ナノリソグラフィのための平行個別アドレス可能プローブ
【課題】ナノリソグラフィのために、微細に加工されたプローブアレー及びプローブアレーを設計及び製造するプロセスを提供する。
【解決手段】プローブアレーは、熱バイメタル作動または静電作動方法を使用して、独立的に移動されることのできる個別プローブから構成される。プローブアレーは、拡散移転される化合物のトレースを、サブ1マイクロメートル解像度で生成するために使用されることができ、続いて移転されたパターンの変化を読み取る配列走査プローブ顕微鏡として機能することができる。
【解決手段】プローブアレーは、熱バイメタル作動または静電作動方法を使用して、独立的に移動されることのできる個別プローブから構成される。プローブアレーは、拡散移転される化合物のトレースを、サブ1マイクロメートル解像度で生成するために使用されることができ、続いて移転されたパターンの変化を読み取る配列走査プローブ顕微鏡として機能することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ナノリソグラフィ及びナノスケール画像化の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
極度に微細な線幅(たとえば、10〜100nmのオーダ)の高スループットリソグラフィ及び表面パターン化は、マイクロエレクトロニクス産業及びナノテクノロジの将来の成長に重要である。次世代集積回路テクノロジは、必然的に、サブ100nm線幅を有する特徴の効率的及び低コストの生成を必要とする。ナノテクノロジの新興分野は、更に、操作及び修飾されなければならない分子及び細胞のスケールに匹敵する空間解像度で、表面をパターン化及び機能化することを必要とする。
【0003】
依然としてマイクロエレクトロニクス産業で最も広く使用されている従来の投影光学リソグラフィシステムの解像度は、光学回折によって制限される。解像度は、高エネルギー及び短波長を有するビームベースの直接書き込みツールを使用することによって改善されることができる。電子ビーム及びX線に依存するビーム線を含めて、高エネルギービーム線が使用されている。しかし、そのような直接書き込みリソグラフィシステムは、幾つかの欠点を有する。第1に、そのようなシステムは、常に複雑で高価である。第2に、それらのリソグラフィツールは単一のビームで動作し、順次様式でパターンを生成し、したがって低スループットである。第3に、従来の高解像度リソグラフィシステムは、生物学的分子または化合物から成るパターンを堆積することができない。特別の化学レジストが使用されるだけである。
【0004】
ディップペン(Dip−pen)ナノリソグラフィ(DPN)は、最近紹介された走査プローブナノリソグラフィ方法である。DPNの説明は、参照して全体をここに組み込まれるPCT/US00/00319に含まれる。DPNは、化学種の拡散を使用し、或る場合には周囲条件のもとで走査プローブの先端部とサンプルとの間で自然に形成される水のメニスカスを介して、先端部から表面へナノスケールパターンを堆積することによって機能する。先端部が基板の表面を横切って移動されるにつれて、先端部の表面の分子は、先端部と基板表面との間に形成される水のメニスカスを介して輸送される。一度表面へ輸送されると、分子は自分自身を基板へ化学的に固定し、ロバストなパターンを形成する。市販されている窒化珪素先端部を使用して、10ナノメートルから数マイクロメートルまでの特徴を加工することができる。DPN書き込みの線幅に影響する1つの要因は、先端部の線形速度である。先端部の速度が速いと、それだけ小さな線幅が達成される。線幅に影響する他の要因は、DPN先端部の鋭角度及びインクとして使用される分子の拡散率を含む。
【0005】
DPNは多くの独特の利点を提供する。利点の中には、直接書き込み能力、高解像度(〜10nmの線幅解像度、究極〜5nmの空間解像度)、超高ナノ構造レジストレーション能力、化合物(生体分子を含む)を書き込み、また基板(たとえば、Au、SiO2、及びGaAs)に書き込むため、多様な分子を使用する柔軟性、単一の「ナノチップ」の上に多数の化学的または生化学的機能性を集積する能力、パターン化の1層プロセス、及びカスタマイズされたソフトウェアを使用する自動パターン化能力が含まれる。
【0006】
DPNテクノロジは、低コストの商用走査プローブ顕微鏡(SPM)器械を使用して実現されることができる。典型的なセットアップでは、DPNプローブチップが、市販されているSPM先端部と同じようにSPM走査管に取り付けられる。プローブの正確な水平及び垂直移動は、SPM機械の内部レーザ信号フィードバック制御システムを使用することによって得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ディップペンアレーの個別にアドレス可能なプローブを使用して、ナノリソグラフィ、たとえばディップペンナノリソグラフィ、及びナノスケール画像化を提供する。複数の能動プローブを有するプローブアレーが提供される。このプローブアレーは、プローブに結合されたアクチュエータへ電流または電圧を供給して個々のプローブの独立作動を可能にすることによって、従来の単一ペンDPNよりも大きな機能性を実現する。複数の独立にアドレス可能なプローブは、同一または異なる化合物の複数のトレースを生成する。
【0008】
ナノリソグラフィのために少なくとも1つのパターン化化合物を基板へ適用する装置が提供される。装置は、各々のプローブがカンチレバーを含む平行なプローブアレー、少なくとも1つのパターン化化合物の1つを基板へ適用するためカンチレバーの遠位端に置かれた先端部、及びカンチレバーへ動作的に結合されたアクチュエータを含む。プローブはナノリソグラフィのために構成されることができる。アクチュエータは、印加された電流または電圧に応答し、カンチレバー、したがって先端部を移動して基板から離すように設計される。したがって、個々のプローブの先端部と書き込み基板との間の接触状態は、独立的に制御されることができる。DPN書き込みの場合、プローブの先端部が基板を離れるとき、パターン化プロセスが中止される。実施形態の多くの好ましい型が開示される。能動プローブアレーを製造する方法も提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態の1つの型では、アクチュエータは、印加された電流に応答してカンチレバーを偏向し、基板に対して先端部を移動する。アクチュエータは熱によって作動されることができる。
【0010】
好ましい実施形態によれば、熱アクチュエータは、カンチレバーへ接続された抵抗性ヒータ、及び抵抗性ヒータを電流源へ接続する線を含む。電流が抵抗性ヒータを介して印加されたとき、オーミック加熱に起因して熱が生成され、したがって抵抗器及びカンチレバーの温度を上昇させる。カンチレバー及び金属抵抗器の材料の熱膨張率の差に起因して、カンチレバーは、印加された電流に応答して選択的に曲げられる。熱屈曲の範囲を向上するため、薄い金属膜のパッチがカンチレバーへ接続されてよい。
【0011】
本発明の実施形態の第2の型では、アクチュエータは、印加された電圧に応答してカンチレバーを偏向する。アクチュエータは、静電的に作動されることができる。好ましい変位は、2つの電極の間に電圧差を印加することによって作り出される。電極の少なくとも1つは静止していない。
【0012】
静電アクチュエータの好ましい実施形態は、先端部及び反対電極に対向してカンチレバーの内端に形成されたパドル電極を含む。パドル電極は反対電極と対面し、そのギャップは所定のギャップスペースを有する。差動電圧が上部電極と反対電極との間に印加されたとき、結果の静電引力はカンチレバービームを曲げ、したがって先端部の位置を移動する。
【0013】
本発明の好ましい型の方法は、高速プローブベースのナノリソグラフィのために、少なくとも1つのパターン化化合物を基板へ適用する方法を提供する。方法は、個別にアドレス可能なプローブのアレーを提供し、各々のプローブは遠位端に先端部を有し、同一または異なる化学物質で先端部をコーティングし、先端部が基板と接触するように、個別にアドレス可能なプローブのアレーの先端部を基板の上に配置し、基板表面の上でプローブをラスタスキャンし、プローブのアレーから少なくとも1つの選択されたプローブを選択的に作動して、選択されたプローブの先端部を基板から離すように移動するステップを含む。したがって、選択されたプローブは、選択されたときパターン化化合物を基板へ適用せず、その間に、選択されなかったプローブは少なくとも1つのパターン化化合物を基板へ適用する。走査プロセスの間に個々のプローブの位置を制御しながら、配列されたプローブを含むチップをラスタスキャンすることによって、任意の2次元パターンを生成することができる。プローブはナノリソグラフィのために構成されることができる。プローブは、更に、先端部と基板との間の相互作用が、表面の電気的、化学的、または分子の状態を変更する他のナノリソグラフィ手法へ、一般的に応用されることができる。
