説明

ナノ多孔性ポリウレタン被膜の製造方法

本発明は、ナノ多孔性発泡体の製造方法に関する。この方法は、多官能性のイソシアネート(A1)と溶媒(C)を含む単量体成分(A)を準備し、そして単量体成分(A)を水蒸気に接触させる工程を含む。本発明は、更に、上記工程で得られるナノ多孔性発泡体と、水蒸気に接触させる工程の前に単量体成分(A)を担体(B)に塗布することにより得られるナノ発泡体合成物とを含む。ナノ発泡体合成物は、断熱材又は防音材として、フィルタリングの材料として、又は触媒担体として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ多孔性発泡体の製造方法に関する。この方法は、多官能性のイソシアネート(A1)と溶媒(C)を含む単量体成分(A)を準備し、そして単量体成分(A)を水蒸気に接触させる工程を含む。本発明は、更に、上記工程で得られるナノ多孔性発泡体と、水蒸気に接触させる工程の前に単量体成分(A)を担体(B)に塗布することにより得られるナノ発泡体合成物とを含む。ナノ発泡体合成物は、断熱材又は防音材として、フィルタリングの材料として、又は触媒担体として有用である。
【背景技術】
【0002】
有機ナノ発泡体又は所謂キセロゲル及びエアロゲルは、一般にゾルゲル法により製造される。この方法では、ゾルは、ゲル及び溶媒に対して反応性有機前駆体を基礎に製造される。そして、架橋反応を介してゲルに変換される。ゲルから多孔性材料を得るために、溶媒は除去されねばならない。これは、超臨界条件で行うことができ、この場合は所謂エアロゲルが得られる。又は、臨界圧力下で行うことができ、この場合は所謂キセロゲルが得られる。臨界圧力上で溶媒を除去することは、必要な装置の面で非常に複雑であるという不利な点を有する。一方、毛管力による臨界未満の条件下で溶媒を除去することは、ゲルの架橋構造に重度の圧力を加え、ゲルの一部分を破壊し、その結果として多孔性を失いながらゲルが縮むこととなる。
【0003】
周知の有機キセロゲルは、例えば、フェノール-アルデヒド樹脂から成る、又はポリウレタン及び/又はポリウレアから成る。
【0004】
特許文献1は、エアロゲル-発泡体合成物について開示している。述べられているエアロゲル-発泡体合成物は、特別に無機エアロゲルを含んでおり、発泡硬化される。例えば、続いて超臨界条件下で乾燥工程が行われる、例えば、ポリウレタンから成る合成物等である。文献は、有機エアロゲルの使用の可能性、及び臨界未満の乾燥工程の使用の可能性について述べている。文献では、(無機質の)エアロゲルの固有の脆性を減ずるために及び同時に柔軟性等の機械特性の更なる改良のために発泡体のマトリクスを使用している。
【0005】
ポリウレア又はポリウレタンに基づくキセロゲルは、それ自体周知であり、無機質エアロゲルに対して機械的に優れている。
【0006】
特許文献2は、ジアミノジフェニルメタン及び多官能性のイソシアネートを有する芳香族ポリウレアに基づくキセロゲルは、低熱伝導率と低い平均孔径を得るために使用することができることを示している。
【0007】
しかしながら、周知のキセロゲルの熱伝導率は、全ての応用に関して、不十分である。真空の範囲を超える圧力範囲、例えば、略1から100ミリバールの圧力範囲で、特別には大気圧での応用に関して、熱伝導率は一般に不十分である。加えて、材料としてのキセロゲルの特性は、例えば、キセロゲルの機械的安定性、気孔率及び特に密度は、不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 2007/146945
【特許文献2】WO 2008/138978
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、低コストで簡単に実行できる、有機ナノ発泡体を製造する代替的な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、多官能性のイソシアネート(A1)と溶媒(C)を含む単量体成分(A)を準備し、そして単量体成分(A)を水蒸気に接触させる工程を含むナノ発泡体製造方法により達成される。
【0011】
本発明の目的のために、ナノ多孔性発泡体は、容量で少なくとも70%の気孔率と、高々50μm、好ましくは高々10μmで少なくとも50nm、好ましくは高々10μmで少なくとも50nm、より好ましくは高々5μmで少なくとも100nmの体積平均平均孔径を有する多孔性材料である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
単量体成分(A)は、多官能性のイソシアネート(A1)と溶媒(C)を混合して製造する。
【0013】
使用する多官能性のイソシアネートは、1よりも大きな官能性を有する有機イソシアネートとして知られている。例えば、脂肪族、脂環式、及び芳香族のイソシアネートを使用することができる。そのような多官能性のイソシアネートはそれ自体周知であるし、それ自体周知の方法で得ることができる。多官能性のイソシアネートは、より具体的には混合物として使用することもできる。そして、この場合、成分(A1)は様々な多官能性のイソシアネートを含む。
【0014】
