【0056】
ナノセンサプラットフォーム−ナノチューブセンサの製造
本明細書に開示されるように、発明者らは、所望の場所での整列したカーボンナノチューブのパターン化した成長に基づく、加工可能で拡張性のあるバイオセンサアレイのための、新規かつ直接的なアプローチを開発した。一実施例を図5、6、および7に示す。このアプローチは、電子ビーム描写を伴わない従来の製造プロセスの使用による大量生産のための能力、複数のナノチューブの使用による一様で再現可能なデバイス性能、および特定の場所および任意のアレイサイズでのバイオセンサアレイの決定論的構成等の、複数の利点を有する。整列したナノチューブアレイの使用は、配向制御が、センサアレイ製造の再現性を容易にし、かつ高めるため、多くの重要な利点を提供する。さらに、当該構造は、耐障害性である。1つのチャネルの破壊が、他のチャネルを開いたままにし、ソースとドレインとの間に伝導経路を提供する。ナノセンサアレイの製造に対するこのアプローチは、多重化ナノバイオセンサアレイの製造のための基準として使用され得る。
【0057】
一実施形態では、本発明は、整列したナノチューブを半導体として利用する、バイオセンサアレイを提供する。別の実施形態では、ナノチューブは、単層カーボンである。別の実施形態では、ナノチューブは、生体分子の検出のために使用される。別の実施形態では、ナノチューブバイオセンサは、IgG抗原を検出するために使用され得る。ナノチューブバイオセンサは、4℃で約12時間、PBS緩衝液中の抗IgG抗体の溶液中に浸漬することによって、抗IgG抗体によって機能化され得る。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、以下のステップまたはそれらの任意の組み合わせによって、ナノチューブバイオセンサを製造する方法を提供する。(1)触媒の調製、(2)整列したカーボンナノチューブの成長、および(3)金属電極の画定。別の実施形態では、触媒の調製は、以下のうちの1つ以上を含む。石英基板を、触媒のための開口部を作製するように、フォトリソグラフ的にパターン化する。脱イオン(D.I.)水中のフェリチン(Sigma)の溶液を、基板上へ滴下して、10分間保持する。基板を、D.I.水ですすぎ、アセトン中でフォトレジスト層をリフトオフする。フェリチン粒子を伴う基板を、700℃で10分間仮焼して、触媒としての役割を果たす、酸化鉄ナノ粒子を形成する。別の実施形態では、整列したカーボンナノチューブの成長は、900℃で10分間の、2,500sccmのメタン、10sccmのエチレン、および600sccmの水素を伴う、CNTの化学蒸着(CVD)成長を含み、特定の位置での配向CNTの割り当てをもたらす。別の実施形態では、金属電極の画定は、10nmのTiおよび30nmのAuの金属電極を含み、フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して画定される。別の実施形態では、隣接するデバイス間の間隔は、約20μmである。
【0059】
本明細書にさらに開示されるように、発明者らは、感度を向上させるために、バイオセンサの活性チャネルとして、半導電性ナノチューブネットワークを使用した。実施例を、図8、9、および10として本明細書に示す。高オン/オフ比(ナノチューブネットワークの半導電性を示す)を伴うデバイスを、ナノチューブの密度を慎重に調整したカーボンナノチューブネットワークを使用して、成功裏に製造した。
【0060】
発明者らは、バイオセンサの活性チャネルとして、半導電性ナノチューブネットワークを採用し、また、混合ナノチューブ(金属および半導体性両方のナノチューブ)ネットワークを伴うデバイスと比較して、20倍を超えて感度(最低検出限界)を向上させた。このような半導電性ネットワークの調製は、半導電性ナノチューブに対する浸透極限を克服するように、また、金属ナノチューブに対する浸透極限を克服しないように、ナノチューブ密度を制御することによって行った。この方法は、デバイスへのいかなる前/後処理も必要とせず、かつ、ウエハ規模、またはより大きな規模の製造であっても容易に適用することができる。
【0061】
一実施形態では、本発明は、活性チャネルとして半導電性ナノチューブネットワークを利用する、バイオセンサアレイを提供する。別の実施形態では、半導電性ナノチューブネットワークは、向上した感度を提供する。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、触媒としてフェリチン分子から形成されるFeナノ粒子を伴う化学蒸着法を介して、最上部に500nmのSiOを伴う、変性的にドープしたSiウエハ上に、単層カーボンナノチューブを成長させることによって、ナノチューブバイオセンサを製造する方法を提供する。別の実施形態では、ナノチューブバイオセンサは、以下のステップのうちの1つ以上によって作製される。(1)脱イオン水(D.I.水)中のフェリチンの希釈溶液を、Si/SiOウエハに塗り、室温で1時間保持し、基板上へのフェリチン分子の堆積をもたらす。(2)基板を、D.I.水で洗浄し、その後に、700℃で10分間、空気中で仮焼し、Feナノ粒子を形成できるようにする。(3)仮焼の後、基板を、水素雰囲気中で900℃まで加熱した石英管内に配置し、温度が900℃に到達した時に、メタン(1300sccm)、エチレン(20sccm)、および水素(600sccm)を、10分間、石英管内に流し、基板上にCNTネットワークを産生する。(4)成長に続いて、フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術によって、ソース−ドレイン電極をパターン化する。(5)次いで、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)でチャネル領域を覆いながら、不要なCNTにエッチングを行うために、酸素プラズマを1分間実施する。別の実施形態では、金属電極は、10nmのCrおよび30nmのAuでできている。別の実施形態では、得られたデバイスのチャネル幅および長さは、それぞれ、5mmおよび100μmである。
【0063】
ナノセンサプラットフォーム−シリコン/シリカ酸化物表面へのPDMSチップの付着
本明細書に開示されるように、発明者らは、PDMSチップをシリコン/シリカ表面に付着させる、新規な技術を開発した。過去において、シリコン/シリカ表面へのPDMSの付着は、大部分が、シリコン/シリカ表面に存在するOH基と反応させることができる、酸素プラズマ活性化を介したPDMS表面への高反応性ラジカル種の発生を経て達成されていた。反応させるためには、シリコン/シリカ上のOH基を、PDMS表面のラジカルと垂直に整列させなければならない。成功する反応の数が多くなるほど、シリコン/シリカへのPDMSの接着が強くなる。したがって、大きい表面密度のSi/SiO上のOH基およびPDMS上のラジカルを有することが望ましくなり得る。ナノワイヤ/ナノチューブの成長プロセス終了時のSi/SiOチップは、その表面の大幅に低減した数のOH基で高度に脱水される。大きい表面密度のOH基を脱水Si/SiO表面に発生させる方法が、非常に有用なものとなる。図11に示されているように、発明者らは、二官能性分子でSi/SiO表面を処理し、別の官能基が活性化PDMSに対して反応する他の末端において(Xは、NH、メトキシ等となり得る)、Si/SiOに対する結合能を有する、シラン末端基(W、Y、またはZは、メトキシ、エトキシ、メチル等の基となり得る)を担持し、そして、これらの2つの末端をカーボン鎖(n=0、1、2、3等を伴う)によって分離することが、シリコン/酸化シリコンの表面をPDMSチップに共有結合させるのに有用であることを発見した。この目的にも有用である他のリンカー分子は、Si(OH)およびSi(OR)、ならびにアルキルシランを含み、本明細書で使用する場合、Rは、アルキルまたはHである。
【0064】
一実施形態では、本発明は、PDMSマイクロ流体チップをシリコンおよび/またはシリカ表面に付着させる方法を提供する。別の実施形態では、PDMSマイクロ流体チップは、以下のステップのうちの1つ以上によって付着される:(1)シラン誘導体リンカー分子を、使用前に新たに蒸留する。(2)メタノール中に2〜10%の範囲のシラン誘導体の濃度を有する溶液を調製する。(3)酸素プラズマ(60トールO2、1〜10分)を使用して、シリコン/シリカ表面を清潔にし、Si/SiO表面の何からの特徴の存在が、Oプラズマに対して敏感である場合は、PMMAの層でそれを保護することができる。(4)シリコン/シリカ表面を、シラン誘導体メタノール性溶液中に一晩浸す。(5)非結合シラン誘導体をメタノールで洗い流す。(6)PMMAを高温のアセトンまたはアニソールで洗い流す。(7)シリコン/シリカチップを、120℃で1〜2時間焼成すると、Si/SiOチップは、付着できる状態となる。(8)PDMSチップを酸素プラズマ(60トールのO2、1〜10分)で活性化する。(9)活性化PDMSチップおよび誘導体化Si/SiOチップを互いに接触させて、120℃で2時間焼成する。(10)シリコン/シリカへのPDMSの堅牢な付着が達成される。