【0014】
本発明の好ましい方法によれば、少なくとも1つの選択されたプローブを選択的に作動するステップは、カンチレバーへ接続された抵抗性ヒータへ電流を印加して、カンチレバービームが曲げられるようにするステップを含む。カンチレバーの偏向は、基板から先端部を離すように移動して基板の上の書き込みを中止する。
【0015】
本発明の他の好ましい方法によれば、個々のプローブを選択的に作動するステップは、反対電極と、選択されたプローブの端へ接続された移動電極との間に差動電圧を印加することを含む。このようにして、移動電極及び反対電極は相互に向かって移動され、好ましくはプローブのカンチレバーを偏向し、基板から先端部を離すように移動する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように構成したので、能率良く描画できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】DPNプロセスの略図であって、基板(書き込み表面)の上を通過している化合物でコーティングされた単一の先端部を示す。
【図2】本発明の実施形態の1つの型に従ったプローブアレーを有する平行ナノリソグラフィ書き込みシステムであって、補助制御ユニットでインタフェースされたシステムの略図である。
【図3】それぞれ、本発明の実施形態の好ましい型に従って、選択されたプローブの偏向の前後におけるバイメタル熱作動プローブアレーの略図である。
【図4】それぞれ、プローブの偏向の前後におけるバイメタル熱作動プローブの略図である。
【図5】本発明の好ましい態様に従った熱作動プローブの製造プロセスの主なステップを示す略図である。
【図6】それぞれ、図5(B)〜図5(E)で示された製造ステップを上から見た略図である。
【図7】本発明の実施形態の好ましい型に従った静電作動プローブの略図である。
【図8】本発明の実施形態の好ましい型に従った静電作動プローブのアレーの略図である。
【図9】静電アクチュエータプローブを上から見た略図である。
【図10】図9の指示された方向に沿って取られた断面図であり、本発明の好ましい方法に従った静電作動プローブの製造ステップを示す。
【図11】本発明の他の好ましい実施形態に従った2次元アレーDPNナノプロッタの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般的に言って、本発明は、直接書き込みナノリソグラフィ、たとえばDPNを達成するように設計された能動プローブ及び能動プローブアレーを提供する。本発明に従った装置は、高速、平行、及び制御可能な様式でサブ100nmパターンを生成することができる。能動プローブアレーは、プローブのアクチュエータへ電流または電圧を供給して個々のプローブの作動を可能にすることによって、より大きな機能性を提供する。本発明は、主として、能動プローブアレーを使用する平行DPNの方法及び装置、並びに能動プローブ及び能動プローブアレーを製造する方法に向けられている。
【0019】
能動プローブアレーは、更に、走査プローブ顕微鏡(SPM)器械ファミリーに基づく他の既存または将来の表面パターン化及びリソグラフィ方法に使用されることができる。原子力顕微鏡(AFM)は、SPM器械ファミリーの1つのメンバーと考えられる。そのようなリソグラフィシステムの例は、局所熱酸化及び転置リソグラフィを含む。
【0020】
ここで図1を参照すると、従来のDPNプロセスの例が示される。DPNは、AFMプローブ22(または他のSPMプローブ)のカンチレバーの遠位端にある先端部を使用して、固い書き込み基板24、たとえば金の上に、ナノスケールパターンを堆積または「書き込む」。先端部20は、その上にコーティングされたパターン化化合物26を書き込み基板24へ適用する。パターン化化合物26は、書き込み基板24との化学的親和力を有する疎水性パターン化化合物、たとえば1−オクタデカンチオール(ODT)メルカプトヘキサデカン酸(MHA)であってよいが、それに限定されない。
【0021】
従来の顕微鏡的「ディップペン」(たとえば、羽根ペン、万年筆、ボールペン、またはマルチペンプロッタ)と同じように、DPNは、分子(毛細管)輸送を使用して、先端部20から書き込み基板24へパターン化化合物26を移送し、パターン化化合物のパターン28を形成する。作業域内の相対湿度に起因して、先端部20と書き込み基板24との間に水のメニスカス30が形成される。図1で示されるように、先端部が書き込み基板に対して書き込み方向Wへ移動されるにつれて、メニスカスは先端部から書き込み基板へパターン化化合物26を搬送する。
【0022】
初期のDPNプロセスは、ただ1つのプローブ22(ペン)を含んだ。書き込み基板24の上に複数のパターン28を書き込むため、8つまでの市販プローブ22から構成され、プローブ間の間隔が1.4mmのアレーを使用して、平行パターンも実現された。この手法は、更に、複数のパターン28の適用を可能にする。その場合、各々のパターンは、異なったパターン化化合物、たとえば生体化合物を含む。平行書き込みは、更に、たとえば、集積回路形成の間にパターン28を形成するのに有用である。平行プローブ構造の例は、「ディップペン」(R.Pinerら、「Dip−pen」 Nanolithography,Science,1999、v.283、pp.661〜663)、(S.Hongら、Multiple Ink Nanolithography:Toward a Multiple−Pen Nano−Plotter、1999、v.286、pp.523〜525)、及び(S.Hongら、A Nanoplotter with Both Parallel and Serial Writing Capabilities、Science、v.288、pp.1808−1811)で見ることができる。
【0023】
従来の平行プローブDPNプロセスは、市販のAFMプローブ22を使用して実行される。個々のプローブ22は、相互から独立に移動されることはできない。したがって、全てのプローブ22は、同時に移動しなければならない。更に、現在の平行DPNアレーのプローブ間のスペースは、或るDPN応用には大きすぎて、高スループット及び高密度配列DPN書き込みシステムの必要性を十分に満足させることができない。本発明は、独立的に能動で、微細に加工され、好ましくは密接スペースDPNプローブを有するナノプロッタを提供する。
【0024】
図2は、本発明の実施形態の1つの型に従った能動マルチペン平行DPN書き込みシステム32の略図である。複数の能動プローブ38を含むプローブアレーを有するDPNプローブチップ34は、標準のシングル先端部AFMプローブと類似した方法でAFM走査管40へ取り付けられる。典型的には圧電管エレクトロニクスであるAFMフィードバックエレクトロニクス42は、プローブチップ34の水平及び垂直移動を制御する。
【0025】
能動プローブ38の先端部20が書き込み基板24と接触しているとき、好ましくは、プローブチップ34がパターン化のために基板24に沿ってラスタスキャンされる間に、接続された補助制御回路48によって制御される集積アクチュエータ(図2に図示されていない)は、先端部の個々の移動を方向づける。「接触」の用語は、パターン化化合物26のパターン化を可能にするように、先端部20と基板24との間の十分な近接性を意味する。アクチュエータは、プローブチップ34を介して制御ユニット48から電流または電圧を供給されたとき、能動プローブ38のカンチレバー50を移動して、カンチレバーの端にある先端部20を、書き込み基板24から離すように持ち上げる。これは化学的堆積プロセスを中止する。このようにして、能動プローブ38は、電流または電圧の選択的印加によって個別に制御され、任意のパターンを高スループットで作り出すことができる。
【0026】