適切なイソシアネートは、例えば、2,2’-、2,4’-及び/又は 4,4’-ジフェニルメチレンジイソシアネート(MDI)、より高度な核同族体、所謂ポリマーMDI、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は 2,6-トリエンジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシナアネート及び/又は p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘクサ-、ヘプタ-、及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-bis(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート及び/又は4,4’-、2,4’-、及び2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0015】
使用する多官能性のイソシアネートは、好ましくは、イソシアネート含有プレポリマーである。本発明の明細書中で使用するイソシアネート含有プレポリマーは、ポリイソシアネート(a)とイソシアネートと反応性を有する化合物(b)及び任意に鎖延長剤及び/又は架橋剤との反応生成物であり得る。ここで、ポリイソシアネート(a)は過剰に使用される。
【0016】
特別に適切な多官能性のプレポリマーは、イソシアネート成分を30%より少なく、より好ましくは5から29%、更により好ましくは7から28%、特別には10から25%有する。
【0017】
有用なポリイソシアネート(a)は、全ての従来技術の脂肪族、脂環式及び芳香族の2又はそれより高い機能性のイソシアネート、及びそれらの望む混合物を含む。上述したイソシアネート使用することが好ましい。
【0018】
ポリイソシアネート(a)として、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメチレンジイソシアネート及び4,4’-ジフェニルメチレンジイソシアネート及びより高度な核同族体、ジフェニルメタンジイソシアネート(ポリマーMDI)及びそれらの混合物、ウレトンイミン特に2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物を使用することが好ましい。
【0019】
採用するポリイソシアネート(a)は、好ましくは3より下の、より好ましくは2.5より下の、及び特別には2.2より下の平均イソシアネート官能性を有する。ポリイソシアネート(a)が2.0の官能性を有することは非常に特別に好ましい。
【0020】
有用なイソシアネートと反応性を有する化合物(b)は、イソシアネート基を有する少なくとも2つの水素原子を有する全ての化合物を含む。ポリエステオール、ポリエーテルオール又はポリエーテルオールと第3アミン基を有するポリオールとの混合物、特にポリエーテルオールを使用することが好ましい。
【0021】
第3アミノ基を有するポリオールは、第2アミン、例えば、エチレンジアミンと、アルキレン酸化物、例えば、エチレン酸化物又はプロピレン酸化物を反応させることにより得られる。
【0022】
適切なポリエーテルオールは、周知の方法で得ることができる。例えば、触媒としてのアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシドと、2から5、好ましくは2から4及びより好ましくは2から3、特別には2の反応性水素原子を結合した形で有する少なくとも一つの出発分子の存在化で、アニオン重合することにより得られる。又は、アルキレン部分に2から4の炭素原子を有する一つ又はそれ以上のアルキレン酸化物から、五塩化アンチモン又は三フッ化ホウ素エーテレート等のルイス酸とカチオン重合することにより得られる。有用な触媒は、更に多シアン化合物、所謂DMC触媒を含む。適切なアルキレン酸化物は、例えば、テトラヒドロフラン、1,3-プロピレン酸化物、2,3-ブチレン酸化物、及び好ましくはエチレン酸化物及び/又は1,2-プロピレン酸化物である。アルキレン酸化物は、単独で、交互に連続して又は混合物として使用することができる。1,2-プロピレン酸化物、エチレン酸化物又は1,2-プロピレン酸化物とエチレン酸化物の混合物を使用することが好ましい。ポリエーテルポリオールが、少なくとも5質量%、特別には少なくとも10質量%のエチレン酸化物を含むことが特別に好ましい。
【0023】
使用する出発分子は、好ましくは水又は2又は3の水素アルコールである。例えば、エチレングリコール、1,2-又は1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、グリセロール又はトリメチロールプロパン等である。
【0024】
好ましいポリエーテルポリオール、特別に好ましいポリオキシプロピレン又はポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールは、2から5、より好ましくは2から3の官能性を有し、400から9000、好ましくは1000から8000、より好ましくは1500から7000及び特別には2000から6000g/モルの分子量を持つ。