【0065】
ナノセンサプラットフォーム−較正、調整および感度、ならびに再現性
従来技術で知られているように、センサ性能(特に定量分析に対するセンサの信頼性を決定する)の大きい変動は、ナノセンサを商業化するための過去の取り組みにおける課題であった。この問題に対する可能な解決策は、一様なデバイスを作成することであるが、ナノ材料合成の精密制御と関連する問題点が報告されてきた。
【0066】
本明細書に開示されるように、発明者らは、センサ応答を較正するデータ分析方法を開発した。実施例を、図12、13、および14として本明細書に示す。センサ応答の変動が減少し、かつ集中的な取り組みを必要としない単純な分析方法であるので、当該方法は、一様なデバイスの製造に対して相補的である。発明者らは、トランジスタ測定から抽出されるパラメータを使用して、Inナノワイヤバイオセンサの応答を較正し、変動係数の減少をもたらした。発明者らは、Inナノワイヤバイオセンサの応答を正規化するために用いることができる2つのパラメータを、トランジスタ測定から抽出できることを示した。2つの応答の定義を採用したが、1つは絶対応答であり、もう1つは相対応答である。
【0067】
一実施形態では、本発明は、センサ応答を較正する方法を提供する。別の実施形態では、センサ応答を較正する方法は、トランジスタ測定からパラメータを抽出するステップを含む。別の実施形態では、パラメータは、dIds/dVgおよび/またはdlogIds/dVgを含む。別の実施形態では、センサは、Inナノワイヤバイオセンサである。別の実施形態では、センサ応答を較正するために液体ゲート測定を用いる。別の実施形態では、較正は、ΔIおよび/またはΔGを含む。別の実施形態では、較正は、ΔI/Iおよび/またはΔG/Gを含む。
【0068】
本明細書にさらに開示されるように、発明者らは、液体ゲートを用いてInナノワイヤバイオセンサの感度を調整した。一実施例を、図15として本明細書に示す。センサの性能を評価するメトリックとしての感度の重要性にも関わらず、特にポストデバイス製造方法によって、感度を増加させる必要性が存在する。本明細書で説明される種々の実施形態によれば、異なるゲート電圧を液体ゲートに印加することによってバイオセンサの感度を調整するために、液体ゲートを使用することができる。同様に、当該方法は、電界効果トランジスタタイプのバイオセンサに適用することができる。
【0069】
一実施形態では、本発明は、液体ゲートを使用して、バイオセンサの感度を調整する方法を提供する。別の実施形態では、バイオセンサは、Inナノワイヤを含む。別の実施形態では、異なるゲート電圧を液体ゲートに印加することによってバイオセンサの感度を調整するために、液体ゲートを使用する。別の実施形態では、本発明は、バイオセンサの感度を調整するための装置を提供し、テフロン(登録商標)でできている化学電池を、デバイス上に装着し、かつPBSを充填し、そして、PtワイヤをPBS内に挿入して、ゲート電極および/または液体ゲートとして機能させる。
【0070】
II.疾病の検出のためのバイオマーカー信号の分析
疾病の検出のためのバイオマーカー信号の分析−ナノセンサプラットフォーム上の疾病の多重マーカー特性
本明細書に開示されるように、発明者らは、疾病および/または状態の検出および監視のために設計される、ナノワイヤおよび/またはナノチューブに基づいた、センサデバイスを作成した。当該デバイスは、疾病、細菌またはウイルス汚染、アレルギー反応等の発症の際に生じる、独特の分子特性を認識し得る。これらのデバイスは、抗体、PNA、RNA、DNAおよびタンパク質アプタマー、RNAおよびDNAを含むオリゴヌクレオチド、受容体、リガンド、および生体分子を検出することができる他の任意の捕捉分子等の、任意および全ての捕捉分子の捕捉能力も用いる。したがって、検出プラットフォームは、特異的疾病の独特の分子特性を検出すること、ならびに複数の試験に対する必要性を排除または低減することができ、したがって、患者の健康状態の最終的な評価を行うために必要とされる合計時間を低減することができる。
【0071】
一実施形態では、本発明は、捕捉分子に結合されるセンサデバイスを備える、疾病および/または状態を検出および/または監視するための装置を提供し、捕捉分子は、疾病および/または状態と関連する分子特性を認識し得る。別の実施形態では、センサデバイスは、ナノワイヤおよび/またはナノチューブを含む。別の実施形態では、捕捉分子および/または分子は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、アプタマー、受容体、リガンド、またはそれらの組み合わせであってもよい。別の実施形態では、疾病および/または状態は、癌である。
【0072】
一実施形態では、本発明は、センサデバイスを捕捉分子に結合することによって、疾病を検出および/または監視する方法を提供し、捕捉分子は、疾病および/または状態と関連する分子特性を認識し得る。別の実施形態では、センサデバイスは、ナノワイヤおよび/またはナノチューブを含む。別の実施形態では、捕捉分子は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、アプタマー、受容体、リガンド、またはそれらの組み合わせであってもよい。別の実施形態では、疾病および/または状態は、癌である。
【0073】
別の実施形態では、本発明は、以下のステップまたはそれらの組み合わせによる、疾病の検出のための、1つ以上のバイオマーカー信号を分析する方法を提供する:(1)ナノワイヤまたはナノチューブに基づくデバイスを得る。(2)ナノ材料の表面を清潔にする。(3)次いで、チップ上の個々のデバイスまたはデバイス群の表面を、特定の捕捉プローブで機能化する。(4)次いで、デバイスのコンダクタンスを経時的に監視し、一方で、特定の疾病ごとの単一のバイオマーカーが、その対応するプローブ分子によって捕捉される分析の下で、チップを溶液と接触させる。
【0074】
疾病の検出のためのバイオマーカー信号の分析−ナノバイオセンサのための捕捉剤としてのペプチドアプタマーおよびタンパク質アプタマー
本明細書にさらに開示されるように、発明者らは、ナノワイヤ/ナノチューブに基づくセンサデバイスに、特異的疾病のためのバイオマーカーの多重検出、ならびに微生物/ウイルス検出における捕捉剤として、ペプチドアプタマーおよび/またはタンパク質アプタマーを採用した。ペプチドアプタマーとは、高い親和性および特異性を伴って特定の生体分子(タンパク質等)に結合することが示されている、画定した三次元構造を伴うペプチドの配列である。共通の実施例は、タンパク質の骨組の両端に付着させた可変ペプチドで構成され、可変長は、一般的に、10〜20個のアミノ酸から成る。ペプチド結合(ペプチドおよびタンパク質アプタマーの両方)は、広範囲のpH値にわたって安定しており、タンパク質アプタマーに独特の堅固性を与える。さらに、ペプチドおよびタンパク質アプタマーは、補足した分子(検体)をナノワイヤ/ナノチューブに空間的により近づけさせる抗体よりも、はるかにサイズが小さい(2〜3nmおよび2〜6kDa)。この検体とナノワイヤとの近さは、検体の電場を生じさせて、デバイス内の電荷キャリアに対してより大きな影響を及ぼす。
【0075】
一実施形態では、本発明は、特異的疾病に対するバイオマーカーの多重検出のためのセンサデバイスであり、捕捉分子はペプチドアプタマーおよび/またはタンパク質アプタマーである。別の実施形態では、ペプチドアプタマーおよび/またはタンパク質アプタマーは、ナノワイヤの表面に固定される。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、以下のステップまたはそれらの組み合わせによって、バイオマーカーの多重検出のためのバイオセンサデバイスを製造する方法を提供する:(1)ナノワイヤまたはナノチューブに基づくデバイスを得る。(2)ナノ材料の表面を清潔にする。(3)次いで、ナノ材料の表面を、リンカー分子によって機能化する。(4)ペプチドアプタマーまたはタンパク質アプタマーを、リンカー分子に共有結合し、したがって、ナノ材料表面に固定する。
【0077】
疾病の検出のためのバイオマーカー信号の分析−バックグラウンドノイズを低減する方法