図3(A)及び図3(B)は、それぞれ、選択されたプローブの作動の前後における本発明の実施形態の好ましい型に従った熱作動プローブ54のアレー56を示す。図3(A)では、アレー56は、5つの熱作動プローブ54を有するように示されるが、プローブ54のいずれも作動されていない。図3(B)で示されるように、印加された電流に応答して、第2及び第4の熱作動プローブ(矢印で示される)が上方へ曲げられ(図3(A)及び図3(B)では紙面の中へ)、それらの先端部20を書き込み基板24から離すように移動し、化学的堆積を中止する。当業者は、パターン28を形成するための電流の選択的分配が、制御回路48をプログラムすることによって制御されることを理解するであろう。
【0027】
熱作動プローブ54のカンチレバービーム50の材料は、好ましくは、減圧化学気相成長法(LPCVD)によって形成された窒化珪素薄膜である。本発明の方法の好ましい型によれば、熱作動プローブ54は、少なくとも抵抗性ヒータ66を有する熱アクチュエータを含む窒化珪素プローブを作成することによって形成される。
【0028】
図4(A)及び図4(B)は、それぞれ、非屈曲状態及び屈曲(作動)状態にある熱作動プローブ54の1つを示す。熱作動プローブ54の窒化珪素カンチレバー50の上にパターン化された抵抗性ヒータ66は、抵抗性ヒータへ電流を搬送するボンディングワイヤ70へ結合される。一方、ボンディングワイヤ70は、電流をボンディングワイヤ70へ選択的に分配するため、したがって熱作動プローブ54を作動するため、制御回路48へ結合される。好ましくは、金属膜のパッチ68がカンチレバー50へ連結され、プローブ54の偏向を増大させる。
【0029】
図5(A)〜図5(E)、及び図6(A)〜図6(D)は、それぞれ、ただ1つの熱作動プローブ54及び一対の熱作動プローブを形成する熱作動プローブアレー56の形成ステップを示す。図5Aを参照すると、二酸化珪素薄膜60が、シリコン基板62の前面、好ましくは<100>方位シリコンウェーハの上に成長させられ、先端部20を作り出すための保護マスクを形成する。酸化層60は、先端部20を形成するマスクを実現するためフォトリソグラフィによってパターン化される。図5(B)(更に、図6(A))では、先端部20のピラミッド形を規定するシリコン基板62の一部分が、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)における異方性ウェットエッチングを使用して形成される。次に、図5(C)(図6(B))で示されるように、LPCVD窒化珪素の層64が堆積され、エッチングされたシリコン基板62の上へパターン化され、カンチレバー50を含む熱能動プローブ54の形状を規定する。図5(D)(図6(C))で示されるように、抵抗性(オーミック)ヒータ66及び(オプションの)金属パッチ68が、たとえば、窒化珪素の層64の上にCr/Auを堆積及びパターン化することによって、熱作動プローブ54の上に形成され、集積されたバイメタル熱アクチュエータが作り出される。次に、熱作動プローブ54は、支持基板62をアンダーカットするためEDPエッチングを使用することによってリリースされる。図4(A)及び図4(B)で示されるように、シリコン基板62の一部分は、熱作動プローブ54のハンドルを提供する。
【0030】
動作において、熱作動プローブ54は、印加された電流に応答して、抵抗性ヒータ66及び任意的パッチ68の金属と熱作動プローブのカンチレバー50との異なった熱膨張に起因して長さに沿って曲がり、先端部20を移動する。好ましい動作方法では、制御回路48は、ボンディングワイヤ70を介して電流を抵抗性ヒータ66へ送り、窒化珪素カンチレバー50及び金のパッチ68の異なった熱膨張に起因して熱作動プローブ54を半径Rの円弧へ曲げる。
【0031】
所与の温度変化ΔTでのRの式は、近似的に
【0032】
【数1】
である。パラメータw、t、E、及びαは、それぞれ、材料1及び2として示される2つの構成材料の幅、厚さ、ヤングの弾性率、及び熱膨張率である。下付き数字は、これらの2つの材料に対応する。熱アクチュエータの温度は、ビームの熱平衡によって記述される。熱は抵抗性加熱によって生成され、伝導及び対流によって失われる。
【0033】
熱作動プローブ54において、カンチレバービーム50の屈曲は、先端部20の偏向δを生じる。
【0034】
【数2】
したがって、図4(B)で示されるように、選択されたボンディングワイヤ70を介して電流を印加すると、ボンディングワイヤへ接続された熱作動プローブ54のカンチレバー50は、上方へ偏向して先端部20を移動する。
【0035】
平行な多数の能動プローブ38が、プローブチップ34の上に集積されたとき、プローブベースのナノリソグラフィのスループットを非常に高くすることができる。前述したような本発明の実施形態の好ましい型に従って製造された熱作動プローブアレー56は、高いプローブ密度(中心から中心までの間隔が100μm)及び集積された鋭い先端部を有するコンパクトなナノプロッタとなり、ナノリソグラフィ及びAFM画像化に使用されることができる。
【0036】
本発明の実施形態の他の好ましい型によれば、図7の好ましい型の実施形態で示される静電作動プローブ72が提供される。好ましくは、プローブ72は、プローブチップ34と組み合わせて図8の好ましい実施形態で示される静電プローブアレー74のユニットとして形成される。
【0037】
図7及び図8で示されるように、静電作動プローブ72は静電アクチュエータ76を含む。静電アクチュエータ76は、カンチレバー50の長手方向の内端に、長手方向で先端部20に対向したパドル形プレート78を含む。パドル形プレート78は、好ましくは、静電作動プローブ72と一体的に形成される。更に、静電アクチュエータ76は反対電極81を含む。反対電極81は、好ましくは静止しており、パドル形プレート78と静電的に相互作用するためプローブチップ34の上に形成されることができる。反対電極81は、それと長手方向で対向している多数のボンディングパッド85へ電気的に接続された電極の平行アレーの一部分として形成されることができる。双方は、ガラス基板94へパターン化されるか、接着されるか、形成されるか、または取り付けられる。ガラス基板94は、完成した実施形態では、反対電極及び接続ボンディングパッドのアレーをカバーする。1つまたは複数のボンディングパッドへ電圧を選択的に印加するため、ボンディングパッド85は、好ましくは、制御回路48へ電気的に接続される。反対電極81及びボンディングパッド85を含むガラス層94の加工方法は、当業者に明かであろう。
【0038】
更に、静電作動プローブへねじれ支点を提供するため、静電作動プローブ72は、コンパクトなソフトスプリング80によって、好ましくはカンチレバーの中間地点またはその近くでカンチレバー50に沿って支持され、プローブの先端部20を移動するためプローブの偏向及び角度運動を可能にするのが好ましい。図8で示されるように、静電作動プローブ72のアレー74の各々のスプリング80は、好ましくは、各々の個別のプローブを通して横方向に延びる単一部品(たとえば、ねじれビーム)の1セクションである。更に、スプリング80の各々のセクションは、カンチレバー50の長手方向と平行な方向で比較的小さな断面を有することが好ましい。当業者に分かるように、スプリング80の寸法、たとえば断面積、及び先端部20に対するスプリング80のロケーションは、カンチレバー50の角柔軟性を制御するため、境界条件に依存して変更されることができる。
【0039】
図9は、静電作動プローブ72の好ましい実施形態の平面図である。要求されるわけではないが、カンチレバー50、パドル形プレート78、及びソフトスプリング80は、ホウ素をドープされたシリコンから一体的に形成されるのが好ましい。この材料は、EDP溶液における低いエッチングレート、及び比較的に高い導電率のために好ましい。
【0040】
静電作動プローブ72の好ましい製造方法は、図10(A)〜図10(F)に示される。先ず図10(A)を参照すると、<100>方位シリコンウェーハ86とエピタキシャル<100>方位シリコン層88との間に挟まれ、高濃度のホウ素でドープされたシリコン層84を含む3層ウェーハの前面に、二酸化珪素層82が成長させられる。代替的に、シリコン層84はリンでドープされてよい。二酸化珪素層82は、先端部20を形成するためのマスクの境界を規定する。更に、二酸化珪素層82は、スペーサ90を形成するための境界を規定することができる。スペーサ90は、反対電極81から静電作動プローブ72を垂直方向で分離する。反対電極81は、分離されたガラス基板94の上にパターン化される。図10(B)では、シリコン先端部20及びスペーサ90が、EDPエッチングによってエピタキシャルシリコンウェーハ88から形成される。次に、図10(C)で示されるように、最終リリースの間に前面を保護するため、先端部20、スペーサ90、及びホウ素でドープされたシリコン層84を含むエピタキシャルシリコンウェーハ88の上に、熱酸化層92が成長させられる。次に、図10(D)で示されるように、シリコンウェーハ86がEDPによってエッチングされ、ホウ素でドープされたシリコン層84の下の材料が除去され、ホウ素でドープされたシリコンカンチレバー50がリリースされる。