【0025】
鎖延長剤及び/又は架橋剤(c)は、任意に使用することができる。鎖延長剤及び/又は架橋剤(c)の添加は、ポリオールの添加の前に、一緒に又は後に行うことができる。有用な鎖延長剤及び/又は架橋剤(c)は、好ましくは400g/モル未満、及びより好ましくは60から350g/モルの分子量を持つ物質、2イソシアネート反応性水素原子及び3イソシアネート反応性水素原子を持つ架橋剤を含む。これらは、個別に又は混合した形で使用することができる。鎖延長剤を使用する時は、1,3-及び1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及び1,3-ブタンジオールが特別に好ましい。
【0026】
鎖延長剤、架橋剤、又はそれらの混合物を使用する時、それらは有利には、ポリイソシアネート(a)、イソシアネート反応化合物(b)及び鎖延長剤及び/又は架橋剤(c)の質量に対して、1から60質量%、好ましくは1.5から50質量%、特別には2から40質量5の量が使用される。
【0027】
イソシアネートプレポリマーは、上述したポリイソシアネート(a)を、例えば30から100℃、好ましくは略80℃で、イソシアネートと反応性を有する化合物(b)及び任意に鎖延長剤及び/又は架橋剤(c)とプレポリマーを形成するために反応させることにより得られる。この反応のために、ポリイソシアネート(a)、イソシアネートと反応性を有する化合物(b)及び任意に鎖延長剤及び/又は架橋剤(c)は、イソシアネート反応基に対するイソシアネート基の比が、1.5:1から15:1、好ましくは1.8:1から8:1の範囲内で好ましく混合される。プレポリマーは、ポリイソシアネートとイソシアネート反応性基を有する化合物、及び鎖延長剤及び/又は架橋剤と、得られるプレポリマーのNCO成分が、得られるイソシアネートプレポリマーの総質量に対して1.0から20質量%、特別には2から15質量%の範囲であるように混合して製造されることが特別に好ましい。続いて、揮発性のイソシアネートは、好ましくは薄膜蒸留により取り除かれる。
【0028】
イソシアネートプレポリマーは、MDI異性体を基礎として、またプロピレン酸化物及び/又はエチレン酸化物に基づくポリエーテルオールにより得られることが特別に好ましい。エチレン酸化物は、化合物(b)の総質量に対して10質量%以上であることが好ましい。
【0029】
単量体成分(A)は、更なる組成物として、付加的に、当業者に周知の通常の助剤を含んでいても良い。例えば、表面活性剤、難燃材、核剤、潤滑及び離型剤、染料と顔料、例えば加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、有機及び/又は無機フィラー、補強剤及び殺生物剤等である。
【0030】
上述した助剤及び添加物質についての更なる詳細は、技術文献、例えば、Plastics Additive Handbook, 5th edition, H. Zweifel, ed, Hanser Publishers, Munich, 2001. に記載されている。
【0031】
溶媒(C)は、原理的に一つ又はそれ以上の化合物の混合物であっても良い。提供される溶媒(C)は、工程(a)で混合物が与えられる温度及び圧力条件(単に溶解条件)では液体である。溶媒(C)の組成物は、溶媒(C)が多官能性のイソシアネート(A1)を溶解できるように又は分散できるように、好ましくは溶解できるように選ばれる。好ましい溶媒(C)は、多官能性のイソシアネート(A1)の溶媒であり、完全にそれを溶解する。
【0032】
有用な溶媒(C)は、イソシアネートに基づくポリマーの従来技術の溶媒を含む。
【0033】
有用な溶媒(C)は、例えば、ジアルキルエーテル、環状エーテル、ケトン、アルキルアルカノエート、ホルムアミド及びN-メチルピロリドン等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、脂肪族及び脂環式のハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族化合物及びフッ化エーテル等である。前述の化合物の2つ又はそれ以上の混合物は同様に使用可能である。
【0034】
有用な溶媒(C)は、更に、アセタール、特別にジエトキシメタン、ジメトキシメタン及び1,3-ジオキソランを含む。
【0035】
ジアルキルエーテル及び環状エーテルは、溶媒(C)として使用することが好ましい。好ましいジアルキルエーテルは、2から6の炭素原子を持つもの、特にメチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、プロピルエチルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピルイソプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、エチルn-ブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、及びエチルt-ブチルエーテルである。特別に、テトラハイドロフラン、ジオキサン及びテトラハイドロピランは、好ましい環状エーテルである。