本明細書に開示されるように、以下の場合で検体の検出を実施する時に、バックグラウンドノイズが重要な問題になり得る。(1)検体が、低い実効電荷を持つ。この場合、結合信号を増幅するために、サンドイッチアッセイと呼ばれる技術を用いることができる。(2)検体が、血液、血清、または尿等の生体分子の複合混合物中に痕跡レベルで存在する。このような混合物には、バックグラウンドの生体分子が、検体の濃度の最高1兆倍の濃度で存在する可能性がある。検体が痕跡レベルで存在する時には、(前処理クロマトグラフカラムを用いるか、または「除去剤」によるマイクロ流体チャネルの機能化によって)生理溶液を前処理して、主要な血清成分を除去する、またはナノ材料の表面を、「非特異性」結合現象を減少させる1つ以上の分子で機能化することができる。
【0078】
本明細書で説明される種々の実施形態によれば、生理溶液は、主要なバックグラウンド成分に対する高い親和性を伴う捕捉剤を用いて事前に修飾される固相を利用することによって、前処理され得る。この固相は、ビーズ、修飾PDMSマイクロ流体壁、または(ナノセンサアレイとは別個のチップ上の)パターン化したマイクロアレイを含む、複数の異なる形態を取り得る。重要なことに、捕捉構成要素は、静止支持部に装着され、試料は、ナノセンサに到達する前にその上を通過する。したがって、主要なバックグラウンド成分は、試料がナノセンサに遭遇する前に、試料から除去される。
【0079】
一実施形態では、低実効電荷を伴う分子を検出するように、結合事象からの信号増幅するために、サンドイッチアッセイを用いる。従来のナノワイヤバイオセンシングは、通常、プローブ分子の付着、およびその後の標的生体分子の結合といった、2ステップのアプローチによって行われてきた。発明者らは、サンドイッチ抗体アッセイと、ナノワイヤバイオセンシングとの組み合わせを提案する。別の実施形態では、サンドイッチアッセイは、以下のステップのうちの1つ以上によって実施され得る。最初に、標的タンパク質に対する主抗体をNWに付着させる。次いで、検体(標的タンパク質を含有する)を、NWに送達する。標的タンパク質の捕捉後、標的タンパク質に方向付けられ、かつ信号エンハンサに共役される二次抗体を導入する。標的タンパク質は、信号エンハンサに付着される二次抗体を伴う2つの抗体によって認識されるので、信号エンハンサを伴う二次抗体は、信号ならびに特異性を増加させることができる。同様に、別の実施形態では、検体がDNA/RNAヌクレオチドである時に、結合信号を増幅するために、変形形態のサンドイッチアッセイを実施することもできる。ハイブリッド形成したDNA(NW表面に二本鎖を形成する)は、YOYO1(図16に示す)等の高電荷の挿入剤を使用して、挿入することができる。YOYO1等の、小さい、高電荷の分子は、DNA二重螺旋内に挿入することができ、それらの分子電荷は、デバイスのコンダクタンスに影響を及ぼす。当業者に直ちに明らかになるように、サンドイッチアッセイは、タンパク質の使用に制限されない。
【0080】
別の実施形態では、生理溶液は、主要な生物学的成分を除去するように、前処理され得る。別の実施形態では、生理溶液は、マイクロ流体システムを利用することによって前処理される。別の実施形態では、前処理は、非特異性タンパク質および分子の除去のための前処理クロマトグラフカラムを含む。別の実施形態では、生理溶液は、非特異性タンパク質の「オンチップ」除去を達成するために、抗体を、主要な血清タンパク質、基板、および/またはPDMSマイクロ流体の壁に付着させることによって、前処理される。本明細書に開示されるように、これらの技術は、検体を含有する生理学的試料内のバックグラウンドタンパク質の濃度を大幅に低減し、偽陽性および偽陰性のリスクを低減する。当業者に直ちに明らかになるように、生理溶液は、いかなる形であれ血清に制限されない。同様に、生理溶液の前処理は、タンパク質に加えて、様々な分子とともに利用され得る。
【0081】
別の実施形態では、非特異性血清タンパク質の非特異性結合を防止するように、ナノワイヤ表面にPEG基が加えられ得る。本明細書に開示されるように、ナノワイヤ上のPEG基は、ナノワイヤ表面と非特異的に相互作用し得るタンパク質をはね返す。
【0082】
疾病の検出のためのバイオマーカー信号の分析−PNA捕捉プローブを使用したDNA/RNA二本鎖の検出
本明細書にさらに開示されるように、二本鎖DNA(dDNA)または二本鎖RNA(dRNA)の捕捉は、ナノワイヤFETセンサの表面に固定される、単鎖PNAプローブまたは二本鎖PNAプローブのいずれかを使用して達成され得る。PNAプローブは、「侵入」を経て二本鎖DNA/RNAにハイブリッド形成することが知られている。一実施例を、図17として本明細書に示す。この侵入相互作用は、捕捉したdDNA/dRNAの高い分子電荷により、ナノワイヤ/ナノチューブFETセンサによって検出される。PNAプローブは、「侵入」を経て二本鎖DNA/RNAにハイブリッド形成することが知られている。一本鎖DNAの代わりに二本鎖DNAを捕捉することで、dsDNAを2つのssDNAに展開/融解する事前分析ステップを排除することによって、より直接的な検出を行うことができるようになる。この戦略の別の利点は、その強い電場がデバイスの電流担送に膨大な影響を及ぼし得る、二本鎖DNAの大きい分子電荷によって与えられる。
【0083】
別の実施形態では、本発明は、PNA捕捉プローブを用いてポリヌクレオチドを検出し得る。
【0084】
当業者に明らかなように、任意の数のバイオマーカーは、本明細書で説明される種々の実施形態と連動して使用され得る。バイオマーカーのいくつかの例には、ポリペプチド、グリコシル化サブユニットおよび脂質等の抗原、およびマイクロRNA、マイクロサテライトDNA、SNP、および遺伝的および後成的なものの両方を含むポリヌクレオチドが挙げられるが、これに限定されない。同様に、当業者に明らかなように、本明細書で説明される種々の実施形態は、任意の数の疾病および状態に使用され得る。疾病および状態のいくつかの例には、癌、心臓病、自己免疫の疾病、内分泌の疾病、脳の疾病、生殖に関する疾病、ウイルス、プリオン、バクテリア、菌類、イーストを含む感染症、および出生前の状態を評価する方法が挙げられるが、これに限定されない。
【0085】
本発明の他の特徴および利点は、一例として本発明の実施形態の種々の特徴を示す、以下の詳細な説明から明らかになる。
【実施例】
【0086】
以下の実施例は、特許請求される発明をより良く示すために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。特定の材料について言及されていない限り、単なる例示目的に過ぎず、また、本発明を限定することを意図していない。当業者は、発明的能力の行使を伴わずに、また、本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物を開発し得る。
【0087】
実施例1
ナノワイヤセンサの製造:相互に組み合った電極
相互に組み合っていない電極を伴って製造されるデバイスと比較して、改良された一様性および収率を伴うナノワイヤ電界効果トランジスタバイオセンサの簡単かつ信頼性のある製造を達成するために、相互に組み合った電極を用いた。発明者らは、ボトムアップアプローチを用いたナノバイオセンサの製造のために、有効チャネル幅を増加するように、相互に組み合った電極を採用した。これらの相互に組み合った電極は、ランダムに分散したナノワイヤがソースとドレインとの間をブリッジする可能性/数の増加をもたらし、一方で、同じ設置面積を保つ。結論的には、相互に組み合った電極を伴って製造されるデバイスは、相互に組み合っていない電極を伴うデバイスと比較して、より一様な性能を有し、デバイスの収率および一様性は、組み立て支援技術によって達成されるものに匹敵する。この方法は、簡単さ、拡張可能性、再現性、高スループット、および室温処理等の、数多くの利点を有する。
【0088】
デバイスは、このプロセスを用いて、完全な3インチのウエハ上に作製したが、得られた良好なデバイスの収率は70%を超える(良好なデバイスの定義は、10を超えるオン/オフ比を伴うデバイスである)。プロセスを数回繰り返し、プロセスの再現性を、比較できる収率の連続した達成によって確認した。デバイスは、閾値電圧において狭分布を示し(CV 38.5%)、デバイスの一様性を確認した。
【0089】
実施例2
ナノワイヤセンサの製造:相互に組み合った電極−製造方法
製造は、以下の3つのステップから成る。最初に、InのNW(以前に開発されたレーザアブレーションプロセスを介して、Si/SiO基板上に前もって成長させたもの)を、超音波処理によってイソプロパノール中に懸濁した。次いで、溶液を、完全な3インチのSi/SiO基板上に分散させ、その後に、フォトリソグラフィによって、Ti/Auのソースおよびドレイン電極を画定した。相互に組み合った電極は、2.5mmのチャネル長さ、および500、780、および2600mmの有効チャネル幅を有するように設計した。