【0041】
次に、図10(E)で示されるように、熱酸化層92が除去され、アレーの中の各々のプローブについて、好ましくは一体的にカンチレバー50、ソフトスプリング80、及びパドル形プレート78を含み、ホウ素でドープされたシリコン層84から、静電作動プローブ84が形成される。好ましくは、パドル形プレート78とソフトスプリング80との間で長手方向に配置されたカンチレバー50の部分は、カンチレバーの遠位部分よりも、横方向、即ち、ソフトスプリングの長さに平行な方向で、断面積が広い。それによって、先端部20の偏向は大きくなる。なぜなら、曲げトルクは支持スプリング80へ完全に伝達されるからである。静電作動プローブ72はリリースされる。
【0042】
最後に、図10(F)で示されるように、ガラス94の層及び接続された反対電極81が、スペーサ90の上に形成または配置される。
【0043】
好ましい製造方法は、鋭い先端部20(好ましくは、<100nmの曲率半径)及び約620μmの中心間の間隔を有する静電作動プローブ72を生じる。したがって、本発明の好ましい実施形態に従った静電作動プローブ72は、DPN書き込み及びAFM画像化に使用されることができる。
【0044】
ボンディングワイヤ(図示されていない)は、好ましくは、パドル形プレート78を大地電位へ接続し、その一方で、反対電極81は、好ましくは、電圧を反対電極へ印加するためのボンディングパッド85を介して、制御回路48へ電気的に結合される。パドル形プレート78の電位と、反対電極81の電位とは、代替として逆にされてよいことが分かるであろう。即ち、パドル形プレートが電圧源へ結合され、反対電極が接地されてよい。そのような代替の実施形態に必要な修正は、当業者によって理解されるであろう。
【0045】
好ましい動作方法では、電位をパドル形プレート78へ印加するため、電圧がパドル形プレート78へ印加され、その一方で、導電性反対電極81が接地される。再び、代替として、反対電極81とパドル形プレート78との間で、電圧印加と接地との機能が逆にされてよい。いずれの動作も、好ましくは、スペーサ90によって分離される反対電極81とパドル形プレート78との間に、差動電圧を印加する。反対電極81のプレートとパドル形プレート78との間に引力が生じ、この引力はそれらを相互に引き寄せ、したがってカンチレバー50を傾け、好ましくは、ソフトスプリング80に関してカンチレバー50を角度的に偏向し、先端部20を基板24から離すように移動する。したがって、熱作動プローブ54と同じように、先端部20は、選択的に持ち上げられ、書き込み(または画像化)プロセスを中止することができる。
【0046】
多くの好ましい実施形態が、能動1次元アレーについて説明された。しかし、アレーは2次元でも同じように可能である。図11は、本発明の他の好ましい実施形態に従った2次元アレー100を示す。図11で示される2次元アレー100は、下方へ曲がったプローブ104の6行及び5列を有するチップ102を含む。下方へ曲がったプローブ104は、たとえば、熱作動プローブアレー56の形成プロセスを修正して、好ましくは、2次元アレー100に沿って均一に配置されたキャビティ(反復されたセル)から個々の熱作動プローブ54のカンチレバーを延長することによって、製造されることができる。熱作動プローブ54は、各々のカンチレバー50に必要な長さが短くなることに起因して、好ましくは、2次元アレー100の中で下方へ曲がったプローブ104として集積される。2次元アレー100における熱作動プローブ54のために製造及び動作のステップを修正する方法は、当業者によって理解されるであろう。
【0047】
当業者は、様々な特質及び利点を有するDPNアレーの幾つかの発明的装置及び方法が、図示及び説明されたことを理解することができる。熱的または静電的に電流または電圧を印加し、個別にアドレス及び作動されるように各々のプローブを構成することによって、本発明の実施形態に従った能動プローブアレーは、増加した解像度及び従来の方法に匹敵するスループットで、任意のパターンを形成することができる。
【0048】
本発明の様々な実施形態が図示及び説明されたが、他の修正、置換、及び代替が当業者に明かであることを理解すべきである。そのような修正、置換、及び代替は、添付のクレイムから決定されるべきである本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われることができる。
本発明の様々な特徴が添付のクレイムに記載される。
【符号の説明】
【0049】
20 先端部
24 基板
32 能動マルチペン平行DPN書き込みシステム
34 DPNプローブチップ
38 能動プローブ
40 AFM走査管
50 カンチレバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ナノリソグラフィ及びナノスケール画像化の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
極度に微細な線幅(たとえば、10〜100nmのオーダ)の高スループットリソグラフィ及び表面パターン化は、マイクロエレクトロニクス産業及びナノテクノロジの将来の成長に重要である。次世代集積回路テクノロジは、必然的に、サブ100nm線幅を有する特徴の効率的及び低コストの生成を必要とする。ナノテクノロジの新興分野は、更に、操作及び修飾されなければならない分子及び細胞のスケールに匹敵する空間解像度で、表面をパターン化及び機能化することを必要とする。
【0003】
依然としてマイクロエレクトロニクス産業で最も広く使用されている従来の投影光学リソグラフィシステムの解像度は、光学回折によって制限される。解像度は、高エネルギー及び短波長を有するビームベースの直接書き込みツールを使用することによって改善されることができる。電子ビーム及びX線に依存するビーム線を含めて、高エネルギービーム線が使用されている。しかし、そのような直接書き込みリソグラフィシステムは、幾つかの欠点を有する。第1に、そのようなシステムは、常に複雑で高価である。第2に、それらのリソグラフィツールは単一のビームで動作し、順次様式でパターンを生成し、したがって低スループットである。第3に、従来の高解像度リソグラフィシステムは、生物学的分子または化合物から成るパターンを堆積することができない。特別の化学レジストが使用されるだけである。
【0004】
ディップペン(Dip−pen)ナノリソグラフィ(DPN)は、最近紹介された走査プローブナノリソグラフィ方法である。DPNの説明は、参照して全体をここに組み込まれるPCT/US00/00319に含まれる。DPNは、化学種の拡散を使用し、或る場合には周囲条件のもとで走査プローブの先端部とサンプルとの間で自然に形成される水のメニスカスを介して、先端部から表面へナノスケールパターンを堆積することによって機能する。先端部が基板の表面を横切って移動されるにつれて、先端部の表面の分子は、先端部と基板表面との間に形成される水のメニスカスを介して輸送される。一度表面へ輸送されると、分子は自分自身を基板へ化学的に固定し、ロバストなパターンを形成する。市販されている窒化珪素先端部を使用して、10ナノメートルから数マイクロメートルまでの特徴を加工することができる。DPN書き込みの線幅に影響する1つの要因は、先端部の線形速度である。先端部の速度が速いと、それだけ小さな線幅が達成される。線幅に影響する他の要因は、DPN先端部の鋭角度及びインクとして使用される分子の拡散率を含む。
【0005】
DPNは多くの独特の利点を提供する。利点の中には、直接書き込み能力、高解像度(〜10nmの線幅解像度、究極〜5nmの空間解像度)、超高ナノ構造レジストレーション能力、化合物(生体分子を含む)を書き込み、また基板(たとえば、Au、SiO2、及びGaAs)に書き込むため、多様な分子を使用する柔軟性、単一の「ナノチップ」の上に多数の化学的または生化学的機能性を集積する能力、パターン化の1層プロセス、及びカスタマイズされたソフトウェアを使用する自動パターン化能力が含まれる。