【0036】
置換基当たり3炭素原子までのアルキル基を有するケトンを溶媒(C)として使用することは同様に好ましい。未満のケトンは溶媒(C)として使用することは特に好ましい:アセトン、シクロヘキサノン、メチルt-ブチルケトン及びメチルエチルケトン。
【0037】
好ましい溶媒(C)は、更に、アルキルアルカノエート、特別に蟻酸メチル、メチルアセテート、蟻酸エチル、ブチルアセテート、及びエチルアセテートを含む。好ましいハロゲン化溶媒は、WO 00/24799, page 4, line 12 から page 5 line 4 に記載されている。
【0038】
ジアルキルエーテル、環状エーテル、ケトン及びエステルは、溶媒(C)として使用することは、非常に特別に好ましい。
【0039】
多くの場合、混合物の形態で前述の溶媒から選ばれた2つ以上の相互に混和性の化合物が、特別に最適な溶媒(C)として使用される。
【0040】
溶媒(C)の沸点は、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは95℃未満で10℃以上、特別には90℃未満で25℃以上である。
【0041】
特別に好ましくは、アセトンやアセチルアセテート等のように水親和性がある溶媒である。
【0042】
溶媒(C)は、多官能性イソシアネート(A1)のレベルが40質量%未満、好ましくは30質量%未満で5質量%以上、より好ましく場20未満で8質量%以上、特別には20未満で10質量%以上となるような量で使用される。
【0043】
多官能性イソシアネート及び溶媒(C)に加えて、多官能性アミン又はアルコール、特に2以上の、好ましくは2.5以上の多官能性を有するアミン又はアルコールを加えることも可能である。しかしながら、好ましくはそのようなアミンは加えないことである。
【0044】
単量体成分(A)は、続いて水蒸気と接触される。これに関して、単量体成分(A)を過ぎて水蒸気流が導かれることが好ましい。これは昇温された温度、例えば、70から200℃、好ましくは80から150℃、より好ましくは95から120℃で行われることが好ましい。
【0045】
好ましくは、単量体成分(A)を、水蒸気の接触させる工程の前に、担体(B)に塗布する。この担体(B)は、好ましくは多孔性の物、好ましくはマクロ多孔性の物である。例えば、連続気泡発泡体、フリース又は織布が担体(B)として使用できる。
【0046】
本発明の目的に関して、マクロ多孔性とは、DIN66133 による水銀圧入測定法により測定された平均孔径が、1μm(1000nm)以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上であること意味する。このようにして測定された値は、体積加重平均孔径である。
【0047】
フリースは、不織、不編み及び非房状の製造品であり、密着性が繊維の持つ付着力に一般に依存する繊維から成る。それらは、不織布として知られており、それらは繊維不織布ウエブ、スパンボンドウエブ、又はランダムレイドウエブでもあり得る。ここで、フリースは、フェルト及び結合した繊維状の不織ウエブの織物を意味すると理解すべきである。フリースは、水や空気の鋭いジェットを用いて、例えば針で縫うこと、内部で輪を作ること又は絡ませることにより、機械的に強化されることが望ましい。フリースは、また接着により又は粘着により強化されても良い。接着により強化したフリースは、例えば、液体バインダーを使用して繊維を共に接着することにより、又は製造中にフリースに結合繊維の溶融物を添加することにより得ることができる。粘着により強化したフリースは、例えば、繊維を適切な化学物質により溶解し圧力を印加することにより得ることができる。
【0048】
適切なフリースは、一般に、10から2000、好ましくは50から1000及び特別には100から800g/m2の坪量を基板(すなわち、被覆前)として、それらの化学組成に依存して有する。
【0049】
不織布は、交差した繊維、好ましくは直角に交差した繊維から成る製造品である。適切な不織布は、一般に、10から2000、好ましくは30から1000、及び特別には50から500g/m2の坪量を基板(被覆前)として、それらの化学組成に依存して有する。
【0050】
フリース又は織物の場合、平均孔径は、フリース又は織物の相隔てた繊維による孔の平均サイズの意味であると理解される。フリース又は不織布の平均孔径は同様に DIN66133 による水銀圧入測定法により測定される。
【0051】
繊維材料により不織布又はフリースを製造することは周知である。有用な繊維材料は、高分子繊維、炭素繊維、ガラス繊維又はセルロース繊維、好ましくはガラス繊維等の周知の繊維材料を含む。
【0052】
更なる実施の形態では、担体(B)は、連続気泡マクロ多孔性発泡体である。連続気泡は、発泡体に関連して、発泡体セルの多数は独立ではないが、相互に関連し合っているという意味であると解される。連続気泡発泡体において、相互に関連しないが独立である気泡の体積分率(非連続気泡又は独立気泡分率)は、好ましくは50体積%未満である。連続気泡発泡体において、非連続気泡の体積分率は30体積%未満、例えば、20体積%未満、特別には10体積%未満であることが好ましい。