【0090】
実施例3
ナノワイヤセンサの製造:相互に組み合った電極−結果
発明者らは、それぞれ、完全な3インチのウエハ上に3つの異なる幾何学形状を伴うInのNWデバイスの光学顕微鏡写真と、相互に組み合った電極の光学顕微鏡写真と、ソースとドレインとをブリッジするInのNWデバイスのSEM画像とを提示した。本明細書に開示されるように、発明者らは、良好なデバイスの輸送特性を示したが、そこでは、異なるゲート電圧(V)の下でのソース−ドレイン電流(Ids)対ソース−ドレイン電圧(Vds)の線図、および線形および対数スケールでのIds対Vの線図が示される。Ids対Vds線図は、MOSFETと同様のトランジスタ挙動を呈し、Ids対V線図は、10以下のオン/オフ比を伴うデバイスの良好なゲート依存性を示している。発明者らは、ナノワイヤ密度を微調整することによって、70%を超える良好なデバイス収率を達成した。本明細書には、高密度および低密度を伴うInナノワイヤの試料を示す、SEM画像も開示されている。これらのナノワイヤを伴って製造されるデバイスは、電気的に特徴付けられ、電気接続(EC)、電気的に接続したソースおよびドレインからの良好なデバイスの収率(GD)、および良好なデバイスの全収率(TGD)を、有効チャネル幅に対してプロットした。高密度NWを伴って作製されるデバイスは、あらゆるチャネル幅について100%のECを呈し、一方で、低密度NWを伴うデバイスの収率は、最短チャネル幅の場合は75%〜最長チャネル幅の場合は98%である。高密度NWおよび幅の広いチャネルのECのこの増加は、直接的に理解することができる。一方で、GD(およびその結果、TGD)の収率は、高密度および低密度のNW試料について、どちらもチャネル幅が増加するにつれて減少し、高密度のNWの場合のGDの収率は、同じチャネル幅を伴う低密度のNW試料の場合の収率よりも低い。これは、「不良」NWのパーコレーションによって説明され得、ゲート依存性をほとんど伴わず、ソース電極とドレイン電極との間に、ネットワーク化したカーボンナノチューブトランジスタ内の金属ナノチューブ経路のパーコレーションとの類似性を伴うNWを意味する。成長後にしばしば観察された大きな直径のNWは、ゲート電圧の効果が、NWの大きな直径によりNWの本体全体を調節できない場合があるので、このような「不良」NWとなり得る。収率に加えて、デバイスの一様性を分析した。本明細書に開示されるように、デバイスの閾値電圧の分布を、2,600μmのチャネル幅の、50nmのSiOを冠着したSi基板上に作製した。−0.65Vの平均値、および0.25Vの標準偏差を呈し、38.5%の変動係数を生じる。これは、ラングミュアブロジェット法によって組み立てられるSiのNWデバイスの変動係数(34.6%)よりもわずかに高い。
【0091】
実施例4
ナノワイヤセンサの製造:単結晶シリコン、多結晶シリコン、および/または非結晶シリコンオンインシュレータを使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造
発明者らは、トップダウンアプローチを用いて高密度で均一なアレイのバイオセンサを製造するために、シリコンオンインシュレータ(SOI)構造内の単結晶シリコンを置き換えるように、活性材料として多結晶シリコンおよび非結晶シリコンを採用した。SOIウエハ内の単結晶シリコンを、多結晶シリコンおよび非結晶シリコンに置き換えることによって、費用が大幅に低減され、一方で、高収率および小さいデバイス間の変動をもたらす、製造工場互換性の製造である、トップダウンの利点を保つ。さらに、非結晶シリコンは、ガラスおよびPET等の非従来型の剛性/可撓性基板上に堆積させることができ、デバイス価格をさらに低減する。
【0092】
実施例5
ナノワイヤセンサの製造:単結晶/多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータを使用した、シリコンナノワイヤのトップダウン製造−製造方法
プロセスは、以下のステップから成る:
1.多結晶シリコンまたは非結晶シリコンを、適切な基板に堆積させる、または単結晶のシリコンオンインシュレータウエハを、出発基板として使用する。
【0093】
2.フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチング(RIE)を使用して、活性層メサを画定する。
【0094】
3.縮退した引込線を作成するために、イオン注入を行う。
【0095】
4.ドープ剤を活性化するために、焼鈍を行う。
【0096】
5.所望の幅を伴うナノワイヤを画定するために、電子ビーム描写およびRIEを使用する。
【0097】
6.フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して、金属接点を作成する。
【0098】
実施例6
ナノチューブセンサの製造:高度に整列したカーボンナノチューブ
発明者らは、大きい、高密度センサアレイを製造するために、整列したカーボンナノチューブを採用した。発明者らは、所望の場所での整列したカーボンナノチューブのパターン化した成長に基づく、加工可能で拡張性のあるバイオセンサアレイのための、新規かつ直接的なアプローチを開発した。このアプローチは、1)電子ビーム描写を伴わない従来の製造プロセスの使用による大量生産、2)複数のナノチューブの使用による一様で再現可能なデバイス性能、および3)特定の場所および任意のアレイサイズでのバイオセンサアレイの決定論的構成、という点で、競合する技術に勝る複数の利点を有する。整列したナノチューブアレイの使用は、配向制御が、センサアレイ製造の再現性を容易にし、かつ高めるため、重要な利点を提供する。さらに、当該構造は、耐障害性である。1つのチャネルの破壊が、他のチャネルを開いたままにし、ソースとドレインとの間に伝導経路を提供する。このアプローチは、多重化ナノバイオセンサアレイの製造のための基準としても使用され得る。半導体チャネルとして整列したカーボンナノチューブを利用するバイオセンサアレイを、成功裏に製造し、生体分子IgGの検出のために使用した。
【0099】
実施例7
ナノチューブセンサの製造:製造方法
発明者らは、本明細書に示される、複数ステップのプロセスでカーボンナノチューブFETアレイを製造した。プロセスは、以下のステップから成る。
(1)触媒の調製:石英基板を、触媒のための開口部を作製するように、フォトリソグラフ的にパターン化した。脱イオン(D.I.)水中のフェリチン(Sigma)の溶液を、基板上へ滴下して、10分間保持した。次いで、基板を、D.I.水ですすぎ、アセトン中でフォトレジスト層をリフトオフした。フェリチン粒子を伴う基板を、700℃で10分間仮焼して、触媒としての役割を果たす、酸化鉄ナノ粒子を形成した。
(2)整列したカーボンナノチューブの成長:900℃で10分間の、2,500sccmのメタン、10sccmのエチレン、および600sccmの水素を伴う、CNTの化学蒸着(CVD)成長を実施し、特定の位置での配向CNTの割り当てをもたらした。
(3)金属電極の画定:最後に、金属電極(10nmのTiおよび30nmのAu)を、フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術を使用して画定した。
【0100】
これらの手順に従って、発明者らは、整列したナノチューブバイオセンサアレイを成功裏に製造した。2つの隣接するデバイス間の間隔は、20μm以下であり、また、2つのデバイス間で交差するいかなるナノチューブも示していないSEM画像から確認されるように、各デバイスは、明確に分離された。
【0101】
実施例8
ナノチューブセンサの製造:整列したナノチューブデバイスのデバイスの特徴付け、および抗IgG抗体によるIgGの感知
発明者らは、整列したナノチューブデバイスの電気特性を特徴付け、結果を本明細書に示す。デバイス抵抗は、132.2kΩの標準偏差を伴う154.9kΩの平均値を示した。分布は、高密度の整列したナノチューブを成長させることによって狭くすることができる。発明者らは、IgG抗原を検出するために、それらのデバイスをさらに使用した。最初に、デバイスを、4℃で12時間、PBS緩衝液中の抗IgG抗体の溶液中に浸漬することによって、抗IgG抗体で機能化した。次いで、デバイスを、100nMの濃度のIgG抗原の溶液に露出し、デバイスは、8%以下のコンダクタンスの低下を示した。デバイスは、7μMのIgG抗原への露出の際に、7%以下のコンダクタンスのさらなる減少を示した。この結果は、整列したナノチューブに基づくバイオセンサの使用が効を奏することを確認するものである。