【0006】
DPNテクノロジは、低コストの商用走査プローブ顕微鏡(SPM)器械を使用して実現されることができる。典型的なセットアップでは、DPNプローブチップが、市販されているSPM先端部と同じようにSPM走査管に取り付けられる。プローブの正確な水平及び垂直移動は、SPM機械の内部レーザ信号フィードバック制御システムを使用することによって得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ディップペンアレーの個別にアドレス可能なプローブを使用して、ナノリソグラフィ、たとえばディップペンナノリソグラフィ、及びナノスケール画像化を提供する。複数の能動プローブを有するプローブアレーが提供される。このプローブアレーは、プローブに結合されたアクチュエータへ電流または電圧を供給して個々のプローブの独立作動を可能にすることによって、従来の単一ペンDPNよりも大きな機能性を実現する。複数の独立にアドレス可能なプローブは、同一または異なる化合物の複数のトレースを生成する。
【0008】
ナノリソグラフィのために少なくとも1つのパターン化化合物を基板へ適用する装置が提供される。装置は、各々のプローブがカンチレバーを含む平行なプローブアレー、少なくとも1つのパターン化化合物の1つを基板へ適用するためカンチレバーの遠位端に置かれた先端部、及びカンチレバーへ動作的に結合されたアクチュエータを含む。プローブはナノリソグラフィのために構成されることができる。アクチュエータは、印加された電流または電圧に応答し、カンチレバー、したがって先端部を移動して基板から離すように設計される。したがって、個々のプローブの先端部と書き込み基板との間の接触状態は、独立的に制御されることができる。DPN書き込みの場合、プローブの先端部が基板を離れるとき、パターン化プロセスが中止される。実施形態の多くの好ましい型が開示される。能動プローブアレーを製造する方法も提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態の1つの型では、アクチュエータは、印加された電流に応答してカンチレバーを偏向し、基板に対して先端部を移動する。アクチュエータは熱によって作動されることができる。
【0010】
好ましい実施形態によれば、熱アクチュエータは、カンチレバーへ接続された抵抗性ヒータ、及び抵抗性ヒータを電流源へ接続する線を含む。電流が抵抗性ヒータを介して印加されたとき、オーミック加熱に起因して熱が生成され、したがって抵抗器及びカンチレバーの温度を上昇させる。カンチレバー及び金属抵抗器の材料の熱膨張率の差に起因して、カンチレバーは、印加された電流に応答して選択的に曲げられる。熱屈曲の範囲を向上するため、薄い金属膜のパッチがカンチレバーへ接続されてよい。
【0011】
本発明の実施形態の第2の型では、アクチュエータは、印加された電圧に応答してカンチレバーを偏向する。アクチュエータは、静電的に作動されることができる。好ましい変位は、2つの電極の間に電圧差を印加することによって作り出される。電極の少なくとも1つは静止していない。
【0012】
静電アクチュエータの好ましい実施形態は、先端部及び反対電極に対向してカンチレバーの内端に形成されたパドル電極を含む。パドル電極は反対電極と対面し、そのギャップは所定のギャップスペースを有する。差動電圧が上部電極と反対電極との間に印加されたとき、結果の静電引力はカンチレバービームを曲げ、したがって先端部の位置を移動する。
【0013】
本発明の好ましい型の方法は、高速プローブベースのナノリソグラフィのために、少なくとも1つのパターン化化合物を基板へ適用する方法を提供する。方法は、個別にアドレス可能なプローブのアレーを提供し、各々のプローブは遠位端に先端部を有し、同一または異なる化学物質で先端部をコーティングし、先端部が基板と接触するように、個別にアドレス可能なプローブのアレーの先端部を基板の上に配置し、基板表面の上でプローブをラスタスキャンし、プローブのアレーから少なくとも1つの選択されたプローブを選択的に作動して、選択されたプローブの先端部を基板から離すように移動するステップを含む。したがって、選択されたプローブは、選択されたときパターン化化合物を基板へ適用せず、その間に、選択されなかったプローブは少なくとも1つのパターン化化合物を基板へ適用する。走査プロセスの間に個々のプローブの位置を制御しながら、配列されたプローブを含むチップをラスタスキャンすることによって、任意の2次元パターンを生成することができる。プローブはナノリソグラフィのために構成されることができる。プローブは、更に、先端部と基板との間の相互作用が、表面の電気的、化学的、または分子の状態を変更する他のナノリソグラフィ手法へ、一般的に応用されることができる。
【0014】
本発明の好ましい方法によれば、少なくとも1つの選択されたプローブを選択的に作動するステップは、カンチレバーへ接続された抵抗性ヒータへ電流を印加して、カンチレバービームが曲げられるようにするステップを含む。カンチレバーの偏向は、基板から先端部を離すように移動して基板の上の書き込みを中止する。
【0015】
本発明の他の好ましい方法によれば、個々のプローブを選択的に作動するステップは、反対電極と、選択されたプローブの端へ接続された移動電極との間に差動電圧を印加することを含む。このようにして、移動電極及び反対電極は相互に向かって移動され、好ましくはプローブのカンチレバーを偏向し、基板から先端部を離すように移動する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように構成したので、能率良く描画できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】DPNプロセスの略図であって、基板(書き込み表面)の上を通過している化合物でコーティングされた単一の先端部を示す。
【図2】本発明の実施形態の1つの型に従ったプローブアレーを有する平行ナノリソグラフィ書き込みシステムであって、補助制御ユニットでインタフェースされたシステムの略図である。
【図3】それぞれ、本発明の実施形態の好ましい型に従って、選択されたプローブの偏向の前後におけるバイメタル熱作動プローブアレーの略図である。
【図4】それぞれ、プローブの偏向の前後におけるバイメタル熱作動プローブの略図である。
【図5】本発明の好ましい態様に従った熱作動プローブの製造プロセスの主なステップを示す略図である。
【図6】それぞれ、図5(B)〜図5(E)で示された製造ステップを上から見た略図である。
【図7】本発明の実施形態の好ましい型に従った静電作動プローブの略図である。
【図8】本発明の実施形態の好ましい型に従った静電作動プローブのアレーの略図である。
【図9】静電アクチュエータプローブを上から見た略図である。
【図10】図9の指示された方向に沿って取られた断面図であり、本発明の好ましい方法に従った静電作動プローブの製造ステップを示す。
【図11】本発明の他の好ましい実施形態に従った2次元アレーDPNナノプロッタの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般的に言って、本発明は、直接書き込みナノリソグラフィ、たとえばDPNを達成するように設計された能動プローブ及び能動プローブアレーを提供する。本発明に従った装置は、高速、平行、及び制御可能な様式でサブ100nmパターンを生成することができる。能動プローブアレーは、プローブのアクチュエータへ電流または電圧を供給して個々のプローブの作動を可能にすることによって、より大きな機能性を提供する。本発明は、主として、能動プローブアレーを使用する平行DPNの方法及び装置、並びに能動プローブ及び能動プローブアレーを製造する方法に向けられている。
【0019】
能動プローブアレーは、更に、走査プローブ顕微鏡(SPM)器械ファミリーに基づく他の既存または将来の表面パターン化及びリソグラフィ方法に使用されることができる。原子力顕微鏡(AFM)は、SPM器械ファミリーの1つのメンバーと考えられる。そのようなリソグラフィシステムの例は、局所熱酸化及び転置リソグラフィを含む。
【0020】