【0053】
連続気泡発泡体の場合、平均孔径は、壁部及び/又は支柱で囲まれた孔部の平均サイズの意味であると理解される。平均孔径は、DIN66133 による水銀圧入測定法を用いて、体積加重平均値として測定される。本発明において、述べられている孔径は、非被覆されていない基板に関係している。適切な発泡体は、一般に、反応前それらの化学的組成物に依存して(未満を参照してください)、3から500、好ましくは4から300及びより好ましくは5から100g/dm3の DIN EN ISO 845 による特定値を有する。
【0054】
反応前の発泡体の固有の表面積は、一般に30m2/gまで、例えば、1から20m2/gであり、DIN 66131 に記載されているBET(Brunauer、Emmet、Teller)によるガス吸収法により測定される。
【0055】
科学的に考慮して、連続気泡マクロ多孔性発泡体は、少なくとも一つの有機ポリマーを基礎に構成される。ここで、“ベースに”、又は“基礎に”とは、基板の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%及び特別には少なくとも80質量%に等しい比率を意味するものと理解される。
【0056】
原理的に、発泡体に加工することのできる全ての有機ポリマーは、連続気泡マクロ多孔性発泡体として考慮される。発泡体が、アミノアルデヒド樹脂、フェノールアルデヒド樹脂、ポリスチレン、ポリビニル塩化物、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン及びセルロースから選ばれている場合である。
【0057】
連続気泡マクロ多孔性発泡体は、好ましくは、アミノプラスト、特別にメラミンフォルムアルデヒドを基礎に構成される。この種の発泡体は、当業者には周知であり、又は周知の方法で得られる。BASF SE社のBasotect(登録商標)発泡体は、メラミンフォルムアルデヒドに基礎を置く適切な発泡体の例である。
【0058】
連続気泡の密度は、一般に3から100g/lの範囲、及び好ましくは5から20g/lの範囲である。セル総数は、典型的に50から300セル/25mmである。引張強度は、好ましくは100から150kPa及び破断伸長は8から20%の範囲である。
【0059】
アミノプラストとして好ましいメラミンフォルムアルデヒド(MF)樹脂を基礎とする連続気泡発泡体は、EP-A 071672 又は EP=A 037470 に記載されているように、発泡剤を含む十分に濃縮したメラミンフォルムアルデヒドの前凝縮溶液又は分散を、発泡させ熱風、水蒸気で又はマイクロ波を照射することにより、硬化させることにより得ることができる。
【0060】
フォルムアルデヒドに対するメラミンのモル比は、一般に1:1.0未満、好ましくは1:1から1:5の間であり、特別には1:1.3と1:1.8との間である。メラミンとフォルムアルデヒドの一定の比率に比較的高い亜硫酸塩基成分が結合すると、発泡体の高いフォルムアルデヒド放出が結果として起きることが観測されている。したがって、使用する前凝縮物は、実際には亜硫酸塩基を含まない。すなわち、亜硫酸塩基成分は、1%、好ましくは0.1%未満、及び特別には0%である。
【0061】
処理なしでは、メラミン発泡体は親水性であり容易に砕ける。化学的な変性又は後処理により疎水性にでき、及び/又は DE-A 10 2007 009127 に記載されているように成分を強化した寸法安定性を持つようになる。
【0062】
本発明によるナノ多孔性発泡体とメラミンフォルムアルデヒドから成る発泡体を組み合わせると、特別に好ましい多孔性と密度を有するナノ発泡体複合物が得られる。
【0063】
このために、連続気泡のマクロ多孔性発泡体は、通常の方法で単量体成分(A)に接触させることができる。好ましくは、連続気泡マクロ多孔性発泡体を、単量体成分(A)で含浸することである。例えば、濡らすことによって、又は単量体成分を担体(B)に加え、そして、例えば屈曲により後者を機械的に揺り動かすことによってである。この方法は、アクセス可能な孔部ができるだけ完全に湿潤されるまで採用される。ここで、単量体成分(A)の成分を個別に担体(B)に接触させ、塗布中に混合させることは可能であるが、これは好ましいくはない。
【0064】
本発明は、本発明の方法により得られるナノ多孔性発泡体を提供する。また、より特別に、担体(B)を単量体溶液(A)に接触させることにより得られるナノ多孔性複合物を提供する。
【0065】
本発明のナノ発泡体複合物は、顕著な防音及び断熱特性を有するので、防音材及び断熱材として非常に有用である。例えば、本発明のナノ発泡体複合物は、減圧下での絶縁パネルとして使用することができる。
【0066】
本発明のナノ発泡体複合物は、更にフィルタ材料として、特別には、液体及び気体流での極微細な不純物を除去するのに非常に有用である。
【0067】
本発明のナノ発泡体複合物は、同様に触媒の担体としても有用である。
【0068】
本発明の実施の形態は、実施例によりもっと特別に記載される。
【0069】
実施例
単量体成分(A)の製造
原材料:
2588gの 4,4’ MDI と2,4 MDI の1:1混合物