【0102】
実施例9
ナノチューブセンサの製造:半導体ナノチューブネットワークの使用
発明者らは、感度を向上させるために、バイオセンサの活性チャネルとして、半導電性ナノチューブネットワークを使用した。単層カーボンナノチューブは、金属および半導電性ナノチューブの、2つのタイプに分類することができる。半導電性ナノチューブは、金属ナノチューブと比較して、より環境に影響されやすいことが示されている。これは、半導電性ナノチューブを通したものによる輸送が大半を占めるカーボンナノチューブに基づくバイオセンサが、金属および半導電性ナノチューブの両方を通して輸送が生じるバイオセンサよりも良好な感度を呈する可能性があることを示している。この概念に基づいて、発明者らは、発明者らのバイオセンサの活性チャネルとして、半導電性ナノチューブネットワークを採用し、また、混合ナノチューブ(金属および半導体性両方のナノチューブ)ネットワークを伴うデバイスと比較して、20倍を超えて感度(最低検出限界)を向上させた。このような半導電性ネットワークの調製は、半導電性ナノチューブに対する浸透極限を克服するように、また、金属ナノチューブに対する浸透極限を克服しないように、ナノチューブ密度を制御することによって行った。この方法は、デバイスへのいかなる前/後処理も必要とせず、かつ、ウエハ規模、またはより大規模な製造であっても容易に適用することができる。高オン/オフ比(ナノチューブネットワークの半導電性を示す)を伴うデバイスを、ナノチューブの密度を慎重に調整したカーボンナノチューブネットワークを使用して、成功裏に製造した。
【0103】
実施例10
ナノチューブセンサの製造:製造方法
CNTを、触媒としてフェリチン分子から形成されるFeナノ粒子を伴う化学蒸着法(CVD)を介して、最上部に500nmのSiOを伴う、変性的にドープしたSiウエハ上に成長させた。
(1)脱イオン水(D.I.水)中のフェリチンの希釈溶液を、Si/SiOウエハに塗り、室温で1時間保持し、基板上へのフェリチン分子の堆積をもたらした。次いで、基板を、D.I.水で洗浄し、その後に、700℃で10分間、空気中で仮焼し、Feナノ粒子を形成できるようにした。
(2)仮焼の後、基板を、水素雰囲気中で900℃まで加熱した石英管内に配置し、温度が900℃に到達した時に、メタン(1300sccm)、エチレン(20sccm)、および水素(600sccm)を、10分間、石英管内に流し、基板上にCNTネットワークを産生した。
(3)成長に続いて、フォトリソグラフィおよびリフトオフ技術によって、ソース−ドレイン電極をパターン化した。金属電極は、10nmのCrおよび30nmのAuでできていた。得られたデバイスのチャネル幅および長さは、それぞれ、5mmおよび100μmであった。次いで、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)でチャネル領域を覆いながら、不要なCNTにエッチングを行うために、酸素プラズマを1分間実施した。
【0104】
CNT密度の制御は、高オン/オフ比のデバイスに極めて重要であり、触媒粒子の密度を調整することによって行われることに留意されたい。高オン/オフ比のデバイスを産生するCNTの典型的な密度を、本明細書に示す。
【0105】
実施例11
ナノチューブセンサの製造:デバイスの特性
このようなCNTデバイスの典型的な電気的特性を、本明細書に示す。異なるゲート電圧(Vg)の下でのソース−ドレイン電流(Ids)対ソース−ドレイン電圧(Vds)をプロットし、異なるVgの下での明確に分離された曲線を示している。明確に分離された曲線は、後に示されるように、デバイスの改良された感度に至った、ゲート電圧に対するデバイスの良好な感度を示す。ゲート電圧に対するこの良好な感度は、本明細書に示されるId対Vg曲線で観察することもできる。通常、半導電性および金属ナノチューブの混合物のネットワークを使用するCNTデバイスは、オン/オフ比が10未満を示すことに留意されたい。
【0106】
実施例12
ナノチューブセンサの製造:半導電性ナノチューブネットワークおよび混合ナノチューブネットワークを使用したデバイスの感度の比較
混合ナノチューブネットワークに勝る半導電性ナノチューブネットワークを使用する利点を検証するために、発明者らは、モデル事例として、ストレプトアビジン(SA)を使用して、両方のデバイスの感度を試験した。デバイスを電気化学セル内に装着し、セルにリン酸食塩水緩衝液を充填した。デバイスを異なる濃度のSAの溶液に露出しながら、そのコンダクタンスを監視した。半導電性ナノチューブを使用したデバイスによるSAの感知を、本明細書に開示する。デバイスは、100pMのSAの溶液に露出した際に、1%以下のコンダクタンスの低下を示し、高濃度のSAの溶液のさらなる添加は、コンダクタンスの大きい低下を与えた。一方で、2nMのSAに露出した時に、混合ナノチューブを使用したデバイスは、ごくわずかな応答(≪1%)しか示さず、これは、混合ナノチューブネットワークデバイスの最低検出限界が、半導電性ナノチューブネットワークデバイスと比較して、少なくとも20倍低いことを示している。さらに、異なる濃度でのSAに対する応答の大きさの比較は、強化した感度の半導電性ナノチューブネットワークデバイスが、混合ナノチューブネットワークデバイスに勝ることを明らかにし、バイオセンサとしての半導電性ナノチューブネットワークの使用の利点を確証している。
【0107】
実施例13
シリコン、酸化シリコン、またはガラス表面へのPDMSチップの付着
発明者は、PDMSチップをシリコーン/シリカ酸化物表面に付着させるのための新規な技術を開発した。過去において、シリコン/シリカ表面へのPDMSの付着は、大部分が、シリコン/シリカ表面に存在するOH基と反応させることができる、酸素プラズマ活性化を介したPDMS表面への高反応性ラジカル種の発生を経て達成されていた。反応させるためには、シリコン/シリカ上のOH基を、PDMS表面のラジカルと垂直に整列させなければならない。成功する反応の数が多くなるほど、シリコン/シリカへのPDMSの接着が強くなる。したがって、大きい表面密度のSi/SiO上のOH基およびPDMS上のラジカルを有することが重要である。ナノワイヤ/ナノチューブの成長プロセス終了時のSi/SiOチップは、その表面の大幅に低減した数のOH基で高度に脱水される。大きい表面密度のOH基を脱水Si/SiO表面に発生させる方法が、非常に有用なものとなる。図11に示されているように、発明者らは、二機能性分子でSi/SiO表面を処理し、別の機能群が活性化PDMSに対して反応する他の末端において(Xは、NH、メトキシ等となり得る)、Si/SiOに対する結合能を有する、シラン末端基(W、Y、またはZは、メトキシ、エトキシ、メチル等の基となり得る)を担持し、そして、これらの2つの末端をカーボン鎖(n=0、1、2、3等を伴う)によって分離することが、シリコン/酸化シリコンの表面をPDMSチップに共有結合させるのに有用であることを発見した。この目的にも有用である他のリンカー分子は、Si(OH)4およびSi(OR)4、ならびにアルキルシランを含み、本明細書で使用する場合、Rは、アルキルまたはHである。
上述のリンカー分子のいずれかを使用することによって、シリコン/シリカ表面へのPDMSチップの非常に堅牢な付着を達成することができる。
【0108】
実施例14
シリコーン/シリカ酸化物表面へのPDMSチップの付着:製造方法
製造方法は、以下を含む:
1.シラン誘導体リンカー分子を、使用前に新たに蒸留する。
【0109】
2.メタノール中に2〜10%の範囲のシラン誘導体の濃度を有する溶液を調製する。
【0110】
3.酸素プラズマ(60トールO2、1〜10分)を使用して、シリコン/シリカ表面を清潔にする。Si/SiO表面の何からの特徴の存在が、O2プラズマに対して敏感である場合は、PMMAの層でそれを保護することができる。
【0111】
4.シリコン/シリカ表面を、シラン誘導体メタノール性溶液中に一晩浸す。
【0112】
5.非結合シラン誘導体をメタノールで洗い流す。
【0113】
6.PMMAを高温のアセトンまたはアニソールで洗い流す。
【0114】
7.シリコン/シリカチップを、120℃で1〜2時間焼成する。Si/SiOチップは、付着できる状態となる。
【0115】
8.PDMSチップを酸素プラズマ(60トールのO2、1〜10分)で活性化する。
【0116】
9.活性化PDMSチップおよび誘導体化Si/SiOチップを互いに接触させて、120℃で2時間焼成する。
【0117】
10.シリコン/シリカへのPDMSの堅牢な付着が達成される。
【0118】
実施例15
較正、調整、および感度、ならびに再現性