ここで図1を参照すると、従来のDPNプロセスの例が示される。DPNは、AFMプローブ22(または他のSPMプローブ)のカンチレバーの遠位端にある先端部を使用して、固い書き込み基板24、たとえば金の上に、ナノスケールパターンを堆積または「書き込む」。先端部20は、その上にコーティングされたパターン化化合物26を書き込み基板24へ適用する。パターン化化合物26は、書き込み基板24との化学的親和力を有する疎水性パターン化化合物、たとえば1−オクタデカンチオール(ODT)メルカプトヘキサデカン酸(MHA)であってよいが、それに限定されない。
【0021】
従来の顕微鏡的「ディップペン」(たとえば、羽根ペン、万年筆、ボールペン、またはマルチペンプロッタ)と同じように、DPNは、分子(毛細管)輸送を使用して、先端部20から書き込み基板24へパターン化化合物26を移送し、パターン化化合物のパターン28を形成する。作業域内の相対湿度に起因して、先端部20と書き込み基板24との間に水のメニスカス30が形成される。図1で示されるように、先端部が書き込み基板に対して書き込み方向Wへ移動されるにつれて、メニスカスは先端部から書き込み基板へパターン化化合物26を搬送する。
【0022】
初期のDPNプロセスは、ただ1つのプローブ22(ペン)を含んだ。書き込み基板24の上に複数のパターン28を書き込むため、8つまでの市販プローブ22から構成され、プローブ間の間隔が1.4mmのアレーを使用して、平行パターンも実現された。この手法は、更に、複数のパターン28の適用を可能にする。その場合、各々のパターンは、異なったパターン化化合物、たとえば生体化合物を含む。平行書き込みは、更に、たとえば、集積回路形成の間にパターン28を形成するのに有用である。平行プローブ構造の例は、「ディップペン」(R.Pinerら、「Dip−pen」 Nanolithography,Science,1999、v.283、pp.661〜663)、(S.Hongら、Multiple Ink Nanolithography:Toward a Multiple−Pen Nano−Plotter、1999、v.286、pp.523〜525)、及び(S.Hongら、A Nanoplotter with Both Parallel and Serial Writing Capabilities、Science、v.288、pp.1808−1811)で見ることができる。
【0023】
従来の平行プローブDPNプロセスは、市販のAFMプローブ22を使用して実行される。個々のプローブ22は、相互から独立に移動されることはできない。したがって、全てのプローブ22は、同時に移動しなければならない。更に、現在の平行DPNアレーのプローブ間のスペースは、或るDPN応用には大きすぎて、高スループット及び高密度配列DPN書き込みシステムの必要性を十分に満足させることができない。本発明は、独立的に能動で、微細に加工され、好ましくは密接スペースDPNプローブを有するナノプロッタを提供する。
【0024】
図2は、本発明の実施形態の1つの型に従った能動マルチペン平行DPN書き込みシステム32の略図である。複数の能動プローブ38を含むプローブアレーを有するDPNプローブチップ34は、標準のシングル先端部AFMプローブと類似した方法でAFM走査管40へ取り付けられる。典型的には圧電管エレクトロニクスであるAFMフィードバックエレクトロニクス42は、プローブチップ34の水平及び垂直移動を制御する。
【0025】
能動プローブ38の先端部20が書き込み基板24と接触しているとき、好ましくは、プローブチップ34がパターン化のために基板24に沿ってラスタスキャンされる間に、接続された補助制御回路48によって制御される集積アクチュエータ(図2に図示されていない)は、先端部の個々の移動を方向づける。「接触」の用語は、パターン化化合物26のパターン化を可能にするように、先端部20と基板24との間の十分な近接性を意味する。アクチュエータは、プローブチップ34を介して制御ユニット48から電流または電圧を供給されたとき、能動プローブ38のカンチレバー50を移動して、カンチレバーの端にある先端部20を、書き込み基板24から離すように持ち上げる。これは化学的堆積プロセスを中止する。このようにして、能動プローブ38は、電流または電圧の選択的印加によって個別に制御され、任意のパターンを高スループットで作り出すことができる。
【0026】
図3(A)及び図3(B)は、それぞれ、選択されたプローブの作動の前後における本発明の実施形態の好ましい型に従った熱作動プローブ54のアレー56を示す。図3(A)では、アレー56は、5つの熱作動プローブ54を有するように示されるが、プローブ54のいずれも作動されていない。図3(B)で示されるように、印加された電流に応答して、第2及び第4の熱作動プローブ(矢印で示される)が上方へ曲げられ(図3(A)及び図3(B)では紙面の中へ)、それらの先端部20を書き込み基板24から離すように移動し、化学的堆積を中止する。当業者は、パターン28を形成するための電流の選択的分配が、制御回路48をプログラムすることによって制御されることを理解するであろう。
【0027】
熱作動プローブ54のカンチレバービーム50の材料は、好ましくは、減圧化学気相成長法(LPCVD)によって形成された窒化珪素薄膜である。本発明の方法の好ましい型によれば、熱作動プローブ54は、少なくとも抵抗性ヒータ66を有する熱アクチュエータを含む窒化珪素プローブを作成することによって形成される。
【0028】
図4(A)及び図4(B)は、それぞれ、非屈曲状態及び屈曲(作動)状態にある熱作動プローブ54の1つを示す。熱作動プローブ54の窒化珪素カンチレバー50の上にパターン化された抵抗性ヒータ66は、抵抗性ヒータへ電流を搬送するボンディングワイヤ70へ結合される。一方、ボンディングワイヤ70は、電流をボンディングワイヤ70へ選択的に分配するため、したがって熱作動プローブ54を作動するため、制御回路48へ結合される。好ましくは、金属膜のパッチ68がカンチレバー50へ連結され、プローブ54の偏向を増大させる。
【0029】
図5(A)〜図5(E)、及び図6(A)〜図6(D)は、それぞれ、ただ1つの熱作動プローブ54及び一対の熱作動プローブを形成する熱作動プローブアレー56の形成ステップを示す。図5Aを参照すると、二酸化珪素薄膜60が、シリコン基板62の前面、好ましくは<100>方位シリコンウェーハの上に成長させられ、先端部20を作り出すための保護マスクを形成する。酸化層60は、先端部20を形成するマスクを実現するためフォトリソグラフィによってパターン化される。図5(B)(更に、図6(A))では、先端部20のピラミッド形を規定するシリコン基板62の一部分が、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)における異方性ウェットエッチングを使用して形成される。次に、図5(C)(図6(B))で示されるように、LPCVD窒化珪素の層64が堆積され、エッチングされたシリコン基板62の上へパターン化され、カンチレバー50を含む熱能動プローブ54の形状を規定する。図5(D)(図6(C))で示されるように、抵抗性(オーミック)ヒータ66及び(オプションの)金属パッチ68が、たとえば、窒化珪素の層64の上にCr/Auを堆積及びパターン化することによって、熱作動プローブ54の上に形成され、集積されたバイメタル熱アクチュエータが作り出される。次に、熱作動プローブ54は、支持基板62をアンダーカットするためEDPエッチングを使用することによってリリースされる。図4(A)及び図4(B)で示されるように、シリコン基板62の一部分は、熱作動プローブ54のハンドルを提供する。
【0030】
動作において、熱作動プローブ54は、印加された電流に応答して、抵抗性ヒータ66及び任意的パッチ68の金属と熱作動プローブのカンチレバー50との異なった熱膨張に起因して長さに沿って曲がり、先端部20を移動する。好ましい動作方法では、制御回路48は、ボンディングワイヤ70を介して電流を抵抗性ヒータ66へ送り、窒化珪素カンチレバー50及び金のパッチ68の異なった熱膨張に起因して熱作動プローブ54を半径Rの円弧へ曲げる。
【0031】
所与の温度変化ΔTでのRの式は、近似的に
【0032】
【数1】
である。パラメータw、t、E、及びαは、それぞれ、材料1及び2として示される2つの構成材料の幅、厚さ、ヤングの弾性率、及び熱膨張率である。下付き数字は、これらの2つの材料に対応する。熱アクチュエータの温度は、ビームの熱平衡によって記述される。熱は抵抗性加熱によって生成され、伝導及び対流によって失われる。