1487gのグリセロール、プロピレン酸化物及びエチレン酸化物を基礎としたポリオール。平均官能性は2.5であり、5170g/モルの数平均分子量を有し、エチレン酸化物の含有量は20.7質量%である。
0.4gのジグリコールビスクロロホルメート(DIBIS)
【0070】
装置:
6l 4ネックガラス反応フラスコ。フィッティング加熱フードとサーモスタットデバイス、撹拌及び計量コンテナが付属している。
保護ガス装置
【0071】
手順:
イソシアネートとDIBISを6l 4ネックガラス反応フラスコに入れ、撹拌しながら加熱フードで80℃に保つ。
滴下漏斗により10分間ポリオールを添加する。
窒素ブランケットの下で全反応を起こさせる。
反応混合物を80℃で1時間撹拌し、冷却する。
単量体成分(A)は、略20.4%のNCO成分を有し、密度は25℃で略1.136g/lであり、粘度は25℃で略325mパスカルを有する。
【0072】
ナノ多孔性発泡体の製造
原材料:
10gのBASF SE社の Basotect(登録商標)
10gの単量体成分(A)
30gのアセトン
【0073】
手順:
底部に穴を有する5l金属コンテナに Basotect を秤入れる。
単量体成分(A)をガラスビーカに秤入れ、アセトンで溶解する。
撹拌させながら金属コンテナに溶液を Basotect に滴下して添加する。
良く混合させた後、円形の6kgの重りを金属コンテナの開口部に載置する。
【0074】
穴の開いたコンテナを蒸気発生器内に吊るす。ここで、水蒸気は Basotect−単量体成分の混合物を通過し、系は反応することとなる。一旦、検出可能なアセトン臭が無くなったら、ナノ多孔性発泡体を金属コンテナから取出し乾燥させる。電子走査顕微鏡により、支持 Basotect 発泡体の上に連続気泡ナノ多孔性発泡体を確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能性のイソシアネート(A1)及び溶媒(C)を含む単量体成分(A)を準備する工程と、
前記単量体成分(A)を水蒸気と接触させる工程と、を含むナノ多孔性発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記多官能性イソシアネート(A1)は、
ポリイソシアネート(a)とイソシアネートと反応性を有する化合物(b)とを反応又は混合させることにより得られるプレポリマー及び任意に鎖延長剤及び/又は架橋剤を含み、前記ポリイソシアネート(a)は過剰に使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単量体成分(A)は、30質量%未満のイソシアネート含有量を有することを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒(C)は、大気圧で100℃未満の沸点を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記単量体成分(A)を、水蒸気に接触させる工程の前に、担体(B)に塗布することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記担体(B)は、連続気泡マクロ多孔性発泡体であり、この担体を前記単量体成分(A)で含浸することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記担体(B)は、20から1000μmの体積平均孔径を有することを特徴とする請求項5又は6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記担体(B)は、反応性重縮合樹脂であることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記連続気泡マクロ多孔性発泡体(B)は、メラミンフォルムアルデヒド発泡体であることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記担体(B)は、フリース又は織物であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記フリース又は織物は、ガラス繊維から成ることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1項に記載の方法により得られるナノ多孔性発泡体。
【請求項13】
請求項5から11の何れか1項に記載の方法により得られるナノ発泡体合成物。
【請求項14】
請求項13に記載のナノ発泡体合成物を断熱材又は防音材として、ろ過材料として、又は触媒担体としての使用法。

【公表番号】特表2013−507502(P2013−507502A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533608(P2012−533608)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065261
【国際公開番号】WO2011/045306
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】