発明者らは、トランジスタ測定から抽出されるパラメータを使用して、Inナノワイヤバイオセンサの応答を較正し、変動係数(CV)の減少をもたらした。発明者らは、センサ応答を較正するデータ分析方法を開発した。この方法は、センサ応答の変動を減少させることができるという利点を有する。さらに、一様なデバイスを作製するためにしばしば必要とされる集中的な取り組みを必要としない、単純な分析方法である。当該方法は、一様なデバイスを作製するものに対して相補的である。発明者らは、Inナノワイヤバイオセンサの応答を正規化するために用いることができる2つのパラメータを、トランジスタ測定から抽出できることを示した。2つの応答の定義を採用したが、1つは絶対応答であり、もう1つは相対応答である。
【0119】
実施例15
較正、調整、および感度、ならびに再現性:製造方法
デバイスパラメータの抽出:センサ応答を較正するために用いるパラメータを抽出するために、発明者らは、液体ゲート測定を採用した。測定準備の概略図を、本明細書に示す。テフロン(登録商標)でできている化学電池を、デバイス上へ装着し、かつ、脱イオン水で100倍に希釈したリン酸食塩水緩衝液(PBS)を充填した。Ptワイヤを緩衝液中に挿入して、ゲート電極(液体ゲート)として機能させた。液体ゲートに対する電圧(Vg)を、ソース電極とドレイン電極との間に0.2Vの電圧(Vds)印加しながら、−0.6Vから0.6Vまで掃引して、ソースおよびドレインを通しての導電をゲート電圧の関数として監視した。線形スケールおよびログスケールでプロットした典型的なId−Vg曲線を、本明細書に示す。得られたId−Vg曲線を使用して、発明者らは、センサ応答を正規化するために、デバイスパラメータを抽出した。発明者らは、それぞれ、絶対応答(Vg=600mVでの、感知前のIds−感知後のIds)、および相対応答(Vg=600mVでの、感知前のIds−感知前のIdsで割った感知後のIds)を正規化するために、dIds/dVgおよびdlogIds/dVgの2つのパラメータを使用した。
【0120】
感知:発明者らは、モデル事例として、発明者らの概念の有効性を検証するために、ストレプトアビジンおよびアビジンを使用した。デバイスを、100倍に希釈したPBS中のストレプトアビジンまたはアビジン(1μM)の溶液に露出し、露出前/後にIds−Vg測定を行った。絶対応答および相対応答は、これらの曲線から計算した。ビオチンで機能化したInによって捕捉した、10nmのAuナノ粒子でタグ付けしたストレプトアビジン分子を示すSEM画像の挿入画を伴う、ストレプトアビジン溶液へのデバイスの露出前/後の典型的なIds−Vg曲線を、本明細書に開示する。
【0121】
センサ応答の較正:発明者は、それぞれ、dIds/dVgおよびdlogIds/dVgで絶対応答および相対応答を割ることによって、それらを成功裏に正規化した。本明細書に開示されるように、発明者らは、一例として、較正前の応答の平均とともに、デバイスの識別番号に対してプロットした絶対応答を示す。これと比較して、正規化デバイス応答(絶対応答/dIds/dVg)は、較正を実施した後に、平均からのより小さい逸脱を示した。より小さい逸脱は、変動係数(CV)を用いることによって検証されたが、これは、平均で割った1つの標準偏差である。本明細書に開示されるように、それぞれ、ストレプトアビジンおよびアビジンに対する較正前/後の、絶対および相対応答に対するCVが示され、ここで、あらゆる応答について、較正後の減少したCVが示され、種々の概念を支持している。
【0122】
実施例16
較正、調整、および感度、ならびに再現性:液体ゲートを使用した感度の調整
発明者らは、液体ゲートを用いて、Inナノワイヤバイオセンサの感度を調整した。この方法は、バイオセンサの感度を増加させることができ、かつ同じタイプのバイオセンサ、すなわち電界効果トランジスタタイプのバイオセンサに適用することができる。発明者らは、異なるゲート電圧を液体ゲートに印加することによってバイオセンサの感度を調整するために、液体ゲートを使用することができることを示した。
【0123】
液体ゲートの構成:測定準備の概略図を、本明細書に示す。テフロン(登録商標)でできている化学電池を、デバイス上へ装着し、かつ、脱イオン水で100倍に希釈したリン酸食塩水緩衝液(PBS)を充填した。Ptワイヤを緩衝液中に挿入して、ゲート電極(液体ゲート)として機能させた。
【0124】
液体ゲートによる感度の調整:発明者らは、モデル事例として、発明者らの概念を試験するためにストレプトアビジン(SA)を使用して、ゲート電圧(Vg)を異なるバイアスに保ちながら、1つのInナノワイヤデバイスの感度を確認した。Vg=0.4Vの時のSAの感知を、本明細書に示す。デバイスを、10、100、および1,000nMのSAに露出した時に、デバイスは、それぞれ、1、2、および10%増加した正規化コンダクタンスを示した。一方で、Vg=0.1Vである場合、デバイスは、それぞれ、4、24、および47%増加した正規化コンダクタンスを示し、増加した応答を示した。
【0125】
実施例17
バイオマーカー信号の分析:ナノセンサプラットフォーム上の疾病の多重マーカー特性
発明者らは、特異的疾病の検出および監視のために設計される、ナノワイヤまたはナノチューブに基づく、センサデバイスを製造した。これらのデバイスのうちのそれぞれは、疾病、細菌またはウイルス汚染、アレルギー反応等の発症の際に生じる、独特の分子特性を認識する。これらのデバイスは、抗体、RNA、DNAおよびタンパク質アプタマー、RNAおよびDNAを含むオリゴヌクレオチド、受容体、リガンド、および生体分子を検出することができる他の任意の捕捉分子を含む、任意および全ての捕捉分子の捕捉能力を用い得る。検出プラットフォームは、特異的疾病の独特の分子特性を検出することができる。このデバイスは、複数の試験に対する必要性を排除することができ、したがって、患者の健康状態の最終的な評価を行うために必要とされる合計時間を低減することができる。
【0126】
実施例18
バイオマーカー信号の分析:使用および製造方法
使用および製造方法は、以下を含む:
1.ナノワイヤまたはナノチューブに基づくデバイスを得る。単一のチップ上のデバイスの数は、通常、20〜30個である。
【0127】
2.ナノ材料の表面を、標準手順によって清潔にする。
【0128】
3.特異的疾病を検出するようにセンサチップを構成するために、その疾病ごとのバイオマーカーは、単一の感覚チップを使用して検出しなければならない。したがって、特異的バイオマーカーを検出するために、チップあたり少なくとも1つのデバイスが設計されることになる。マイクロ流体デバイスまたは電気化学的技術のいずれかを利用する、ナノワイヤ/ナノチューブの選択的機能化のための技術が、この選択的機能化に対して採用される。
【0129】
4.次いで、チップ上の個々のデバイスまたはデバイス群の表面を、特定の捕捉プローブで機能化する。
【0130】
5.次いで、デバイスのコンダクタンスを経時的に監視し、一方で、特定の疾病ごとの単一のバイオマーカーが、その対応するプローブ分子によって捕捉される分析の下で、チップを溶液と接触させた。
【0131】
実施例19
バイオマーカー信号の分析:捕捉剤またはナノセンサとしてのペプチドおよび/またはタンパク質アプタマー
発明者らは、ナノワイヤ/ナノチューブに基づくセンサデバイスに、特異的疾病のためのバイオマーカーの多重検出、ならびに微生物/ウイルス検出における捕捉剤として、ペプチドアプタマーおよび/またはタンパク質アプタマーを採用した。ペプチドアプタマーとは、高い親和性および特異性を伴って特定の生体分子(タンパク質等)に結合することが示されている、画定した三次元構造を伴うペプチドの配列である。一実施例は、タンパク質の骨組の両端に付着させた可変ペプチドで構成され、可変長は、一般的に、10〜20個のアミノ酸から成り得る。ペプチド結合(ペプチドおよびタンパク質アプタマーの両方)は、広範囲のpH値にわたって安定しており、タンパク質アプタマーに独特の堅固性を与える。さらに、ペプチドおよびタンパク質アプタマーは、補足した分子(検体)をナノワイヤ/ナノチューブに空間的により近づけさせる抗体よりも、はるかにサイズが小さい(2〜3nmおよび2〜6kDa)。この検体とナノワイヤとの近さは、検体の電場を生じさせて、デバイス内の電荷キャリアに対してより大きな影響を及ぼす。発明者らは、タンパク質アプタマーが、バイオセンサのナノワイヤの表面に固定化された時に、捕捉分子として機能することを実証した。
【0132】
実施例20
バイオマーカー信号の分析:捕捉剤またはナノセンサとしてのペプチドおよび/またはタンパク質アプタマーを製造する方法
ペプチドおよび/またはタンパク質アプタマーは、以下によって、捕捉剤またはナノセンサとして製造され得る:
1.ナノワイヤまたはナノチューブに基づくデバイスを得る。