【0033】
熱作動プローブ54において、カンチレバービーム50の屈曲は、先端部20の偏向δを生じる。
【0034】
【数2】
したがって、図4(B)で示されるように、選択されたボンディングワイヤ70を介して電流を印加すると、ボンディングワイヤへ接続された熱作動プローブ54のカンチレバー50は、上方へ偏向して先端部20を移動する。
【0035】
平行な多数の能動プローブ38が、プローブチップ34の上に集積されたとき、プローブベースのナノリソグラフィのスループットを非常に高くすることができる。前述したような本発明の実施形態の好ましい型に従って製造された熱作動プローブアレー56は、高いプローブ密度(中心から中心までの間隔が100μm)及び集積された鋭い先端部を有するコンパクトなナノプロッタとなり、ナノリソグラフィ及びAFM画像化に使用されることができる。
【0036】
本発明の実施形態の他の好ましい型によれば、図7の好ましい型の実施形態で示される静電作動プローブ72が提供される。好ましくは、プローブ72は、プローブチップ34と組み合わせて図8の好ましい実施形態で示される静電プローブアレー74のユニットとして形成される。
【0037】
図7及び図8で示されるように、静電作動プローブ72は静電アクチュエータ76を含む。静電アクチュエータ76は、カンチレバー50の長手方向の内端に、長手方向で先端部20に対向したパドル形プレート78を含む。パドル形プレート78は、好ましくは、静電作動プローブ72と一体的に形成される。更に、静電アクチュエータ76は反対電極81を含む。反対電極81は、好ましくは静止しており、パドル形プレート78と静電的に相互作用するためプローブチップ34の上に形成されることができる。反対電極81は、それと長手方向で対向している多数のボンディングパッド85へ電気的に接続された電極の平行アレーの一部分として形成されることができる。双方は、ガラス基板94へパターン化されるか、接着されるか、形成されるか、または取り付けられる。ガラス基板94は、完成した実施形態では、反対電極及び接続ボンディングパッドのアレーをカバーする。1つまたは複数のボンディングパッドへ電圧を選択的に印加するため、ボンディングパッド85は、好ましくは、制御回路48へ電気的に接続される。反対電極81及びボンディングパッド85を含むガラス層94の加工方法は、当業者に明かであろう。
【0038】
更に、静電作動プローブへねじれ支点を提供するため、静電作動プローブ72は、コンパクトなソフトスプリング80によって、好ましくはカンチレバーの中間地点またはその近くでカンチレバー50に沿って支持され、プローブの先端部20を移動するためプローブの偏向及び角度運動を可能にするのが好ましい。図8で示されるように、静電作動プローブ72のアレー74の各々のスプリング80は、好ましくは、各々の個別のプローブを通して横方向に延びる単一部品(たとえば、ねじれビーム)の1セクションである。更に、スプリング80の各々のセクションは、カンチレバー50の長手方向と平行な方向で比較的小さな断面を有することが好ましい。当業者に分かるように、スプリング80の寸法、たとえば断面積、及び先端部20に対するスプリング80のロケーションは、カンチレバー50の角柔軟性を制御するため、境界条件に依存して変更されることができる。
【0039】
図9は、静電作動プローブ72の好ましい実施形態の平面図である。要求されるわけではないが、カンチレバー50、パドル形プレート78、及びソフトスプリング80は、ホウ素をドープされたシリコンから一体的に形成されるのが好ましい。この材料は、EDP溶液における低いエッチングレート、及び比較的に高い導電率のために好ましい。
【0040】
静電作動プローブ72の好ましい製造方法は、図10(A)〜図10(F)に示される。先ず図10(A)を参照すると、<100>方位シリコンウェーハ86とエピタキシャル<100>方位シリコン層88との間に挟まれ、高濃度のホウ素でドープされたシリコン層84を含む3層ウェーハの前面に、二酸化珪素層82が成長させられる。代替的に、シリコン層84はリンでドープされてよい。二酸化珪素層82は、先端部20を形成するためのマスクの境界を規定する。更に、二酸化珪素層82は、スペーサ90を形成するための境界を規定することができる。スペーサ90は、反対電極81から静電作動プローブ72を垂直方向で分離する。反対電極81は、分離されたガラス基板94の上にパターン化される。図10(B)では、シリコン先端部20及びスペーサ90が、EDPエッチングによってエピタキシャルシリコンウェーハ88から形成される。次に、図10(C)で示されるように、最終リリースの間に前面を保護するため、先端部20、スペーサ90、及びホウ素でドープされたシリコン層84を含むエピタキシャルシリコンウェーハ88の上に、熱酸化層92が成長させられる。次に、図10(D)で示されるように、シリコンウェーハ86がEDPによってエッチングされ、ホウ素でドープされたシリコン層84の下の材料が除去され、ホウ素でドープされたシリコンカンチレバー50がリリースされる。
【0041】
次に、図10(E)で示されるように、熱酸化層92が除去され、アレーの中の各々のプローブについて、好ましくは一体的にカンチレバー50、ソフトスプリング80、及びパドル形プレート78を含み、ホウ素でドープされたシリコン層84から、静電作動プローブ84が形成される。好ましくは、パドル形プレート78とソフトスプリング80との間で長手方向に配置されたカンチレバー50の部分は、カンチレバーの遠位部分よりも、横方向、即ち、ソフトスプリングの長さに平行な方向で、断面積が広い。それによって、先端部20の偏向は大きくなる。なぜなら、曲げトルクは支持スプリング80へ完全に伝達されるからである。静電作動プローブ72はリリースされる。
【0042】
最後に、図10(F)で示されるように、ガラス94の層及び接続された反対電極81が、スペーサ90の上に形成または配置される。
【0043】
好ましい製造方法は、鋭い先端部20(好ましくは、<100nmの曲率半径)及び約620μmの中心間の間隔を有する静電作動プローブ72を生じる。したがって、本発明の好ましい実施形態に従った静電作動プローブ72は、DPN書き込み及びAFM画像化に使用されることができる。
【0044】
ボンディングワイヤ(図示されていない)は、好ましくは、パドル形プレート78を大地電位へ接続し、その一方で、反対電極81は、好ましくは、電圧を反対電極へ印加するためのボンディングパッド85を介して、制御回路48へ電気的に結合される。パドル形プレート78の電位と、反対電極81の電位とは、代替として逆にされてよいことが分かるであろう。即ち、パドル形プレートが電圧源へ結合され、反対電極が接地されてよい。そのような代替の実施形態に必要な修正は、当業者によって理解されるであろう。
【0045】
好ましい動作方法では、電位をパドル形プレート78へ印加するため、電圧がパドル形プレート78へ印加され、その一方で、導電性反対電極81が接地される。再び、代替として、反対電極81とパドル形プレート78との間で、電圧印加と接地との機能が逆にされてよい。いずれの動作も、好ましくは、スペーサ90によって分離される反対電極81とパドル形プレート78との間に、差動電圧を印加する。反対電極81のプレートとパドル形プレート78との間に引力が生じ、この引力はそれらを相互に引き寄せ、したがってカンチレバー50を傾け、好ましくは、ソフトスプリング80に関してカンチレバー50を角度的に偏向し、先端部20を基板24から離すように移動する。したがって、熱作動プローブ54と同じように、先端部20は、選択的に持ち上げられ、書き込み(または画像化)プロセスを中止することができる。
【0046】
多くの好ましい実施形態が、能動1次元アレーについて説明された。しかし、アレーは2次元でも同じように可能である。図11は、本発明の他の好ましい実施形態に従った2次元アレー100を示す。図11で示される2次元アレー100は、下方へ曲がったプローブ104の6行及び5列を有するチップ102を含む。下方へ曲がったプローブ104は、たとえば、熱作動プローブアレー56の形成プロセスを修正して、好ましくは、2次元アレー100に沿って均一に配置されたキャビティ(反復されたセル)から個々の熱作動プローブ54のカンチレバーを延長することによって、製造されることができる。熱作動プローブ54は、各々のカンチレバー50に必要な長さが短くなることに起因して、好ましくは、2次元アレー100の中で下方へ曲がったプローブ104として集積される。2次元アレー100における熱作動プローブ54のために製造及び動作のステップを修正する方法は、当業者によって理解されるであろう。