【0133】
2.ナノ材料の表面を、標準手順によって清潔にする。
【0134】
3.次いで、ナノ材料の表面を、リンカー分子によって機能化する。
【0135】
4.ペプチドアプタマーまたはタンパク質アプタマーを、リンカー分子に共有結合し、したがって、ナノ材料表面に固定する。
【0136】
5.デバイスが適切な捕捉分子を伴って構成されると、デバイスは、センサとして使用される状態となる。
【0137】
実施例21
バイオマーカー信号の分析:バックグラウンドノイズを低減する方法−サンドイッチアッセイ
(1)ナノワイヤまたはナノチューブに基づくデバイスを得る。単一のチップ上のデバイスの数は、通常、20〜30個である。(2)ナノ材料の表面を、標準手順によって清潔にする。(3)特異的疾病を検出するようにセンサチップを構成するために、その疾病ごとのバイオマーカーは、センサチップを使用して検出しなければならない。したがって、特異的バイオマーカーを検出するために、チップあたり少なくとも1つのデバイスが設計されることになる。マイクロ流体デバイスまたは電気化学的技術のいずれかを利用する、ナノワイヤ/ナノチューブの選択的機能化のための技術が、この選択的機能化に対して採用される。(4)次いで、チップ上の個々のデバイスまたはデバイス群の表面を、特定の捕捉プローブで機能化する。(5)次いで、デバイスのコンダクタンスを経時的に監視し、一方で、特定の疾病ごとの単一のバイオマーカーが、その対応するプローブ分子によって捕捉される分析の下で、チップを、溶液と接触させた。(6)検体溶液を洗い流して、PBS緩衝液と置き換えた。(7)同じく捕捉した検体に結合する二次リガンドを、センサの上に流す。この二次リガンドは、アプタマーまたは抗体とすることができ、高電荷タグまたは磁性ナノ粒子で標識化した。このタグの目的は、ナノワイヤへの検体の結合による信号を増加させることである。(8)検体を捕捉プローブに架橋するためのステップを手順に追加することができるので、検体も、ナノワイヤ/ナノチューブデバイスに共有結合される。この架橋ステップは、グルタルアルデヒドまたはホルムアルデヒド等の、小さい、高反応性分子を利用する。(9)DNA検体は、ナノワイヤ表面でDNA/PNAプローブとハイブリッド形成できるようにする。(10)検体を含有する溶液を、安定した基線が得られるまで、PBS緩衝液で洗い流す。(11)PBS内に挿入分子を含有する溶液を、センサの上に流す。挿入剤は、PNA−PNAまたはDNA−DNAの二重螺旋内に挿入する。挿入剤によって担持される電荷のタイプに応じて、ナノワイヤのコンダクタンスが増減し得る(挿入剤は、キャリア蓄積または消耗のいずれかの場合がある)。
【0138】
実施例22
バイオマーカー信号の分析:バックグラウンドノイズの低減−主要な生物学的成分の除去
(1)マイクロ流体システム内に、非特異性タンパク質の除去のための前処理クロマトグラフカラムを構築する。(2)非特異性タンパク質の「オンチップ」除去を達成するために、主要な血清タンパク質に対する抗体を、PDMSマイクロ流体チャネルの壁に付着させる。(a)PDMSマイクロ流体チップを、酸素プラズマによって清潔にする。(b)PDMSチップを整列させて、シリコンチップの表面に穏やかに押し付ける。(c)PDMSとセンサチップとを、80℃で少なくとも2時間焼成する。(d)補足した分子をPDMSに共有結合する(例えば、Curreli,et al.,「Real time,label free detection of biological entities using nanowire based field effect transistors」;IEEE 2008を参照されたい)。
【0139】
代替として:(1)固相を、捕捉剤で機能化する(溶液から除去されるバックグラウンド分子に選択的に結合する)。この固相は、別個のチップ、またはマイクロ流体デバイスの側壁のいずれかにあってもよい。(2)生理溶液を、ナノセンサと接触する前に、修飾した固相の上に流す。
【0140】
実施例23
バイオマーカー信号の分析:バックグラウンドノイズの低減−ナノワイヤ/ナノチューブ表面へのPEG基の添加
(1)ナノ材料の表面を、標準手順によって清潔にする。(2)ナノワイヤ/ナノチューブの表面を、リンカー分子で被覆する。(3)リンカー分子は、生物複合化のためにさらに活性化され得る。(3)次いで、チップ上の個々のデバイスまたはデバイス群の表面を、特定の捕捉プローブで機能化する。(4)PEGの短い配列と比較した時に比較的に大きいサイズの生体分子である、捕捉プローブは、表面の全ての可能な活性リンカー分子と反応するわけではない。(5)末端反応基を伴うPEG鎖は、不活性表面部位を使用して、ナノワイヤ/ナノチューブに付着させることができ、PEGによるナノ材料表面、ならびに捕捉分子の不活性化をもたらす。
【0141】
当業者は、本発明の実施に使用され得る、本明細書で説明されている方法および材料に類似または相当する、多数の方法および材料を認識するであろう。実際に、本発明は、説明されている方法および材料に一切限定されない。本発明の目的のために、以下の用語を下記に定義する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノセンサであって、
電気信号伝達のために構成されるナノ材料と、
前記ナノ材料の表面に分布させられる1つ以上の捕捉剤と、
を含み、前記ナノセンサは、前記1つ以上の捕捉剤への標的分子の結合が電気信号伝達の変化を引き起こすように構成される、
ナノセンサ。
【請求項2】
前記電気信号伝達の変化は、コンダクタンス、電流、相互コンダクタンス、静電容量、閾値電圧、またはそれらの組み合わせにおける変化である、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項3】
前記捕捉剤は、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを含む、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項4】
前記捕捉剤は、アプタマー、受容体、リガンド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項5】
前記ナノ材料は、カーボンナノチューブを含む、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項6】
前記ナノ材料は、カーボンナノチューブのパターン化した成長によって製造される、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項7】
前記ナノ材料は、Inナノワイヤを含む、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項8】
前記相互コンダクタンスにおける変化は、液体ゲート測定によって較正される、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項9】
前記標的分子は、検体を含む、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項10】
前記標的分子は、生体分子を含む、請求項1に記載のナノセンサ。
【請求項11】
前記生体分子の有無は、疾病と関連する分子特性を示す、請求項10に記載のナノセンサ。
【請求項12】
基板によるナノ材料の直交機能化を含む、相補的検出システム。
【請求項13】
前記ナノ材料は、カーボンナノチューブおよび/またはInナノワイヤを含む、請求項12に記載の相補的検出システム。
【請求項14】
前記基板は、Si/SiOを含む、請求項12に記載の相補的検出システム。
【請求項15】
疾病と関連する分子特性の存在を検出するように、バイオセンサを調製する方法であって、
1対以上の相互に組み合ったソースおよびドレイン電極を備える、バイオセンサを提供するステップと、
前記1対以上の相互に組み合ったソースおよびドレイン電極の上に複数のナノワイヤを製造するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記ナノワイヤは、Inを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記Inは、基板上で成長させられた、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の相互に組み合ったソースおよびドレイン電極は、それぞれ、1ミクロン〜100ミクロンのチャネル長、および100ミクロン〜1000ミクロンのチャネル幅を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記相互に組み合ったソースおよびドレイン電極は、それぞれ、約2.5ミクロンのチャネル長、および約500、約780、および/または約2600ミクロンのチャネル幅を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
バイオセンサアレイを調製する方法であって、
絶縁基板上に、多量の多結晶シリコンおよび/または多量の非結晶シリコンを配置するステップと、
前記バイオセンサアレイの構成要素として、前記多量の多結晶シリコンおよび/または前記多量の非結晶シリコンを組み込むステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
1つ以上のナノワイヤにパターン化された薄膜半導体を備える、バイオセンサアレイ。
【請求項22】
ナノセンサプラットフォームであって、
複数の相互に組み合った電極およびナノワイヤを伴って構成される、電界効果トランジスタと、
多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータと、
を備え、前記多結晶/非結晶シリコンオンインシュレータは、前記電界効果トランジスタの構成要素である、
ナノセンサプラットフォーム。
【請求項23】
前記ナノワイヤは、Inを含む、請求項22に記載のナノセンサプラットフォーム。
【請求項24】
ナノチューブバイオセンサを製造する方法であって、
触媒を調製するステップと、
調製した触媒を利用することによって、整列したナノチューブを成長させるステップと、
整列したナノチューブによって分離される、金属電極を画定するステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
整列したナノチューブを成長させるステップは、原料としてメタン、エチレン、水素、および/またはCOを伴う、前記ナノチューブの化学蒸着成長を含む、請求子24に記載の方法。
【請求項26】
整列したナノチューブを成長させるステップは、基板としてサファイアおよび/または石英を使用するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
エラストマーポリジメチルシロキサンをシリコン/シリカ表面に付着させる方法であって、
前記シリコン/シリカ表面をリンカー分子で処理するステップと、
前記エラストマーポリメチルシロキサンを前記シリコン/シリカ表面に付着させるステップと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記リンカー分子は、ケイ酸および/またはアルキルシランを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記リンカー分子は、シリコン化合物を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
ナノセンサプラットフォームの応答を較正する方法であって、
前記ナノセンサプラットフォームの1つ以上の電子特性を抽出するステップと、
前記ナノセンサプラットフォームから抽出された前記1つ以上の電子特性から、前記応答を較正するステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
前記1つ以上の電子特性のうちの1つは、相互コンダクタンスを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
相互コンダクタンスは、dIds/dVgで割ることによって定義される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
相互コンダクタンスは、dlogIds/dVgで割ることによって定義される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
疾病を検出および/または監視するための装置であって、
ナノ材料と、
前記ナノ材料に結合される複数の捕捉分子と、
を含み、前記複数の捕捉分子は、前記疾病の分子特性と関連する1つ以上の生体分子を認識するために構成される、
装置。
【請求項35】
前記捕捉分子は、ポリペプチドを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記捕捉分子は、ポリヌクレオチドを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記捕捉分子は、アプタマーを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記捕捉分子は、ポリヌクレオチド複合体を含む、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
試料が採取される個体における疾病の存在を判定する方法であって、
前記試料からバックグラウンドノイズを除去するステップと、
前記疾病の多重マーカー特性の有無を検出するように構成される、ナノセンサデバイスを提供するステップと、
前記疾病の前記多重マーカー特性の有無を判定するように、前記ナノセンサデバイスを前記試料と接触させるステップと、
を含み、前記多重マーカー特性の存在は、前記疾病を示す、
方法。
【請求項40】
非標的実体の結合を防止する1つ以上の分子による前記ナノセンサデバイスの機能化によって、前記バックグラウンドノイズを除去するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ナノセンサデバイスの結合信号を増幅することによって、前記バックグラウンドノイズを除去するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
サンドイッチアッセイを用いて、前記ナノセンサデバイスの結合信号を増幅するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
主要な干渉成分を除去するように前記試料を前処理することによって、前記バックグラウンドノイズを除去するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
疾病を治療する方法であって、
前記疾病の分子特性の有無を検出するように構成される、ナノセンサデバイスを提供するステップと、
前記疾病の前記分子特性の有無を判定するように、前記ナノセンサデバイスを前記試料と接触させるステップと、
前記疾病を治療するステップと、
を含む、方法。
【請求項45】
ナノセンサの感度を向上させる方法であって、
ナノセンサを提供するステップと、
前記ナノセンサの感受性を向上させるように、液体ゲート電圧および/またはバックゲート電圧によって、バイオセンシング測定を実施するステップと、
を含む、方法。
【請求項46】
バイオセンサアレイを調製する方法であって、
多数の半導体膜を基板上に配置するステップと、
前記バイオセンサアレイの構成要素として前記多数の半導体膜を組み込むステップと、
を含む、方法。
【請求項47】
前記半導体膜は、単結晶シリコンを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記半導体膜は、多結晶および/または非結晶シリコンを含む、請求項46に記載の方法。

【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図6(d)】
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【図6(e)】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図16(c)】
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【図17】
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【図1】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−518311(P2011−518311A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528111(P2010−528111)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/078502
【国際公開番号】WO2009/085356
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510090748)ユニバーシティー オブ サザン カリフォルニア (5)
【Fターム(参考)】