【0047】
当業者は、様々な特質及び利点を有するDPNアレーの幾つかの発明的装置及び方法が、図示及び説明されたことを理解することができる。熱的または静電的に電流または電圧を印加し、個別にアドレス及び作動されるように各々のプローブを構成することによって、本発明の実施形態に従った能動プローブアレーは、増加した解像度及び従来の方法に匹敵するスループットで、任意のパターンを形成することができる。
【0048】
本発明の様々な実施形態が図示及び説明されたが、他の修正、置換、及び代替が当業者に明かであることを理解すべきである。そのような修正、置換、及び代替は、添付のクレイムから決定されるべきである本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われることができる。
本発明の様々な特徴が添付のクレイムに記載される。
【符号の説明】
【0049】
20 先端部
24 基板
32 能動マルチペン平行DPN書き込みシステム
34 DPNプローブチップ
38 能動プローブ
40 AFM走査管
50 カンチレバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的に作動するように構成したプローブにおいて、前記プローブが、
カンチレバーと、
少なくとも一つのパターン化化合物を適用するように構成された前記カンチレバーの端部に設けられた先端部と、
前記カンチレバーに結合した導電性金属からなる抵抗性ヒータを含み、この抵抗性ヒータが電流に応答して選択的に作動し、
更に、前記抵抗性ヒータを電流源に電気的に接続する導電路を含み、
前記抵抗性ヒータに電流を印加することで、前記カンチレバーを偏向せしめることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
前記カンチレバーへ結合される金属パッチを含み、前記金属パッチの熱膨張率が、前記カンチレバーの熱膨張率とは異なることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記抵抗性ヒータが、Cr/Au膜からなることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記カンチレバーが、窒化珪素からなることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
選択的に作動するプローブを形成する方法であって、前記方法が、
基板上に窒化珪素からなる先端部を有するカンチレバーを形成する工程と、
形成された前記カンチレバーに金属の抵抗性ヒータを形成する工程と、
前記カンチレバーを前記基板から離す工程と、
からなることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記先端部を有するカンチレバーを形成する工程が、化学気相成長法により前記基板上に窒化珪素膜を堆積させる工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属の抵抗性ヒータを形成する工程が、前記堆積した窒化珪素膜上でCr/Au膜をパターニングする工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記形成されたカンチレバー上に金属パッチを形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記金属パッチを形成する工程が、前記堆積した窒化珪素膜上のCr/Au膜をパターニングする工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記先端部を有するカンチレバーを形成する工程が、前記先端部を画定するために、前記基板をエッチングする工程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記カンチレバーを前記基板から離す工程が、前記基板をエッチングする工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項1】
選択的に作動するように構成したプローブにおいて、前記プローブが、
カンチレバーと、
少なくとも一つのパターン化化合物を適用するように構成された前記カンチレバーの端部に設けられた先端部と、
前記カンチレバーに結合した導電性金属からなる抵抗性ヒータを含み、この抵抗性ヒータが電流に応答して選択的に作動し、
更に、前記抵抗性ヒータを電流源に電気的に接続する導電路を含み、
前記抵抗性ヒータに電流を印加することで、前記カンチレバーを偏向せしめることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
前記カンチレバーへ結合される金属パッチを含み、前記金属パッチの熱膨張率が、前記カンチレバーの熱膨張率とは異なることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記抵抗性ヒータが、Cr/Au膜からなることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記カンチレバーが、窒化珪素からなることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
選択的に作動するプローブを形成する方法であって、前記方法が、
基板上に窒化珪素からなる先端部を有するカンチレバーを形成する工程と、
形成された前記カンチレバーに金属の抵抗性ヒータを形成する工程と、
前記カンチレバーを前記基板から離す工程と、
からなることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記先端部を有するカンチレバーを形成する工程が、化学気相成長法により前記基板上に窒化珪素膜を堆積させる工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属の抵抗性ヒータを形成する工程が、前記堆積した窒化珪素膜上でCr/Au膜をパターニングする工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記形成されたカンチレバー上に金属パッチを形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記金属パッチを形成する工程が、前記堆積した窒化珪素膜上のCr/Au膜をパターニングする工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記先端部を有するカンチレバーを形成する工程が、前記先端部を画定するために、前記基板をエッチングする工程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記カンチレバーを前記基板から離す工程が、前記基板をエッチングする工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−198513(P2009−198513A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115268(P2009−115268)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【分割の表示】特願2003−539142(P2003−539142)の分割
【原出願日】平成14年7月26日(2002.7.26)
【出願人】(503060525)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ イリノイ (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【分割の表示】特願2003−539142(P2003−539142)の分割
【原出願日】平成14年7月26日(2002.7.26)
【出願人】(503060525)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ イリノイ (25)
【Fターム(参考)】
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